説明

直立及び傾斜型バックレストと共に用いる調整可能な低部座席

【課題】実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置とを含む多数の位置をとることができる座席を提供する。
【解決手段】アジャスター16は、多数の位置において、部材12を調節し、及び/又は支持するように設計されている。部材12は、座席の限度内で座席エリアを最大にするように形成される。座席は、また、オペレーターが座席の後方にある操縦レバー22を使用する場合においても、オペレーターを支持できるように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は座席に係り、特に乗物に用いる、直立又は傾斜する座席に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2005年10月31日出願の米国仮特許出願60/731,753の利益を要求するものであり、その全ての開示が本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間を軸回転して移動する部材を有する座席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば、乗物用の座席である。座席は、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間を軸回転するように形成された部材を備えている。座席は、また、部材と軸回転可能に連結されたフレームを有している。座席は、さらに、フレーム及び部材に機能するように連結されたアジャスタを備えており、アジャスタは実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間の複数の位置で部材を支持すべく形成されている。
【0005】
本発明の他の例として、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間を角度的に(angularly)軸回転するように形成された部材を備えた座席がある。座席は、さらに部材と軸回転可能に連結されたフレームと、フレームにより支持されるアジャスタとを備え、アジャスターは実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置の間の複数の角度位置で部材を支持するように形成されている。
【0006】
本発明は、さらに別の例では、乗物用の座席であり、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置の間を軸回転するよう形成された部材を備えている。座席はフレームとバックレストを具備し、バックレストはフレーム又は部材のいずれかにそれが機能するように連結されている。座席は、さらに、フレーム及び部材に機能を発揮できるように連結されたアジャスタを備え、アジャスターは実質的に水平な位置を含む複数の位置で部材及びバックレストを支持すべく形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明が以上の部材を採用することにより、オペレーターは多数の角度位置から人間工学的に快適な支持位置を選択することが可能となる。
【0008】
また、部材が実質的に垂直な位置をとることができるように形成されているという利点がある。実質的に垂直な位置では、オペレータが座席の後方の操縦装置を操作する際に、完全に直立位置又は傾斜位置をとることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例の記述と共に図面を参照することにより、本発明の上述した特徴や他の特徴、並びにそれらに到達する方法がより明白になり、発明自体もより一層理解することができる。
【0010】
図を通して、同じ参照番号は対応する同じ部分を示している。図面は本発明の実施例を示すものであるが必ずしも縮尺通りではなく、本発明をより例証し説明しやすくするために、特徴が誇張して示されている。
【0011】
以下の実施例は、本発明を網羅する意図ではなく、また以下の詳細な記述で開示した態様に制限する意図でもない。むしろ、本技術分野の当業者が、その教えを利用できるように、実施例を選択して記述した。
【0012】
図1に、部材12、アジャスター16及びフレーム18を含む座席10が示されている。部材12は、実質的に水平の位置にあり、アジャスター16及びフレーム18に軸回転可能に連結されている。図1に示されるように、オプションとして、座席10はバックレスト/チェストレスト14とベース20とが備えられる。バックレスト/チェストレスト14はフレーム18に連結されている。以下で詳細に説明するように、フレーム18はベース20にスライド可能に連結されている。図1には、さらにフレーム18に連結された操縦レバー22が示されている。これは、後述する。
【0013】
図2に示すように、ピン式ロック24又は他の適切な留め具は、部材12をアジャスター16及びフレーム18に軸回転可能に連結する。部材12は座席クッション部26と座席フレーム28を備えている。座席フレーム28には開口30が設けられ、これを通してネジ32又はその他の留め具により座席フレーム28を座席クッション部26に固定する。図2に示すように、座席フレーム28は座席留め具36を備え、部材12を軸回転可能にアジャスター16に連結する。
【0014】
また、図2を参照して、アジャスター16はロッド40及びチューブ42を備え、ロッド40には、複数のロック用開口44がロッドの長手方向に沿って直線的に間隔をおいて形成されている。ロッド40には留め具用開口45が設けられ、これを介してピン式ロック24又はその他の適切な留め具により、アジャスター16がフレーム18に軸回転可能に連結されている。チューブ42には部材用開口46が形成され、バネ負荷のプルピンロック48又はその他の適切な留め具が配置されている。ロック用開口44はピンロック48に位置合わせできるように形成される。ピンロック48はロック用開口44の中にに配置されるように形成される。
【0015】
また図2を参照すると、フレーム18は、ベース50、座席留め具52及びアジャスター留め具54を具備する。座席留め具52及びアジャスター留め具54はベース50に固定される。座席留め具52には開口56が設けられ、これを介して、ピン式ロック24その他の留め具により、部材12がフレーム18に軸回転可能に連結される。アジャスター留め具54にはアジャスター開口58が設けられ、これを介してピン式ロック24その他の留め具によりアジャスター16がフレーム18に軸回転可能に連結される。オプションとして、フレーム18にはバックレスト/チェストレストの留め具60が備えられている。留め具60はバックレスト/チェストレスト14を軸回転可能にフレーム18に連結する。
【0016】
図3に示すように、部材12は、双方向矢62に沿って下方又は上方へ軸回転するように形成され、一方、アジャスター16は双方向矢64に沿って伸縮するように形成される。バネ負荷のプルピンロック48その他の留め具をロック用開口44から取り除くと、部材12は実質的に水平位置から実質的な垂直位置への軸のまわりに回転することができる。部材12が双方向矢62に沿って下方に軸回転する場合は、アジャスター16は双方向矢64に沿って直線的に収縮する。部材12が双方向矢62に沿って上方に軸回転する場合は、アジャスター16は双方向矢64に沿って直線的に伸張する。
【0017】
さらに、図3を参照して、バネ負荷プルピンロック48その他の留め具をロック用開口44のいずれかの中に配置することにより、アジャスター16により部材12が支持される。ピンロック48が配置される複数のロック用開口44によって、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置とを含む複数の軸回転位置の中から部材12の位置が選択される。アジャスター16として、ロック用開口44の中に配置されるピンロック48が例示されているが、この代替調節手段として、水圧シリンダー、ラチェット、ウィンチ・アジャスター、又は空気圧シリンダーが挙げられる。
【0018】
図3及び4に示すように、オペレータが前方に滑ったり、座席から落ちるのを防止するために、座席クッション部26はわずかに上方に角度がつけられている。図4に示すように、座席クッション部26はV字形状の輪郭をしており、これにより、オペレーターは、部材12の多数の位置の中から、人間工学的に快適な支持を選択することができる。座席クッション部26には、オペレーターが人間工学的に快適な着席をとることができるように、主輪郭38が形成されている。座席クッション部26には、さらに太腿部の輪郭37、39が形成されている。太腿部の輪郭37、39はオペレーターの両脚にすき間が得られるように形成されている。上述したように、フレーム18はベース20に対しスライド可能に連結される。座席10もまた、双方向矢80に沿ってベース20に対しフレームを直線的に調節(例えば上昇、下降)できるように形成されている。
【0019】
図4及び5に示すように、部材12をV字形状としたことから、部材12が実質的に水平位置から実質的に垂直位置までの任意の位置にあっても、部材12とバックレスト/チェストレスト14の間にすき間が形成される。図5に示すように、部材12が実質的に垂直位置にある場合にも、座席クッション部26はベース20に衝突することなく、最大の座席エリアが得られるように形成されている。
【0020】
図5を参照し、部材12が実質的に垂直位置にある場合、オペレーターが制御レバー22を操作する間、座席10の方向を向いたり、もたれかかることができる。バックレスト/チェストレスト14はオペレーターの胸を支えるように形成される。バックレスト/チェストレスト14には、下部輪郭66、主輪郭68、側面輪郭70、72、側面支持輪郭74、76、及びアーチ輪郭78が形成されている。輪郭66、68、70、72及び78は、オペレーターがバックレスト/チェストレスト14の方向に向いているかいないかにかからわず、人間工学的に快適な支持を提供するように形成されている。主輪郭68は、オペレーターがバックレスト/チェストレスト14の方向を向いていようがいまいが、オペレーターを支持するように形成されている。主輪郭68及び下部輪郭66は、オペレーターに人間工学的で快適な支持を提供すべく作られる。下部輪郭66及び側面輪郭70、72は、部材12が実質的に水平な位置から実質的に垂直な位置までいずれの位置にあっても、部材12とバックレスト/チェストレスト14間にすき間ができるように形成される。側面輪郭70、72は、オペレータがバックレスト/チェストレスト14の方向を向いているかいないかにかかわらず、オペレータに付加的な支持を提供するためにアーチ状の形状を有している。
【0021】
さらにまた、図5に示すように、側面支持輪郭74、76は、オペレータがバックレスト/チェストレスト14の方を向いているときに、オペレータに人間工学的に快適な支持を提供するように形成されている。側面の支持輪郭74、76は、さらに、オペレーターがバックレスト/チェストレスト14の方を向いている場合及び/又は制御レバー22を操作している場合に、ゆとりを提供する。側面支持輪郭74及び76は、また、オペレーターの肘、腕又は前腕に対し、人間工学的に快適な支持を提供できるように形成される。アーチ状輪郭78は、オペレーターがバックレスト/チェストレストの方を向いているとき、人間工学的に快適な支持を最大とにするように形成されている。
【0022】
バックレスト/チェストレスト14は、オペレーターに人間工学的に快適な支持を提供するために、フレーム18に対して軸回転するように形成されているる。前述したように、フレーム18はベース20をスライド可能に連結されている。フレーム18は、従って、バックレスト/チェストレスト14も、双方向矢80に沿ってベース20に対し直線的に調節(例えば、上昇、下降)できるように形成される。アーチ輪郭78は、バックレスト/チェストレスト14がフレーム18に対して複数の軸回転位置にある場合でも、人間工学的に快適な支持が最大となるように形成されている。
【0023】
具体的なデザインを挙げて本発明を説明してきたが、本発明は、この開示の精神及び範囲内においてさらに修正してもよい。それ故、本出願は、この一般原理を用いた、発明の変更、用途あるいは適応物をも包含するものである。さらに、本出願は、以上の開示から発展するものであって、本発明が関連する技術分野において知られ、慣用されているプラクティスの範囲内のものも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実質的に水平位置にある部材を備えた座席の斜視図である。
【図2】図1の座席の分解図である。
【図3】図1の座席の側面の斜視図である。
【図4】図1の座席の別の斜視図である。
【図5】図1の座席の別の斜視図であって部材が実質的に垂直位置にある。
【符号の説明】
【0025】
10 座席、
12 部材、
14 バックレスト/チェストレスト、
16 アジャスター、
18 フレーム、
20 ベース、
22 操縦レバー、
24 ピン式ロック、
26 座席クッション部、
28 座席フレーム、
30 開口、
32 ネジ、
36 座席留め具、
37、39 太腿部の輪郭、
38 主輪郭、
40 ロッド、
42 チューブ、
44 ロック用開口、
45 留め具用開口、
46 部材用開口、
48 バネ負荷のプルピンロック、
50 ベース、
52 座席留め具、
54 アジャスター留め具、
56 開口、
58 アジャスター開口、
60 バックレスト/チェストレストの留め具、
66 下部輪郭
68 主輪郭、
70、72 側輪郭、
74,76 側面支持輪郭、
78 アーチ輪郭。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間で軸回転するように形成された部材と、前記実質的に水平な位置と前記実質的に垂直な位置との間の複数の位置で前記部材を支持するように形成されたアジャスターと、からなる乗物用座席。
【請求項2】
前記アジャスターは、前記部材の軸回転運動をアジャスターの直線運動に変換することを特徴とする請求項1に記載の座席。
【請求項3】
前記アジャスターは、前記複数の位置からオペレーターが選択できるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の座席。
【請求項4】
前記部材及び前記アジャスターと軸回転可能に連結されたフレームと、該フレームに連結された軸回転するバックレストであって、オペレーターを支持するために設けられたバックレストと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の座席。
【請求項5】
実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間で角度的に軸回転するように形成された部材と、
該部材と軸回転可能に連結されたフレームと、
該フレームにより支持されるアジャスターであって、前記実質的に水平な位置と前記実質的に垂直な位置との間の複数の角度位置で前記部材を支持するアジャスターと、からなることを特徴とする乗物用座席。
【請求項6】
前記フレームにより支持されるバックレストを具備することを特徴とする請求項5に記載の座席。
【請求項7】
前記バックレストは、オペレーターを支持するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の座席。
【請求項8】
前記アジャスターは、前記部材の軸回転運動をアジャスターの直線運動に変換することを特徴とする請求項5に記載の座席。
【請求項9】
実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置の間で軸回転するように形成された部材と、フレームと、該フレーム又は前記部材のいずれかに連結されたバックレストと、前記部材及び前記フレームに対して機能するように連結されたアジャスターであって、前記実質的に水平位置と前記実質的に垂直な位置を含む複数の位置で前記部材を支持するように形成されたアジャスターと、からなることを特徴とする乗物用座席。
【請求項10】
前記アジャスターはロッドとチューブを有し、前記ロッドにはその長手軸方向に沿って間隔を開けて複数の孔が形成されており、前記チューブは前記複数の孔の任意の1つにはまり込むピンロックを有することを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項11】
前記ピンロックは、バネ負荷のプルピンロックであることを特徴とする請求項10に記載の座席。
【請求項12】
前記アジャスターは、前記部材の軸回転運動を前記チューブの直線運動に変換することを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項13】
前記アジャスターは水圧シリンダーであることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項14】
前記アジャスターはラチェット又はウィンチであることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項15】
アジャスターは空気圧シリンダーであることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項16】
前記部材は、前記フレームに対して軸回転可能に連結されていることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項17】
前記バックレストはチェストレストとして用いられることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項18】
前記アジャスターは、フレームと軸回転可能に連結されることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項19】
前記部材は実質的にV字形の座席クッションを備えていることを特徴とする請求項9に記載の座席。
【請求項20】
前記フレームにスライド可能に連結されたベースを備えていることを特徴とする請求項9に記載の座席。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−126133(P2007−126133A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−288890(P2006−288890)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】