説明

石灰泥処理方法および装置

本発明は、ディスクフィルター内でパルプミル内の苛性化工程で生ぜしめられる石灰泥スラリーを処理する方法に関するものであり、この方法では、石灰泥がフィルター内へ供給され、ディスクフィルター上で濃縮されて、ディスクフィルターから除去される。石灰泥は、同じ一つのディスクフィルター内で、少なくとも2ステージで次のように処理される、すなわち、フィルターに入る石灰泥スラリーがディスクフィルターの一部にのみ供給され、その上で石灰泥が濃縮されてディスクから除去され、その除去された石灰泥が液体で再スラリー化され、得られた石灰泥スラリーがディスクフィルターの第2部分に供給され、石灰泥が濃縮されてフィルターから除去され、次の処理工程に導かれる。本発明は装置にも係わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ製造工場における苛性化工程で生じる石灰泥スラリーを濃縮するための方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクフィルターを利用する石灰泥の濾過は下記の手法で行なうことができる。この種の解決法は出版物US5900158(Fl 96281)に開示されている。石灰泥スラリーは一つまたは複数の送り導管を経て分配管内へポンプ送りされ、その中に石灰泥は混合部材によって均質な形態で維持される。分配管から石灰泥スラリーは、均等に濾過部材(すなわち、ディスクフィルター)の樋内へ分配される。最も普通には、ディスクフィルターは大気圧において回転し、それによって、濾過のために要求される圧力差は、例えば、吸引脚、真空ポンプまたは遠心力ポンプの如き適当な真空源によって、セクタから形成されたディスク内に生ぜしめられるが、しかしフィルター全体に与圧することも可能であり、それによってディスクは上昇した圧力によって包囲されることになる。部分真空の効果、さらに一般的には圧力差の効果によって、固形の石灰泥ケーキが、ワイヤ被覆したディスクフィルターセクタの表面上に蓄積し始める。掻き取り具が、セクタの表面から予定の距離をおいて各ディスクフィルターの両側に配置され、それ故、ケーキが適当な厚さに達した時、掻き取り具は、底部ケーキ(所謂、前被層)上に形成された所謂表面ケーキを、を切り取る。除去される石灰泥は、ディスクフィルターの下に置かれたベルトコンベヤ上に落下し、そのコンベヤによって、石灰泥はさらに、例えば石灰キルン内へ運ばれる。
【0003】
部分真空の効果によって石灰泥からディスクの内部へ除去された濾液は流路を経て、フィルターの中空中心軸へ導かれ、そこからさらに濾液容器内に導かれる。さらに、濾液は、濾液容器から処理工程に送られる。
【0004】
石灰泥濃縮の目的は、苛性化工程からの白液フィルターからくる石灰泥の洗浄を完遂させるとともに、乾燥固形物含量を増やし、もって燃焼のために石灰泥を石灰キルンに供給できるようにすることである。石灰泥の水分量は石灰キルンのエネルギー消費に著しい影響を有する。残留アルカリは、石灰キルンの環境排出物質(硫化水素排出物質)に著しい影響を有する。
【0005】
洗浄されかつ濃縮された石灰泥の特性の変動、すなわち、乾燥固形物の含量、残留アルカリ、粒子の寸法と構造の変動は焼石灰の特性に変化をもたらす。高品質石灰泥の製造を保証するためには、石灰泥の洗浄と濃縮が有効になることがある。それ故、一つではなく、二つ以上の濾過装置内で石灰泥を処理することが必要となることがあるが、このことは費用がかかりかつ余分なスペースを使う解決法となる。
【0006】
本発明の目的は、前記欠点をなくす石灰泥の処理方法と装置を提供することである。特に、本発明の目的は、清浄な石灰泥が経済的に製造されかつ既知の方法と比べてより少ないスペースを消費するように、石灰泥の処理を成し遂げることである。厳重な環境規制は、石灰釜からの排出物質にも一定の制限を定めており、したがって、石灰キルン内で焼かれる石灰泥はこれらの要件を十分満たすように清浄でなければならない。
【0007】
これらの目的を達成するために、本発明は、下記のことによって、石灰泥は少なくともディスクフィルター内で少なくとも2ステージで処理されることを特徴とする、すなわち
ディスクフィルターに入る石灰泥スラリーはディスクフィルターの一部のみに送られ、そこで石灰泥は濃縮されて、ディスクから除かれること、
除かれた石灰泥は液状に再スラリー化され、そしてこうして得られた石灰泥スラリーはディスクフィルターの第2部分に送られ、そこで石灰泥は濃縮されてディスクフィルターから除かれ、その後の処理工程に導かれること。
【0008】
一実施形態によれば、異なる石灰泥処理ステージから得られた濾液はディスクフィルターから別々に除かれる。典型的には、そのクリーナー濾液の少なくとも一部は、石灰泥の流れ方向において先行する洗浄ステージにおいて洗浄液体として使用され、すなわち濾液は逆流状に導かれる。この濾液はまた、石灰泥スラリーを希釈するために、同じステージへ循環させられることもある。一実施形態によれば、複数の濾液はまた、組み合わされて除かれることもある。この場合には、また、効率は先の場合程高くはないが、濾液の一部は、逆流洗浄のために使用されることができる。第1ステージからくる濾液またはその一部、または、複数の第1ステージからくる複数の濾液、またはそれらの一部は弱液容器内へ導かれる。
【0009】
一実施形態によれば、石灰泥洗浄は一つまたはそれ以上のディスクフィルター処理ステージで行なわれることができる。
【0010】
本発明はまた、石灰泥スラリーを処理するための装置にも関するものであり、前記装置は、一つまたはそれ以上の流路を備えた軸と、その上に配置された幾つかのディスクフィルターとを含み、そのディスクの内部は、濾液を放出するために軸の一つまたはそれ以上の流路に結合されており、前記装置はさらに、石灰泥スラリー内で前記軸とディスクを回転させるための軸用の駆動器具、石灰泥スラリーを送るための装置、および濃縮された石灰泥を前記装置から除くための装置を含む。本発明による装置の独特の特徴は、それが少なくとも二つのステージを有し、そしてその装置が下記のものを含むことにある、すなわち、
石灰泥スラリーを送るための第1送り装置、前記送り装置は石灰泥スラリーが第1組のディスクフィルター内に送られるように連結されていること、
第1組のディスクフィルターから処理された石灰泥を除くための第1石灰泥除去装置、
第2送り装置、これらの装置は、第1組のディスクフィルター内で処理された石灰泥を第2組のディスクフィルター内へ導くために第1除去装置へ連結されていること、そして
第2組のディスクフィルター内で処理された石灰泥を装置から除去するための第2石灰泥除去手段。
【0011】
一実施形態によれば、装置の軸が、軸管を含み、その内部は、異なる組のディスクから濾液を分離放出するために、軸の内部を少なくとも第1および第2区画室に分割するための仕切りを有する。典型的には、軸の内部に、軸端間に配設されたより小さな管が存在し、前記管は軸管と共線関係にあるが、軸の前記端部を経て異なる区画室から濾液を放出するために、この軸管よりも小さな直径を有する。異なる軸端部を経て濾液を排出してもよい。
【0012】
一実施形態によれば、ディスクフィルターは石灰泥スラリーを収容する包囲槽内で回転せしめられ、この槽は、異なる組のディスク用の複数の区画室に槽を分割するための仕切りを有する。この仕切りは、好適には移動可能であり、このことは、石灰泥処理ステージでディスクの数を変えることが望ましい時に有利である。
【0013】
一実施形態によれば、ディスクフィルターは少なくとも部分的にディスクフィルターを囲む樋内で回転させられる。すなわち、各ディスクはそれぞれの樋を有する。
【0014】
一実施形態によれば、石灰泥放出機器は、ディスクの下に配置されかつ石灰泥用の移動可能の出口を備えたコンベヤを含む。これはディスクセット間のディスクの数を変えることを考慮している。石灰泥の除去はまた、ディスクの異なるセットのために夫々のコンベヤを配置することによって、実行されることができる。好適には、使用されるコンベヤはドラグチェーンコンベヤとする。別案として、第1ステージで処理されて第2ステージに送るために再スラリー化される石灰泥は、例えば落下シュートを経て、スラリー化タンク内に導くことができ、その際、コンベヤは、第2ステージのみで使用される。石灰泥の適切な搬送技術は、例えば石灰泥の特性、装置のレイアウトおよびその他の外的要件によって決定される。
【0015】
一実施形態によれば、第1組のディスクフィルターは、少なくとも部分的にディスクを囲む樋内で回転せしめられる。石灰泥シュートがディスク間に配置され、石灰泥は、例えば掻き取り具を用いて、ディスクから落される。石灰泥シュートは、シュートの下のスラリー化樋に連結され、この樋はフィルターと共軸線であり、石灰泥スラリーを第2ステージのディスクへ導く。このスラリー化樋は、ディスクの各セットの下で実質上中断されずに延びることができる。スラリー化樋は、スラリー化を容易にするためにまた石灰泥スラリーを均一に保つために、ミキサーを備える。スラリー化樋はまた、各組のディスクの下に夫々の樋が存在するように、2部分構成樋にすることもできる。その夫々の樋は、流路を経て、次の組のディスクの下の樋と連通して、石灰泥スラリーを第1組のディスクから第2組のディスクに導くようにする。個々の樋は夫々個別のミキサーを持たなければならない。石灰泥排出装置は、石灰泥を排出するために第2組のディスクの下に配置されたコンベヤを備えている。この実施例の利点は、個別のスラリー化タンクを必要としないことである。
【0016】
以下、本発明の方法と装置について添付図面を見ながら説明する。
【0017】
図1によれば、本発明のディスクフィルター配置は、モータ11の如き駆動装置に連結された軸10と、軸上に配置された径方向ディスクフィルター12を備えており、前記軸は中空であるか、さもなければ、流路を備えている。各ディスクの内部は濾液を排出するために軸の内部と連通している。フィルター軸10はその両端で支持されており、かつ軸受けを介して別個の支持フレームに連結されており、このフレームと関連して前記駆動装置が配置されている。
【0018】
前記例では、各ディスクフィルター12の下部分は夫々の樋13によって囲まれている。被処理材料(すなわち、石灰泥スラリー)は、樋13内で、濃縮石灰泥がディスク表面を有効に覆うことができるような高さまで延在する。或る状況では、共通の単一槽の使用が有利であるが、通常、各ディスクフィルターに一つの樋13が存在する。掻き取り具14は、各ディスクフィルター12の両側で樋13の液体レベルの僅かに上の傾斜位置に配置されており、その掻き取り具によって、ディスク表面上で濃縮された材料が各ディスクの表面から取り除かれる。当然、掻き取り具が掻き取った殆ど直後に、濃縮された石灰泥が固化してディスク表面から離れるように掻き取り具が配設されており、石灰泥の表面付着物(freed)は再びスラリー内へ潜没する。掻き取り具14から濃縮された材料はディスク間のシュート15内に導かれ、そのシュートは樋から分離されており、そこからコンベヤ16またはそれに相当する搬送装置内に材料が落下でき、該搬送装置によって更に運ばれる。当然ながら、別の手段によって掻き取られた材料を除去することもできる。
【0019】
本発明によれば、フィルター装置のディスクは、少なくとも2組のディスクIとIIに分けられ、したがって石灰泥の処理は2ステージで実施されることができる。各組内のディスクの数は典型的には、より不純な石灰泥が処理される第1ステージがより少数のディスクを有するというようなものとなる。かかるディスク配分の理由は、第1ステージにおける石灰泥の乾燥固形物含量は石灰キルンに入る石灰泥の乾燥固形物含量と同程に重要ではないということにある。
【0020】
石灰泥スラリーのための送り装置18は樋13の底部に配置されており、この送り装置は送りライン17と30から石灰泥を受け取る。送り装置は分割チューブ(図示せず)から成ることができ、この分割チューブは、刊行物US5900158(Fl 96281)に記載されており、そしてこれは、送り導管17が分割チューブの他端に置かれるように、フィルターの全長に亘って延びており、前記他端に第1組Iのディスクが置かれている。好適には、分割チューブは混合部材を備えており、その目的は、石灰泥スラリーを混合して、その石灰泥スラリーを分割チューブに沿って一様に移送して、石灰泥スラリーがディスク用の樋13内へ一様に流入するようになす。本発明の場合、分割チューブはチューブを二つの区画室に分割するための隔壁を備えており、その一方はI組のディスクのためのものであり、他方はII組のためのものである。
【0021】
好適には、混合リブ(図示せず)が各ディスク12の外周上に配置されていて、それが石灰泥スラリーを樋の底上で動くように保っており、したがって石灰泥が樋の底で凝固するのを防止している。好適には、ディスクフィルターの各半分用の一つまたはそれ以上の洗浄ノズル20が、ディスクの側面上に配置されており、その側面では、石灰泥ケーキから過剰の液体を洗い除くために濃縮された材料を洗浄するために、ディスクの表面で濃縮された材料がスラリーから上昇する。
【0022】
軸10は、軸管を含み、そのパイプの内部は、異なる組のディスクI、IIのから個別に濾液を排出するために、内部を互いに少なくとも第1と第2の区画室に分割するための仕切り23を備えている。軸10の内部は仕切り23と軸の端部24間に配置されたより小さいチューブ25を備えており、前記チューブは軸管と同心でありかつこの軸管より小さい直径をもっていて、その端部、すなわち軸の端部24を経て異なる区画室から濾液を排出するようになっている。第1洗浄ステージからくる濾液は、区画室26内に溜まり、そして第2洗浄ステージからくる濾液は区画室27内に溜まり、この区画室は軸チューブ内に内部チューブ25の外側に残されるスペースを占めている。区画室26から、濾液は内部チューブを経て排出され、前記内部チューブは仕切り内の開口を経て区画室26と連通している。好適には、仕切り23は移動可能であり、このことは、もし洗浄ステージに属しているディスクの数を変えることが望まれるならば、特に有利である。
【0023】
本発明の装置は、以下のように作動する。
白液フィルターから来る石灰泥スラリーは、石灰泥スラリーを樋13内に均等に配分するために、送りライン17を経て送り導管18内に送られる。これらの樋は、第1組のディスクIのディスクフィルター12の底部分を包囲する。ディスクフィルター12内に用意された静水圧または部分真空の何れかの効果によって、ディスクフィルター12のワイヤ表面上に石灰泥が濃縮する。運転開始中にそしてまた、ディスクフィルター12のワイヤ表面洗浄後にも、いわゆる先行被覆層が最初にワイヤ表面上で厚くされ、その厚さは実際上、ワイヤ表面からの掻き取り具の距離によって決められる。次いで、実際の石灰泥ケーキは、石灰泥ケーキが樋から上昇するまで、前記先行被覆層上で厚くなる。過剰の液体は、ライン22を経て水を受ける洗浄ノズル20によって、石灰泥ケーキから洗い流されることができる。石灰泥ケーキの乾燥は、ディスクフィルター12の両側に配置された掻き取り具14によって、ケーキが先行被覆層の表面から切除されるまで続く。石灰泥から濾過された液体は、中心軸10を経て、区画室26と、軸の内部チューブ25を経て、濾液タンク21に導かれる。
【0024】
濃縮された石灰泥はコンベヤ16上に自由落下し、好適には、このコンベヤはドラグチェーンコンベヤである。前記ドラグチェーンコンベヤ16の下部に排出開口28があり、この開口を通して、第1ステージで濃縮された石灰泥が濾過装置から排出される。好適には、排出開口は移動可能である。このことは、もし洗浄ステージのディスクの数を変えることが望まれるならば、特に有利である。排出された石灰泥はさらに、ライン19を経て容器29内へ導かれ、そこで石灰泥は、水の如き本質的に清浄な液体内で再スラリー化される。こうして得られた石灰泥スラリーは、ライン30を経て送り導管18内に、さらには第2組IIのディスク上に導かれる。石灰泥はステージIにおけるように相応の手法で処理される。処理された石灰泥はコンベヤ16上に落下させられそしてさらに、燃焼のために石灰キルン(図示せず)内へ導かれる。
【0025】
石灰泥を、通常の石灰泥貯蔵容器を用いずに、白液フィルターから直接ライン石灰泥フィルターへそしてさらに石灰キルンへ導くことが可能であることは注目されてきている。前記貯蔵容器は、典型的には貯蔵タンクとして使用されているものである。
【0026】
第2ステージIIで得られた濾液は、軸10の区画室27内へディスク内部から集積し、そして軸の端部を経て濾液タンク21内へ導かれる。濾液タンクの内部は、仕切り31によって二つの区画室に分けられており、その一つは、ステージIからくる濾液用であり、他方のものはステージIIからくる濾液用である。ライン32内の第2ステージからくる濾液は、第1ステージからくる濾液より清浄である。第2ステージからくる濾液は、第1ステージにおいて洗浄/希釈液として使用でき、該濾液はライン17内に送られて第1ステージに供給されている石灰泥スラリー内に導かれ、もって、石灰泥が希釈され、浄化される。第1ステージからくる濾液は、典型的には、ライン33を経て弱液容器に導かれ、さらに、例えば、再生ボイラーの精錬(smelt)溶解タンク内へ導かれる。また、第2ステージまたはその一部からくる濾液は、弱液容器に入れることができる。
【0027】
図2は本発明による別の一例の模式図である。この場合、部材の数は第一例に比してより少なくなっている。図2では、軸10上のフィルターディスク12の下部のみが示されている。スラリー化樋34は第1組のディスクと石灰シュート15aの下に置かれており、前記スラリー化樋を経て第1組の石灰シュートが互いに連通している。細長いタービンミキサー35または対応するミキサーがスラリー化樋34内に配置され、このミキサーは、好適には、前記石灰シュートに、高さ方向において、できるだけ接近して配置される。図1と同様に、白液フィルターから来る石灰泥スラリーは送りライン17を経てI組のフィルターディスク12aの底部を包囲する樋13内へ送られる。フィルターディスク12a上で濃縮された石灰泥は掻き取り具14によってディスクの表面から除去され、そして石灰泥はシュート15a内へ落下する。スラリー化する液体はライン36を経て第1組の石灰シュート内に導入され、そしてそれらの液体レベルは高く保たれる。樋内の石灰泥スラリーを均一に保つために、ミキサーのタービンまたはミキサーの対応部分を各シュートに置くのが有利である。
【0028】
フィルター軸10の方向に、スラリー化樋34は第2組IIのディスクの下にも延びている。したがって、樋は第2組のディスクを包囲する樋13bと連通し、石灰泥シュート15bとは連通しない。したがって、I組の石灰泥シュート内でスラリー化された石灰泥スラリーはステージIIとディスク12の樋13bに向かってミキサーの軸線方向に樋34内で移動する。ステージIの石灰シュート15a内の高さ水準は、石灰泥スラリーがステージII内に移送されるような高さに(希釈液36を添加することによって)保たれる。こうして、石灰泥は第2ステージのディスク12上へ樋13bから濃縮される。掻き取り具によって除去された石灰泥は、ディスク間で石灰泥シュート内へ落下しそしてさらにシュートの下のコンベヤ16b上へ落下する。このコンベヤは、好適には、ドラグチェーンコンベヤとする。
【0029】
第1ステージの内部ディスクの表面上で濃縮された石灰泥は表面AからステージIの石灰泥シュート内へ、そして第2表面BからステージIIの石灰泥シュート内へ落下する。ディスク側面B上の石灰泥シュート15Bは、表面Bから落下する石灰泥がスラリー化樋34内へ差し向けられるように、仕切り構造を備えることができる。
【0030】
図2では、スラリー化/送り樋34は、両ステージIとIIのディスクの下に延びている。中断されていないスラリー化/送り樋もまた、2部分構成にすることができ、それによって各組のディスクがそれぞれの樋をもち、前記ディスクは流路を介して連結されるか、または石灰泥スラリーをステージIからステージIIへ導くために対応している。スラリー化樋として働く第1ステージの樋は、送り樋として働く第2ステージの樋よりも高位に配置できる。各樋は、それぞれ、ミキサーを有する。
【0031】
図1の例と同様に、第2ステージのフィルターは、第1ステージにおいて希釈/洗浄液として使用でき、それはライン17内に送られ、第1ステージ内に供給されている石灰泥スラリー内に導かれる。図2において、ステージIからくる濾液の一部を、ライン36内に導くことができ、したがって第1ステージでディスクから除去された石灰泥をスラリー化するために用いられる。第1ステージの濾液は、典型的には、ライン33を経て、弱液タンク内へ、そしてさらに、例えば回収ボイラーの精錬(smelt)溶解タンク内に導かれる。第2ステージの濾液またはその一部もまた、弱液タンク内へ運び込まれることができる。ステージIIから来る濾液は、前記場所の幾つかにおいて、全体的にまたは部分的に用いることができる。
【0032】
図2の装置の利点は、図1のスラリー化タンク29(必要に応じて、貯蔵タンクとしても作用することができる)は必要とされないが、相応のスラリー化は第1ステージの石灰泥シュートとそれらの下にある樋34内で行なわれることにある。さらに、貯蔵タンクはステージIとIIの間に無く、したがって、送りは濾過装置を通して均一に留まる。
【0033】
以上の如く、2ステージ式の石灰泥フィルターが説明されてきたが、相応の手法で、ステージの数は2より多くすることができる。
【0034】
以上の説明から分るように、石灰泥を濃縮するための新しい形式のディスクフィルター装置が開発された。これは、石灰キルン用の原料として使用される高品質の石灰泥の製造を可能にする。既知の場合には、石灰泥は、二つのそしてそれ以上でさえある一連のフィルター内で濃縮されてきた。本発明によれば、石灰泥の多ステージ濃縮は単一装置で実施される。このことは、装置とスペースに対する要求の減少に起因して、著しい節約をもたらす。
【0035】
本発明によるフィルターの僅かな好適例についてのみ説明したが、これらは従属請求項の記載内容で本発明を限定するものでは決してなく、それらは本発明の範囲を決定するに過ぎないものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるディスクフィルター構成を示す、フィルター軸線に対する直角截断模式図。
【図2】本発明による第2のディスクフィルター構成の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ工場の苛性化プロセスで生じる石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法であり、石灰泥が前記ディスクフィルター内に供給され、石灰泥が前記ディスクフィルター上で濃縮され、かつ前記ディスクディスクフィルターから除去される前記方法において、
石灰泥が同じ一つの前記ディスクフィルター内で少なくとも2ステージで以下のように処理され、
前記ディスクフィルター内に入る石灰泥スラリーが前記ディスクディスクフィルターの一部にのみ供給されて、前記ディスクフィルター上で濃縮され、かつ、前記ディスクディスクフィルターから除去され、
除去された石灰泥が液体内で再スラリー化され、得られた石灰泥スラリーが前記ディスクディスクフィルターの第2部分に供給されて、石灰泥が濃縮され、かつ、前記ディスクフィルターから除去されて、次の処理工程に送られることを特徴とする石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法。
【請求項2】
異なる複数の石灰泥処理ステージで得られた濾液が、前記ディスクフィルターから個別に除去されることを特徴とする請求項1に記載された石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法。
【請求項3】
濾液の少なくとも一部が、前記ディスクフィルター上の石灰泥の流れ方向で、先行する処理ステージで洗浄液/希釈液として用られることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法。
【請求項4】
第1ステージから出る濾液、または、複数の第1ステージから出る複数の濾液、または、それらの一部が弱液タンク内に取り入れられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法。
【請求項5】
異なる石灰泥処理ステージから得られる濾液が、複合化された前記ディスクフィルターから除去されることを特徴とする請求項1に記載された石灰泥スラリーをディスクフィルターで処理する方法。
【請求項6】
石灰泥処理装置が、
一つ以上の流路を有する軸(10)と、
該軸に配設された複数のフィルターディスク(2)とを含み、該フィルターディスクの内部が濾液を排出するために前記軸の前記少なくとも一つ以上の流路に連結されており、
さらに、石灰泥処理装置が、
石灰泥スラリー内で前記軸とフィルターディスクを回転させるための前記軸用の駆動装置と、
石灰泥スラリーを供給するための手段と、
前記石灰泥処理装置から濃縮された石灰泥を除去するための手段とを含む前記石灰泥処理装置において、
前記石灰泥処理装置が、少なくとも二つのステージを有し、かつ
石灰泥スラリーが第1組のフィルターディスク内に導かれるように連結された、石灰泥スラリーを供給するための手段と、
前記第1組のフィルターディスクから処理された石灰泥を排出するための第1排出手段と、
前記第1組のフィルターディスク内で処理された石灰泥を、第2組のフィルターディスク内に導くために前記第1排出手段に連結された第2供給手段と、
前記第2組のフィルターディスク内で処理された石灰泥を前記石灰泥処理装置から除去するための第2排出手段とを含むことを特徴とする石灰泥処理装置。
【請求項7】
前記軸が軸管を含み、該軸管の内部に、異なる組のフィルターディスクから濾液を分離して排出するために、互いに分離された少なくとも第1および第2区画室に前記軸管の内部を分割するための仕切りが前記軸管の内部に配設されていることを特徴とする請求項6に記載された石灰泥処理装置。
【請求項8】
前記軸の内部が、前記仕切りと前記軸の端部との間に管を具備し、該管が、前記管と同心であるが、前記軸管よりも小径であり、前記軸の前記端部を通して異なる区画室から濾液を排出するようになっていることを特徴とする請求項7に記載された石灰泥処理装置。
【請求項9】
前記仕切りが移動可能であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載された石灰泥処理装置。
【請求項10】
前記第2供給手段が、前記第1組のフィルターディスクから排出された石灰泥をスラリー化するための手段を含む請求項6に記載された石灰泥処理装置。
【請求項11】
前記フィルターディスクが、石灰泥スラリーを受容する包囲槽内で回転せしめられるようになっており、前記包囲槽を異なる組のフィルターディスク用の区画室に分割するための仕切りが前記包囲槽に配設されていることを特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載された石灰泥処理装置。
【請求項12】
前記ディスクフィルターは、該ディスクフィルターを少なくとも部分的に包囲する樋内で回転せしめられることを特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載された石灰泥処理装置。
【請求項13】
前記第2供給手段が、スラリー化タンクを含み、該スラリー化タンク内で、前記第1ステージから排出された石灰泥がスラリー化されることを特徴とする請求項10に記載された石灰泥処理装置。
【請求項14】
前記石灰泥排出手段が、前記ディスクフィルターの下に配設されかつ移動可能な石灰泥出口を有するコンベヤを含み、前記ディスクフィルターの数を前記組間で変え得るようになっていることを特徴とする請求項6から請求項13までのいずれか1項に記載された石灰泥処理装置。
【請求項15】
第1組のディスクフィルターは、ディスクフィルターを少なくとも部分的に包囲する樋内で回転せしめられ、
前記第1排出装置は石灰泥シュートを含み、前記ディスクフィルターから該石灰泥シュートに石灰泥が導かれ、該ディスクフィルターが前記石灰泥シュートの下でスラリー化樋と連通しており、
該スラリー化樋が、フィルター軸と共軸線であり、第2ステージの前記ディスクフィルターに石灰泥スラリーを導くようになっていることを特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載された石灰泥処理装置。
【請求項16】
前記スラリー化樋が、実質上の中断なく各組の前記ディスクフィルターの下に延在していることを特徴とする請求項15に記載された石灰泥処理装置。
【請求項17】
前記スラリー化樋は、各樋が各組の前記ディスクフィルターの下に配置される態様で少なくとも二つの部分を有し、前記樋は、石灰泥スラリーを第1組から第2組のディスクへ導くために、次の組のディスクの下で流路を介して樋と連通していることを特徴とする請求項15に記載された石灰泥処理装置。
【請求項18】
前記石灰泥排出装置が、石灰泥を排出するために、第2組のディスクの下に配設されたコンベヤ装置を含むことを特徴とする請求項15から請求項17までのいずれか1項に記載された石灰泥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−521589(P2008−521589A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542021(P2007−542021)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000507
【国際公開番号】WO2006/056649
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(500403468)
【Fターム(参考)】