説明

真空吸着搬送機構

【目的】 樹脂封止済みリードフレーム2を、その各半導体装置3、3、…を各真空吸着ヘッド10、10、…によって真空吸着して搬送する真空吸着搬送機構において、真空吸着ヘッド10、10、…の設けられたエアーマニホールド6の汎用性を高める。
【構成】 エアーマニホールド6内にエアー通路15を縦横に形成し、エアーマニホールード6下面にエアー通路15と連通する多数の真空吸着ヘッド取付部16、16、…を設け、それに選択的に真空吸着具10を取り付けるようにし、残りには閉塞スクリュー17を取り付けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空吸着搬送機構、特に半導体装置が樹脂封止済みのリードフレーム(以後「樹脂封止済みリードフレーム」という。)を、各樹脂封止済み半導体装置を真空吸着ヘッドにて真空吸着することにより搬送する真空吸着搬送機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂封止済みリードフレームを、各樹脂封止済み半導体装置を真空吸着ヘッドにて真空吸着することにより搬送する真空吸着搬送機構として図2(A)、(B)に示す真空吸着搬送機構が用いられていた。図面において、1は所定数のリードフレームを収納するマガジン、2、2、…は樹脂封止済みリードフレーム、3、3、…は樹脂封止済み半導体装置、4は真空吸着搬送機構のベース板で、真空吸着ヘッドを上下させるシリンダ4の下端に固定されている。
【0003】6aは上記ベース板4の下側に適宜離間して略平行に移動可能に取り付けられたエアーマニホールドである。該エアーマニホールド6は、具体的には、ベース板4の両端に設けられた図面に現われない孔に取付軸7、7が遊嵌され、該取付軸7、7の該孔から突出した上端部にOリング8、8が取着されている。そして、取付軸7、7の下端がエアーマニホールド6aに固定され、該取付軸7、7のベース板4とエアーマニホールド6aとの間の部分にスプリング9、9が外嵌状に縮設されている。従って、エアーマニホールド6はスプリング9、9によってベース板4に対して平行な向きで下側に付勢されている。
【0004】10、10、…はエアーマニホールド6aに真空吸着口11を下向きにして取り付けられた真空吸着ヘッドで、各真空吸着ヘッド10、10、…は中継ホースに、エアーカプラ13を介してエアーホース14に連結されている。従来の真空吸着搬送機構は、エアーマニホールド6aに取り付けられた真空吸着ヘッド10、10、…が搬送しようとする樹脂封止済みリードフレーム2の樹脂封止済み半導体装置3、3、…に対応して配設されており、各真空吸着ヘッド10、10、…をリードフレーム2の樹脂封止済み半導体装置3、3、…にて真空吸着することにより搬送するようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の真空吸着搬送機構によれば、半導体装置・リードフレームの品種が異なり、樹脂封止済みリードフレーム2の各半導体装置間の位置関係が異なれば、それに応じてエアーマニホールド6aを交換しなければならなかった。即ち、従来においてエアーマニホールド6aは真空吸着ヘッド10、10、…の位置が固定されているので、樹脂封止済みリードフレーム2の各半導体装置3、3、…間の位置関係が異なる種類ごとに異なるエアーマニホールド6aを用意しておき、樹脂封止済みリードフレーム2の品種の変更に伴ってエアーマニホールド6aを交換しなければならなかった。これは、設備費の増大を招き、また搬送するリードフレームの種類変更に伴う段取りに要する作業が面倒で、省力化を阻む要因ともなる。そして、これは多品種、少量生産化の傾向が強まるに伴って看過できない大きな問題となりつつある。
【0006】本発明はこのような問題点を解決すべく為されたものであり、1つのエアーマニホールドによって種々の樹脂封止済みリードフレームに対応できるようにして設備費の増大を回避し、樹脂封止済みリードフレームの品種の変更時に必要となる段取りを簡単にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明真空吸着搬送機構は、エアーマニホールドとして内部にエアー通路を有し下面に該エアー通路と連通する複数の真空吸着ヘッド取付部が配設されたものを用いたことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明真空吸着搬送機構によれば、複数の真空吸着ヘッド取付部から搬送しようとする樹脂封止済みリードフレームに対応して選択した真空吸着ヘッド取付部に真空吸着ヘッドを取り付け、残りの真空吸着ヘッド取付部に閉塞スクリュープラグを取り付けることによって1つのエアーマニホールドによって多品種の樹脂封止済みリードフレームに対応できるようにすることができる。従って、樹脂封止済みリードフレームの品種毎にエアーマニホールドを用意する必要がなく、設備費の節減を図ることができる。また、搬送する樹脂封止済みリードフレームの品種の変更に対してはエアーマニホールドを交換することを必要とせず、単に一部の真空吸着ヘッド取付部に対して取付部材を閉塞スクリュープラグと真空吸着ヘッドとの間で交換するだけで対応でき、樹脂封止済みリードフレームの品種変更に伴う段取りの作業量の低減、作業時間の短縮を図ることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明真空吸着搬送機構を図示実施例に従って詳細に説明する。図1(A)乃至(C)は本発明真空吸着搬送機構の一つの実施例を示すもので、図1(A)は斜視図、図1(B)はエアーマニホールド6のエアー通路15を抽出して示すところのエアーマニホールド6を上下逆さにした斜視図(エアーマニホールド6自身は2点鎖線で示す)、図1(C)は真空吸着ヘッド10を取り付けた状態のエアーマニホールド6を上下逆さにして示す一部切欠斜視図である。
【0010】本真空吸着搬送機構は図2に示した真空吸着搬送機構とは、エアーマニホールド6において相違するが、それ以外の点では共通し、共通する点については既に説明済みなので共通の符号を使用して図示するのにとどめ、相違する点についてのみ新しい符号を付して詳細な説明をする。図面において、15はエアーマニホールド6の内部に形成されたエアー通路である。該エアー通路15はエアーマニホールド6の長手方向に延びる一本の直線通路とエアーマニホールド6の幅方向に延びる複数本の直線通路とを交差し連通せしめてなる。
【0011】そして、上記エアーマニホールド6の長手方向に延びる通路15のエアーマニホールド6の一端面に開口する部分にはテーパーねじ溝が形成され一本のエアーホース14がエアーカプラを介して接続されている。エアーマニホールド6の下面には上記エアー通路15と連通する開口にテーパーねじ溝を形成した真空吸着ヘッド取付部16、16、…が多数配設されている。尚、エアーマニホールド6の両側面及び端面にもエアー通路15が開口しており、一方の端面に開口した部分にはエアーホース14が接続されること前述のとおりであるが、残りの端面及び両側面に開口した部分にもテーパーねじ溝が形成され、そこに閉塞スクリュープラグ17、17、…が螺合閉塞されている。エアー通路15が側面、端面に開口するように形成するのは、製造し易いからである。その代りにエアーが漏れないようにその開口を閉塞スクリュープラグで閉塞する必要があるのである。
【0012】エアーマニホールド6の下面に形成された真空吸着ヘッド取付部16、16、…は、真空吸着搬送しようとする樹脂封止済みリードフレーム2の樹脂封止済み半導体装置3、3、…と対応する取付部16、16、…のみが選択的に真空吸着ヘッド10を取り付けられており、残りの真空吸着ヘッド取付部16、16、…には空気漏れを防止すべく閉塞スクリュープラグ17が螺合されている。
【0013】本真空吸着搬送機構は、シリンダ5が下降することによりベース板4及びエアーマニホールド6が一体で下降し、各真空吸着ヘッド10、10、…のパッド11、11、…が樹脂封止済みリードフレーム2の各半導体装置3、3、…と接触し各真空吸着ヘッド10、10、…により各半導体装置3、3、…が吸着される。その後、シリンダ5を上昇させると樹脂封止済みリードフレーム2を上昇させることができ、その後は搬送機能によりその樹脂封止済みリードフレーム2を搬送する。そして、搬送先に達したときに真空吸引を停止すると樹脂封止済みリードフレーム2がそこに位置せしめられた状態になる。
【0014】このような真空吸着搬送機構によれば、複数の真空吸着ヘッド取付部16、16、…から搬送しようとする樹脂封止済みリードフレーム2に対応して選択した真空吸着ヘッド取付部16、16、…に真空吸着ヘッド10、10、…を取り付け、残りの真空吸着ヘッド取付部16、16、…に閉塞スクリュープラグ17、17、…を取り付けることによって1つのエアーマニホールド6によって多品種の樹脂封止済みリードフレーム2に対応させることができる。従って、樹脂封止済みリードフレーム2の品種毎にエアーマニホールド6を用意する必要がなく、設備費の節減を図ることができる。また、搬送する樹脂封止済みリードフレーム2の品種の変更に対してはエアーマニホールド6を交換することを必要とせず、単に一部の真空吸着ヘッド取付部16、16、…に対して取付部材を閉塞スクリュープラグ17、17、…と真空吸着ヘッド10、10、…との間で交換するだけで対応でき、樹脂封止済みリードフレーム2の品種変更に伴う段取り作業の低減を図ることができる。
【0015】
【発明の効果】本発明真空吸着搬送機構は、エアーホース接続部と連通するエアー通路を内部に有するエアーマニホールドの下面に上記エアー通路と連通する複数の真空吸着ヘッド取付部が配設され、該複数の真空吸着ヘッド取付部に選択的に真空吸着ヘッドを取付け、他の真空吸着ヘッド取付部に閉塞スクリュープラグを取付け得るようにされたことを特徴とするものである。従って、本発明真空吸着搬送機構によれば、複数の真空吸着ヘッド取付部から搬送しようとする樹脂封止済みリードフレームに対応して選択した真空吸着ヘッド取付部に真空吸着ヘッドを取り付け、残りの真空吸着ヘッド取付部に閉塞スクリュープラグを取り付けるようにすることによって1つのエアーマニホールドによって多品種の樹脂封止済みリードフレームに対応することができる。従って、樹脂封止済みリードフレームの品種毎にエアーマニホールドを用意する必要がなく、設備費の節減を図ることができる。また、搬送する樹脂封止済みリードフレームの品種の変更に対してはエアーマニホールドを交換することを必要とせず、単に一部の真空吸着ヘッド取付部に対して取付部材を閉塞スクリュープラグと真空吸着ヘッドとの間で交換するだけで対応でき、樹脂封止済みリードフレームの品種変更に伴う段取り作業の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は本発明真空吸着搬送機構の一つの実施例を示すもので、(A)は斜視図、(B)はエアーマニホールドのエアー通路を抽出して示すところのエアーマニホールドを上下逆さにした斜視図(エアーマニホールド自身は2点鎖線で示す)、図1(C)は真空吸着ヘッドを取り付けた状態のエアーマニホールドを上下逆さにして示す一部切欠斜視図である。
【図2】(A)、(B)は真空吸着搬送機構の従来例を示すもので、(A)は斜視図、(B)は真空吸着ヘッドを上向きにして示す斜視図である。
【符号の説明】
2 樹脂封止済みリードフレーム
3 半導体装置
6 エアーマニホールド
10 真空吸着ヘッド
15 エアー通路
16 真空吸着ヘッド取付部
17 閉塞スクリュープラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 エアーホース接続部と連通するエアー通路を内部に有するエアーマニホールドの下面に上記エアー通路と連通する複数の真空吸着ヘッド取付部が配設され、上記複数の真空吸着ヘッド取付部に選択的に真空吸着ヘッドを取付け、他の真空吸着ヘッド取付部に閉塞スクリュープラグを取付け得るようにされたことを特徴とする真空吸着搬送機構

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−301190
【公開日】平成5年(1993)11月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−131612
【出願日】平成4年(1992)4月23日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)