説明

真偽判別可能な印刷物

【課題】 本発明は、潜像画像が埋め込まれた、万線画線によって形成されてなる真偽判別可能な印刷物に関する。
【解決手段】 基材上に万線画線によって模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域及び潜像模様を施す領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域を実線で構成し、前記潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の画線を、潜像模様形成画線で構成し、前記潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像画像が埋め込まれた、万線画線によって形成されてなる真偽判別可能な印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品は、その価値を保証・維持するために、偽造防止技術が施されている。そのため、このような貴重品には、特殊な印刷パターンが施され、印刷パターンに万線フィルタからなる判別具やレンチキュラーレンズからなる判別具を重ね合わせることによって、潜像画像が視認され、真偽判別が行なわれている。
【0003】
例えば、万線フィルタからなる判別具によって真偽判別する技術として、万線画線で印刷された背景画像部と、背景画像部と異なった万線角度の万線画線で潜像画像部を印刷し、一見しては、背景画像部と潜像画像部は区分けして視認し難いが、所定の角度で万線フィルタを印刷物に重ね合わせて観察した場合に、背景画像部と潜像画像部が区分けされて視認できる技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭53−28443号公報(第1−5頁、第1−7図)
【0004】
特開平8−197828号公報、特開平8−300800号公報、特開昭57−20397号公報、特開2000−185457号公報等の複写防止印刷物は、複写した場合に潜像画像が視認できるが、レンチキュラーレンズからなる判別具を重ね合わせることによっても潜像画像が視認されることも知られている。
【0005】
レンチキュラーレンズからなるからなる判別具によって真偽判別する技術として、nを2以上の所定の整数とし、第1〜nの順番に並列する第1〜n帯によって組帯を形成し、並列する複数の前記組帯によって画像を形成する印刷物であって、前記第1〜n帯から第1所定画像の前記帯に対応する領域を排他的に貼り付ける帯として2つを選択し、隠し画像の輪郭において前記選択した一方の帯から他方の帯へと前記貼り付ける帯を変化させることにより形成した画像が印刷されているようにした印刷物に、レンチキュラーレンズを重ね合わせることによって隠し画像が顕在化する印刷物が開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2003−094790号公報(第1−8頁、第1−7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開昭53−28443号公報は二つの潜像画像を埋め込む場合は、互いの潜像画像の万線角度を変えなければならないため、判別具を重ねなくとも潜像画像が視認される恐れがあり、また、判別具を重ねた場合、二つの潜像画像の少なくとも一部が互いに重なり合っている領域は互いに潜像画像を形成する万線が重なり合っているため(特許文献1図5)、第1の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第1の潜像画像の濃度が不均一となって視認され、同様に第2の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第2の潜像画像の濃度が不均一となって視認されるため、潜像画像の視認性は悪く、真偽判別特性が優れるものではなかった。また、特開2003−094790号公報記載の印刷物は、二つの潜像画像を埋め込む場合は、互いの潜像画像は別々の領域に形成しなければならなく、二つの潜像画像の少なくとも一部が互いに重なり合って形成することは不可能であった。
【0007】
以上のことから、本発明は前述した問題点を解決することを目的としたもので、二つの潜像画像が埋め込まれた、万線画線によって形成されてなる印刷物であって、二つの潜像画像は少なくとも一部が互いに重なり合っても形成可能であり、また、レンチキュラーレンズ又は万線フィルタを重ねた場合、第1の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第1の潜像画像の濃度が均一となって視認され、同様に第2の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第2の潜像画像の濃度が均一となって視認されるため、潜像画像の視認性が良く真偽判別特性に優れ、更に、複写機で複写した複製物は潜像画像部は第1の潜像模様形成画線又は第2の潜像模様形成画線が複写防止画線で形成されるため、再現不可能になり、潜像画像が出現し、複写防止効果を有する。本発明は上記記載の真偽判別可能な印刷物を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基材上に万線画線によって模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域及び潜像模様を施す領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域を実線で構成し、前記潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の画線を、潜像模様形成画線で構成し、前記潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物である。
【0009】
また、本発明は、基材上に万線画線によって模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域及び第2の潜像模様を施す領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域を実線で構成し、前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第1の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、前記第2の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第2の画線を、第2の潜像模様形成画線で構成し、前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物である。
【0010】
また、本発明は、基材上に万線画線によって模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域、第2の潜像模様を施す領域及び前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域を実線で構成し、前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域も含めて前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第1の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、前記第2の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第2の画線を、第2の潜像模様形成画線で構成し、前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物である。
【0011】
また、本発明は、前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成してなる真偽判別可能な印刷物である。
【0012】
また、本発明は、基材上に万線画線によって模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域、第2の潜像模様を施す領域及び前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域を実線で構成し、前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域も含めて前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置され、前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域は、第1の潜像模様形成画線と第2の潜像模様形成画線の間に中央画線が配置されてなる真偽判別可能な印刷物である。
【0013】
また、本発明は、前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の中央画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成してなる真偽判別可能な印刷物である。
【0014】
また、本発明は、前記潜像模様形成画線、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線が、画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線の少なくとも一つからなる真偽判別可能な印刷物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の印刷物にレンチキュラーレンズ又は万線フィルタを第1の状態で重ねて観察した場合に第1の潜像画像が視認され、第2の状態で重ねて観察した場合に第2の潜像画像が視認されるため、印刷物とレンチキュラーレンズ又は万線フィルタの重ね合せる位置又は角度を変化させることによって、異なった潜像画像が視認できるため、その印刷物が本物か否か判別することが可能である。よって、銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品に適用可能である。
【0016】
また、本発明の印刷物にレンチキュラーレンズ又は万線フィルタを重ねた場合、第1の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第1の潜像画像の濃度が均一となって視認され、同様に第2の潜像画像の視認性においては、第1の潜像画像と第2の潜像画像が互いに重なり合っている領域と、重なっていない第2の潜像画像の濃度が均一となって視認されるため、潜像画像の視認性が良く真偽判別特性に優れる。
【0017】
更に、複写機で複写した複製物は潜像画像部は第1の潜像模様形成画線又は第2の潜像模様形成画線が複写防止画線で形成されるため、再現不可能になり、潜像画像が出現し、複写防止効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。なお、下記に記載される基本線は本発明を説明するために記載されたものであり、実際の印刷物には印刷されるものではない。
【0019】
本発明の真偽判別可能な印刷物を形成する第1の潜像模様形成画線又は第2の潜像模様形成画線が、画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線の少なくとも一つから形成可能であるが、発明を実施するための最良の形態では、定周期断絶線について特に詳しく説明する。
【0020】
図1に示すように直線万線画線からなる模様1は、背景画像2、第1の潜像模様3(英文字P)及び第2の潜像模様4(英文字B)に区分けされる。図1では直線の複数の画線によって模様1は形成され、模様1は、背景画像2と潜像画像3に区分けされる。図1のA領域の画線拡大図である図2に示すように潜像を施さない部分の背景画像2となる画線5を実線6で、第1の潜像模様3は、画線5の画線幅Aの1/2以下の上方画線領域7aを、基本線9方向を基準とし、所定の形状の画素10aと非画素部11aが一定の間隔Bで配列された第1の定周期断絶線8aで構成している。更に図3に示すように第1の定周期断絶線8aの基本線9方向に連続した画素10aと非画素部11aからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、D1)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。また、図面では第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向と直角方向の画素幅は、下方画線領域7bの長さH/8程度である必要がある。これは、第1の定周期断絶線8aの画素10aが8個有してあるからである。図面では第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向の画素幅は、画線5の画線幅A/2程度である必要がある。ここで言う、ほぼ同一とは、画線面積(C1、D1)の総和が100%とした場合に、画線面積(G)が95〜110%程度の範囲を言う。95%以下又は110%以上になると、判別具を重ねない段階で背景画像2と潜像画像3が区分けして視認される恐れがある。画素10aの横方向及び/又は縦方向の幅は肉眼で認識し難く、複写機で再現されない25μm〜64μm程度で設定すれば良い。画線幅Aは64μmより大きく130μmより小さい程度で設定すればよい。
【0021】
図1のB領域の画線拡大図である図4に示すように第2の潜像模様4は、画線5の画線幅Aの1/2以下の下方画線領域7bを、基本線9方向を基準とし、所定の形状の画素10bと非画素部11bが一定の間隔Bで配列された第2の定周期断絶線8bで構成している。更に図5に示すように第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10bと非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C2、D2)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。また、図面では第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向と直角方向の画素幅は、上方画線領域7aの長さH/8程度である必要がある。これは、第2の定周期断絶線8bの画素10bが8個有してあるからである。図面では第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向の画素幅は、画線5の画線幅A/2程度である必要がある。ここで言う、ほぼ同一とは、画線面積(C2、D2)の総和が100%とした場合に、画線面積(G)が95〜110%程度の範囲を言う。95%以下又は110%以上になると、判別具を重ねない段階で背景画像2と潜像画像3が区分けして視認される恐れがある。画素10bの横方向及び/又は縦方向の幅は肉眼で認識し難く、複写機で再現され難い25μm〜64μm程度で設定すれば良い。画線幅Aは64μmより大きく130μmより小さい程度で設定すればよい。
【0022】
次に第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線について説明する。図1のC領域の画線拡大図である図6に示すように潜像を施さない部分の背景画像2となる画線5を実線6で、第1の潜像模様3は、画線5の画線幅Aの1/2以下の上方画線領域7aを、基本線9方向を基準とし、所定の形状の画素10aと非画素部11aが一定の間隔Bで配列された第1の定周期断絶線8aで構成し、第2の潜像模様4は、画線5の画線幅Aの1/2以下の下方画線領域7bを、基本線9方向を基準とし、所定の形状の画素10bと非画素部11bが一定の間隔Bで配列された第2の定周期断絶線8bで構成している。更に図7に示すように第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10a、非画素部11a、画素10b、非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、C2)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。また、図面では第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向と直角方向の画素幅は、下方画線領域7bの長さH/8程度である必要がある。これは、第1の定周期断絶線8aの画素10aが8個有してあるからである。図面では第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向の画素幅は、画線5の画線幅A/2程度である必要がある。また、同様に図面では第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向と直角方向の画素幅は、上方画線領域7aの長さH/8程度である必要がある。これは、第2の定周期断絶線8bの画素10bが8個有してあるからである。図面では第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向の画素幅は、画線5の画線幅A/2程度である必要がある。ここで言う、ほぼ同一とは、画線面積(C1、C2)の総和が100%とした場合に、画線面積(G)が95〜110%程度の範囲を言う。95%以下又は110%以上になると、判別具を重ねない段階で背景画像2と潜像画像3が区分けして視認される恐れがある。画素10a及び画素10bの横方向及び/又は縦方向の幅は肉眼で認識し難く、複写機で再現され難い25μm〜64μm程度で設定すれば良い。画線幅Aは64μmより大きく130μmより小さい程度で設定すればよい。
【0023】
上記説明では直線万線画線からなる模様1が横方向の画線構成であるため、画線5の画線幅Aの1/2以下の上方画線領域7aに対して、第1の潜像画像を施し、画線5の画線幅Aの1/2以下の下方画線領域7bに対して、第2の潜像画像を施している。この場合は、画線5の画線幅Aの1/2以下の下方画線領域7bに対して、第1の潜像画像を施し、画線5の画線幅Aの1/2以下の上方画線領域7aに対して、第2の潜像画像を施してもよい。更に、直線万線画線からなる模様1が縦方向の画線構成の場合は、画線の画線幅Aの1/2以下の右又は左画線領域の一方に対して、第1の潜像画像を施し、画線の画線幅Aの1/2以下の右又は左画線領域の他方に対して、第2の潜像画像を施してもよい。曲万線画線(同心円万線含む)からなる模様に潜像画像を施す場合は、画線の画線幅Aの1/2以下の第1の画線領域の方向は変化(例えば、上から左、下から右、上から左に徐々に変化、下から右に徐々に変化)する。よって、模様の画線構成によって、選択する領域の方向は異なり、画線を画線幅Aの1/2以下の第1の画線領域に対して、第1の潜像画像を施し、画線幅Aの1/2以下の第2の画線領域に対して、第2の潜像画像を施せばよい。
【0024】
第1の定周期断絶線8aの画素10a及び第2の定周期断絶線8bの画素10bは、模様1を形成する画線のピッチの非画線領域(上方非画線領域14又は下方非画線領域15)に突出していなければならない。曲万線画線(同心円万線含む)からなる模様に潜像画像を施す場合は、画線の画線幅Aの1/2以下の第1の画線領域の方向は変化(例えば、上から左、下から右、上から左に徐々に変化、下から右に徐々に変化)する。よって、第1の潜像模様を施す領域は、直線万線画線及び/又は曲万線画線(同心円万線含む)の画線幅の1/2以下の第1の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第1の非画線領域にずらし、第1の定周期断絶線8aの画素10aで構成し、第2の潜像模様を施す領域は、直線万線画線及び/又は曲万線画線(同心円万線含む)の画線幅の1/2以下の第2の画線領域を、基本線方向に対して直角方向に第2の非画線領域にずらし、第2の定周期断絶線8bの画素10bで構成すればよい。例えば、模様1を100μmの画線で非画線部が200μmで300μmのピッチで形成した場合、第1の定周期断絶線8aの画素10a及び第2の定周期断絶線8bの画素10bは、非画線部が200μmの領域に画素の少なくとも一部が形成される必要がある。
【0025】
図8に示すように真偽判別可能な印刷物A1を可視光下で肉眼で観察した場合、模様1は、直線万線画線からなる模様1は、背景画像2、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4に区分けされているが肉眼で背景画像2、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4を区分けして視認することはできない。これは、図3、5及び7に示したように第1の定周期断絶線8aの基本線9方向に連続した画素10aと非画素部11aからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、D1)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成してこと。第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10bと非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C2、D2)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成していること。更に加えて、第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10a、非画素部11a、画素10b、非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、C2)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成していること。これらの条件と第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの画素10a、画素10bの画線幅が25μm〜64μm程度の範囲内で形成されているため肉眼で個々の画素が識別困難であり一本の線で視認されること。これらの理由によって模様1は、背景画像2、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4を区分けして視認することはできない。よって、模様1のみが視認できる。
【0026】
図9に示すような蒲鉾状のレンズが万線のように複数配列されているレンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物A1に対して重ねて可視光下で肉眼で観察した場合、図10に示すように第1の状態で重ね合わせた場合、第1の潜像模様3が視認され、図11に示すように第2の状態で重ね合わせた場合、第2の潜像模様4が視認される。真偽判別可能な印刷物A1を例えばシアン色で印刷した場合の例について示す。この場合、真偽判別可能な印刷物A1を形成する複数の画線のピッチとレンチキュラーレンズ(L)のピッチが同一(ほぼ同一も含む)であることが好ましい。図10に示すように第1の状態で重ね合わせた場合、つまり、基本線9に対してレンチキュラーレンズ(L)の万線を0°の角度で重ねた場合に、第1の潜像模様3はシアン色で視認され、背景画像2は濃いシアン色及び/又は下地の色(例えば、紙又はプラスチックの色)に視認される。これは、背景画像2を形成する画線5が拡大され画線5が視認されるため、濃いシアン色に視認される。また、画線5の非画線部12が拡大され、下地の色が視認される。第1の潜像模様3を形成する画素10a、非画素部11aは拡大されないためシアン色に視認される。よって背景画像2と第1の潜像模様3の色彩の差によって第1の潜像模様3が視認される。また、透明フィルムに万線が印刷された補助具を重ねた場合においても潜像画像が視認できる。
【0027】
また、図11に示すように第2の状態で重ね合わせた場合、つまり、基本線9に対してレンチキュラーレンズ(L)の万線を0°の角度で重ね、第1の状態で重ね合わせた場合より半ピッチT分だけずらした場合に、第2の潜像模様4はシアン色で視認され、背景画像2は濃いシアン色及び/又は下地の色(例えば、紙又はプラスチックの色)に視認される。これは、背景画像2を形成する画線の画線幅が画線5が拡大され画線5が視認されるため、濃いシアン色に視認される。また、画線5の非画線部12が拡大され、下地の色が視認される。第2の潜像模様4を形成する画素10b、非画素部11bは拡大されないためシアン色に視認される。よって背景画像2と第2の潜像模様4の色彩の差によって第2の潜像模様4が視認される。
【0028】
よって図10及び図11に示すように真偽判別可能な印刷物A1は二つの潜像画像が埋め込まれ、更に二つの潜像画像は少なくとも一部が互いに重なり合っている領域があるにも関わらず、特殊な画線で形成されているため、第1の状態で重ね合わせた場合、第2の状態で重ね合わせた場合で異なった潜像画像が明瞭に視認できる。ただし、潜像画像のデザインは限定されるものではない。
【0029】
図12に示すように真偽判別可能な印刷物A1をカラー複写機で複写した場合に、背景画像5の画線幅Aが64μmより大きく130μmより小さい程度で形成されるため複写機で再現され、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4を形成する第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの画素10a、画素10bは、25μm〜64μm程度で形成されるため、複写機で再現され難い。よって、背景画像5はシアン色(白黒複写機の場合は黒)で再現され、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4は薄いシアン又は下地の色(例えば、紙又はプラスチックの色)に視認される。よって背景画像2と、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の色彩又は/濃度の差によって第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の合成画像が視認される。
【0030】
真偽判別可能な印刷物A1を有色蛍光インキで印刷した場合に図10、11及び12の効果に加えて図13に示すような効果が得られる。図13に示すように紫外線ランプMによって紫外線を真偽判別可能な印刷物A1に照射した場合に、背景画像5より、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の方が発光強度が強く視認される。紫外線は、ハンディータイプの紫外線ランプで十分視認可能であり、例えば、松下機器製コードレス蛍光灯:BF642)が挙げられる。これは、第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの画素10aの発光が、周辺の非画素領域に跨り、画素10aの面積が一見大きく視認され、同様に第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの画素10bの発光が、周辺の非画素領域に跨り、画素10bの面積が一見大きく視認されるからである。背景画像5の画線の発光も周辺の領域に跨るが、その面積は、第1の定周期断絶線8a、第2の定周期断絶線8bよりも小さい。よって、背景画像2と、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の発光強度の差によって第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の合成画像が視認される。
【0031】
図1では直線万線画線によって模様1を形成しているが、図14に示すように模様1を曲万線画線で形成することが可能である。この場合、模様1を曲万線画線で形成する場合は、曲万線画線に対応した曲万線のレンチキュラーレンズで判別する必要があり、模様1を直線万線画線及び曲万線画線で形成する場合は、直線万線画線及び曲万線画線に対応した直線万線及び曲万線でのレンチキュラーレンズで判別する必要がある。
【0032】
第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aは図15に示すような形状で作製可能であり、図15(a)は第1の定周期断絶線8aの画素10aを斜めに形成したものであり、図15(b)は下方画線領域7bが画線5の画線幅Aの1/2以上の領域を占めているため、第1の定周期断絶線8aの各画素10aは図15(a)の画素10aより小さい面積になっている。また、第1の定周期断絶線8aの基本線9方向に連続した画素10aと非画素部11aからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、D1)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。
【0033】
第2の潜像模様4を形成する第1の定周期断絶線8aは図16に示すような形状で作製可能であり、図16(a)は第2の定周期断絶線8bの画素10bを斜めに形成したものであり、図16(b)は上方画線領域7aが画線5の画線幅Aの1/2以上の領域を占めているため、第2の定周期断絶線8bの各画素10bは図16(a)の画素10bより小さい面積になっている。また、第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10bと非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C2、D2)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。
【0034】
第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域は図17に示すような形状で作製可能であり、図17(a)は第1の定周期断絶線8aの画素10a及び第2の定周期断絶線8bの画素10bを斜めに形成したものであり、図17(b)は潜像画像を形成する領域に中央画線領域7cが形成されているため、第1の定周期断絶線8aの各画素10aは図17(a)の画素10aより小さい面積になっており、第2の定周期断絶線8bの各画素10bは図17(a)の画素10bより小さい面積になっている。また、第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10a、非画素部11a、画素10b、非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、C2、D)の総和が、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)と同一(ほぼ同一も含む)で構成している。本発明の定周期断絶線はこれらの形状に限定されることない。また、これらの定周期断絶線の画素の形状については特に限定されるものではない。
【0035】
上記説明では、本発明の真偽判別可能な印刷物を形成する第1の潜像模様形成画線又は第2の潜像模様形成画線が、画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線で説明しているが、図18(a、b)に示すような第1の潜像模様形成画線は、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線であり、図18(a)は、画線幅A’と画線幅A”が同一幅であり、画線幅A’と画線幅”の画線幅の合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。図18(b)は、画線幅A’と画線幅A”が異なった幅であり、画線幅A’と画線幅A”の画線幅の合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。また、F1に相当するC1及びD1の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。図19(a、b)に示すような第2の潜像模様形成画線は、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線であり、図19(a)は、画線幅A’と画線幅A”が同一幅であり、画線幅A’と画線幅”の画線幅の合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。図19(b)は、画線幅A’と画線幅A”が異なった幅であり、画線幅A’と画線幅A”の画線幅Aの合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。また、F1に相当するC2及びD2の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。
【0036】
図20(a、b)に示すような第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域は、図20(a)は、画線幅A’と画線幅A”が同一幅であり、画線幅A’と画線幅”の画線幅の合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。また、F1に相当するC1及びC2の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。図20(b)は、画線幅A’、画線幅A”、画線幅が異なっており、画線幅A’、画線幅A”の中央画線の画線幅Iの合計が、潜像を施さない部分の画線Aと同一(ほぼ同一も含む)となっている。また、F1に相当するC1、C2、Dの面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。
【0037】
図21(a、b)に示すような第1の潜像模様形成画線は、潜像を施さない部分の画線から分岐したジグザクした形状の画線から形成可能である。これは、F1に相当するC1及びD1の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。図22(a、b)に示すような第2の潜像模様形成画線は、潜像を施さない部分の画線から分岐したジグザクした形状の画線から形成可能である。これは、F1に相当するC2及びD2の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。図23(a、b)に示すような第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域は、潜像を施さない部分の画線から分岐したジグザクした形状の画線から形成可能である。これは、F1に相当するC1及びC2の面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。図24(a、b)に示すような第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域は、潜像を施さない部分の画線から分岐したジグザクした形状の画線から形成可能である。また、F1に相当するC1、C2、Dの面積とF2に相当するGの面積が同一(ほぼ同一も含む)でなければならない。なお、上記に示したF1とF2の長さは同一である。これらの分岐画線やジグザグ画線においても非画線領域(上方非画線領域14又は下方非画線領域15)に突出していなければならない。
【0038】
よって、本発明は、基材上に直線万線画線及び/又は曲万線画線(同心円万線含む)から模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域及び第2の潜像模様を施す領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域の前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線を実線で、前記第1の潜像模様を施す領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の1/2以下の第1の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第1の非画線領域にずらし、第1の潜像模様形成画線(画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線等の少なくとも一つ)で構成し、前記第2の潜像模様を施す領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の1/2以下の第2の画線領域を、基本線方向に対して直角方向に第2の非画線領域にずらし、第2の潜像模様形成画線(画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線等の少なくとも一つ)で構成し、前記第1の潜像模様と前記第2の潜像模様が重なった領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の第1の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第1の非画線領域にずらし、第1の潜像模様形成画線で構成し、更に、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の第2の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第2の非画線領域にずらし、第2の潜像模様形成画線で構成し、前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線領域の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成し、前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線領域の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成し、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成してなる真偽判別可能な印刷物である。
【0039】
また、本発明は、基材上に直線万線画線及び/又は曲万線画線(同心円万線含む)から模様を形成し、前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域及び第2の潜像模様を施す領域に区分けされ、前記潜像を施さない領域の前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線を実線で、前記第1の潜像模様を施す領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の第1の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第1の非画線領域にずらし、第1の潜像模様形成画線(画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線等の少なくとも一つ)で構成し、前記第2の潜像模様を施す領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の第2の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第2の非画線領域にずらし、第2の潜像模様形成画線(画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線等の少なくとも一つ)で構成し、前記第1の潜像模様と前記第2の潜像模様が重なった領域は、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の1/2以下の第1の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第1の非画線領域にずらし、第1の潜像模様形成画線で構成し、前記直線万線画線及び/又は前記曲万線画線の画線幅の1/2以下の第2の画線領域を、基本線方向に対して直角方向の第2の非画線領域にずらし、第2の潜像模様形成画線で構成し、さらに第1の潜像模様形成と第2の潜像模様形成画線の間に中央画線を構成し、前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線領域の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成し、前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線領域の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成し、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の中央画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一(ほぼ同一も含む)で構成してなる真偽判別可能な印刷物である。
【0040】
例えば、本発明の真偽判別可能な印刷物の模様をピッチ200μmで作製した場合に、真偽判別可能な印刷物を判別するレンチキュラーレンズは200μm程度が好ましい。また、レンチキュラーレンズは画線形状と同様な形状であることが好ましい。
【0041】
本発明の真偽判別可能な印刷物を印刷する基材は、紙、プラスチック、フィルム、金属板等、特に限定されるものではない。
【0042】
本発明の真偽判別可能な印刷物を印刷する印刷方式は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等、特に限定されるものではない。
【0043】
模様1、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4は、文字、数字、記号及び絵柄の少なくとも一つで構成することできるため、デザインは、特に限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
CG(コンピュータグラフィック)ソフトで、印刷時の画線の膨張値(または収縮値)を加味して、製版時における画線設計を行うため、予め膨張値(または収縮値)をテスト画線で調査した。テスト画線として、製版用フィルム原版上の画線幅を100μmとし、用紙に市販の上質紙を用い、インキも市販のオフセットインキ(ピンク)でオフセット印刷を行った後、印刷物の画線幅を測定した結果、106μmと計測されたので、画線幅方向の画線の膨張値は全体で6μmであり、印刷をした際の画線周囲に生じる膨張値(または収縮値)gは3μmであることがわかった。
【0046】
テスト画線により得られた画線周囲に生じる膨張値3μmの値を用いて、本発明の画線構成により、潜像を施さない部分の実線の基本線に対して直角方向の印刷画線幅が106μmとなる1本又は複数の画線からなる模様1の真偽判別可能な印刷物を得るための刷版を作製した。まず市販のCGSを用い、図25に示すような1本又は複数の画線からなる模様を構成する基本をなすスプライン曲線からなる基本線9は緩やかな波状の線であり、このスプライン曲線からなる基本線9を二次元座標上に設定し、300μmの間隔で平行に送り、第1の潜像模様3と第2の潜像模様4を、スプライン曲線からなる基本線9上に配置した。背景画像2となる画線5を実線6と第1の潜像模様3の境界は、第1の潜像模様3でスプライン曲線からなる基本線9を切断し、第1の潜像模様3で囲まれた画線を集め、スプライン曲線からなる基本線9の中心線を基準に上に等距離80μmに画線を設ける。同様に、第2の潜像模様4でスプライン曲線からなる基本線9を切断し、第2の潜像模様4で囲まれた画線を集め、スプライン曲線からなる基本線9の中心線を基準に下に等距離80μmに画線を設ける。これらスプライン曲線を用いて画線幅ならびに定周期断絶線の数値を代入する。中心線を基準に等距離に上下に80μmの距離に画線を設けた理由については、スプライン曲線からなる基本線9を300μmに設定したので、定周期断絶線の画線同士が重ならない程度の間隔とするので、スプライン曲線からなる基本線9の間隔によって値も変わってくる。
【0047】
まず実施例で作成しようとしている模様1の真偽判別可能な印刷物では、背景画像2となる画線5を実線6の基本線9に対して直角方向の印刷画線幅を106μmとし、画線設計上の画線幅Aを、前述のテスト画線で把握した画線幅方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引いた100μmと設定した。
【0048】
次に、第1の潜像模様3及び第2の潜像画像4の画線の設定、即ち、図26における第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線9に対して直角方向の画素幅a1と、第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線9に対して基本線方向の長さa2と、図27における第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線9に対して直角方向の画素幅b1と、第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線9に対して基本線方向の長さb2を設定することが必要である。また、1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線について図28に示す。
【0049】
まず、印刷物上における第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向に対して直角方向の長さa1+2g、第1の定周期断絶線の画素10aの基本線方向の長さa2+2g、非画素部11aの基本線方向の長さについては、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機で解像されないことが必要であるから、一般的な複写機の出力解像度を400dpiとすると1画素は64μmであるから、解像されにくい長さの目安として64μm以下程度が適している。本実施例では第1の潜像模様3の画素10aは、基本線9を基準に上部にJを中心として下方画線領域7bの画線と重なり合いを防ぐために基本線9から80μm離し、a1+2gを46μm、a2+2gを46μmとし、非画素部11aの基本線方向の長さをcは30μmとした。従って、テスト画線で把握した基本線方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引くことにより、a1は40μm、a2は40μmとなる。Bの長さは非画素30μmから膨張値(3+3)μmを引いた値に画線部の長さ46をたしたものであり、即ち、(30−6)+46=70となる。次に下方画線領域7bの画線幅d+2gは76μmとし、テスト画線で把握した基本線方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引くことにより、dは70μmとした。
【0050】
実施の形態に記載したように、第1の定周期断絶線8aの基本線9方向に連続した画素10aと非画素部11aからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、D1)の総和と、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)が95〜110%程度の範囲内である必要があるため、下記の式1を満足する必要がある。
【0051】
【数1】

【0052】
よって、上記値を式1に代入して計算すると、0.95×70(100+6)≦{(40+6)×(40+6)+(70+6)70}≦1.1×70(100+6)=7049≦7436≦8162となり、式1の範囲内であった。
【0053】
次に、印刷物上における第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向に対して直角方向の長さb1+2g、定周期断絶線の画素10bの基本線方向の長さb2+2g、非画素部11bの基本線方向の長さについては、潜像が肉眼で視認されず、かつ、複写機で解像されないことが必要であるから、一般的な複写機の出力解像度を400dpiとすると1画素は64μmであるから、解像されにくい長さの目安として64μm以下程度が適している。本実施例では第2の潜像模様4の画素10bは、基本線9を基準に上部にJを中心として上方画線領域7aの画線と重なり合いを防ぐために基本線9から80μm離し、b1+2gを46μm、b2+2gを46μmとし、非画素部11bの基本線方向の長さをcは30μmとした。従って、テスト画線で把握した基本線方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引くことにより、b1は40μm、b2は40μmとなる。Bの長さは非画素30μmから膨張値(3+3)μmを引いた値に画線部の長さ46をたしたものであり、即ち、(30−6)+46=70となる。次に上方画線領域7aの画線幅d+2gは76μmとし、テスト画線で把握した基本線方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引くことにより、dは70μmとした。
【0054】
実施の形態に記載したように、第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10bと非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C2、D2)の総和と、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)が95〜110%程度の範囲内である必要があるため、下記の式2を満足する必要がある。
【0055】
【数2】

【0056】
よって、上記値を式2に代入して計算すると、0.95×70(100+6)≦{(40+6)×(40+6)+(70+6)70}≦1.1×70(100+6)=7049≦7436≦8162となり、式2の範囲内であった。
【0057】
次に、1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線について説明する。図28に示す。第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線方向に対して直角方向の長さa1+2g、定周期断絶線の画素10aの基本線方向の長さa2+2g、非画素部11aの基本線方向の長さについては、上記に示したとおり、a1+2gを46μm、a2+2gを46μmとし、非画素部11aの基本線方向の長さをcは30μmとした。同様に、第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線方向に対して直角方向の長さb1+2g、定周期断絶線の画素10bの基本線方向の長さb2+2g、非画素部11bの基本線方向の長さについては、上記に示したとおり、b1+2gを46μm、b2+2gを46μmとし、非画素部11bの基本線方向の長さをcは30μmとした。次に中央画線領域7cの画線幅d+2gは46μmとし、テスト画線で把握した基本線方向の画線の膨張値(3+3)μmを差し引くことにより、dは40μmとした。
【0058】
実施の形態に記載したように、第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの基本線9方向に連続した画素10a、非画素部11a、画素10b、非画素部11bからなる所定の長さF1(ここでは、定周期断絶線に相当する一周期)に相当する部分の画線面積(C1、C2、D)の総和と、潜像を施さない部分の実線6のうち、基本線9方向における所定の長さF1と同一の長さF2に相当する部分の画線面積(G)が95〜110%程度の範囲内である必要があるため、下記の式3を満足する必要がある。
【0059】
【数3】

【0060】
よって、上記値を式3に代入して計算すると、0.95×70(100+6)≦{(40+6)×(40+6)+(40+6)×(40+6)+(40+6)70}≦1.1×70(100+6)=7049≦7452≦8162
となり、式3の範囲内であった。
【0061】
なお、本実施例で用いた数値は、これに限定されるものでなく必要に応じて変更が可能である。
【0062】
CGSで設計された模様1は市販のレーザープロッターを用いて製版用フィルム原版を作成し、次に、市販のポジタイプPS版で刷版を作製し、得られた刷版を用い、市販の上質紙上に、市販のオフセットインキ(ピンク)で、印刷機器の調整は一般の平版オフセット印刷に等しく、特別に調整することなくオフセット印刷を行い、図29に示す真偽判別可能な印刷物を得た。
【0063】
図29に示すように真偽判別可能な印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合、模様1は、背景画像2、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4を区分けして視認することはできなかった。図30に示すようにピッチ300μmの蒲鉾状レンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物に対して第1の状態(基本線方向とレンチキュラーレンズの万線方向が同一の状態)で重ねて可視光下で肉眼で観察した場合、第1の潜像模様3が視認され、図31に示すように第1の状態で重ね合わせた場合より100μm程度ずらした第2の状態(基本線方向とレンチキュラーレンズの万線方向が同一の状態)で重ねて可視光下で肉眼で観察した場合、第2の潜像模様4が視認された。
【0064】
図32に示すように真偽判別可能な印刷物をカラー複写機(例えば、キャノンCLC900型、リコーPATER750型、ミノルタCF900)によって複製した場合に、背景画像5の画線は複写機で再現され、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4を形成する第1の定周期断絶線8a及び第2の定周期断絶線8bの画素10a、画素10bは、複写機で再現されなかった。よって背景画像2と、第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の色彩の差によって第1の潜像模様3及び第2の潜像模様4の合成画像が視認された。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】直線万線画線からなる模様1は、背景画像2、第1の潜像模様3(英文字P)及び第2の潜像模様4(英文字B)に区分けされる説明図である。
【図2】図1のA領域の画線拡大図である。
【図3】第1の定周期断絶線8aの説明図である。
【図4】図1のB領域の画線拡大図である。
【図5】第2の定周期断絶線8bの説明図である。
【図6】図1のC領域の画線拡大図である。
【図7】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線についての説明図である。
【図8】真偽判別可能な印刷物A1を可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図9】蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているレンチキュラーレンズ(L)を示す図である。
【図10】第1の状態で蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているレンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物A1に対して重ねて可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図11】第2の状態で蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているレンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物A1に対して重ねて可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図12】真偽判別可能な印刷物A1をカラー複写機で複写した場合の図である。
【図13】真偽判別可能な印刷物A1を有色蛍光インキで印刷した場合において、紫外線ランプMによって紫外線を真偽判別可能な印刷物A1に照射した場合の図である。
【図14】模様1を曲万線画線13で形成した場合の図である。
【図15】第1の潜像模様3を形成する第1の定周期断絶線8aの別の形態を示す図である。
【図16】第2の潜像模様4を形成する第2の定周期断絶線8bの別の形態を示す図である。
【図17】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線の別の形態を示す図である。
【図18】第1の潜像模様3を形成する画線の別の形態を示す図である。
【図19】第2の潜像模様4を形成する画線の別の形態を示す図である。
【図20】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線の別の形態を示す図である。
【図21】第1の潜像模様3を形成する画線の別の形態を示す図である。
【図22】第2の潜像模様4を形成する画線の別の形態を示す図である。
【図23】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線の別の形態を示す図である。
【図24】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線の別の形態を示す図である。
【図25】真偽判別可能な印刷物を作製する上でのスプライン曲線を示す図である。
【図26】第1の定周期断絶線8aの説明図である。
【図27】第2の定周期断絶線8aの説明図である。
【図28】1の潜像模様3及び第2の潜像模様4が重なる領域の画線についての説明図である。
【図29】真偽判別可能な印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図30】第1の状態で蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているレンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物に対して重ねて可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図31】第2の状態で蒲鉾状のレンズが万線のように複数形成されているレンチキュラーレンズ(L)を真偽判別可能な印刷物に対して重ねて可視光下で肉眼で観察した場合の図である。
【図32】真偽判別可能な印刷物をカラー複写機で複写した場合の図である。
【符号の説明】
【0066】
1 直線万線画線からなる模様
2 背景画像
3 第1の潜像模様
4 第2の潜像模様
5 画線
6 実線6
7a 上方画線領域
7b 下方画線領域
7c 中央画線領域
8a 第1の定周期断絶線
8b 第2の定周期断絶線
9 基本線
10a、10b 所定の形状の画素
11a、11b 非画素部
12 画線5の非画線部
13 曲万線画線
14 上方非画線領域
15 下方非画線領域
A 画線幅
A’ 画線幅
A” 画線幅
A1 真偽判別可能な印刷物
B 一定の間隔
C1、C2、D1、D2、G 画線面積
F1 定周期断絶線の一周期の長さ
F2 F1と同一の長さF2
H 基本線9から離れた距離
I 画線幅
M 紫外線ランプ
T ずれ
a1 第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線9に対して直角方向の画素幅
a2 第1の定周期断絶線8aの画素10aの基本線9に対して基本線方向の長さ
b1 第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線9に対して直角方向の画素幅
b2 第2の定周期断絶線8bの画素10bの基本線9に対して基本線方向の長さ
c 非画素部の基本線方向の長さ
d 画線幅
g 膨張値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に万線画線によって模様を形成し、
前記模様は、潜像模様を施さない領域及び潜像模様を施す領域に区分けされ、
前記潜像を施さない領域を実線で構成し、
前記潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の画線を、潜像模様形成画線で構成し、
前記潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物。
【請求項2】
基材上に万線画線によって模様を形成し、
前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域及び第2の潜像模様を施す領域に区分けされ、
前記潜像を施さない領域を実線で構成し、
前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第1の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、
前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、
前記第2の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第2の画線を、第2の潜像模様形成画線で構成し、
前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物。
【請求項3】
基材上に万線画線によって模様を形成し、
前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域、第2の潜像模様を施す領域及び前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域に区分けされ、
前記潜像を施さない領域を実線で構成し、
前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域も含めて前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第1の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、
前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、
前記第2の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の第2の画線を、第2の潜像模様形成画線で構成し、
前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置されてなる真偽判別可能な印刷物。
【請求項4】
前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、
前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、
前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成してなる請求項3記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項5】
基材上に万線画線によって模様を形成し、
前記模様は、潜像模様を施さない領域、第1の潜像模様を施す領域、第2の潜像模様を施す領域及び前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域に区分けされ、
前記潜像を施さない領域を実線で構成し、
前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域も含めて前記第1の潜像模様は、前記万線画線の画線幅の内、所定幅の画線を、第1の潜像模様形成画線で構成し、
前記第1の潜像模様形成画線は前記潜像を施さない領域を実線からずらして配置され、
前記第2の潜像模様形成画線は前記第1の潜像模様形成画線のずらした方向とは異なった方向にずらして配置され、
前記第1と前記第2の潜像模様が重なった領域は、第1の潜像模様形成画線と第2の潜像模様形成画線の間に中央画線が配置されてなる真偽判別可能な印刷物。
【請求項6】
前記第1の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第2の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、
前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の第1の画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成し、
前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線の基本線方向における所定の長さに相当する部分の画線面積と、前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の中央画線の画線面積の総和が、前記潜像を施さない部分の実線のうち、基本線方向における前記所定の長さと同一の長さに相当する部分の画線面積と同一で構成してなる請求項5記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項7】
前記潜像模様形成画線、前記第1の潜像模様形成画線及び前記第2の潜像模様形成画線が、画素と非画素部が一定の間隔で配列された定周期断絶線、潜像を施さない部分の画線から分岐した分岐画線、ジグザクした形状の画線の少なくとも一つからなる請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の真偽判別可能な印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2006−272602(P2006−272602A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91305(P2005−91305)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】