説明

着色点心類の製造方法

【課題】皮材を着色するだけでなく、品質に優れ、しかも安全性の高い点心類の製造方法を提供すること。
【解決手段】小麦粉を主体とする皮原料に水及び紅麹を加え混練して得た皮生地を、5〜10℃の冷蔵庫内又は常温で熟成し、この熟成後の皮生地を伸ばして成形した皮材で、具材を包んで成形する。紅麹は水100ccに対して0.0001〜 50gの割合で加え、具材には馬肉の挽肉を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は餃子、焼売等の点心類の製造方法に関し、とくに皮材を薄紅色(さくら色)に着色した着色点心類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮材を着色した着色点心類は、皮原料に有色の食材やそのエキスを加えることによって製造されていた。
【0003】
このうち薄紅色の着色餃子の製造方法として、特許文献1に、タラコ、すじこ、苺、鮭の赤身、桜の花を着色材として添加することが開示されている。
【0004】
しかし、従来の着色点心類の製造方法は、おもに美観の面から着色材を加えるというもので、点心類とくにその皮材の食感や風味といった品質(味)の面での配慮は、ほとんどなされていなかった。また、着色材として自然食材を用いる場合であっても、種類によっては人の健康に害を及ぼす可能性のあるものもあり、安全性の面でも十分ではなかった。
【特許文献1】特開2001−327271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、皮材を着色するだけでなく、品質に優れ、しかも安全性の高い点心類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の餃子の製造方法は、小麦粉を主体とする皮原料に水及び紅麹を加え混練して得た皮生地を、5〜10℃の冷蔵庫内又は常温で熟成し、この熟成後の皮生地を伸ばして成形した皮材で、具材を包んで成形することを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、皮材を薄紅色に着色するために紅麹を使用する。紅麹は、酒や味噌・醤油などのような発酵食品を製造する際に使用される麹の一種であり、鮮やかな紅色をしていることから、これを皮原料に加えることで皮材を鮮やかな薄紅色に着色することができる。
【0008】
また、本発明では、紅麹を加え混練して得た皮生地を、5〜10℃の冷蔵庫内又は常温で熟成する。この低温熟成又は常温熟成によって紅麹による発酵が適度に進み、これによって皮材にまろやかさや心地良い食感が生まれ、餃子としての品質(味)も向上する。さらに、紅麹はその発酵により「モナリコンK」を生成し、この「モナリコンK」は血清コレステロール降下や血圧降下の作用を持つことが知られている。本発明においては上記の低温熟成又は常温熟成によって適量の「モナリコンK」が生成されるので、健康増進の効果も得ることができる。なお、紅麹の安全性は、長い歴史が証明するところである。
【0009】
本発明における熟成の時間の目安としては、5〜10℃の冷蔵庫内における低温熟成の場合、0.5〜240時間程度、好ましくは24〜48時間程度である。また、常温熟成の場合、0.5〜10時間程度、好ましくは3〜5時間程度である。ただし、常温熟成で皮原料に防腐剤を添加しない場合は、0.5〜3時間程度が好ましい。これらの低温熟成又は常温熟成は、皮生地の状態を見て適宜決定することができる。
【0010】
本発明において紅麹は、水100ccに対して0.0001〜50gの割合で加えることが、食感や美観の面から好ましい。紅麹としては、固体の紅麹を加えても良いし、液体の紅麹を加えても良いし、固体の紅麹を水とともにミキサーあるいは粉砕機によって泥状物や細状物としたものを加えても良い。なお、固体又は液体の純粋な紅麹を加える場合は、水100ccに対して0.02〜0.06gの割合で加えることが好ましく、水とともに泥状物や細状物とした紅麹を加える場合は、水100ccに対して5〜10gの割合で加えることが好ましい。
【0011】
また、本発明の点心類の具材には馬肉の挽肉を配合することが好ましい。馬肉の使用によって、紅麹入りの皮材との組み合わせにおいて、優れた風味が醸し出される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点心類の皮材を鮮やかな薄紅色に着色できるとともに、品質(味)に優れ、しかも安全性の高い点心類を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を餃子の製造方法に適用した実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0014】
まず、餃子の皮材を作るために、小麦粉からなる皮原料に、適量の水、小量の塩及び液体の紅麹を加えて混練し皮生地を得た。液体の紅麹は、水100ccに対して0.04gの割合で加えた。水、塩の量は、通常の皮材の製造方法に準じて適宜決定することができる。また、皮原料には小麦粉のほかにイースト菌などの添加物を加えることができる。
【0015】
次に、皮生地を、5〜10℃の冷蔵庫内で24時間寝かして低温熟成し、この低温熟成後の皮生地を伸ばして成形し、皮材を得た。最後に、この皮材で具材を包んで成形し、餃子を得た。具材には馬肉の挽肉を配合し、このほかにキャベツ、ニラ、ニンニク、玉葱、生姜、りんご、香辛料、調味料を配合した。具材は、従来の一般的な方法によって作ることができる。
【0016】
このようにして得られた餃子は、焼き餃子、あるいは水餃子として食することができる。実施例によって製造した餃子を焼き餃子及び水餃子にしたところ、皮材は鮮やかな薄紅色を呈して美観に優れており、また、その餃子を食したところ、従来の一般的な餃子に比べ、皮材がまろやかで食感も良く、さらに具材の馬肉との組み合わせによって良好な風味が得られた。
【0017】
なお、上記と同様の製造方法により着色焼売を製造することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉を主体とする皮原料に水及び紅麹を加え混練して得た皮生地を、5〜10℃の冷蔵庫内又は常温で熟成し、この熟成後の皮生地を伸ばして成形した皮材で、具材を包んで成形することを特徴とする着色点心類の製造方法。
【請求項2】
紅麹を水100ccに対して0.0001〜50gの割合で加える請求項1に記載の着色点心類の製造方法。
【請求項3】
具材に馬肉の挽肉を配合する請求項1又は2に記載の着色点心類の製造方法。