説明

直線運動機械に供給される糸長を自動的に測定する方法及び装置

移動路の両端間をみぞ板(1)の上方で往復移動可能なキャリジ(3)と、キャリジ(3)に向かって移動して糸(F)と連携する複数本の針(2)と備え、糸は、糸をみぞ板に向かって一定張力で供給される糸量を測定する手段を有する供給装置(5)から繰り出される、製品を製造するのに適した直線運動機械により取り込まれる糸長を自動的に測定する方法及び装置。供給装置(5)は,糸供給速度を測定し絶えずモニターし、このモニタリングにより、供給され編まれる糸量をリアルタイムで得ることができ、測定は、キャリジの各移動ストロークに連携しており、こうした情報に基づいて、下げカムの正確な制御を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立クレームに記載された直線運動機械により製品を製造する際に取り込まれる糸長を自動的に評価する方法に関する。また、本発明は、こうした方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直線運動機械は、対応するパッケージから繰り出される糸用の少なくとも1個の供給装置を備えた構造をしていることが知られている。糸は、直線運動機械のみぞ板に沿って水平方向に移動するキャリジによりみぞ板の上方で運ばれる(この間、針は、上下方向に、すなわち、キャリジの移動方向に対して垂直方向に移動する)。
【0003】
キャリジは、その移動中、針の上昇及び下降プロファイルを決定するさげカムにより針を休み位置から持ち上げる(上昇及び下降プロファイルは、編み織物製品を所望の形状又はパターンに製造することができるように予め定められている)。したがって、製造中、製品を作るのに、針が、キャリジにより保持された糸ガイドと連携した糸を引き込んだ後で、針は、みぞ板内の休み位置に戻る。引き込んだ糸をその前に引き込まれた糸に編み込んで、他の隣接する糸に継ぐ。
【0004】
このように、さげカム(又は、ニッティングトライアングルズ(knitting triangles))を制御することにより、各編み目の長さを決定し、これにより編まれる糸長が定まる。
【0005】
直線運動機械では、キャリジは、移動路の両端間で往復運動を行う(直線運動機械で、キャリジは、右から左へ及びこの逆に移動する)。針を介して編み目を形成するのに使用される糸をガイドする1個以上の糸ガイドの移動も、この移動によりもたらされる。
【0006】
編み品質を確保するには、糸の消費(すなわち、予め定めた針により製品を製造するのに効率的に編まれる糸)が、キャリジの両方向における(右から左へ及びその逆への)移動中、精確に等しいことが、上述したタイプの機械では、きわめて重要である。したがって、針により取り込まれる糸長(AYL)は、みぞ板の上方でのキャリジの各全ストローク(右から左へ及びその逆への移動)中、一定であることを確保することが重要となる。これは、さげカム(又は、ニッティングトライアングルズ(knitting triangles))を適切に制御することにより達成される。AYLが、こうした2段階からなるストローク(移動路の一端に向う往移動及び他端に向かう復移動)中において一定でないと、編まれる糸量は、一方の移動段階と他方の移動段階とでは異なることになり、製品の欠陥(織り段)が生ずることは明らかである。
【0007】
こうした問題を解決し、2段階からなるキャリジの移動ストローク中においてAYLを等しくするために、製品の製造中、これら2段階における効率的な糸消費を測定できる供給糸用の種々の受動測定装置(ローラ式)が知られている。しかしながら、これらの装置は、各移動段階中に供給される糸量を単に測定するだけで、移動が、糸供給装置に対して離れるものなのか向かうものなのかを(糸供給装置が、みぞ板に対して設けられている位置に関係なく)判断することはできない。
【0008】
直線運動機械に糸を供給する間、糸張力を一定に維持するだけでなく、直線運動機械に供給される糸量を測定することもできる、一定張力で糸を供給する種々の装置も知られている。これらの装置も、供給糸量を測定できても、みぞ板に沿ったキャリジの移動方向を判定することができない。さらに、こうした従来の公知の装置は、長い調整時間を必要とし、製品の製造時間と製造コストとに影響を及ぼし、作動中、種々の機械作動段階と同期される必要がある。
【0009】
さらに、こうした従来の公知の装置は、製造段階よりもむしろ、こうした調整段階においてのみ用いられる装置である。つまり、こうした公知の装置は、製造段階において通常用いられている形態とは異なる形態で機械調整を行うものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、繊維機械により取り込まれる糸長(AYL)の誤りのない精確な測定のための方法及び装置であって、従来の公知の解決手段に対して改善をもたらし、繊維機械のキャリジの移動ストロークの2個の段階において、一定のAYL値を維持できる方法及び装置を提供することにある。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、製品製造段階において同一に用いられ、製品製造段階と同じ形態で繊維機械を較正でき、繊維機械による製品製造段階中、AYL値を連続してモニターできる、誤りのない精確な機械制御のための方法及び装置を提供することにある。
【0012】
本発明の具体的な目的は、実施するのに、繊維機械の動作段階又は繊維機械のみぞ板の上方でのキャリジの移動ストロークの各段階に関して評価及び/又は同期を必要としない、上述したタイプの装置を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つ目的は、実施するのに、長い機械調整の準備段階を必要としない、上述したタイプの方法を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、実施及び/又は実行により、電気的停止装置(electric stops)、機械的回復部材、引張防止装置(anti-pull devices)等の付属部品の点で、繊維機械を簡単化できる、上述したタイプの方法及び装置を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、前記AYLを一定にするための測定及び制御を、糸を一定張力で供給しながら達成できる装置を提供することにある。
【0016】
本発明の具体的な目的は、糸の張力が、キャリジの両移動ストロークにおいて同じである場合、及び、糸の張力が、二方向において糸と糸ガイド間での摩擦の相違を補償すべきほど相違している場合の双方の場合に、糸を一定張力で供給しながら前記AYLを一定にするための測定及び制御を行える、上述したタイプの装置を提供することにある。こうした相違は、特に二つの供給速度が異なることによりもたらされるもので、摩擦は、速度の関数として表される。
【0017】
本発明のもう一つの具体的な目的は、糸消費と、みぞ板の上方でのキャリジの移動ストロークの特定の段階(糸供給装置に対して離れる又は向かう段階)とを、容易に判定できる、上述したタイプの方法及び装置を提供することにある。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、実施及び/又は実行が、繊維機械の形式(製造メーカーにより異なる)及びタイプ(例えば、機械式か電気式か)に影響されない、方法及び本発明による方法を実施する装置を提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、キャリジの移動ストロークの各段階において、糸を一定張力で供給しながら、前記AYLを精確に測定することによって、製造される製品の編み密度を間接的に測定することにある。こうして得た数値を同一種類の製品用の他の製造機械で再現することにより、一連の繊維機械により均一な品質の製品を得ることができ、繊維機械を異にしても、製品を容易に再現できる。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、張力及び前記AYLをモニターすることによって、例えば、キャリジにより保持される糸ガイドでの埃の堆積、糸供給装置と繊維機械の針間での糸道の誤り、糸破断、繊維機械の測定の喪失等、製造工程中に起こり得る品質又は不揃いの問題を顕在化させることにある。
【0021】
本発明のこれらの目的、及び当業者には明らかである他の目的は、添付の特許請求の範囲に記載した方法及び装置により達成される。
【0022】
本発明は、非限定的な実施形態を示す添付図面からさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】直線運動機械のみぞ板の上方にあるキャリジ移動ストロークの2個の段階における糸供給速度を示すグラフである。
【図2】本発明による方法の一部、及び本発明による装置の動作を示すブロック図である。
【図3】本発明による装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照すると、直線運動繊維機械は、公知のように、複数本の針2を保持するみぞ板1を備え、みぞ板の上方では、キャリジ3が、公知のように案内されて、直線的な並進運動で移動して、通常の下げカム(図示せず)を介してみぞ板1から針を選択的に上昇させる。キャリジは、みぞ板1の上方を水平方向に並進移動し、一方、みぞ板の針は、キャリジに向かって移動しながら、みぞ板1の一方の端部に設けられる糸供給部材5によりキャリジ3に供給される糸Fと連携する。
【0025】
糸供給部材5は、糸Fを一定張力で供給するのに適するタイプのもので、供給される糸量を測定する公知の機構を備える。糸供給部材は、制御ユニット8により動作を制御されるが、制御ユニットは、通常の繊維機械制御装置の一部をなしてもよいし、こうした繊維機械制御装置とは別個の独立したユニットであってもよい。制御ユニット8は、表示装置10に接続されるが、表示装置は、繊維機械制御装置の一部をなしてもよいし、繊維機械制御装置と全く別個であってもよい。
【0026】
キャリジ3は、公知のように、2個の段階、すなわち、糸供給部材5から離れる方向への移動する段階と、糸供給部材に向かう方向への移動する段階とからなる、移動経路、すなわち移動ストロークに沿って移動する(図3の矢印W)。キャリジがみぞ板1の上方を移動するのに2個の段階があるため、一定張力での糸Fの供給速度は、図1から分かるように、異なる値を持つ。
【0027】
この点、キャリジ3が、糸供給部材から離れる方向へ移動する間では、糸供給速度は、下記の式で表され、
供給速度=糸速度+キャリジ速度
一方、キャリジ3が、糸供給部材に向かう方向へ移動する間では、糸供給速度は、下記の式で表される。
【0028】
供給速度=糸速度−キャリジ速度
これら異なる糸供給速度を、図1のグラフでは、V及びVで示してある。
【0029】
糸供給速度又はこれに関連する他の量をモニターすることによって(例えば、糸供給部材のモータトルク、その制御、又は実測されたAYL等をモニターすることによって)、AYLとキャリジ3の2個の移動段階との間で、自動的に同期を達成することができる。
【0030】
以下、本発明による方法を、図2を参照しながら説明する。発明による装置もこの図に示すように動作する。
【0031】
初期ステージ(ブロック30)では、AYL測定器が示す糸供給速度を連続して解析し、糸供給速度が、ゼロに等しい若しくは閾値よりも少である(キャリジが停止している)か、ゼロ以外若しくは閾値以外(キャリジが移動している)かを確認する。もし、キャリジが停止している(例えば、速度=0)なら、供給糸の長さを測定するのに用いる一時カウンタを、ゼロに、すなわち、ブロック31でリセットする。
【0032】
こうした長さ値は、例えば、糸と協働する通常のローラにより測定して、AYLを測定する手段(例えば、ホールセンサ、エンコーダ等)に入力し、糸の速度を制御して張力を一定に維持できるようにモータに入力する。このローラは、AYL測定器として機能する。もし、測定された糸供給速度が、ゼロより(又は、自己学習により若しくは操作者の設定により予め定めた閾値よりも)も大であるなら、アルゴリズムは、供給される糸量用の一時カウンタでの計数(ブロック32)に進む。
【0033】
測定された糸供給速度が、連続して閾値を越えているなら(ブロック33でチェックされる)、AYL及び供給速度測定カウンタは、更新される(速度の値も平均化して、糸の張力を一定に維持するのに必要なモータの速度変動が、ソフトウエアカウンタのスタート及びストップ作動閾値を無効にしないようにして、閾値を絶対に越えることがないようにする(ブロック34))。
【0034】
糸供給速度がゼロに若しくは予め定めた閾値に戻ると、又は、例えば、自己学習により又は操作者の設定により選択された正確な瞬間に出される指令の後で、計数を停止し(すなわち、ブロック35のカウンタを更新する)、測定した糸供給速度(平均値)及び供給された糸の量(すなわち、AYL)に関するデータを、フラッグ(ブロック38の方向フラッグ)の状態に基づいて、適切なレジスタ(ブロック36又はブロック37)に格納し、格納毎に、2個のレジスタ内の数値の変更を行う。
【0035】
ブロック36又は37でのデータ格納後、データ格納は、ブロック39及び40(方向フラッグ)の次のキャリジ移動段階に転換する。言い換えると、ブロック39(又は40)で、進行中の移動方向とは逆の移動方向に関するものとして、データが格納される。
【0036】
例えば、制御ユニット8に接続したインターフェースを通じて(例えば、表示装置10を通じて)、本発明による装置に情報を送ることによって、みぞ板1の上方でのキャリジの移動段階の各々においてキャリジにより供給される糸量が、決定される。キャリジが、糸供給部材5に近づく段階にあるのか糸供給部材から遠ざかる段階にあるのかは、ブロック39及び40での方向フラッグの値をモニターすることによって分かる。
【0037】
したがって、キャリジの方向が明確に分かるので、異なる作動張力を、各移動方向と関連付けることができ、各針で生ずる張力は、いずれの方向でも同じになる。この点、針で糸により生ずる張力は、供給張力に糸と糸ガイドとの摩擦接触により加わる張力(速度の関数として変化する摩擦張力)を加えたものに等しいので、キャリジが遠ざかる段階とキャリジが近づく段階の双方において同じ張力を維持すると、供給装置の出口での張力は、絶えず同じでありながら、針での張力は、摩擦が異なるため、変動することは明らかである。
【0038】
このようにして、針で生ずる張力を一定にするように、キャリジの移動方向に基づいて供給張力を修正することができる。
【0039】
こうした修正は、自己同期の場合でも、繊維機械と直接インターフェースで接続することにより方向信号を取り出し(外部同期)、同期をハードウエア又はソフトウエア的に(例えば、シリアル回線を介して)行う場合の双方で、実行できる。
【0040】
供給及び測定装置が、繊維機械の側部に取り付けられる場合には、2個のレジスタと移動方向との連携は、自動的になる。この点、キャリジが糸供給装置から遠ざかる間に、糸長(AYL)が測定される移動方向では、糸供給速度は大きくなり、一方、逆に、キャリジが糸供給装置に近づく間に、糸長(AYL)が測定される移動方向では、糸供給速度は小さくなる。
【0041】
供給及び測定装置が、繊維機械の中央部に取り付けられる場合でも、本発明による装置は、糸長(AYL)を精確に測定することができるが、キャリジの方向を自動的に判別することはできない。このため、操作者は、キャリジの方向(左から右は又は右から左への移動)の物理的意義を本発明の装置にある方向フラッグと連携させ、各キャリジの移動ストロークで自動的に補完される必要がある。
【0042】
2個の方向に供給される糸の量に関して2個のレジスタ36及び37から効率的に編まれる糸量(AYL)を得るには、使用されるみぞ板(作動領域(working field)の出口にある糸ガイドの左右におけるストローク外範囲(extra−stroke)を含む)を考慮する必要がある。例えば、計算を簡便化するため、繊維機械が、作動領域が700である範囲内に1000本の針(繊度 14)を持つとする。みぞ板の一方の側に供給及び測定装置を設けたとすると、次の式が成り立つ。
a)キャリジ3が、供給装置5から遠ざかる間では、供給される糸の量は、効率的な生産に使用される糸量(AYL)プラスみぞ板の全長に亘って移動するのに用いられる糸量に等しい、すなわち、
総AYL=編まれる糸のAYL+作動する糸領域のAYL
ここにおいて、個々の用語は、下記の量を示す。
【0043】
編まれるTrnのAYL 編み物製品を製造するために繊維機械に供給される糸の量
作動する糸領域のAYL 編まれてはいないが、作動するみぞ板1の上方をキャリジがスライドできるように供給される糸の量
b)キャリジ3が、供給装置5に近づく間では、みぞ板1で使用される糸を考慮しないで、供給される糸の量は、前述のAYLであり、この量は、供給装置5により既に供給されて、キャリジ3は、供給装置5が存在する箇所とは反対側のみぞ板1の端部に到達できる。
【0044】
総AYL=編まれるTrnのAYL−作動する糸領域のAYL
ここにおいて、個々の用語は、下記の量を示す。
【0045】
編まれるTrnのAYL 編み物製品を製造するために繊維機械に供給される糸の量
作動する糸領域のAYL 編まれてはいないが、作動する針床1の上方をキャリジがスライドできるように供給される糸の量
上記したa)及びb)の代数和の解析から、2個のAYL測定値は、下記の値に等しい量で異なり、
作動する糸領域のAYL
すなわち、キャリジ3が、みぞ板1に沿って移動するのに用いられる糸量であることは明らかである。みぞ板の長さ(したがって、キャリジ3が、みぞ板に沿って一端から他端に移動するのに必要な糸長)は、計算できるので、製品を製造するのに必要なAYLは、精確に定まる。この点、供給装置5により測定されたAYLの値を考慮し、この値に又はこの値から、前述した針領域又はみぞ板1に関する値を(キャリジ3がみぞ板上を移動する方向に応じて)加算又は引くことにより、製品を製造するのに供給すべき糸の量又は長さを得て、精確な編み密度を得ることができる。
【0046】
この計算は、糸供給部材5により供給された糸の値を測定する制御ユニット8(みぞ板に沿って移動するのに使用した糸の量の値が記憶されている)と、前述したブロック36、37、39及び40のレジスタからのデータとによりなされる。
【0047】
この計算は、極めて精確になされ、正確なAYLが、キャリジ3の各移動方向において得ることができる。こうして、AYL値は、キャリジ3の各移動方向と関連付けられ、その不変性が、製品製造中確認される。この値は、他の直線運動機械に利用して複数個の繊維機械を備えた同様な製造設備での製造不変性を達成することもできる。
【0048】
本発明により得られる絶対消費値は、繊維機械の精確かつ迅速な較正に利用できる。時間的に、この解決手段は、制御に数時間もかかり、効率的な制御における品質と精確性とを保障できない現在使用されている公知の解決手段に比べて、繊維機械を数分で制御できる。これは、較正段階の後でもモニターして一定の量を保障し、誤りが生ずれば、必要に応じて機械を止めることができる一つの装置を較正と製造段階の双方に利用するからである。
【0049】
本発明による装置は、全自動式にして、あらゆるタイプ又は型式の直線運動機械に、電子式(最新のものも含めて)又は機械式のものに拘わらず、利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
みぞ板(1)と、その上方で、少なくとも1個の糸ガイドを保持しながら移動するキャリジ(3)とを備え、キャリジは、正反対の移動方向に沿って生ずる第1及び第2の移動段階に応じて移動路の両端間を移動し、この移動中、キャリジ(3)は、糸(F)と連携するように設けられた複数本の針(2)をみぞ板(1)から選択的に上昇及び下降させて製品を形成し、糸は、糸供給装置(5)から巻き戻され、供給装置は、みぞ板に向かって供給される糸量を測定する手段を備え、糸の供給は、一定張力でなされる、製品を製造する直線運動機械により取り込まれる糸の長さを自動的に評価する方法において、各移動段階中、糸供給装置(5)による糸の供給速度を測定し、測定された供給速度が、閾値よりも大であるなら、各移動段階において供給される糸量が、測定された速度が、閾値よりも小になるまで、測定され、各移動段階中に測定された糸の量の値を、各移動段階中にキャリジが、移動路の一端から他端へ及びその逆に移動できるように、キャリジに供給される糸の量に関する値に代数的に加算して、この代数和から、各移動段階中に製品製造に必要な針(2)に効率的に供給すべき糸量を判定することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記みぞ板(1)の上方での前記キャリジ(3)の移動の正確な方向、又は特定のキャリジの移動段階を、各代数和と関連付け、これにより、移動段階の各々において製品製造に必要な前記針(2)に効率的に供給すべき糸量を判定できるようにし、この判定を、前記糸供給装置(5)から前記キャリジ(3)が遠ざかる間中の供給糸量値と、前記キャリジが、前記供給装置(5)の近傍位置からストローク端にある反対端位置まで、すなわち、前記みぞ板(5)の全長に沿って移動できるのに必要な糸量値の和を考慮し、さらに、前記糸供給装置にキャリジ(3)が近付く間中に供給される糸の値と、前記キャリジが前記みぞ板(1)全体に沿って移動できるに必要な糸量値との差を考慮して行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各移動段階を供給糸長値と関連付けを手動により行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各移動段階を供給糸長値と関連付けを自動的に行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第1移動段階において移動中の一定糸張力は、第2移動段階において移動中の一定糸張力とは異なるように、各移動段階において、一定張力を異にして前記糸を供給することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各移動段階において、前記キャリジ(3)が、前記みぞ板(1)の一端から他端に移動できるように前記キャリジに供給される前記糸に関する値は、前記みぞ板(1)の長さに対応する公知の値であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
製品を製造するために前記みぞ板(1)に供給される糸量の前記計算値を表示することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
直線運動機械用に前記みぞ板(1)に供給される糸量の前記計算値を利用して、複数の直線運動機械の糸供給装置(5)の動作を制御することによって、複数個の直線運動機械による製造制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
みぞ板(1)と、その上方で、少なくとも1個の糸ガイドを保持しながら移動するキャリジ(3)とを備え、キャリジは、正反対の移動方向に沿って生ずる第1及び第2の移動段階に応じて移動路の両端間を移動し、この移動中、キャリジ(3)は、糸(F)と連携するように設けられた複数本の針(2)をみぞ板(1)から選択的に上昇及び下降させて製品を形成し、糸は、糸供給装置(5)から巻き戻され、供給装置は、みぞ板に向かって供給される糸量を測定する手段を備え、糸の供給は、一定張力でなされる、製品を製造する直線運動機械により取り込まれる糸の長さを自動的に評価する装置において、各移動段階中に、糸供給装置から供給される糸の速度を測定する手段と、測定された速度が、閾値を越える間、作動するように設けられた供給糸量を測定する手段と、測定された糸量に関するデータを、各移動段階中にキャリジ(3)に供給された糸量に関する値に代数的に加算して、キャリジ(3)が移動路の一端から他端に及びその逆に移動できるように設けられた各移動段階中に供給される糸量を制御し評価する手段(8)とを備え、この代数和に基づいて、制御評価手段(8)は、各移動段階中に製品製造に必要な針(2)に効率的に供給すべき糸量(F)を決定し、必要に応じて介入して、各移動段階中に糸張力を一定値にすることを特徴とする装置。
【請求項10】
第1移動段階に応じた移動中の供給糸の一定張力は、第2移動段階に応じた移動中の供給糸の一定張力と異なることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記みぞ板(1)の上方での前記キャリジ(3)の正確な移動方向、又は前記キャリジの特定の移動段階で連携する手段であって、前記供給糸量の測定に基づいて、前記移動段階の各々において、製品製造に必要な前記針(2)に効率的に供給すべき糸量を決定する手段を備え、この手段は、手動で又は自動的に作動することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記供給速度測定手段は、前記糸(F)用の電動アクチュエータ式又は電動モータ式供給機構(5)に作用して、前記供給速度測定手段は、供給電動モータのトルク等の糸供給の特性量を決定し、前記供給速度測定手段による糸供給速度に基づいて供給糸量を測定する手段は、前記糸供給装置(5)と連携するローラ式糸量測定器であり、前記制御及び評価手段(8)は、供給動作制御ユニットであり、このユニットは、前記直線運動機械用の制御ユニットの一部を構成するか又は直線運動機械とは別個のユニットであることを特徴とする請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−529573(P2012−529573A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514553(P2012−514553)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001419
【国際公開番号】WO2010/143064
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(596111896)ビ.ティ.エッセ.エルレ.インターナショナル ソチエタ ペル アチオーニ (8)
【Fターム(参考)】