説明

省エネルギー監視装置、省エネルギー監視方法

【課題】グラビア印刷機などにおいて、台数が多い場合でも、個々の装置におけるエネルギー消費効率の改善を図った時に、エネルギー削減量等が容易に把握でき、またエネルギー削減効果も実感しやすい省エネルギー監視装置等を提供する。
【解決手段】グラビア印刷機1における省エネルギー実施時に削減されるエネルギーの量とそのエネルギー価格を、削減されるエネルギーごとに予め省エネルギー監視装置7に設定、入力する。そして、省エネルギー監視装置7をグラビア印刷機1のシーケンサ5に接続する。上記の省エネルギーの実施がシーケンサ5により検出される場合に、省エネルギー実施信号をシーケンサ5から省エネルギー監視装置7に入力する。省エネルギー監視装置7は、その入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量および単位量あたりエネルギー価格に基づき、省エネルギー実施時のエネルギー削減量と効果金額を算出し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグラビア印刷機などでの省エネルギー実施状況を監視するための省エネルギー監視装置、省エネルギー監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷物の印刷を行うものの一つに、グラビア印刷機が知られている。グラビア印刷機を運転させるためには、エネルギーとして電力、圧縮空気、蒸気、冷却水等を必要とする。
【0003】
例えば電力は、印刷機におけるモーターやファン等の動力源や、センサー、電灯等の電源に使用される。圧縮空気は、印刷機におけるエアシリンダやポンプ等に、蒸気は、印刷機における乾燥装置等の熱源に、冷却水は、熱をもった被印刷物や印刷機の熱源周辺等の冷却に使用される。各エネルギーについては、消費量を把握できるようその供給路に計測器が設置されている。
【0004】
従来は、測定員が各計測器を見て回り、計測器の表示値を帳簿等に記録したり、近年では計測器に表示値を送信する機能を持たせ、中央監視室等で一括に情報を収集及び管理をして、エネルギー消費量の把握を行っている。また、特許文献1には、エネルギーの消費状況の把握を行いエネルギー消費効率の改善を図るための、上記のようなエネルギー消費量を監視するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−287796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印刷機に用いるような電力、圧縮空気、蒸気、冷却水等の計測器は高価であり、上記のようなエネルギー消費量を把握するためのシステムもまた高価である。そのため、これらを印刷機毎に常設することは困難であり、建物の階(フロア)毎、建物毎に設置されている場合が多い。そのため、ある1つの印刷機で省エネルギーを実施しエネルギー消費効率の改善(エネルギー消費量の低減)を図った時に、そのエネルギー消費削減量の把握を行うのが困難である。また、例えば金額としてどれくらい効果があるのか等、削減した効果を実感しずらく、省エネルギーが継続的に行われないといった問題点がある。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、グラビア印刷機などにおいて、台数が多い場合でも、個々の装置におけるエネルギー消費効率の改善を図った時に、エネルギー削減量等が容易に把握でき、またエネルギー削減効果も実感しやすい省エネルギー監視装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するための第1の発明は、ウェブ材を搬送し所定の処理を行うウェブ材処理装置のエネルギー削減状況を監視する省エネルギー監視装置であって、予め求められた、省エネルギー実施時の所定のエネルギーについての単位時間あたりエネルギー削減量を設定入力する設定部と、前記ウェブ材処理装置と接続し、前記省エネルギー実施を示す信号を前記ウェブ材処理装置より入力する信号入力部と、前記省エネルギー実施を示す信号の入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を算出する演算処理部と、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を表示する表示部と、を具備することを特徴とする省エネルギー監視装置である。
【0009】
前記設定部は、前記所定のエネルギーについて単位量あたりエネルギー価格を更に設定するものであり、前記演算処理部は、前記入力時間と、前記単位時間あたりエネルギー削減量と、前記単位量あたりエネルギー価格に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を金額で表したものである効果金額を更に算出し、前記表示部は、前記効果金額を更に表示することが望ましい。
また、前記演算処理部は、値の算出時、前記入力時間のカウントごとの積算を行い、前記表示部は、積算値をリアルタイムに表示することが望ましい。
【0010】
第2の発明は、ウェブ材を搬送し所定の処理を行うウェブ材処理装置のエネルギー削減状況を監視する省エネルギー監視装置による省エネルギー監視方法であって、前記省エネルギー監視装置が、予め求められた、省エネルギー実施時の所定のエネルギーについての単位時間あたりエネルギー削減量の設定入力を受け付ける設定ステップと、前記省エネルギー実施を示す信号を前記ウェブ材処理装置より入力する信号入力ステップと、前記省エネルギー実施を示す信号の入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を算出する演算処理ステップと、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を表示する表示ステップと、を実行することを特徴とする省エネルギー監視方法である。
【0011】
前記設定ステップでは、前記所定のエネルギーについて単位量あたりエネルギー価格の設定入力を更に受け付け、前記演算処理ステップでは、前記入力時間と、前記単位時間あたりエネルギー削減量と、前記単位量あたりエネルギー価格に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を金額で表したものである効果金額を更に算出し、前記表示ステップでは、前記効果金額を更に表示することが望ましい。
また、前記演算処理ステップでは、値の算出時、前記入力時間のカウントごとの積算を行い、前記表示ステップでは、積算値をリアルタイムに表示することが望ましい。
【0012】
上記構成により、グラビア印刷機等のウェブ材処理装置においてエネルギー消費効率の改善を図った時に、そのエネルギー削減量などが容易に把握出来るようになる。
また、省エネルギー監視装置は、1体の小型の装置として構成でき、これをグラビア印刷機などの制御用のシーケンサ等に接続するだけでよいので、取付・取外も容易に出来る。印刷機等の台数が多い場合でも、取付・取外を繰り返し行うことで、各装置について、エネルギー消費効率の改善の取組み状況が容易に把握できる。
また、エネルギー消費量の計測器等は、予め単位時間あたりエネルギー削減量等を把握する際のみ必要であり、その後の省エネルギー実施時のエネルギー削減量等の計測の際には不要であるので、省エネルギー監視のため計測器を常設する必要がなくなり、コストが低減でき、印刷機等の台数が多い場合でも適用が容易になる。
【0013】
さらに、エネルギー削減量が金額としてどれくらい効果があるかも効果金額の表示により実感出来、省エネルギーの実施が継続的に行われる動機となる。
また、エネルギー削減量等について積算値をリアルタイムに表示することで、現在のエネルギーの削減状況が迅速に把握できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、グラビア印刷機などにおいて、台数が多い場合でも、個々の装置におけるエネルギー消費効率の改善を図った時に、エネルギー削減量等が容易に把握でき、またエネルギー削減効果も実感しやすい省エネルギー監視装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】グラビア印刷機1の一例を示す図
【図2】グラビア印刷機1で消費するエネルギー、および省エネルギー監視装置7を接続したグラビア印刷機1の全体構成を示す図
【図3】省エネルギー監視装置7の構成を示す図
【図4】省エネルギー監視装置7の外観を示す図
【図5】省エネルギー監視装置7を用いた省エネルギー監視方法の流れについて示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の省エネルギー監視装置等を用いるグラビア印刷機1の一例を示す図である。なお、被印刷物3やローラ等の搬送機構などは一部省略されている。図1に示すように、グラビア印刷機1は、給紙部10、印刷部20、排紙部30等により構成される。
【0018】
給紙部10には、例えば被印刷物3を送り出すためのローラ等の搬送機構、被印刷物3のテンションを調整するためのテンションコントロール装置等が設けられている。
【0019】
印刷部20には、印刷を行う各色分の印刷ユニット21が1または複数設けられている。例えば、Y、M、C、K、特色の5色の印刷を行う場合は、5つの印刷ユニット21が設けられる。各印刷ユニット21には、版胴23や圧胴25、その他のローラなどの搬送機構等が設けられ、版胴23と圧胴25の間を通過する被印刷物3に、対応する色の印刷が行われる。また、印刷ユニット21には更に乾燥装置27が設けられ、各色の印刷を行った被印刷物3に加温した空気を吹き付けてインク中の溶剤を蒸発させる。
【0020】
排紙部30は、被印刷物3を搬送するためのローラ等の搬送機構等を備える。
【0021】
次に、グラビア印刷機1で消費するエネルギー、および省エネルギー監視装置7を接続したグラビア印刷機1の全体構成について、図2を用いて説明する。
【0022】
図に示すように、グラビア印刷機1で消費するエネルギーとしては、電力(ライン200V)41、電力(補機200V)42、電力(補機100V)43、圧縮空気44、蒸気45、冷却水46などがある。なお、ラインとはグラビア印刷機1において、被印刷物3の走行を制御するものであり、補機とは上述のライン以外の制御(ファンや電灯等)を担っている。
【0023】
グラビア印刷機1では、シーケンサ5による制御が行われる。シーケンサ5には、グラビア印刷機1の各所から信号が入力され、当該信号に基づき、グラビア印刷機1の各装置へ制御信号を出力して制御を行う。
【0024】
省エネルギー監視装置7は、上記のシーケンサ5からの信号を受信し、これに基づき、省エネルギーの実施によりエネルギー消費効率の改善中のグラビア印刷機1における、エネルギー削減量等を表示するものである。
【0025】
図3は、省エネルギー監視装置7の構成を示すものである。省エネルギー監視装置7は、設定部71、信号入力部72、記憶・演算処理部73、表示部74等を有する。
【0026】
設定部71は、省エネルギー実施時の単位時間あたりのエネルギー削減量、および単位量あたりのエネルギー価格をエネルギー項目毎に設定するものである。単位時間は、例えば1分であるが、これに限ることはない。また、上記の単位量についても、蒸気であれば1kgなど、エネルギーの種類に応じて様々に定めることができる。
信号入力部72は、省エネルギー実施中であることを示す信号(省エネルギー実施信号)をシーケンサ5から受信し入力するものである。省エネルギー実施信号については後述する。
記憶部・演算処理部73は、設定部71にて設定された単位時間あたりのエネルギー削減量、単位量あたりのエネルギー価格を記憶するとともに、省エネルギー実施信号が入力された時間をカウントし、当該信号の入力時間と、単位時間あたりのエネルギー削減量および単位量あたりのエネルギー価格とに基づき演算処理を行い、省エネルギー実施中のエネルギー削減量、および効果金額(前記エネルギー削減量に単位量あたりのエネルギー価格を掛けて得た金額)を算出する。演算処理には、例えばシーケンサを用いるが、これに限ることはない。
表示部74は、算出した省エネルギー実施中のエネルギー削減量と効果金額を表示するものである。
【0027】
図4は、本実施形態の省エネルギー監視装置7の外観を示す図である。省エネルギー監視装置7は、電源入力部81、信号入力部82、単位時間あたりエネルギー削減量設定部85、単位量あたりエネルギー価格設定部86、エネルギー削減量・効果金額表示部87を有する。
【0028】
電源入力部81には電力線が接続され、不図示の電源より電力が省エネルギー監視装置7に供給される。
信号入力部82は、信号入力部72に対応し、グラビア印刷機1のシーケンサ5からの信号線が接続され、省エネルギー実施信号が省エネルギー監視装置7に入力される。
【0029】
単位時間あたりエネルギー削減量設定部85、単位量あたりエネルギー価格設定部86は、設定部71に対応する。
【0030】
単位時間あたりエネルギー削減量設定部85は、所定の省エネルギー実施時に削減されるエネルギーの種類とその単位時間あたりエネルギー削減量を設定するものであり、図においては、ボタン851の押下により対応するエネルギーの種類を選択したうえで、その削減量を、デジタリスイッチを5つ並べ0.00〜999.99まで設定可能な数値設定部852における「増」ボタン853および「減」ボタン854の選択により数値を増減させて設定する。確定ボタン855を押下すると、選択されたエネルギーの種類についての単位時間あたりエネルギー削減量が、省エネルギー監視装置7の記憶・演算処理部73に記憶される。
【0031】
また、単位量あたりエネルギー価格設定部86は、グラビア印刷機1で使用される各種のエネルギーの単位量あたりの価格を設定するものであり、図においては、ボタン861の押下により対応するエネルギーの種類を選択したうえで、その単位量あたり価格を、数値設定部852と同様の数値設定部862における「増」ボタン863および「減」ボタン864の選択により数値を増減させて設定する。確定ボタン865を押下すると、選択されたエネルギーの種類についての単位量あたり価格が、省エネルギー監視装置7の記憶・演算処理部73に記憶される。
【0032】
エネルギー削減量・効果金額表示部87は、表示部74に対応し、省エネルギー監視装置7の記憶・演算処理部73が算出したエネルギー削減量、あるいは効果金額を表示する。
積算スタートボタン874の押下により記憶・演算処理部73によるエネルギー削減量と効果金額の算出(積算)が開始され、積算ストップボタン875の押下により演算処理を終了する。また、ゼロリセットボタン876を押下すると、積算がリセットされ、再び0から積算が開始される。
そして、ボタン871の押下により、対応するエネルギーの種類についてエネルギー削減量がモニタ872に表示される。「円表示」ボタン873の押下により、エネルギー削減量の表示が効果金額の表示に切り替わる。モニタ872は7セグメントディスプレイを5つ並べ、0.0〜9999.9まで数値が表示される。表示の際には、これとあわせて、各種エネルギーの単位、もしくは効果金額の表示時の「円」に対応するランプ877が点灯する。
【0033】
なお、省エネルギー監視装置7についてはこれに限ることはなく、例えばエネルギー削減量・効果金額表示部87や単位時間あたりエネルギー削減量設定部85、単位量あたりエネルギー価格設定部86において桁数及び表示値、設定値の範囲を変更してもよいし、各部をまとめてタッチパネルとして構成してもよい。
【0034】
次に、省エネルギー監視装置7を用いた省エネルギー監視方法の流れについて、図5を用いて説明する。
【0035】
なお、本実施形態の省エネルギー監視方法では、前もって、所定の省エネルギーが実施されておりエネルギー消費効率が改善されている間のグラビア印刷機1について、電力、圧縮空気、蒸気、冷却水等の供給経路の所定の箇所に一時的に設置した計測器の指示値を読み取り、普段のエネルギー消費量と省エネルギー実施中のエネルギー消費量の差を把握する。この際、省エネルギー実施の際に削減されるエネルギーの種類に応じた1または複数の箇所に設けた計測器により、各エネルギーの削減量を把握する。なお、計測器は常設されているものであってもよい。
【0036】
グラビア印刷機1では、各供給源からの電力、圧縮空気、蒸気、冷却水は、途中でグラビア印刷機1の各所に分岐して供給される。上記の計測器は、供給経路の分岐前に設けることにより、グラビア印刷機1全体でのエネルギー消費量の計測、および省エネルギー実施時の削減量の把握を行う。ただし、これに限ることはなく、印刷機各所に分岐したところで計測してもよい。
【0037】
省エネルギー実施の例として、グラビア印刷機1の所定の箇所に人感センサを設け、グラビア印刷機1による印刷中、人感センサにより当該箇所で人がいることを検出しない場合、当該箇所の電灯を消灯するようにしたとする。この際、電力(補機200V)42もしくは電力(補機100V)43による電力供給を行うための配線に計測器を取り付けておき、指示値を読み取ることにより、電灯の消灯時と点灯時の、単位時間当たりエネルギー消費量の違い(エネルギー削減量)を把握しておく。
【0038】
エネルギー削減量を把握した後、グラビア印刷機1のシーケンサ5と省エネルギー監視装置7の信号入力部72(信号入力部82)とを信号線で接続し、図5に示すように、省エネルギー監視装置7に上記計測を行い把握した単位時間あたりのエネルギー削減量、および単位量あたりのエネルギー価格を設定、入力する(S01)。
【0039】
例えば、省エネルギーの実施時、計測器の指示値を読んだ結果より、エネルギー消費効率の改善を行うと補機200Vの電力42に関して単位時間(例えば1分)あたりの消費電力量が0.7kwh削減されることが判った場合、これをエネルギー削減量設定部85で設定、入力する。あわせて、電力42につき単位量あたりのエネルギー価格、例えば、電力:10円/kwhをエネルギー価格設定部86にて設定、入力する。
省エネルギーの実施時に、複数のエネルギーについて削減される場合は、対応する複数の種類のエネルギーについて、それぞれ単位時間あたりエネルギー削減量を把握し、エネルギー価格とあわせて設定、入力を行う。例えば上記の電力42とあわせて、蒸気45について、単位時間あたりの消費量が2.3kg削減されることが分かった場合、蒸気45についても、上記削減量と、蒸気45についての単位量あたりエネルギー価格、例えば4.2円/kg、を設定、入力する。
【0040】
そして、グラビア印刷機1の運転を開始するとともに、省エネルギー監視装置7の積算スタートボタン874を押下し、省エネルギー監視装置7によるエネルギー削減量と効果金額の算出処理を開始する(S02)。
【0041】
ここで、グラビア印刷機1では、シーケンサ5により、(前もってその単位時間あたりエネルギー削減量を計測、把握した)省エネルギーの実施が行われていることが検出される場合に、これを示す省エネルギー実施信号をシーケンサ5から省エネルギー監視装置7に出力するようにしておく。
【0042】
例えば、前述のように、グラビア印刷機1に人感センサを設け、印刷中、不要な電灯を消灯するようにした場合には、印刷中であり、かつ人感センサがOFFで電灯が消されていることをシーケンサ5で検出した場合に、これを示す省エネルギー実施信号として、無電圧信号を省エネルギー監視装置7に出力する。
印刷中であることは、例えば版胴が回転していることを示す回転信号のシーケンサ5への入力により検出でき、これが0でない所定の回転数を示すものであり、かつ人感センサがOFFであることを示す信号がシーケンサ5に入力された場合、上記の省エネルギーが実施されていることが検出できる。そのような場合に、シーケンサ5から省エネルギー監視装置7に上記の無電圧信号を出力するようにしておく。なお、省エネルギー実施信号は無電圧信号に限ることはなく、適宜定めることができる。
また、省エネルギー実施信号の出力元はシーケンサ5としているが、これに限らず、省エネルギーを実施していることが検出でき、その検出時に所定の信号を省エネルギー実施装置7に出力できる装置であればよい。
【0043】
省エネルギー監視装置7の記憶・演算処理部73は、信号入力部72を介して省エネルギー実施信号が入力されると(S03;YES)、当該信号の入力時間を単位時間ごとにカウントし(S04)、入力時間、単位時間あたりエネルギー削減量、単位量あたりエネルギー価格に基づき、省エネルギー実施によるエネルギー削減量と効果金額を算出する(S05)。
S05では、1カウントごとに、単位時間あたりのエネルギー削減量を積算してゆく。同様に、1カウントごとに、単位時間あたりのエネルギー削減量に単位量あたりのエネルギー価格を掛けた(単位時間あたりの)効果金額も積算してゆき、リアルタイムに表示部74(エネルギー削減量・効果金額表示部87)に表示する(S06)。省エネルギーの実施中、表示部74に表示されるエネルギー削減量、あるいは効果金額の値は上昇してゆく。S05の演算処理中にゼロリセットボタン876が押下された場合には、積算が0から再び開始されることになる。
【0044】
なお、省エネルギー実施信号が入力されていない場合(S03;NO)、省エネルギー監視装置7はカウントを行わず、表示部74の表示は、それまでのエネルギー削減量あるいは効果金額のままである。
【0045】
省エネルギー監視装置7の積算ストップボタン875を押下し処理を終了するまで(S07;NO)、上記のS03〜S06を繰り返し、積算ストップボタン875の押下により省エネルギー監視処理を終了する(S07;YES)。
このようにして、グラビア印刷機1にて省エネルギーの実施状況を把握する。例えば、改善が継続的に行われていることが確認出来れば省エネルギー監視装置7を取外し、別のグラビア印刷機1に取付を行い、多台の印刷機について省エネルギーの監視を行うことができる。
【0046】
なお、上記では省エネルギーの実施の例として、人感センサを用いて不要な箇所の電灯を消灯する例をあげたが、これに限ることはない。
【0047】
例えば別の省エネルギーの実施の例として、印刷物の色合わせ中など印刷を一時停止している際には不要な、印刷物の冷却のための冷却ローラ等に用いる冷却水の供給を(一時)停止することもできる。この場合にも、予めその省エネルギー実施時(冷却水の供給停止時)に単位時間あたり削減されるエネルギーの量を計測器により把握しておき、省エネルギー監視装置7に単位時間当たりのエネルギー削減量と単位量あたりエネルギー価格を入力しておく。この場合、エネルギーとしては、水と、水の冷却や冷却水の搬送に用いる電力の使用量が削減されるので、各エネルギーについて省エネルギー実施時の削減量を把握し、エネルギー価格とあわせて設定入力しておく。
上記のS03においては、例えば、シーケンサ5により、印刷が一時停止しており、かつ冷却水の供給が停止されていることが検出される場合に、上記の省エネルギーの実施が行われているとし、省エネルギー監視装置7に省エネルギー実施信号を出力するようにしておけばよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、グラビア印刷機1における省エネルギー実施時に削減されるエネルギーの量とそのエネルギー価格を、削減されるエネルギーごとに予め省エネルギー監視装置7に設定、入力する。そして、省エネルギー監視装置7をグラビア印刷機1のシーケンサ5に接続する。上記の省エネルギー実施が行われていることがシーケンサ5により検出される場合には、これを示す省エネルギー実施信号をシーケンサ5から省エネルギー監視装置7に入力する。省エネルギー監視装置7は、省エネルギー実施信号の入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量および単位量あたりエネルギー価格に基づき、省エネルギー実施時のエネルギー削減量と効果金額を算出し表示する。
【0049】
これにより、グラビア印刷機1において省エネルギーを実施しエネルギー消費効率の改善を図った時に、そのエネルギー削減量が容易に把握出来るようになる。また、省エネルギー監視装置7は、1体の小型の装置として構成でき、これをシーケンサ5に接続するだけでよいので、印刷機への取付・取外も容易に出来る。印刷機の台数が多い場合でも、取付・取外を繰り返し行うことで、各印刷機についてエネルギー消費効率の改善の取組み状況が容易に把握できる。
また、エネルギー消費量の計測器等は、予め単位時間あたりエネルギー削減量等を把握する際のみ必要であり、その後の省エネルギー実施時のエネルギー削減量等の計測の際には不要であるので、省エネルギー監視のため計測器を常設する必要がなくなり、コストが低減でき、印刷機等の台数が多い場合でも適用が容易になる。
【0050】
さらに、エネルギー削減量が金額としてどれくらい効果があるかも効果金額の表示により実感出来、省エネルギーの実施が継続的に行われる動機ともなる。
また、エネルギー削減量等について積算値をリアルタイムに表示することで、現在のエネルギーの削減状況が迅速に把握できるようになる。
【0051】
なお、本実施形態では、省エネルギー監視装置7をグラビア印刷機1に取り付けて適用する例を示したが、これに限らず、印刷用紙その他の種々のウェブ材を搬送し種々の所定の処理を行うウェブ材処理装置、例えばオフセット輪転機や、コータ等によるコーティングラインなどでも同様に適用することができる。各装置のシーケンサなどに省エネルギー監視装置7を接続し、同様の手順で省エネルギー実施時のエネルギー削減量や効果金額の算出、表示を行えばよい。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0053】
1………グラビア印刷機
5………シーケンサ
7………省エネルギー監視装置
71………設定部
72………信号入力部
73………記憶・演算処理部
74………表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材を搬送し所定の処理を行うウェブ材処理装置のエネルギー削減状況を監視する省エネルギー監視装置であって、
予め求められた、省エネルギー実施時の所定のエネルギーについての単位時間あたりエネルギー削減量を設定入力する設定部と、
前記ウェブ材処理装置と接続し、前記省エネルギー実施を示す信号を前記ウェブ材処理装置より入力する信号入力部と、
前記省エネルギー実施を示す信号の入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を算出する演算処理部と、
前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする省エネルギー監視装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記所定のエネルギーについて単位量あたりエネルギー価格を更に設定するものであり、
前記演算処理部は、前記入力時間と、前記単位時間あたりエネルギー削減量と、前記単位量あたりエネルギー価格に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を金額で表したものである効果金額を更に算出し、
前記表示部は、前記効果金額を更に表示することを特徴とする請求項1記載の省エネルギー監視装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、値の算出時、前記入力時間のカウントごとの積算を行い、
前記表示部は、積算値をリアルタイムに表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の省エネルギー監視装置。
【請求項4】
ウェブ材を搬送し所定の処理を行うウェブ材処理装置のエネルギー削減状況を監視する省エネルギー監視装置による省エネルギー監視方法であって、
前記省エネルギー監視装置が、
予め求められた、省エネルギー実施時の所定のエネルギーについての単位時間あたりエネルギー削減量の設定入力を受け付ける設定ステップと、
前記省エネルギー実施を示す信号を前記ウェブ材処理装置より入力する信号入力ステップと、
前記省エネルギー実施を示す信号の入力時間をカウントし、入力時間と、単位時間あたりエネルギー削減量に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を算出する演算処理ステップと、
前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を表示する表示ステップと、
を実行することを特徴とする省エネルギー監視方法。
【請求項5】
前記設定ステップでは、前記所定のエネルギーについて単位量あたりエネルギー価格の設定入力を更に受け付け、
前記演算処理ステップでは、前記入力時間と、前記単位時間あたりエネルギー削減量と、前記単位量あたりエネルギー価格に基づき、前記省エネルギー実施によるエネルギー削減量を金額で表したものである効果金額を更に算出し、
前記表示ステップでは、前記効果金額を更に表示することを特徴とする請求項4記載の省エネルギー監視方法。
【請求項6】
前記演算処理ステップでは、値の算出時、前記入力時間のカウントごとの積算を行い、
前記表示ステップでは、積算値をリアルタイムに表示することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の省エネルギー監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6378(P2013−6378A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141636(P2011−141636)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】