説明

着色層用樹脂組成物およびそれを用いたカラーフィルタの製造方法

【課題】着色層を形成するのと同時に積層柱を形成しながら、十分な高さの積層柱からなるスペーサを得ることができる、着色層用樹脂組成物の提供。また、該着色層用樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法の提供。
【解決手段】本発明の着色層用樹脂組成物は、積層柱を形成する工程において、下層に対して、4.0度以上の接触角を有するものである。このような着色層用樹脂組成物を用いることで、着色層を形成するのと同時に積層柱を形成しながら、十分な高さの積層柱からなるスペーサを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と、前記基材上に、着色層と、遮光部と、スペーサとを有してなる液晶表示装置用カラーフィルタに用いられる着色層用樹脂組成物に関する。また、本発明は、該着色層用樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フラットディスプレイとして、カラー液晶表示装置が用いられている。このような液晶表示装置においては、カラーフィルタと、薄膜トランジスタ(TFT)基材とを所定の間隙をもたせて向かい合わせ、この間隙部に液晶材料を注入して液晶層としている。この互いに向かい合うTFT基材とカラーフィルタとの間隔を維持するために、これらの間にスペーサを設け、これにより両者間の液晶層の厚みを面内均一に保持している。
【0003】
特に、横電界駆動(IPS)方式の液晶表示装置に用いられるカラーフィルタおいては、カラーフィルタの基材上に遮光部を設け、遮光部上にスペーサをさらに設けることにより、カラーフィルタを製造することが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。このスペーサにより、薄膜トランジスタ(TFT)基材とカラーフィルタ100との間隔を保持するようになっている。
【0004】
特に、スペーサを設ける方法については、種々の方法が検討されてきた。例えば、固形粒子を実質的に含有しないインクからなる液滴をインクジェット法により基板上に印刷して、スペーサを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、フォトリソグラフィー法により基板上に着色層を形成させた後に、追加の工程が必要となる。したがって、製造工程の増加や製造設備の設置等のためコストが増大する。
【0005】
また、フォトリソグラフィー法により基板上に着色層を形成するのと同時に、着色層が積層してなるスペーサ(積層柱)を形成する方法も提案されているが(例えば、特許文献1参照)、十分な高さの積層柱を得ることが困難であった。
【0006】
したがって、今尚、着色層を形成するのと同時に積層柱を形成しながら、十分な高さの積層柱からなるスペーサを得ることができる、着色層用樹脂組成物の開発が切望されている。また、該着色層用樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法を開発することも切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−177109号公報
【特許文献2】特開2008−112138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上記の背景技術を検討した結果、積層柱の各層を形成する着色層用レジストの塗布量を増やすことで、各層の厚みを増やして、十分な高さの積層柱からなるスペーサを形成できることを知見した。しかし、この方法では着色層用レジストの使用量が増加することから、コストの増大につながるという問題点も知見した。そのため、着色層用レジストの塗布量を増やさずに着色層の厚膜化を図ることが、コスト低減のために要求される。
【0009】
本発明は上記の背景技術および新たに知見した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着色層を形成するのと同時に積層柱を形成しながら、十分な高さの積層柱からなるスペーサを得ることができる、着色層用樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、該着色層用樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、積層柱を形成する工程において、下層に対する着色層用樹脂組成物の接触角を特定の範囲内に調節することにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材と、前記基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなる液晶表示装置用カラーフィルタに用いられる着色層用樹脂組成物であって、
前記スペーサが、前記遮光部上に、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱であり、
前記積層柱を形成する前記着色層用樹脂組成物が、以下の条件:
(I)前記遮光部上に第1の層を形成する第1の着色層用樹脂組成物が、前記遮光部に対して4.0度以上の接触角を有することと、
(II)第1の層上に第2の層を形成する第2の着色層用樹脂組成物が、第1の層に対して4.0度以上の接触角を有することと
を満たす、着色層用樹脂組成物が提供される。
【0012】
また、本発明の別の態様によれば、
基材と、前記基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなる、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
前記スペーサが、前記遮光部上に、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱であり、
(a)前記遮光部に対して4.0度以上の接触角を有する第1の着色層用樹脂組成物を用いて、前記遮光部上に第1の層を形成する工程と、
(b)第1の層に対して4.0度以上の接触角を有する第2の着色層用樹脂組成物を用いて、第1の層上に第2の層を形成する工程と
を含んでなる、カラーフィルタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着色層用樹脂組成物を用いることで、着色層を形成するのと同時に積層柱を形成しながら、十分な高さの積層柱からなるスペーサを得ることができる。さらに、着色層用レジストの使用量を抑えることで、コストを低減することができる。また、本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、十分な高さの積層柱からなるスペーサを有してなるカラーフィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の着色層用樹脂組成物を用いて形成された液晶表示装置用カラーフィルタの一例を示す模式断面図である。
【図2】下層に対する着色層用樹脂組成物の接触角を示す図である。
【図3】積層率測定用基材の作製方法を示す図である。
【図4】積層率測定用基材の模式断面図である。
【図5】接触角と積層率との関係を示す図である。
【図6】ポリマー比率(ポリマーとモノマーの合計に対するポリマーの比率)と接触角との関係を示す図である。
【図7】ポリマーの重量平均分子量と接触角との関係を示す図である。
【図8】モノマーの官能基数と接触角との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
カラーフィルタ
本発明において、カラーフィルタは、基材と、基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなるものである。具体的に、本発明によるカラーフィルタの一例の模式断面図を図1に示す。図1に示されるカラーフィルタ10は、基材20上に、開口部を有する遮光部30と、開口部に各色の着色層40(赤色着色層41、緑色着色層42、および青色着色層43)と、遮光部30上にスペーサ50とを有してなる。スペーサ50は、遮光部30上に各色の着色層40(赤色着色層41、緑色着色層42、および青色着色層43)が積層されてなる3層の積層柱からなるものである。以下、各構成について説明する。
【0016】
基材
本発明の好ましい態様によれば、基材は光出射側にあるため、光透過性の高い透明基材が用いられる。例えば、ガラス、石英、または各種の樹脂等の光透過性の高い材料からなる透明基材が挙げられる。また、通常、基材の厚さは、0.1〜10.0mmである。
【0017】
遮光部
本発明の好ましい態様によれば、遮光部は、基材上に形成され、開口部を備えるものである。遮光部としては、同一の形状を有する開口部が等間隔でパターン状に形成されたものが用いられる。遮光部のパターン形状は特に限定されず、例えば、ストライプ状やマトリクス形状等が挙げられる。遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、黒色の着色材料を含む黒色分散液と感光性樹脂組成物とを用いたフォトリソグラフィー法により形成するのがよい。
【0018】
着色層
本発明の好ましい態様によれば、着色層は、基材上の遮光部の開口部に形成されるものであり、例えば、赤、緑、および青の3色の着色パターンを含むものであるのがよい。着色パターンは、赤、緑、青、および黄の4色や、赤、緑、青、黄、シアンの5色等にしてもよい。また、各色の着色層は、各色の着色材料を含有する着色層用樹脂組成物を用いて形成することができる。着色層は、通常、1μm〜5μmの厚さで形成される。着色層の形成方法としては、着色層をパターニングすることができる方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法であれば、着色層が積層された積層柱を、精度良く所望の位置に形成できることから好ましい。
【0019】
着色層用樹脂組成物
本発明の好ましい態様によれば、着色層用樹脂組成物は、着色材料と、ポリマーと、モノマーとを含むものであり、さらに必要に応じて、重合開始剤、分散剤、および溶剤等を含むものである。
【0020】
本発明の着色層用樹脂組成物は、下記で詳述する積層柱を形成する工程における下層に対して、4.0度以上、好ましくは4.5度以上20度以下、より好ましくは5.0度以上18度以下の接触角を有するものである。一例として、積層柱を形成する工程での、下層130に対する着色層用樹脂組成物110の接触角120の測定図を図2に示す。なお、n層(nは3以上の整数)の積層柱を形成する場合、下層とは、第1層を形成する工程では、遮光部を指し、第2層〜第n層を形成する工程では、それぞれ第1〜第n−1層を指す。より詳細には、着色層用樹脂組成物は、以下の条件:
(I)遮光部上に第1の層を形成する第1の着色層用樹脂組成物が、遮光部に対して4.0度以上の接触角を有することと、
(II)第1の層上に第2の層を形成する第2の着色層用樹脂組成物が、第1の層に対して4.0度以上の接触角を有すること
を満たすものである。好ましい態様によれば、積層柱がn層である場合、以下の条件
(III)第n−1の層上に第nの層を形成する第nの着色層用樹脂組成物が、第n−1の層に対して4.0度以上の接触角を有すること
をさらに満たし、ただし、nが4以上の場合、第3〜第nの着色層用樹脂組成物の全てが(III)の条件を満たすことが好ましい。着色層用樹脂組成物が、下層に対して、上記範囲程度の接触角を有することで、積層柱の各層の積層率を向上させることができる。
【0021】
本発明において、n層の積層柱を形成するのに用いられる着色層用樹脂組成物には、第1〜第nの着色層用樹脂組成物が含まれる。第1〜第nの着色層用樹脂組成物の組成は、全て異なる組成でもよいし同一の組成が含まれていてもよく、少なくとも2色以上の積層柱を形成できるものであればよい。例えば、基材上の遮光部の開口部に形成される上記の着色層が、赤、緑、および青の3色の着色パターンからなる場合、着色層用樹脂組成物は、第1の着色層用樹脂組成物として赤色着色層用樹脂組成物を、第2の着色層用樹脂組成物として緑色着色層用樹脂組成物を、第3の着色層用樹脂組成物として青色着色層用樹脂組成物を、用いるのがよい。
【0022】
本発明において、積層率は、下層上に積層された層の膜厚の、着色層用樹脂組成物の着色膜厚に対する比である。一例として、図4に示されるように、積層率heは、下記式(1)
式1
he=(h1−h2)/h3×100(%)
(式中、h1は積層後の膜厚220、h2は下層膜厚210、h3は着色膜厚230である)
により求めることができる。本発明の好ましい態様によれば、積層率heは、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上95%以下である。積層率が上記範囲程度でれば、積層柱からなるスペーサの高さを十分に得ることができる。なお、着色膜厚とは、着色樹脂組成物を塗布し、230℃で25分ポストベークした後の膜厚を指す。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、着色層用樹脂に含まれるポリマーとモノマーの比(P:M)は、好ましくはP:M=30:70〜80:20であり、より好ましくは50:50〜80:20であり、さらに好ましくは55:45〜80:20である。ポリマーとモノマーの比が上記範囲程度であれば、着色層用樹脂組成物の、下層に対する接触角を増大することができる。
【0024】
着色材料
本発明に用いられる着色材料としては、公知の着色材料を用いることができる。例えば、赤色の着色材料としては、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクドリン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、およびイソインドリン系顔料等が挙げられる。緑色の着色材料としては、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、イソインドリン系顔料、およびイソインドリノン系顔料等が挙げられる。青色の着色材料としては、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、およびジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの着色材料は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
本発明においては、上記の着色材料を溶剤に分散させた分散液の状態で用いるのがよい。着色材料の分散方法は、特に限定されず、公知の分散機を用いて分散させることができる。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。分散処理において用いるビーズの径は、好ましくは0.03〜2.00mmであり、より好ましくは0.10〜1.00mmである。
【0026】
本発明においては、顔料を分散させる際に、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて、数時間分散を行うことが好ましい。例えば、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで1時間分散後、さらにビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで2時間分散することが挙げられる。また、分散後、5.0μmのメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、着色材料の分散性をより向上することができ、透過率をより向上させることができる。
【0027】
ポリマー
本発明の好ましい態様によれば、ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは4000以上100000以下であり、より好ましくは5000以上50000以下である。ポリマーの重量平均分子量が上記範囲程度であれば、下層に対する着色層用樹脂組成物の接触角を増大することができる。
【0028】
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、ならびにこれらの酸無水物等の一種以上とからなるポリマーまたはコポリマー等が挙げられる。これらのポリマーを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合には、2種以上のポリマーの重量平均分子量の平均値が上記範囲内であればよい。本発明においては、市販のポリマーを用いることもでき、例えば、エピコート180S70(油化シェルエポキシ(株)製)、アロニックスM−5600(東亞合成(株)製)、アロニックスM−6200(東亞合成(株)製)、アロニックスM−7100(東亞合成(株)製)、およびアロニックスM−9050(東亞合成(株)製)が好ましい。
【0029】
モノマー
本発明の好ましい態様によれば、モノマーの重量平均分子量は、好ましくは300以上1000以下であり、より好ましくは400以上900以下である。また、モノマーの官能基数は、平均で、好ましくは4官能以上、より好ましくは5官能以上のものを用いるのがよい。モノマーの重量平均分子量および/または官能基数が上記範囲程度であれば、下層に対する着色層用樹脂組成物の接触角を増大することができる。
【0030】
上記のモノマーとしては、例えば、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、ならびにメタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらのモノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合には、2種以上のモノマーの重量平均分子量や官能基数の平均値が上記範囲内であればよい。本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー(株)製)、アロニックスM−400(東亞合成(株)製)、およびアロニックスM−450(東亞合成(株)製)が好ましい。
【0031】
重合開始剤
上記の重合開始剤としては、熱重合開始剤および光重合開始剤等を用いることができ、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、および1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の重合開始剤を用いることもでき、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、ダロキュアー(メルク(株)製)、アデカ1717(旭電化工業(株)製)等のケトン系化合物、および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’ビイミダゾール(黒金化成(株)製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。
【0032】
分散剤
上記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できるが、これらの中でも高分子界面活性剤(高分子分散剤)を用いることが好ましい。高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、および3級アミン変性ポリウレタン類などが挙げられる。本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、および28000等の各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製)、ならびにDisperbyk111(ビックケミー・ジャパン(株)製)が好ましい。
【0033】
溶剤
上記の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、および3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。本発明においては、市販の溶剤を用いることもでき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業(株)製)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業(株)製)、および3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業(株)製)が好ましい。
【0034】
スペーサ
本発明の好ましい態様によれば、スペーサは、基材上の遮光部の開口部以外の上に形成されてなるものである。スペーサは、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱からなるものである。また、スペーサは、積層柱上に保護層等をさらに積層してなるものであってもよい。なお、本発明において、「スペーサの高さ」とは、スペーサの周辺部(各色の着色層および/または遮光部の表面)から垂直方向に、積層柱の頂上までの距離(厚み)である。例えば、図1のように、スペーサの周辺部の遮光部30から垂直方向に、スペーサの頂上部までの距離60である。本発明においては、スペーサの高さは、2.5〜4.2μmが好ましく、2.8〜3.8μmがより好ましい。スペーサの高さが上記範囲程度であれば、十分なセルギャップを得ることができるからである。
【0035】
積層柱
本発明において、積層柱は、2色以上、好ましくは2色〜5色の着色層が積層されてなるものである。基材上に形成する着色パターンが、赤、緑、および青の3色の場合、積層柱は、赤、緑、および青の3色の着色層が積層されてなることが好ましい。これは、基材上の開口部に形成された着色パターンと、遮光部上に積層された着色層(積層柱)とが同一色であれば、積層柱を形成するために追加の着色層用樹脂組成物を用いる必要がなく、コストを削減できるからである。
【0036】
本発明の好ましい態様によれば、積層柱は、2層以上、好ましくはn層(nは3以上の整数であり、好ましくは3〜5である)の着色層からなるものである。また、n層の着色層からなる場合、2色以上の着色層が積層されていれば、積層柱中に同一色の着色層が2層以上存在してもよい。本発明においては、基材上の開口部に形成された着色パターン数に応じて、積層柱の積層数を設定するのがよい。上記範囲程度の積層数であれば、十分な高さを得ることができる。なお、遮光部上に設ける積層柱の積層数は全て同一であっても、異なる積層数であってもよい。
【0037】
本発明においては、上記の着色層用樹脂組成物を用いて、複数の着色層からなる積層柱を形成することで、各着色層のそれぞれを、上記の積層率で積層することができる。上記のとおり、積層率を好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上95%以下とすることで、各着色層のそれぞれを所望の厚さに調節することができる。積層柱を構成する各着色層を上記の積層率で積層することで、着色層用レジストの塗布量を増やさずに該着色層を厚膜化することができる。
【0038】
本発明において、積層柱を構成する着色層の平面形状は、積層柱を安定して形成できる形状であれば特に限定されず、例えば、円形、楕円形、および多角形等が挙げられる。また、積層柱を構成する着色層の平面の面積は、最下層の着色層が最も広く、最上層までに順に狭くなるように形成することが好ましい。積層柱を安定して形成することができるからである。
【0039】
カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法は、遮光部上に2色以上の着色層が積層されてなる積層柱を形成する工程として、
(a)前記遮光部に対して4.0度以上の接触角を有する第1の着色層用樹脂組成物を用いて、前記遮光部上に第1の層を形成する工程と、
(b)第1の層に対して4.0度以上の接触角を有する第2の着色層用樹脂組成物を用いて、第1の層上に第2の層を形成する工程と
を含むものである。好ましい態様によれば、n層の積層柱を形成する場合、
(c)第n−1の層に対して4.0度以上の接触角を有する第nの着色層用樹脂組成物を用いて、第n−1の層上に第nの層を形成する工程
をさらに含み、ただし、nが4以上の場合、第3〜第nの着色層用樹脂組成物の全てで、(c)工程を繰り返すことが好ましい。このような工程を経ることで、積層柱の各層の積層率を向上させ、積層柱からなるスペーサの高さを十分に得ることができる。
【0040】
本発明の好ましい態様によれば、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法により、基材上の開口部に着色パターン(着色層)を形成する工程と同時に、遮光部上に積層柱からなるスペーサを形成する工程を行うのがよい。積層柱を形成するための追加の工程を必要とせず、製造工程の短縮化・製造設備の簡略化により製造コストを抑制できるからである。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0042】
感光性樹脂組成物の調製
まず、重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、およびハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分45%)を得た。次に下記の材料を室温で攪拌、混合して感光性樹脂組成物とした。
感光性樹脂組成物の組成
・上記共重合樹脂溶液(ポリマー、重量平均分子量:8000、固形分45%):
12重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(モノマー、官能基数5、SR399、サートマー(株)製): 14重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー、官能基数3、サートマー(株)製): 14重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(重量平均分子量:500〜800、エピコート180S70、油化シェルエポキシ(株)製): 4重量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(重合開始剤、イルガキュア907、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製):
4重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート: 41重量部
・3−メトキシブチルアセテート: 17重量部
【0043】
着色層用樹脂組成物の調製
次に、上記の感光性樹脂組成物を用いて、下記組成の各色の着色層用樹脂組成物を調製した。
赤色着色層用樹脂組成物の組成
・C.I.ピグメントレッド177(Chromofine Red 6605、大日精化(株)製): 10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤: 3重量部
・感光性樹脂組成物: 5重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート: 57重量部
・3−メトキシブチルアセテート: 25重量部
緑色着色層用樹脂組成物の組成
・C.I.ピグメントグリーン36(Heliogen Green D9360、BASF(株)製): 10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤: 3重量部
・感光性樹脂組成物: 5重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート: 57重量部
・3−メトキシブチルアセテート: 25重量部
青色着色層用樹脂組成物の組成
・C.I.ピグメントブルー15:6(Fastogen Blue EP−7、DIC(株)製): 10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤: 3重量部
・感光性樹脂組成物: 5重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート: 57重量部
・3−メトキシブチルアセテート: 25重量部
【0044】
以上により、下記の測定に用いる基準の着色層用レジスト(基準レジスト)を得た。基準レジストのパラメータを表1に示す。
【表1】

【0045】
次に、上記の基準レジストの組成を表2に記載のとおりに変更して、サンプルNo.1〜41を得た。
【表2】

なお、表中の略称は以下を示すものである。
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
・DPPA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・CHM:マルカリンカーCHM
・THPI−A:3,4,5,6−テトラヒドロフサロイミド-エチルアクリレート
・PETIA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・MBA:3−メトキシブチルアセテート
・MMBA:3−メチル−3−メトキシブチルアセテート
・Irg:イルガキュア
【0046】
また、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
黒色顔料分散液の組成
・黒色顔料: 23重量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111):
2重量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル): 75重量部
【0047】
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用樹脂組成物を得た。
遮光部用樹脂組成物の組成
・上記黒色顔料分散液: 60重量部
・感光性樹脂組成物: 20重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル: 30重量部
【0048】
積層率の測定
積層率を以下の手順に従って測定した。なお、下記の手順の概略図を図3に示す。
1.測定基板の作製
まず、以下の手順で測定基板を作製した。
(1)10×10cmのガラス板に約1.5mlの下層用レジストを滴下した(なお、下層用レジストとは、赤色用および緑色用の測定には遮光部用樹脂組成物を用い、青色用の測定には着色層用樹脂組成物を用いた)。
(2)スピンコーターを用いて塗布後、減圧乾燥装置(以下、「VCD」という)を用いて2.2×10−1で減圧乾燥した。
(3)80℃のホットプレート(以下、「HP」という)にて3分プリベークした。
(4)露光量60mJ、GAP200μmでストライプ型のマスクを用いて露光した。
(5)現像装置を用いて現像時間80秒で現像した。
(6)230℃で25分、ポストベークした。
(7)作成した測定基板の膜厚を測定した。
(8)赤色用および緑色用の下層膜厚は1.8±0.1μm、青色用は4.7±0.1μmであった。
2.着色層用樹脂組成物の塗布
次に、以下の手順で着色層用樹脂組成物(着色層用レジスト)の塗布を行った。
(1)10×10cmのガラス板に約1.5mlの着色層用レジストを滴下した。
(2)スピンコーターを用いて塗布後、VCDを用いて2.2×10−1減圧乾燥した。
(3)80℃のHPにて3分プリベークした。
(4)露光量40mJで測定基板にベタ露光した(パターンなし)。
(5)現像装置を用いて現像時間40秒で現像した。
(6)230℃で25分、ポストベークした。
3.積層率の測定
図4に、上記2で作製した着色層用樹脂組成物塗布後(ポストベーク後)の基板の模式断面図を示す。図4に示される、下層膜厚210、積層後の膜厚220、および着色膜厚230をそれぞれ測定し、下記式(1)を用いて、積層率を算出した。
式1
he=(h1−h2)/h3×100
(式中、h1は積層後の膜厚220、h2は下層膜厚210、h3は着色膜厚230である)
【0049】
接触角の測定
下層(膜)に対する着色層用樹脂組成物の接触角を以下の手順に従って測定した。
1.測定基板の作製
まず、以下の手順で基板上に下層(膜)が形成された測定基板を作製した。
(1)対応する下層用レジストを10×10cmのガラス板に約1.5ml滴下した(遮光部→赤色→緑色→青色の順番で着色層を形成するため、遮光部層用樹脂組成物もしくは前工程の色の着色層用樹脂組成物が下層用レジストとなる)。
(2)スピンコーターを用いて塗布後、VCDを用いて2.2×10−1減圧乾燥した。
(3)80℃のHPにて3分プリベークした。
(4)露光量40mJで測定基板にベタ露光した(パターンなし)。
(5)現像装置を用いて現像時間40秒で現像した。
(6)230℃で25分、ポストベークした。
2.接触角の測定
作成した測定基板に洗浄用UVを照射した後、マイクロシリンジから着色層用樹脂組成物の液滴を滴下して30秒後に、接触角測定器(CA−Z型、協和海面化学(株)製)を用いて、接触角を測定した。
【0050】
上記の接触角および積層率の測定結果を表2に示す。また、接触角と積層率との関係を表すグラフを図5に示す。着色層用樹脂組成物に含まれる各種成分や固形分比率を変更したところ、接触角が4.0度以上であれば、積層率が増大することがわかった。
【0051】
接触角とポリマー比率(ポリマーとモノマーの合計に対するポリマーの比率)との関係を示すグラフを表3および図6に示す。ポリマー比率が30%以上、特に50%以上であれば、接触角をより増大することができた。
【表3】

【0052】
接触角とポリマーの重量平均分子量との関係を示すグラフを表4および図7に示す。ポリマーの重量平均分子量を増大させるほど、接触角をより増大することができた。
【表4】

【0053】
接触角とモノマーの官能基数との関係を示すグラフを表5および図8に示す。モノマーの官能基数を増やすと、接触角をより増大することができた。
【表5】

【符号の説明】
【0054】
10 カラーフィルタ
20 基材
30 遮光部
40 着色層
41 赤色着色層
42 緑色着色層
43 青色着色層
50 スペーサ(積層柱)
60 スペーサの高さ
110 着色層用樹脂組成物
120 接触角
130 下層
210 下層膜厚
220 積層後の膜厚
230 着色膜厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなる液晶表示装置用カラーフィルタに用いられる着色層用樹脂組成物であって、
前記スペーサが、前記遮光部上に、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱であり、
前記積層柱を形成する前記着色層用樹脂組成物が、以下の条件:
(I)前記遮光部上に第1の層を形成する第1の着色層用樹脂組成物が、前記遮光部に対して4.0度以上の接触角を有することと、
(II)第1の層上に第2の層を形成する第2の着色層用樹脂組成物が、第1の層に対して4.0度以上の接触角を有することと
を満たす、着色層用樹脂組成物。
【請求項2】
前記スペーサがn層(nは3以上の整数)の積層柱からなり、前記着色層用樹脂組成物が、以下の条件:
(III)第n−1の層上に第nの層を形成する第nの着色層用樹脂組成物が、第n−1の層に対して4.0度以上の接触角を有すること
をさらに満たし、ただし、nが4以上の場合、第3〜第nの着色層用樹脂組成物の全てが(III)の条件を満たす、請求項1に記載の着色層用樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色層用樹脂組成物が、着色材料、ポリマー、およびモノマーを含み、
前記ポリマーとモノマーの比(P:M)が、P:M=30:70〜80:20である、請求項1または2に記載の着色層用樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリマーの重量平均分子量が、4000以上100000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色層用樹脂組成物。
【請求項5】
前記モノマーの平均の官能基数が、4以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色層用樹脂組成物。
【請求項6】
基材と、前記基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなる液晶表示装置用カラーフィルタであって、
前記スペーサが、前記遮光部上に、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱であり、
前記積層柱を構成する各着色層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色層用樹脂組成物を用いて形成された、カラーフィルタ。
【請求項7】
前記積層柱を構成する各着色層のそれぞれが、下記式(1)
式1
he=(h1−h2)/h3×100(%)
(式中、h1は積層後の膜厚、h2は下層膜厚、h3は着色膜厚である)
により求められる積層率30%以上で積層された、請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
基材と、前記基材上に、遮光部と、着色層と、スペーサとを有してなる、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
前記スペーサが、前記遮光部上に、2色以上の着色層が積層されてなる積層柱であり、
(a)前記遮光部に対して4.0度以上の接触角を有する第1の着色層用樹脂組成物を用いて、前記遮光部上に第1の層を形成する工程と、
(b)第1の層に対して4.0度以上の接触角を有する第2の着色層用樹脂組成物を用いて、第1の層上に第2の層を形成する工程と
を含んでなる、カラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記スペーサがn層(nは3以上の整数)の積層柱からなり、前記方法が、
(c)第n−1の層に対して4.0度以上の接触角を有する第nの着色層用樹脂組成物を用いて、第n−1の層上に第nの層を形成する工程
をさらに含んでなり、ただし、nが4以上の場合、第3〜第nの着色層用樹脂組成物の全てで、(c)工程を繰り返す、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記着色層用樹脂組成物が、着色材料、ポリマー、およびモノマーを含み、
前記ポリマーとモノマーの比(P:M)が、P:M=30:70〜80:20である、請求項8または9に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項11】
前記ポリマーの重量平均分子量が、4000以上100000以下である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項12】
前記モノマーの平均の官能基数が、4以上である、請求項8〜11のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項13】
前記積層柱を構成する各着色層のそれぞれが、下記式(1)
式1
he=(h1−h2)/h3×100(%)
(式中、h1は積層後の膜厚、h2は下層膜厚、h3は着色膜厚である)
により求められる積層率30%以上で積層された、請求項8〜12のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、カラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−68512(P2012−68512A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214213(P2010−214213)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】