説明

着色剤を含む発泡錠剤

本発明は、有機酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩、及び装飾用の着色剤を含む発泡錠剤に関し、より詳細にはそのような錠剤は、芳香物質及び植物又は花のための栄養素の少なくとも一つをさらに含み、本発明はさらに、該錠剤を水に加えることによって、切り花のための水に色を与えるための方法、及び切り花と前記錠剤との組み合わせに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤を含む発泡錠剤に関する。より詳細には、本発明は、切り花のために使用される水に色を与えるための方法に関する。本発明はまた、切り花と前記錠剤との組み合わせに関する。
【0002】
発泡錠剤それ自体は知られている。例えば、英国公開特許GB 1075470号公報では、水性液中に分散されるべき試薬又は診断薬の少なくとも一つを含む発泡錠剤は、コア及び少なくとも1つの被覆層を含み、夫々が水可溶性染料を含むことが記載されている。これは試薬又は診断薬に関し、それ故に全く異なる分野及び使用に関する。
【0003】
仏国公開特許FR 2628734号公報では、錠剤における可溶性肥料であって、栄養物質及び発泡剤を含み、従って該錠剤は、水中において泡立ち、そして溶けることが記載されている。該錠剤はまた染料を含むことができ、該肥料が水に添加されたという即時の指摘を与える。従って、これらの錠剤は他の目的を提供し、すなわち装飾だけでなく、庭への肥料物質の測定された量を与えるための指標として使用される。
【0004】
カナダ公開特許CA 2122873号公報では、カルボナート、有機酸、少なくとも1つの染料、可溶化剤、及び結合剤を含む発泡錠剤が形成される。無毒である該錠剤は水中に溶けることができ、従ってイースターエッグ(Easter eggs)を染めるために使用されうる染料が遊離される。また、この錠剤は、種々の目的を提供し、及び種々の分野において使用される。
【0005】
最も近い先行技術は、花を新鮮に保つための組成物を開示する英国公開特許GB 1442979号公報であり、該組成物は、花を新鮮に保つための栄養素を含む発泡錠剤の形である。これら錠剤は、着色剤又は染料を含まない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装飾目的のために水に色を与えるための方法、及びより詳細には、切り花のための水に色を与えるための方法を提供することが本発明の目的である。他の目的では、花のための水に色を与えること、及びまた花に栄養素を与えること、及び/又は環境に芳香を与えることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その最も広い概念において、本発明は、有機酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩、及び装飾用の着色剤を含む発泡錠剤に関する。より詳細には、本発明は、そのような錠剤であって、芳香物質及び植物又は花のための栄養素の少なくとも一つをさらに含む錠剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、水(例えば、ボウル中の水など)に色を与えるための方法をさらに提供する。より詳細には、該水は、花のための水、例えば花瓶中の水である。切り花及び消費者によってそれ自体使用されうる本発明の錠剤の組み合わせを提供することは、さらに商業的に魅力的である。該錠剤は、その目的のために、花又は植物と一緒に提供されうるラベルに添付されうる。
【0009】
発泡錠剤は、従来技術において知られ、及び十分に堅い何からの発泡錠剤でありうる。例えばビカルボナート及び固体有機カルボン酸由来の発泡錠剤の生産は知られているが、花のための水に色を与えるための組成物を提供する目的で、上記された他の成分と組み合わせることは知られていない。さらなる有利点は、容易なハンドリング、及び発泡効果の結果として迅速に溶解する能力、並びに良い混合性、従って本発明に従う発泡錠剤組成物の活性成分の迅速な有効性である。好ましい実施態様では、該錠剤は、例えばセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)で被覆される。被覆された錠剤は、それらが着色剤の初期の遊離を防ぎ、及び湿度に対する耐性をさらに改善するという有利点を有する。
【0010】
下記成分は、例としてのみ述べられ、及び限定的に解釈されるべきでない。
【0011】
本発明の錠剤のために適切な組成物は、下記成分の1以上を含みうる(該混合物の総重量に基づき重量%で示される):
任意的に、0〜96重量%、好ましくは35〜75重量%における植物栄養素、例えば糖(例えば、グルコース及び/又はデキストロース)。
任意的に、好ましくは1〜4重量%の量における界面活性剤。
任意的に、好ましくは1〜5重量%の量における、花のための水中において細菌を阻害する又は殺すための殺菌剤。
好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜26重量%の量における有機カルボン酸、好ましくは、例えばコハク酸又は酒石酸のような有機ジカルボン酸。
好ましくは6〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%におけるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩。アルカリ金属、特にナトリウム又はカリウムの炭酸水素塩が好ましい。
【0012】
上記混合物は変化されうるが、有機カルボン酸、炭酸水素塩及び着色剤を少なくとも含む。この混合物は、水に色を与えるために適している発泡錠剤を作るための基礎を形成する。それ故に、発泡錠剤を作るための基礎として適している混合物を提供することがまた目的であり、該混合物それ自体は水に色を与えることがすでに可能であり、及び着色剤を少なくとも含む該混合物は、切り花で使用するための水に色を与えるために使用されうる。
【0013】
有機カルボン酸は好ましくは、その無水形である。無水有機カルボン酸の使用は、発泡錠剤の安定性を実質的に増加させることが見つけられた。そのような錠剤は吸湿性でなく、及び特別の、水を通さない包装の必要性なしに保存され且つ販売されうる。適切な無水有機カルボン酸は、これらに制限されないが、クエン酸、シュウ酸、ピルビン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、及びそれらの混合物を含む。有機ジカルボン酸がより好ましく、最も好ましくは無水ヒドロキシジカルボン酸、例えば無水酒石酸である。
【0014】
該混合物はさらに、固着(sticking)を防ぐために、増粘剤、例えばポリエチレングリコール(例えばPEG 6000、フマル酸ステアリルナトリウムなど)を含みうる。
【0015】
栄養素は、花及び植物において使用するための何らかの一般的な栄養素であることができ、及び糖類又は糖類の混合物、例えばグルコース、デキストロースなどを通常含むことができる。
【0016】
該混合物は、一般的な殺菌剤及び防かび剤を含むことができ、例えば4級アンモニウム化合物(アルキルラジカルを含む)、例えば下記の一つ、Barquat(商標) MS-100 (ミリスチルジメチルベンジル塩化アンモニウムジハイドレート)、Bardac(商標) 22 (ジデシルジメチル塩化アンモニウム)、Bardac(商標) 20 (50重量% オクチルデシルジメチル塩化アンモニウム;25重量% ジオクチルジメチル塩化アンモニウム及び25重量% ジデシルジメチル塩化アンモニウムの混合物)である。
【0017】
該錠剤はさらに、着色剤を含まなければならない。着色剤は、花を害しない何らかの着色剤でありうる。原則として、ほとんどどんな着色剤も、所望の色強度を与えるのに十分な量において使用されうる。適切な量は、0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。適切な着色剤は、これらに制限されないが、エコリン(ecoline)色素、食品色素、(E染料)、酸色素、金属錯体酸染料、塩基染料、クロム染料、分散染料、溶媒染料、直接染料、フタレートファースト染料(phthalates fast dyes)、ナフトール染料、反応性染料(例えば、色素エマルジョン染料)、ファーストカラー塩染料(fast color salts dyes)、ラピッドファースト染料(rapid fast dyes)、アルミニウム・レーキ色(色素)ウェット染料(wet dyes)、天然染料などを含む。
【0018】
該錠剤は、他の成分、例えば塩化カリウム(1〜5重量%)、硫酸アルミニウム(1〜5重量%)などを含みうる。
【0019】
該錠剤は、芳香化合物、例えば、精油、ヘスペライド(hesperides)、エアーフレッシャー(air fresher)などを含むことができ、例えばバラ ソニア(Sonia)、バラ トロス(Tros)、フリージア、カーネーション、スズラン、ライラック、花のブーケイ、スイートフリージア、バラ フルーティ、バナナスイート及びシナモンの油である。
【0020】
本発明に従う具体的な実施例において、発泡錠剤のために下記混合物が作られた:
フラワー・フード・クリアー(商標) (植物栄養素混合物) 56 重量%
(Flower Food Clear)
酒石酸 14.8 重量%
NaHCO3 26.3 重量%
PEG 6000 2.9 重量%
【0021】
この混合物に、該混合物の重量に基づき1重量%のタートラジンE-120(着色剤)が添加された。すなわち495グラムの上記混合物に、5グラムの着色剤が添加された。
【0022】
上記錠剤は、小規模生産に特に適している。しかしながら、大規模生産において、該錠剤を作るための装置の動きを妨げうる。それ故に、大規模生産により適し且つそれにもかかわらず前の錠剤の有利な特性を有する混合物であって、花又は植物に害なしに、切り花で使用するための水に色を与える混合物を提供することが本発明の更なる目的である。塩(塩化ナトリウム)、好ましくは無水塩の存在は、大規模生産に特に適している混合物を提供することが見つけられた。そのような錠剤の制限されない例は、下記混合物由来の錠剤である(重量%で):
塩化ナトリウム塩PDV* 45.51
Dissolvine Na2 (Na2EDTA) 5.68
PVP−ヨウ素 1.71
Lutrol F68 2.12
L-ロイシン 2.12
KHCO3 無水 23.28
アジピン酸 19.58
硝酸銀 0.004
(*PDV=完全な真空乾燥(pure vacuum dried))
この混合物に、この混合物の重量に基づいての1〜5重量%の着色剤が添加された。
【0023】
好ましい錠剤は、25〜60重量%の塩を含み、及び合計のうちの3〜20重量%の溶解剤(例えば、EDTAなどを含むキレート剤、及び粘度調節剤(増粘剤)(例えば、ポリエチレングリコール))を含む。防腐化合物、例えばPVP−ヨウ素(ポビドンヨード)、硝酸銀など、又はそれらの混合物は、微生物汚染を防ぐために有利に添加されうる。防腐化合物の適切な量は、0.5〜15重量%である。他の成分、例えば着色剤、有機酸、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩は、以前に述べられた量において添加される。
【0024】
適切な錠剤は、0.5〜10グラム、より好ましくは1〜5グラム、最も好ましくは約3〜4グラムの総重量を有する。錠剤のサイズは重要ではないが、通常5〜100 mm、より好ましくは15〜30 mm、例えば20又は23 mm である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩、及び装飾用の着色剤を含む発泡錠剤。
【請求項2】
有機酸が無水である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
芳香物質及び植物又は花のための栄養素の少なくとも1つをさらに含む、請求項1又は2に記載の錠剤。
【請求項4】
25〜60重量%の塩化ナトリウムを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
切り花で使用するための水に色を与えるために、少なくとも色素を含む混合物を使用する方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤を水に加えることによって、切り花で使用するための水に色を与える方法。
【請求項7】
切り花と請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤との組み合わせ。

【公表番号】特表2008−519089(P2008−519089A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538440(P2007−538440)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055744
【国際公開番号】WO2006/048444
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507143646)
【Fターム(参考)】