説明

看板装置

【課題】看板への注目度が高く且つコストも低減可能な看板装置を提供すること。
【解決手段】本発明による看板装置は、ベース部材と、表示デバイスと、発光ユニットとを備えている。ベース部材は背面板と当該背面板のうちの所定領域以外の領域に少なくとも設けられた背面光源とを有しており、表示デバイスは、所定領域の前面を覆うように設けられ、動画を表示可能な動画表示部と、前後方向と直交する平面内において当該動画表示部の周囲に設けられたフレームとを有している。かかる構成において、発光ユニットをフレームの前面を少なくとも覆うようにして設けることとしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば街頭や道路、駅等に設置される看板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる看板装置としては、例えば特許文献1に記載の看板装置のように、静止画に対して背面から光を当てることにより広告を表示する看板装置が提案されている。
【0003】
これに対して、特許文献2には、動画を利用することにより動きや色彩の変化を伴う広告を液晶ディスプレイ等に表示することにより、特許文献1の看板装置と比較して広告に対する注目度をより高めることとした看板装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−163149号公報
【特許文献2】特開2010−249948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されている看板装置は、表示したい広告のサイズが大きくなるほど液晶ディスプレイのサイズも大きなものとしなければならず、看板装置の製造にかかるコストや使用時の消費電力が増大するといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、広告に対する注目度が高く且つコストも低減可能な看板装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、広告内の一部分を動かすことによりいわゆるアイ・キャッチ効果によって広告への注目度を高めることができる点に着目し、静止画と動画との両方を用いた看板装置を創出した。
【0008】
更に、静止画の一部について動画を用いて表現しようとした場合に液晶ディスプレイ等のフレーム部分に起因して動画と静止画との一体感が失われてしまう可能性があることに鑑み、全体として一体感を有する看板装置を提供することとした。
【0009】
具体的には、本発明によれば、第1の看板装置として、背面板と前記背面板のうちの所定領域以外の領域に少なくとも設けられた背面光源とを有するベース部材と、前記所定領域の前面を覆うように設けられた表示デバイスであって、動画を表示可能な動画表示部と、前後方向と直交する平面内において該動画表示部の周囲に設けられたフレームとを有する表示デバイスと、前記フレームの前面を少なくとも覆う発光ユニットとを備える看板装置が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第2の看板装置として、第1の看板装置であって、前記発光ユニットは、ユニット光源と、発光面を有し且つ前記ユニット光源の光を前記発光面へ導く導光体とを備えており、前記発光面は、前方から見た場合に少なくとも前記フレームを覆っている看板装置が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第3の看板装置として、第2の看板装置であって、前記ユニット光源は、LED素子である看板装置が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第4の看板装置として、第2又は第3の看板装置であって、前記導光体は、アクリル樹脂からなる看板装置が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第5の看板装置として、第1乃至第4のいずれかの看板装置であって、前記背面光源は、LED素子であり、前記表示デバイスは、液晶ディスプレイデバイスである看板装置が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、広告内に設けられた動画部分により広告に対する注目度を高めることができる一方で、動画部分以外の部分を静止画で構成したことによりコストを低減することができる。
【0015】
更に、表示デバイスのフレームに発光体を設けたことにより、フレームの影が広告内に映ることがなくなることから、違和感のない広告表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による看板装置を示す図である。
【図2】図1の看板装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った部分断面図である。
【図4】本発明の看板装置に用いられる発光ユニットの変形例を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図3に示されるように、本発明の実施の形態による看板装置10は、プリント原稿100と、アクリル板200と、ベース部材300と、液晶ディスプレイデバイス(表示デバイス)400と、発光ユニット500とを備えている。以下においては「目の動く魚の絵」を表現してなる看板装置の例について説明する。
【0018】
プリント原稿100は、動画領域110及び静止画領域120を有している。本実施の形態による動画領域110は透明な領域となっており、後述するように動画領域110越しに動く目の動画を見ることができるように構成されている。一方、静止画領域120には「目」以外の部分が描かれている。
【0019】
図2に示されるように、アクリル板200は、アクリル樹脂からなる薄く平らな板である。プリント原稿100は、アクリル板200の前面に位置している。即ち、アクリル板200は、プリント原稿100を後方から支持している。
【0020】
図2及び図3に示されるように、ベース部材300は、背面板310と、ベースフレーム312と、LED素子320とを備えている。LED素子320は、プリント原稿100を背面から照らすためものであり、背面板310の前面に一様に取り付けられている。本実施の形態において、ベース部材300は、図示しない支持部材によって液晶ディスプレイデバイス400を支持している。ベースフレーム312は、看板装置10の側面を構成すると共にプリント原稿100が支持されたアクリル板200を支持している。本実施の形態においては、背面板310と、ベースフレーム312とは一体に形成されているが、これらを別体のものとして形成してもよい。
【0021】
本実施の形態による液晶ディスプレイデバイス400は、一般的な構造を有するものである。即ち、液晶ディスプレイデバイス400は、液晶パネル(動画表示部)410、フレーム420、光源、駆動回路等を備えている。液晶パネル410は、周囲を覆われるようにしてフレーム420に支持されている。換言すると、フレーム420は、看板装置10の前後方向と直交する平面内において液晶パネル410の周囲に設けられる。本実施の形態による液晶パネル410には、上下左右に動く「目」の動画が表示される。液晶ディスプレイデバイス400は、プリント原稿100の動画領域110内に当該動画が表れるように位置が決められベース部材300に固定される。なお、発明のポイントを明確にするために、液晶ディスプレイデバイス400を構成する部材のうち液晶パネル410及びフレーム420以外の部材については図示していない。
【0022】
図3に示されるように、発光ユニット500は、透明なアクリル樹脂からなる導光体510と、当該導光体510の内部に設けられたLED素子520とを有している。発光ユニット500は、前方から液晶ディスプレイデバイス400に対して装着されている。
【0023】
導光体510は、側部512と覆い部514とを有している。図3に示されるように、覆い部514は、液晶ディスプレイデバイス400のフレーム420の前面430を覆うように設けられている。なお、本実施の形態による導光体510の材料としては、アクリル樹脂の他に、ポリカーボネイト等の高屈折率で透明性の高いポリマー部材、合成樹脂等を用いることとしてもよい。
【0024】
LED素子520は、導光体510の側部512の後方に配置され前方に向けて発光する。導光体510を構成するアクリル樹脂は高い屈折率を有しているため、LED素子520の光のほとんどが前面516を通って導光体510の外へと出ていくこととなる。即ち、覆い部514の前面516は発光面として機能する。また、上述したように、覆い部514はフレーム420の前面430を覆うように設けられているため、当該発光面もフレーム420の前面430を覆うこととなる。
【0025】
以上説明した構成を有する看板装置10においては、動画領域110に表れる「動く目」と静止画領域120に描かれた「目以外の部分」とが一体となって「目の動く魚の絵」が表示される。このように、動かしたい部分のみを液晶ディスプレイデバイス400を用いて表示することとしたため、例えば広告全てを液晶ディスプレイデバイスに表示するタイプの看板装置に比べて生産コストを最小限のものにすることができ、看板装置10の使用時における消費電力も抑えることができる。また、動画の有するいわゆるアイ・キャッチ効果により広告への注目度を高めることができる。更に、導光体510の前面516が発光することにより液晶ディスプレイデバイス400のフレーム420の影がプリント原稿100に映ることがないため、静止画と動画とを一体化して自然に表示することが可能となる。
【0026】
なお、背面板310に設けられる光源としてLED素子520の代わりに蛍光灯等その他の光源を用いることとしてもよい。また、本実施の形態においては表示デバイスとして液晶ディスプレイデバイス400を用いていたが、有機ELディスプレイ等の他のディスプレイを用いることとしてもよい。しかし、静止画と動画との間における色温度や輝度の調節のしやすさを考慮すると、本実施の形態のようにLED素子520と液晶ディスプレイデバイス400との組合せがより効果的である。
【0027】
また、発光ユニット500は導光体510及びLED素子520にて構成されるものであったが、例えばLED素子等の発光体自体をフレーム420の前面430に設ける構成としてもよい。また、発光ユニット500に用いられる光源として、LED素子520以外の光源を用いることとしてもよい。ただし、上述したように背面板310のLED素子520と液晶ディスプレイデバイス400とを組合せて使用した場合、発光ユニット500の光源についてもLED素子520を用いることによって静止画と動画とをより一体化して自然に表示することができる。
【0028】
本実施の形態においては、液晶ディスプレイデバイス400によって覆われる所定領域SにあるLED素子320を省略することとしてもプリント原稿100を照らすことについて問題はない。即ち、背面板310に設けられるLED素子320は、所定領域S以外の領域に少なくとも配置されていればよい。ただし、本実施の形態のように領域SにもLED素子320を配置しておくこととすれば、使用されるプリント原稿が変更されて液晶ディスプレイデバイス400の位置を変更しなければならなくなった場合等にも柔軟に対応することができる。なお、領域SにあるLED素子320を発光させないこととしてもよく、換言すれば領域S以外の領域に位置するLED素子320を少なくとも発光させることとしてもよい。
【0029】
更に、看板装置のプリント原稿の差し替えの際には変更後のプリント原稿において動画領域が変わる場合があるが、例えば図4に示されるような発光ユニット500’を用いることとすれば液晶ディスプレイデバイスの位置の変更をより簡単に行うことができる。図4に示されるように、発光ユニット500’は液晶ディスプレイデバイスを収容する収容部501’を複数有しており、上述した発光ユニット500(図2参照)を単位構造として格子状並べ一体形成してなるものである。即ち、当該単位構造は、側部512’と、覆い部514’とを有しており、各単位構造には開口部515’が形成されている。側部512’の後方にはLED素子520’が埋め込まれており、当該LED素子520’の光は覆い部514’の前面516’から発せられる。プリント原稿が変更され動画領域が変わった場合でも、新たなプリント原稿の動画領域に対応する収容部501’へ液晶ディスプレイデバイスを移動させるだけでよい。このような発光ユニット500’を使用することにより、プリント原稿の変更にも簡単に対応することができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態におけるプリント原稿の有する動画領域は一つであったが、複数の動画領域を有するプリント原稿を用いることとしてもよい。その場合、図3に示される液晶ディスプレイデバイス400及び発光ユニット500のセットを複数配置することとしてもよいし、図4に示される発光ユニット500’に複数の液晶ディスプレイデバイスを収容することとしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 看板装置
100 プリント原稿
110 動画領域
120 静止画領域
200 アクリル板
300 ベース部材
310 背面板
312 ベースフレーム
320 LED素子(背面光源)
400 液晶ディスプレイデバイス(表示デバイス)
410 液晶パネル(動画表示部)
420 フレーム
430 前面
500,500’ 発光ユニット
501’ 収容部
510,510’ 導光体
512,512’ 側部
514,514’ 覆い部
516,516’ 前面(発光面)
520,520’ LED素子(ユニット光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面板と前記背面板のうちの所定領域以外の領域に少なくとも設けられた背面光源とを有するベース部材と、
前記所定領域の前面を覆うように設けられた表示デバイスであって、動画を表示可能な動画表示部と、前後方向と直交する平面内において該動画表示部の周囲に設けられたフレームとを有する表示デバイスと、
前記フレームの前面を少なくとも覆う発光ユニットと
を備える看板装置。
【請求項2】
請求項1に記載の看板装置であって、
前記発光ユニットは、ユニット光源と、発光面を有し且つ前記ユニット光源の光を前記発光面へ導く導光体とを備えており、
前記発光面は、前方から見た場合に少なくとも前記フレームを覆っている
看板装置。
【請求項3】
請求項2に記載の看板装置であって、
前記ユニット光源は、LED素子である
看板装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の看板装置であって、
前記導光体は、アクリル樹脂からなる、看板装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の看板装置であって、
前記背面光源は、LED素子であり、
前記表示デバイスは、液晶ディスプレイデバイスである
看板装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−168235(P2012−168235A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26926(P2011−26926)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511036897)
【Fターム(参考)】