説明

石油燃焼器の安全装置

【目的】 この発明は燃料を一定油面に構成するレベラを備えた石油燃焼器において、レベラに異常が発生しても燃料の流出を防止する。
【構成】 枠体1内のバーナ2と油タンク3とを燃料管4で接続し、燃料管4の途中にはレベラ6を取付ける。レベラ6の内部にはフロート弁5を設けてあり、油タンク3から送られる燃料を一定油面に構成する。レベラ6の上部には燃料ポンプ7を設け、レベラ6内の燃料を燃料ポンプ7でバーナ2に供給する。レベラ6にはフロート弁5で設定される油面Aよりも上方の油面Bを検知する燃料検知手段8を設けると共に、油タンク3側の燃料管4と接続するレベラ6の燃料流入口6aには開閉手段9を取付ける。レベラ6内の油面が上昇して燃料検知手段8が油面Bを検知した時は、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止して燃料の供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は燃料を一定油面に構成するレベラを備えた石油燃焼器の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】外部に設置した油タンクから燃料を供給して燃焼を行なう石油燃焼器は、油タンクからバーナに至る燃料管の途中にレベラを取付け、レベラ内で燃料を一定油面に構成しており、レベラに取付けた燃料ポンプによってレベラ内の燃料を吸引してバーナに送っている。
【0003】レベラの内部には燃料流入口を開閉する為のフロート弁が設けてあり、フロート弁は燃料流入口から流入する燃料でフロートが上昇して駆動し、設定された油面高さになると燃料流入口を閉止して燃料の流入を遮断する。
【0004】そして、レベラ内の燃料が燃料ポンプで吸引されると、油面の低下にともなってフロート弁のフロートが下降し、燃料流入口が開口してレベラ内に燃料が流入し、再び設定された油面高さになるとフロート弁が燃料流入口を閉止するものであり、この動作の繰り返しによってレベラ内の燃料が一定油面に保たれる。
【0005】ところで、上記の石油燃焼器は長期間使用しているとレベラ内に金属片などのゴミが混入することがあり、もし、このゴミが燃料流入口に詰まるようなことがあると、フロートの浮力だけでは燃料流入口を完全に閉止することができなくなる為、油タンクからレベラに燃料が送られ続けて燃料が溢れ出す恐れがあった。
【0006】この対策として、従来ではフロート弁を付勢するバネと、設定油面よりも上昇したフロート弁を吸着固定するマグネットとを設け、レベラ内の油面が異常上昇した時はバネに抗してフロートが上昇し、フロートがマグネットで吸着されるとバネによってフロート弁を燃料流入口ヘ押付ける力が働き、燃料流入口を強い力で閉止することで燃料を遮断する安全装置が設けてあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の安全装置の構成では、少しのゴミであれば燃料流入口の閉止が可能であるが、ゴミが多くなると安全装置が作動しても燃料流入口を完全に閉止することができなくなり、フロートがマグネットに吸着しているにも関わらず燃料が流出する恐れがあり、安全性を十分確保できていないことが分かってきた。
【0008】また、石油燃焼器の燃焼中は燃料ポンプによってレベラ内の燃料が吸引されているから、レベラに異常があっても燃料を流出させることなく使用できることがあり、使用者がレベラの異常に気付かないことがある。この為、石油燃焼器の運転を停止すればレベラに燃料が送られ続けてレベラから溢れ出してしまうが、石油燃焼器を使用していない時は使用者が石油燃焼器から離れていることが多い為に被害が大きくなるという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の課題を解決するもので、枠体1内に設置したバーナ2と油タンク3とを接続する燃料管4と、内部に設けたフロート弁5で燃料を一定油面に構成するレベラ6とを設け、該レベラ6は燃料管4の途中に配置すると共に、レベラ6の上部には燃料ポンプ7を設け、油タンク3から送られる燃料をレベラ6で一定油面に構成し、レベラ6の燃料を燃料ポンプ7でバーナ2へ送る石油燃焼器において、前記レベラ6にはフロート弁5で設定される油面Aよりも上方の油面Bを検知する燃料検知手段8を設け、かつ、前記燃料管4と油タンク3側で接続するレベラ6の燃料流入口6aを開閉する開閉手段9を設け、レベラ6内の油面が上昇して燃料検知手段8が油面Bを検知した時は、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止して燃料の供給を遮断するものである。
【0010】また、前記開閉手段9は燃料ポンプ7が停止する消火操作時に燃料流入口6aを閉止し、石油燃焼器の停止中はレベラ6への燃料の供給を遮断する構成としたから、レベラ5に異常があっても石油燃焼器の停止中に燃料を流出させる心配がなくなった。
【0011】更に、前記レベラ6の異常時に作動する警告手段10を設け、燃料検知手段8が油面Bを検知時は警告手段10を作動すると共に、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止するから、使用者がレベラ5の異常に気付いてすぐに対応できるものとなった。
【0012】
【作用】油タンク3の燃料が燃料管4を介して燃料流入口6aからレベラ6内に流入するとフロート弁5が駆動し、レベラ6内の油面が設定された高さに達するとフロート弁5が燃料流入口6aを閉止してレベラ6への燃料の供給を遮断する。
【0013】一方、レベラ6内の油面が低下した時は、フロート弁5が駆動して燃料流入口6aが開口し、設定油面まで燃料が流入するとフロート弁5が燃料流入口6aを閉止してレベラ6内が一定油面に保たれる。
【0014】レベラ6の異常によってフロート弁5で燃料流入口6aを閉止できなくなると、油面Aを越えて燃料が流入を続けるが、燃料検知手段8が油面Bを検知すると開閉手段9が作動して燃料流入口6aを閉止するから、レベラ6への燃料の供給を遮断することができるものとなった。
【0015】また、石油燃焼器の消火操作時には、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止する構成としたから、石油燃焼器の停止中はレベラ6への燃料の供給が遮断され、燃料の流出の恐れがなくなったものである。
【0016】更に、燃料検知手段8が燃料を検知して開閉手段9が作動した時には、警告手段10が作動する構成としたから、使用者にレベラ6の異常を知らせることができるものとなった。
【0017】
【実施例】図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は石油燃焼器の枠体、3は枠体1の外部に設置された油タンク、2は枠体1内に配置したバーナ、6は油タンク3から燃料が送られて一定油面を構成するレベラ、7はレベラ6の上部に取付けられた燃料ポンプであり、レベラ6の燃料は燃料ポンプ7によって吸引されてバーナ2に送られる。
【0018】4は油タンク3とレベラ2とを連結する燃料管、6aは燃料管4が接続されるレベラ6の燃料流入口、5はレベラ6内に設けたフロート弁、5aはフロート弁5の可動軸であり、フロート弁5は燃料流入口6aから流入する燃料によって可動軸5aを中心に回動する。
【0019】5bはフロート弁5の一端に設けたフロート、5cはフロート5bの上下動と連動して燃料流入口6aを開閉する開閉弁であり、フロート弁5は燃料流入口6aから流入する燃料によってフロート5bが上昇して開閉弁5cを押し下げ、設定された油面になると開閉弁5cが燃料流入口6aを閉止して燃料の流入を遮断する。
【0020】また、燃料ポンプ7によってレベラ6内の燃料が吸引されて油面が低下した時は、フロート5bが下降して開閉弁5cが上昇するから、燃料流入口6aが開口して燃料が流入し、燃料が再び設定油面になると開閉弁5cによって燃料流入口6aが閉止するものであり、この動作の繰返しによってレベラ6内の燃料が一定油面に構成される。
【0021】ところで、燃料流入口6aにはレベラ6内へのゴミの侵入を防ぐ為のフィルタが取付けてあるが、石油燃焼器を長年使用しているとフィルタを設けてあってもレベラ6内へのゴミの混入は避けられず、このゴミが燃料流入口6aに詰まった時はフロート5bによる浮力では燃料流入口6aを完全に閉止できなくなり、レベラ6へ燃料が送られ続ける恐れがあった。
【0022】この対策として、レベラ6内が異常油面になった時に燃料の流入を阻止する安全装置の構造がある。11はフロート弁5に取付けたバネ、12はフロート5bの上方に配置したマグネットであり、フロート5bの上面には金属板が取付けてある。
【0023】レベラ6内の燃料が設定油面となってもフロート弁5が燃料流入口6aを閉止できず、燃料が設定油面を越えて流入するとフロート5bがバネ11の力に抗して上昇し、油面Aに達するとフロート5bの金属部分がマグネット12に吸着固定されてバネ11の力が開閉弁5cに伝わり、開閉弁5cがバネ11の力で押付けられて燃料流入口6aを強い力で閉止することで燃料の流入を防ぐものであった。
【0024】しかし、上記の方法ではフロート弁5が燃料流入口6aを閉止する構造には変わりがない為、燃料流入口6aに詰まるゴミが多くなれば、フロート弁5では燃料流入口6aを閉止できなくなるので、安全装置としての機能を十分に果たしているとはいえなかった。
【0025】また、レベラ6に異常があっても、石油燃焼器の燃焼中は燃料ポンプ7によって燃料が吸引される為にレベラ6から燃料を流出させることなく、そのまま使用できてしまうことがあり、使用者がレベラ6の異常に気付かないことがあった。
【0026】この為、石油燃焼器の運転を停止して燃料ポンプ7の駆動が停止すると、レベラ6内に燃料が流入し続けてレベラ6から燃料が流出してしまう。この時、使用者がすぐに異常に気付けば石油燃焼器の置台等が汚れる程度で被害を防ぐことができるが、石油燃焼器を使用していない時には使用者が石油燃焼器の近くにいないことが多く、その間に燃料が室内へ流出して被害を大きくしてしまうという問題があった。
【0027】この発明は上記の課題を解決するもので、8はレベラ6内の燃料を検知する燃料検知手段、9は油タンク3側の燃料流入口6aに取付けた電磁弁で構成する開閉手段であり、燃料検知手段8は前記したフロート弁5による安全装置が作動する油面Aよりも上方の油面Bを検知するように設定されている。
【0028】そして、レベラ6の異常によってフロート弁5による安全装置では燃料の流入を止めることができなくなり、安全装置が作動する油面Aよりも更に上昇して燃料検知手段7が油面Bを検知した時は、開閉手段9が作動して油タンク3から送られる燃料を燃料流入口6aの手前で止めるから、レベラ6への燃料の供給が完全に遮断されてレベラ6から燃料を流出させる恐れがなくなった。
【0029】また、石油燃焼器を停止した時にも開閉手段9によって燃料流入口6aを閉止する構成とすれば、石油燃焼器の停止中は常にレベラ6への燃料の供給を遮断するものであるから、もし、レベラ6に異常があっても燃料を流出させる恐れがなくなった。
【0030】具体的な実施例として、13は操作スイッチなどで構成する石油燃焼器の点火操作手段、14は消火操作手段、15は石油燃焼器の運転を制御するマイクロコンピュータを内装した制御装置である。
【0031】石油燃焼器の停止中は開閉手段9が閉止しており、点火操作手段13が操作されると制御装置15が開閉手段9に通電し、開閉手段9が燃料流入口6aを開口して油タンク3の燃料がレベラ6内に送られる。その後、燃料ポンプ7が作動してレベラ6内の燃料がバーナ2へ供給されて燃焼が行なわれる。
【0032】一方、石油燃焼器の運転中に消火操作手段14が操作されると、制御装置15は燃料ポンプ7の作動を停止してバーナ2への燃料の供給を断つと共に、開閉手段9の通電を止めて燃料流入口6aを閉止するので、石油燃焼器の停止中は常にレベラ6への燃料の供給を遮断することができる。
【0033】また、10はレベラ6内の油面が異常上昇した時に警告ランプを点灯したり警報を鳴らしたりする警告手段であり、燃料検知手段8が油面Bを検知した時は、開閉手段9の通電を止めて燃料流入口6aを閉止すると共に、警告手段10を作動して使用者にレベラ6の異常を知らせるから、使用者はレベラ6の異常にすぐに気付くことができるものとなった。
【0034】
【発明の効果】以上のようにこの発明では、レベラ6の不良が発生してフロート弁5がレベラ6内への燃料の流入を止めることができなくなり、レベラ6内の油面が異常上昇しても、燃料検知手段8が油面Bを検知すると開閉手段9が燃料流入口6aを閉止する構成としたから、レベラ6内へ流入する燃料を確実に遮断することができ、レベラ6から燃料を流出させる恐れがなくなった。
【0035】また、石油燃焼器を停止した時にも開閉手段9によって燃料流入口6aを閉止する構成とすれば、石油燃焼器の停止中はレベラ6に燃料が送られることがなくなるから、レベラ6に異常が発生していても燃料が流出する心配は全くなく、安全性の向上を実現できたものである。
【0036】更に、燃料検知手段8が燃料を検知した時に作動する警告手段10を設ければ、使用者がレベラ6の異常に気付くことができるから、レベラ6の異常時にすぐに対応できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例を示す石油燃焼器である。
【図3】この発明を実施するレベラの要部断面図である。
【符号の説明】
A 油面
B 油面
1 枠体
2 バーナ
3 油タンク
4 燃料管
5 フロート弁
6 レベラ
6a 燃料流入口
7 燃料ポンプ
8 燃料検知手段
9 開閉手段
10 警告手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 枠体1内に設置したバーナ2と油タンク3とを接続する燃料管4と、内部に設けたフロート弁5で燃料を一定油面に構成するレベラ6とを設け、該レベラ6は燃料管4の途中に配置すると共に、レベラ6の上部には燃料ポンプ7を設け、油タンク3から送られる燃料をレベラ6で一定油面に構成し、レベラ6の燃料を燃料ポンプ7でバーナ2へ送る石油燃焼器において、前記レベラ6にはフロート弁5で設定される油面Aよりも上方の油面Bを検知する燃料検知手段8を設け、かつ、前記燃料管4と油タンク3側で接続するレベラ6の燃料流入口6aを開閉する開閉手段9を設け、レベラ6内の油面が上昇して燃料検知手段8が油面Bを検知した時は、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止して燃料の供給を遮断することを特徴とする石油燃焼器の安全装置。
【請求項2】 前記開閉手段9は燃料ポンプ7が停止する消火操作時に燃料流入口6aを閉止し、石油燃焼器の停止中はレベラ6への燃料の供給を遮断することを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の安全装置。
【請求項3】 前記レベラ6の異常時に作動する警告手段10を設け、燃料検知手段8が油面Bを検知時は警告手段10を作動すると共に、開閉手段9が燃料流入口6aを閉止することを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2002−257336(P2002−257336A)
【公開日】平成14年9月11日(2002.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−53752(P2001−53752)
【出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】