説明

瞬結性地盤注入用薬液

【課題】パッカー材として適切なゲルタイム(60秒以下)、及び固化した際に適切な強度を有する瞬結性地盤注入用薬液を提供する。
【解決手段】(セメント、珪酸ソーダ及び水を含有する瞬結性地盤注入用薬液であって、(1)前記珪酸ソーダ中のSiO/NaOで表されるモル比が、3.7〜5.3であり、かつ、(2)前記セメントの含有率が、10〜20重量%であることを特徴とする瞬結性地盤注入用薬液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞬結性地盤注入用薬液に関し、パッカー材として適切なゲルタイム、及び固化した際に適切な強度を有する瞬結性地盤注入用薬液に関する。本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、パッカー材、または軟弱地盤若しくは硬質地盤の亀裂や破砕帯などの帯水地盤における止水や強化用薬液として有用である。
【0002】
上記パッカー材は、緩結性地盤注入用薬液(いわゆる本液)を地盤に注入するに際し、注入範囲以外へのグラウトの逸脱を防ぐ(リーク防止)ために用いる。パッカーを予め形成することにより、本液がパッカーを超えた領域に充填されることを防止することができる。このパッカーを形成するための地盤注入用薬液としては、適度な瞬結性と強度が求められる。
【背景技術】
【0003】
地盤注入用の薬液としては、例えば、特許文献1に、モル比SiO/MO(式中、MはNa又はKを示す。)3.8〜5.5の水ガラスがSiO換算で2〜10重量%、セメントが25〜45重量%及び残部が水からなることを特徴とする薬液が記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の薬液は、軟弱地盤の強化、及び漏水地盤を止水することを目的としており、セメントの含有率が非常に高い。そのため、パッカー材として使用するには、注入口を閉塞しやすく、また、本液の注入を阻害する問題があった。
【0005】
また、別の地盤注入用の薬液として、特許文献2には、モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと、平均粒子径が10μm以下で比表面積が5000cm/g以上の微粒子スラグとを有効成分として含有する地盤注入用薬液が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の薬液は、水ガラスのモル比の値が低いため、ゲルタイムが非常に長い(5分以上)。よって、パッカー材として使用する場合は特定な現場のみに限られるなど限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−49690号公報
【特許文献2】特開平7−166163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、パッカー材として適切なゲルタイム(60秒以下)、及び固化した際に適切な強度(0.1〜3.0N/mm2程度)を有する瞬結性地盤注入用薬液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、瞬結性地盤注入用薬液が、特定の珪酸ソーダを有し、かつセメント含有率を特定値とする場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記の瞬結性地盤注入用薬液に関する。
1. セメント、珪酸ソーダ及び水を含有する瞬結性地盤注入用薬液であって、
(1)前記珪酸ソーダ中のSiO/NaOで表されるモル比が、3.7〜5.3であり、かつ、
(2)前記セメントの含有率が、10〜20重量%である、
瞬結性地盤注入用薬液。
2. パッカー材用である、上記項1に記載の瞬結性地盤注入用薬液。
3. 前記セメントが、ポルトランドセメント及び高炉セメントからなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の瞬結性地盤注入用薬液。
4. 前記珪酸ソーダのモル比が、4.1〜5.3である、上記項1〜3のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液。
5. 前記珪酸ソーダの含有率が、5〜15重量%である、上記項1〜4のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液を使用する地盤施工方法。
【0011】
以下、本発明の瞬結性地盤注入用薬液について詳細に説明する。
(I)本発明の瞬結性地盤注入用薬液
本発明の瞬結性地盤注入用薬液(以下、単に瞬結性薬液ともいう)は、セメント、珪酸ソーダ(水ガラス)及び水を含有する瞬結性地盤注入用薬液であって、(1)前記珪酸ソーダ中のSiO/NaOで表されるモル比が、3.7〜5.3であり、かつ、(2)前記セメントの含有率が、10〜20重量%であることを特徴とする。
【0012】
上記した特徴を有する本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、珪酸ソーダにおけるSiO/NaOで表されるモル比(以下「モル比」と略記する)が3.7〜5.3であるため、セメントの含有率が10〜20重量%という、従来の瞬結性地盤注入用薬液と比較してセメント含有率が低い値であっても、パッカー材として適切なゲルタイム(60秒以下)、及び固化した際に適切な強度(0.1〜3.0N/mm2程度)を有する。また、本発明の瞬結性薬液をパッカー材として使用する際、上記瞬結性薬液が注入口を閉塞した場合であっても、その後に注入する本液の注入圧によってパッカー材を割裂することができ、結果として問題なく本液を注入することが可能となる。よって、パッカー材として最適である。また、軟弱地盤若しくは硬質地盤の亀裂や破砕帯などの帯水地盤における止水や強化用薬液としても有用である。
【0013】
本発明において、パッカー材としての適切なゲルタイムを60秒以下としているのは、瞬結性薬液(パッカー材)のゲルタイムが60秒を超えると、上記瞬結性薬液が目的とする箇所以外(例えば、緩結性地盤注入用薬液(本液)の注入口)に逸れてしまい(逸流し)、その後の本液の注入を阻害する恐れがあるためである。上記ゲルタイムが60秒以下であると、パッカー材の固化(いわゆるパッカーの形成)が早く、施工工事全体の効率がよい。
【0014】
本発明において、パッカー材として固化した際に適切な強度を0.1〜3.0N/mm2程度としているのは、以下の理由による。即ち、上記強度が0.1N/mm2未満であると、形成されたパッカーの強度が弱く、パッカーとしての機能が得られない恐れがあるためである。また、上記強度が3.0N/mm2を超えると、瞬結性薬液(パッカー材)が注入口を閉塞した場合、その後に本液を注入することができなくなる恐れがあるためである。上記強度が0.1〜3.0N/mm2程度であることによって、その後の工程において、後述する緩結性地盤注入用薬液(本液)を所望の地盤範囲に安定して注入することができる。特に、緩結性地盤注入用薬液を注入した時に上記薬液が挿入孔S(図1)と外管3(図1)との隙間を通じて地上側に溢れ出す現象(リーク)を防止することができる。仮に、本発明の瞬結性地盤注入用薬液が注入口を閉塞した場合であっても、その後に注入する本液の注入圧によってパッカー材を割裂することができ、結果として問題なく本液を注入することが可能となる。
【0015】
珪酸ソーダにおけるモル比が3.7より低くなると、ゲルタイムを60秒以下にするには、セメントの含有率が20重量%を超える(いわゆる富配合)ため、施工性および強度の面からパッカー材としては不適である。また、パッカー材として適切な施工性および強度を確保しようとセメントの含有率を20重量%以下にするとゲルタイムが60秒を超えるため、パッカー材としては不適となる。
【0016】
モル比が5.3を超える珪酸ソーダも使用可能であるが、モル比が5.3を超える珪酸ソーダは安定性が悪く短期間に白濁、沈殿またはゲルを生成するため好ましくない。
【0017】
珪酸ソーダ
本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、モル比(SiO/NaO)が3.7〜5.3である珪酸ソーダ(水ガラス)を使用する。珪酸ソーダのモル比が3.7〜5.3であることによって、パッカー材として最適な瞬結性を有する瞬結性地盤注入用薬液を得ることができる。なお、珪酸ソーダの好ましいモル比は3.9〜5.3であり、より好ましくは4.1〜5.3であり、さらに好ましいモル比は4.1〜5.1であり、さらに好ましいモル比は4.3〜5.1である。
【0018】
上記した珪酸ソーダは、モル比が2.0〜4.0程度のものが市販されており、モル比3.7以上の市販品をそのまま使用することができる。また、該市販品にシリカ源を溶解するか、あるいは所定のモル比となるように苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)とシリカ源を反応させたものを使用することもできる。
【0019】
シリカ源としては、微粉末のシリカゲル、沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、シリカコロイド溶液等が挙げられる。
【0020】
珪酸ソーダに含まれるシリカ濃度は、限定的ではないが、10〜30重量%程度が好ましく、18〜28重量%程度がより好ましい。珪酸ソーダ中のシリカの濃度が10〜30重量%であることによって、適切な瞬結性を有し、かつ必要なゲル強度を有する瞬結性地盤注入用薬液を得ることができる。
【0021】
本発明の瞬結性地盤注入用薬液で使用する珪酸ソーダの含有率は、5〜15重量%が好ましく、より好ましくは6〜12重量%である。珪酸ソーダの含有率が5〜15重量%であれば、より均一かつ必要な強度を有するゲルを得ることができる。
【0022】
セメント
本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、セメントを使用する。
【0023】
前記セメントは限定されず、通常、グラウトとして使用されるものであればよい。例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント(A種、B種、C種)、フライアッシュセメント等が挙げられる。なお、前記高炉セメントは、高炉スラグ及びポルトランドセメントからなるセメントであり、高炉スラグの重量比率で区分される。高炉スラグの重量比率が5を超え30重量%以下である場合がA種、30を超え60重量%以下である場合がB種、60を超え70重量%以下である場合がC種である。
【0024】
セメントの中でも、ポルトランドセメント及び高炉セメントからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。前記セメントは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
前記セメントの比表面積は、限定的ではないが、3000〜6000cm/g程度が好ましく、3500〜4500cm/g程度がより好ましい。
【0026】
前記セメントの含有率は、10〜20重量%であり、13〜20重量%が好ましく、15〜20重量%がより好ましく、16〜20重量%がさらに好ましい。前記セメントの含有率を10〜20重量%にすることによって、適切な瞬結性を有し、かつ必要なゲル強度を有する瞬結性地盤注入用薬液を得ることができる。
【0027】
本発明の瞬結性地盤注入用薬液で使用する前記珪酸ソーダと前記セメントとの比率(水ガラスセメント比)(=珪酸ソーダ/セメント)は、0.25〜1.15(重量比)が好ましく、0.3〜0.9(重量比)がより好ましく、0.4〜0.9(重量比)がさらに好ましい。
【0028】

本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、水を使用する。
【0029】
本発明の瞬結性地盤注入用薬液で使用する水としては特に限定されない。例えば、上水道水、地下水、工業用水道水等が挙げられる。前記水は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
その他の成分
本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、減水剤(分散剤)等を使用することができる。
【0031】
前記減水剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、ポリカルボン酸系、リグニンスルホン酸系等の減水剤が挙げられる。前記減水剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
尚、ベントナイトを使用すると、瞬結性地盤注入用薬液(例えばパッカー材)としての適切なゲルタイム及び固化した際の適切な強度が得られにくくなる場合があるため、本発明において使用しない方が好ましい。
【0033】
(II)本発明の瞬結性地盤注入用薬液を用いた施工方法
本発明の瞬結性地盤注入用薬液を用いた施工方法については、公知の方法を適用することができる。例えば、二重管ストレーナ工法(単相式、複相式)、二重管ダブルパッカー工法、単管ロッド注入工法等によって容易に注入することができる。以下、代表的な工法として、二重管ストレーナ工法及び二重管ダブルパッカー工法について詳細に説明する。
【0034】
前記二重管ストレーナ工法(単相式)は、複数の流路を有する二重管ロッドを用いて所定の位置まで削孔後、セメントを含有する配合液(A液)、及び珪酸ソーダを含有する配合液(B液)をそれぞれ別の流路から送液して別々に注入管の先端まで送り、前記A液及びB液を前記注入管の先端部で合流させて本発明の瞬結性地盤注入用薬液を得た後、直ちに当該瞬結性地盤注入用薬液を地盤に注入する方式である。
【0035】
前記二重管ストレーナ工法(複相式)は、前記単相式と同様にして瞬結性地盤注入用薬液を地盤に注入した後、中結および緩結性地盤注入用薬剤を地盤に注入する。以上を交互に切りかえながら注入ステージを下から上に移動して注入する工法である。
【0036】
前記二重管ダブルパッカー工法は、削孔及び注入を一連の作業として行う二重管ストレーナ工法とは異なり、削孔及び注入管設置(シール材注入含む)と注入作業を分離して行う工法である。具体的には、地盤注入を必要とする箇所に、ケーシングパイプを取り付けた削孔機を用いて所定の深度まで削孔する。ケーシングパイプの内側に、シール材を流し込み、更にその中に二重管ダブルパッカー用外管(注入管)を挿入してケーシングパイプを引き抜く。また、ケーシングパイプを引き抜いた後、二重管ダブルパッカー用外管を挿入しシールグラウト材を孔に流し込んでもよい。前記シール材の硬化後、ダブルパッカーを装着した注入管を所定の位置にセットし、本発明の瞬結性地盤注入用薬液を注入する。
【0037】
二重管ダブルパッカー用外管3の表面には、後記図1のように、少なくとも1つの注入口を挟んで軸方向に離間した2つの膨張可能な外管パッカー(袋パッカー)を設けることができる。外管パッカー11は、挿入孔Sの内周面と隙間を有するように膨張させた状態にすることができる。外管パッカー11を設けることにより、本発明の瞬結性薬液Cを注入口3aを通じて地盤に注入する際、上記薬液Cが2つの外管パッカーの間に誘導されて地盤に浸透するとともに、外管パッカー11と挿入孔Sとの間に形成される隙間を通じて外管パッカー11の外側にも回り込んで浸透する。そのため、前記隙間に上記薬液Cが過剰に流出することなく、注入口3aの周辺に上記薬液CによるパッカーPを形成することができる(図2)。また、前記隙間については、前記パッカーPによってシールすることができる。
【0038】
前記パッカーPの形成後、注入口3bを通して、後述する緩結性地盤注入用薬液(本液)を、所望の地盤範囲に安定して注入することができる。
【0039】
以上の施工方法のなかでも、より安定に注入するという観点から、二重管ダブルパッカー工法が好ましい。
【0040】
緩結性地盤注入用薬液(本液)
本発明の瞬結性地盤注入用薬液をパッカー材として使用し、地盤に注入することによりパッカーを形成した場合、さらに緩結性地盤注入用薬液(本液)を地盤に注入することができる。
【0041】
緩結性地盤注入用薬液としては、特に限定されず、水ガラス系(懸濁型・溶液型)薬液、特殊シリカ系薬液、高分子系薬液等のいずれも使用することができる。中でも、緩結性地盤注入用薬液が懸濁型である場合、本発明の瞬結性地盤注入用薬液で得られるパッカーによって上記リークをより防止できるため、好ましい。なお、本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、セメント粒子を含むため、懸濁型薬液に分類されるものである。
【0042】
本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、パッカー材、即ち、緩結性地盤注入用薬液(いわゆる本液)を地盤に注入するに際し、注入範囲以外へのグラウトの逸脱を防ぐ(リーク防止)ための材料として使用することが可能である。また、本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、軟弱地盤または硬質地盤の亀裂や破砕帯などの帯水地盤における止水や強化を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の瞬結性地盤注入用薬液は、セメント、珪酸ソーダ及び水を含有する瞬結性地盤注入用薬液であって、(1)前記珪酸ソーダ中のSiO/NaOで表されるモル比が、3.7〜5.3であり、かつ、(2)前記セメントの含有率が、10〜20重量%であるため、注入管まわりの間隙においても注入が可能であって、パッカー材として適切なゲルタイム(60秒以下)、及び固化した際に適切な強度(0.1〜3.0N/mm2程度)を有することができる。また、本発明の瞬結性薬液をパッカー材として使用する際に上記瞬結性薬液が注入口を閉塞した場合であっても、その後に注入する本液の注入圧によってパッカー材を割裂することができ、結果として問題なく本液を注入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の瞬結性地盤注入用薬液を注入するに際し、外管に瞬結性地盤注入用薬液を供給する内管を挿入した状態を例示する図(二重管ダブルパッカー工法を例示する図)である。
【図2】本発明の瞬結性地盤注入用薬液を、二重管ダブルパッカー工法によって地盤に注入している状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。
【実施例】
【0046】
実施例1〜35及び比較例1〜17
セメントを水に懸濁させた液をA液とし、モル比(SiO/NaO)の異なる各種珪酸ソーダを含有する液をB液とした。なお、上記したA液に用いたセメントについては、以下の表1に示す。また上記したB液に用いた珪酸ソーダにおけるモル比、SiO(重量%)、NaO(重量%)及び比重については、以下の表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
また、前記A液に関して、セメント含有量が異なる液を用意した(6種)。
評価試験(ゲルタイム測定)
液温を20℃に調整したA、B両液の混合物(本発明の瞬結性地盤注入用薬液)についてゲルタイムを測定した。
【0050】
ゲルタイムについては、以下のようにカップ倒立法を用いて測定した。
[1] まず、A液(セメント懸濁液)250ml、及びB液(水ガラス液)250mlをそれぞれ別のビーカーに秤取る。
[2] A液にB液を速やかに流し入れる。直ちに空いたB液のビーカーに全量を速やかに入れ、次に空いたA液のビーカーに全量を流し入れる。
[3] 上記[2]の操作を速やかに繰り返し、A液にB液を全量投入した時点から、液が流動しなくなった時点までをゲルタイムとする。
【0051】
なお各材料の温度は、恒温槽などで一定温度(今回試験は20℃)に調整し、取り出し後速やかに試験を行う。屋外等で温度調整ができない場合は、測定時の温度を記録する。
評価試験(圧縮強度測定)
液温を20℃に調整したA、B両液の混合物をゲル化前に、直径50mm、高さ100mmの一端を密閉したアクリルパイプモールドの中に流し入れ、速やかにもう一端を密閉した。作製した供試体を恒温に保たれた室内に7日間養生後、モールドから取り出し、一軸圧縮強度試験機を用いて圧縮強度を測定した。
【0052】
実施例1〜35及び比較例1〜17の瞬結性地盤注入用薬液のセメント含有率、水ガラス含有率及び水ガラスセメント比(=水ガラス/セメント、重量比)、並びに上記試験によって測定されたゲルタイム及び圧縮強度について、以下の表3及び4に示す。なお、実施例1〜35及び比較例1〜17の瞬結性地盤注入用薬液の水、セメント及び水ガラスの配合量、並びに単位容積あたりの重量についても、以下の表3及び4に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【符号の説明】
【0055】
3 外管(二重管ダブルパッカー用外管)
3a パッカー材用瞬結性地盤注入用薬液の注入口
3b 緩結性地盤注入用薬液の注入口
5A 内管
11 外管パッカー(袋パッカー)
C 本発明の瞬結性地盤注入用薬液
P パッカー
S 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、珪酸ソーダ及び水を含有する瞬結性地盤注入用薬液であって、
(1)前記珪酸ソーダ中のSiO/NaOで表されるモル比が、3.7〜5.3であり、かつ、
(2)前記セメントの含有率が、10〜20重量%である、
瞬結性地盤注入用薬液。
【請求項2】
パッカー材用である、請求項1に記載の瞬結性地盤注入用薬液。
【請求項3】
前記セメントが、ポルトランドセメント及び高炉セメントからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の瞬結性地盤注入用薬液。
【請求項4】
前記珪酸ソーダのモル比が、4.1〜5.3である、請求項1〜3のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液。
【請求項5】
前記珪酸ソーダの含有率が、5〜15重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の瞬結性地盤注入用薬液を使用する地盤施工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−208131(P2011−208131A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52453(P2011−52453)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(391003598)富士化学株式会社 (40)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】