説明

直流電路の地絡検出装置

【課題】プラント等における直流電路系において迅速に地絡検出が行えるとともに、地絡検出に用いる装置の点検やメンテナンス性を向上させることができる地絡検出装置を提供する。
【解決手段】分岐電路毎に備えられる地絡電流検出器のうち所定の複数の地絡電流検出器が接続されて各々の地絡電流検出器と対応する分岐電路毎に地絡の発生有無を演算検出する地絡検出手段を備える接続ユニットと、複数の接続ユニットにおける地絡検出手段から出力される分岐電路毎の地絡の検出結果データを受信、集約する集約手段を備える集約ユニットとを備え、前記接続ユニットを増設若しくは減設することにより、個々の分岐電路における地絡検出を行える一方、接続ユニット毎に同時に地絡検出を行い、検出結果を前記集約ユニットに出力することにより、分岐電路における地絡の検出時間を低減させることを特徴として直流回路の地絡検出装置を提供した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラント等における設備機器制御用直流電源等の直流電路に発生した地絡を検出するための地絡検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラントや発電所、変電所等においては、各種設備機器の制御用電源として直流電源を用いている。このような直流電源の供給は、共通の電路と、該共通の電路から分岐している複数の分岐電路から構成される。複数の分岐電路において、何れの箇所に地絡が発生したかを知るためには、地絡検出を行うべき複数の分岐電路毎に地絡電流検出器を設置して、該地絡電流検出器と対応する電路毎に地絡検出が行われる。
【0003】
通常、直流電路にはJEM1090(日本電機工業会規格1090)で定められた直流地絡継電器64Dが接続されている。電路に発生した直流地絡を該直流地絡継電器64Dが検出したときには、地絡検出装置は、直流地絡継電器64Dに代わって直流電路に接続される。そして、直流電路のP極−N極間のアース電位に定電圧の交流電圧信号を生成させ、電路に発生している地絡抵抗を通じて流れる交流電圧信号を、分岐電路毎に設けられた地絡電流検出器(零相変流器)によって検出することにより、対応する電路に漏れ電流が発生していることを検出し、分岐電路毎の地絡情報を保守員に認知せしめる。
【0004】
昨今においては、プラントの大規模化が行われ、直流電源の分割及び分岐電路の数が増えている。このような大規模化したプラント等においては、電路全体として配線長が長くなることから、地絡検出対象となる電路における容量成分が増加し、正確な地絡検出の妨げになる要因が増加する。また、電路に発生する地絡の性質として、継続して地絡が発生する場合の他、天候等の外的条件、あるいは電気機器の使用・使用終了などのタイミングにより、地絡が間欠的に発生する場合がある。
【0005】
地絡検出の妨げになる要因が増加し、また地絡が刻々と変化する状況の中で地絡検出を行う保守員にかかる負担は計り知れず、電路における地絡検出を正確に、なおかつ迅速に行う装置が要望されている。
【0006】
直流電路に発生した地絡を検出する地絡検出装置としては、例えば特許文献1に示されるものが公知である。
特許文献1には、特許文献2における地絡抵抗を測定する地絡抵抗計における課題点、即ち、特許文献2における地絡抵抗計においては、測定量を順番に一つずつ測定するものであるから、ノイズの多い直流回路においては、測定する間に値が変動してしまい、正確な測定ができない点、また、地絡抵抗を求めるために、3回順番に測定する必要があるから、地絡抵抗の表示の更新に時間がかかっていた点に鑑みてなされたものであることが開示されている。
【0007】
そこで、特許文献1においては、零相変流器を用いた貫通型地絡電流検出器を用いて、直流回路の正極P、負極N、アースEに接続される装置に、アースEへの出力電流IEと、正極P・アースE間の電圧VPEと、アースE・負極N間の電圧VENとの、3測定量を同時に測定する機能を付加し、測定した3測定量から、地絡に関する値を計算して表示することが開示されている。これにより、等価出力回路の切り替え回数が少なくできるため、地絡抵抗の表示の更新に時間がかかる課題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−179272号公報
【特許文献2】特開昭60−33411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、地絡検出を行うべき複数の分岐電路毎に地絡電流検出器を設置して、電路ごとに順番に地絡検出を行う場合、プラントの大規模化に伴って直流電源の分割及び分岐電路の数の増加が進むと、地絡抵抗の測定に必要な時間がだんだんと増加してくる。多数の分岐電路において地絡を順番に検出している間に、上述したような間欠的な地絡が発生・消滅した場合には検出が行えない可能性がある。また、電路において容量成分が増加している場合には、地絡検出装置の設定・調整に時間を要し、尚のこと検出に時間を要することが想定される。
電路に発生した地絡が検出できない場合には、地絡検出をやり直す作業が必要になるなど、保守員の負担が軽減されないことが想定される。
【0010】
また、多数の分岐電路における地絡検出を行う保守員の負担を低減するために、地絡抵抗の測定に係る時間が低減されることはもちろんであるが、検出に用いる地絡検出装置の点検やメンテナンスが容易に行えることも要求される。
【0011】
地絡検出装置は、通常、発電所や変電所などの制御室における、制御機器などの操作部が列設された操作パネルに埋め込まれて配設される。地絡検出装置の点検やメンテナンスを行う場合、特に装置内部の点検やメンテナンスを行う場合には、地絡検出装置の直方体形状の筐体を開口させて、装置内部にアクセスする必要がある。開口部は、前記筐体の天地方向天面側に設けられており、操作パネルの背面側に回りこんで作業を行うか、地絡検出装置の操作パネルへの固定を解き、前面側に引き出しすことにより開口させていた。
【0012】
操作パネル周辺は、作業スペースが限られているうえ、他の機器も多く、また、地絡検出装置を前面側に引き出して作業する場合は、該地絡検出装置が固定されていないため不安定になりやすい。地絡検出装置の点検やメンテナンスのために、地絡検出装置を前面側に引き出して作業したり、背面側に回りこんで作業を行うことは作業性が低下することに加え、装置の破損などが起こるおそれがあった。
【0013】
このように、地絡検出装置に故障等が発生しメンテナンスを行う場合、迅速に復旧が行えることはもちろん、定期的な点検時においても点検作業を容易に行うことができることは、地絡検出装置において必要な事項である。
【0014】
そこで、本発明においては、プラント等における設備機器制御用直流電源等の直流電路に発生した地絡を検出するための地絡検出装置において、以上の課題を解消し、測定対象となる電路系において迅速に地絡検出が行えるとともに、地絡検出に用いる装置の点検やメンテナンス性を向上させることができる地絡検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る直流回路の地絡検出装置は、直流電源が供給される個々の分岐電路に地絡電流検出器を備えて、該地絡電流検出器からの出力信号を受けることにより地絡電流が発生した分岐電路の特定を分岐電路毎に行う地絡検出装置であって、該地絡検出装置は、前記分岐電路毎に備えられる地絡電流検出器のうち所定の複数の地絡電流検出器が接続されて各々の地絡電流検出器から出力される出力信号を受信し、対応する分岐電路毎に地絡の発生有無を演算検出する地絡検出手段を備える接続ユニットと、複数の接続ユニットにおける地絡検出手段から出力される分岐電路毎の地絡の検出結果データを受信し、前記複数の接続ユニットから出力される分岐電路毎の地絡の検出結果データを集約する集約手段を備える集約ユニットとを備え、地絡の検出対象となる分岐電路の数に応じて前記接続ユニットを増設若しくは減設することにより、地絡電流検出器を各分岐電路に設けて個々の分岐電路における地絡検出を行える一方、接続ユニット毎に同時に地絡検出を行い、検出結果を前記集約ユニットに出力することにより、分岐電路における地絡の検出時間を低減させることを特徴として直流回路の地絡検出装置を提供したものである。
【0016】
かかる構成によれば、プラントなどにおいて、地絡検出装置を導入する場合、導入時において検出対象となる分岐電路の数に合わせた接続ユニットを備えておき、後に、該プラントが大規模化し、分岐電路の数が増加した場合には、前記接続ユニットの数を増加させることにより、分岐電路の増加に対応することができる。このため、最初から大規模化を見越して過剰な測定回路に対応した地絡検出装置を導入する必要がない。
また、個々の分岐電路において地絡を順番に検出していく場合と比べて、所定の複数の地絡電流検出器が接続される接続ユニット毎に同時に地絡電流の検出が行えるから、地絡検出装置全体として、地絡電流の検出時間を低減させることができ、地絡検出を行う保守員の負担も低減させることができる。
【0017】
また、本発明に係る地絡検出装置は、前記地絡検出装置は、前記接続ユニット、集約ユニット、ならびに前記地絡検出装置に電源供給を行う電源ユニットが夫々矩形状の基板に形成されるとともに、夫々の前記基板がマザー基板にコネクタにより着脱自在に配設される基板群を有する一方、地絡検出装置の外郭を形成する筐体が、ケースと、該ケースの前面側に開閉自在に取り付けられるカバーとから構成されて、前記ケースの内部に前記基板群が収納されるとともに、前記マザー基板に対して夫々の前記基板を着脱する方向が前記前面側とケースの奥行き方向を結ぶ方向とされて、前記接続ユニット、集約ユニット、電源ユニットは、前記カバーを開放した状態において、前面側から着脱自在に設けられたことを特徴として構成してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、地絡検出装置の前面側のカバーを開放して、前面側から接続ユニット等の基板を着脱できるため、地絡検出装置の点検やメンテナンス時における作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、プラント等における設備機器制御用直流電源等の直流電路に発生した地絡を検出するための地絡検出装置において、迅速な地絡検出が行えるとともに、地絡検出に用いる装置の点検やメンテナンス性を向上させることができる地絡検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る地絡検出装置のブロック構成図。
【図2】本実施形態に係る接続ユニットのブロック構成図。
【図3】本実施形態に係る地絡検出装置の外観構成図。
【図4】本実施形態に係るカバーを前面側に開放した図。
【図5】本実施形態に係る接続ユニット基板を取り外した図。
【図6】本実施形態に係る地絡検出装置の概略分解図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施例について図面を用いて以下に詳細に説明する。図1から図4は本件発明による直流電路の地絡検出装置の実施例を示したものである。
【0022】
図1は、地絡検出対象となる電路系に設けられた地絡検出装置1のブロック構成図を示したものである。本実施例に示す地絡検出装置1は、検出対象となる電路系に接続されて、アース電位に例えば5V,5Hzの正弦波交流信号を重畳させることにより、アース電位を5V,5Hzの正弦波に変化させる電圧注入部を備えるとともに、前記電路系に生じている地絡抵抗を計測する地絡抵抗測定部とを備える注入ユニット30と、夫々の分岐電路2に備えられて前記注入ユニットからの交流信号の検出を行う地絡電流検出器(零相変流器)3が複数接続されて、該地絡電流検出器3からの検出信号を受信し、対応する分岐電路2毎に地絡電流の発生有無を演算検出して地絡電流の検出データを作成する地絡検出手段を備える接続ユニット10と、接続ユニット10における地絡検出手段から出力される分岐電路毎の地絡電流の検出結果データを受信し、前記接続ユニットから出力される分岐電路毎の地絡電流の検出結果データを集約する集約手段を備える集約ユニット20と、該集約ユニット20と接続されて、該集約ユニット20にて集約演算された地絡の発生状況データを受信し、前記電路系における地絡の発生状況データを表示するとともに、集約ユニットに制御信号を出力し、地絡の発生状況データの表示内容(地絡レベル、地絡抵抗値、地絡回路名など)の表示を切替変更操作する表示操作器40と、これら注入ユニット30と、接続ユニット10と、集約ユニット20と、表示器40に電源を供給する電源ユニット50とを備えている。
【0023】
集約ユニット20、接続ユニット10、注入ユニット30には、それぞれ、演算処理部としてのマイコンが設けられており、集約ユニット20と接続ユニット10、集約ユニット20と注入ユニット30は互いにマイコン間でデータ通信を行う。集約ユニット20においては、マイコンに分岐電路毎の地絡電流の検出結果データを集約する集約手段を備え、接続ユニット10においては、マイコンに地絡電流の検出データを作成する地絡検出手段を備え、注入ユニット30においては、マイコンに電路における地絡抵抗を測定する地絡抵抗測定部と電路に交流信号を注入する電圧注入部に指示を行う演算処理部を備える。
【0024】
本実施例の場合、接続ユニット10は、前記地絡電流検出器3が8個接続可能となっている。該接続ユニット10は、集約ユニット20からの命令により、地絡電流検出器3からの交流信号の検出信号を受信し、その検出信号から電流の位相と大きさを求め、該電流の位相と大きさから地絡電流、地絡レベル等の分岐電路毎の地絡の検出結果データを演算で求め、集約ユニット20にシリアル通信により伝送する。
【0025】
図2には、接続ユニット10と地絡電流検出器3との接続図を示している。接続ユニット10においては、零相変流器からなる地絡電流検出器3からの検出信号が、電路に注入した前記5Hzの交流電圧信号を通すようバイカッドBPFフィルター処理され、フィルタ後の信号がサンプルホールド回路を介してAD変換され、AD変換されたデータがマイコンに入力される。このように、接続ユニット10は、8回路までの電路における地絡電流の検出を一度に行うものである。
【0026】
本実施例の地絡検出装置1の場合、複数の接続ユニット10として、最大で8ユニット設けられる構成となっている。即ち、集約ユニット20における分岐電路毎の地絡の検出結果データを集約する集約手段は、複数の接続ユニット10からの信号を集約し、全体で64個の地絡電流検出器3における地絡検出の結果データを集約するものである。
【0027】
集約ユニット20と各接続ユニット10との間のシリアル通信は、RS−485を用いて行っている。最大で32台までの装置と通信が可能である通信方式であるから、マイコンの性能、データ伝送速度を調整することにより、接続ユニット10の接続数を更に増加させて用いることができる。
【0028】
このように構成された地絡検出装置1においては、集約ユニット20におけるマイコンをメインCPUとし、接続ユニット10におけるマイコンをサブCPUと位置づけて、該サブCPUにより8回路の分岐電路における地絡検出を同時に行い、複数の接続ユニット10における地絡検出結果をメインCPUに伝送するため、多回路の分岐電路における地絡検出を迅速に行うことができる。特に、大規模なプラント等における直流電路の地絡検出において、迅速に地絡検出を行うことができる。
【0029】
更に多回路の分岐電路における地絡検出を行う場合には、接続ユニット10の接続可能数を増やすように構成してもよいが、例えば、前記地絡検出装置1を複数用意し、一の地絡検出装置のみ、測定対象となる電路系に注入ユニット30を作用させ、他の地絡検出装置においては注入ユニットを作用させずに設けて、複数の地絡電流検出器から各々の分岐電路に地絡電流検出器を備える一方、集約ユニット20におけるマイコン同士をシリアル通信等により通信可能に構成して、一の地絡検出装置における集約ユニットのマイコンに向けて、他の地絡検出装置の集約ユニットにより集約した地絡検出結果の集約データを伝送するように構成してもよい。
【0030】
このように複数の地絡検出装置を併せ備えることにより、RS−485によるシリアル通信を用いる場合には、通常の計測可能な電路を、最大64回路から、128回路、192回路、256回路、・・・、と最大2048回路まで備えられる地絡検出装置群を構成することができる。また、集約ユニットにおけるマイコン同士を通信可能に設けることにより、表示操作器40を各々の地絡検出装置により共用化させ、集約した地絡の発生状況データの表示内容を一の地絡検出装置により切り替えて表示させたり、各々の地絡検出装置における表示操作器から閲覧操作できるように構成してもよい。
【0031】
次に、地絡検出装置1の筐体及び内部基板の構造について説明を行う。図3には、地絡検出装置1の基板群を示している。
【0032】
本実施例における地絡検出装置1においては、前記接続ユニット10、集約ユニット20、注入ユニット30、電源ユニット50が、夫々矩形状のユニット基板110、120、130、150に形成される。これらのユニット基板は、マザー基板160にコネクタ170により着脱自在に配設され、基板群を形成している。
【0033】
前記基板群は、図6に示した内部ケース104に収納されたうえで、地絡検出装置1の外郭を形成する筐体のケース101内部に収容される。ケース101の前面側には、該ケース101に開閉自在にカバー102が取り付けられる。図4に示したように、該カバー102は、回転支持ピン1021を回動中心として、地絡検出装置1の前面側に開くように取り付けられる。また、カバー102には、前記表示操作器103が埋め込み配置され、カバー102の前面側から、地絡検出装置1の前面側周囲を囲む囲繞パネル106が取り付けられて、化粧パネルの役割を果たしている。
【0034】
前記ケース101の前記前面側からみたケースの奥行側、即ち、背面側には背面パネル105が取り付けられる。該背面パネル105には、背面端子台107が複数備えられて、前記分岐電路に備えられる複数の地絡電流検出器3からの検出線が接続される。
【0035】
図5には、カバー102を前面側に開けた状態において、接続ユニット基板110を前面側に取り出す状態を示した図である。地絡電流検出器1の点検やメンテナンス時においては、カバー102を前面側に開け、その状態で、接続ユニット基板110を前面側に取り出すことができる。集約ユニット基板120、注入ユニット基板130、電源ユニット基板150についても同様に取り出すことができる。
【0036】
なお、ユニット基板を前面側に引き出す際のガイドとなる、ガイド部材1041が内部ケース104の天面及び底面に取り付けられて、マザー基板160に夫々の基板ユニットをスムーズに着脱する役割を担っている。
【0037】
前記基板群においては、一部図示を省略しているが、前記前面側において、コネクタ180を備えた基板ユニットが複数設けらている。これらは、主に装置の電源ユニットに係わるものであり、地絡電流検出器1の点検やメンテナンスを行う時には、必要に応じて、前面側から該コネクタ180に対する配線を取り外しておくことにより、装置への電源印加がない状態で作業を行うことができる。このため、点検やメンテナンス時において、誤って充電部に接触してしまうことによる感電事故などの電気事故の発生を未然に防ぐことができるものである。
【0038】
また、前記カバー102に取り付けられる表示操作器103と、該表示操作器と通信を行う集約ユニット基板120との接続も前面側に設けられたコネクタにより行っている。これにより、集約ユニット基板120について取り外しが必要となるときにおいても、やはり、前面側から前記表示操作器103と集約ユニット基板120との接続を解き、迅速に集約ユニット基板120の取り外しを行うことが可能になるものである。
【0039】
また、基板群全体を筐体から取り外して点検やメンテナンスが必要となるときにおいても、前記内部ケース104をケース101から前面側に引き出すように取り外す構造となっている。ケース101と内部ケース104とは、前面側から行われる数箇所のねじ止めにより固定される構造であるから、容易に取り外しが可能である。マザー基板160と、前記背面端子台107とは、前記ケース101からの内部ケース104の引き出し余裕を持たせて配線している。なお、前記カバー102の外側に突出している回転支持ピン1021は、該カバー102の内側から該内側方向に引き込み自在に形成しており、前記内部ケース104を前面側に引き出すときは、予めカバーをケース101から取り外すことができる構成として、内部ケース104の引き出し作業性を確保している。
【0040】
以上の説明のように、本実施例の地絡電流検出器1において、点検やメンテナンスが必要となったとき、部分的若しくは全体的な点検やメンテナンスに係わらず、迅速に容易に行うことができるものである。
【0041】
なお、実施例では、カバー102の回転軸の方向を天地方向として前面側に開く構造としているが、この他、水平方向に回転軸を設け、前面側に持ち上げるように開く構造としたり、同じく前面側に開け下げるように開く構造としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 地絡検出装置
3 地絡電流検出器
10 接続ユニット
20 集約ユニット
30 注入ユニット
40 表示操作器
50 電源ユニット
101 ケース
102 カバー
1021 回転支持ピン
103 表示操作器
104 内部ケース
1041 ガイド部材
105 背面パネル
106 囲繞パネル
110 接続ユニット基板
120 集約ユニット基板
130 注入ユニット基板
150 電源ユニット基板
160 マザー基板
170 コネクタ
180 コネクタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源が供給される個々の分岐電路に地絡電流検出器を備えて、該地絡電流検出器からの出力信号を受けることにより地絡電流が発生した分岐電路の特定を分岐電路毎に行う地絡検出装置であって、
該地絡検出装置は、
前記分岐電路毎に備えられる地絡電流検出器のうち
所定の複数の地絡電流検出器が接続されて
各々の地絡電流検出器から出力される出力信号を受信し、
対応する分岐電路毎に地絡の発生有無を演算検出する地絡検出手段を備える接続ユニットと、
複数の接続ユニットにおける地絡検出手段から出力される分岐電路毎の地絡の検出結果データを受信し、前記複数の接続ユニットから出力される分岐電路毎の地絡の検出結果データを集約する集約手段を備える集約ユニットとを備え、
地絡電流の検出対象となる分岐電路の数に応じて前記接続ユニットを増設若しくは減設することにより、
地絡電流検出器を各分岐電路に設けて個々の分岐電路における地絡電流検出を行える一方、
接続ユニット毎に同時に地絡検出を行い、検出結果を前記集約ユニットに出力することにより、分岐電路における地絡の検出時間を低減させることを特徴とする直流電路の地絡検出装置。

【請求項2】
前記地絡検出装置は、
前記接続ユニット、集約ユニット、ならびに前記地絡検出装置に電源供給を行う電源ユニットが夫々矩形状の基板に形成されるとともに、
夫々の前記基板がマザー基板にコネクタにより着脱自在に配設される基板群を有する一方、
地絡検出装置の外郭を形成する筐体が、
ケースと、該ケースの前面側に開閉自在に取り付けられるカバーとから構成されて、
前記ケースの内部に前記基板群が収納されるとともに、
前記マザー基板に対して夫々の前記基板を着脱する方向が前記前面側とケースの奥行き方向を結ぶ方向とされて、
前記接続ユニット、集約ユニット、電源ユニットは、前記カバーを開放した状態において、
前面側から着脱自在に設けられたことを特徴とする請求項1記載の直流電路の地絡検出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−242365(P2012−242365A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116161(P2011−116161)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000109598)テンパール工業株式会社 (217)
【Fターム(参考)】