説明

着脱式取手

【課題】ユニットの取手としての機能を保ちながらオペレータの操作を阻害する虞のない取手を提供すること。
【解決手段】係合鉤部41Aを備えた固定プレート41と、係合鉤部50Aを備えた係合部材50がビス70で回動可能に取付けられている可動プレート42を用い、これら固定プレート41と可動プレート42をビス60で回動可能し、固定プレート41と可動プレート42を一緒に握ることにより、実線で示す係合部材50と係合鉤部50Aが夫々破線50’と破線50A’に示すように動くようにすると共に、ユニット20のパネル21には矩形孔22を設けたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の取り扱いに使用される取手に係り、特に、ユニット化された通信機器に好適な着脱式取手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば放送局などにおいて使用される設置式の通信機器や電子機器の場合、機能別にユニット化された複数の機器から構成されるのが一般的であるが、ここで、図3は、このようなユニット化された機器の一例として、設置式の通信装置を示したもので、これは、その本体1に垂直パネル部分10と水平パネル部分11を備え、これらに夫々ユニット20を設置したものであるが、このとき各ユニット20は、保守及び点検時にオペレータ(機器を操作する人)が、図では破線で示されているように、本体1から取出して作業する必要がある。
【0003】
そこで、このときのオペレータの作業を容易にするため、各ユニット20には、予め所定の取手(把手)が取付けてあるのが通例であり、この場合、各ユニット20には、夫々、図示のように、取手30が設けられていることになるので、オペレータは、本体1からのユニット20の取り出し作業や本体1へのユニット20の収納作業を簡単に行うことができるようになる(例えば特許文献1又は特許文献2などを参照。)。
【特許文献1】特開2003−318555号公報
【特許文献2】特開2004−152879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、ユニットに取手が常時存在している点に配慮がされておらず、通常の機器使用時にオペレータの操作が阻害されてしまう虞があった。例えば図3に示したユニット20のパネル21には、図には描かれていないが、着脱を要するコネクタや操作用のノブ(つまみ)、押しボタンなど、オペレータが操作しなければならない部材が設けられている場合があり、このとき取手30がパネル21に存在していると、これが邪魔になってオペレータの操作が阻害されてしまう虞が生じてしまうのである。
【0005】
しかも、この取手30は、人間の指の大きさを考慮する必要があるため、保守や点検時にしか使用されないにもかかわらず、或る程度の大きさに作らざるを得ず、この結果、ユニット20のパネル21の面から大きく突出した状態になってしまうので、オペレータの操作に影響しないようにするのが難しく、また、この結果、複数のユニット間でデザインの統一が困難で、意匠面での改善にも難点があった。
【0006】
本発明の目的は、ユニットの取手としての機能を保ちながらオペレータの操作を阻害する虞のない取手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、一方の端部に略直角方向に突出した係合鉤部が形成され、他方の端部には係合鉤部が形成されている係合部材が軸支された略帯板状部材の固定プレートと、この固定プレートの前記一方の端部の近傍に軸支され、他方の端部にはカラーが取付けられている略帯板状部材の可動プレートとを備えると共に、前記係合部材に前記可動プレートの端部にあるカラーが係合される長円形孔を設け、前記可動プレートの動きにより前記係合部材が回動されるようにして達成される。
【0008】
従って、本発明は、通常はユニットから外されて別な場所に保管されているが、装置からユニットを取出す時に取手をユニットに引っ掛けて使用する取手で、ユニットに取手を引っ掛けた際に固定出来る機構を備えた取手であり、更にユニットに取手を引っ掛けた際にワンタッチで固定及び脱着出来る機構を特徴とした取手であり、それに取手を握っている状態で常にロックが掛っていることを特徴とした取手である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、必要なとき簡単な操作でユニットの外からパネルに取手が固定でき、不要なときは取手が取外しておけるので、通常の機器運用時にはパネルから突出している物体が存在しないようにでき、従って、通常の機器運用に際してオペレータの操作が阻害されること無く常に的確な操作が得られると共に、保守点検に際してのユニットの取り扱いにも常に的確に対応することができる。
【0010】
また、本発明によれば、保守時や点検時以外は取手が無いので、他のユニットのデザインを考慮する必要が無くなり、この結果、デザインに統一感を持たせることが容易にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明によるユニット機器用取手について、図示の実施の形態により詳細に説明する。ここで、図1が本発明の一実施の形態で、ここに示したユニット20は、図3により説明した従来技術におけるユニット20と同じものであり、従って、この図1の(a)には、図3の垂直パネル10又は水平パネル11から引き出したユニット20が描かれていることになるが、しかし、このユニット20の場合、そのパネル21には取手は無く、これに代えて長方形の孔、つまり矩形孔22が、取手の足に相当する位置に2個づつ対になって、合計4個設けてある。そして、これら矩形孔22には、図1(b)、(c)に示すように、着脱式取手40が、その名の通り、着脱自在に係合されるようになっている。
【0012】
そこで、次に、この着脱式取手40の詳細について、更に図2を用いて説明する。ここで、まず図1(b)は、ユニット20のパネル21に係合させた状態にある着脱式取手40を側面から見た図で、同図(c)は、着脱式取手40を正面から見た図、そして図2は、着脱式取手40を分解して斜から見た図であり、これらの図から明らかなように、この着脱式取手40の本体は2枚の部材で構成されている。
【0013】
そこで、一方の部材を略L字形の部材からなる固定プレート41とし、他方は略コの字形の部材からなる可動プレート42とする。そして、これら固定プレート41と可動プレート42を、それらの一方の端部(図では下端部)の近傍において、ビス60とカラー61、それにワッシャ62及び袋ナット63により軸支して相互に回動可能に結合する。このとき図1(c)ではワッシャ62と袋ナット63が省略されている。なお、ビス(vis)とは比較的小さなネジ又は比較的小さなボルトのことである。
【0014】
ここで、まず固定プレート41は、その一方の端部に係合鉤部41Aが形成してあり、他方の端部(図では上端部)には、ビス70とカラー71、それにワッシャ72及び袋ナット73により係合部材50が軸支され、相互に回動可能な状態で支持されている。そして、この係合部材50に、係合鉤部50Aと長円形孔50Bが形成してある。なお、このときも図1(c)ではワッシャ72と袋ナット73が省略されている。
【0015】
次に、可動プレート42は、その他方の端部(図では上端部)に、カラー80が、ビス81とワッシャ82及び袋ナット83により取付けてあり、可動プレート42が固定プレート41に重ねられた状態では、このカラー80が係合部材50の長円形孔50Bに入り込んでいるようになっている。なお、このときも図1(c)ではワッシャ82と袋ナット83は省略されている。
【0016】
そこで、可動プレート42は、固定プレート41に対して回動可能な範囲は、カラー80が係合部材50の長円形孔50Bに入り込んでいることから、図1(b)において、カラー80が円弧線Aに沿って長円形孔50Bの中にある範囲となり、このとき可動プレート42の移動範囲は、固定プレート41に重なっている実線で示す状態から、図に破線で示した状態42’の間に制限される。そして、このときカラー80が長円形孔50Bに対してカムとして働くことから、係合部材50も実線で示す位置から破線50’で示す位置に動かされることになる。
【0017】
ところで、固定プレート41に係合部材50を取付けているビス70には、図示のように、皿頭のねじ、いわゆる皿ネジが用いられ、これに対応して、固定プレート41のビス70が挿入される孔には座繰り加工41Cが施されている。そこで可動プレート42が固定プレート41に重ねられたとき、特に図1(c)から明らかなように、これらの間に隙間が残ってしまうことがないようにしてある。
【0018】
また、このとき、固定プレート41には、それが係合鉤部41Aに延びている部分に屈曲部41Bが形成してあり、これにより、特に図1(c)から明らかなように、係合鉤部41Aと係合部材50が固定プレート41に対して同じ位置(面)に揃うように構成してある。
【0019】
次に、この実施形態による着脱式取手40の使用態様について説明する。まず、この実施形態においては、既に説明したように、ユニット20のパネル21に矩形孔22が設けてあるが、このとき、特に図1(b)から明らかなように、対になっている2個の矩形孔22の間隔に合わせて着脱式取手40の大きさが決められている。
【0020】
具体的には、図示のように、可動プレート42を破線42’で示す位置にして、係合部材50の係合鉤部50Aを破線50A’で示す状態にしたとき、固定プレート41の係合鉤部41Aを一方の矩形孔22、図では下にある矩形孔22に挿入してパネル21の裏側に係合したあと、破線位置50A’にある係合鉤部50Aが他方の矩形孔22、図では上にある矩形孔22に挿入することができるような寸法に作られている。
【0021】
そこで、いま、オペレータが、図3の状態にあるユニット20の保守点検を意図したとする。この場合、オペレータは、着脱式取手40を、図1(b)に破線で示すように、ユニット20の矩形孔22に挿入し、下側の係合鉤部41Aがパネル21の裏側に係合した状態になるようにする。そして、この後、破線42’で示す状態にある可動プレート42を固定プレート41と一緒に握ってやると、破線50A’で示す位置にあった上側の係合鉤部50Aが、ここで、実線で示すように動かされ、パネル21の裏側に係合するようになる。
【0022】
このとき下側の係合鉤部41Aは、既にパネル21の裏側に係合しているから、ここで上側の係合鉤部50Aが実線で示すように動かされたことにより、着脱式取手40は、上側の係合鉤部50Aと下側の係合鉤部41Aによりパネル21に係止された状態にされてしまうことになり、この結果、オペレータは、着脱式取手40により、図3により説明した従来の固定されている取手20の場合と同じく、本体1からのユニット20の取り出し作業や本体1へのユニット20の収納作業を簡単に行うことができる。
【0023】
このとき上側の係合鉤部50Aがパネル21に加えている力は、オペレータが固定プレート41と可動プレート42に加えている握力により決まる。そこで、オペレータが或る程度以上、強く握ることにより、着脱式取手40は強固にユニット20に係止されていることになり、従って、取り扱い中にユニット20から着脱式取手40が外れてしまう虞はなく、ユニット20の取り扱いに取手の存在による利点を充分に活かすことができ、ユニットを取り落としてしまうなどの不慮の事故の発生を抑えることができる。
【0024】
従って、この実施形態に係る着脱式取手40によれば、必要なときだけユニット20に取手を取付け、不要になったら取り外すことができるようになり、この結果、設置式の通信装置の通常の機器運用に際してオペレータの操作が阻害される虞が無く、常に的確な操作が行えると共に、保守点検に際してのユニット20の取り扱いにも常に的確に、且つ用に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による脱着式取手の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】ユニット化された通信装置の従来技術の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1:本体(通信装置の本体)
10:垂直パネル部分
11:水平パネル部分
20:ユニット
21:パネル(ユニットのパネル)
22:矩形孔
40:着脱式取手
41:固定プレート
41A:係合鉤部(固定プレートの係合鉤部)
41B:屈曲部
41C:座繰り加工
50:係合部材
50A:係合鉤部
50B:長円形孔
60:ビス
61:カラー
62:ワッシャ
63:袋ナット
70:ビス
71:カラー
72:ワッシャ
73:袋ナット
80:カラー
81:ビス
82:ワッシャ
83:袋ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に略直角方向に突出した係合鉤部が形成され、他方の端部には係合鉤部が形成されている係合部材が軸支された略帯板状部材の固定プレートと、この固定プレートの前記一方の端部の近傍に軸支され、他方の端部にはカラーが取付けられている略帯板状部材の可動プレートとを備えると共に、
前記係合部材に前記可動プレートの端部にあるカラーが係合される長円形孔を設け、
前記可動プレートの動きにより前記係合部材が回動されるように構成したことを特徴とする着脱式取手。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−4824(P2008−4824A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174083(P2006−174083)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】