説明

真空機器

【課題】真空中における絶縁構造体の沿面での絶縁耐力を向上させた真空機器を提供するとことを目的とする。
【解決手段】 絶縁体を介して電位差のある複数の導体が配置された構造を有する5×10−2Pa以下の圧力下で使用される絶縁構造体において、少なくとも前記絶縁体の最表面の一部が、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格D570に規定された23℃吸水率が0.3%以下のエポキシ樹脂組成物であり、このエポキシ樹脂組成物は、少なくとも主剤と反応性希釈剤と触媒型硬化剤とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子による表面改質装置、電子銃、粒子加速装置などの真空中で高電圧を利用する真空機器に関するものであり、特に、真空モータへの適用が好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の真空機器における絶縁構造体として、例えば、特許文献1に示された構造が知られている。この特許文献1に開示された絶縁構造に対応する構造を図3に示す。
図3において、111は高電位導体であり、正の高電圧が印加される。112は低電位導体であり、通常接地される。113は絶縁体であり、高電位導体111の支持および高電位導体111と低電位導体112の電気絶縁を確保するために設けられる。低電位導体112には凹部が形成され、絶縁体113との間にクリアランスが設けられている。絶縁体113は、一般的に、アルミナや繊維強化プラスチック(以下、FRPという)が用いられ、その沿面における絶縁破壊を防止するのに十分な長さが設けられている。
このような絶縁構造体では、低電位導体112に凹部を形成し、低電位導体112と絶縁体113との間にクリアランスが設けられている。これにより絶縁体113の沿面における絶縁破壊の原因の一つであるトリプルジャンクション(真空中の低電位導体112と絶縁体113との接合部)における電子の放出を抑制する。
【特許文献1】特開平8−124514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
真空中での絶縁破壊には、高電位導体111と低電位導体112とのギャップ間の貫通破壊よりも絶縁体113の沿面破壊が支配的である。この沿面における絶縁破壊のメカニズムについて、図4をもとに説明する。
真空中で図4の高電位導体111に高電圧が印加されると、真空と絶縁体113と低電位導体112とが成す3重点(トリプルジャンクション114)における電界が非常に大きくなり低電位導体112から電子が放出される。放出された一部の電子は絶縁体113に衝突する。このとき、絶縁体113から電子(二次電子)が放出され、この電子が絶縁体113に衝突することでさらに電子が放出される。このように、二次電子が次から次へと増殖される現象(二次電子なだれ現象)が電界によって高電位導体111に向かって進行する。二次電子の放出量が多いと絶縁体113の帯電量が大きくなり、絶縁破壊(沿面放電)しやすくなる。二次電子の放出量は絶縁体113の二次電子放出係数に依存し、この値が大きいほど二次電子放出量が多い。
【0004】
また、沿面放電は、絶縁体113の表面近傍における絶縁体113から放出されたガスを介しても生じるので、絶縁体113から放出されるガスの量(以下、ガス放出速度という)が多いほど絶縁破壊しやすくなる。この現象は、雰囲気圧力が5×10−2Pa以下において特に影響が大きくなる。つまり、雰囲気圧力が5×10−2Pa以下では、トリプルジャンクション114における電子の放出を抑制しても、絶縁体113が二次電子放出係数の高い材料の場合やガス放出速度が大きい材料の場合は絶縁耐力を大幅に向上できない。
【0005】
以上述べたように、真空中での沿面における絶縁破壊には、トリプルジャンクション114における電子の放出と絶縁体113の二次電子放出係数と絶縁体113からのガス放出速度が関係している。従来の真空中における絶縁構造体は、トリプルジャンクション114における電子の放出を抑制しているが、絶縁体113にアルミナのような二次電子放出係数がFRPなどの樹脂に比べて桁違いに大きい材料やFRPのようなガス放出速度の大きい材料が使用されるので、絶縁耐力の向上には限界があった。つまり、絶縁体113にこれらの材料が使用される場合、絶縁耐力を向上させるためには沿面距離を長くしなければならない。このため、装置の小型化が困難という問題や、装置の大きさが制限される場合は、十分な沿面距離を確保できずに、絶縁信頼性が低下するというような問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、真空中における絶縁構造体の沿面での絶縁耐力を向上させた真空機器を提供するとことを目的とする。本発明により、真空機器の小型化を実現することができ、また、絶縁信頼性の高い絶縁構造体を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の代表的な発明は、高電位が与えられる高電位導体と、低電位が与えられる低電位導体と、前記高電位導体と前記低電位導体との間に配置された絶縁体と、前記絶縁体上に形成され、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格D570に規定された23℃の吸水率が0.3%以下であり、かつ、膜厚が0.005mm以上、2.0mm以下であるエポキシ樹脂組成物とを備えた真空雰囲気で用いられる真空機器である。
また、本願の他の代表的な発明は、高電圧が印加される第1および第2の導体間に絶縁体が配置された絶縁構造体を備え、5×10−2Pa以下の圧力下で使用される真空機器であって、前記絶縁体の最表面の一部が、米国材料試験協会(ASTM)の規格D570に規定された23℃吸水率が0.3%以下のエポキシ樹脂組成物であり、前記エポキシ樹脂組成物は、少なくとも主剤と反応性希釈剤と触媒型硬化剤とから構成され、前記主剤は、ビスフェノール型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型、または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテル、ポリチオールなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、前記触媒型硬化剤はイミダゾール化合物、または、3フッ化ホウ素アミン錯体である真空機器である。
さらに、本願の他の代表的な発明は、エポキシ樹脂組成物と絶縁体との間に、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層を形成したものである。
さらに、本願の他の代表的な発明は、上記発明で用いられるイミダゾール化合物を2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール、nウンデシルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾール、または、それらの混合物とし、その配合比を前記主剤と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して前記触媒型硬化剤が0.5重量部以上7重量部以下としたものである。
本願の他の発明については、本願明細書および図面の開示を参照すれば理解できるであろう。
【発明の効果】
【0007】
本願の代表的な発明によれば、絶縁体からのガス放出量が少なく、かつ2次電子放出係数も小さい真空機器を実現できる。従って、真空中での絶縁体の沿面における絶縁耐力が向上する。
本願の他の代表的な発明によれば、エポキシ樹脂組成物と絶縁体との間に、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層を形成したので、絶縁体とその最表面のエポキシ樹脂組成物との密着性が高くなり、さらにガス放出量を低減することができる。その結果、絶縁体の沿面における絶縁耐力がより高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本実施形態の真空機器における絶縁構造体の部分拡大断面図である。図1において、1はエポキシ樹脂組成物であり、絶縁体113の表面(側面)全体に被覆されている。
本実施形態における絶縁構造体と図3に示した構造体との間で最も異なる部分は、絶縁体113の表面に形成されたエポキシ樹脂組成物1の有無である。なお、本実施形態においては、絶縁体113の表面にエポキシ樹脂組成物1を形成した例が示されているが、絶縁構造体を全てエポキシ樹脂組成物により構成することも可能である。すなわち、絶縁体をエポキシ樹脂組成物で構成すれば、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
このような構成によれば、絶縁体からのガス放出量が少なく、かつ2次電子放出係数も小さくできる。これにより真空中での絶縁体の沿面における絶縁耐力が向上する。結果として小型化の真空機器を実現することができる。
なお、本実施形態においては、高電位導体111には正の高電位が印加され、低電位導体112には基準電位である接地電位が与えられているが、高電位導体111と低電位導体112との間に所定の電位差(電圧)を生じさせるものであれば本実施形態の態様に限らない。すなわち、所定の電圧が確保できるものであれば、正負の電圧を含めて適宜設定できる。
以下、本実施形態に係る種々の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例のエポキシ樹脂組成物1は触媒型硬化剤で硬化させ、下記の化学構造を持つものとした。本実施例で用いたエポキシ樹脂組成物は米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格D570に規定された23℃吸水率が0.3%以下のエポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂組成物における、主剤、希釈材、硬化剤、充填材の組み合わせと配合比(重量部)は表1のとおりである。
(a)ナフタレン型エポキシ樹脂
(b)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
(c)メソゲン基を持つエポキシ樹脂
(d)ビスフェノール型エポキシ樹脂
(e)フェニルグリシジルエーテル(反応性希釈剤の一例)
(f)2エチル4メチルイミダゾール
(g)2メチルイミダゾール
(h)3フッ化ホウ素アニリン錯体
(i)ジアミノジフェニルメタン系硬化剤
(j)シリカ(充填材の一例)
【0010】
【表1】

【0011】
表1に示す組成のエポキシ樹脂組成物1を絶縁体113の表面に被覆して、絶縁体113の沿面における絶縁耐力とガス放出速度を調べた。いずれの場合も、エポキシ樹脂組成物1の厚さは1mmとし、絶縁体113にはアルミナおよびFRPを用いた。
絶縁耐力を調べる場合、雰囲気圧力を約1×10−4Paとし、絶縁体113の沿面距離つまり高電位導体111と低電位導体112(接地)との距離を2mmとして高電位導体111に電圧を印加した。また、絶縁耐力には表面の清浄度などが影響することが知られているので、この影響を低減するために、放電20回のコンディショニング後のデータで試料間の比較を行った。
一方、ガス放出速度を調べる場合、絶縁耐力を調べる試料とは別に、絶縁体113と同一材質の平板全面にエポキシ樹脂組成物1を被覆した試料を用いた。ガス放出速度はスループット法で調べ、室温排気10時間時点での試料の単位面積当たりのデータを用いた。
なお、絶縁耐力の従来例には図3の構造の絶縁構造体を用い、図3中x、hはいずれも0.2mmとした。ガス放出速度の従来例にはアルミナおよびFRPの平板試料を用いた。
表2に評価結果を示す。ガス放出速度と絶縁耐力はいずれも相対値である。表1に示した全てのエポキシ樹脂組成物において、絶縁体113がアルミナの場合もFRPの場合も絶縁耐力は5倍以上に向上していることがわかる。表1に示すエポキシ樹脂組成物が最表面に存在することにより、絶縁体113がアルミナの場合は二次電子放出係数の高いアルミナが表面に露出しないようになり、絶縁体113がFRPの場合は、ガス放出速度が低減される。これらに起因して絶縁耐力が向上している。
なお、本実施例の雰囲気圧力は約1×10−4Paとしたが、沿面放電は、絶縁体の表面近傍における絶縁体のガス放出速度が多いほど絶縁破壊しやすくなり、この現象は、雰囲気圧力が5×10−2Pa以下において特に影響が大きくなる。
【0012】
【表2】

【0013】
次に、最適な被覆厚みを調べるために、エポキシ樹脂組成物1に表1の(1)を用い、その厚みを変えて同様な実験を行った。表3に結果を示す。なお、表中の厚みは試料の断面を複数個所観察して、その中で最も大きい値を示している。また、ガス放出速度および絶縁耐力は表1の絶縁体113がアルミナの場合の従来例に対する相対値である。
表3において、絶縁体113がアルミナの場合もFRPの場合も厚みが0.005mmから2.0mmの範囲で絶縁耐力は5倍以上向上していることがわかる。厚みが0.004mm以下において、絶縁体113がアルミナの場合は、二次電子放出係数の高いアルミナが一部表面に露出するために絶縁耐力が低下している。一方、絶縁体113がFRPの場合は、FRPが一部表面に露出することやFRPから放出されたガスがエポキシ樹脂組成物1を透過する割合が増大することによって、ガス放出速度が大きくなる。このために厚みが0.004mm以下において絶縁耐力が低下している。
【0014】
厚みが2.5mm以上では、絶縁体113がアルミナの場合もFRPの場合も、エポキシ樹脂組成物に微小なクラックが生じるようになるとともに絶縁体113との間が一部はく離するために、絶縁耐力が低下する。エポキシ樹脂組成物1は厚いほど、クラックは生成しやすくなり、密着性(以下,はく離強さという)は低下する。ただし、両者とも比較的ばらつくので、エポキシ樹脂組成物1の適切な厚みを決定するために、多数の試料を作製してクラックの有無やはく離強さを調べた。はく離強さは正規分布に従うことが知られており、産業用製品でははく離強さの低い側に分布した少なくとも3σの値が0MPa以上でないと製品適用ができないので、測定されたはく離強さの平均値と標準偏差σを計算して、平均値−3σの値で評価した。エポキシ樹脂組成物の材質は表1の(1)とし、絶縁体113にはエポキシ樹脂組成物1との線膨張係数差が大きいアルミナを用いた。表4に評価結果を示す。エポキシ樹脂組成物1の厚みが2.1mm以上でははく離強さの平均値−3σが0MPa未満となっている。また、2.2mm以上の厚みでは微小なクラックが観察された。
以上の結果から、エポキシ樹脂組成物の厚みは0.005mm以上2.0mm以下が望ましい。
【0015】
【表3】

【0016】
【表4】

【実施例2】
【0017】
図2は第2実施例の構成を示す図である。図において、2は縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層であり、絶縁体113とエポキシ樹脂組成物1との間に配置されている。
【0018】
絶縁耐力の信頼性を調べるために、ヒートサイクル試験を行った。絶縁体113にはエポキシ樹脂組成物1との線膨張係数差が大きいアルミナを用い、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層2には、縮合型硬化剤の一例としてアミン硬化剤を用いた下記の材質とした・ヒートサイクルの上限および下限温度は、それぞれ150℃、室温とし、200サイクル実施した。なお、最表面のエポキシ樹脂組成物の厚みは2.0mmとした。上述したように、クラックやはく離が生じると絶縁耐力が著しく低下するので、ヒートサイクル試験後にクラックやはく離の有無を観察することにより絶縁耐力に対する信頼性を評価した。本実施例では、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層2として、(i)商品名EP−001(セメダイン社製)、(ii)商品名DP−460シリーズ(住友スリーエム社製)を用いた。
【0019】
表5に結果を示す。エポキシ樹脂層2を配置したすべての試料においてクラックやはく離は観察されなかった。なお、エポキシ樹脂層2を配置しない場合はヒートサイクル試験後にわずかにはく離が観察された。つまり、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層2の接着力が強いために、エポキシ樹脂組成物1の接着信頼性が向上することが確認された。これにより、絶縁耐力の信頼性をより向上することが可能である。
【0020】
【表5】

【0021】
以上述べたように、絶縁体113の最表面がエポキシ樹脂組成物1であれば絶縁耐力を大幅に向上させることができるので、本発明の真空中における絶縁構造体を荷電粒子による表面改質装置,電子銃,粒子加速装置および真空モータの電気絶縁部に適用すれば、それらの絶縁耐力を向上でき、装置の小型化が可能であることは言うまでもない。
【0022】
なお、上記各実施例における触媒型硬化剤の配合比は、主剤と反応性希釈剤との合計100重量部に対して0.5重量部以上7重量部以下が最適である。この範囲の配合比であれば、硬化反応が適切な速度となり、気泡の生成が抑制されるとともに、硬化収縮も抑制されてクラックが実質的に発生することもなく、安定した品質の製品が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の真空機器における絶縁構造体の側断面図
【図2】第2の実施例に係る絶縁構造体の側断面図
【図3】従来例における絶縁構造体の側断面図
【図4】従来例の絶縁構造体において沿面における絶縁破壊メカニズムを説明するための側断面図
【符号の説明】
【0024】
1 エポキシ樹脂組成物
2 縮合型硬化剤で硬化させたエポキシ樹脂層
111 高電位導体(正の高電圧印加部)
112 低電位導体(接地部)
113 絶縁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位が与えられる高電位導体と、
低電位が与えられる低電位導体と、
前記高電位導体と前記低電位導体との間に配置された絶縁体と、
前記絶縁体上に形成され、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials) の規格D570に規定された23℃の吸水率が0.3%以下であり、かつ、膜厚が0.005mm以上、2.0mm以下であるエポキシ樹脂組成物とを備えたことを特徴とする真空雰囲気で用いられる真空機器。
【請求項2】
前記真空雰囲気は1×10−2Pa以下であることを特徴とする請求項1記載の真空機器。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂組成物は、少なくとも主剤と反応性希釈剤と触媒型硬化剤とから構成され、前記主剤は、ビスフェノール型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型、または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテル、ポリチオールなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、前記触媒型硬化剤はイミダゾール化合物、または、3フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする請求項1または2記載の真空機器。
【請求項4】
前記イミダゾール化合物は2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール、nウンデシルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾール、または、それらの混合物であり、その配合比が前記主剤と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して前記触媒型硬化剤が0.5重量部以上7重量部以下であることを特徴とする請求項3記載の真空機器。
【請求項5】
前記3フッ化ホウ素アミン錯体は3フッ化ホウ素アニリン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3または4記載の真空機器。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂組成物と前記絶縁体との間に、縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層を形成したことを特徴とする請求項1乃至5記載の真空機器。
【請求項7】
前記絶縁体はアルミナまたは繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1乃至6記載の真空機器。
【請求項8】
高電圧が印加される第1および第2の導体間に絶縁体が配置された絶縁構造体を備え、5×10−2Pa以下の圧力下で使用される真空機器であって、
前記絶縁体の最表面の一部が、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格D570に規定された23℃吸水率が0.3%以下のエポキシ樹脂組成物であり、
前記エポキシ樹脂組成物は、少なくとも主剤と反応性希釈剤と触媒型硬化剤とから構成され、前記主剤は、ビスフェノール型、または、芳香族環、五員環、脂肪族六員環、ジシクロペンタジエン構造、ノボラック構造、メソゲン基のいずれかを含む環状の化学構造より選ばれる1つ、またはそれらの混合物であり、前記反応性希釈剤の化学構造は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能型、または直鎖脂肪族、ポリグリコール、ポリエーテル、ポリチオールなどの2官能型、またはそれらの混合物であり、前記触媒型硬化剤はイミダゾール化合物、または、3フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする真空機器。
【請求項9】
前記イミダゾール化合物は2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール、nウンデシルイミダゾール、1ベンジル2メチルイミダゾール、または、それらの混合物であり、その配合比が前記主剤と前記反応性希釈剤との合計100重量部に対して前記触媒型硬化剤が0.5重量部以上7重量部以下であることを特徴とする請求項8記載の真空機器。
【請求項10】
前記3フッ化ホウ素アミン錯体は3フッ化ホウ素アニリン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項8または9記載の真空機器。
【請求項11】
前記エポキシ樹脂組成物の厚みが、0.005mm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項8乃至10記載の真空機器。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂組成物の下に縮合型硬化剤を用いたエポキシ樹脂層を設けることを特徴とする請求項8乃至11記載の真空機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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