睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害及び/又は床ずれ防止方法
【課題】睡眠者の熟睡を維持すると共に睡眠無呼吸症のような呼吸障害を防止する睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【解決手段】本発明の一態様は、使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止するための衣類及び方法に関し、より詳しくは、睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させることができ、更に長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者にも姿勢の変更に適用されて床ずれを防止できるようにする睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、睡眠呼吸障害として分類される習慣性いびきと睡眠無呼吸症及び上気道抵抗症候群は、睡眠中に上気道を繰り返して閉鎖することに特徴のある疾患であって、これは夜間の睡眠効率を低下させて熟眠を妨害し、特に血液中の酸素飽和度を低下させるという結果をもたらす(Chokroverty S. (1994) Sleep Disorder Medicine. Butterworth-Heinemann)。
【0003】
このような睡眠呼吸障害は、昼間の眠気や、集中力の減少、記憶力の低下、学習能力の低下及び慢性疲れなどを誘発し、産業現場及び作業場における事故、運転中の居眠り運転による交通事故などを引き起こすため、社会経済的に大きな損失をもたらしている。
【0004】
近年は、このような睡眠呼吸障害が肥満、高血圧、糖尿病、認知症、心血管系疾患、心臓マヒ、性機能減退、脳血管疾患、脳卒中、及び新陳代謝症候群の発生と非常に密接な関係があるという研究結果が報告されている(Prospective study of the association between sleep-disordered breathing hypertension. N Engl Med 2000;342:1378-1384)。
【0005】
このような人体における上気道の閉鎖現象について、添付の図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0006】
図1に示すように、上気道4が正常の場合は気管支及び肺(図示せず)へ供給される空気が流入されるように上気道4が十分に確保されるが、図2に示すように、睡眠無呼吸状態では軟組織6の自体重量と舌7の重量による軟組織6の圧迫により口蓋8の喉頭部側から延びた軟組織6が上気道4を閉鎖する。
【0007】
このような上気道4の閉鎖現象は、睡眠中に仰臥位で寝ている場合に更にひどくなり、上気道4が閉鎖されれば、睡眠中に呼吸が止まったり、困難になったりする睡眠無呼吸症を誘発させ、上気道4が部分的に閉鎖される場合にいびき現象が生じる。
【0008】
このようないびきや睡眠無呼吸症を治療するために、多様な方法が試みられている。
【0009】
その代表として、睡眠中に機能性枕を用いて睡眠呼吸障害を治療しようとする試みがあり、主に測位又は頭位を高くするなどの姿勢の補正を通じた睡眠呼吸障害を防止する枕が開発されている。
【0010】
近年は、米航空宇宙局(NASA)の科学者らが発明した重合体フォーム製品である「メモリフォーム」が睡眠呼吸障害を防止する枕として商業的に販売されているが、これは体に伝達される荷重と衝撃を吸収し、荷重が緩和したとき、元に戻る性質を有する人体工学的デザインの枕ではあるものの、いびきや睡眠無呼吸症の治療に大きな効果はない。
【0011】
このような問題点を解決するための方法や装置が多く開発されており、これについて添付の図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0012】
図3に示すように、従来技術によるいびき防止装置の1つとして、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20−0236225号の「いびきを感知していびき防止用枕を駆動する装置」がある。この装置はいびき及び各種のノイズを入力させて所望のいびき信号を出力するいびき信号感知部10、いびき信号感知部10から印加される信号を分析していびき信号であることが確認されると、回転モータ駆動部40を作動させる制御部30、制御部30から印加される信号を格納するか、制御部30に出力させるメモリ部60、制御部30から印加される信号によって回転モータ42が駆動されることで、姿勢変形プレート46が動作して枕の形状が変わるようにする回転モータ駆動部40からなるいびき防止用枕を駆動する装置において、制御部30はいびき信号感知部10から印加されるいびき信号及びノイズ信号を信号処理して最終データを算出し、最終データが閾値よりも大きい値を持続的に有する持続時間を算出して設定時間と比較した後、大きければ持続時間中に存在する最大点の個数を算出し、最大点の個数が設定された最大点の個数よりも大きければ、いびき信号であると判断して、いびき信号が選択された回数だけ感知されると、回転モータ駆動部40に駆動信号を印加して回転モータ42を駆動させるようにする装置である。
【0013】
図4乃至図6に示すように、従来の他のいびき防止装置として、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20−0395890号の「いびき軽減装置」がある。この装置は睡眠者の呼吸を検出し、いびきの感知時に内部に注入される空気により膨張して睡眠者の睡眠姿勢を補正するエアーパッド71と、エアーパッド71に結合されて検出された呼吸を後段に伝達し、空気の注入及び排出通路としての役割を果たすエアーチューブ72と、エアーチューブ72へ伝達される呼吸を電気的な信号に変換するセンサと、センサから出力される呼吸感知信号を前置増幅する前置増幅器と、前置増幅器から出力される呼吸感知信号を複数の帯域毎にフィルタリングして心拍/呼吸/いびき判断用信号として出力する帯域フィルタ部と、機能及びモード変換信号を入力するための機能入力部と、機能入力部で入力された信号に対応してa)前置増幅器及び帯域フィルタ部からそれぞれ獲得される信号に基づいていびきと無呼吸の有無を判断し、b)呼吸状態を表示するように制御し、c)いびきと判断されると、エアーパッドを膨張させるための空気注入信号を発生し、d)エアーパッドの膨張後にいびきが感知されなければ、設定時間の後にエアーパッドに流入した空気を排気させるように制御信号を発生する中央処理装置73と、中央処理装置73から出力される状態表示制御信号に応じて睡眠者の呼吸状態、心拍状態などを画面に表示するディスプレイと、中央処理装置73から出力される発光ダイオード制御信号と空気注入制御信号及び排気制御信号を各対象駆動信号として出力する駆動部と、駆動部から出力される発光ダイオード駆動信号に応じて電源が供給されるか否かと機能動作状態を視覚的に表示する発光ダイオード(LED)と、駆動部から出力される空気注入信号に応じてエアーパッド71に空気を注入するポンプを駆動させるモータと、駆動部から出力される排気制御信号に応じて排気弁を開閉する排気ソレノイドとを含んで構成される。
【0014】
このように、図3の従来技術によるいびき防止装置は、いびきを感知していびきであると判断されると、自動でいびき防止用枕を駆動させて枕が一側へ傾斜するようにすることで、いびきをかかないようにする装置である。しかしながら、このような従来技術によるいびき防止装置は、いびきを感知した後にいびき防止用枕が傾いた状態で使用者が手動でリセットする前までは元に戻るのは不可能であり、睡眠者が睡眠中に動いたり、寝返りをしたりして枕から離れる場合、いびきの防止が困難になって動作の信頼性に問題が生じ、カムとプレートとの間の機械的摩擦によって騒音が発生して睡眠者の熟睡をむしろ妨害するという問題点を有していた。
【0015】
また、図4乃至図6の従来技術によるいびき防止装置は、エアーパッド71を用いて姿勢の変換を誘導するが、中央に位置するエアーパッド71の膨張により睡眠者が不便を感じて睡眠者が自ら姿勢を変える形態であるため、能動型ではないだけでなく、睡眠者を起こしてしまうため、熟睡を妨害し、睡眠者が睡眠時に動いたり、寝返りしたりする際に、エアーパッド71の膨張部位から離れると、このような姿勢の変化すら誘導できなくなるため、これも動作の信頼性において問題点を有していた。
【0016】
そして、いびきや無呼吸症状とは異なる一例として、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者において頻繁に見られるものとして床ずれの発生がある。
【0017】
この床ずれは、心臓病、高熱の病気、糖尿病、脳せき髄を患っている患者に現れ、特に臀部、骨盤、かかとのような骨の突出部を持続的に圧迫することにより、血管が押されて組織へ酸素と栄養分の供給が遮断されることにより発生する。
【0018】
従って、身動きが不自由な患者は一定時間が経過すれば、周期的に姿勢を変更させなければならない。
【0019】
しかしながら、このような患者をその度に誰かがそばで姿勢を変更させるのは困難であり、そのため、従来は床ずれを防止するために、通気性に優れたベッド用マットなどが開発され販売されているが、床ずれの防止に最も良い方法としては、患者の姿勢を随時変更して血行を促進させることが好ましく、そのための製品開発が要求されている状況である。
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20−0236225号
【特許文献2】大韓民国登録実用新案第20−0395890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、睡眠者のいびき及び/又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき及び/又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させ、このような姿勢の変化が睡眠者の無意識による動きにも拘わらず、正確になされるようにし、これにより睡眠者の熟睡を維持すると共に睡眠無呼吸症のような呼吸障害を防止する睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者に衣類を着用させて一定時間毎に寝ている姿勢を自然に変化させて床ずれを防止できるようにする睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するための本発明は、使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【0023】
また、本発明は、使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、いびき又は無呼吸の睡眠呼吸障害を防止できる方法であって、前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、前記睡眠者の体重が加えられる前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、前記測定される圧力から生体信号を抽出する段階と、前記生体信号においていびき又は無呼吸が発現するかを判断する段階と、前記生体信号においていびき又は無呼吸の発現が検出されると、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、使用者の姿勢を変化させる段階とを含む。
【0024】
更に、本発明は、使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、床ずれを防止できる方法であって、前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、前記使用者の体重が加えられる前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、前記測定される圧力に基づいて同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階と、前記一定時間同じ姿勢であれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、前記使用者の姿勢を変化させる段階とを含む。
【発明の効果】
【0025】
前述したように、本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法は、睡眠者が着用した衣類を通じて睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させ、このような姿勢変化が睡眠者の無意識による動きにも拘わらず、正確になされるようにし、これにより睡眠者の熟睡を維持すると共に睡眠無呼吸症のような呼吸障害を防止できるという効果を奏する。また、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者に衣類を着用させることで、一定時間毎に寝ている姿勢を自然に変化させて床ずれを防止できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図7は、本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す構成図であり、図8及び図9は、それぞれ図7に示す衣類の正面図及び背面図である。
【0028】
図7に示すように、衣類200は使用者、例えば、睡眠者又は患者が着用し、睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止するための装置100を備える。この装置は、その背面に装着される複数のエアーチャンバ210、220、230と、各エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給するエアー供給部240と、エアーチャンバ210の圧力を測定する圧力検知部250と、圧力検知部250から出力される信号を受信すると共にエアー供給部240を制御する制御部260とを備える。
【0029】
図8及び図9に示すように、衣類200は着用性と使用性を多角的に考慮して着られる(wearable)手段のデザインが採用され、このようなウェアラブル・デザインにおいては機能的構造と適した素材の選択が必須であるが、特に、素材の場合、快適性、安全性、電磁波遮断機能、静電気防止機能、及び絶縁機能など人体に有害な要素を管理する素材が選択され得る。
【0030】
そして、衣類200の素材を通じて睡眠時に放出される汗を排出させるだけでなく、温度調節機能を行うために、汗が出やすい脇の部位や体の前後左右に通風口を設計して衣服内の熱や湿気が速やかに排出されるようにすることで、快適性を向上させなければならず、素材と人体との摩擦を最小化できる縫製方法を考慮する必要がある。従って、衣類200は使用者が用いるものであって、キトサン繊維、銀繊維、又は竹繊維などの健康指向型素材や、アクアトランス又はクールマックスメッシュなどのハイテク素材、又はオーガニックコットン、テンセル、又は天然ミネラルイオン健康繊維などの環境に優しい素材が用いられ得る。
【0031】
このような衣類200は使用者の全身に着用可能なようにワンピースにして宇宙服のように上下がつながっているタイプが好ましく、胴体だけでなく、両腕と両脚を含むことができる前面部201と背面部202とからなり、使用者が着用し易いように前留めが好ましく、この前留めには分離可能なようにジッパー203が設けられる。
【0032】
これとは異なり、衣類200の前留めは一例であって、横留めであってもよく、更にジッパー203も一例であって、間隔の調節が容易なファスナー、輪ゴム、スナップボタンなど多様な着脱手段が同じ種類又は他の種類を組み合わせて用いられてもよい。
【0033】
そして、エアーチャンバ210、220、230は、衣類200の背面、即ち背面部202に収縮及び膨脹が可能なように設けられてエアー供給部240から供給されるエアーにより膨脹し、収縮と膨脹が可能な構造及び材質からなるが、形状は円形や多角形など多様であることができ、個数も例示されたものより多く設けられることもできる。構造的にはシャーリング処理又はダーツ処理された部分を含むことができ、材質的には膨脹と収縮が可能な合成樹脂、天然ゴム、人造ゴム、繊維などの材料からなることもでき、使用者の姿勢を変化、例えば仰臥位から側臥位に変更させるのに十分な体積を有する。
【0034】
エアーチャンバ210、220、230は、衣類200の背面で一側へ偏るように位置させることで、膨脹時に使用者を仰臥位から側臥位に簡便、かつ、自然に変化させることができるが、このとき、エアーチャンバ210、220、230は衣類200の背面部202に装着設置され、衣類200の着用時に使用者の背中部位に該当する位置に設けられる第1エアーチャンバ210と、使用者の両腕に該当する位置に設置される一対の第2エアーチャンバ220と、使用者の両太ももとふくらはぎに該当する位置にそれぞれ一対で設けられる第3エアーチャンバ230とからなり、膨脹時に使用者を仰臥位と左、右側の側臥位に変化させるものであり、これらの第1、2、3エアーチャンバ210、220、230はエアー供給ライン270を介してエアー供給部240に連結される。
【0035】
更に、第1エアーチャンバ210は、図10に示すように、使用者の背中部位全体の面積と類似の面積を有する矩形状の本体211を含み、この本体211の内部に積層された第1、2エアーセル212、213が含まれる。第1、2エアーセル212、213は制御部260で圧力検知部250から信号を受信して睡眠呼吸障害を検知する時又は一定時間毎に使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように対向する直角三角形状にして交互に膨脹する。
【0036】
例えば、使用者の姿勢を左側又は右側の側臥位に変更するように、第1のエアーセル212は、右に下がる斜辺を持つ直角三角形と類似な形状に膨張すれば、その後は第1エアーセル212の下部に位置する第2エアーセル213は、右に上がる斜辺を持つ直角三角形と類似な形状に膨張する。
【0037】
エアー供給部240は、制御部260の制御信号に応じてエアー供給ライン270を介して第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを選択的に供給するが、このために圧縮されたガスを用いることもでき、好ましくは、ポンピングによりエアーを供給するエアーポンプが用いられる。
【0038】
圧力検知部250は一種の圧力測定センサであって、第2、3エアーチャンバ220、230にも設けられることができるが、使用者の体重が最も多く加えられる第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213のそれぞれに設けられることが好ましく、睡眠者の体重などにより加圧される第1エアーチャンバ210の圧力はもちろん、睡眠者の心拍数、呼吸などにより変化される第1エアーチャンバ210の圧力の変動を測定して電気的な信号として制御部260に出力する。一方、圧力検知部250が圧力を測定するために、第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213のそれぞれに圧力の測定に必要な体積を有するようにエアーが充填されるが、このとき、充填されるエアーの量は睡眠者が仰臥位状態で寝る際に不便を感じない程度の量が好ましい。
【0039】
制御部260は、圧力検知部250から出力される信号を受信して使用者のいびき及び/又は無呼吸の感知時にエアー供給部240が第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化、例えば、仰臥位から側臥位に変更させて睡眠者の上気道を開放させることで、睡眠者の呼吸障害を解消させ、本一実施形態でのように、第1エアーチャンバ210の圧力を測定する圧力検知部250から信号を受信していびき及び/又は無呼吸を検知する毎に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を取るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させる。
【0040】
これとは異なり、使用者が、例えば、姿勢の変更が不自由な患者である場合、同じ姿勢で一定時間が経過すれば、同一部位の圧力を測定した圧力検知部250から信号を受信して使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させる。
【0041】
制御部260は圧力検知部250から出力される信号を多数の帯域通過フィルタ261により多数の周波数領域にフィルタリングしてそれぞれの周波数領域帯から睡眠者の呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数、一定時間の経過などの何れか1つ及び/又はこれらの組み合わせを算出できる。
【0042】
例えば、制御部260は圧力検知部250から第1エアーチャンバ210の変動圧力を電気的な信号として伝達を受けて、これを多数の帯域通過フィルタ261のフィルタリングにより得られた0.1Hz〜0.5Hzの領域帯と0.7Hz〜2.0Hzの領域帯で波形の周期を分析してそれぞれ呼吸数と心拍数を算出し、50Hz以上の領域帯で存在する波形の回数によっていびきの回数と無呼吸の回数を算出する。このような周波数領域帯は人間の身体条件、臨床実験などによりその数値を異にすることができ、特に、いびきの場合、STFT(Short Time Fourier Transformation)方法を用いて臨床実験で得られた結果による周波数特性を観察することで、いびきの有無を判断し、睡眠無呼吸症は、一般に10秒以上呼吸がなく、そのような状態が1時間当たり5回以上の場合であると定義され、本発明は無呼吸時に姿勢の変換を誘導して無呼吸を防止するものであるので、10秒間に1回の呼吸が観察されない場合を無呼吸と判断する。
【0043】
一方、装置100は、制御部260により算出される呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数の何れか1つ及び/又はこれらの組合わせをデータとして格納するか、圧力感知部250から出力される測定圧力の変化による経過時間を格納するメモリ部262を更に備える。また、装置100はメモリ262に格納されたデータから選択信号、例えばコントロールボックス208(図8参照)を通じて使用者により提供された操作信号に応じて1分当りの最大呼吸数、1分当りの最小呼吸数、1分当りの平均呼吸数、いびきの累積回数の何れか1つ又はこれらの組合わせ、又は一定時間の経過を外部にディスプレイするディスプレイ部263を更に備える。また、装置100はメモリ部262に格納されたデータを外部機器、例えば個人用コンピュータ、医療機器、分析機器などに伝送するためのUSBポート(Universal Serial Bus Port)などのような出力部265を更に備える。
【0044】
制御部260は、エアー供給部240が直接的に第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を膨張させることはもちろん、収縮させるようにエアー供給部240を制御できるが、例えばエアー供給部240がエアーポンプである場合、正回転及び逆回転によりそれを可能にすることができ、これに限らず、本実施形態でのように、膨張した第1、2、3エアーチャンバ210、220、230が収縮のためのエアーの排出が可能なようにエアー供給部240からエアーが供給される経路、即ちエアー供給ライン270上に制御部260によって制御される3方向弁272がそれぞれ設けられる。
【0045】
3方向弁272は、一例として制御部160の制御信号により動作するソレノイド弁であることが好ましい。
【0046】
一方、エアー供給部240、制御部260、メモリ部262、ディスプレイ部263などは、衣類200から分離されて設置されることができるが、使用上の便利性及び使用者との干渉を最小化するために、衣類200に着脱自在に取り付けられることができる。ここで、制御部260、メモリ部262、ディスプレイ部263、エアー供給部240などは外側面に図示していない多数の操作ボタンが設けられたコントロールボックス280内に設置されて衣類200に取り付けられることができ、エアー供給部240、制御部260などは使い勝手の良い充電池の充電により電源の供給を受ける。
【0047】
本発明による前述した衣類200を用いて睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる方法を図11及び図12を参照して説明する。
【0048】
まず、図11は、本発明によって使用者、即ち睡眠者に本発明の衣類を着用させて睡眠呼吸障害を防止する方法を例示する。図11に示すように、本発明の睡眠呼吸障害防止方法は、エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階(S10)と、エアーチャンバの圧力を測定する段階(S30)と、測定される圧力から生体信号を抽出する段階(S40)と、生体信号にいびき及び/又は無呼吸が発現するかを判断する段階(S50)と、いびき及び/又は無呼吸の発現時に睡眠者の姿勢を変化させる段階(S60)とを含む。
【0049】
段階(S10)はまず、睡眠者が衣類200を着用した状態で仰向けに寝て本装置を動作させると、睡眠者が仰臥位で寝ている状態で不便を感じない程度に第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213に圧力を測定できるほどのエアーを供給する。
【0050】
一方、段階(S10)の後、第1エアーチャンバ210から正確な圧力の測定のために、第1エアーチャンバ210の安定化のための一定時間、例えば15秒〜25秒、好ましくは、20秒程度圧力を測定せずに待機する(S20)。
【0051】
段階(S30)において、第1エアーチャンバ210の安定化段階(S20)が完了すると、睡眠者の体重により加圧される第1、2エアーセル212、213のそれぞれの圧力が圧力検知部250により測定される。このとき、測定時間は5秒〜15秒、好ましくは、10秒程度であり、圧力検知部250は睡眠者の心拍や呼吸などに基づいて第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を検知して電気的な信号として制御部260に提供する。
【0052】
測定される圧力から生体信号を抽出する段階(S40)において、圧力検知部250により測定される圧力値に対する電気的な信号は1つ及び/又は多数の帯域通過フィルタ261を介して周波数領域帯毎にフィルタリングする。また、前述したようなそれぞれの周波数領域帯から呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数及びこれらの組み合わせを含む生体信号が算出される。このとき、いびきの存否はSTFT方法を用いて臨床実験で得られた結果による周波数特性を観察することで、その有無が判断され得る。睡眠無呼吸症は、一般に10秒以上呼吸がなく、このような状態が1時間当り5回以上の場合であると定義され、本発明は無呼吸時に姿勢の変換を誘導して無呼吸を防止するものであるので、10秒間に1回でも呼吸が観察されないと無呼吸と判断する。
【0053】
一方、前記生体信号はメモリ部262に格納されて必要に応じてディスプレイ部263を介してその最大値、最小値、平均値などで外部にディスプレイされることができ、個人用コンピュータ、診断機器などのような外部機器に出力部264を介してデータを送信することもできる。
【0054】
段階(S50)において、1つ又は多数の生体に関するデータからいびき又は無呼吸が発現したかを判断する。もし、いびき又は無呼吸が発現していないと判断されると、段階(S30)に戻り、前述した段階を繰り返して行う。
【0055】
しかしながら、もし、いびき又は無呼吸が発現したと判断されると、段階(S60)に進み、エアー供給部240の作動により第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給してこれらエアーチャンバを膨脹させる。図13に示すように、使用者が仰向けになっている場合、第1エアーチャンバ210の第1エアーセル212と、身体の半分に該当する一方の腕と脚の第2エアーチャンバ220と第3エアーチャンバ230にエアーが供給されることで、睡眠者が図13に示す仰臥位から図14に示す側臥位に姿勢を変更するようにして上気道を開放させ、これにより睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0056】
段階(S60)において、もし、睡眠者の姿勢変換が一定時間、例えば5分〜10分を経過すれば、段階(S70)に進み、睡眠者の姿勢が元に戻るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーを排出させる。このとき、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーの排出は、エアー供給部240の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアーの排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部260の制御信号に応じて動作する3方向弁272を通じて可能になる。
【0057】
一方、段階(S70)において、睡眠者が再び図13に示すように、仰臥位姿勢に戻れば、段階(S80)に進み、本発明の装置100の使用が終了したかを判断する。
【0058】
段階(S80)において、継続使用中であると判断されると、段階(S10)の後続段階を行っていびき又は無呼吸の発現時に以前とは異なる第2エアーセル213と第2、3エアーチャンバ220、230にエアーを供給することで、図15に示すように、反対方向の側臥位に姿勢を変更せしめる。
【0059】
即ち、睡眠者の姿勢を変化させる段階(S60)は、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させて互いに異なる方向の側臥位を取るようにする。
【0060】
以上のように、本発明の好適な実施形態によれば、睡眠者の体重、心拍、呼吸などにより加圧される第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を通じて睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断することができ、睡眠者のいびき又は無呼吸時に第1、2、3エアーチャンバ210、220、230の選択的な膨脹によりいびき又は無呼吸を止めるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に仰臥位から側臥位に変化させ、これにより睡眠者に熟睡を維持させると共に睡眠時のいびき、無呼吸症などの呼吸障害を防止する。
【0061】
また、衣類200を睡眠者が着用することで、睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき又は無呼吸の防止のための睡眠者の姿勢を変更可能なようにする動作に対する信頼性に優れており、膨脹した第1、2、3エアーチャンバ210、220、230が元の状態に収縮することで、睡眠者に楽な姿勢への復帰を可能にし、エアーの供給によって動作することで、動作時に発生する騷音を抑制して睡眠の妨害を最小化する。
【0062】
一方、図12は、本発明の他の実施形態であって、衣類200を着用した使用者、(即ち、患者)の床ずれ防止方法を示す。図12に示すように、本発明の他の実施形態の方法は、エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階(S100)と、エアーチャンバの圧力を測定する段階(S120)と、測定される圧力から同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階(S130)と、一定時間同じ姿勢であれば、エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、患者の姿勢を変化させる段階(S140)とを含む。
【0063】
段階(S100)において、患者が衣類200を着用した状態で仰向けに寝て本装置100を動作させると、患者が仰臥位で寝ている状態で不便を感じない程度に第1エアーチャンバ210の圧力を測定できるほどのエアーが供給される。
【0064】
一方、段階(S10)の後、第1エアーチャンバ210から正確な圧力の測定のために、第1エアーチャンバ210の安定化のための一定時間、例えば15秒〜25秒、好ましくは20秒程度圧力を測定せずに待機する(段階S110)。
【0065】
段階(S120)において、睡眠者の体重により加圧される第1エアーチャンバ210の圧力を圧力検知部250によって測定し、このとき、測定値は制御部260に送られる。
【0066】
段階(S130)において、圧力検知部250によって測定される圧力値が一定時間一定であり、変化がなければ、制御部260は患者の姿勢変化が要求される時点であると判断する。
【0067】
そして、経過時間はメモリ部262に格納されて必要に応じてディスプレイ部263を介して時間が外部にディスプレイすることができ、個人用コンピュータ、診断機器などのような外部機器に出力部264を介してデータを送信することもできる。
【0068】
段階(S130)の判断によって、患者の姿勢を変化させる段階(S140)を実施する。即ち、エアー供給部240の作動により第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給することで膨脹させるが、このとき、実施形態でのように、図13に示すように患者が仰向けになっている場合、第1エアーチャンバ210の第1エアーセル212と、身体の半分に該当する第2エアーチャンバ220と第3エアーチャンバ230に共にエアーが供給されることで、使用者(患者)が図13に示す仰臥位から図14に示す側臥位に姿勢を変更するようにして一定部位の持続的な圧迫により押されている血管に酸素と栄養分が供給されるようにする。
【0069】
段階(S140)において、姿勢の変換が一定時間、例えば5分〜10分が経過すれば、段階(S150)に進み、患者の姿勢が元に戻るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーを排出させる。このとき、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーの排出は、エアー供給部240の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアーの排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部260の制御信号に応じて動作する3方向弁272によって可能になる。
【0070】
一方、段階(S150)において、エアーチャンバのエアーの排出(S150)を通じて患者が再び図13に示すように、仰臥位姿勢に戻れば、段階(S160)に進み、装置100の使用が終了したかを判断する。
【0071】
段階(S160)において、継続使用中であれば、段階(S100)に戻り、第1エアーチャンバ210に圧力の測定のためのエアーを供給する後続段階を繰り返して行って圧力を測定する。その後、以前とは異なる第2エアーセル213と第2、3エアーチャンバ220、230にエアーを供給することで、図15に示すように、反対方向の側臥位に姿勢を変更させる。即ち、患者の姿勢を変化させる段階(S60)は、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させて互いに異なる方向の側臥位を取るようにする。
【0072】
以上のように、本発明の好適な他の実施形態によれば、患者の体重により加圧される第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を通じて患者の姿勢が変化したか否かを正確に判断することができ、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230の選択的な膨脹により患者の姿勢を自然に仰臥位から側臥位に変化させて床ずれを防止する。
【0073】
以上、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】人体の上気道に対する閉鎖現象を説明する図である。
【図2】人体の上気道に対する閉鎖現象を説明する図である。
【図3】従来技術によるいびき防止装置の要部を示す図である。
【図4】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図5】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図6】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図7】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の構成図である。
【図8】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す正面図である。
【図9】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す背面図である。
【図10】図9のVII-VII線に沿った拡大断面図である。
【図11】本発明の一実施形態による睡眠呼吸障害防止方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態による床ずれ防止方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【図14】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【図15】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【符号の説明】
【0075】
200…衣類、201…前面部、202…背面部、203…ジッパー、210,220,230…第1,2,3エアーチャンバ、211…本体、212,213…第1,2エアーセル、240…エアー供給部、250…圧力検知部、260…制御部、261…帯域通過フィルタ、262…メモリ部、263…ディスプレイ部、264…出力部、270…エアー供給ライン、272…3方向弁、280…コントロールボックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止するための衣類及び方法に関し、より詳しくは、睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させることができ、更に長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者にも姿勢の変更に適用されて床ずれを防止できるようにする睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、睡眠呼吸障害として分類される習慣性いびきと睡眠無呼吸症及び上気道抵抗症候群は、睡眠中に上気道を繰り返して閉鎖することに特徴のある疾患であって、これは夜間の睡眠効率を低下させて熟眠を妨害し、特に血液中の酸素飽和度を低下させるという結果をもたらす(Chokroverty S. (1994) Sleep Disorder Medicine. Butterworth-Heinemann)。
【0003】
このような睡眠呼吸障害は、昼間の眠気や、集中力の減少、記憶力の低下、学習能力の低下及び慢性疲れなどを誘発し、産業現場及び作業場における事故、運転中の居眠り運転による交通事故などを引き起こすため、社会経済的に大きな損失をもたらしている。
【0004】
近年は、このような睡眠呼吸障害が肥満、高血圧、糖尿病、認知症、心血管系疾患、心臓マヒ、性機能減退、脳血管疾患、脳卒中、及び新陳代謝症候群の発生と非常に密接な関係があるという研究結果が報告されている(Prospective study of the association between sleep-disordered breathing hypertension. N Engl Med 2000;342:1378-1384)。
【0005】
このような人体における上気道の閉鎖現象について、添付の図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0006】
図1に示すように、上気道4が正常の場合は気管支及び肺(図示せず)へ供給される空気が流入されるように上気道4が十分に確保されるが、図2に示すように、睡眠無呼吸状態では軟組織6の自体重量と舌7の重量による軟組織6の圧迫により口蓋8の喉頭部側から延びた軟組織6が上気道4を閉鎖する。
【0007】
このような上気道4の閉鎖現象は、睡眠中に仰臥位で寝ている場合に更にひどくなり、上気道4が閉鎖されれば、睡眠中に呼吸が止まったり、困難になったりする睡眠無呼吸症を誘発させ、上気道4が部分的に閉鎖される場合にいびき現象が生じる。
【0008】
このようないびきや睡眠無呼吸症を治療するために、多様な方法が試みられている。
【0009】
その代表として、睡眠中に機能性枕を用いて睡眠呼吸障害を治療しようとする試みがあり、主に測位又は頭位を高くするなどの姿勢の補正を通じた睡眠呼吸障害を防止する枕が開発されている。
【0010】
近年は、米航空宇宙局(NASA)の科学者らが発明した重合体フォーム製品である「メモリフォーム」が睡眠呼吸障害を防止する枕として商業的に販売されているが、これは体に伝達される荷重と衝撃を吸収し、荷重が緩和したとき、元に戻る性質を有する人体工学的デザインの枕ではあるものの、いびきや睡眠無呼吸症の治療に大きな効果はない。
【0011】
このような問題点を解決するための方法や装置が多く開発されており、これについて添付の図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0012】
図3に示すように、従来技術によるいびき防止装置の1つとして、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20−0236225号の「いびきを感知していびき防止用枕を駆動する装置」がある。この装置はいびき及び各種のノイズを入力させて所望のいびき信号を出力するいびき信号感知部10、いびき信号感知部10から印加される信号を分析していびき信号であることが確認されると、回転モータ駆動部40を作動させる制御部30、制御部30から印加される信号を格納するか、制御部30に出力させるメモリ部60、制御部30から印加される信号によって回転モータ42が駆動されることで、姿勢変形プレート46が動作して枕の形状が変わるようにする回転モータ駆動部40からなるいびき防止用枕を駆動する装置において、制御部30はいびき信号感知部10から印加されるいびき信号及びノイズ信号を信号処理して最終データを算出し、最終データが閾値よりも大きい値を持続的に有する持続時間を算出して設定時間と比較した後、大きければ持続時間中に存在する最大点の個数を算出し、最大点の個数が設定された最大点の個数よりも大きければ、いびき信号であると判断して、いびき信号が選択された回数だけ感知されると、回転モータ駆動部40に駆動信号を印加して回転モータ42を駆動させるようにする装置である。
【0013】
図4乃至図6に示すように、従来の他のいびき防止装置として、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20−0395890号の「いびき軽減装置」がある。この装置は睡眠者の呼吸を検出し、いびきの感知時に内部に注入される空気により膨張して睡眠者の睡眠姿勢を補正するエアーパッド71と、エアーパッド71に結合されて検出された呼吸を後段に伝達し、空気の注入及び排出通路としての役割を果たすエアーチューブ72と、エアーチューブ72へ伝達される呼吸を電気的な信号に変換するセンサと、センサから出力される呼吸感知信号を前置増幅する前置増幅器と、前置増幅器から出力される呼吸感知信号を複数の帯域毎にフィルタリングして心拍/呼吸/いびき判断用信号として出力する帯域フィルタ部と、機能及びモード変換信号を入力するための機能入力部と、機能入力部で入力された信号に対応してa)前置増幅器及び帯域フィルタ部からそれぞれ獲得される信号に基づいていびきと無呼吸の有無を判断し、b)呼吸状態を表示するように制御し、c)いびきと判断されると、エアーパッドを膨張させるための空気注入信号を発生し、d)エアーパッドの膨張後にいびきが感知されなければ、設定時間の後にエアーパッドに流入した空気を排気させるように制御信号を発生する中央処理装置73と、中央処理装置73から出力される状態表示制御信号に応じて睡眠者の呼吸状態、心拍状態などを画面に表示するディスプレイと、中央処理装置73から出力される発光ダイオード制御信号と空気注入制御信号及び排気制御信号を各対象駆動信号として出力する駆動部と、駆動部から出力される発光ダイオード駆動信号に応じて電源が供給されるか否かと機能動作状態を視覚的に表示する発光ダイオード(LED)と、駆動部から出力される空気注入信号に応じてエアーパッド71に空気を注入するポンプを駆動させるモータと、駆動部から出力される排気制御信号に応じて排気弁を開閉する排気ソレノイドとを含んで構成される。
【0014】
このように、図3の従来技術によるいびき防止装置は、いびきを感知していびきであると判断されると、自動でいびき防止用枕を駆動させて枕が一側へ傾斜するようにすることで、いびきをかかないようにする装置である。しかしながら、このような従来技術によるいびき防止装置は、いびきを感知した後にいびき防止用枕が傾いた状態で使用者が手動でリセットする前までは元に戻るのは不可能であり、睡眠者が睡眠中に動いたり、寝返りをしたりして枕から離れる場合、いびきの防止が困難になって動作の信頼性に問題が生じ、カムとプレートとの間の機械的摩擦によって騒音が発生して睡眠者の熟睡をむしろ妨害するという問題点を有していた。
【0015】
また、図4乃至図6の従来技術によるいびき防止装置は、エアーパッド71を用いて姿勢の変換を誘導するが、中央に位置するエアーパッド71の膨張により睡眠者が不便を感じて睡眠者が自ら姿勢を変える形態であるため、能動型ではないだけでなく、睡眠者を起こしてしまうため、熟睡を妨害し、睡眠者が睡眠時に動いたり、寝返りしたりする際に、エアーパッド71の膨張部位から離れると、このような姿勢の変化すら誘導できなくなるため、これも動作の信頼性において問題点を有していた。
【0016】
そして、いびきや無呼吸症状とは異なる一例として、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者において頻繁に見られるものとして床ずれの発生がある。
【0017】
この床ずれは、心臓病、高熱の病気、糖尿病、脳せき髄を患っている患者に現れ、特に臀部、骨盤、かかとのような骨の突出部を持続的に圧迫することにより、血管が押されて組織へ酸素と栄養分の供給が遮断されることにより発生する。
【0018】
従って、身動きが不自由な患者は一定時間が経過すれば、周期的に姿勢を変更させなければならない。
【0019】
しかしながら、このような患者をその度に誰かがそばで姿勢を変更させるのは困難であり、そのため、従来は床ずれを防止するために、通気性に優れたベッド用マットなどが開発され販売されているが、床ずれの防止に最も良い方法としては、患者の姿勢を随時変更して血行を促進させることが好ましく、そのための製品開発が要求されている状況である。
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20−0236225号
【特許文献2】大韓民国登録実用新案第20−0395890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、睡眠者のいびき及び/又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき及び/又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させ、このような姿勢の変化が睡眠者の無意識による動きにも拘わらず、正確になされるようにし、これにより睡眠者の熟睡を維持すると共に睡眠無呼吸症のような呼吸障害を防止する睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者に衣類を着用させて一定時間毎に寝ている姿勢を自然に変化させて床ずれを防止できるようにする睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するための本発明は、使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【0023】
また、本発明は、使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、いびき又は無呼吸の睡眠呼吸障害を防止できる方法であって、前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、前記睡眠者の体重が加えられる前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、前記測定される圧力から生体信号を抽出する段階と、前記生体信号においていびき又は無呼吸が発現するかを判断する段階と、前記生体信号においていびき又は無呼吸の発現が検出されると、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、使用者の姿勢を変化させる段階とを含む。
【0024】
更に、本発明は、使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、床ずれを防止できる方法であって、前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、前記使用者の体重が加えられる前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、前記測定される圧力に基づいて同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階と、前記一定時間同じ姿勢であれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、前記使用者の姿勢を変化させる段階とを含む。
【発明の効果】
【0025】
前述したように、本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類及びこれを用いた睡眠呼吸障害と床ずれ防止方法は、睡眠者が着用した衣類を通じて睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断して睡眠者がいびき又は無呼吸を止められるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に変化させ、このような姿勢変化が睡眠者の無意識による動きにも拘わらず、正確になされるようにし、これにより睡眠者の熟睡を維持すると共に睡眠無呼吸症のような呼吸障害を防止できるという効果を奏する。また、長い病床生活により衰弱した患者や脳せき髄神経の障害により姿勢を自由に変えられない患者に衣類を着用させることで、一定時間毎に寝ている姿勢を自然に変化させて床ずれを防止できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図7は、本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す構成図であり、図8及び図9は、それぞれ図7に示す衣類の正面図及び背面図である。
【0028】
図7に示すように、衣類200は使用者、例えば、睡眠者又は患者が着用し、睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止するための装置100を備える。この装置は、その背面に装着される複数のエアーチャンバ210、220、230と、各エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給するエアー供給部240と、エアーチャンバ210の圧力を測定する圧力検知部250と、圧力検知部250から出力される信号を受信すると共にエアー供給部240を制御する制御部260とを備える。
【0029】
図8及び図9に示すように、衣類200は着用性と使用性を多角的に考慮して着られる(wearable)手段のデザインが採用され、このようなウェアラブル・デザインにおいては機能的構造と適した素材の選択が必須であるが、特に、素材の場合、快適性、安全性、電磁波遮断機能、静電気防止機能、及び絶縁機能など人体に有害な要素を管理する素材が選択され得る。
【0030】
そして、衣類200の素材を通じて睡眠時に放出される汗を排出させるだけでなく、温度調節機能を行うために、汗が出やすい脇の部位や体の前後左右に通風口を設計して衣服内の熱や湿気が速やかに排出されるようにすることで、快適性を向上させなければならず、素材と人体との摩擦を最小化できる縫製方法を考慮する必要がある。従って、衣類200は使用者が用いるものであって、キトサン繊維、銀繊維、又は竹繊維などの健康指向型素材や、アクアトランス又はクールマックスメッシュなどのハイテク素材、又はオーガニックコットン、テンセル、又は天然ミネラルイオン健康繊維などの環境に優しい素材が用いられ得る。
【0031】
このような衣類200は使用者の全身に着用可能なようにワンピースにして宇宙服のように上下がつながっているタイプが好ましく、胴体だけでなく、両腕と両脚を含むことができる前面部201と背面部202とからなり、使用者が着用し易いように前留めが好ましく、この前留めには分離可能なようにジッパー203が設けられる。
【0032】
これとは異なり、衣類200の前留めは一例であって、横留めであってもよく、更にジッパー203も一例であって、間隔の調節が容易なファスナー、輪ゴム、スナップボタンなど多様な着脱手段が同じ種類又は他の種類を組み合わせて用いられてもよい。
【0033】
そして、エアーチャンバ210、220、230は、衣類200の背面、即ち背面部202に収縮及び膨脹が可能なように設けられてエアー供給部240から供給されるエアーにより膨脹し、収縮と膨脹が可能な構造及び材質からなるが、形状は円形や多角形など多様であることができ、個数も例示されたものより多く設けられることもできる。構造的にはシャーリング処理又はダーツ処理された部分を含むことができ、材質的には膨脹と収縮が可能な合成樹脂、天然ゴム、人造ゴム、繊維などの材料からなることもでき、使用者の姿勢を変化、例えば仰臥位から側臥位に変更させるのに十分な体積を有する。
【0034】
エアーチャンバ210、220、230は、衣類200の背面で一側へ偏るように位置させることで、膨脹時に使用者を仰臥位から側臥位に簡便、かつ、自然に変化させることができるが、このとき、エアーチャンバ210、220、230は衣類200の背面部202に装着設置され、衣類200の着用時に使用者の背中部位に該当する位置に設けられる第1エアーチャンバ210と、使用者の両腕に該当する位置に設置される一対の第2エアーチャンバ220と、使用者の両太ももとふくらはぎに該当する位置にそれぞれ一対で設けられる第3エアーチャンバ230とからなり、膨脹時に使用者を仰臥位と左、右側の側臥位に変化させるものであり、これらの第1、2、3エアーチャンバ210、220、230はエアー供給ライン270を介してエアー供給部240に連結される。
【0035】
更に、第1エアーチャンバ210は、図10に示すように、使用者の背中部位全体の面積と類似の面積を有する矩形状の本体211を含み、この本体211の内部に積層された第1、2エアーセル212、213が含まれる。第1、2エアーセル212、213は制御部260で圧力検知部250から信号を受信して睡眠呼吸障害を検知する時又は一定時間毎に使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように対向する直角三角形状にして交互に膨脹する。
【0036】
例えば、使用者の姿勢を左側又は右側の側臥位に変更するように、第1のエアーセル212は、右に下がる斜辺を持つ直角三角形と類似な形状に膨張すれば、その後は第1エアーセル212の下部に位置する第2エアーセル213は、右に上がる斜辺を持つ直角三角形と類似な形状に膨張する。
【0037】
エアー供給部240は、制御部260の制御信号に応じてエアー供給ライン270を介して第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを選択的に供給するが、このために圧縮されたガスを用いることもでき、好ましくは、ポンピングによりエアーを供給するエアーポンプが用いられる。
【0038】
圧力検知部250は一種の圧力測定センサであって、第2、3エアーチャンバ220、230にも設けられることができるが、使用者の体重が最も多く加えられる第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213のそれぞれに設けられることが好ましく、睡眠者の体重などにより加圧される第1エアーチャンバ210の圧力はもちろん、睡眠者の心拍数、呼吸などにより変化される第1エアーチャンバ210の圧力の変動を測定して電気的な信号として制御部260に出力する。一方、圧力検知部250が圧力を測定するために、第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213のそれぞれに圧力の測定に必要な体積を有するようにエアーが充填されるが、このとき、充填されるエアーの量は睡眠者が仰臥位状態で寝る際に不便を感じない程度の量が好ましい。
【0039】
制御部260は、圧力検知部250から出力される信号を受信して使用者のいびき及び/又は無呼吸の感知時にエアー供給部240が第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化、例えば、仰臥位から側臥位に変更させて睡眠者の上気道を開放させることで、睡眠者の呼吸障害を解消させ、本一実施形態でのように、第1エアーチャンバ210の圧力を測定する圧力検知部250から信号を受信していびき及び/又は無呼吸を検知する毎に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を取るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させる。
【0040】
これとは異なり、使用者が、例えば、姿勢の変更が不自由な患者である場合、同じ姿勢で一定時間が経過すれば、同一部位の圧力を測定した圧力検知部250から信号を受信して使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させる。
【0041】
制御部260は圧力検知部250から出力される信号を多数の帯域通過フィルタ261により多数の周波数領域にフィルタリングしてそれぞれの周波数領域帯から睡眠者の呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数、一定時間の経過などの何れか1つ及び/又はこれらの組み合わせを算出できる。
【0042】
例えば、制御部260は圧力検知部250から第1エアーチャンバ210の変動圧力を電気的な信号として伝達を受けて、これを多数の帯域通過フィルタ261のフィルタリングにより得られた0.1Hz〜0.5Hzの領域帯と0.7Hz〜2.0Hzの領域帯で波形の周期を分析してそれぞれ呼吸数と心拍数を算出し、50Hz以上の領域帯で存在する波形の回数によっていびきの回数と無呼吸の回数を算出する。このような周波数領域帯は人間の身体条件、臨床実験などによりその数値を異にすることができ、特に、いびきの場合、STFT(Short Time Fourier Transformation)方法を用いて臨床実験で得られた結果による周波数特性を観察することで、いびきの有無を判断し、睡眠無呼吸症は、一般に10秒以上呼吸がなく、そのような状態が1時間当たり5回以上の場合であると定義され、本発明は無呼吸時に姿勢の変換を誘導して無呼吸を防止するものであるので、10秒間に1回の呼吸が観察されない場合を無呼吸と判断する。
【0043】
一方、装置100は、制御部260により算出される呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数の何れか1つ及び/又はこれらの組合わせをデータとして格納するか、圧力感知部250から出力される測定圧力の変化による経過時間を格納するメモリ部262を更に備える。また、装置100はメモリ262に格納されたデータから選択信号、例えばコントロールボックス208(図8参照)を通じて使用者により提供された操作信号に応じて1分当りの最大呼吸数、1分当りの最小呼吸数、1分当りの平均呼吸数、いびきの累積回数の何れか1つ又はこれらの組合わせ、又は一定時間の経過を外部にディスプレイするディスプレイ部263を更に備える。また、装置100はメモリ部262に格納されたデータを外部機器、例えば個人用コンピュータ、医療機器、分析機器などに伝送するためのUSBポート(Universal Serial Bus Port)などのような出力部265を更に備える。
【0044】
制御部260は、エアー供給部240が直接的に第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を膨張させることはもちろん、収縮させるようにエアー供給部240を制御できるが、例えばエアー供給部240がエアーポンプである場合、正回転及び逆回転によりそれを可能にすることができ、これに限らず、本実施形態でのように、膨張した第1、2、3エアーチャンバ210、220、230が収縮のためのエアーの排出が可能なようにエアー供給部240からエアーが供給される経路、即ちエアー供給ライン270上に制御部260によって制御される3方向弁272がそれぞれ設けられる。
【0045】
3方向弁272は、一例として制御部160の制御信号により動作するソレノイド弁であることが好ましい。
【0046】
一方、エアー供給部240、制御部260、メモリ部262、ディスプレイ部263などは、衣類200から分離されて設置されることができるが、使用上の便利性及び使用者との干渉を最小化するために、衣類200に着脱自在に取り付けられることができる。ここで、制御部260、メモリ部262、ディスプレイ部263、エアー供給部240などは外側面に図示していない多数の操作ボタンが設けられたコントロールボックス280内に設置されて衣類200に取り付けられることができ、エアー供給部240、制御部260などは使い勝手の良い充電池の充電により電源の供給を受ける。
【0047】
本発明による前述した衣類200を用いて睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる方法を図11及び図12を参照して説明する。
【0048】
まず、図11は、本発明によって使用者、即ち睡眠者に本発明の衣類を着用させて睡眠呼吸障害を防止する方法を例示する。図11に示すように、本発明の睡眠呼吸障害防止方法は、エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階(S10)と、エアーチャンバの圧力を測定する段階(S30)と、測定される圧力から生体信号を抽出する段階(S40)と、生体信号にいびき及び/又は無呼吸が発現するかを判断する段階(S50)と、いびき及び/又は無呼吸の発現時に睡眠者の姿勢を変化させる段階(S60)とを含む。
【0049】
段階(S10)はまず、睡眠者が衣類200を着用した状態で仰向けに寝て本装置を動作させると、睡眠者が仰臥位で寝ている状態で不便を感じない程度に第1エアーチャンバ210の第1、2エアーセル212、213に圧力を測定できるほどのエアーを供給する。
【0050】
一方、段階(S10)の後、第1エアーチャンバ210から正確な圧力の測定のために、第1エアーチャンバ210の安定化のための一定時間、例えば15秒〜25秒、好ましくは、20秒程度圧力を測定せずに待機する(S20)。
【0051】
段階(S30)において、第1エアーチャンバ210の安定化段階(S20)が完了すると、睡眠者の体重により加圧される第1、2エアーセル212、213のそれぞれの圧力が圧力検知部250により測定される。このとき、測定時間は5秒〜15秒、好ましくは、10秒程度であり、圧力検知部250は睡眠者の心拍や呼吸などに基づいて第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を検知して電気的な信号として制御部260に提供する。
【0052】
測定される圧力から生体信号を抽出する段階(S40)において、圧力検知部250により測定される圧力値に対する電気的な信号は1つ及び/又は多数の帯域通過フィルタ261を介して周波数領域帯毎にフィルタリングする。また、前述したようなそれぞれの周波数領域帯から呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数及びこれらの組み合わせを含む生体信号が算出される。このとき、いびきの存否はSTFT方法を用いて臨床実験で得られた結果による周波数特性を観察することで、その有無が判断され得る。睡眠無呼吸症は、一般に10秒以上呼吸がなく、このような状態が1時間当り5回以上の場合であると定義され、本発明は無呼吸時に姿勢の変換を誘導して無呼吸を防止するものであるので、10秒間に1回でも呼吸が観察されないと無呼吸と判断する。
【0053】
一方、前記生体信号はメモリ部262に格納されて必要に応じてディスプレイ部263を介してその最大値、最小値、平均値などで外部にディスプレイされることができ、個人用コンピュータ、診断機器などのような外部機器に出力部264を介してデータを送信することもできる。
【0054】
段階(S50)において、1つ又は多数の生体に関するデータからいびき又は無呼吸が発現したかを判断する。もし、いびき又は無呼吸が発現していないと判断されると、段階(S30)に戻り、前述した段階を繰り返して行う。
【0055】
しかしながら、もし、いびき又は無呼吸が発現したと判断されると、段階(S60)に進み、エアー供給部240の作動により第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給してこれらエアーチャンバを膨脹させる。図13に示すように、使用者が仰向けになっている場合、第1エアーチャンバ210の第1エアーセル212と、身体の半分に該当する一方の腕と脚の第2エアーチャンバ220と第3エアーチャンバ230にエアーが供給されることで、睡眠者が図13に示す仰臥位から図14に示す側臥位に姿勢を変更するようにして上気道を開放させ、これにより睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0056】
段階(S60)において、もし、睡眠者の姿勢変換が一定時間、例えば5分〜10分を経過すれば、段階(S70)に進み、睡眠者の姿勢が元に戻るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーを排出させる。このとき、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーの排出は、エアー供給部240の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアーの排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部260の制御信号に応じて動作する3方向弁272を通じて可能になる。
【0057】
一方、段階(S70)において、睡眠者が再び図13に示すように、仰臥位姿勢に戻れば、段階(S80)に進み、本発明の装置100の使用が終了したかを判断する。
【0058】
段階(S80)において、継続使用中であると判断されると、段階(S10)の後続段階を行っていびき又は無呼吸の発現時に以前とは異なる第2エアーセル213と第2、3エアーチャンバ220、230にエアーを供給することで、図15に示すように、反対方向の側臥位に姿勢を変更せしめる。
【0059】
即ち、睡眠者の姿勢を変化させる段階(S60)は、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させて互いに異なる方向の側臥位を取るようにする。
【0060】
以上のように、本発明の好適な実施形態によれば、睡眠者の体重、心拍、呼吸などにより加圧される第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を通じて睡眠者のいびき又は無呼吸の有無を正確に判断することができ、睡眠者のいびき又は無呼吸時に第1、2、3エアーチャンバ210、220、230の選択的な膨脹によりいびき又は無呼吸を止めるように睡眠姿勢を覚醒させることなく、自然に仰臥位から側臥位に変化させ、これにより睡眠者に熟睡を維持させると共に睡眠時のいびき、無呼吸症などの呼吸障害を防止する。
【0061】
また、衣類200を睡眠者が着用することで、睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき又は無呼吸の防止のための睡眠者の姿勢を変更可能なようにする動作に対する信頼性に優れており、膨脹した第1、2、3エアーチャンバ210、220、230が元の状態に収縮することで、睡眠者に楽な姿勢への復帰を可能にし、エアーの供給によって動作することで、動作時に発生する騷音を抑制して睡眠の妨害を最小化する。
【0062】
一方、図12は、本発明の他の実施形態であって、衣類200を着用した使用者、(即ち、患者)の床ずれ防止方法を示す。図12に示すように、本発明の他の実施形態の方法は、エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階(S100)と、エアーチャンバの圧力を測定する段階(S120)と、測定される圧力から同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階(S130)と、一定時間同じ姿勢であれば、エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、患者の姿勢を変化させる段階(S140)とを含む。
【0063】
段階(S100)において、患者が衣類200を着用した状態で仰向けに寝て本装置100を動作させると、患者が仰臥位で寝ている状態で不便を感じない程度に第1エアーチャンバ210の圧力を測定できるほどのエアーが供給される。
【0064】
一方、段階(S10)の後、第1エアーチャンバ210から正確な圧力の測定のために、第1エアーチャンバ210の安定化のための一定時間、例えば15秒〜25秒、好ましくは20秒程度圧力を測定せずに待機する(段階S110)。
【0065】
段階(S120)において、睡眠者の体重により加圧される第1エアーチャンバ210の圧力を圧力検知部250によって測定し、このとき、測定値は制御部260に送られる。
【0066】
段階(S130)において、圧力検知部250によって測定される圧力値が一定時間一定であり、変化がなければ、制御部260は患者の姿勢変化が要求される時点であると判断する。
【0067】
そして、経過時間はメモリ部262に格納されて必要に応じてディスプレイ部263を介して時間が外部にディスプレイすることができ、個人用コンピュータ、診断機器などのような外部機器に出力部264を介してデータを送信することもできる。
【0068】
段階(S130)の判断によって、患者の姿勢を変化させる段階(S140)を実施する。即ち、エアー供給部240の作動により第1、2、3エアーチャンバ210、220、230にエアーを供給することで膨脹させるが、このとき、実施形態でのように、図13に示すように患者が仰向けになっている場合、第1エアーチャンバ210の第1エアーセル212と、身体の半分に該当する第2エアーチャンバ220と第3エアーチャンバ230に共にエアーが供給されることで、使用者(患者)が図13に示す仰臥位から図14に示す側臥位に姿勢を変更するようにして一定部位の持続的な圧迫により押されている血管に酸素と栄養分が供給されるようにする。
【0069】
段階(S140)において、姿勢の変換が一定時間、例えば5分〜10分が経過すれば、段階(S150)に進み、患者の姿勢が元に戻るように第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーを排出させる。このとき、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230のエアーの排出は、エアー供給部240の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアーの排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部260の制御信号に応じて動作する3方向弁272によって可能になる。
【0070】
一方、段階(S150)において、エアーチャンバのエアーの排出(S150)を通じて患者が再び図13に示すように、仰臥位姿勢に戻れば、段階(S160)に進み、装置100の使用が終了したかを判断する。
【0071】
段階(S160)において、継続使用中であれば、段階(S100)に戻り、第1エアーチャンバ210に圧力の測定のためのエアーを供給する後続段階を繰り返して行って圧力を測定する。その後、以前とは異なる第2エアーセル213と第2、3エアーチャンバ220、230にエアーを供給することで、図15に示すように、反対方向の側臥位に姿勢を変更させる。即ち、患者の姿勢を変化させる段階(S60)は、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230を交互に膨脹させて互いに異なる方向の側臥位を取るようにする。
【0072】
以上のように、本発明の好適な他の実施形態によれば、患者の体重により加圧される第1エアーチャンバ210内の圧力の変化を通じて患者の姿勢が変化したか否かを正確に判断することができ、第1、2、3エアーチャンバ210、220、230の選択的な膨脹により患者の姿勢を自然に仰臥位から側臥位に変化させて床ずれを防止する。
【0073】
以上、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】人体の上気道に対する閉鎖現象を説明する図である。
【図2】人体の上気道に対する閉鎖現象を説明する図である。
【図3】従来技術によるいびき防止装置の要部を示す図である。
【図4】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図5】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図6】従来技術によるいびき防止装置を示す図である。
【図7】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の構成図である。
【図8】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す正面図である。
【図9】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類を示す背面図である。
【図10】図9のVII-VII線に沿った拡大断面図である。
【図11】本発明の一実施形態による睡眠呼吸障害防止方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態による床ずれ防止方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【図14】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【図15】本発明による睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類の作用を説明するための使用状態図である。
【符号の説明】
【0075】
200…衣類、201…前面部、202…背面部、203…ジッパー、210,220,230…第1,2,3エアーチャンバ、211…本体、212,213…第1,2エアーセル、240…エアー供給部、250…圧力検知部、260…制御部、261…帯域通過フィルタ、262…メモリ部、263…ディスプレイ部、264…出力部、270…エアー供給ライン、272…3方向弁、280…コントロールボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、
前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、
前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、
前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、
前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部と
を備える睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類。
【請求項2】
前記複数のエアーチャンバは、
前記衣類の着用時に前記使用者の背中部位に該当する位置に設けられる第1エアーチャンバと、
前記使用者の両腕に該当する位置に設けられる第2エアーチャンバと、
前記使用者の両脚に該当する位置に設けられる第3エアーチャンバとからなり、
前記エアーチャンバは膨張時に仰臥位と左側の側臥位又は右側の側臥位とから眠る人の姿勢を変化させるために前記衣服の背面で前記使用者をある側に傾けるために配置されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記第1エアーチャンバは、
本体の内部に積層されている複数のエアーセルを備え、
前記制御部は前記圧力検知部から信号を受信して睡眠呼吸障害を検知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過すると、前記使用者が互いに異なる方向の側臥位となるように対向する直角三角形状で前記複数のエアーセルを交互に膨張させることを特徴とする請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
前記エアーが供給される経路上に、前記エアーチャンバが前記エアーを排出するように、前記制御部により制御される3方向弁を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記制御部は多数の周波数帯域で前記測定された圧力信号の波形周期を分析することによって前記測定された圧力信号から前記使用者の生体信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記生体信号は各周波数帯域の1分当りの呼吸数、いびき又は無呼吸の累積回数を含むことを特徴とする請求項5に記載の衣類。
【請求項7】
使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、いびき又は無呼吸の睡眠呼吸障害を防止できる方法であって、
前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、
前記睡眠者の体重が加えられる1以上の前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、
前記測定される圧力から生体信号を抽出する段階と、
前記生体信号においていびき又は無呼吸が発現するかを判断する段階と、
前記生体信号においていびき又は無呼吸の発現が検出されると、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、使用者の姿勢を変化させる段階と
を含む睡眠呼吸障害防止方法。
【請求項8】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、前記複数のエアーチャンバにより前記使用者の姿勢を仰臥位姿勢から側臥位姿勢に変化させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記圧力の測定のためのエアーを供給する段階の後に、前記エアーチャンバの安定化のために一定時間待機する段階を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体信号を抽出する段階は、
前記測定された圧力を電気的な信号に変換し、前記変換された電気的な信号を1又は複数の周波数帯域にフィルタリングし、それぞれの周波数領域から呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数のいずれか、又はこれらの組み合わせを抽出する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
使用者に複数の収縮及び膨脹可能なエアーチャンバが設けられている衣類を着用させることで、床ずれを防止できる方法であって、
前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、
前記使用者の体重が加えられる1以上の前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、
前記測定される圧力に基づいて前記使用者が同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階と、
前記使用者が前記一定時間同じ姿勢であれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、前記使用者の姿勢を変化させる段階と
を含む床ずれ防止方法。
【請求項12】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、
前記複数のエアーチャンバにより前記使用者の姿勢を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、
前記使用者の姿勢の変化を要する際に、前記複数のエアーチャンバにより前記使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように交互に膨脹させることを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記使用者の姿勢を変化させる段階において前記使用者の姿勢変換後に一定時間が経過すると、前記使用者の姿勢が元に戻るように前記エアーチャンバのエアーを排出させる段階を更に含むことを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【請求項1】
使用者に着用させることで睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類であって、
前記衣類の背面上に収縮及び膨脹が可能なように装着される複数のエアーチャンバと、
前記各エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給部と、
前記エアーチャンバの圧力を測定して測定された圧力を電気的な信号として出力する圧力検知部と、
前記圧力検知部から出力される前記測定された圧力信号を受信して前記睡眠者のいびき及び無呼吸を感知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過した時に前記エアー供給部が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして前記使用者の姿勢を変化させる制御部と
を備える睡眠呼吸障害及び/又は床ずれを防止できる衣類。
【請求項2】
前記複数のエアーチャンバは、
前記衣類の着用時に前記使用者の背中部位に該当する位置に設けられる第1エアーチャンバと、
前記使用者の両腕に該当する位置に設けられる第2エアーチャンバと、
前記使用者の両脚に該当する位置に設けられる第3エアーチャンバとからなり、
前記エアーチャンバは膨張時に仰臥位と左側の側臥位又は右側の側臥位とから眠る人の姿勢を変化させるために前記衣服の背面で前記使用者をある側に傾けるために配置されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記第1エアーチャンバは、
本体の内部に積層されている複数のエアーセルを備え、
前記制御部は前記圧力検知部から信号を受信して睡眠呼吸障害を検知した時又は同じ姿勢で一定時間が経過すると、前記使用者が互いに異なる方向の側臥位となるように対向する直角三角形状で前記複数のエアーセルを交互に膨張させることを特徴とする請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
前記エアーが供給される経路上に、前記エアーチャンバが前記エアーを排出するように、前記制御部により制御される3方向弁を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記制御部は多数の周波数帯域で前記測定された圧力信号の波形周期を分析することによって前記測定された圧力信号から前記使用者の生体信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記生体信号は各周波数帯域の1分当りの呼吸数、いびき又は無呼吸の累積回数を含むことを特徴とする請求項5に記載の衣類。
【請求項7】
使用者に収縮及び膨脹可能なエアーチャンバがその背面に複数設けられている衣類を着用させることで、いびき又は無呼吸の睡眠呼吸障害を防止できる方法であって、
前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、
前記睡眠者の体重が加えられる1以上の前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、
前記測定される圧力から生体信号を抽出する段階と、
前記生体信号においていびき又は無呼吸が発現するかを判断する段階と、
前記生体信号においていびき又は無呼吸の発現が検出されると、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、使用者の姿勢を変化させる段階と
を含む睡眠呼吸障害防止方法。
【請求項8】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、前記複数のエアーチャンバにより前記使用者の姿勢を仰臥位姿勢から側臥位姿勢に変化させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記圧力の測定のためのエアーを供給する段階の後に、前記エアーチャンバの安定化のために一定時間待機する段階を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体信号を抽出する段階は、
前記測定された圧力を電気的な信号に変換し、前記変換された電気的な信号を1又は複数の周波数帯域にフィルタリングし、それぞれの周波数領域から呼吸数、心拍数、いびきの回数、無呼吸の回数のいずれか、又はこれらの組み合わせを抽出する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
使用者に複数の収縮及び膨脹可能なエアーチャンバが設けられている衣類を着用させることで、床ずれを防止できる方法であって、
前記エアーチャンバに圧力の測定のためのエアーを供給する段階と、
前記使用者の体重が加えられる1以上の前記エアーチャンバの圧力を測定する段階と、
前記測定される圧力に基づいて前記使用者が同じ姿勢で一定時間が経過したかを判断する段階と、
前記使用者が前記一定時間同じ姿勢であれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨脹させることで、前記使用者の姿勢を変化させる段階と
を含む床ずれ防止方法。
【請求項12】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、
前記複数のエアーチャンバにより前記使用者の姿勢を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記使用者の姿勢を変化させる段階は、
前記使用者の姿勢の変化を要する際に、前記複数のエアーチャンバにより前記使用者が互いに異なる方向の側臥位を取るように交互に膨脹させることを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記使用者の姿勢を変化させる段階において前記使用者の姿勢変換後に一定時間が経過すると、前記使用者の姿勢が元に戻るように前記エアーチャンバのエアーを排出させる段階を更に含むことを特徴とする請求項7又は11に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−525160(P2009−525160A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514219(P2009−514219)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002616
【国際公開番号】WO2008/140218
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507034252)バイオ・スリープ・メッド・カンパニー・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002616
【国際公開番号】WO2008/140218
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507034252)バイオ・スリープ・メッド・カンパニー・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
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