説明

直視型ディスプレイに対する照明ユニット

本発明は、制御可能空間光変調器(RSLM)を照明するための平面光ファイバ及び少なくとも1つの光源装置(LS、L)を有する点灯装置に関する。光ファイバは導光コアとカバー被覆とを備え、光変調器は画素マトリクスを備え、光源装置は光ファイバの側方に配置され、光源装置の少なくとも1つの光源(LS)により放射された光は光ファイバ内を層流状に伝播する。本発明に係る点灯ユニットは、平面光ファイバが光ファイバ内を伝播する光のエバネッセント波動場を層流状に分離し、そして偏向する選択偏光機能を有する偏向被覆(CL)を備えることを特徴とする。カバー被覆の厚さは光の伝播方向において減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御可能な反射型空間光変調器を照明するための少なくとも1つの光源装置及び平面光導波路を備える照明ユニットに関する。光導波路は導光コア及びクラッドを備え、光変調器は画素マトリクスを備え、光源装置は光導波路の側に配置され、少なくとも1つの光源から放射される光は光導波路を通って面状に伝播する。空間光変調器は、直視型ディスプレイの表示パネルとして使用されるように設計される。
【背景技術】
【0002】
照明ユニットは、バックライト又はフロントライト(それぞれ、透過光照明装置及び反射光照明装置とも呼ばれる)であってもよく、一般に、直視型ディスプレイの透過型又は反射型制御可能空間光変調器(SLM)を照明するために使用される。光はコヒーレント又はインコヒーレントであってもよい。インコヒーレント光を用いて動作される表示装置は、裸眼立体(autostereoscopic)3D提示のための2Dディスプレイとして使用されるのが好ましい。コヒーレント光は、例えばホログラフィック表示装置において必要とされる。
【0003】
本発明の適用例の分野は、裸眼立体及びホログラム画像の3次元提示のための直視型ディスプレイを含む。
【0004】
2次元画像又は動画の提示のための市販の平面TVディスプレイにおいて、高解像度の表面全体の明るく且つ均一な照明を実現することが必要である。表示パネルとして使用されるSLMは、広い角度範囲で光を放射する必要がある。そのようなディスプレイの多くの物理的形態は従来技術において既知である。
【0005】
それらの大部分は平面光導波路(LWG)を有する。平面LWGは、一般に、少なくとも1つの導光コア及びクラッドを備え、それらの双方は屈折率が異なる。入射光は、全反射(TIR)の条件で光線束又は波動場の形態で平面LWGを通って伝播し、表示パネルを照明するために結合出力される。あるいは、光は反射されずに導光され、異なるモードmのエバネッセント波動場としてクラッドを通って結合出力される。
【0006】
バックライト又はフロントライト及び平面光導波路を有する表示装置において、最適に設計された照明装置を実現するためには多くの問題を考慮する必要がある、第1に、これは光を入射させ且つ結合出力させる機構を含む平面LWG自体の物理的形態に関する。第2に、これは光を供給する光源を含む光源装置の物理的形態に関する。更に、表示装置が透過型であるか又は反射型であるかを考慮する必要がある。
【0007】
平面TVディスプレイと対照的に、情報の3次元提示のための裸眼立体又はホログラフィック表示装置における照明ユニットは、多くの、更なる、又は異なる要件を満たす必要がある。提示されるべき情報は表示装置のSLMに書き込まれる。光源により放射される光は、SLMに書き込まれる情報を用いて変調され、SLMは、典型的には、画面又は表示パネルとして同時に機能する。従って、光線束がSLMに平行に入射することを厳密に保証すること及びSLMの高リフレッシュレートを達成することが必要である。
【0008】
情報の3次元提示を実現可能とするためには、例えば240fps(フレーム/秒)の、非常に高いリフレッシュレートを有するSLMが必要とされる。多くの場合、表示装置において光変調に使用されるSLMパネルは、LCoS型の反射型SLMのような、液晶(LC)型SLMであり、それらは現在、高精細(HD)において400fpsより高いリフレッシュレートを達成している。1085fpsのリフレッシュレートは、15Vで動作された256×256画素を有するLCoSアレイを用いて既に実現されている。
【0009】
透過型SLMと対照的に、反射型SLMはより高い充填率を有する場合が多く、そのため、ホログラフィック表示装置において使用される場合にコヒーレント光の望ましくない回折次数の高度な抑制を行うことができる。
【0010】
LCディスプレイにおいて、LC層の厚さを半減することはリフレッシュレートを4倍に増加することを意味する。更に、電圧を倍増することにより、達成可能な最大リフレッシュレートは同様に4倍に増加する。これは、達成可能な最大リフレッシュレートを計算するために使用される式において、LC層の厚さ及びLC層に印加される電圧の双方が二乗されるためである。表面積全体をコンダクタ、トランジスタ及びキャパシタに利用できるため、非透明回路キャリア(バックプレーン)を伴う、電圧、周波数及び電流の増加は容易に実現可能である。
【0011】
高リフレッシュレートが必要とされるのに加えて、LWGによる平行光の発光が強く求められる。情報の3D提示において高い品質を実現するために、SLMの表面全体の均一照明に加えて、結合出力される波面の明確な平行化が必要である。これは、生成されるべき再構成の形態でのホログラフィック提示の場合に特に重要である。例えば3次元シーンの物点(object point)により構成される物体であってもよいホログラム情報は、SLMの画素において振幅及び位相値の形態で符号化される。符号化された各物点は、SLMにより放射される波面により表現される。
【0012】
照明ユニットにより放射される波面の角度範囲を「平面波の角度スペクトル」と呼ぶ。実際、平面波面がコヒーレント方向において1/60°より大きい放射角度の相互偏差を有する場合の平面波の角度スペクトルは、ぼやけた再構成物点を生じさせることがわかっている。このぼやけは、最適条件において眼により知覚されうる。従って、ホログラフィックディスプレイの平面波のスペクトルの放射角度は、コヒーレント方向において少なくとも1/70°〜1/40°の範囲に存在する必要がある。インコヒーレント方向においては、それは少なくとも瞳孔を照明するのに充分な広さであるべきである。
【0013】
従って、生成されるべき再構成に対して照明により引き起こされる悪影響を回避するために、SLMを照明する平行波面は互いに対して明確な放射角度を事前に有する必要がある。裸眼立体3D提示において、光線束を平行にすることにより表示装置の画質が向上する。この場合、平面波の角度スペクトルは、他の眼の瞳孔が照明されないように選択されるべきである。
【0014】
コヒーレント平行光の発光は、例えば、平面LWGの上部又は内部に配置される体積格子を使用することに達成可能である。それらは透過層の積層を表し、X及びY方向における屈折率の変調分布として説明可能である。すなわち、透過型体積格子及び反射型体積格子が存在する。3D体積格子は、2つ以上のコヒーレント波又は少なくとも部分的にコヒーレントな波の干渉により生成される。体積格子の構造は、材料における波長と、記録に使用される、光の干渉波面間の局所角度等のパラメータとにより判定される。一般に、体積格子は、エネルギーの既定の部分が指定された角度範囲において結合出力されるように作成される。ブラッグの回折条件は、再構成中にこれらの格子に適用される。
【0015】
しかし、本発明において提案される平面光導波路及び体積格子を伴う照明ユニットを用いて結合出力される平面波の角度スペクトルを1/20°未満に限定できるようにするためには、体積格子は約500μmの厚さを有する必要がある。1/60°である人間の眼の角度解像能力限界を考慮すると、体積格子は例えば1mmの層の厚さを有する必要がある。角度選択性は、再構成の実際の幾何学的配置に依存する。
【0016】
この事実は、コーゲルニックの「結合波理論」から導出される。しかし、この理論は、ブラッグの1次回折において再構成される体積格子に対してのみ導出され、すなわち、それらに対してのみ当てはまる。
【0017】
例えば全反射の幾何学的配置において動作するホログラフィック格子の記録は、干渉波面間に非常に大きい角度を実現する必要があるため、本理論によると技術的に複雑である。大きい偏向角度を実現するためには大型プリズム及び液体屈折率整合剤(オイル)が必要とされる。更に、この設計により、層の厚さが厚くなり、体積格子の角度選択性が狭くなり、そして、格子周期が小さくなり、それにより、利用可能な材料の解像度限界に近くなる。
【0018】
従って、照明ユニットにおいて必要とされる体積格子をより安価に製造できるようにすることを目的とする。
【0019】
体積格子を有する照明ユニットと関連して考慮する必要のある更なる問題が存在する。
【0020】
例えば全反射により伝播する光が充分に平行光とされる場合、調整を容易にするためには角度選択性が広いことが有利である。これは、反射型体積格子は透過型体積格子より広い角度選択性を有するため、反射型体積格子により達成可能である。
【0021】
体積格子が厚くなるほど、回折効率η(θin)の角度選択性は狭くなる。これは、小さい角度でのみ、1に近い高回折効率が利用可能であることを意味する。これは、導光層の外に狭い角度範囲を結合する場合のみ利用可能である。
【0022】
例えば全反射により伝播する光の平行光化が広すぎる場合、狭い平面波の角度スペクトルを得るために充分に狭い角度選択性を実現するのが有利である。これは、厚い透過型体積格子を用いて実現される。
【0023】
実際に結合出力される光への適合は、体積格子のパラメータを適宜選択することにより達成可能である。
【0024】
更に、結合出力される光の放射角度が大きいほど格子周期が小さくなることに注意する必要がある。これにより、体積格子において使用される格子材料に対する解像度の問題が生じる場合がある。更に、体積格子を生成する際に、約1/60°である人間の眼の解像能力限界を考慮する必要がある。この限界を考慮する場合、例えばホログラフィックディスプレイ内の照明ユニットは、充分な平行光を用いてSLMを照明するために、1/20°〜1/60°の範囲である平面波の角度スペクトルを実現する必要がある。
【0025】
典型的な眼の間隔は65mmである。表示パネルまでの距離を1mとすると、これは3.72°の角度に対応する。1mの観察者距離において、これは他方の眼とのクロストークが発生するインコヒーレント方向における光導波路により放射される平面波の角度範囲の幾何学上の限界である。
【0026】
回折次数の拡大は、コヒーレント方向だけではなく、インコヒーレント方向においても発生する。この事実を考慮する場合、インコヒーレント方向における放射角度は、幾何学光計算に従って必要とされる角度より小さくなるように選択される必要がある。
【0027】
平面光導波路は、表示装置の平面性を実現するために平面ディスプレイの照明ユニットにおいて使用されるのが好ましい。それらは、ディスプレイ前方の閲覧空間を広げるために、ディスプレイにより大きい角度範囲に光が好適に放射されるように、追加の光学構成要素を使用して設計される。
【0028】
特許文献1は、ウェッジ形光導波路が開示され、すなわち、光導波路は同一平面的ではなく、光は光導波路内を多重反射により伝播し、光導波路は平面ディスプレイの均一照明のために使用される。光導波路に入射される光の角度依存分布を制御するために、ウェッジの入射面は例えば散乱表面プロファイルを用いて適合される。更に、ウェッジは、光が光導波路を通って伝播する間に漏れ全反射(FTIR)条件を残すように寸法を決められる。
【0029】
しかし、ホログラフィック表示装置の照明ユニットが有することを要求される角度選択性を保証するためには、ウェッジ角度は1°より大幅に小さい必要がある。これは、本文献に係る光導波路では現実的でない。
【0030】
特許文献2は、平面ディスプレイ用のウェッジ形光導波路を有するバックライトを開示し、そこでは、バックライトは有色LED光源を備える。有色LED光源の光は、放物面ミラーの形態に設計されるリフレクタにより拡散され、散乱され又は平行にウェッジに入射されることができる。目的は、平面ディスプレイの表面全体を均一に照明することである。特許文献2の図14を参照すると、傾斜した角度で光導波路から射出される光の射出角度は、例えばプリズム板である後続の光学構成要素による影響を受けるため、光の伝播角度は1/60°よりはるかに大きい。
【0031】
特許文献3において、光源により放射された光は円筒鏡を通って平面ディスプレイのウェッジ形導波路の最も広い面に入射される。光は、多重反射により導波路を通って伝播する。放射光はプリズムホイルにより導波路にわたり均一に分散され、そこでは、放射角度は15°より小さくない。
【0032】
上述の文献において説明されるものを含む従来技術において既知である光導波路を有する平面ディスプレイは、それらの放射特性により、高速スイッチング表示装置の照明ユニットに求められる多大な要求を満たすのに適さない。それらは、ホログラフィック直視型表示装置において物体のほぼ完全な再構成を生成する能力を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国特許第6648485号
【特許文献2】特開2007−234385号公報
【特許文献3】国際公開第WO2004/109380号
【特許文献4】国際公開第WO2007/099458号
【特許文献5】国際公開第WO2006/066919号
【特許文献6】国際公開第WO2009/050273号
【特許文献7】独国特許出願公開第10 2007 063382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
従って、本発明の目的は、非常に高いリフレッシュレートを有する直視型表示装置に対する、平面光導波路に基づく平面照明ユニットを提供することである。光導波路を通って伝播し、そこから結合出力される光は、制御可能空間光変調器(SLM)を均一に照明するために既定の放射角度を有する必要があり、そこでは、結合出力される光により維持されるべき角度範囲は実際の符号化に依存して異なる。LWGから結合出力される平面波の角度スペクトルは、体積格子の必要な層の厚さを実現できるように、どんな場合も1/20°未満である必要がある。
【0035】
照明ユニットは、多くの更なる労力を必要とせずにフルカラー提示用の光を更に提供できる必要がある。
【0036】
1人又は複数の観察者が移動し始めた場合に追跡動作の開始を多少遅延させることができるように、そして、インコヒーレント方向における必要な追跡精度を全体的に低下するように、インコヒーレント方向に放射される光の平面波の角度スペクトルは充分に広い必要がある。
【0037】
少数の個別の光学構成要素は照明ユニットにおいてのみ使用される必要があり、それらは実績があり、単純でコスト効率の高い製造技術を用いて作成される必要がある。
【0038】
本発明の更なる目的は、表示装置内のエレクトロウェッティング(EW)プリズムセルアレイと関連して使用される場合に、SLMの個々の変調器セルと個々のEWプリズムセルとを1対1で割り当てられるように平面照明ユニットを設計することである。EWプリズムセルが大きい偏向角度における平面波の角度スペクトルを拡大するため、EWプリズムセルに入射する平面波の角度スペクトルは、放射角度が大きい場合でも他方の眼へのクロストークが生じないように充分に小さいように選択される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0039】
解決策は制御可能空間光変調器を照明するための少なくとも1つの光源装置と平面光導波路とを備える照明ユニットに基づき、そこでは、光導波路は導光コア及びクラッドを備え、光変調器は画素マトリクスを備え、光源装置は光導波路の側方に配置され、光源装置の少なくとも1つの光源により放射される光は光導波路を通って面状に伝播する。
【0040】
本発明によると、目的は、光導波路内を伝播する光のエバネッセント波動場を面状に出力結合すると共に偏向するための偏光感知機能又は指定可能な出力結合特性を有する偏向層を、平面光導波路がクラッドの上に備えることにより達成され、そこでは、クラッドは厚さが光の伝播方向において先細るように作成される。
【0041】
クラッドの厚さは、導波路の光入射側から光の伝播方向に沿って導波路の反対側まで減少する。厚さの漸減は指数分布を有してもよい。
【0042】
第1の好適な実施形態において、照明ユニットはフロントライト又は反射光型照明装置の形態で設計される。照明されるべき空間光変調器は反射型であり、設定可能な射出偏光が層を2回目に通過した後に達成されるように、結合出力される光の入射偏光の方向を変える層を備える。この層はλ/4層、構造層又は非構造層である。光源装置から放射される光は、実際に使用される光源に依存して、完全にコヒーレントであるか、一方の方向において部分的にコヒーレントであるか、あるいは両方向においてインコヒーレントであってもよい。
【0043】
偏光感知出力結合及び偏向のために、拡散層又は層型マイクロ・プリズム・アレイが照明ユニット内に配置可能である。マイクロ・プリズム・アレイの幾何学的配置は実現されるべき拡散角度に最適に適合される必要がある。これは、照明ユニットが裸眼立体ディスプレイの表示パネルを照明するために使用されるか、又はホログラフィック直視型ディスプレイの表示パネルを照明するために使用されるかに依存する。
【0044】
照明ユニットの更なる一実施形態において、偏光感知出力結合及び偏向のための偏向層は少なくとも1つのホログラフィック体積格子を備えてもよい。
【0045】
更に、エレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイ又は偏光層は光の伝播方向において表示装置内の照明ユニットの後方に配置されてもよく、そこでは、偏向は可変的に制御可能である。この構成は、画素マトリクスとエレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイ又は他の偏光層との間の距離が、コヒーレント方向における画素マトリクスの画素の周期の15倍未満の範囲に存在するように設計される。その場合のみ、クロストークを発生させずに画素とEWプリズムセルとの1対1の割り当てを実現できる。値の範囲は、本発明に係る照明ユニットの算術的検証(近距離場シミュレーション)から導出される。
【0046】
照明ユニットにおいて、光は少なくとも1つの方向において平行光とされて導光コア内を伝播する。しかし、光は蛇行して伝播してもよい。導光コアが同一平面的ではない場合、すなわち平面光導波路ではなくどちらかと言えばウェッジ形導光コアである場合、各反射後に生成される蛇行モードはより急峻になる。急峻な蛇行モードはクラッドにより深く浸透し、体積格子により捕らえられ、SLMに向けて偏向される。
【0047】
平面性に関する要件を満たすために、照明ユニットの構成要素の、複数の物理的形態及び組み合わせが存在する。第1に、クラッドは一定の厚さを有してもよく、体積格子は指数関数的に増加する出力結合効率を有するように作成されてもよい。第2に、クラッドは同様に一定の厚さを有してもよく、厚さが光の伝播方向に沿って増加する導光コアと組み合わされてもよい。
【0048】
第2の好適な実施形態において、空間光変調器は透過型である場合に、照明ユニットはバックライト又は透過光線型の照明装置の形態で設計される。この場合、例えばUV光放射光源を使用できる。本構成において、偏向層はUV光を白色光に変換する蛍光層を含む。
【0049】
更に、導光コア及びクラッドは光路に沿って減少する、相互に関連する屈折率差Δnを有してもよく、それにより、クラッドに対するエバネッセント電磁場の浸透の深さの増加を実現する。
【0050】
照明ユニットの別の物理的形態において、導光コアはホログラフィック体積格子の形態で作成される。これは、光に対する伝導機能及び出力結合機能の双方を同時に有する層を提供するためである。収縮率を有さないため記録された格子の幾何学的配置の変更を全く示さない物質が存在する。
【0051】
一般に、反射型体積格子は透過型体積格子より広い角度選択性を示すが、これは製造プロセス中に補正可能である。透過型体積格子は、回折効率の第2のピークに露出過度にすることにより製造されるのが好ましい。これは、例えば再構成の幾何学的配置におけるより広い角度範囲が偏向されることにより面状に結合出力されるように、角度選択性を広げるためである。更に、広い許容範囲が可能となり、より高い照明総合効率を達成できる。この体積格子を露出過度にするオプションは、コヒーレント光を用いる再構成及びインコヒーレント光を用いる再構成の双方に適用可能である。
【0052】
ホログラフィック表示装置に対する照明ユニットにおいて使用される光源の平行光化は、1/20°より大きい角度スペクトルを生成するにすぎない。すなわち、光源が適切に平行光化されない場合、体積格子は狭い角度範囲のみを結合出力するように作成される必要がある。そのため、体積格子の角度選択性の範囲は充分に狭い必要があり、例えば1/20°未満に限定される必要がある。
【0053】
結合出力される平面波の角度スペクトルの減少は、例えばブラッグの2次回折により、高次回折により達成可能である。3Dシーンがブラッグの2次回折において再構成される場合、体積格子が均一な厚さを有する場合にブラッグの1次回折より小さい回折効率η(θ)の角度スペクトルが達成される。
【0054】
ブラッグの2次回折を用いて作成される体積格子を使用することは、以下の利点を有する:
−ブラッグの2次回折の格子はブラッグの1次回折を用いて記録可能であり、それにより、プリズム及び屈折率整合剤を使用する必要がなくなる。これは、体積格子の製造において明らかなコスト上の利点をもたらす。通常、大きい偏向角度を実現する体積格子は大型プリズム及び屈折率整合浸液を用いて記録される必要がある。
− 大きい回折角度を有する全反射の幾何学的配置において動作するホログラフィック体積格子は、0.5μm未満の格子周期Λを有する。これは、多くの材料に対する解像度限界を表すか又はそれに少なくとも近い。保証される必要のある格子パラメータの再現性は材料の解像度限界付近で低減される。
【0055】
同一の再構成の幾何学的配置を示すがそれをブラッグの2次回折で実現する体積格子の周期はブラッグの1次回折を用いて再構成される体積格子の周期の2倍であるため、ホログラフィック材料の構造上の解像度限界から非常に離れる。これにより、体積格子のパラメータの再現性が著しく増加され、ホログラフィック記録材の解像度限界を回避できる。
【0056】
−ブラッグの2次回折を使用することにより、結合出力される平面波の角度スペクトルを制限するために必要な体積格子の層の厚さをほぼ半減できる。例えば250μmの層の厚さは、上述の500μmの代わりに同一の結果を達成するのに充分である。
【0057】
これは、体積格子のサンドイッチ構造が機械的及び熱的により適していることを意味する。ホログラフィック記録材の必要量は同様に半減される。
【0058】
本発明に係るフロントライト型照明ユニットFLUを組み込む更なる実施形態が設計可能である。
【0059】
少なくとも1つの面偏光フィルタ、画素のマトリクスを有するアドレス指定可能透過層及び逆反射体のマトリクスを有する透過基板層を備える反射型光変調器を有する光変調装置は、上述の照明ユニットの実施形態の少なくとも1つにより照明可能である。
【0060】
光変調装置内の反射型光変調器は、システム制御器により制御されて偏光の位相および/または振幅を変調するために異なる配向を有する少なくとも2つのLCモードを提供する少なくとも1つのLC材料(LC material)を有する画素のマトリクスを備えてもよい。
【0061】
光変調装置内の反射型光変調器の画素マトリクスは、偏光の位相および/または振幅を変調するために異なる向きに配向される少なくとも2つのLCモードをシステム制御器により制御可能である少なくとも1つのLC材料を備えてもよい。
【0062】
好適な一実施形態において、3Dシーンのホログラムの位相及び振幅値は光変調装置の反射型光変調器の画素において符号化可能である。
【0063】
直視型ディスプレイは、少なくとも1つの従属請求項に記載の上述の実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態の発明的特徴を有し、および/または光の伝播方向に見て照明ユニットの下流に配置され、光変調装置に関する請求項に記載の特徴を備える光変調装置の空間光変調器と組み合せ可能である照明ユニットを備えてもよい。
【0064】
すなわち、本発明は、反射型及び透過型の双方の直視型ディスプレイにおいて使用可能である。従って、透過型ディスプレイは、光の伝播方向において照明ユニットの下流に配置される透過型空間光変調器と共に照明ユニットを備えるのが好ましい。反射型ディスプレイにおいて、反射型光変調器は光の伝播方向において照明ユニットの上流に配置される。
【0065】
本発明に係る導光コア、クラッド及び偏向層の構造及び組み合せにより、極めて平面的な設計の照明ユニットが達成されるのが好ましい。
【0066】
次に、本発明に係る照明ユニットと関連して、以下に説明する実施形態を実現できる多くの対策を説明する。
【0067】
例えばλ/4板、遅延板又は遅延層は、光の伝播方向において出力結合側の下流に配置されてもよい。
【0068】
反射型又は透過型光変調器は、光の伝播方向において出力結合側の下流に配置されてもよい。
【0069】
所定の散乱特性を有する反射層を備える反射型光変調器は、光の伝播方向において出力結合側の下流に配置されてもよい。この対策は、直視型ディスプレイにおいて2次元画像コンテンツを提示するのに特に好適に適している。
【0070】
反射型又は透過型ビーム偏向装置は、光の伝播方向において出力結合側の下流に配置されてもよい。
【0071】
ビーム偏向装置は、少なくとも1つの透過型又は反射型エレクトロウェッティングセルアレイ、あるいは回折装置を備えてもよい。
【0072】
好適な一実施形態によると、光変調器は、光変調器と相互作用する光の位相を変調するように作成される。ビームスプリッタ及びビームコンバイナ装置は、反射型光変調器と照明ユニットとの間に設けられる。
【0073】
特に、光変調器は、光変調器と相互作用する光の位相を変調するように作成されてもよい。光変調器は、反射型エレクトロウェッティングセルのマトリクス又はアレイを備える。
【0074】
照明ユニットから結合出力される光は、反射後に実質的に偏向されずに照明ユニットを通過するのが好ましい。これは、照明ユニット及びその下流に配置される光学構成要素が適切な特性を有するように設けられる場合に実現可能である。
【0075】
次に、上述の対策を実現することにより実現可能な実施形態を説明する。
反射型LC SLM
SLMの基板を反射層で被覆する等の本明細書中で提案される変更により、そのようなSLM又はディスプレイを反射モードで構成し、動作できる。
【0076】
反射型LCディスプレイ又はSLMにおいて、反射により光がLC層を2回通過するため、必要とされるLC層の層の厚さは半減されるのが好ましい。LCディスプレイの応答時間は層の厚さの二乗に依存するため、リフレッシュレートが高く、応答時間が短いディスプレイを実現できる。
【0077】
コヒーレント又は少なくとも部分的にコヒーレントな照明が必要とされる例えばホログラフィックアプリケーションである光学アプリケーションにおいて、位相ディスプレイが使用されるのが好ましい。垂直整列(VA)ディスプレイ等の複数の種類のLCディスプレイにおいて、2πの変調範囲の位相変調を用いる位相変調ディスプレイは、他のパラメータ(LCの材料、制御等)が同等である従来の振幅変調ディスプレイの約2倍の層の厚さを有する。
【0078】
従って、反射型位相変調ディスプレイは、透過型振幅変調LCディスプレイとほぼ同じLC層の厚さを必要とする。従って、例えば反射層を追加する一方で他の設計パラメータをほぼ維持することにより、反射型位相変調ディスプレイとして動作可能であるように従来の透過型振幅変調ディスプレイを変更できる。
【0079】
通常、透過型ディスプレイの充填率は導体等(黒色マトリクス)に必要とされる表面積により制限される。これにより、光の損失が発生する。ホログラフィックアプリケーションにおいて、そのような構造における回折及び充填率の減少により、より多くの光が高い次数に回折される。それに対して、反射型ディスプレイにおいて、導体パス、薄膜トランジスタ(TFT)等が反射層の後方に配置される場合、より広いアクティブ領域を得られるのが好ましい。
【0080】
従って、反射型のLCディスプレイ又はTFTディスプレイを構成し、反射型光変調器(SLM)のフロント側照明を提供する照明装置と組み合せてそれを使用できる。そのような照明装置は光導波路を備え、光導波路を通って伝播する光は光導波路に取り付けられる体積格子によりエバネッセントに結合出力され、好ましくは面状に結合出力される。そのような照明装置は、例えば独国特許出願第10 2009 028 984.4号において説明される。一般に、本出願に係る照明ユニットは、以下に説明する実施形態と更に関連して同様に使用可能である。この構成は、指定可能な偏光を有するほぼ平行な光波動場を生成する。そのような照明装置又は照明ユニットは、非常に平面的な設計を有するように作成可能であるのが好ましい。
【0081】
光は、偏光ビームスプリッタの幾何学的配置により側面を通って入射可能である。直線偏光は、例えば体積格子により60°偏向されてもよい。体積格子は、光が照明装置の表面に対してほぼ直角に照明装置から射出するように照明装置内に配置される。その後、光はSLMに向けて偏向可能である。この光はSLMにより反射される。光の偏光は、SLMにより反射された光が全く妨害されずに照明装置を通過できるように、例えば遅延板を用いて回転される。
【0082】
この照明装置は、一般に、広い表面積を有するようにも実現可能である。
【0083】
例えばLCoS(liquid crystal on silicon)に基づくディスプレイである一般的な反射型ディスプレイは小型のものしか販売されておらず、従って、大面積照明装置と関連して使用するのに適さない。
【0084】
ここで、照明装置は、平行な光波動場がその光を反射して変調する光変調器に向けて伝播するように設計及び配置される。
【0085】
図6は、反射型SLMを有する表示装置の一実施形態を概略的に示す。この場合、少なくとも部分的にコヒーレントな光はフロントライト照明装置FRLに入射され、ほぼ平行光とされ面状に、そして均一な強度分布でSLMに向けて結合出力される。フロントライト照明装置FRLから結合出力される直線偏光の偏光を変化させるために使用されるλ/4板は、フロントライト照明装置FRLと光変調器SLMとの間に配置される。光の偏光は、例えば45°回転される。光はSLMに入射し、SLM(図6には不図示の制御装置により制御される)の実際の制御状態に従って変調される。反射型SLMはこの光を反射し、反射光はλ/4板Y4を再度通過する。光はここで更に45°回転されるため、SLMにより反射される光は、後続の偏向装置TRにより指定可能な方法で偏向されるために、ほぼ損失なく、そして偏向されずにフロントライト照明装置FRLを通過できる。
フロントライト、並びに位相変調及び追跡のための傾斜マイクロミラーSLM
従来技術において既知であるいわゆるデジタルマイクロミラー装置(DMD)であるマイクロミラーアレイはSLMとして使用可能である。特定の種類のマイクロミラーアレイはミラーの高さ(傾斜)を異ならせることができ、これはマイクロミラーアレイにより反射される光の位相変調に使用可能である。他の種類のマイクロミラーアレイはマイクロミラーを傾斜できる。これらの2つの変調の種類は単一のマイクロミラー要素に組み合せ可能であることが更に既知である。特許文献4において、ホログラム自体を符号化するためにこの組み合せを利用することが提案されている。
【0086】
傾斜ミラーは、SLMにおいて符号化可能であるプリズムの項と関連して、ホログラムの符号化と実際の観察者の眼の位置に対する観察者ウィンドウを追跡することとを組み合わせる可能性を更に示す(例えば、特許文献5の追跡に関する節において説明されるように)。換言すると、そのようなマイクロミラーアレイの傾斜機能は位相変調SLMの機能(位相連続を含む)に一致し、傾斜機能は追跡機能(視野レンズを含む)を実現する。特に、位相連続は、連続する位相プロファイルを設定できるものとして理解される必要がある。この位相連続は、隣接するミラー間の高さの差がミラーの実際の傾斜に対して1つのミラー要素から次のミラー要素への移行において2πの倍数である位相差と正確に一致するように傾斜機能を使用して設定される場合に達成可能である。
【0087】
視野レンズ機能は、ディスプレイの異なる位置からの光を観察者平面内の設定可能な位置又は設定可能な領域に集光するために使用される。例えばZ追跡、すなわちディスプレイの軸次元における観察者ウィンドウの追跡(すなわち、観察者の眼がディスプレイに対して前後に移動する場合)は可変視野レンズ機能を必要とする。
【0088】
従って、この構成はフロントライト型照明装置及び複合SLM/追跡ユニットを含む。これは、一方で追跡を実現し、そして他方でSLMを実現する個々の構成要素を含むサンドイッチ設計と比較して単純であることを意味する。
反射型の構成に対するビームコンバイナ
いわゆるビームコンバイナ(BC)の実施形態は、例えば欧州特許出願第09163528号又は独国特許出願第10 2009 044 910.8号において説明される。そのようなビームコンバイナ(BC)は特に、SLMの異なる画素および/または隣接する画素を通過するため光の主要な伝播方向に対して横方向にずれた位置を有する光束がほぼ同一の断面領域を通過し(すなわち、重なり合い)、そしてほぼ同一方向に伝播するように、そのような光束を重ね合わせることができる。それらの実施形態のいくつか(サバール板、ブラッグサンドイッチ、液晶偏光格子LCPG)は、2つの画素に対する異なる偏光を利用する。
【0089】
透過型の構成において、SLMの表面に対して空間的に構成され、例えば重ね合わされる2つの画素からの光に対して異なる偏光を作成するλ/2板の形態である遅延層が必要とされる。この遅延層は、SLMの画素の幾何学形状と正確に位置合わせされる必要がある。
【0090】
反射型の構成において、ビームコンバイナBCはフロントライトFRLと反射型SLMとの間に配置可能である。そのため、光はBCを2回通過する。これを図8に概略的に示す。
【0091】
要素BCは、画素に向う適切な偏光に対してビームスプリッタの機能を有する。フロントライトFRLにより放射される光の偏光は、50%がSLMの画素対の一方の画素P1に入射し、そして50%が他方の画素P2に入射するようにBCにより分割されるように選択される。画素から戻る際(すなわち、SLMにより反射された後)、光Pol1及びPol2はビームコンバイナBCにより同一進路に再結合される。
【0092】
SLMの実際の設計に応じて、2つの画素の前方の構造遅延層は省略されてもよい。これは、例えば以下に説明するEWセル位相変調SLMの場合に当てはまる。
【0093】
変調するために特定の偏光を必要とするSLM(上述のLC SLM等)において、適切な構成遅延層はSLMとビームコンバイナとの間に配置可能である。例えば、光がSLMに入射する前に偏光が90°回転され、そして光がSLMから射出した後に偏光が元の偏光に戻されるように、λ/2層VZは1つおきの画素P1の前方に配置可能である。
【0094】
独国特許出願第10 2009 028 984.4号に係るフロントライト又は本発明に係る照明装置は、光の2回目の通過後に偏光が90°回転され、そして光が戻る際にほぼ偏向されずにフロントライトを通過できるように、通常はフロントライトとSLMとの間にλ/4層を使用する。反射型ビームコンバイナと組み合わされる場合、ビームコンバイナの次の偏光子及び照明装置の次のλ/4層を省略できる。その場合、SLM画素の位相は、2つの画素の同一位相が2つの位相値により符号化される複素数の最小振幅に対応し、そして位相偏移πを有する位相が2つの位相値により符号化される複素数の最大振幅に対応するように選択される。
【0095】
光がビームコンバイナにおいて再結合された後にフロントライトを2回目に通過する場合、フロントライトは、画素の位相に応じて、設定可能な光を透過し、そして残りの光を偏向する偏光子として動作する(図8において、偏向された光を点線で示す)。このように、残りの光はフロントライトに再度入射され、再利用されてもよい。図8は、そのような構成の一実施形態を概略的に示す側面図である。図中符号APは、1つおきの画素の前方に配置され、フロントライトFRLから結合出力される光束LSの一部を阻止するために使用されるアパーチャ構成を示す。
偏光子を有さないフロントライト及び反射型振幅変調LC SLM(2Dディスプレイ)
通常、透過型振幅変調LC SLMは2つの直交偏光子の間に配置される。偏光方向を回転された光のみがSLMを通過する。偏光方向を回転されなかった部分は第2の偏光子により吸収される。独国特許出願第10 2009 028 984.4号に係るフロントライト又は本発明に係る照明ユニットは1つの偏光方向を結合入力/出力させるが別の偏光方向を直行させるため、上記の「反射型の構成に対するビームコンバイナ」の節で前述したように、これは偏光子と同様に動作する。
【0096】
従って、フロントライト型照明装置及び振幅変調光変調器を有する構成において、振幅変調器のλ/4板及び偏光子を省略できる。
エレクトロウェッティングセルを有する反射型位相変調SLM
特許文献6において、エレクトロウェティング(EW)の原理を利用する位相変調SLMが開示される。これは、例えばマトリクス状に構成され、そして3つの不混和性液体L1、L2、L1で充填されるためほぼ平行に配向される2つの界面G、G´を有するEWセルZを有するエレクトロウェティングセル構成を備える。図7Aにこれを概略的に示す。
【0097】
光路長は2つの界面G、G´の平行な傾きにより変化し、これは位相変調を表す。この構成は、EWセルZの高さHが高く、そして界面G、G´が傾斜している場合にEWセルZを通過する光束の横方向オフセットΔLを示すという欠点を有する。このオフセットは、実際に設定された位相値に従って変化する。
【0098】
従って、本明細書において、EWセルZの基部領域(底部又は蓋部)Mに反射被覆を付与して反射的な方法で動作するように、図7Aに例示的及び概略的に示すEWセルZに基づくEWセルを有する位相変調SLMを設計することが提案される。透過型の実施形態と比較して、この構成はセルの厚さHが薄いという利点を有する。光がEWセルZを2回通過するため、一方の方向で実現される光の最大位相変化は2πではなくπのみである。重要な利点は、EWセルZを通過する際に光に付与される横方向オフセットΔLが反対方向において同一の横方向オフセットを付与されることにより反射後に補償される点である。その結果、光束は横方向オフセットをほぼ有さずに反射型EWセルZから射出する。EWセルを有するそのような反射型SLMは、独国特許出願第10 2009 028 984.4号に係る照明装置又は本発明に係る照明装置と組み合せ可能である。
【0099】
図7A及び図7Bは、特許文献6に係るEWセルを有する透過型位相変調SLMのEWセルZとEWセルを有する反射型位相変調SLMの画素とを対比する。EWセルZ内の不混和性液体を図中符号L1及びL2で示す。界面G、G´は、2つの異なる液体L1、L2の間に形成される。本明細書において、一方の液体は極性液体であり、他方の液体は非極性液体である。EWセルZに設けられるそれを制御するための電極及び制御素子を図7A及び図7Bに示さない。単一のビームバスのみが図示される。矢印は、光束の伝播方向を示す。
反射型EWセルを用いる追跡
独国特許出願第10 2009 028 984.4号に係る照明装置又は本発明に係る照明ユニットは、光束を偏向するためにマトリクス又は他の規則的パターンで構成されるEWセルを有するEWセルアレイを反射的な方法で照明するために更に使用される。EWセルZの基部領域Mが反射性である場合、光を偏向する界面Gは2回通過される。その結果、1つの界面のみが存在する場合、はるかに大きい偏向角度βが同一のプリズム角度αで達成される。
【0100】
対称性を考慮すると、反射的な方法で動作され、そして2つの液体L1、L2を有するEWセルアレイ又はEWセル追跡構成のEWセルZは、偏向角度、切捨て(光束はEWセルの内壁に当たり、意図したようにEWセルから射出できない)及びスクイージング(独国特許出願第10 2008 000 438.3号において説明されるような光線束の圧縮)に関して、透過的な方法で動作される高さが2倍で2つの界面G、G´の角度が対称であり、そして3つの液体L1、L2、L1を有するEWセルZと同一の特性を有することがわかる。これを図9A及び図9Bに示す。図9Aは、3つの液体L1、L2、L1を有するEWセルZを示す。破線は、EWセルZの対称面Sを示す。界面G、G´が同様に示される。図9Bは、2つの液体L1、L2を有する反射型EWセルZを示し、これは基本的に図9AのEWセルZの半分である。このEWセルZは右側に反射面Mを有する。
【0101】
図9Bに示すような反射型EWセルを備えるEWセルアレイにおいて、特に2つの液体を用いる充填、製造プロセス(セルの高さ、EWセルアレイにおけるEWセル当りの電極数)及びアドレス指定に関して構成及び製造時に求められる要求は、図9Aに示すような3つの液体を用いるEWセルを有するEWセルアレイと比較してはるかに低い。しかし、一般に、例えば偏向角度の範囲を更に増加するために、3つ以上の液体を用いる他の種類のEWセルを反射モードで動作させることもできる。
【0102】
そのような反射型EWセル追跡構成TRにおいて、フロントライトFRLは偏向ユニットとして使用されるEWセル追跡構成TRを照明でき、SLMはEWセル追跡構成TRに後続する光路内の最後の要素として構成される。これに対する条件は、SLMが光の傾斜した通過を処理できることである。図10Aは、構成要素のそのような配置を示す。図中、左から右に、反射型EWセル追跡構成TR、λ/4板Y4、フロントライトFRL及び観察者に対向するSLMパネルが示される。
【0103】
しかし、一般に、光路における構成要素の順序は、フロントライトFRL、λ/4板Y4、EWセル追跡構成TR、反射型SLMパネル及びEWセル追跡構成TRの2回目の通過であってもよい。その場合、EWセル追跡構成TRのEWセル自体は反射性ではないが、光束はこれを2回通過する。その場合、SLMは常に直角の入射角度で照明されるわけではないが、入射角度は図10Aに示し、そして上述した構成より小さい。図10Bを参照すると、構成は左から右に、SLM、EWセル追跡構成TR、λ/4板Y4及びフロントライトFRLを含む。
【0104】
図11は、本発明に係る表示装置の特に好適な一実施形態を示す。図11において、直線偏光(丸中点又は丸付き×印で示す)はフロントライトFRLの光導波路LLに入射される。フロントライトは、独国特許出願第10 2009 028 984.4号において説明されるように設計されるか、あるいは本発明に係る照明ユニットとして設計される。体積格子VolGは、光導波路LLを通って伝播する光がエバネッセントに、そして面状に結合出力されるように光導波路LLに非常に近接して配置される。ここで、結合出力される光LSは、この場合も直線偏光である(丸中点又は丸付き×印で示す)。この光LSは平行光とされ、光変調器SLMに向けて伝播する。ビームコンバイナBCは、フロントライトFRLの形態に設計される照明装置と光変調器SLMとの間に配置される。このビームコンバイナBCは、直線偏光LSを2つの部分ビームに分割するように作成される。一方の部分ビームはほぼ偏向されずにビームコンバイナBCを通過し、光変調器SLMの画素P1に入射し、画素P1により変調され、そして反射される(図中に灰色で示す)。他方の部分ビームはビームコンバイナBCにより偏向され、光変調器SLMの画素P2に入射し、光変調器SLMの画素P2により変調され、そして反射される。その後、光変調器SLMにより変調され、そして反射された部分ビームは、1つの光束LSRを形成するようにビームコンバイナBCにより再結合される。再結合された光束LSRは、一般に楕円形であってもよく、そして画素対に書き込まれる位相値の差に依存する偏光を含む。位相値は、フロントライトFRLの外に結合出力される光束LSとは対照的に、全部で90°回転された偏光を有する一部分(両矢印で示す)が位相値の対により符号化される複素数の振幅に対応するように選択される。光変調器SLMにより反射され、そしてビームコンバイナBCにより再結合される光束LSRの当該部分はほぼ偏向されずにフロントライトFRLを通過できるが、光の残りの部分はフロントライトに再度入射される。このように、フロントライトFRLはビームコンバイナBCの出口において偏光子の機能を有する。光束LSRは、1つの方向において光束LSRを例えば30°偏向する第1の体積格子VG1を通過する。偏向された光束は、視野レンズの機能を実現する第2の体積格子VG2を通過する。第1の回折装置BG1は光路において2つの体積格子VG1、VG2の下流に配置され、これは、観察者追跡を実現するために第2の体積格子VG2から射出した光束LSFを垂直方向において偏向するために使用される。第2の回折装置BG2は、観察者追跡のために水平方向において光束を偏向するために使用される。追跡を実現するために、回折装置BG1、BG2は、独国特許出願第10 2009 027 100.7号、独国特許出願第10 2009 028 626.8号又は独国特許出願第2010 028 398.3号において説明されるように設計され、そしてそのように制御されてもよい。
【0105】
次に、実施形態を用いて、添付の概略的な図面に関連して本発明を以下に更に詳細に説明する。特に指定されない限り、図面は側面図である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】反射型SLMを有する表示装置に対する平面照明ユニットの第1の実施形態を示す図である。
【図2】理解しやすいように個々の部品を分離して、反射型SLM及びEWプリズムセルアレイを有する表示装置に対する平面照明ユニットの第2の実施形態を示す図である。
【図3】反射型表示装置を1つのユニットとして形成するために組み立てられた図2の構成要素を示す図である。
【図4】フロントライト又はバックライトの双方として使用可能である直視型ディスプレイに対する照明ユニットを示す斜視図である。
【図5】反射型光変調器を照明するためのフロントライト装置の形態である平面照明ユニットの更なる一実施形態の詳細を概略的に示す上面図である。
【図6】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図7A】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図9A】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図9B】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図10A】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図10B】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図11】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
各図面及びそれに伴う説明において、同様の図中符号は同様の構成要素を示す。
【0108】
本発明は、直視型ディスプレイ内の透過型及び反射型表示装置の双方に対して使用可能である。しかし、反射型の直視型ディスプレイはより大きい利点を有するため、反射型表示装置に対する平面照明ユニットの実施形態が以下に説明されるのが好ましい。
【0109】
図1は、反射型表示装置に対する平面照明ユニットの第1の実施形態を示す。
【0110】
表面積の広い光学構成要素及び電気構成要素、すなわち、表示装置の機能性に必要とされる何らかの電気回路網及び導体を収容する回路キャリア(バックプレーンBP)を有する基板層、反射型光変調器RSLM及びλ/4層QWPは、所定の順序で左から右に順次配置される。この構成に続いて、照明ユニットがそのように存在する。照明ユニットは、クラッドC、導光コア又は導波路WL及び基板層Sを備える光導波路を含む。光変調器RSLMに対向するクラッドCの側面は偏向層CLを有する。クラッドCの厚さは、伝播方向において光導波路の光入射側から反対側に向けて、例えば10μmから2μmに減少する。この漸減は、結合出力される光の強度を一定レベルに維持するために必要である。偏向層CLにより放射される波面WFは光変調器RSLMにより反射され、導光コアWL及び照明ユニットを通過後、初期偏光と比較して90°回転された偏光TMを有する変調波面MLになる。偏光PMの方向を両矢印で示す。
【0111】
光源装置は、図1において下側である光導波路の片側に配置される。光源装置は、少なくとも1つの光源LSにより放射される光の伝播方向に配置される少なくとも1つの更なるレンズLを備える。光の電場は導光コアWLの平面に存在するのが好ましいため、水平(TE)偏光される。光の伝播方向を矢印で示す。図4は、光源装置を更に詳細に示す。
【0112】
更に、図1及び図2〜図4に更に示す波は、光導波路の導光コアWL内の1つのモードMm=0のエバネッセント波動場を示す。これは、隣接する層に浸透し、そして光変調器RSLMに向けて偏向される。光が導波路WL内を伝播するほど、モードMm>0であるより多くの反射が生成される。1つのモードは特定の種類の光の発振を表す。導波路WLにおける反射が多いほど、より多くのモードMが生成され、光の出力結合及び偏向に寄与する。
【0113】
図2は、反射型SLM及びEWプリズムセルアレイを有する表示装置に対する平面照明ユニットの第2の実施形態を示す。図2において、理解を容易にするために個々の要素を分離して示す。
【0114】
3つの主要なアセンブリは左から右に配置される。図1に示すように、第1のアセンブリは、バックプレーンBP、反射型光変調器RSLM及びλ/4層QWPを備える。
【0115】
第2の中央の構成要素は、偏向層CLとして使用される体積格子VG、厚さが漸減するクラッドC、導光コアWL及び基板層Sを備える。光導波路を通過した後、光は変調波面MWFの形態で射出し、第3の構成要素に向けて進む。第3の構成要素は、直視型ディスプレイにおける追跡装置の機能を実現するエレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイEWPARを備える。
【0116】
光源装置は、図2において下側である光導波路の片側に配置される。光源装置は、矢印で示す光の伝播方向において、レーザダイオードLDの形態である少なくとも1つの光源及び少なくとも1つのレンズLを備える。偏向層CLへの入射時に存在する電界の偏光部分TE及びTMを用いて光を示す。
【0117】
レーザダイオードLDにより放射される光はレンズLにより平行光とされ、TE偏光として導光コアWLを通って伝播する。照明ユニットの機能原理は図1と同一であり、以下に更に説明する。
【0118】
図2に示す反射型表示装置の構造は、反射画素とEWPARのセルとの1対1の割り当てを実現するために充分に平面的である。これにより、回折により引き起こされるクロストークを最小限に維持できる。
【0119】
図3は、図2の構成要素を組み立てた形態で示す。図面を理解しやすくするため、最も重要な図中符号のみを示し、図2と同一の図中符号を使用する。
【0120】
図4は、フロントライト又はバックライトの双方として使用可能であり、そして本例ではコヒーレント光を放射する直視型ディスプレイに対する照明ユニットの斜視図である。レーザダイオードLDは、光が照明ユニットに横方向に入射されるように棒状の半円柱レンズLにより方向付けられる光を放射する光源として使用される。照明ユニットは、基板S、層の形態である導光コアWL、クラッドC及び体積格子VGを備える。Mは伝導モードを示し、TEは導波路への入射時のTE場の方向を示す。クラッドCに浸透するエバネッセント場は体積格子VGに光を供給する。この光の供給部分はSLM(不図示)に向けて回折される。クラッドCは入射方向において厚さが漸減する(図4において不図示)。
【0121】
照明ユニットの上方に、平行波面WFを点線で示す。これは、例えばSLMを照明するために矢印で示す方向に伝播する。インコヒーレントLEDがレーザダイオードの代わりに使用されてもよい。
【0122】
本発明に係る平面照明ユニットは、以下の動作原理を有する。すなわち、図1を参照すると、エバネッセント波動場がクラッドCの表面に到達しないため、最初、導光コアWLを通って伝播する光は導光コアを通って平行に進む。クラッドCの厚さが伝播方向に漸減するにつれて、エバネッセント波動場はクラッドCの表面、すなわちクラッドと出力結合格子との界面に近づく。これは、導波路WL又は光導波路が均一に発光する照明ユニットを永久的に実現するように、光が光導波路WL内を伝播する際に発生する光の強度損失を補償するためである。光の一部は導波路から射出し、残りの部分は0以上のモードで蛇行して導波路WLを通って伝播し続ける。面状に斜めに射出する光は、平行波動場WFとして光変調器RSLMに入射するように偏向層CLにより偏向される。点線矢印によりこれを示す。
【0123】
偏向層CLは偏光を感知できる。これは、偏向層CLが入射光に対して偏光ビームスプリッタとして動作することを意味する。それは、導光コアWLを通って伝播する光のエバネッセント波動場の面状出力結合及び偏向の双方に対して使用される。
【0124】
光変調器RSLMの反射画素による変調後、光は光変調器のλ/4層QWP及び照明ユニットを再度通過する。λ/4層QWPを2回目に通過した後、光の初期偏光TEは90°回転される。この時点で、光はTM偏光を有し、情報提示のための値を有する画素により変調される。光は、変調波面MLである平行光とされて光導波路から射出し、エレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイEWPAR(図2及び図3)に入射する。3つの破線矢印により、この伝播方向を示す。この時点で、波面MLは、光の伝播方向に対して垂直であり、そして初期偏光に対して垂直である偏光TMを有する。
【0125】
次に、反射型制御可能光変調器を照明するためのフロントライトの形態である平面照明ユニットの例を用いて、本発明の別の実施形態を説明する。図5の上面図においてその詳細を概略的に示す。
【0126】
光変調器は、特許文献7において説明されるのと同様の反射型制御可能光変調器である。
【0127】
反射型制御可能光変調器RSLMは、逆反射体RRの構成を有する少なくとも1つの透過基板層と、画素P1、...、Pnを有する画素アレイを有する少なくとも1つの透過制御可能層とを備える。各逆反射体RRは、互いに対して斜めに配置される2つの反射プリズム面を有する縞状のプリズム棒PRを備える。プリズム棒PRは、水平方向に並べて平行に配置され、その反射プリズム面は透過基板層内に存在する。第3の面は、プリズム棒PR内の光入射/射出面である。プリズム棒PRのこれらの光入射/射出面は画素アレイの透過層を用いて接続され、本実施形態において、各プリズム棒PRは画素P1及びP2の2つの列を割り当てられる。
【0128】
透過制御可能層は、液晶が異なるLCモードを有することができるLC材料を備える。製造プロセスにおいて、LC材料は、画素アレイとして使用されるために、例えばECBモード(垂直配向)及びねじれネマチック(TN)モードである縞状に交互に配向される。LC材料の配向を実現するために、従来技術において既知であるように配向層が基板層内に配置される。図面を理解しやすくするために、図5に配向層を示さない。画素をアドレス指定するために使用される電極の構成も図5に示さない。画素P1、...、Pnは、システム制御器CUによりアドレス指定される際に変調制御手段により個別に制御可能であり、その場合、マクロ画素を形成するために3つ以上の画素を共通してアドレス指定することもできる。画素P1、...、Pnは、アクティブマトリクス構造により制御可能である。アクティブマトリクス構造は、例えばバックプレーンである反射型光変調器RSLMの背後のCMOSマトリクスとして構成可能である。反射画素の電極は、逆反射体RRの透過基板層を介してバックプレーンに接合可能である。
【0129】
更に、垂直偏光に対する縞状領域VP及び入射光の水平偏光に対する領域HPを備える面偏光フィルタPMが反射型光変調器RSLMの光入射側に配置される。これらの領域は画素列の位置及び幅と一致する。2つの隣接する領域VP及びHPは、図5の画素アレイの画素P1及びP2をそれぞれ範囲に含む。他にも、偏光フィルタの縞状領域に例えばマクロ画素を含む制御可能画素アレイを割り当てることができ、これは入射光を偏光するために使用される。これは、例えばLC材料がECB及びTNモードではなくVP及びHPモードを提供する場合に必要となってもよい。
【0130】
図1〜図4において説明した電子及び光学手段を種々の組み合せで備えることができる照明ユニットFLUからのほぼ平行光としての垂直偏光は、図5の反射型光変調器RSLMに入射する。この構成において、照明ユニットFLUは、光の一方の偏光方向をほぼ完全に偏向するが他方の偏光方向をほぼ偏向せずに透過する偏光の選択性を有するホログラム(体積格子)を備える。
【0131】
図面の平面に対して平行な偏光方向を両矢印で示し、図面の平面に対して垂直な偏光方向を点で示す。垂直偏光は、偏光フィルタPMの垂直偏光領域VPが前方に存在する画素P1のみを通過できる。水平偏光領域HPを有する画素P2は光を透過しない。光は、配向LC材料のECBモードにより画素P1において位相変調される。構成が上述のように制御される場合、LC層の厚さ及び所定の複屈折に依存して最大2πまでの光の位相変調を達成できる。光はプリズム棒PRの逆反射体RRにより2回反射され、それにより、初期偏光が維持された状態で入射方向に対して平行である逆方向に向けられる。画素P2を通過する際、LC材料のTNモードにより、偏光方向はシステム制御器CUにより出力される制御信号に依存して最大90°まで回転される。それらの制御信号により設定されるLC材料の回転角度が水平偏光領域HPを通過できる光量を定義するため、光の振幅は0〜1の範囲で変調可能である。従って、光の位相及び振幅の双方は互いに関係なく変調可能である。水平偏光は照明ユニットFLUに入射し、観察者の眼(不図示)に向けて遮断及び偏向されずに照明ユニットFLUを通過する。
【0132】
図5を参照すると、振幅変調画素P1及びP2を交互に通過した後、光は、位相変調画素P1を制御する際に考慮されるか又は補償される依存性位相変調を更に付与されてもよい。
【0133】
反射型光変調器内のECB及びTNモードで配向されるLC材料における複素値を用いた光の変調は、オプションで一様な非構造偏光子を用いて同様に可能である。その場合、画素P1又はP2をそれぞれ位相変調画素又は振幅変調画素であると考えるかは制御器により定義される必要がある。この光変調器は、出力結合格子として体積ホログラムを備えるのが好ましい本発明に係る照明ユニットFLUにより照明される。反射型光変調器から反射された後、光は、高次回折を抑制するために小さい角度選択性を有する体積ホログラムを通過できる。
【0134】
LCモードECB及びTNを有する反射型光変調器RSLMの例、並びに本発明に係る照明ユニットを用いて、単一の光変調器により実行可能である光の振幅及び位相を表す複素値の変調を説明した。しかし、0〜2πの範囲の位相変調及び0〜1の範囲の透過率を共同して可能にするLC材料の分子を配向させるための他のLCモードを組み合わせることもできる。
【0135】
位相の場合の0〜2πの値の全範囲及び振幅の場合の0〜1の値の全範囲が変調により範囲に含まれることが不可欠である。更に、画素P2の射出偏光が画素P1の入射偏光に対して垂直であるという条件が満たされる必要がある。そのような反射型光変調器は位相変調波面及び振幅変調波面を生成できるため、追加のビームコンバイナを省略するのが好ましい。
【0136】
画素がECB及びTNモードで交互に動作する光変調器の製造は、例えば配向層として使用され、そしてフォトストラクチャリングにより作成可能であるポリイミド層の塗布を含むことができる。表面の構造配向を示す場合、LC材料は例えば画素アレイのカバーガラスと位置合わせ可能である。画素P1及びP2内のLC層が異なる厚さを有するように、カバーガラスは露出した高さプロファイルを有することができる。
【0137】
光変調装置は、図5に示すような少なくとも1つの反射型制御可能光変調器RSLMを備え、そして図1〜図4の1つ以上に従って設計される本発明に係る平面照明ユニットFLUをフロントライトとして備える。反射型制御可能光変調器において、常に少なくとも2つの隣接画素が異なるLCモードにより位相および/または振幅を変調するように構成可能である。その場合、常に少なくとも2つの画素が図5に示す水平方向および/または垂直方向において制御可能である。光変調装置は、3次元シーンの再構成のためにホログラフィックディスプレイにおいて使用可能であるのが好ましい。また、光変調装置はビームを偏向及び集光する装置と組み合せ可能である。
【0138】
図1の偏向層はマイクロ・プリズム・アレイ層であってもよく、その場合、マイクロ・プリズム・アレイの幾何学的配置は実現される散乱角度に最適に適合される。また、散乱層はインコヒーレント光の偏光の選択性を有する偏向を実現できる。
【0139】
実現される一実施形態において、導光コアとクラッドとの間の屈折率差Δnは光がコア内を伝播するにつれて減少する。その結果、クラッドに対するエバネッセント場の浸透深さは同時に増加する。
【0140】
2つの構成要素、すなわちコア及びクラッドが組み合わされる場合、一方の構成要素(例えば、クラッド)の屈折率が増加し、および/または他方の構成要素(例えば、コア)の屈折率が減少するように構成される。これは、光の伝播に従うコアとクラッドとの間の屈折率差Δnの減少が異なる方法で達成可能であることを意味する。
【0141】
これは、例えばコア上へのクラッドの蒸着による製造中又はコアの製造中に考慮する必要がある。例えば、結合出力される光強度に影響を与えるために光の伝播路に沿って材料の組成を変更できる。
【0142】
本実施形態において、基板Sは低い屈折率nを有し、導波路WLは高い屈折率nを有し、次のクラッドCは再び低い屈折率Nを有する。後続の体積格子VGの材料は同様に低い屈折率nを有する。照明ユニットは、透過型表示装置と関連して同様に使用可能である。その場合、照明ユニットは、光の伝播方向に見てSLM、λ/4板及びバックプレーンを有する基板プレートの上流に配置される。しかし、この構成において、回路及び導体を収容するために基板層全体を利用することはできない。
【0143】
更なる一実施形態において、偏向層に蛍光層が付与され、そしてUV光が使用される場合、標準的な平面2Dディスプレイに対する白色光を生成できる。白色光は、3Dコンテンツの裸眼立体提示に対して更に使用可能である。
【0144】
均一な照明が不可欠であるため、クラッドと偏向層との間に局所的に存在する強度係数及び出力結合効率は一定であるのが好ましい。出力結合効率は偏向層の実際の設計により決定される。
【0145】
あるいは、導光コアは、全反射モードで動作する45°/−45°の蛇行構成として更に設計可能である。大面積表示パネルと共に照明ユニットの1mmの厚さを達成することは困難である。しかし、許容可能な厚さの増加は、EWPARセル上にSLM画素を形成することによっても達成可能である。しかし、1つ又は2つの追加のマイクロレンズアレイに対してアパーチャマスクを使用する必要がある。それらは、各EWセルに割り当てられる画素ではなく隣接画素から射出する光のクロストークを抑制することを目的とする。
【0146】
EWプリズムの配置が光変調器に近くなるほど、回折により引き起こされるクロストークを適切に防止する。
【0147】
1mm未満の厚さを有する平面光導波路を有する照明ユニットは、上述の実施形態を用いて反射型光変調器に対して提供可能である。これにより、反射型の直視型ディスプレイを非常に平面的に設計できる。インコヒーレント光を用いて更に動作可能であるため、これは裸眼立体表示装置及び2D表示装置に対して更に使用可能である。
【0148】
LCoS、マイクロミラー、マイクロチップリフレクタ又は反射型磁気光学SLMに基づく光変調器等の反射型光変調器は、大面積を形成するために組み立てられるタイルとして更に使用可能である。しかし、その場合、間隙の大きさはユーザに見えない大きさである必要があり、例えば100μmと小さい必要がある。
【0149】
完璧なTM偏光条件を実現するために、ワイヤ格子偏光子はEWプリズムセルアレイの前方に配置可能である。
【0150】
最後に、上述の実施形態は特許請求される教示を説明するにすぎないことが理解されるべきであり、特許請求される教示は上記の実施形態に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能空間光変調器を照明するための、導光コア及びクラッドを有するほぼ平面の光導波路と、画素マトリクスを有し、前記光導波路の側方に配置される少なくとも1つの光源装置とを備える照明ユニットであって、
前記平面光導波路は、前記光導波路内を伝播する前記光のエバネッセント波動場を面状に出力結合すると共に偏向するための、偏光感知機能又は所定の出力結合特性を有する偏向層を前記クラッドの上に備え、
前記光源装置の少なくとも1つの光源から放射される光が前記光導波路を通って面状に伝播し、
前記クラッドは厚さが光の伝播方向に漸減するように作成される、
ことを特徴とする照明ユニット。
【請求項2】
前記クラッドの前記厚さは、前記導波路の光入射側から光の伝播方向に沿って前記導波路の反対側まで減少することを特徴とする請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記空間光変調器は反射型であり、層を2回目に通過した後に、設定可能な射出偏光が得られるように結合出力される前記光の入射偏光の向きを変える層を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記層はλ/4層、構造層又は非構造層であることを特徴とする請求項3に記載の照明ユニット。
【請求項5】
前記光源装置から放射される前記光は、一方の方向において部分的にコヒーレントであるか、あるいはいずれの方向においてもインコヒーレントであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項6】
拡散層が偏光の選択性を有する前記偏向を実現することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項7】
マイクロ・プリズム・アレイを有する層により偏光の選択性を有する前記偏向が実現され、前記マイクロ・プリズム・アレイの幾何学的配置は実現されるべき拡散角度に最適に適合されることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項8】
前記偏向層は少なくとも1つのホログラフィック体積格子を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項9】
前記光源装置から放射される前記光はコヒーレントであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項10】
エレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイ又は偏光層は、前記光の伝播方向において前記照明ユニットの後方に配置され、前記偏向は可変的に制御可能であることを特徴とする請求項5から9のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項11】
前記画素マトリクスと前記エレクトロウェッティング・プリズム・セル・アレイ又は他の偏光層との間の距離は、コヒーレント方向における前記画素マトリクスの前記画素の周期の10〜15倍の範囲に存在することを特徴とする請求項10に記載の照明ユニット。
【請求項12】
前記光は少なくとも1つの方向において平行光とされて前記光導波路内を伝播する、または、前記光は前記導光コア内を蛇行して伝播することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項13】
前記クラッドの前記厚さの漸減は実質的に指数分布を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項14】
前記クラッドはほぼ一定の厚さを有し、前記体積格子は指数関数的に増加する出力結合効率を有することを特徴とする請求項8に記載の照明ユニット。
【請求項15】
前記クラッドは一定の厚さを有し、前記導光コアは前記光の伝播方向に沿って増加する厚さを有することを特徴とする請求項9に記載の照明ユニット。
【請求項16】
前記空間光変調器は透過型であることを特徴とする請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項17】
前記偏向層は発光層を含み、UV光を白色光に変換する蛍光層を特に含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項18】
前記エバネッセント減少波動場の前記クラッドへの浸透の深さを増加するために、前記導光コア及び前記クラッドは、光路に沿って相互に関連する屈折率差Δnを有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項19】
前記体積格子は、回折効率の第2のピークに露出過度にすることにより製造されることを特徴とする請求項8に記載の照明ユニット。
【請求項20】
λ/4板(Y4)又は遅延板が、前記光の伝播方向において前記出力結合側の下流に配置されることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項21】
反射型又は透過型光変調器(SLM)が、前記光の伝播方向において前記出力結合側の下流に配置されることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項22】
所定の散乱特性を有する反射層を備える反射型光変調器(SLM)が、前記光の伝播方向において前記出力結合側の下流に配置されることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項23】
透過型又は反射型ビーム偏向装置(TR)が、前記光の伝播方向において前記出力結合側の下流に配置されることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項24】
前記ビーム偏向装置(TR)は、少なくとも1つの透過型又は反射型エレクトロウェッティング・セル・アレイ、又は回折装置(BG1、BG2)を備えることを特徴とする請求項23に記載の照明ユニット。
【請求項25】
前記光変調器(SLM)は前記光変調器(SLM)と相互作用する前記光の位相を変調するように作成され、ビームスプリッタ及びビームコンバイナ装置(BC)は反射型の前記光変調器(SLM)と前記照明ユニット(FRL)との間に設けられることを特徴とする請求項20から24のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項26】
前記光変調器(SLM)は前記光変調器(SLM)と相互作用する前記光の位相を変調するように作成され、前記光変調器(SLM)は反射型エレクトロウェッティング・セル(Z)のマトリクスを備えることを特徴とする請求項20から25のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項27】
前記照明ユニット(FRL)から結合出力される前記光は、反射後にほぼ偏向されずに前記照明ユニット(FRL)を通過することを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の照明ユニット。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか1項に記載の照明ユニット(FLU)により照明され、少なくとも1つの面偏光フィルタ(PM)と、画素(P1、...、Pn)のマトリクスを有するアドレス指定可能な透過層と、逆反射体(RR)のマトリクスを有する透過基板層とを備える反射型光変調器(RSLM)を備えることを特徴とする光変調装置。
【請求項29】
前記反射型光変調器(RSLM)の前記画素(P1、...、Pn)のマトリクスは、偏光された前記光の位相および/または振幅を変調するために異なる向きに配向される少なくとも2つのLCモードに対して、システム制御器(CU)により制御可能である少なくとも1つのLC材料を備えることを特徴とする請求項28に記載の光変調装置。
【請求項30】
3Dシーンのホログラムの位相及び振幅値は前記反射型光変調器(RSLM)の前記画素(P1、...、Pn)において符号化可能であることを特徴とする請求項28又は29に記載の光変調装置。
【請求項31】
請求項1から27のいずれか1項に記載の照明ユニットおよび/または請求項28から30のいずれか1項に記載の光変調装置を有する直視型ディスプレイであって、前記空間光変調器は前記光の伝播方向に見て前記照明ユニットの下流に配置されることを特徴とする直視型ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−530949(P2012−530949A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516663(P2012−516663)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058619
【国際公開番号】WO2010/149583
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】