説明

短冊状またはダイス状食品の連続製造方法及び装置

【課題】回転刃への付着や切断面の不均一さ、変形、切り屑の発生を防止して、板状または短冊状食品を短冊状またはダイス状に連続して製造する方法及び装置を提供すること。
【解決手段】
切断時に食品を支える加工板60と円運動する細長い回転刃51を先端に固定した支柱(52)を回転軸(53)に軸支した回転刃ユニット50を備え、回転刃は、加工板に対して、板状または短冊状食品10’の移送方向の下流に設けられ、板状または短冊状食品の移送方向に対して略垂直方向から切断がなされ、加工板60の先端部を支点としながら、回転刃51による衝撃で食品を弾き飛すことで、回転刃51への付着を防ぐ。
さらに、回転刃51の加温を行い、食品切断時に食品中の油脂の一部が溶解させて回転刃51への食品10’’の付着を防ぎ、切断を安定化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーズ、バター、油脂状食品、かまぼこ等の練り食品など、硬度の低い板状食品を、短冊状またはダイス状に連続して製造する方法、及び、その方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移送しながら連続的に短冊状またはダイス状に製造する板状食品としては、例えば、チーズが挙げられる。加熱溶融したチーズ類を薄板状に押出して冷却し、固化したチーズ類を、適宜所望の大きさに切断する需要は少なくない。そのような板状食品を移送しながら短冊状またはダイス状に切断する従来技術としては、流動性の食品を回転ロール上に分散することによってシートに形成する工程と、前記シートを縦切りして複数の隣接する縦長ストリップを形成する工程と、所望の長さと巾との薄片を形成するように縦長ストリップを切断する工程とを具備した食品を分割処理する方法(例えば、特許文献1参照)、切断可能な物品を支持し搬送する送りベルトを有するコンベアアッセンブリと、上記物品と係合可能に上記送りベルトの出口近傍に配設された回転自在な送りロールとを備え、上記物品をさいの目状に切断する切断機(例えば、特許文献2参照)や先端が尖った薄い円盤状の回転状の回転刃を複数枚、同軸上に備えた略円柱状の回転刃ユニットとその各回転刃の先端部に呼応する位置に、その先端部を離隔状態で囲う凹溝をリング状に備えた略円柱状の押さえロールユニット等を備えた板状食品の製造装置(例えば、特許文献3参照)等が開示されている。
また、合成繊維製の不織シートや樹脂フィルム等のシート状物を熱溶着しながら切断する際に、切断端部がほつれないように切断することを目的とした加温式切断装置も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭47−14372号公報
【特許文献2】特開平2−152793号公報
【特許文献3】特開2003−39382号公報
【特許文献4】特開平11−198091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開昭47−14372号公報記載の方法(特許文献1)は、切断したチーズを刃から排出する機構を備えておらず、付着性の高い食品を切断したり、食品を小さく切断した場合、切断刃への食品の付着が発生し、切断形状の不均一さや変形、食品の詰り等の発生が避けられない。また、特開平2−152793号公報記載の方法(特許文献2)は、特に生肉あるいは冷凍肉をさいの目状に切断することを目的としたものであり、チーズ、バター、油脂状食品、かまぼこ等の練り食品等、硬度の低い板状食品を切断すると、切断刃への食品の付着が発生し、切断形状の不均一さや変形、食品の詰り等の発生が不可避である。また、特開2003−39382号公報記載の方法(特許文献3)は、板状食品を短冊状に切断した後に短冊状の板状食品の移送方向と略垂直な往復運動する切断刃により切断しているが、一般に往復運動する切断刃は高速化が困難な上、食品を小さく切断したり高速で切断を行った場合、往復運動する切断刃への食品の付着が発生して、変形、食品の詰り等が発生する。
さらに、特開平11−198091号公報記載の加熱式切断装置(特許文献4)は、合成樹脂製の不織シートや樹脂フィルム等のシート状を切断する方法であり、食品に関するものではなく、また、加熱温度も300℃以上が好ましいと報告されているので、本発明のダイス状食品には転用出来ない。
以上のような従来技術の問題点より、本発明は、刃への付着や、変形、食品の詰り等を防止して、高速で板状または短冊状食品を短冊状またはダイス状に連続して製造する方法及びその方法を実施する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明の装置を開発し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、板状または短冊状食品を移送方向に対し横方向に切断する装置であって、該食品を移送方向下流側から略垂直方向に切断可能に円運動する回転刃と、該回転刃による該食品の切断位置より上流側で該食品を載置する加工板を設けて、該食品を連続切断することを特徴とする短冊状またはダイス状食品の連続製造装置である。
本発明の短冊状またはダイス状食品の連続製造装置は、回転刃に加温機構を備えると良い。また、回転刃の温度を20℃以上75℃以下に保持すると回転刃への食品の付着がない。
更に本発明は、板状または短冊状食品を移送方向に対し横方向に切断する方法であって、該食品を移送して加工板に載置し、該食品を移送方向下流側から円運動する回転刃により、略垂直方向から切断して、短冊状またはダイス状の食品を製造する短冊状またはダイス状食品の連続製造方法である。
更に、回転刃は、加温した回転刃によって切断するとよい。また、加温した回転刃の温度を20℃以上75℃以下とすると回転刃への食品の付着がない。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以下の構成を備えることによって、次の効果を奏する。
すなわち、本発明の板状または短冊状食品の製造装置または製造方法によると、供給された板状または短冊状食品は加工板に載置されながら移送され、移送方向下流の略垂直方向から回転刃によって切断がなされる。この構成により、食品切断時に回転刃による衝撃で加工板の先端部を支点として、当該食品を弾き飛すことで回転刃への食品の付着を防ぐことができる。
また、回転刃を加温しながら切断することで、食品切断時に食品中の油脂の一部が溶解して回転刃と食品の潤滑油の役割を果たすことで、回転刃への食品の付着を一層防ぎ、食品の切断を一層安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に示した実施例を基にして本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、「板状または短冊状食品を移送方向に対し横方向に切断する装置であって、該食品を移送方向下流側から略垂直方向に切断可能に円運動する回転刃と、該回転刃による該食品の切断位置より上流側で該食品を載置する加工板を設けて、該食品の連続切断することを特徴とする短冊状またはダイス状食品の連続製造装置」(50〜53、60)であるが、装置の一例として、円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)が設置された装置をもって説明を行う。ただし、これに限定される訳ではない。
又、本発明は、チーズ、バター、油脂状食品、かまぼこ等の練り食品など、硬度の低い板状食品を、短冊状またはダイス状に連続して製造する方法、及び、その方法を実施する装置に関するが、ここでは加熱溶融したチーズ類を一例として説明する。
【0009】
加熱溶融したチーズ類は、薄板状に押出されて、回転型冷却搬送装置等によって冷却固化される。板状に固化されたチーズ類(10)は、円形刃ユニット等によって短冊状にしても良い。この場合には、図2及び図3に示すように(特開2003−39382号参照)、円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)の間に板状チーズを移送して短冊状にする。
【0010】
円形刃ユニット(20)は、軸(21)を中心に回転する略円柱状の回転体(22)を備える。その回転体(22)には、端が尖った薄い円盤状の円形刃(23)が複数枚、同軸上に設置されている。円形刃(23)の先端部(23a)は、図3に示すように、鋭利に尖っている。
【0011】
押さえロールユニット(30)は、円形刃ユニット(20)の回転体(22)と同様に、軸(31)を中心に回転する略円柱状の回転体(32)を備える。これらの両回転体(22)(32)は、次のように、ごく近接して平行に配設される。すなわち、押さえロールユニット(30)の回転体(32)には、円形刃ユニット(20)の円形刃(23)と同様に、複数の凹溝(33)が、同軸上に設置されている。この凹溝(33)は、図2に示すように、各円形刃(23)の先端部(23a)に呼応する位置に配設され、図3に示すように、円形刃(23)の先端部(23a)を離隔状態で囲うリング状である。
【0012】
円形刃ユニット(20)の回転体(22)と、押さえロールユニット(30)の回転体(32)との間に移送された板状のチーズ類(10)は、両回転体(22)(32)の回転に伴って移送される最中に、円形刃(23)の先端部(23a)と凹溝(33)との間に挟まれて切断される。これによって、板状のチーズ類(10)は、短冊状に切断される。
【0013】
ここで、円形刃(23)の幅は、互いに隣接する円形刃(23)(23)同士の間隔の約5%以下に設計することが好ましい。この値の設定は、例えば、板状のチーズ類(10)の幅が5mmの場合、円形刃(23)の幅を0.25mm以下とすることに相当する。このように薄い円形刃(23)で切断すると、チーズ類(10)の圧縮が微小に抑えられる。そのため、円形刃(23)に対する圧密が小さくなり、切断時の変形が小さくなり、エッジが立って切断面が均一になると共に、切り粉の発生が防止される。
【0014】
チーズ類(10)の圧縮が微小なために、円形刃(23)に対する付着力も小さく抑えられるが、付着を完全に抑止できない場合もあり得る。また、切断後に、互いに隣接する短冊状のチーズ類(10)の切断面同士が、接近し合って付着してしまうこともあり得る。そこで、短冊状に切断したチーズ類(10)を、円形刃(23)から積極的に剥がすと共に、そのチーズ類(10)の切断面同士の付着を防ぐために、排出スクレーパー(40)を設置する。
【0015】
排出スクレーパー(40)は、複数の突起体(41)を先端に備えた櫛状である。各突起体(41)の先端は、互いに隣接する円形刃(23)(23)の中間位置に配設される。そして、図1に示すように、互いに隣接する突起体(41)(41)の長さが異なるように設計されている。そのため、互いに隣接する短冊状のチーズ類(10)(10’)が、各突起体(41)(41)に接するタイミングがずれ、それら(10)(10’)の排出角度が異なり、それらの切断面同士が接して付着することが防止される。
【0016】
排出スクレーパー(40)より移送方向下流には、回転刃ユニット(50)、加工板(60)、押えローラー(70)が設けられている。これによって、板状または短冊状チーズ類(10’)は短冊状またはダイス状チーズ類(10’’)に切断される。
【0017】
回転刃ユニット(50)は、回転軸(53)に軸支された支柱(52)の先端部分に板状または短冊状チーズ類(10’)の幅に合わせた細長い回転刃(51)が固定されている。
回転刃(51)はその刃先の円軌道外側が垂直な平面となった片刃造りの直刃であり、支柱(52)の先端部分に固定されている。支柱(52)は回転刃(51)の固定するための、食品切断時の回転刃(51)の変形を防ぐために設けられており、形状、数は特に限定されない。なお、回転刃は、後述する加工板(60)より、移送方向下流側に設けられ、支柱(52)により円運動し、かつ、その刃先の円軌道外側が垂直な平面となっているので、加工板(60)上に載置され、移送されてきた食品を略垂直方向に切断可能である。これにより、板状または短冊状食品を、移送方向に対し横方向に切断し、食品を短冊状またはダイス状に切断出来る。
更に、回転軸(53)は、モーター等の駆動装置により回転される。回転軸(53)を中心として回転する回転刃(51)の数は特に限定する必要が無く、必要に応じて回転軸に沿って同軸上に並べて設置することができる。その際、回転軸(53)の回転の安定性の観点から偶数個設けることが好ましい。回転速度も必要に応じて選択することが可能であり、回転速度を変えることで切断されたチーズ類(10’’)の形状を変えることが可能である。
【0018】
加工板(60)は、板状または短冊状チーズを切断する際に、当該チーズを下から支える目的で設置され、食品は加工板上に載置されて移送される。円滑にチーズ類(10’)を移送するために、加工板は滑り性の良い素材で作られることが望ましい。また、必要に応じて表面コーティングを施すことも可能である。回転刃ユニット(50)と加工板(60)の先端面のクリアランスは狭くすることが好ましく、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。回転刃(51)と加工板(60)の先端面のクリアランスが1mm以上となると、切断したチーズ類(10’’)の形状が悪くなり、切り屑が発生する。他方、0.1mm以下にすることは精度の上で困難であり、回転刃(51)と加工板(60)との接触による金属片の発生の危険性が生じる。このように、加工板(60)の先端面と回転刃(51)のクリアランスを狭く設置することで、切断したチーズ類(10’’)の切断面は滑らかになり、切断も安定する。加工板(60)の形状は特に限定されないが、切断されたチーズ類(10’’)が回転刃(51)の衝撃で回転刃(51)の軌道の外側に飛散していくため、飛散したチーズ類(10’’)とぶつからないような形状とすることが好ましい。
【0019】
押さえローラー(70)は、切断時の衝撃による板状または短冊状チーズ類(10’)の浮き上がりを押さえる目的で設置される円柱状のローラーである。また、排出スクレーパー(40)によって異なる角度で排出された短冊状チーズ類(10’)の高さ位置を整える効果もある。押さえローラー(70)は必要に応じて回転駆動させて、板状及び短冊状チーズ類(10’)の安定的な送りに寄与させてもよく、円形刃ユニット(20)と回転刃ユニット(50)の間に複数個を設置しても良い。
【0020】
また、回転刃(51)へのチーズ類(10’’)の付着防止と切断の安定化の目的で、回転刃(51)を加熱すると効果的で有るが、その場合、回転刃(51)の温度は20℃以上75℃以下に保つことが好ましい。回転刃(51)の温度が20℃未満では加温の効果が乏しく、75℃より高い場合では熱によって食品中のたんぱく質が溶解して食品が回転刃(51)へ付着する。刃の加温方法としては、特に限定されないが、例えば、回転軌道の外側からヒーターによって加熱する方法、回転刃(51)に電熱線を設置して通電させて加熱する方法、回転軸(53)を中空にして送り込んだ熱風を内側から回転刃(51)に吹き付ける方法等を選択することが出来る。
さらに、回転刃の温度は切断するチーズの特性に応じて、20℃以上75℃以下の範囲内で最も正常品率が高く、切断が安定する最適の温度を選択する事がより望ましい。その場合、切断されたチーズの正常品率が96%以上であることが望ましく、98%以上であることがより望ましい。正常品率が96%未満の場合、得られたダイス状チーズの中に形状不良のチーズが目立つようになり、好ましくない。
なお、本発明における正常品とは、目的とする大きさの直方体に正しく切断されたものを指す。切り屑とは、少なくとも1辺の長さが1mm以下の、切断過程で発生した小さな切断カスをさす。形状不良品とは目的とする大きさに満たないもの、または、目的とする立方体と異なる大きさ、形状となったものをさす。
正常品率、切り屑、形状不良品率は、切断時に回収されたサンプルを特に訓練されたパネラーによって正常品、切り屑及び形状不良品に取り分けた後、それらの重量比を測定することで算出した。
【0021】
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示である。
【実施例1】
【0022】
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1に示した装置を組み込んだ製造ラインを用いてダイス状に切断した。なお、回転刃の温度は20℃であった。
【0023】
【表1】

【0024】
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断された。その切断面はシャープであり、回転刃(51)への付着もみられず、毎時200kgのダイス状プロセスチーズが安定して製造できた。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は96.0%、切り屑や形状不良品率は4.0%であった。
【実施例2】
【0025】
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1に示した装置を組み込んだ製造ラインを用い、回転刃(51)を26℃に加温してダイス状に切断した。回転刃の加温以外は実施例1と同条件で行った。
【0026】
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断された。その切断面はシャープであり、回転刃(51)への付着もみられず、毎時200kgのダイス状プロセスチーズが安定して製造できた。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は98.5%、切り屑や形状不良品率は1.5%であった。
【実施例3】
【0027】
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1に示した装置を組み込んだ製造ラインを用い、回転刃(51)を45℃に加温してダイス状に切断した。回転刃の加温以外は実施例1と同条件で行った。
【0028】
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断された。その切断面はシャープであり、回転刃(51)への付着もみられず、毎時200kgのダイス状プロセスチーズが安定して製造できた。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は99.5%、切り屑や形状不良品率は0.5%であった。
【実施例4】
【0029】
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1に示した装置を組み込んだ製造ラインを用い、回転刃(51)を75℃に加温してダイス状に切断した。回転刃の加温以外は実施例1と同条件で行った。
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断された。その切断面はシャープであり、回転刃(51)への付着もみられず、毎時200kgのダイス状プロセスチーズが安定して製造できた。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は96.5%、切り屑や形状不良品率は3.5%であった。
【0030】
〔比較例1〕
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1の装置を組み込んだ製造ラインを用い、回転刃(51)を15℃に保温してダイス状に切断した。回転刃の加温以外は実施例1と同条件で行った。
【0031】
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断されたが、切断時にチーズの一部が回転刃(51)に食い込むなどして付着し切断が不安定となって、ダイス状プロセスチーズの安定製造ができなかった。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は93.2%、切り屑や形状不良品率は6.8%であった。
【0032】
〔比較例2〕
表1に示す配合のプロセスチーズを厚さ約4mmの板状に調製した後、図1の装置を組み込んだ製造ラインを用い、回転刃(51)を80℃に加温してダイス状に切断した。回転刃の加温以外は実施例1と同条件で行った。
【0033】
その結果、板状のプロセスチーズは円形刃ユニット(20)と押さえロールユニット(30)で短冊状に切断され、排出スクレーパー(40)で排出された後、回転刃ユニット(50)でダイス状に切断されたが、切断時にチーズの一部が溶解して回転刃(51)への付着し、ダイス状プロセスチーズの安定製造ができなかった。得られたダイス状プロセスチーズの正常品率は90.0%、切り屑や形状不良品率は10.0%であった。
【0034】
以上の実施例1乃至4及び比較例1乃至2の結果は以下の表2に示す通りである。
【0035】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の要部を示す側面説明図
【図2】円形刃ユニットと押さえロールユニットの要部を示す平面説明図
【図3】図2の一部拡大図
【符号の説明】
【0037】
10、10’、10’’チーズ類
20 円形刃ユニット
30 押さえロールユニット
40 排出スクレーパー
41 突起体
50 回転刃ユニット
51 回転刃
52 支柱
53 回転軸
60 加工板
70 押さえローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状または短冊状食品を移送方向に対し横方向に切断する装置であって、該食品を移送方向下流側から略垂直方向に切断可能に円運動する回転刃と、該回転刃による該食品の切断位置より上流側で該食品を載置する加工板を設けて、該食品を連続切断することを特徴とする短冊状またはダイス状食品の連続製造装置。
【請求項2】
前記回転刃に加温機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の短冊状またはダイス状食品の連続製造装置。
【請求項3】
前記回転刃の温度を20℃以上75℃以下に保持することを特徴とする請求項1記載の短冊状またはダイス状食品の連続製造装置。
【請求項4】
板状または短冊状食品を移送方向に対し横方向に切断する方法であって、該食品を移送して加工板に載置し、該食品を移送方向下流側から円運動する回転刃により、略垂直方向から切断して、短冊状またはダイス状の食品を製造することを特徴とする短冊状またはダイス状食品の連続製造方法。
【請求項5】
前記回転刃は、加温した回転刃によって切断することを特徴とする請求項4記載の短冊状またはダイス状食品の連続製造方法。
【請求項6】
前記加温した回転刃の温度を20℃以上75℃以下とすることを特徴とする請求項5記載の短冊状またはダイス状食品の連続製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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