説明

睡眠評価装置および睡眠評価装置における検出方法

【課題】被験者への負担を軽減して、簡便かつ正確にOSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)を検出することのできる睡眠評価装置を提供する。
【解決手段】睡眠評価装置は、被験者の身体の動きを検出するための体動センサ31および音声を検出するためのマイク32を含んだセンサ30と、睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該睡眠中のヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義されるOSASに特有の睡眠パターンであるOSASサイクルをセンサ信号より検出するための演算を実行するCPU41を含んだ制御部40とを備える。CPU41は、体動センサ31のセンサ信号に基づいて被験者の睡眠状態の時系列変化を検出し、音声信号からOSASいびきに相当する音を検出し、これらの時間的な関係に基づいてOSASサイクルを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価装置における検出方法に関し、特に、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に特有の睡眠パターンを検出する睡眠評価装置および睡眠評価装置における検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)とは上気道の閉塞によって引き起こされる無呼吸、低呼吸状態となる症状を指し、日中の眠気、集中力の低下、不整脈、高血圧、脳血管障害などの原因とされている。
【0003】
代表的なOSASの検出方法としては睡眠ポリグラフ(PSG)検査やパルスオキシメータを用いて脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)とを測定する検査などが挙げられる。そして、これら検査によって測定された酸素飽和度(SpO2)や呼吸の有無などから無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)を算出し、総合的にOSASを判定することがなされている。
【0004】
簡易な方法としては、たとえば特開2003−265439号公報(以下、特許文献1)は、ベッドなどの身体安置手段に呼吸検出用のセンサを配設して被験者の呼吸動作を検出し、呼吸周期または呼吸回数を算出することで無呼吸を判断する方法を開示している。
【0005】
OSASには睡眠時に特有のいびき(以下、OSASいびきと記載する)がみられる。通常のいびきが規則的に生じるものであるのに対して、OSASいびきは、気道の狭窄により舌根、口蓋部が振動することによって生じる、不規則ないびきである。
【0006】
そこで、このOSASいびきを検出することでOSASを検出する方法も提案されている。たとえば、特開2005−304941号公報(以下、特許文献2)は、音検出手段を用いて音声検出し、検出された音声信号に基づいていびき状態を推定して、そのいびきの状態から、無呼吸状態に陥ったか否かを推定する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−265439号公報
【特許文献2】特開2005−304941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、睡眠ポリグラフ検査やパルスオキシメータを用いた検査では電極やセンサなどを被験者に装着する必要があるために被験者の負担が大きいという問題があった。
【0009】
同様に、特許文献1に開示されている方法も身体安置手段に配設されたセンサを用いるものであるために睡眠時の制約があり、やはり、被験者の負担は避けられないという問題があった。
【0010】
一方で、特許文献2に開示されている音声を用いて検出する方法では、音声信号に周囲の外乱情報(ノイズ)が重畳する場合があり、検出精度が低下する場合がある、という問題があった。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、被験者への負担を軽減して、簡便かつ正確にOSASを検出することのできる睡眠評価装置および睡眠評価装置における検出方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、睡眠評価装置は被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の度合いを評価するための睡眠評価装置であって、被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、音声を検出するための音声検出手段と、睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該睡眠中のヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義される閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを、体動検出手段の検出結果と音声検出手段の検出結果とから検出するための演算を実行するための演算手段とを備える。演算手段は、体動検出手段の検出結果に基づいて被験者の睡眠状態の時系列変化を検出するための第1の検出手段と、音声検出手段の検出結果を表わす音声信号から閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出するための第2の検出手段と、第1の検出手段で得られた被験者の睡眠状態の時系列変化と第2の検出手段で得られた閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音が発生したタイミングとに基づいて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを検出する第3の検出手段とを含む。
【0013】
好ましくは、演算手段は、睡眠パターンの各周期を特定する情報を記憶するための第1の記憶手段と、所定期間における被験者の睡眠パターンの各周期を特定する情報に基づいて、被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の度合いを示す指標を特定するための特定手段とをさらに含む。
【0014】
好ましくは、第1の検出手段は、体動の大きさおよび体動の周期性に基づいて被験者の睡眠状態の時系列変化を検出する。
【0015】
好ましくは、第2の検出手段は、体動検出手段で検出された呼吸による体動と連動している音声信号を用いて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出する。
【0016】
好ましくは、第2の検出手段は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音の判定に用いるための特定の周波数についての音圧のしきい値を予め記憶し、特定の周波数の音圧がしきい値よりも大きい音声信号で表わされた音声を閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音として検出する。
【0017】
好ましくは、第3の検出手段は、被験者の睡眠状態のうちの特定の睡眠状態と、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音とが予め規定された時間関係で検出された場合に、体動検出手段の検出結果と音声検出手段の検出結果とで表わされる睡眠パターンを閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンとして検出する。
【0018】
好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に典型的な睡眠パターンは、気道の狭窄の生じていない睡眠状態である第1の状態、狭窄の進行中の第2の状態、狭窄が進行することで気道が閉塞または概ね閉塞した第3の状態、および覚醒した第4の状態がその順で移行するものである。第3の検出手段は、体動検出手段の検出結果と音声検出手段の検出結果とから第1の状態〜第4の状態のうちの少なくとも1つの状態を検出することで、体動検出手段の検出結果声検出手段の検出結果とで表わされる睡眠パターンを閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンとして検出し、演算手段は、検出された睡眠パターンごとに、第1の状態〜第4の状態のタイミングを記憶するための第2の記憶手段をさらに含む。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、睡眠評価装置における検出方法は当該睡眠評価装置で被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを検出する方法であって、睡眠評価装置は、被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と音声を検出するための音声検出手段とを含む。当該検出方法は、体動検出手段の検出結果に基づいて被験者の睡眠状態の時系列変化を検出するステップと、音声検出手段の検出結果を表わす音声信号から閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出するステップと、睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該睡眠中のヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義される閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを、被験者の睡眠状態の時系列変化と閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音が発生したタイミングとの時間的な関係に基づいて検出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、被験者への負担を軽減して、簡便かつ正確にOSASサイクルを検出し、OSASの症状の度合いを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠評価装置の外観の具体例を示す図である。
【図2】睡眠評価装置の側面を表わした概略図である。
【図3】睡眠評価装置を上方から見た外観の概略図である。
【図4】睡眠評価装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】睡眠評価装置の使用例を説明する図である。
【図6】OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
【図7】OSASサイクルに伴う体動/呼吸信号および音声信号の、時間変化の具体例を示す図である。
【図8】図7の音声信号の一部分を拡大して表わした図である。
【図9】通常のいびき音の解析結果を表わす図である。
【図10】OSASサイクルの第1段階において上気道の閉塞が進んだときの、上気道の圧迫状態を説明するための図である。
【図11】OSASいびき音の解析結果を表わす図である。
【図12】所定期間のOSASサイクルにおける、被測定者の体動/呼吸信号および音声信号の時間変化の具体例を示す図である。
【図13】睡眠評価装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図14】睡眠評価装置の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【図15】体動/呼吸信号で表わされる電圧値の時間変化を表わしている。
【図16】(A)は図15に表わされた波形から分離された呼吸波形の具体例を示す図であり、(B)は図15に表わされた波形から分離された体動波形の具体例を示す図である。
【図17】覚醒判定の結果の具体例を示す図である。
【図18】OSASサイクルを検出する処理の第1の例を表わすフローチャートである。
【図19】OSASサイクルを検出する処理の第2の例を説明するための図である。
【図20】OSASサイクルの周期のレベル値の具体例を示す図である。
【図21】OSASサイクルの頻度のレベル値の具体例を示す図である。
【図22】軟口蓋の狭窄度合い、および舌根部の狭窄度合いのレベル値の具体例を示す図である。
【図23】無呼吸状態のレベル値の具体例を示す図である。
【図24】いびきサイクル情報テーブルの具体例を示す図である。
【図25】OSASサイクルのレベルに関連付けられたいびきレベルの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0023】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠評価装置100の外観の具体例を示す図である。また、図2は睡眠評価装置100の側面を表わした概略図、および図3は斜め上方から見た外観の概略図である。
【0024】
図1〜図3を参照して、睡眠評価装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0025】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン(あるいはボタン群)10が配備され、台座に立てられた筐体の表面には表示部20が配備される。また、その筐体内部には、センサ30と、制御部40とが内包される。
【0026】
以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を睡眠評価装置100の正面とも称する。
【0027】
睡眠評価装置100は無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。そして、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置200に接続されて、表示装置200に対して表示データを出力する。
【0028】
<ハードウェア構成>
図4は、睡眠評価装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0029】
図4を参照して、ボタン10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0030】
ボタン10はユーザに操作されることによる操作信号を制御部40に対して出力する。
センサ30は体動センサ31および音声センサであるマイク32を含み、それぞれ、センサ信号を制御部40に対して出力する。体動センサ31としては、好適にはドップラーセンサが用いられる。以降の説明では、体動センサ31がドップラーセンサであるものとする。他には、超音波センサが用いられてもよい。
【0031】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0032】
なお、体動を検出する機構として体動センサ31に替えてカメラを備えて、制御部40において画像解析を行なうことで体動を検出してもよい。
【0033】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述するOSASいびきを検出し、さらに、後述するOSASサイクルを検出する。そして、OSASのレベルを表わす指標を算出し、出力するための処理を行なう。
【0034】
上記出力するための処理は、表示データを生成し、当該表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を含む。または、表示データを表示装置200に対して通信部50から送信するための通信制御を含んでもよい。
【0035】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置200と通信するものであってもよい。
【0036】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0037】
<使用例>
図5は、睡眠評価装置100の使用例を説明する図である。
【0038】
図5を参照して、睡眠評価装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0039】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。このセンサ信号を、以降の説明では体動/呼吸信号とも称する。
【0040】
また、被測定者の近傍に配備されることで、音声センサであるマイク32によって被測定者近傍の音声が検出される。音声信号はセンサ信号として制御部40に出力される。このセンサ信号を以降の説明では音声信号とも称する。
【0041】
制御部40は、体動/呼吸信号で表わされた周波数の変化に基づいて就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて睡眠状態を判定する。また、制御部40は、音声信号から被測定者の「いびき」を検出し、その検出結果に基づいていびきの状態を判定する。そして、睡眠状態といびきの状態とから、被測定者のOSASのレベルを判定し、そのレベルを表わす指標を出力する。
【0042】
<OSASの説明>
ここで、OSAS(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:閉塞型睡眠時無呼吸症候群)について説明する。OSASとは、睡眠によって舌根や咽頭の筋肉が弛緩することで上気道が徐々に狭窄され、閉塞に至り、無呼吸・低呼吸に至る症状を指す。OSASは、脳血管障害の要因ともされている。その原因として、肥満や上気道筋肉の機能的な異常などが挙げられる。
【0043】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、後述する周期性のある睡眠パターンを繰り返す。この睡眠パターンを「OSASサイクル」と称する。さらに、特有の音圧で構成される、特徴的ないびきを発する。以降の説明において、このいびきを「OSASいびき」とも称する。通常のいびきは規則的かつ一時的であるのに対して、OSASいびきは、上気道の狭窄により舌根や口蓋部が振動することで生じるものであるため、不規則である。
【0044】
図6は、OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
図6(A)を参照して、OSASサイクルは大きくは3つの段階に分かれる。詳しくは、第1段階(#1)では、通常のいびきから上気道の狭窄に伴って徐々に大きないびきであるOSASいびきに変化していく。第2段階(#2)では、呼吸がきわめて小さくなる、またはなくなる。そして、第3段階(#3)では、体動が発生して破裂音または大きな溜息に似た音が発生し、覚醒状態となる。
【0045】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、この特有の睡眠パターンである#1〜#3からなるOSASサイクルを周期的に繰り返す。
【0046】
図6(B)は、OSASサイクルに伴う上気道の状態を説明する図である。
図6(B)を参照して、#1では通常状態から上気道の狭窄が徐々に進む。#2では、さらに上気道の狭窄が進み、完全な閉塞に至る。#3では、上気道の状態が通常状態に回復する。その際、破裂音や溜息に似た音が検出される。
【0047】
<評価の原理>
睡眠評価装置100では、図を用いて説明されたようなOSASいびきや体動の発生を検出することでOSASサイクルを検出する。すなわち、センサ30で取得できる呼吸情報の周期、振幅、および音圧の変動情報によりOSASサイクルを検出する。
【0048】
図7は、OSASサイクルに伴う体動/呼吸信号および音声信号の、時間変化の具体例を示す図である。これらのセンサ信号は、本願発明者らが実際に測定して得られたものである。図7においては、体動/呼吸信号および音声信号を同じ時系列で表わしている。
【0049】
図7を参照して、#1の通常のいびきが発生している段階では体動/呼吸信号は概ね一定した周期で繰り返される。OSASいびきが発生すると呼吸に伴う胸部の動きの大きさを表わす振幅は小さくなる。すなわち、この段階で呼吸動作が徐々に小さくなっていくことが示されている。
【0050】
#2の無呼吸段階では、体動/呼吸信号の振幅が非常に小さい状態が継続する。すなわち、この段階で呼吸動作がほぼ行なわれていないことが示されている。
【0051】
#3の、体動が発生して覚醒状態となる段階では、体動/呼吸信号号の振幅が不規則に大きくなる。すなわち、この段階で、大きな体動が発生して、呼吸動作が再開することが示されている。
【0052】
さらに、#1を、通常のいびきが発生している段階(#1−1)とOSASいびきが発生している段階(#1−2)との2段階に分離すると、音声信号については、#1−2において、通常のいびきから上気道が狭窄したOSASいびき特有の音に変化していく。図7の音声信号の丸印Pで表わされた位置が、#1−1から#1−2への音声信号の変化する位置を表わしている。
【0053】
図8は、図7の音声信号の丸印Pで示された位置を拡大して表わした図である。図8の横軸が周波数を表わし、縦軸は音圧を表わしている。図8に示されるように、図7の丸印Pで示された位置で音信号の周波数の構成が変化していることがわかる。この音の差異については後述する。
【0054】
#3の覚醒状態では、図7の音声信号の丸印Qで表わされた位置において、狭窄した上気道が復帰する際に破裂音または溜息に似た音が検出されたことが示されている。
【0055】
図9は、通常のいびき音の解析結果を表わす図である。図9を参照して、通常のいびき音は、概ね1000Hz以下の音圧の音で構成される。
【0056】
これに対して、OSASいびきは、構成する音圧の周波数が異なる。図10は、#1の上気道の閉塞が進んだときの、上気道の圧迫状態を説明するための図である。図10を参照して、仰向けに伏臥して睡眠によって筋肉が弛緩すると、重力により舌が背中側に落ち込む。そのため、図10において丸印で示された舌根部および軟口蓋後壁部が閉塞されやすくなる。
【0057】
図11は、OSASいびき音の解析結果を表わす図である。図11を参照して、OSASいびきは、150Hz付近の基音およびその倍音と、1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音との周波数の音圧を多く含んだ音で構成されている。前者の周波数は軟口蓋が閉塞することによって共鳴して発生する基音およびその倍音であり、後者の周波数は舌根部が閉塞することによって共鳴して発生する基音およびその倍音である。
【0058】
従って、これら周波数の音圧が所定以上である音信号はOSASいびきに似た音であると検出することができる。
【0059】
さらに、上気道の狭窄が進むほど、すなわち、OSASの症状が進行するほどより共鳴音が強くなるため、OSASに特有の上記2つの周波数帯の音圧は高くなる傾向にある。また、軟口蓋や舌根の形状は個人差のあるものであるため、それぞれの狭窄による共鳴音の周波数は個人差がある。よって、上記2つの周波数帯の音圧が測定された後、その音圧の変動を検知することで、上気道の狭窄の進み具合を検知することができる。そのため、音圧の変動は、OSASの症状の進行具合を示す1つの指標となり得る。また、上記2つの周波数帯での優位な音圧のそれぞれの周波数を測定することで、被測定者に特有のOSASいびきの周波数の特徴を抽出することができる。
【0060】
図7に示されたように、OSASの症状を有する患者の睡眠時の体動/呼吸信号の時間変化と音声信号の時間変化とには時間的な関連性がある。すなわち、OSASサイクルは、睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該ヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義される。その特徴的な関連としては、上記第1段階(#1)の終わりにOSASいびきが発せられ、その後、第2段階(#2)から第3段階(#3)に移行する際に大きな体動がある、という関連が挙げられる。また、その際に、破裂音または溜息に似た音も発せられる、という関連も挙げられる。
【0061】
そこで、睡眠評価装置100は、図7に示された体動/呼吸信号の時間変化と音声信号の時間変化との時間的な関連性を利用して、それぞれの信号に基づいて検出された状態が時間的に関連がある場合に、これら信号で定義される睡眠パターンをOSASサイクルと検出する。
【0062】
図12は、所定期間のOSASサイクルにおける、被測定者の体動/呼吸信号および音声信号の時間変化の具体例を示す図である。これらのセンサ信号もまた、本願発明者らが実際に測定して得られたものである。図12においても、体動/呼吸信号および音声信号を同じ時系列で表わしている。
【0063】
図12において点線で囲まれた区間が、上記#1〜#3で示された、通常のいびきの発生から上気道の閉塞(無音)状態を経て通常のいびきが再開されるまでの、OSASサイクルの1サイクルを表わしている。OSASの症状が進行するに連れて、OSASサイクルの1サイクルの開始から終了までの時間が長くなり、かつ、複数のOSASサイクルが短い間隔で繰り返されるようになる。すなわち、OSASサイクルの1サイクルの開始から終了までの時間(周期)、およびOSASサイクルの間隔(頻度)は、OSASの症状の進行具合を表わしていると言える。
【0064】
そこで、睡眠評価装置100は、OSASサイクルを特定する情報として、少なくともOSASサイクルの周期および頻度を用いて、OSASの症状の進行具合を示す指標を決定することで、被測定者の睡眠を評価する。
【0065】
<機能構成>
図13は、睡眠評価装置100においてOSASの症状の度合いを評価するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図13に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0066】
図13を参照して、睡眠評価装置100は、ドップラーセンサである体動センサ31から体動を表わすセンサ信号の入力を受付けるための体動入力部401と、該センサ信号に基づいて単位期間の体動の有無を判別するための体動判別部402と、単位期間ごとの判別結果に基づいて、当該単位期間が所定数連続してなる一定期間について睡眠状態である覚醒状態であるかを判定するための覚醒判定部403と、マイク32からの音声信号の入力を受付けるための音声入力部404と、音声入力部404に入力された音声信号に対して周波数を測定することにより上記したいびきの構成要素とされる周波数帯での所定量以上の音圧が検出されたことを判別する音声判別部405と、音声判別部405の判別結果に基づいてOSASいびきに対応する音声が発生したか否かを判定するいびき判定部406と、いびき判定部406の判定結果と覚醒判定部403の判定結果とに基づいてOSASいびきが発生したか否かを判定し、OSASサイクルを検出するためのOSAS判定部407と、複数のOSASサイクルを用いてOSASのレベルを判定し、予め記憶されているいびきのレベルを表わす指標のうちから対応する指標を決定するための決定部408と、決定部408の決定した結果を表示させるために表示部20および/または通信部50に送信するための出力処理部409とを含む。決定部408の決定した結果は、通信部50を介して、外部の装置に送信されることにより、他の装置において表示され得る。
【0067】
図13の例では、CPU41が体動センサ31、マイク32からのセンサ信号を入力部において直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、CPU41がOSASいびきの特徴を評価する動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0068】
<動作フロー>
図14は、睡眠評価装置100におけるOSASいびきの特徴を評価するための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。図14のフローチャートに示される動作は、たとえば、ボタン10に含まれる図示しない表示ボタンの押下を受付けることで開始されてもよいし、所定のタイミング(たとえば予め規定した時刻、など)に自動的に開始されるものでもよい。この動作は、CPU41がメモリ42に記憶される表示用のプログラムを読み出して実行し、図13に示された各機能を発揮することによって実現される。
【0069】
図14を参照して、動作が開始されると、ステップS10でCPU41は、測定結果としてメモリ42の所定記憶領域に記憶された体動を表わすセンサ信号および音声信号を読み出す。ステップS20でCPU41は、体動を表わすセンサ信号に基づいて覚醒状態を判断する。ステップS30でCPU41は、音声信号に基づいていびきの有無を判定する。そして、ステップS40でCPU41は、それらの判定結果を用いてOSASいびきを判定してOSASサイクルを検出し、ステップS50で当該レベルに応じたいびき指標を決定する。そして、ステップS60でCPU41は、その指標をOSASいびきの特徴の評価結果として出力するための処理を実行する。
【0070】
以下、上記ステップS20〜S50のそれぞれの動作の詳細について説明する。
<覚醒判定>
上記ステップS20の覚醒判定について説明する。
【0071】
図15は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号(体動/呼吸信号)の具体例を示す図である。図15は、体動センサからの搬送波と被測定者の表面からの反射波との位相の変位量に関係する電圧値の時間変化を表わしている。
【0072】
図15を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0073】
図16(A)、図16(B)は、図15に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0074】
安定した睡眠状態であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。従って、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した睡眠状態であると言える。
【0075】
また、安定した睡眠状態であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。従って、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した睡眠状態であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した睡眠状態ではないと言える。
【0076】
従って、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判定することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判定するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0077】
体動判別部402は、入力されたセンサ信号から図15に示されるようなセンサ信号に基づく波形を判別する。覚醒判定部403は、その波形を図16(A),(B)に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図15の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判定する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0078】
そして、覚醒判定部403は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を睡眠状態(S)であると判定する。一方、覚醒判定部403は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を覚醒状態(W)であると判定する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、覚醒状態と判定するようにしてもよい。
【0079】
図17(A)は、覚醒判定部403での判定結果の具体例を示す図である。図17(A)に示されるように、覚醒判定部403は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、安定した睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判定する。
【0080】
しかしながら、睡眠状態において体動が生じたり、覚醒状態において体動がなく呼吸が安定していたりする単位期間が生じる場合もある。また、被測定者以外の移動物からの反射波を受信して、その結果、体動波形にノイズが生じる場合もある。そこで、好ましくは、図13に示されるように覚醒判定部403は補正部4031を含み、補正部4031は、隣接する単位期間の判定結果に応じて、当該単位期間の判定結果を補正する。
【0081】
一例として、図17(B)に、図17(A)に示された判定結果の補正の具体例を示す。図17(A)および図17(B)を参照して、補正部4031は、同一の判定結果である単位期間の連続数が所定数以下であり、かつ、当該判定結果と反対の判定結果である単位期間がこの連続した単位期間の前後に所定数以上連続している場合、その連続した単位期間の判定結果を、反対の判定結果となるように補正する。
【0082】
具体的には、覚醒判定部403は図17(A)の単位期間t7について覚醒状態(W)と判定しているが、覚醒状態(W)と判定された単位期間は単位期間t7に対して連続しておらず(すなわち、連続数が1であり)、かつ、単位期間t7の前後において睡眠状態(S)と判定された単位期間がある程度連続している。判定結果が逆の同様の状態は単位期間t13についても見られる。
【0083】
仮に、対象とする単位期間の判定結果の連続数のしきい値(第1のしきい値)を2、その前後の単位期間の判定結果の連続数のしきい値(第2のしきい値)を2とすると、単位期間t7については、覚醒状態(W)と判定された単位期間の連続数1が上記第1のしきい値よりも小さく、かつ、単位期間t7の前後の判定結果の逆の単位期間の連続数3が上記第2のしきい値よりも大きい、という条件を満たしている。従って、補正部4031は、単位期間t7の単位期間の判定結果を、反対の判定結果である睡眠状態(S)となるように補正する。
【0084】
同様にして、補正部4031は、単位期間t13の単位期間の判定結果も、反対の判定結果である覚醒状態(W)となるように補正する。
【0085】
このようにして覚醒判定部403は、入力された体動を表わすセンサ信号に基づいて単位期間ごとに睡眠状態か覚醒状態かを判定し、当該単位期間ごとの判定結果を表わした情報を生成する。生成された図17(B)のような単位期間ごとの判定結果を表わす情報を「体動/呼吸情報ワークテーブル」とも称する。
【0086】
<いびき判定>
上記ステップS30のいびき判定について説明する。
【0087】
図9および図11を用いて説明されたように、OSASいびきも含めたいびきの音は、1000Hz以下の周波数の音圧が他の周波数の音圧よりも高く構成されている。そこで、音声判別部405は、入力された音声信号を周波数ごとの音圧に解析し、いびきの構成要素とされる1000Hz以下の音圧が予め規定された所定量より多く検出された音声信号を、いびきの判定に用いる有効な音声信号として判別する。
【0088】
さらに、OSASいびきは、図11を用いて説明されたように、150Hz付近の基音およびその倍音と、1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音とが特徴的に含まれている。そこで、いびき判定部406は、予め、150Hz付近の基音およびその倍音と、1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音とについての音圧のしきい値を記憶しておき、音声信号のその周波数の音圧と当該しきい値とを比較する。なお、音圧に関しては個人差があるため、上記しきい値は被測定者ごとに設定されるものであってもよい。そして、上記ステップS20の覚醒判定と同様に予め規定された単位期間(たとえば30秒や1分程度)ごとに、その期間内の音声信号が150Hz付近の基音およびその倍音と、1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音との周波数の音圧がしきい値以上多く検出されると、当該単位期間の音声信号で表わされる音をOSASいびきに相当する音であると判定する。これら周波数の音圧がしきい値よりも少なく、かつ1000Hz以下の周波数の音圧の音がしきい値より多く検出されると、当該単位期間の音声信号で表わされる音をOSASいびきでなく通常のいびきに相当する音であると判定する。
【0089】
いびき判定部406は、入力された音声信号に基づいて単位期間ごとにOSASいびきに相当する音が発生しているか否かを判定し、単位期間ごとその判定結果を表わした情報を生成する。生成された単位期間ごとの判定結果を表わす情報を「いびき情報ワークテーブル」とも称する。
【0090】
<OSAS判定>
上記ステップS40のOSAS判定について説明する。OSAS判定部407は、OSAS判定を実行することで発生した音がOSASいびきであることを判定し、その発生周期と体動の周期とを用いてOSASサイクルを検出する。
【0091】
[第1の例]
上記ステップS40のOSAS判定の第1の例について説明する。図18は、OSAS判定部407で実行される、OSASサイクルを検出する処理の第1の例を表わすフローチャートである。
【0092】
図18を参照して、OSAS判定部407は、ステップS101での初期化処理の後、ステップS103で覚醒判定部403およびいびき判定部406から判定結果を収集する。ここでは、上述の単位期間ごとに同期した覚醒判定部403の判定結果およびいびき判定部406の判定結果を収集する。当該単位期間のいびき判定部406での判定結果が得られた存在有効な音声信号であり(ステップS105でYES)、かつ、覚醒判定部403での判定結果が得られた存在有効な体動/呼吸信号である場合(S107でYES)、ステップS109でOSAS判定部407は、音声信号の波形が呼吸波形に連動したものであるか否か、つまり、いびきを表わしたものであるか否かを判定する。その結果、音声信号の波形が呼吸波形に連動していると判定されると(ステップS109でYES)、OSAS判定部407は当該単位期間を「いびき有り」の期間と判定し、ステップS111でその判定結果をその時刻および音声信号と共に情報テーブルに書き込む。この情報テーブルを「OSAS情報テーブル」とも称する。ここでの判定結果は、上で説明されたOSASいびきの第1段階(#1)の、通常のいびきが発生している段階に相当する。
【0093】
なお、この判定が、直前に後述する処理がなされたことによって無呼吸状態から覚醒状態に復帰したと判定した後になされたものである場合、当該単位期間から新たなOSASサイクルが開始されることになる。そこで、この場合、ステップS111でOSAS判定部407は、その判定結果をその時刻と共に情報テーブルに書き込む。つまり、この判定がなされた時刻がOSASサイクルの開始時刻として記憶される。この情報テーブルを「OSASサイクル情報テーブル」とも称する。
【0094】
その後、OSAS判定部407はステップS127でOSAS情報テーブルを管理するための必要な処理を実行した後、ステップS103へ処理を戻して次の単位期間の判定結果を収集する。
【0095】
当該単位期間のいびき判定部406での判定結果が得られる存在有効な音声信号ではない場合、つまり、いびき音が判別されなかった場合(ステップS105でNO)、ステップS113でOSAS判定部407は、後述するOSASサイクルの1サイクルの当該単位期間よりも以前に「いびき有り」と判定された単位期間が存在して、その後にいびき音が判別されなくなったものであるか否かを判定する。そうである場合(ステップS113でYES)、OSAS判定部407は無呼吸状態があったとして当該単位期間を「無呼吸期間」と判定し、ステップS115でその判定結果をその時刻および音声信号と共にOSAS情報テーブルに書き込む。ここでの判定結果は、上で説明されたOSASいびきの第2段階(#2)の無呼吸段階に相当する。
【0096】
その後、OSAS判定部407はステップS127でOSAS情報テーブルを管理するための必要な処理を実行した後、ステップS103へ処理を戻して次の単位期間の判定結果を収集する。
【0097】
当該単位期間のいびき判定部406での判定結果が得られた存在有効な音声信号であり、かつ、覚醒判定部403での判定結果が得られた存在有効な体動/呼吸信号である場合であって(ステップS105でYES、かつS107でYES)、音声信号の波形が呼吸波形に連動したものでなかった場合(ステップS109でNO)、ステップS117でOSAS判定部407は、体動/呼吸信号が、予め規定されている体動のしきい値よりも大きな体動を表わす信号であるか否か、つまり、大きな体動が発生したか否かを判定する。
【0098】
規定よりも大きな体動が発生したと判定された場合(ステップS117でYES)、ステップS119でOSAS判定部407は、その際の音声信号に基づいて、予め規定されているしきい値よりも大きな破裂音や溜息に似た音が発生しているか否かを判定する。
【0099】
規定よりも大きな体動が発生したものの大きな破裂音や溜息に似た音が発生していない場合には(ステップS117でYES、かつステップS119でNO)、OSAS判定部407は低呼吸状態からの呼吸の再開である可能性があると判定し、ステップS121でその判定結果をその時刻および音声信号、体動/呼吸信号と共にOSAS情報テーブルに書き込む。ここでの判定結果は、上で説明されたOSASいびきの第2段階(#2)において、低呼吸状態から無呼吸状態までに至らずに、低呼吸状態から第3段階(#3)の覚醒状態に移行したことを表わすものである。
【0100】
規定よりも大きな体動が発生し、かつ大きな破裂音や溜息に似た音が発生している場合には(ステップS117でYES、かつステップS119でYES)、ステップS123でOSAS判定部407は、後述するOSASサイクルの1サイクルの当該単位期間よりも以前に「無呼吸期間」と判定された単位期間が存在して、その後に大きな破裂音や溜息が検出されたものであるか否かを判定する。そうである場合(ステップS123でYES)、OSAS判定部407は、無呼吸状態から覚醒状態に復帰したと判定し、ステップS125でその判定結果をその時刻と共にOSAS情報テーブルに書き込む。ここでの判定結果は、上で説明されたOSASいびきの第3段階(#3)の覚醒段階に相当する。
【0101】
さらに、ステップS125でOSAS判定部407は、この判定でOSASサイクルの1サイクルが完了したと判定し、OSASサイクル情報テーブルにその判定結果をその時刻および音声信号、体動/呼吸信号と共に書き込む。さらに、OSASサイクル情報テーブルに書き込む情報として、先の処理で測定されたOSASサイクルのカウントを1加算して、OSASサイクル情報テーブルのOSASサイクルのカウントを更新する。
【0102】
その後、OSAS判定部407はステップS127でOSAS情報テーブルを管理するための必要な処理を実行した後、ステップS103へ処理を戻して次の単位期間の判定結果を収集する。
【0103】
つまり、OSAS判定部407は、以上の処理を単位期間の判定結果ごとに繰り返すことでOSASいびきを検出し、それを情報テーブルに書き込むことでOSASサイクルを検出する。
【0104】
以上の処理を繰り返すことで、「OSAS情報テーブル」には、単位期間ごとのOSASサイクルにおけるいずれの段階(上記#1〜#3)であるかの判定結果、およびその判定に用いられた信号が書き込まれることになり、「OSASサイクル情報テーブル」には、「OSAS情報テーブル」に書き込まれることで得られたOSASサイクルごとに、当該サイクルの少なくとも開始時刻、終了時刻、およびサイクル回数(カウント)とが書き込まれることになる。
【0105】
[第2の例]
上記ステップS40のOSAS判定の第2の例について説明する。OSAS判定部407は、上記単位期間ごとに、当該期間の上記ステップS20の覚醒判定から得られる睡眠状態の周期と、上記ステップS30のいびき判定の結果から得られるOSASいびきに相当する音の発生周期とを用いて、OSASいびきであるか否かを判定する。
【0106】
図19は、OSASサイクルを検出する処理の第2の例を説明するための図である。図19には、ある期間の単位期間(t1〜t12)ごとの上記ステップS20の覚醒判定および上記ステップS30のいびき判定の結果の具体例が示されている。詳しくは、図19の左から第1列は、単位期間t1〜t12それぞれの体動/呼吸信号に所定の処理を行なって得られた値を表わし、第2列は、この体動/呼吸信号を用いた上記ステップS20の覚醒判定の判定結果を表わしている。図19においては、覚醒判定の結果として、睡眠状態であるとの判定結果を「0」、覚醒状態であるとの判定結果を「1」で表わしている。
【0107】
さらに、第3列および第4列は、それぞれ、音声信号のうちの軟口蓋が閉塞することによって共鳴して発生する基音およびその倍音である150Hz付近の基音およびその倍音を表わす周波数の音圧に所定の処理を行なって得られた値、ならびに舌根部が閉塞することによって共鳴して発生する基音およびその倍音である1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音との周波数の音圧に所定の処理を行なって得られた値を表わし、第5列は、この音声信号を用いた上記ステップS30のいびき判定の結果を表わしている。図19においては、いびき判定の結果として、通常のいびきに相当する音が発生したことを表わす判定結果を「0」、OSASいびきに相当する音が発生したことを表わす判定結果を「1」で表わしている。
【0108】
OSAS判定部407は、図19の第2列に示される覚醒判定の結果と、第5列に表わされるいびき判定の結果とに基づいてOSASいびきを判定する。上述のように、OSASサイクルでは、第1段階(#1)で通常のいびきからOSASいびきに変化した後に第2段階(#2)の無呼吸/低呼吸状態に至り、その後に体動が発生して破裂音または大きな溜息に似た音が発生して第3段階(#3)の覚醒段階に達する。この変化に基づいてOSAS判定部407は、OSASいびきに相当する音が発生したと判定された後に覚醒状態と判定された期間を上記第1段階から第2段階を経て第3段階に移行した期間と判断し、そのときのOSASいびきに相当する音をOSASいびきと判定する。
【0109】
図19の例では、t5,t7,t10〜t12期間に覚醒状態であったと判定され、かつ、t4,t6,t9期間にOSASいびきに相当する音が発生したと判定されている。そのため、OSAS判定部407は、t4,t6,t9期間のいずれの音もOSASいびきと判定する。そして、OSAS判定部407は、先のOSASいびきの発生したと判定された期間から次のOSASいびきの発生したと判定された期間までをOSASサイクルの1サイクルとして検出することができる。
【0110】
<いびき指標決定>
上記ステップS50のいびき指標決定について説明する。ここで、「いびきレベル」とは、無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)との対応でOSASの症状の度合いを表わす指標を指す。
【0111】
決定部408は、いびきレベルを決定するための予め規定された評価項目ごとに測定値に応じたレベルを記憶しておき、上記ステップS40で検出されたOSASサイクルごとに、各サイクルに含まれる評価項目ごとのレベルを決定して情報テーブルに書き込む。この情報テーブルを「いびきサイクル情報テーブル」とも称する。さらに、OSASサイクルごとに当該サイクルの各評価項目のレベルを合算してOSASサイクルのレベルを算出し、いびきサイクル情報テーブルに書き込む。そして、予めOSASサイクルのレベルごとに記憶されているいびきレベルに基づいて、所定期間の測定結果に対応する指標を決定する。
【0112】
いびき指標を決定するための評価項目としては、少なくとも、OSASサイクルの各サイクルの開始時刻から終了時刻までの時間である周期(1サイクルの時間)、および、評価対象のOSASサイクルの直前のOSASサイクルの終了時刻から評価対象のOSASサイクルの開始時刻までの時間である頻度(OSASサイクル間の時間間隔)が用いられる。従って、決定部408は、OSASサイクル情報テーブルから少なくともこれらの情報を読み出してその評価を行ない、いびきサイクル情報テーブルにその結果を書き込む。
【0113】
いびき指標を決定するための評価項目のさらに他の例として、軟口蓋の狭窄度合い、舌根部の狭窄度合い、および無呼吸状態、が挙げられる。決定部408は、上述のOSASサイクルの周期(1サイクルの時間)および頻度(OSASサイクル間の時間間隔)に加えて、好ましくはこれらの評価項目を用いてOSASの評価を行なう。
【0114】
決定部408は、これら評価項目のそれぞれについて、その度合いに応じたレベル値を予め記憶しておき、上記ステップS40で検出されたOSASサイクルのそれぞれの評価項目についてレベル値を特定することで、当該OSASサイクルのレベル値を算出する。
【0115】
図20、図21、図22および図23は、それぞれ、決定部408に予め記憶されている、上記評価項目それぞれのレベル値の具体例を示す図である。図20を参照して、OSASサイクルの周期(1サイクルの時間)に関しては、予めt分(たとえば20分)を基準時間として記憶しておき、評価対象のOSASサイクルの開始から終了までの時間が当該t分と一致(または略一致)する場合にはレベル値3、t分より規定時間内短い場合にはレベル値4、t分より上記規定時間よりも短い場合にはレベル値5、t分より規定時間内長い場合にはレベル値2、およびt分より上記規定時間よりも長い場合にはレベル値3、と規定されている。決定部408は、上記ステップS40のOSAS判定で得られたOSASサイクル情報テーブルを参照して、評価対象のOSASサイクルの周期に関してレベル値を特定し、いびきサイクル情報テーブルに書き込む。
【0116】
図21を参照して、OSASサイクルの頻度(OSASサイクル間の時間間隔)に関しては、OSASサイクルの周期(1サイクルの時間)を基準時間として記憶しておき、評価対象のOSASサイクルの直前のOSASサイクルの終了時刻から評価対象のOSASサイクルの開始時刻までの時間が当該基準時間と一致(または略一致)する場合にはレベル値3、基準時間より規定時間内短い場合にはレベル値4、基準時間より上記規定時間よりも短い場合にはレベル値5、基準時間より規定時間内長い場合にはレベル値2、および基準時間より上記規定時間よりも長い場合にはレベル値3、と規定されている。決定部408は、上記ステップS40のOSAS判定で得られたOSASサイクル情報テーブルを参照して、評価対象のOSASサイクルの頻度に関してレベル値を特定し、いびきサイクル情報テーブルに書き込む。
【0117】
図22を参照して、軟口蓋の狭窄度合い、および舌根部の狭窄度合いに関しては、それぞれ、150Hz付近の基音およびその倍音の周波数、および1000Hzから1500Hzの基音およびその倍音の周波数の音圧が、音声信号に含まれない場合にはレベル値0、該周波数の音圧が予め規定した最小音圧である場合にはレベル値1、当該最小音圧の2倍以下の中音圧である場合にはレベル値3、および当該最小音圧の2倍以上の最大音圧である場合にはレベル5と規定されている。決定部408は、上記ステップS40のOSAS判定で得られたOSAS情報テーブルを参照して、評価対象のOSASサイクルの軟口蓋の狭窄度合いおよび舌根部の狭窄度合いに関してレベル値を特定し、いびきサイクル情報テーブルに書き込む。
【0118】
図23を参照して、無呼吸状態に関しては、無呼吸状態がない場合にはレベル値0、無音状態がなく体動が発生して覚醒状態となった場合には低呼吸状態であるとしてレベル値3、および無音状態を経て体動が発生して覚醒状態となった場合には無呼吸状態であるとしてレベル値5、と規定されている。決定部408は、上記ステップS40のOSAS判定で得られたOSAS情報テーブルを参照して、評価対象のOSASサイクルの無呼吸状態に関してレベル値を特定し、いびきサイクル情報テーブルに書き込む。
【0119】
図24は、いびきサイクル情報テーブルの具体例を示す図である。図24に示されるように、決定部408は、検出されたOSASサイクルごとに、各評価項目のレベルを特定し、そのレベル値を合算して当該OSASサイクルのレベルを特定する。
【0120】
図25は、決定部408に予め記憶されている、OSASサイクルのレベルに関連付けられたいびきレベルの具体例を示す図である。AHIと各評価項目に設定されたレベル値の合算値でなるOSASサイクルのレベルとは予め実験などによって関連付けられており、それに基づく合計点数の範囲がAHIとの関係でいびきレベルと関連付けて記憶されている。具体的には、OSASサイクルのレベル0がいびきレベル1、AHIの値が0〜4に相当するのOSASサイクルのレベルがいびきレベル2、AHIの値が5〜14に相当するのOSASサイクルのレベルがいびきレベル3、AHIの値が15〜29に相当するのOSASサイクルのレベルがいびきレベル4、およびAHIの値が30以上に相当するのOSASサイクルのレベルがいびきレベル5と規定されている。
【0121】
決定部408は、対象の期間に含まれる各OSASサイクルのレベルを合算し、図25に示される関係を参照して、その合算値に対応したいびきレベルを特定する。
【0122】
上記ステップS60で出力処理部409が当該いびきレベルをOSASいびきの特徴の評価結果として出力するための処理を実行することで、決定されたいびきレベルが評価結果として表示部20、または睡眠評価装置100に接続された表示装置200に表示される。
【0123】
<実施例の効果>
本実施の形態にかかる睡眠評価装置100を用いることで、非侵襲で被測定者の睡眠状態を測定することができる。そのため、睡眠ポリグラフ(PSG)検査などと比較して、被測定者や測定者の測定のための負担を大幅に減らすことができる。
【0124】
また、睡眠評価装置100では、体動/呼吸信号と音声信号とを用いてリアルタイム処理を行ない、OSASいびきやOSASサイクルを簡便かつ正確に検出することができる。すなわち、睡眠評価装置100では、呼吸に連動し、周波数上の特有の特徴を有する音声をOSASいびきに似た音として抽出し、体動と関連付けて判定することで、OSASいびきを精確に検出できる。このように、呼吸に連動した音声を判定に用いることで、周囲の外乱情報などのノイズの影響を排し、高精度の検出が可能となる。
【0125】
また、睡眠評価装置100では、OSASに特有の一連の状態の変化を1サイクル(OSASサイクル)として検出することにより、OSASの程度をサイクルごとに比較・評価することができる。
【0126】
また、このように簡便な方法で評価が可能であることから、家庭での継続した計測を可能とする。このため、生活習慣や行動による、OSASの軽減や増加傾向などの解析を簡便に家庭で行なうことができるという効果が得られる。
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
10 ボタン、20 表示部、30 センサ、31 体動センサ、32 マイク、40 制御部、41 CPU、42 メモリ、50 通信部、100 睡眠評価装置、200 表示装置、401 体動入力部、402 体動判別部、403 覚醒判定部、404 音声入力部、405 音声判別部、406 いびき判定部、407 OSAS判定部、408 決定部、409 出力処理部、4031 補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の度合いを評価するための睡眠評価装置であって、
前記被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
音声を検出するための音声検出手段と、
睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該睡眠中のヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義される閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを、前記体動検出手段の検出結果と前記音声検出手段の検出結果とから検出するための演算を実行するための演算手段とを備え、
前記演算手段は、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて前記被験者の睡眠状態の時系列変化を検出するための第1の検出手段と、
前記音声検出手段の検出結果を表わす音声信号から閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出するための第2の検出手段と、
前記第1の検出手段で得られた前記被験者の睡眠状態の時系列変化と前記第2の検出手段で得られた前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音が発生したタイミングとに基づいて、前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを検出する第3の検出手段とを含む、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記演算手段は、
前記睡眠パターンの各周期を特定する情報を記憶するための第1の記憶手段と、
所定期間における前記被験者の前記睡眠パターンの各周期を特定する情報に基づいて、前記被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の度合いを示す指標を特定するための特定手段とをさらに含む、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記第1の検出手段は、前記体動の大きさおよび前記体動の周期性に基づいて前記被験者の睡眠状態の時系列変化を検出する、請求項1または2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記第2の検出手段は、前記体動検出手段で検出された呼吸による体動と連動している前記音声信号を用いて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出する、請求項1〜3のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記第2の検出手段は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音の判定に用いるための特定の周波数についての音圧のしきい値を予め記憶し、前記特定の周波数の音圧が前記しきい値よりも大きい音声信号で表わされた音声を前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音として検出する、請求項1〜4のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
前記第3の検出手段は、前記被験者の睡眠状態のうちの特定の睡眠状態と、前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音とが予め規定された時間関係で検出された場合に、前記体動検出手段の検出結果と前記音声検出手段の検出結果とで表わされる睡眠パターンを前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンとして検出する、請求項1〜5のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項7】
前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンは、気道の狭窄の生じていない睡眠状態である第1の状態、前記狭窄の進行中の第2の状態、前記狭窄が進行することで前記気道が閉塞または概ね閉塞した第3の状態、および覚醒した第4の状態がその順で移行するものであり、
前記第3の検出手段は、前記体動検出手段の検出結果と前記音声検出手段の検出結果とから前記第1の状態〜前記第4の状態のうちの少なくとも1つの状態を検出することで、前記体動検出手段の検出結果と前記音声検出手段の検出結果とで表わされる睡眠パターンを前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンとして検出し、
前記演算手段は、前記検出された前記睡眠パターンごとに、前記第1の状態〜前記第4の状態のタイミングを記憶するための第2の記憶手段をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項8】
睡眠評価装置で被験者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを検出する方法であって、
前記睡眠評価装置は、前記被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と音声を検出するための音声検出手段とを含み、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて前記被験者の睡眠状態の時系列変化を検出するステップと、
前記音声検出手段の検出結果を表わす音声信号から閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音を検出するステップと、
睡眠中のヒトの身体の動きの時系列変化と当該睡眠中のヒトの発する音の時系列変化との時間的な関連によって定義される閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有の睡眠パターンを、前記被験者の睡眠状態の時系列変化と前記閉塞性睡眠時無呼吸症候群に特有のいびきに相当する音が発生したタイミングとの時間的な関係に基づいて検出するステップとを備える、睡眠評価装置における検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−22360(P2013−22360A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162019(P2011−162019)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】