説明

真空断熱材および真空断熱材を適用した履物

【課題】折り曲げることが可能であり、折り曲げによる断熱性能の劣化を抑えた真空断熱材を提供する。
【解決手段】真空断熱材1は、複数の芯材4をラミネートフィルム5で包み、個々の芯材4が独立空間になるように真空密封したものであり、ラミネートフィルム5の芯材4の空間と連結していない位置に真空断熱材1を横断する方向へミシン目状に切り込み6を設けたものである。これにより、曲げ強度がラミネートフィルム5の他の部分よりも相対的に弱くなり、折り目での折り曲げが可能となる。よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を付加した真空断熱材と、その真空断熱材を適用した履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の芯材より構成することにより柔軟性を付加した真空断熱材がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、従来の真空断熱材の断面図である。図12において、真空断熱材1は、同一平面上に配した複数個の断熱性空間保持材2と、断熱性空間保持材2を包含する可撓性容器3とからなり、断熱性空間保持材2が真空密封されている。この構成により、断熱性保持材2の各小片の接面が筋目となり、曲げ応力に対して、ここを中心として容易に曲げることができる
ここで、真空断熱材とは、容器で断熱性空間保持材を覆い真空密封したものであり、断熱性空間保持材内部を真空状態にすることにより、気体による熱伝導率を下げ、低熱伝導率を実現したものである。
【特許文献1】特開昭61−173931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、可撓性容器3は断熱性保持材2の各小片の接面で曲げることが可能になるが、可撓性容器3に大きな負荷がかかり、割れやピンホールが発生し易くなる。割れやピンホールが発生する個所は、断熱性保持材2が配置された空間と連結した個所なので、可撓性容器3が真空状態を保てなくなり、断熱性能が劣化する問題があった。
【0005】
本発明は、折り曲げることが可能であり、折り曲げによって断熱性能の低下を引き起こさない真空断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、可撓性容器内に複数の断熱性保持材を独立空間に真空密封し、可撓性容器の独立空間に別けている個所に折り目を設けたものである。
【0007】
これによって、断熱性保持材の接面で曲がり難くなり、断熱性保持材が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の真空断熱材は、折り曲げることが可能であり、折り曲げによって真空状態が劣化することがなく、断熱性能の低下を引き起こさない真空断熱材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の少なくとも2つ以上の独立空間に前記芯材を真空密封した真空断熱材において、ラミネートフィルムの前記芯材を前記独立空間に分断している個所のうち、芯材配置空間との境目を除く部分に、曲げ強度が前記独立空間に分断している個所よりも相対的に弱い折り目を設けたものである。
【0010】
これにより、真空断熱材を折り曲げたときに芯材の際で折り曲がらず、予め設けておいた折り目で折り曲がるようになる。そのため、折り曲げによってラミネートフィルムの折り曲げ個所に穴があいても芯材が配置された空間と連結していない個所であるので、芯材が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0011】
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明における折り目が、直線状に設けられているものである。
【0012】
本発明においては、折り目が直線状に設けられているので、折り目を形成した個所で真空断熱材が折り曲がり易くなる。よって、芯材の際で折り曲がらず、芯材が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるので、ラミネートフィルムの折り目に割れやピンホールが発生しても芯材が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0013】
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明における折り目が、ラミネートフィルムに少なくとも2つ以上の切り込みを設けることにより形成されたものである。
【0014】
本発明においては、切り込みを設けることにより、曲げ強度がラミネートフィルムの芯材を独立空間に分断している個所よりも相対的に弱くなり、折り目を形成できる。よって、芯材の際で折り曲がらず、芯材が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるので、ラミネートフィルムの折り目に割れやピンホールが発生しても芯材が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0015】
また、芯材間隔が狭い場合でも切断により切り込みを設けるだけなので、容易に折り目を形成することができる。
【0016】
また、ラミネートフィルムに切り込みがあるので通気性が良くなる。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0017】
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における折り目が、真空断熱材の端部まで設けられており、少なくとも折り目の両端部に切り込みを設けることにより形成されたものである。
【0018】
本発明においては、真空断熱材の両端部分にまで折り目が形成され、両端部が切り込みで形成されていることにより、真空断熱材の端まで折り目で折り曲げ易くなる。よって、芯材の際で折り曲がらず、芯材が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるので、ラミネートフィルムの折り目に割れやピンホールが発生しても芯材が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0019】
また、芯材間隔が狭い場合でも切断により切り込みを設けるだけなので、容易に折り曲げ部を形成することができる。
【0020】
また、ラミネートフィルムに切り込みがあるので真空断熱材の断熱方向への通気性が良くなる。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0021】
請求項5に記載の履物の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材を内側の底面に配設した履物であって、前記真空断熱材の折り目が前記履物の幅方向になっているものである。
【0022】
本発明においては、歩くときに曲がる部分である幅方向に折り目が形成されるので、違和感なく歩行できる。また、真空断熱材は高い断熱性があり、体熱の保温や冷気の遮断が効果的に行われ、冬季スポーツや寒冷地における使用においても足部を快適に保つことができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材の斜視図、図2は同実施の形態における真空断熱材の平面図、図3は同実施の形態における真空断熱材の縦断面図である。
【0025】
図1、図2、図3において、真空断熱材1は、複数の芯材4をラミネートフィルム5で包み、ラミネートフィルム5の内部を減圧して、個々の芯材4がそれぞれ互いに独立した空間内に位置する芯材4の際までラミネートフィルム5を溶着して真空密封したものであり、ラミネートフィルム5の芯材4を独立空間に分断している個所のうち、芯材4配置空間と連結していない位置にミシン目状に切り込み6を設けたものである。切り込み6を設けることで、ミシン目状の切り込み6個所の曲げ強度がラミネートフィルム5の他の部分よりも相対的に弱くなる。
【0026】
なお、切り込み6は直線状に設けられるのが望ましい。また、ミシン目状とあるが、1つ1つの切り込み6の長さはバラバラでもよい。
【0027】
本実施の形態の構成では、ラミネートフィルム5を芯材4の際まで溶着してあるが、芯材4同士の独立空間を維持できていれば際まで溶着する必要はない。また、芯材4とラミネートフィルム5とが溶着されていてもよい。なお、本実施の形態では1つの独立空間に1つの芯材4が配置されているが、1つの独立空間に複数の芯材4が配置されていてもよい。
【0028】
一般に真空断熱材1は、内部の真空度を1Pa〜100Paとすることで、優れた断熱性能を発現することが可能となる。ラミネートフィルム5は複数のフィルムが積層されたものであり、外側には保護層、中間はガスバリア層としてアルミ箔等を用い、内側は熱溶着層としている。芯材4はシリカ粉末を主成分とするものや、グラスウールを主成分とする繊維系芯材である。
【0029】
以上のような構成により、本実施の形態1における真空断熱材1は、芯材4の真空状態が維持できる個所に切り込み6を設けるので、曲げ強度がラミネートフィルム5の芯材4を独立空間に分断している個所よりも相対的に弱くなり、折り目が形成される。これにより、真空断熱材1を折り曲げたときに芯材4の際で折り曲がらず、予め設けておいた折り目で曲がるようになる。また、真空断熱材1の断熱方向に加重があっても、折り目で曲がるようになる。
【0030】
よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間と連結していない個所なので、芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができるので、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0031】
また、芯材4間隔が狭い場合でも切断により切り込み6を設けるだけなので、容易に折り目を形成することができる。
【0032】
この実施の形態では、折り目はラミネートフィルム5に切り込み6を入れることにより形成しているが、加圧によりラミネートフィルム5を圧縮させて折り目を形成してもよい。
【0033】
また、ラミネートフィルム5に切り込み6があるので、真空断熱材1の断熱方向への通気性が良くなる。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0034】
なお、この真空断熱材1を他の部材で包んで使用する場合、その部材の真空断熱材1の折り目と重なる個所に折り目を設けることが望ましい。
【0035】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における真空断熱材の平面図である。
【0036】
図4に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、ミシン目状に設けられた切り込み6を一列だけとし、ミシン目状に設けられた切り込み6の両端にラミネートフィルム5を切り取って切り欠け7を設けたことを特徴とし、それ以外は、実施の形態1の真空断熱材1と同じ構成である。
【0037】
以上のような構成により、真空断熱材1の端部に切り欠け7があり、その切り欠け7の先からミシン目状の切り込み6があるので、真空断熱材1の端部において芯材4の際で折り曲がり難くなり、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0038】
また、ラミネートフィルム5に切り込み6があるので真空断熱材1の断熱方向への通気性が良くなる。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0039】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における真空断熱材の平面図である。
【0040】
図5に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、ミシン目状に設けられた切り込み6が真空断熱材1の端部まで繋がっていないことを特徴とし、それ以外は、実施の形態1の真空断熱材1と同じ構成である。
【0041】
以上のような構成でも、2つ以上の切り込み6が直線状に設けられているので、真空断熱材1の端部まで直線的に折り曲げることができる。よって、真空断熱材1を折り曲げたときに芯材4の際で折り曲がり難くなり、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。また、切り込み6が真空断熱材1の端部まで繋がっていないので、端部から真空断熱材1が引き裂かれることを抑えることができる。
【0042】
また、ラミネートフィルム5に切り込み6があるので真空断熱材1の断熱方向への通気性が良くなる。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0043】
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4における真空断熱材の平面図である。
【0044】
図6に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、ミシン目状の切り込み6がミシン目の列方向に長い長方形の貫通孔8によって形成され、ミシン目状の貫通孔8が、互いに平行な一組の列だけであることを特徴とし、それ以外は、実施の形態1の真空断熱材1と同じ構成である。
【0045】
以上のような構成により、ミシン目状に貫通孔8をあけた個所の曲げ強度がラミネートフィルム5の芯材4を独立空間に分断している個所よりも相対的に弱くなり、折り目が形成できる。よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0046】
また、真空断熱材1に貫通孔8があいているので、切り込み6の場合よりも真空断熱材1の断熱方向への通気性が向上する。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0047】
(実施の形態5)
図7は本発明の実施の形態5における真空断熱材の平面図である。
【0048】
図7に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、実施の形態4におけるミシン目状の貫通孔8の形状をミシン目の列方向に長い楕円型や菱形に変えたものである。
【0049】
以上のように貫通孔8を設けることにより、ミシン目状に貫通孔8をあけた個所の曲げ強度がラミネートフィルム5の芯材4を独立空間に分断している個所よりも相対的に弱くなり、折り目が形成される。特に貫通孔8の鋭角部分を向けた方向に折り目が形成され易くなる。これにより、真空断熱材1を折り曲げたときに芯材4の際で折り曲がらず、予め設けておいた折り目で曲がるようになる。よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0050】
また、真空断熱材1に貫通孔8があいているので、切り込み6の場合よりも真空断熱材1の断熱方向への通気性が向上する。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0051】
また、真空断熱材1を引き裂く方向に力がかかった場合、貫通孔8が円や楕円形状だと直線の切り込みの場合よりも力が分散されるので、引き裂かれ難くなる。特に、真空断熱材1の端部において顕著である。よって、使用用途に応じて、折り目の形成方法を選ぶとよい。
【0052】
(実施の形態6)
図8は本発明の実施の形態6における真空断熱材の平面図である。
【0053】
図8に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、ミシン目状に切り込み6と貫通孔8を混ぜて折り目を設けたことを特徴とし、それ以外は、実施の形態1の真空断熱材1と同じ構成である。なお、貫通孔8を設ける位置は、真空断熱材1の縦横に設けた折り目と折り目が交わる位置にしている。
【0054】
以上のような構成により、ミシン目状に切り込み6と貫通孔8をあけた個所の曲げ強度がラミネートフィルム5の芯材4を独立空間に分断している個所よりも相対的に弱くなり、折り目が形成できる。よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0055】
また、真空断熱材1に貫通孔8があいているので、切り込み6の場合よりも真空断熱材1の断熱方向への通気性が向上する。これにより湿気を逃がすことができ、湿気が問題になる用途に適用することができる。
【0056】
また、貫通孔8のみの場合より芯材4と穴を設けた個所との距離を取ることができるので、芯材4空間へのガスの侵入を低減することができる。よって、長期においての断熱性能の劣化を抑えることができる。
【0057】
(実施の形態7)
図9は本発明の実施の形態7における真空断熱材の平面図である。
【0058】
図9に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、ミシン目状に設けた切り込み6が2列だけで、しかも、芯材4と芯材4との間を等分しないように設けられていることを特徴とし、それ以外は、実施の形態1の真空断熱材1と同じ構成である。
【0059】
以上のような構成でも、真空断熱材1を折り曲げたときに芯材4の際で折り曲がらず、予め設けておいた折り目で曲がるようになる。よって、芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない折り目で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0060】
(実施の形態8)
図10は本発明の実施の形態8における履物の側面図である。図11は本発明の実施の形態8における中敷き形状の真空断熱材の平面図である。
【0061】
図10、図11に示すように、本実施の形態の履物9は、中敷き形状の真空断熱材1を内側の底面に配設した履物9である。真空断熱材1は、実施の形態1から7のいずれかに記載のものであり、かつ折り目が履物9の幅方向になるように履物9の底に設けたものである。真空断熱材1はカバー部材10で覆われている。ここで、履物9の幅方向とは、つま先と踵とを結ぶ方向以外の向きであり、図11の切り込み6による折り目が形成された方向である。
【0062】
ここで、カバー部材10において真空断熱材1の折り目と重なる部分に、曲げ強度がカバー部材の他の部分よりも相対的に弱い部分を設けることが望ましい。
【0063】
以上のような構成により、折り目が歩くときに曲がる部分である指の付け根部分に形成されることになるので、違和感なく歩行できる。歩行しても芯材4の際で折り曲がらず、芯材4が配置された空間と連結していない個所で折り曲がるので、ラミネートフィルム5の折り目に割れやピンホールが発生しても芯材4が配置された空間を減圧状態に保つことができる。これにより、断熱性能の劣化を抑えることができ、屈曲性が要求される用途でも適用することができる。
【0064】
また、カバー部材10において真空断熱材1の折り目と重なる部分に、曲げ強度がカバー部材10の他の部分よりも相対的に弱い部分を設けることにより、真空断熱材1が折り目で曲がり易くなる。
【0065】
また、真空断熱材1は高い断熱性があり、体熱の保温や冷気の遮断が効果的に行われ、冬季スポーツや寒冷地における使用においても足部を快適に保つことができる。
【0066】
なお、本実施の形態では芯材4が2つであり、幅方向にのみ折り目が形成されているが、複数の芯材からなり、幅方向だけでなくその他の方向にも折り目が形成されていてもよい。芯材4を複数で構成し折り目を設けることにより、加重に対して加重面に沿うように真空断熱材1が折り目で曲がる。よって、折り目で曲がることによる割れやピンホールでの減圧状態の低下を抑えることができ、断熱性能低下を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、優れた断熱性能を有し、屈曲用途で用いても真空断熱材が破袋しにくく、断熱性能の低下をすることなく使用できるので、本発明の実施の形態に示した履物に限らず、衣服、手袋、帽子、マット、カーテン、ブラインド、折り畳み式の保温容器等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における真空断熱材の斜視図
【図2】同実施の形態における真空断熱材の平面図
【図3】同実施の形態における真空断熱材の縦断面図
【図4】本発明の実施の形態2における真空断熱材の平面図
【図5】本発明の実施の形態3における真空断熱材の平面図
【図6】本発明の実施の形態4における真空断熱材の平面図
【図7】本発明の実施の形態5における真空断熱材の平面図
【図8】本発明の実施の形態6における真空断熱材の平面図
【図9】本発明の実施の形態7における真空断熱材の平面図
【図10】本発明の実施の形態8における履物の側面図
【図11】同実施の形態の履物における中敷き形状の真空断熱材の平面図
【図12】従来の真空断熱材の縦断面図
【符号の説明】
【0069】
1 真空断熱材
4 芯材
5 ラミネートフィルム
6 切り込み
7 切り欠け
8 貫通孔
9 履物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の少なくとも2つ以上の独立空間に前記芯材を真空密封した真空断熱材において、ラミネートフィルムの前記芯材を前記独立空間に分断している個所のうち、芯材配置空間との境目を除く部分に、曲げ強度が前記独立空間に分断している個所よりも相対的に弱い折り目を設けた真空断熱材。
【請求項2】
折り目が直線状に設けられている請求項1に記載の真空断熱材。
【請求項3】
折り目がラミネートフィルムに少なくとも2つ以上の切り込みを設けることにより形成された請求項1または2に記載の真空断熱材。
【請求項4】
折り目が真空断熱材の端部まで設けられており、少なくとも折り目の両端部に切り込みを設けることにより形成された請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材を内側の底面に配設した履物であって、前記真空断熱材の折り目が前記履物の幅方向になっている履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−342922(P2006−342922A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170647(P2005−170647)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】