説明

石油化学プロセスへの入力に適した出力を有する高温固体プロセス

石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力を、自身のプロセスを用いて生成することが可能な高温固体プロセス。高温固体プロセスの作動の態様は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を高温固体プロセスから生成する目的で、石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部が高温固体プロセスへの入力として好適に用いられるよう設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本発明は、「HOT SOLIDS PROCESS SELECTIVELY OPERABLE FOR COMBUSTION PURPOSES AND GASIFICATION PURPOSES」というタイトルの係属中の米国仮出願第61/165,042号、「HOT SOLIDS PROCESS SELECTIVELY OPERABLE BASED ON THE TYPE OF APPLICATION THAT IS INVOLVED」というタイトルの係属中の米国仮出願第61/165,069号、及び、「HOT SOLIDS PROCESS SELECTIVELY OPERABLE BASED ON WHAT THE SPECIFIC NATURE OF THE HOT SOLIDS PROCESS' PRIMARY PURPOSE IS」というタイトルの係属中の米国仮出願第61/165,094号の優先権を主張するものであり、これらは参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力を生成することが可能な高温固体プロセス(hot solids process)に関する。さらに本発明は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された高温固体プロセスからの出力を本発明に基づき生成する目的で、石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物(otherwise normally unusable product output)の一部を用いるよう設計された高温固体プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
今日、世界は重要な課題に直面しており、全ての国が基本的な人間の欲求−−食料、住居、衣服及び仕事−−を充足させるべく勤めているが、これらは、エネルギーの十分な供給に依存している。エネルギーの使用の大幅な増加のほとんどは化石燃料(主として、石炭、石油及びガス)によってまかなわれてきた。エネルギー需要が増加し続ける中、環境問題、供給の確保、及び経済的影響を全てバランスさせなければならないと考えられている。しかしながら、現実には、経済的成長とエネルギーの使用は、今なお密接に関連している。
【0004】
十分なエネルギーの供給を確保するための究極の解決策の探求は今後も続くが、エネルギーに対する直近の需要の増加に対応するため、短期的な、暫定的な解決策を考えなければならない。エネルギーの保存のための努力と同様に、化石燃料の採掘、掘削、輸送、処理及び使用における技術的進歩は、もちろん、エネルギー資源の備蓄を拡大する。同様に、様々な形態の高温固体プロセス(限定するものではないが、例えば、化石燃料のガス化、流動床式燃焼(fluidized-bed combustion)、あるいはハイブリッド燃焼・ガス化化石燃料技術)の採用を含む先進的なクリーン化石燃料技術を使用することにより、世界の広大な化石燃料資源の活用を拡大する効果を奏し得る。
【0005】
発電システムの作動の態様に基づくと、多くの人に知られているように、発電システムで用いられる蒸気発生器によって化石燃料の燃焼により発生される蒸気は、蒸気タービンで使用されるように設計されている。高温且つ高圧のそのような蒸気は、蒸気タービンで膨張し、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンの回転は、蒸気タービンに適切に作動可能に接続された発電機を回転させるよう公知の態様で作動する。そして、発電機が回転すると、導体が磁界を通って動き、電流が生成される。上述した作動の態様は、今日においても、発電システムの基本的な原理である。
【0006】
発電システムのより高い効率を実現するため、発電システムで用いられる蒸気発生器が動作可能な温度及び圧力を増加させる試みがなされてきた。今日までのそのような努力により、臨界未満の圧力条件で動作可能な蒸気発生器や超臨界圧力条件で動作可能な蒸気発生器が発電システムで用いるべく商用に供給されている。発電システムでの使用が意図される蒸気発生器を作るための材料の強度の向上により、そのような材料(従って、蒸気発生器)のより高い温度及び圧力での動作が可能となった。
【0007】
様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術、特に、化石燃料ガス化技術について更に説明すると、限定するものではないが例示として、1952年7月8日付けでThe M.W.Kellogg Companyに付与された米国特許第2,602,809号がまず注目される。米国特許第2,602,809号の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプの化石燃料ガス化技術の継続的発展における初期の発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第2,602,809号の教示は、低品質の固体炭素含有物質のガス化に特に適すると言われるプロセスに関する。より具体的には、米国特許第2,602,809号の教示が適用されたプロセスの作動の態様に関し、固体炭素含有物質は、空気中の窒素により生成ガスが汚染されないような態様で、空気による間接的な酸化により炭素酸化物に変換されるよう設計されている。固体炭素含有物質のこのようなガス化は、流動化された金属酸化物の交互の酸化及び還元により達成される。米国特許第2,602,809号の教示によると、固体の炭素含有物質を細かく分割し、ある条件で金属酸化物に接触させ、金属酸化物が還元され固体燃料の炭素が酸化されて炭素酸化物になるようにすることで、固体燃料がガスに変換される。ここで、金属酸化物は炭素の酸化に必要な酸素の主要な供給源として働く。そして、金属酸化物の還元後、還元された金属酸化物は再度酸化され、それによって、プロセスサイクルをもう一度繰り返すことが可能となる。
【0008】
様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術の化石燃料ガス化技術に更に関連して、限定するものではないが例示として、1986年7月29日付けでCombustion Engineering, Inc.に付与された米国特許第4,602,573号に次に注目する。米国特許第4,602,573号の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプの化石燃料ガス化技術の継続的発展における更なる発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第4,602,573号の教示は、炭素質燃料をガス化し燃焼する方法に関連し、特に、硫黄及び窒素を含む炭素質燃料をガス化して一酸化炭素リッチな低BTUの燃料ガスを生成する統合化されたプロセスに関する。生成される燃料ガスは、蒸気発生器において追加の炭素質燃料とともに燃焼されるよう設計される。より具体的には、米国特許第4,602,573号の教示が適用されたプロセスの作動の態様に関し、硫黄及び窒素含有炭素質燃料の第1の部分が還元性雰囲気の空気中でガス化反応器においてガス化されて、高温の、チャーを含む、一酸化炭素リッチな、低BTU量(BTU content)の燃料ガスが生成される。その後、硫黄捕捉剤(sulfur capturing material)がガス化反応器内に導入され、硫黄捕捉剤が存在する中で炭素質燃料のガス化がなされ、それによって、ガス化される炭素質燃料中の硫黄の大部分が硫黄捕捉剤により捕捉される。
【0009】
続いて、様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術、特に流動床燃焼技術について更に説明する。より具体的には、限定するものではないが例示として、1978年9月5日付けでMetallgesellschaft Aktiengesellschaftに付与された米国特許第4,111,158号に注目する。米国特許第4,111,158号の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプの流動床燃焼技術の継続的発展における初期の発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第4,111,158号の教示は、例えば炭素化合物や硫黄化合物のような可燃物を含む固形飼料(solid feed)を用いた放熱性プロセスを実行するための装置及び方法に関する。説明を続けると、米国特許第4,111,158号の教示が適用された方法及び装置の作動の態様に関し、固形飼料の可燃性化合物は、概ね化学量論的条件において流動床で燃焼されるよう設計される。その後、そのような固形飼料の可燃性化合物の燃焼の結果生じ流動床から引出される固形物は流動床に戻され、固形飼料の可燃性化合物の燃焼により生じる熱は回収に用いることができる。
【0010】
様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術の流動床燃焼技術に更に関連して、限定するものではないが例示として、1996年7月9日付けでA. Ahlstrom Corporationに付与された米国特許第5,533,471号に注目する。米国特許第号5,533,471の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプの流動床燃焼技術の継続的発展における更なる発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第号5,533,471の教示は、流動床反応器の温度を効率よく制御し、固体材料の冷却のための十分な伝熱面積(heat transfer surface area)を可能とするシステム及び方法に関する。より具体的には、米国特許第号5,533,471の教示が適用されるシステム及び方法の作動の態様に関し、循環(高速)流動床と沸騰(低速)流動床が用いられる。説明を続けると、これら2つの流動床は互いに隣接して設置され、それらの間には第1及び第2の連結部が設けられる。通常、沸騰流動床(bubbling fluidized bed)の流動ガス導入グリッドが循環流動床(circulating fluidized bed)の流動ガス導入グリッドの下に位置するようにされる。沸騰流動床は全体に概ね一定の密度を有し、その上面にはっきりした境界線があるので、第1の連結部は沸騰流動床の上面より上に設けられ、それにより、2つの流動床の間の圧力及び密度条件によって、循環流動床から沸騰流動床に第1の連結部を通じた粒子の流れが生じる。しかしながら、沸騰流動床の平均密度は循環流動床の密度より高いため、沸騰流動床により処理された後の(例えば、その中で冷却がなされた後の)粒子は、圧力及び密度条件により、第2の連結部を通じて循環流動床に戻される。
【0011】
様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術、特にハイブリッド燃焼・ガス化技術について更に説明すると、限定するものではないが例示として、1981年6月8日付けでMonsanto Companyに付与された米国特許第4,272,399号がまず注目される。米国特許第4,272,399号の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプのハイブリッド燃焼・ガス化技術の継続的発展における初期の発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第4,272,399号の教示は、炭素含有物質から高純度の合成ガスを生成するための一体化されたプロセスに関する。より具体的には、米国特許第4,272,399号の教示が適用された一体化プロセスの作動の態様に関し、熱及び酸素の媒体(carrier)として特徴付けることができ、一般に酸化剤と呼ぶことのできる、金属酸化物を含有する物質が、炭素含有物質を酸化しつつガス化するための酸素及び熱の移送体(transfer agent)として用いられる。説明を続けると、蒸気、二酸化炭素、合成ガスまたはそれらの混合が、酸化剤を流動化し上向き併流システムを通じて移送するために用いられる。従って、この一体化プロセスの作動の態様に基づくと、まず合成ガスが酸化剤により酸化及び加熱され水と二酸化炭素が酸化剤還元領域において形成されてから、ガス化領域において酸化剤及びガスの炭素含有物質への接触がなされる。更に、炭素含有物質は酸化されて主として一酸化炭素と水素を生成するが、これは生成される合成ガスが空気に含まれる窒素により汚染されないようになされる。また、炭素含有物質のガス化は、流動化された酸化剤の交互の酸化及び還元により達成される。そして、このようなガス化の後、単体金属(elemental metal)或いは低酸化状態であり得る、還元された酸化剤は、酸化領域において再度酸化され、サイクルが繰り返される。
【0012】
様々な形態の高温固体プロセスが用いられる上記した先進クリーン化石燃料技術のハイブリッド燃焼・ガス化技術に更に関連し、限定するものではないが例示として、2006年8月1日付けでALSTOM Technology Ltd.に付与された米国特許第7,083,658号に次に注目する。この米国特許は、参照により本願に組み込まれる。米国特許第7,083,658号の教示は、高温固体プロセスを用いるタイプのハイブリッド燃焼・ガス化技術の継続的発展における更なる発展段階の例を代表していると考えられる。米国特許第7,083,658号の教示は、化石燃料、バイオマス、石油コークス、または他の炭素含有燃料を用いて発電のための水素を生成し、二酸化炭素(CO2)の排出を最小化するまたはなくす装置に関する。より具体的には、米国特許第7,083,658号の教示が適用された装置の作動の態様に関し、炭素質燃料からガス生成物を生成するためのガス化装置(gasifier)が提供される。このガス化装置は、放熱性酸化反応器及び吸熱性還元反応器を含む第1の化学プロセスループを含む。更に、放熱性酸化反応器は、CaS入口と、高温空気入口と、CaSO4/廃ガス出口とを有する。一方、吸熱性還元反応器は、放熱性酸化反応器のCaSO4/廃ガス出口と連通したCaSO4入口と、放熱性酸化反応器のCaS入口と連通したCaS/ガス生成物出口と、炭素質燃料を受け入れるための材料入口とを有する。CaSは放熱性酸化反応器において空気中で酸化されて高温のCaSO4を形成し、形成されたCaSO4は吸熱性還元反応器へと放出される。更に、吸熱性還元反応器に受け入れられた高温のCaSO4及び炭素質燃料は、CaSO4の熱成分を用いて吸熱反応をし、炭素質燃料がCaSO4から酸素を奪い、CaS及びガス生成物を形成する。その後、CaSは放熱性酸化反応器へと放出され、ガス生成物は第1の化学プロセスループを通じて出力される。
【0013】
従って、本発明の目的は、高温固体プロセスを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、出力を生成することが可能な高温固体プロセスを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された出力を生成することが可能な高温固体プロセスを提供することである。
【0016】
本発明の更に別の目的は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された本発明の高温固体プロセスからの出力を、本発明に基づき生成する目的で、そのような石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部を用いるよう設計された高温固体プロセスを提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、比較的安価で、比較的構成が簡単で、石油化学プロセスへの適用に関して非常に融通性の高いことを特徴とする高温固体プロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明に基づくと、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力を生成することが可能な高温固体プロセスが提供される。このような高温固体プロセスの本発明に基づく作動の態様では、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力を本発明の高温固体プロセスから生成する目的のため、石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部が、本発明の高温固体プロセスへの入力として好適に用いられるよう設計される。
【0019】
更に、本発明に基づくと、本発明の高温固体プロセスの作動の態様は、限定するものではないが、例えばCaSのような石灰石系の吸着剤(limestone based sorbent)が、固定床反応器(fixed bed reactor)、沸騰床反応器(bubbling bed reactor)、循環床反応器(circulating bed reactor)、輸送床反応器(transport bed reactor)、及び同伴床反応器(entrained bed reactor)を含む反応器の群から選択される酸化反応器(限定するものではないが、例えば循環床反応器)において燃焼され、石灰石系の吸着剤の燃焼から高温のCaSO4が生成されるようになっている。この高温のCaSO4は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力を生成する目的のため、好適には、固定床反応器、沸騰床反応器、循環床反応器、輸送床反応器、及び同伴床反応器を含む反応器の群から選択される還元反応器(限定するものではないが、例えば、循環床反応器)で用いられるよう設計される。
【0020】
本発明の高温固体プロセスの作動の態様に更に関連し、本発明の高温固体プロセスの作動の態様に基づいて用いられる酸化反応器への入力は、燃焼される燃料が、炭素質燃料(好適には、石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部。石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部は、より好適には、石油コークス及び/または油残渣を含む。石油コークスや油残渣は、このように用いない場合、通常は使用できない出力生成物として生成されることが知られている。)を含み、且つ、本発明の高温固体プロセスの好適な作動の態様に基づいて生成される所定の出力が石油化学プロセスの入力として用いるのに適するよう設計されている場合、CaS及び空気を含み、そのような場合の酸化反応器からの出力は、灰、CaSO4及びN2を含む。一方、本発明の高温固体プロセスの作動の態様に基づいて用いられる還元反応器への入力は、燃焼される燃料が、炭素質燃料(好適には、石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部。石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物の一部は、より好適には、石油コークス及び/または油残渣を含む。石油コークスや油残渣は、このように用いない場合、通常は使用できない出力生成物として生成されることが知られている。)を含み、且つ、本発明の高温固体プロセスの好適な作動の態様に基づいて生成される所定の出力が石油化学プロセスの入力として用いるのに適するよう設計されている場合、炭素質燃料、CaCO3、蒸気、及びCaSO4を含み、そのような場合の還元反応器からの出力は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するように本発明の高温固体プロセスの好適な作動態様に基づいて生成される所定の出力となるよう設計される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を生成するべく本発明に基づいて機能する高温固体プロセスの作動の態様の好適実施例の模式図であり、図1には石油化学プロセスも模式的に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、全体的に符号10により示される高温固体プロセス(hot solids process)の模式図が示されている。高温固体プロセスは、図1において矢印12により示される所定の出力(限定するものではないが、例えば、H2または合成ガス(syngas)及び蒸気)を生成する目的で本発明に基づいて作動可能なように設計されている。高温固体プロセス10からの所定の出力12は、本発明に基づき、図1において全体的に符号14により示される石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計されている。図1において符号14により模式的に示される石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力12を本発明の高温固体プロセス10から本発明に基づいて生成する目的のため、本発明に基づく高温固体プロセス10の作動の態様では、石油化学プロセス14から生成される通常は使用できない出力生成物(図1において符号16で示す)の一部が本発明の高温固体プロセス10への入力として好適に用いられるよう設計されている。図1において模式的に示される石油化学プロセス14から生成される通常は使用できない出力生成物16の残り(図1において符号17で示す)は、適切と考えられる任意の従来方法で石油化学プロセス14から放出可能なように設計されている。
【0023】
説明を続けると、好適な作動の態様に基づく本発明の高温固体プロセスは、空気、炭素質燃料(限定するものではないが、例えば、図1において符号14によって模式的に示された石油化学プロセスのような石油化学プロセスから生成される通常は使用できない出力生成物16の一部。石油化学プロセス14から生成される通常は使用できない出力生成物16の一部は、好適には、石油コークス及び/または油残渣(oil residuals)を含む。石油コークスや油残渣は、図1において模式的に示される石油化学プロセス14のような石油化学プロセスから通常は使用できない出力生成物として生成され得ることが知られている。)、カルシウム源(例えば、酸化カルシウム)、及び蒸気を用いて、図1において符号14によって模式的に示された石油化学プロセスのような石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力12を生成する。
【0024】
図1を更に参照すると、図1において全体的に符号18により示される還元反応器(固定床反応器、沸騰床反応器、循環床反応器、輸送床反応器、及び同伴床反応器を含む反応器の群から選択され、好ましくは、循環床反応器を含む)及び図1において全体的に符号20により示される酸化反応器(固定床反応器、沸騰床反応器、循環床反応器、輸送床反応器、及び同伴床反応器を含む反応器の群から選択され、好ましくは、循環床反応器を含む)が、好適な作動の態様に基づき本発明の高温固体プロセス10に用いられるよう、それぞれ設計されている。説明を続けると、本発明の高温固体プロセス10の好適実施形態に基づくと、炭素質燃料(限定するものではないが、例えば、図1において符号14で模式的に示された石油化学プロセスから生成され、還元反応器18への入力として石油化学プロセス14から供給されるよう設計された、通常は使用できない出力生成物16の一部)は、好適には空気を間接的に用いることで還元反応器18において燃焼するよう設計されている。この目的のため、本発明の高温固体プロセス10の好適な作動の態様に基づいて付加されるよう設計された、図1において矢印22によって示されるカルシウム源(即ち、酸化カルシウム)も、限定するものではないが、例えば、還元反応器18への入力として供給される。しかしながら、そのようなカルシウム源22を、還元反応器18への入力以外の本発明の高温固体プロセス10の他の箇所に同じように供給することも本発明の要旨を逸脱することなく可能である。カルシウム源22は、石灰石(CaCo3)または石灰(CaO)または石膏または循環床ボイラからの使用済み床材料(spent bed material)を含む群から選択されてよく、限定するものではないが、例えば、好適には石灰石(CaCo3)を含む。更に図1を参照すると、本発明の高温固体プロセス10の好適な作動の態様に基づいて付加される石灰石(CaCo3)22は、炭素質燃料16に含まれる硫黄(S)を還元反応器18において捕捉するよう作用し、それによって還元反応器18において硫化カルシウム(CaS)が生成されるように設計されている。
【0025】
説明を続けると、図1において矢印24によって示される硫化カルシウム(CaS)は、還元反応器18からその出力として出て行くようにされ、そして、この硫化カルシウム(CaS)24は酸化反応器(oxidizing reactor)20への入力として供給されるよう設計されている。酸化反応器20において、この硫化カルシウム(CaS)24は、酸化反応器20への入力として供給されるよう設計された空気(図1において矢印26で示す)との熱解放反応(heat liberation reaction)で燃焼するよう設計されており、それにより、酸化反応炉20においてそこから硫酸カルシウム(CaSO4)が生成される。この硫酸カルシウム(CaSO4)は、図1において矢印28で示されるように、酸化反応器20からの出力として出て行くように設計され、そして、この硫酸カルシウム(CaSO4)28は、還元反応器(reducing reactor)18の入力として還元反応器18へ循環されるよう設計され、それにより、還元反応器18における炭素質燃料16の燃焼及び硫酸カルシウム(CaSO4)の硫化カルシウム(CaS)への還元のために必要な酸素及び熱の供給がそこからなされ、その連続的なリサイクルを行うことが可能となっている。さらにこれに関連して、図1に示す本発明の高温固体プロセス10の好適な作動の態様に基づくと、図1において矢印30によって示される蒸気も、好適には、還元反応器18の入力として供給される。
【0026】
図1を再度参照すると、還元反応器18における炭素質燃料16の燃焼は、所定の出力12が還元反応器18において生成可能で、炭素質燃料16に含まれる炭素及び水素が、炭素質燃料16の燃焼過程において、適切な形態の生成ガス(例えば、H2や合成ガス)に変換されるように設計されている。そのような生成ガスは、それに蒸気を付加することも可能であり、石油化学プロセス(限定するものではないが、例えば、図1において符号14で示される石油化学プロセス)への入力として用いるのに適するよう設計された、好適な作動の態様に基づく本発明の高温固体プロセス10からの所定の出力として機能させることが可能である。更に、図1において符号32が付された矢印によって示されるように、酸化反応器20において生じる硫化カルシウム(CaS)24の酸化から残る窒素(N2)は、出口(図面の明瞭性を保つため図示せず)を通じて出て行くよう設計されている。酸化反応炉20は、そのような目的のため出口が適切に設けられるよう設計されている。
【0027】
図1に模式的に示された高温固体プロセス10と石油化学プロセス14の両方の、本発明に基づく作動の態様及び構成の本質についての説明を完成させるため、ここで再度図1を参照する。本発明の作動の態様に基づくと、高温固体プロセス10は、例えば、図1に模式的に示された石油化学プロセスのような石油化学プロセスへの入力として用いるのに適するよう設計された所定の出力(限定するものではないが、例えば、蒸気及びH2または合成ガス)を生成することができるように適切に構成されている。
【0028】
図1において符号14で模式的に示された石油化学プロセスについて更に説明すると、そのような石油化学プロセスの通常の作動の態様に基づいて、図1において矢印34で示される原油が、石油化学プロセス14への入力として供給されるよう設計されている。その作動の態様について説明を続けると、原油34と、本発明の高温固体プロセス10の出力として生成される入力12は、石油化学プロセス14への入力として供給されるよう設計され、それにより、石油化学プロセス14への入力として供給された原油34及び入力12は、通常の手法に基づいて、石油化学プロセス14の作動を通じ公知の方法で変換され、有用な出力生成物と、上述した通常は使用できない出力生成物16の両方を生成する。有用な出力生成物は図1において矢印36で示され、一般的に、ディーゼル燃料、ガソリン、その他を1または複数含む。更にそれに関連して、本発明に基づくと、図1において符号14で示される石油化学プロセスからの通常は使用できない出力生成物16(好適には、限定するものではないが、例えば、石油コークス及び/または油残渣を含む)は、本発明に基づき、高温固体プロセス10内で所定の出力12が生成されるようにするため、本発明に基づき、高温固体プロセス10への入力として用いられるよう設計されている。所定の出力12は、図1において符号14で模式的に示される、石油化学プロセスへの入力12として用いるのに適するよう設計されている。図1において模式的に示されている石油化学プロセス14から生成される通常は使用できない出力生成物の残り(図1において符号17で示す)は、適切と考えられる任意の通常の方法で石油化学プロセス14から排出可能なように適切に設計されている。
【0029】
説明した本発明の実施形態は酸化カルシウムを含んでいたが、本発明では、酸化物は、FeOのような例えば鉄から形成された金属酸化物を含んでもよい。
【0030】
本発明の好適実施形態について本明細書で図示し説明したが、理解されるように、本発明は添付の特許請求の範囲に規定され、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変形及び置換が可能である(それらのいくつかについては本明細書中に示唆した)。また、理解されるように、本発明を本願において図示し説明したが、本発明の図示及び説明は限定的なものではなく、例示を目的としたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を生成することが可能な高温固体プロセスであって、
還元反応器として動作可能な第1反応器を提供する工程と、
酸化反応器として動作可能な第2反応器を提供する工程と、
硫黄を含有する炭素質燃料とカルシウム源の両方を前記第1反応器への入力として供給する工程と、
前記第2反応器への入力として空気を供給する工程と、
前記第1反応器において前記カルシウム源で前記硫黄を捕捉し、それにより前記第1反応器においてCaSを生成する工程と、
前記第1反応器からの出力として前記第1反応器におけるCaSを放出する工程と、
前記第2反応器への入力として前記第1反応器からの出力として放出されたCaSを供給する工程と、
前記第2反応器への入力として供給されたCaSから前記第2反応器においてCaSO4を生成する工程と、
前記第2反応器からの出力として、前記第2反応器において生成されたCaSO4を放出する工程と、
前記第2反応器からの出力として放出されたCaSO4を前記第1反応器への入力として供給する工程と、
前記第2反応器から前記第1反応器に供給されたCaSO4を酸素源及び熱源として用いることにより、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を前記第1反応器において生成する工程と、
有用な出力生成物と通常は使用できない出力生成物を生成するべく作動可能な石油化学プロセスを前記高温固体プロセスに作動関係で接続する工程と、
前記第1反応器において生成される、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した前記所定の出力を、前記第1反応器からの出力として放出する工程と、
前記第1反応器からの出力として放出された、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した前記所定の出力を、前記石油化学プロセスへの入力として供給する工程と
を有することを特徴とする高温固体プロセス。
【請求項2】
前記第1反応器として、還元反応器として動作可能な循環床反応器を選択する工程と、
前記第2反応器として、酸化反応器として動作可能な循環床反応器を選択する工程と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の高温固体プロセス。
【請求項3】
前記高温固体プロセスにおいて前記硫黄含有炭素質燃料として用いるため、前記石油化学プロセスからの前記通常は使用できない出力生成物の一部を選択する工程
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の高温固体プロセス。
【請求項4】
前記高温固体プロセスにおいて前記硫黄含有炭素質燃料として用いるため選択された前記石油化学プロセスからの前記通常は使用できない出力生成物の前記一部を、前記高温固体プロセスの前記第1反応器への入力として供給する工程
を更に有することを特徴とする請求項3に記載の高温固体プロセス。
【請求項5】
前記高温固体プロセスにおいて前記硫黄含有炭素質燃料として用いるため前記高温固体プロセスの前記第1反応器への入力として供給される前記石油化学プロセスからの前記通常は使用できない出力生成物の前記一部が石油コークスを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の高温固体プロセス。
【請求項6】
前記高温固体プロセスにおいて前記硫黄含有炭素質燃料として用いるため前記高温固体プロセスの前記第1反応器への入力として供給される前記石油化学プロセスからの前記通常は使用できない出力生成物の前記一部が残渣油を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の高温固体プロセス。
【請求項7】
前記高温固体プロセスの前記第1反応器への入力として供給されるカルシウム源として用いるためCaCO3を選択する工程
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の高温固体プロセス。
【請求項8】
前記高温固体プロセスの前記第1反応器から前記石油化学プロセスへの入力として供給される、石油化学プロセスへの入力としての使用に適した前記所定の出力がH2を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高温固体プロセス。
【請求項9】
前記高温固体プロセスの前記第1反応器から前記石油化学プロセスへの入力として供給される、石油化学プロセスへの入力としての使用に適した前記所定の出力が蒸気を更に含む
ことを特徴とする請求項8に記載の高温固体プロセス。
【請求項10】
前記高温固体プロセスの前記第1反応器から前記石油化学プロセスへの入力として供給される、石油化学プロセスへの入力としての使用に適した前記所定の出力が合成ガスを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高温固体プロセス。
【請求項11】
前記高温固体プロセスの前記第1反応器から前記石油化学プロセスへの入力として供給される、石油化学プロセスへの入力としての使用に適した前記所定の出力が蒸気を更に含む
ことを特徴とする請求項10に記載の高温固体プロセス。
【請求項12】
石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を生成することが可能な高温固体プロセスであって、
還元反応器として動作可能な第1反応器を提供する工程と、
酸化反応器として動作可能な第2反応器を提供する工程と、
硫黄を含有する炭素質燃料と酸化物の両方を前記第1反応器への入力として供給する工程と、
前記第2反応器への入力として空気を供給する工程と、
前記第1反応器において前記酸化物で前記硫黄含有炭素質燃料中の前記硫黄を捕捉する工程と、
前記第2反応器において酸化物を生成する工程と、
前記第2反応器からの出力として、前記第2反応器において生成された酸化物を放出する工程と、
前記第2反応器からの出力として放出された前記酸化物を前記第1反応器への入力として供給する工程と、
前記第2反応器から前記第1反応器に供給された前記酸化物を酸素源及び熱源として用いることにより、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した所定の出力を前記第1反応器において生成する工程と、
有用な出力生成物と通常は使用できない出力生成物を生成するべく作動可能な石油化学プロセスを前記高温固体プロセスに作動関係で接続する工程と、
前記第1反応器において生成される、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した前記所定の出力を、前記第1反応器からの出力として放出する工程と、
前記第1反応器からの出力として放出された、石油化学プロセスへの入力として用いるのに適した前記所定の出力を、前記石油化学プロセスへの入力として供給する工程と
を有することを特徴とする高温固体プロセス。
【請求項13】
前記酸化物が酸化カルシウムと金属酸化物の一方である
ことを特徴とする請求項12に記載の高温固体プロセス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−522120(P2012−522120A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503600(P2012−503600)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029179
【国際公開番号】WO2010/117772
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】