説明

着弾点の表示装置、および射撃システム

【課題】光弾の着弾点を見やすく表示する。
【解決手段】本発明の表示装置は、標的における光弾の着弾点の弾痕であって所定の大きさおよび形状に設定された弾痕を示す第1のデータと、標的における光弾の着弾点の中心位置を示す第2のデータの「×」印とを同時に表示する。第2のデータは、「×」印に限定されず、「+」印や矢印などであっても良い。したがって、光弾の弾痕を拡大または変形しなくても、第2のデータによって光弾の着弾点を見やすく表示することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的における光弾の着弾点を表示する着弾点の表示装置、および射撃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、競技種目の1つとして射撃が知られている。最近では、実弾銃または光銃から射撃対象の標的に向けて実弾または光弾を発射し、標的上の的中精度によって得点を競う射撃システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図7は、レーザー光を発射するレーザー銃を用いて射撃を行うための従来の射撃システムの一構成例を示す図である。
【0004】
図7に示すように本従来例の射撃システムは、競技者が操作することによりレーザー光からなる光弾72を発射するレーザー銃71と、レーザー銃71から発射された光弾72が着弾する標的板73が取り外し可能に装着され、標的板73における光弾72の着弾位置を検出する着弾位置検出器74と、着弾位置検出器74における光弾72の着弾位置の検出結果に基づいて標的板73における光弾72の着弾点を表示する競技者用PC75と、着弾位置検出器74と競技者用PC75とを接続するためのスイッチングユニット76とから構成されている。なお、レーザー銃71と着弾位置検出器74とは、競技種目に応じて予め決められた距離(例えば、10mまたは25m)だけ離れた場所に設けられており、その距離に応じた種類の標的板73が着弾位置検出器74に選択的に取り付けられる。また、スイッチングユニット76は、10BASE−TのLAN77のスイッチングHUBである。
【0005】
以下に、上記のように構成された射撃システムにて射撃を行った場合の処理の流れについて説明する。
【0006】
競技者が、レーザー銃71を標的板73の方向に向けた状態で、レーザー銃71のトリガーを引く等、レーザー銃71から光弾72が発射されるような操作を行うと、レーザー銃71から光弾72が発射される。なお、レーザー銃71から発射される光弾72の光源としては、例えば、半導体レーザー発振素子が用いられる。
【0007】
レーザー銃71から発射された光弾72は、実弾銃の実弾と同様に、レーザー銃71の銃口から発射された後、レーザー銃71が向けられた方向に直進する。
【0008】
レーザー銃71から発射された光弾72が、着弾位置検出器74に装着された標的板73に着弾すると、着弾位置検出器74においてその着弾位置が検出され、検出された着弾位置情報がスイッチングユニット76を介して競技者用PC75に送信される。
【0009】
競技者用PC75においては、着弾位置検出器74から送信されてきた着弾位置情報に基づいて、光弾72の着弾点の弾痕(円状)が表示される他、競技者のゼッケン番号、弾番号、その弾番号に対応する得点、総得点などが表示される。なお、この射撃システムにおいては、着弾位置検出器74あるいは競技者用PC75のいずれかにおいて、射撃の得点が算出される。
【0010】
図8は、図7に示した標的板73の一例を示す図である。
【0011】
図8に示すように、図7に示した標的板73は、中心点Oを中心とする10個の同心円によって仕切られた10個の環領域(中心点Oの周りは円領域)を表面上に有している。これを得点領域とし、得点領域以外の領域の得点を0点とする。環領域の得点は、最も外側の環領域(「1」と表示されている領域)の得点を1点とし、中心点Oに近づくにつれて1点づつ増えていき、中心の円領域の得点は10点となる。このような標的板73を用いた時の射撃の得点計算に際しては、標的板73の中心と光弾72の弾痕の中心とを直線で結び、その直線が弾痕(円状)の外径と交わる点の位置によって得点が決められる。
【特許文献1】特開平08−303997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述したような従来の射撃システムにおいては、標的板上における光弾の弾痕を競技者用PCに表示する場合、標的板上で約0.5cm〜1cmである弾痕が競技者用PCの画面サイズに縮小されて表示されるため、光弾の着弾点が見えづらくなってしまう場合があるという問題点がある。
【0013】
上述のように標的板を用いた時の得点の計算に際しては、光弾の弾痕を利用して得点計算がなされるため、弾痕を見やすくしようとして、弾痕を拡大して表示したり、弾痕を変形して表示したりすると、得点のイメージがわからなくなるという問題点がある。また、標的板の中心付近に数多くの光弾が着弾した場合、その光弾の弾痕同士を区別することができないという問題点がある。
【0014】
そこで本発明の目的は、光弾の弾痕を変形または拡大しなくても、光弾の着弾点を見やすく表示することができる、着弾点の表示装置、および射撃システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の着弾点の表示装置は、
前記標的における光弾の着弾点の弾痕であって所定の大きさおよび形状に設定された弾痕を示す第1のデータと、前記標的における光弾の着弾点の位置を示す第2のデータとを同時に表示することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、光弾の弾痕を拡大または変形しなくても、第2のデータによって光弾の着弾点を見やすく表示することが可能である。また、弾痕を拡大または変形して表示する必要がないため、得点のイメージを容易に理解することが可能である。
【0017】
上記目的を達成するために本発明の射撃システムは、
光弾を発射する光銃と、前記光銃から発射された光弾が着弾する標的が取り外し可能に装着され、前記標的における光弾の着弾位置を検出する検出手段と、前記検出手段における検出結果に基づいて前記標的における光弾の着弾点を表示する表示手段とを少なくとも有してなる射撃システムにおいて、
前記表示手段は、前記標的における光弾の着弾点の弾痕であって所定の大きさおよび形状に設定された弾痕を示す第1のデータと、前記標的における光弾の着弾点の位置を示す第2のデータとを同時に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明においては、標的における光弾の着弾点の弾痕を示す第1のデータを表示すると同時に、標的における光弾の着弾点の位置を示す第2のデータを表示する構成としたため、光弾の弾痕を拡大または変形しなくても、第2のデータによって光弾の着弾点を見やすく表示することができるという効果がある。また、弾痕を拡大または変形して表示する必要がないため、得点のイメージを容易に理解することができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の着弾点の表示装置を用いた射撃システムの実施の一形態を示す図である。
【0021】
図1に示すように本実施形態に係る射撃システムは、競技者が操作することによりレーザー光からなる光弾2を発射するレーザー銃1と、レーザー銃1から発射された光弾2が着弾する標的板3が取り外し可能に装着され、標的板3における光弾2の着弾位置を検出する着弾位置検出器4と、本発明の表示装置として適用され、着弾位置検出器4における光弾2の着弾位置の検出結果に基づいて標的板3における光弾2の着弾点を表示する競技者用PC5と、着弾位置検出器4と競技者用PC5とを接続するためのスイッチングユニット6とから構成されている。なお、レーザー銃1と着弾位置検出器4とは、競技種目に応じて予め決められた距離(例えば、10mまたは25m)だけ離れた場所に設けられており、その距離に応じた種類の標的板3が着弾位置検出器4に選択的に取り付けられる。また、スイッチングユニット6は、10BASE−TのLAN7のスイッチングHUBである。
【0022】
競技者用PC5は、図2に示すように、着弾位置検出器4における光弾2の着弾位置の検出結果に基づいて、標的板3における光弾2の着弾点の弾痕を示す第1のデータと、標的板3における光弾2の着弾点の中心位置を示す「×」印の第2のデータとを同時に表示する。なお、この第2のデータが示す光弾2の着弾点の位置は、着弾点の中心に限定されず、例えば、得点の算出点(標的板3の中心と光弾2の弾痕の中心とを結んだ直線が弾痕(円状)の外径と交わる点)など、着弾点のどの位置であっても良い。また、この第2のデータの形状は、「×」印に限定されず、図3に示す「+」印や、図4に示す矢印など、光弾2の着弾点の位置を示すものであればいかなる形状であっても良い。また、第2のデータの形状を単なる点、あるいは上述の「×」印、「+」印、矢印とし、これを点滅させて表示することとしても良い。
【0023】
以下に、上記のように構成された射撃システムにて、競技者が1人あるいは少人数で射撃の競技練習を行った場合の処理の流れについて説明する。ここでは、競技者用PC5側で、競技の進行などの管理/運用を行うものとする。
【0024】
まず、競技者は、センター・ファイヤ・ピストル競技、スポーツピストル競技などの競技種目を競技者用PC5上で選択する。
【0025】
実弾銃による実弾射撃においては、競技種目に応じて、標的板や弾痕の大きさおよび形状が異なるため、本実施形態も同様に、競技者用PC5において、競技種目に合わせて標的板3や弾痕の大きさおよび形状が設定され、設定された標的板3に基づく標的が競技者用PC5の画面に表示される。なお、競技者用PC5の画面に表示される標的は、競技者用PC5の画面サイズに応じた大きさで表示される。続いて、競技の進行を制御するプログラムが実行されて競技練習が開始される。
【0026】
競技者が、レーザー銃1を標的板3の方向に向けた状態で、レーザー銃1のトリガーを引く等、レーザー銃1から光弾2が発射されるような操作を行うと、レーザー銃1から光弾2が発射される。なお、レーザー銃1から発射される光弾2の光源としては、例えば、半導体レーザー発振素子が用いられる。
【0027】
レーザー銃1から発射された光弾2は、実弾銃の実弾と同様に、レーザー銃1の銃口から発射された後、レーザー銃1が向けられた方向に直進する。
【0028】
レーザー銃1から発射された光弾2が、着弾位置検出器4に装着された標的板3に着弾すると、着弾位置検出器4においてその着弾位置が検出され、検出された着弾位置情報がスイッチングユニット6を介して競技者用PC5に送信される。
【0029】
競技者用PC5においては、図2に示すように、着弾位置検出器4から送信されてきた着弾位置情報に基づいて、標的板3における光弾2の着弾点の弾痕を示す第1のデータと、標的板3における光弾2の着弾点の中心位置を示す「×」印の第2のデータとが同時に表示される。
【0030】
このとき、競技者用PC5においては、競技種目に合わせて設定された標的板3に基づく標的は、競技者用PC5の画面サイズに応じた大きさで表示され、競技種目に合わせて設定された弾痕を示す第1のデータは、標的に相対的に応じた大きさおよび形状で表示される。そのため、標的を拡大表示したとしても、標的の大きさと、弾痕の大きさおよび形状との関係が損なわれない。
【0031】
また、第2のデータが示す光弾2の着弾点の位置は、着弾点の中心に限定されず、例えば、得点の算出点(標的板3の中心と光弾2の弾痕の中心とを結んだ直線が弾痕(円状)の外径と交わる点)など、着弾点のどの位置であっても良い。また、第2のデータの大きさおよび形状は拡大表示等の状況に応じて見やすいように変更させても良い。例えば、図2(a)に示すように、標的全体を表示しているために弾痕の位置が分りづらい場合は、「×」印の長さを弾痕に比べて長くし、位置を見やすくし、図2(b)に示すように、標的を拡大表示しているために弾痕の位置がある程度分かる場合は、「×」印の長さを弾痕に比べて短くし、弾痕を見やすくしても良い。また、第2のデータの形状は、「×」印に限定されず、図3に示す「+」印や、図4に示す矢印など、光弾2の着弾点の位置を示すものであればいかなる形状であっても良い。また、第2のデータの形状を単なる点、あるいは上述の「×」印、「+」印、矢印とし、これを点滅させて表示することとしても良い。
【0032】
さらに、競技者用PC5においては、図5に示すように、標的板3における光弾2の着弾点を示すデータの他に、競技者のゼッケン番号、弾番号、その弾番号に対応する得点、総得点などのデータが表示される。なお、図5においては、第1〜第6シリーズの各々のシリーズで5回づつ光弾2を発射する射撃競技が行われる場合において、第1シリーズの5回目の射撃が終了した時点の射撃結果が示されている。具体的には、競技者のゼッケン番号、競技者名のデータが表示されている他、第1シリーズにて発射された光弾2の各々について、弾番号、標的板3の中心と着弾点の弾痕の中心とを結んだ直線が弾痕(円状)の外径と交わる点が位置している領域によって決まる得点(「score」と表示)、標的板3の中心点Oから見た着弾点の方向(「Direction」と表示)、上述の弾痕の外径上の点と標的板3の中心との間の距離によって決まる得点(「Detail」と表示)などのデータが表示されている。ここでは、「score」と表示された得点によって総得点が算出されている。なお、この射撃システムにおいては、着弾位置検出器4あるいは競技者用PC5のいずれかにおいて、射撃の得点が算出される。
【0033】
なお、本実施形態においては、本発明の表示装置を競技者用PC5に適用した場合を例に挙げて説明したが、標的板3における光弾2の着弾点を表示する装置であれば、いかなる装置にも本発明を適用することが可能である。
【0034】
例えば、標的板3における光弾2の着弾点を、競技者用PC5の画面に表示するだけでなく、競技者用PC5にプロジェクターやモニタなどを接続してこれらの装置に光弾2の着弾点を表示する場合には、このプロジェクターやモニタに本発明を適用することが可能である。
【0035】
また、本実施形態においては、競技者が競技練習を行う場合を例に挙げて説明したが、競技大会を行う場合にも、本発明の表示装置は有効に適用される。競技大会を行う場合、例えば、図6に示すように、競技の進行等を管理する審判のための審判用PC8や、観客に競技状況を知らせるための観客用PC9や、得点の集計や管理を行うサーバ10などがスイッチングユニット6に接続されることが考えられるが、これらの装置に標的板3における光弾2の着弾点を表示する場合には、これらの装置に本発明を適用することが可能である。なお、競技大会を行う場合には、競技者が閲覧する競技者用PC5には競技の有利/不利になる情報を表示しないよう制限を設ける必要がある。
【0036】
また、本実施形態においては、競技者用PC5側で競技の進行などの管理/運用を行う場合を例に挙げて説明したが、上述の審判用PC8やサーバ10側で集中的に競技の管理/運用を行うこととしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の表示装置を用いた射撃システムの一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の表示装置にて表示される画面であって、標的板における光弾の着弾点を表示した画面の一例を示す図であり、(a)は標的板全体を示す図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図3】本発明の表示装置にて表示される画面であって、標的板における光弾の着弾点を表示した画面の他の例を示す図である。
【図4】本発明の表示装置にて表示される画面であって、標的板における光弾の着弾点を表示した画面のさらに他の例を示す図である。
【図5】本発明の表示装置にて表示される全体画面であって、標的板における光弾の着弾点を図2と同様に表示した画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の表示装置を用いた射撃システムの他の実施形態を示す図である。
【図7】従来の射撃システムの一構成例を示す図である。
【図8】図7に示した標的板の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 レーザー銃
2 光弾
3 標的板
4 着弾位置検出器
5 競技者用PC
6 スイッチングユニット
7 LAN
8 審判用PC
9 観客用PC
10 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的における光弾の着弾点を表示する表示装置において、
前記標的における光弾の着弾点の弾痕であって所定の大きさおよび形状に設定された弾痕を示す第1のデータと、前記標的における光弾の着弾点の位置を示す第2のデータとを同時に表示することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
光弾を発射する光銃と、前記光銃から発射された光弾が着弾する標的が取り外し可能に装着され、前記標的における光弾の着弾位置を検出する検出手段と、前記検出手段における検出結果に基づいて前記標的における光弾の着弾点を表示する表示手段とを少なくとも有してなる射撃システムにおいて、
前記表示手段は、前記標的における光弾の着弾点の弾痕であって所定の大きさおよび形状に設定された弾痕を示す第1のデータと、前記標的における光弾の着弾点の位置を示す第2のデータとを同時に表示することを特徴とする射撃システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−184002(P2006−184002A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93374(P2006−93374)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【分割の表示】特願2002−312673(P2002−312673)の分割
【原出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】