説明

砂時計式の時計玩具

【課題】 砂時計式の時計または時計玩具においては、天地を非対称型にし、常に据置型の状態でタイマーとして、ゲーム用として及び室内の装飾品として使用できるようにする。
【解決手段】透明なガラスまたは樹脂材により頭部2と首部または括れ部3と胴部4とを一連に形成した天地が非対称の容器と、該容器内の首部または括れ部を境にして上部の頭部または下部の胴部内に、周囲に所要の間隙をもって配設したノズル5a,5b付の椀型形状の受け部材5と、前記ノズルの先端が臨む位置に回転可能に配設し、周方向に複数等分して所要の表示を設けた少なくとも1個の回転部材9と、該容器内に収納した前記受け部材の容量を少なくとも10%を超える量の流動体8とからなる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂時計としてもゲーム用玩具としても使用できる砂時計式の時計玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の砂時計式の時計及び時計玩具に関しては、種々の構成のものが公知または周知になっている。第1の公知例として、例えば、上側と下側が上下対象の外形からなる枠体の側面にはシート状のEL素子を巻き付けて設けてあり、上記EL素子は、上記枠体の上側に配置してある第1のシート状EL素子と、上記枠体の下刃輪に配置してある第2のシート状EL素子とからなり、上記第1のシート状EL素子と第2のシート状EL素子は、それぞれ複数のセグメントに分割してあり、上記第1のシート状EL素子と上記第2のシート状EL素子とは、時間の経過に対応して少なくとも所定の経過時間を表示するように制御される構成のEL砂時計が公知になっている(特許文献1)。
【0003】
このEL砂時計は、上下対象の外形からなる枠体の側面に、柔軟性のある薄型のシート状EL素子を巻き付け、EL素子を複数のセグメントに分割し、時間の経過に対応して経過時間を表示するように制御するようにしたので、表示面の発光輝度にむらがなく表示性に優れており、かつ砂時計本体の形状構成の自由度が高く、砂時計の現実感を表現できるとともに、枠体内部の空間を制御回路などの収納に有効に利用できるというものである。
【0004】
第2の公知例として、例えば、ガラス製透明容器の中央が縊れて2つの砂溜まりが形成され、中に砂が入れられており、このガラス製透明容器は扁平に形成されており、これを扁平なケースに収め、倒れにくいように、ケースの上下に板を設け、ケースの両面には、大きく口を開いたキャラクタが天地を逆にそれぞれ描かれており、各面とも、口の部分は窓(穴)になっていて、該窓を通して砂時計の砂溜まりが見えるように構成した砂時計おもちゃが公知になっている(特許文献2)。
【0005】
この砂時計おもちゃは、天地をひっくり返した時に、窓から見える口の部分の砂が順次少なくなって行くのが見えて、例えば、子供の歯磨き時間を教えるようにして楽しく歯磨きをさせることができるというものである。
【0006】
第3の公知例として、例えば、中央部のくびれた透明器からなる時計容器内に液状スライムを入れて砂時計スタイルの液状スライム時計を構成し、その底部にスタンプを設けたものであり、さらに、人形、顔おもちゃなどの飾り用小物を時計容器内に入れると共に、液状スライムを液状シリコンにしたスタンプ付スライム時計が公知になっている(特許文献3)。
【0007】
このスライム時計は、時計としての機能とスタンプとしての機能の両方を備え、時計としての作業毎の確認のスタンプを押して作業の回数を記録したり、スタンプの乾燥時間を確認したりできるとともに、子供の学習能力の向上に役立つこと、また、人形、顔おもちゃなどの飾り用小物を時計容器内に入れてあるから、液状スライムの流下に伴い飾り用小物が容器内で踊るように動き、子供に好かれること、さらに、液状スライムのシリコンを取り出してボールにして弾ませたり、粘土状にして粘土遊びができ、いい香りを出して遊べるようにしたというものである。
【0008】
【特許文献1】特開平9−33671号公報
【特許文献2】実開平5−65400号公報
【特許文献3】実用新案登録第3090456号登録実用新案公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記特許文献1に記載のEL砂時計は、電池で発光させるシート状EL素子を複数のセグメントに分割し、時間の経過に対応して経過時間を表示するように制御するようにしたというものであるが、分割した各セグメントを光輝させるものであり、そのための制御回路、電池、操作ボタン(モードボタン)、スタートボタンや時計機能とタイマー機能などが必要であり、部品点数が多くなり構成が複雑であって安価に提供できないばかりでなく、例えば、砂時計のような残量(時間経過)が目視できないし、特に玩具としては不向きである。
【0010】
また、前記特許文献2に記載の砂時計おもちゃは、中央が縊れて2つの砂溜まりが形成されたガラス製透明容器と、該ガラス製透明容器を収める扁平なケースとから構成されており、ケースの表裏に天地を逆にして描かれたキャラクターの口の部分を窓(穴)にし、該窓を通してガラス製透明容器の砂溜まりが見えるようにしたというものであるが、表裏両面が天地を逆に形成してあることから、使用時には常に、天地を逆転させ且つ表裏を反転して使用しなければならず、また、動きがないことからおもちゃといえどもゲーム感覚での遊びができないという問題点を有している。
【0011】
さらに、前記特許文献3に記載のスライム時計は、中央部のくびれた透明器内に液状シリコンからなる液状スライムを入れ、その底部にスタンプを設けると共に、人形、顔おもちゃなどの飾り用小物を時計容器内に入れたものであり、液状スライムの流下に伴い飾り用小物が容器内で踊るように動き、子供に好かれるとしているが、図示のように飾り用小物が宙に浮いたり、ボール遊びができる程の弾力性があると液状スライムの内部には入り込めないのであるから、容器内で踊るように動くことは絶対にできないし、単に、単純なスタンプ遊びができたり、容器から液状スライムを取り出して粘土遊びができる程度でしかないのであり、砂時計としてまたはおもちゃとしての使用時には天地をひっくり返してでなければならないという問題点を有している。
【0012】
従って、前記公知技術に係るEL砂時計、砂時計おもちゃや砂時計スタイルのスライム時計においては、いずれも天地(上下)が対称的に形成されており、使用時に天地ひっくり返さなくてはならないが、これを簡単な構成にして天地をひっくり返さなくても砂時計式の時計として使用できるようにすると共に、玩具として動きがあって、又は予測が困難な数字合わせなどのゲーム遊びができるようにすること、さらに、室内の装飾品としても優れたものとすることに解決課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る砂時計式の時計玩具の発明は、透明なガラスまたは樹脂材により頭部と首部または括れ部と胴部とを一連に形成した天地が非対称の容器と、該容器内の首部または括れ部を境にして上部の頭部または下部の胴部内に、周囲に所要の間隙をもって配設したノズル付の椀型形状の受け部材と、前記ノズルの先端が臨む位置に回転可能に配設し、周方向に複数等分して所要の表示を設けた少なくとも1個の回転部材と、該容器内に収納した前記受け部材の容量を少なくとも10%を超える量の流動体とからなる構成としたことを特徴とするものである。
【0014】
前記砂時計玩具に係る発明においては、前記非対称の容器は、全体形状が扁平な形状または横断面が円形であること;前記流動体は液体または粒状体であって着色してあること;前記回転部材に設けた所要の表示は、複数個の数字であること;及び前記胴部には前記回転部材と隣接する状態で矢印マークが設けられていること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る第1の発明の砂時計式の時計玩具においては、透明な容器が括れ部または首部を境にして天地が非対称に形成されており、その容器内にノズル付の椀型の受け部材を配設すると共に、ノズルの先端が臨む位置に回転部材が配設され、さらに流動体が収納された構成であって、時計玩具を逆さにすることによって流動体が頭部側に速やかに移動または流動し、時計玩具を元の設置位置に戻すと、頭部側の流動体が受け部材に必然的に収容されノズルから流下して回転部材を回転させるので、その回転が動きとして離れた位置からも視認することができると共に、その動きが止まることでタイマーとしての経過時間をキチント知らしめることができるという優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明の砂時計式の時計玩具においては、天地が非対称に形成されているので、従来の砂時計と違って、こけし型または人形型に形成できるのであり、それによって時計玩具ではあるが室内の装飾品としても利用できるという優れた効果を奏する。
【0017】
さらに、本発明に係る時計玩具においては、流動体の流下によって回転する回転部材が配設され、その回転部材に設けた所要の表示が複数個の数字であり、且つそれに隣接して矢印マークが設けられているので、時計玩具を逆さにして受け部材への流動体の収容量を適宜変更し、流動体をノズルから流下させることによって回転部材が回転して停止した位置において矢印マークが指し示す数字などによって、サイコロ遊びと同じようなゲームが楽しめるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を図示の具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。図1と図2は、第1の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具の基本的な形態を示すものであり、図3と図4は、第2の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を示すものであり、図5は第3の実施の形態に係る時計玩具を示し、図6は第4の実施の形態に係る時計玩具を示し、図7は第5の実施の形態に係る時計玩具を示し、図8は第6の実施の形態に係る時計玩具を示すものである。
【0019】
まず、第1の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具1は、図1および図2に示したように、頭部2、括れ部または首部3と胴体部4とを透明なガラスまたは樹脂材料で一体に形成し、全体を略こけし形状に形成した容器であり、首部(括れ部分)3を境にして天地が対称形状ではない形状で、図2の側面図から明らかなように、扁平な形状に形成したものである。
【0020】
時計玩具1として、頭部3の内部にお椀型の受け部材5が周囲に隙間6を設けて複数箇所においてボス状のブリッジ材7を介して取り付けられ、該受け部材5の底部又は底面には流動体8を流下させるためのノズル5a、5bが傾斜方向を異に(左右に)して下向きに設けてある。この場合に使用される流動体8としては着色した液体が好ましいが、一般的に砂時計に使用されている砂であっても良い。
【0021】
胴体部4の内側には、前後に2個の水車形状の回転部材9、10がそれぞれ個別に回転できるように1本の軸部材11で取り付け配設され、各回転部材9、10の周側面には流動体8を受ける多数の羽根板または仕切板9a、10aが設けられると共に、各表面側となる平面部分には、例えば、周方向に6等分した表示とその6等分した領域に1〜6の数字を表示した表示部12をそれぞれ設けてある。
【0022】
また、これら回転部材9、10の配設については、前記ノズル5aが回転部材9に、ノズル5bが回転部材10にそれぞれ対応させて配設し、両ノズル5a、5bの傾斜方向が異なるため流動体8を流下させることによって回転部材9は時計方向に、回転部材10は反時計方向に回転するようになっている。但し、背面側から見た場合には、上記とは逆に回転部材10が時計方向に、回転部材9が反時計方向に回転するように視認できる。
【0023】
さらに、胴体部4には、底部から起立した状態の矢印マーク部材13が底部中央部に設けられ、回転部材9、10の中心部を指す状態で配設されている。そして、時計玩具1の底部、即ち、胴体部4の下面にはその下面よりも広い板部材14が取り付けられており、該板部材14によって時計玩具1の据置による起立状態が安定する。
【0024】
次に、図3及び図4に示した第2の実施の形態に係る時計玩具について説明する。この第2の実施の形態に係る時計玩具は、前記第1の実施の形態に係る時計玩具とでは、使用する材料はほぼ同じであるが、全体の形状としてこけし型かだるま型かの形状の相違と、流動体を流下させるノズルが2本か1本かの違いと、回転部材の配設状態の違いとそれに伴う矢印マーク部材の数が違うが、理解を容易にするため、共通する部分には共通する符号を付して違う部分については、関連符号を付して説明する。
【0025】
即ち、この第2の実施の形態に係る時計玩具1は、頭部2と首部3と胴部4とからなるだるま型で扁平な形状に形成したものであり、頭部2内には、お椀型の受け部材5が周囲に隙間6を設けて複数箇所においてボス状のブリッジ材7を介して取り付けられている。そして、受け部材5の底面には流動体8を流下させるために1本のノズル5aが略垂直状態に設けられている。
【0026】
表示部12をそれぞれ有する回転部材9、10は、前後方向ではなく横方向に隣接状態で且つ非接触の状態に配設され、それぞれが個別に軸部材11a、11bで回転可能に取り付けられている。また、回転部材9、10に対して矢印マーク13a、13bが底部から起立状態に配設されると共に、胴体部4の下面にはその下面よりも広い板部材14が取り付けられている。なお、この第2の実施の形態に係る「だるま型」の形状に変えて「ひょうたん型」の形状に形成しても各部材の配列においては略同じである。
【0027】
また、図5及び図6に示した第3と第4の実施の形態に係る時計玩具1について説明する。これらの実施の形態は、全体をボトル形状に形成したものであり、お椀型の受け部材の配設位置を変えたもので他の構成部分は前記第1及び第2の実施の形態と実質的に同じであるので、理解を容易にするため同一部分には同一符号を付して説明する。
【0028】
まず、図5に示した第3の実施の形態に係る時計玩具1は、頭部2と首部3と胴部4とからなるボトル形状を呈するものであり、お椀型の受け部材5は頭部2内ではなく首部3の直ぐ下の胴部4内に、上縁周囲に隙間6を開けて且つ複数箇所においてボス状のブリッジ材7を介して取り付けられている。
【0029】
そして、流動体8を流下させるノズル5aは1本を斜めに設けてあり、そのノズル5aからの流動体8を受けて回転する1個の回転部材9を胴部4内に軸部材11を介して回転自在に取り付けられている。その回転部材9の表裏両面には、表示部12が設けられている点については先の実施の形態と同じであり、矢印マーク部材13については、底部から起立状態に設けなくても、例えば、胴部4の表面にプリントによって表示すれば良いのである。また、時計玩具1の底面に板部材14が取り付けられた点も同じである。
【0030】
また、図6に示した第4の実施の形態に係る時計玩具1も、頭部2と首部3と胴部4とからなるボトル形状を呈するものであり、該ボトル形状において頭部2が丸みを有し、胴部4がふっくらと外側に拡がった丸みを有する点で全体形状が前記第3の実施の形態と相違している。
【0031】
この実施の形態においても、お椀型の受け部材5は頭部2内ではなく首部3の直ぐ下の胴部4内に、上縁周囲に隙間6を開けて且つ複数箇所においてボス状のブリッジ材7を介して取り付けられている点では、前記第3の実施の形態に係る時計玩具と同じであるが、胴部4が外側に拡がっていて広くなっているので、2個の回転部材9、10が間隔を開けて取り付けられている点で相違する。
【0032】
即ち、受け部材5のノズル5aは中央部において垂直に垂下するように形成され、その先端部から流下する流動体8が左右に拡がって噴出流下するようにしてあり、その拡がった流動体8によって回転させられるように2個の回転部材9、10が所定の間隔をもって軸部材11a、11bでそれぞれ個別に回転可能に取り付けられている。
【0033】
そして、これら2個の回転部材9、10には表示部12がそれぞれ設けられている点については、先の第2の実施の形態と同様であり、矢印マーク部材13a。13bについては、前記第3の実施の形態と同様に、胴部4の表面にプリントによって表示すれば良いのである。また、時計玩具1の底面に所要大きさの板部材14が取り付けられている点も同じである。
【0034】
さらに、図7と図8に示した第5と第6の実施の形態について説明する。これら実施の形態に係る時計玩具21は、扁平ではなく略円筒状で人形またはこけし型に形成されたものである。そこで、まず図7の第5の実施の形態に係る時計玩具21は、透明なガラス又は樹脂材で頭部22と首部23及び胴部24が一連に一体的に形成され、これらの各部の横断面は円形状である。
【0035】
この第5の実施の形態に係る時計玩具21も、天地が対称的ではなく、頭部22の内部にお椀型の受け部材25が周囲に隙間26を開けて且つ複数箇所においてボス状のブリッジ材27を介して取り付けられている。
【0036】
受け部材25の底部又は底面には流動体28を流下させるための複数本、例えば、3本のノズル25a、25b、25cが3方向にほぼ同じ角度をもって傾斜させて下向きに設けてあり、胴部24の内部に配設されている。
【0037】
これらノズル25a、25b、25cから流下した流動体28によって回転駆動される円盤状の回転部材29が底部に起立させた軸31により平板状に支持されて配設されている。この回転部材29の周縁部には流動体28を受ける多数の羽根板または仕切板29aが同一方向に等間隔をもって斜めに取り付けられており、少なくとも、羽根板または仕切板29aの上面側は開放しており、その開放した部分にノズル25a、25b、25cから流下した流動体28がぶつかるようになっている。なお、羽根板または仕切板29aについては、複数枚毎、例えば5枚毎にコントラストの強い着色を施してある。また、時計玩具21の底面には衝撃緩衝用の板部材34が取り付けてある。
【0038】
図8に示した第6の実施の形態に係る時計玩具21も、天地が対称的ではなく、前記第5の実施の形態と同様に透明なガラス又は樹脂材で頭部22と首部23及び胴部24が一連に一体的に形成され、これらの各部の横断面は円形状である。
【0039】
また、前記第5の実施の形態の時計玩具21と違う点は、首部23の直下において胴部24の内部上方にお椀型の受け部材25が周囲に隙間26を開けて且つ複数箇所においてボス状のブリッジ材27を介して取り付けられている点である。
【0040】
そして、受け部材25の底部又は底面には流動体28を流下させるための複数本、例えば、4本のノズル25a、25b、25c、25dが4方向にほぼ同じ角度配分で配設し且つ湾曲させて下向きに設けてある。
【0041】
これらノズル25a、25b、25c、25dから流下した流動体28によって回転駆動される回転部材29が底部から起立した軸31により平板状に支持されて配設されている。この回転部材29の周縁部には流動体28を受ける多数の羽根板または仕切板29aが同一方向に等間隔をもって斜めに取り付けられており、少なくとも、羽根板または仕切板29aの上面側は開放しており、その開放した部分にノズル25a、25b、25c、25dから流下した流動体28がぶつかるようになっている。なお、羽根板または仕切板29aについては前記実施の形態と同様に、複数枚毎にコントラストの強い着色を施すと共に、時計玩具21の底面には緩衝用の板部材34が取り付けてある。
【0042】
上記構成を有する各実施の形態の時計玩具において、その動作について代表して第1の実施の形態に係る時計玩具1を取り上げて説明し、他の実施の形態については、要部のみを説明する。
【0043】
第1の実施の形態に係る時計玩具1については、こけし形状であることから室内の装飾品にもなるし、砂時計式に使用する時には、時計玩具1を一度逆さにして流動体8を頭部2側に流動させて移し、元の起立状態に戻して使用する。時計玩具1を逆さにすると、受け部材5と頭部2の内壁との間の間隙6によって流動体8は速やかに(1秒程度)頭部2内に流入し、これを元の起立状態に戻すと、頭部2内に流入した流動体8が受け部材5内に貯められ、ノズル5a、5bから流下するのであり、受け部材5内の流動体8が流下終了する時間をもって時計として機能するのである。
【0044】
時計玩具1を逆さにした場合に、受け部材5と頭部2の内壁との間隙6は、受け部材5の周面に沿って存在しているので、流動体8の頭部2内への流入は1秒足らずのアッという間に遂行されるのであり、それを元の起立状態に戻せばほとんどの流動体8が受け部材5内に貯められ、狭い通路のノズル5a、5bから時間を掛けて流下するのである。
【0045】
なお、時計玩具1の内部に封入される流動体8は、受け部材5の容積の1.1〜1.5倍程度の量、即ち受け部材5で受けられる全量を少なくとも10%越える程度の量にすれば良いのであり、時計玩具1を逆さにして元の起立状態に戻した時に受け部材5に入りきれない流動体8は、受け部材5の周縁部から溢出して胴部4側に直ちに戻るのであり、受け部材5の容積とノズル5a、5bからの流下速度が、要するに、時計としての時間設定の基本になるのであり、受け部材5内の流動体8が全部流下するまでの時間を例えば、3分とか5分とかになるように形成し、流動体8が流下している間は回転部材9、10が回転(動いている)しているので、その回転(動き)が止まった時にタイマーとしての時間経過の終了が目視により簡単に解るのである。
【0046】
玩具またはゲームとして使用する場合に、例えば、二人でゲームする時に、どちらが表側でどちらが裏側かを決めてスタートする。そして、前記と同様に時計玩具1を一度逆さにして元の起立状態に戻して、受け部材5に収容した流動体8をノズル5a、5bから流下させることによって回転部材9、10を回転させ、流動体8の流下がなくなって回転部材9、10が停止したところで、矢印マーク部材13が指し示している表側と裏側の表示部12の数字の大小で勝ち負けを決めたり、または複数回の試技で指し示された数字を加算したりして楽しむことができる。
【0047】
このようなゲームの場合に、時計玩具1の逆さまにする時間を短くすることで、頭部2側に流入する流動体8の量を少なくし、受け部材5に収容される量を、例えば、1/3とか1/4程度にすることで、1回の試技が短くなって遊びのテンポを早めることができるし、時計玩具1を逆さにして流動体8を頭部2側に戻したり元の起立状態に戻したりする時に、流動する一部の流動体8が回転部材9、10に接触したりすると共に、両ノズル5a、5bからの流下量も一定であるとは限らないので、ゲームのスタート位置と停止位置における表示部12の数字の位置が全く予測できないのであり、それによってゲームの面白さが醸し出されるのである。
【0048】
次に、第2の実施の形態に係る時計玩具1について、砂時計式の時計として使用する場合は、前記第1の実施の形態で説明したように、時計玩具1を逆さにして流動体8を頭部2側の受け部材5に満杯に収容させ、起立状態に戻してノズル5aから流下させることによりタイマーとして使用するのであり、回転部材9、10の回転(動き)が止まった時にタイマーとしての時間経過の終了が離れた位置でも目視により簡単に解るのである。
【0049】
また、ゲームとして使用する場合には、例えば、二人でゲームをする場合に、お互いに時計玩具1の表又は裏の位置において、回転部材9、10を見ることができるので、お互いがそれぞれ左側の回転部材が自己のもので右側の回転部材が相手のものであることを予め定めてからゲームを開始する。この場合も、前記第1の実施の形態で説明したように、時計玩具1の逆さまにする時間を短くして受け部材5内への流動体8の収容量を少なくして遊びのテンポを速めることができ、しかも、一方の面側から両方の回転部材9、10が視認できること、ノズル5aから流下する流動体8が回転部材9、10に均等に接触するとは限らないので、非接触状態にある回転部材9、10の回転速度はそれぞれ異なるようになり、矢印マーク部材13が指し示す表示部12の数字を予測することは極めて困難であるので、ゲーム性に優れているのである。
【0050】
さらに、図5と図6に示した第3及び第4の実施の形態においては、括れ部となる首部3よりも下方の胴部4側に受け部材5が設けられたものであり、時計玩具1を逆さにして流動体8を頭部2内に流入させた後に、元の起立状態に戻すと頭部2内の流動体8はほとんどが受け部材5内に入った後に、余剰の流動体8は受け部材5の縁から溢出するようにるのであり、受け部材5内に収納された満タンの流動体8はノズル5aから時間を掛けて流下するのである。
【0051】
ところで、第3の実施の形態においては、時計玩具1内に一つの回転部材9しか配設されていないが、タイマーとしての使用時には、回転部材9の回転動作及び回転停止の状態が離れた位置からでも視認できるし、ゲーム用として使用する場合には、複数人が交互に時計玩具1を逆さにして元に戻す動作を繰り返し行って数字の大小で遊ぶことができるのである。
【0052】
また、図6に示した第4の実施の形態においては、時計玩具1内に二つの回転部材9、10か配設されているが、タイマーとしての使用する場合には、ノズル5aから流下する流動体8が有る内と無くなった時とによって回転部材9、10の回転動作及び回転停止の状態を離れた位置からでも視認できることで、タイマー機能が発揮される。
【0053】
そして、ゲームとして使用する場合には、前記第2の実施の形態で説明した事項と大差は無いが、ノズル5aから噴出流下する流動体8が必ずしも左右に均等に噴出する訳ではないので、回転部材9、10の回転速度に差があって、停止する状況(時間遅れなど)も両者が違うのでゲーム性や面白さがより向上する。
【0054】
次に、図7と図8に示した第5及び第6の実施の形態においては、全体が扁平状ではなく各部の横断面が円形状に形成されているので、動きのある円盤状の回転部材29が胴部24内において、底部から起立した軸31によって回転自在に支持されており、回転部材29の周縁部に設けた羽根板または仕切板29aに複数のノズル25a、25b…から流下した流動体28が作用することによって、回転部材29が回転の動きをし、例えば、羽根板または仕切板29aが5枚毎に黄色と赤または白と青などのコントラストの強い着色をしてあれば、離れた位置から回転部材29が回転しているか停止しているかが目視により容易に視認できるのであり、タイマーとしてもまた動きのあるおもちゃとしても興味をそそるようになるのである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
いずれにしても本発明に係る砂時計式の時計玩具は、透明なガラスまたは樹脂材により頭部と首部または括れ部と胴部とを一連に形成した天地が非対称の容器と、該容器内の首部または括れ部を境にして上部の頭部または下部の胴部内に、周囲に所要の間隙をもって配設したノズル付の椀型形状の受け部材と、前記ノズルの先端が臨む位置に回転可能に配設し、周方向に複数等分して所要の表示を設けた少なくとも1個の回転部材と、該容器内に収納した前記受け部材の容量を少なくとも10%を超える量の流動体とからなる構成としたものであり、時計玩具を逆さにすることによって流動体が頭部側に速やかに移動または流動し、時計玩具を元の設置位置に戻すと、頭部側の流動体が受け部材に必然的に収容されノズルから流下して回転部材を回転させるので、その回転が動きとして離れた位置からも視認することができると共に、その動きが止まることでタイマーとしての経過時間をキチント知らしめることができると共に、天地が非対称に形成されているので、従来の砂時計と違って、こけし型または人形型に形成できるのであり、それによって時計玩具ではあるが室内の装飾品としても利用でき、さらに、流動体の流下によって回転する回転部材が配設され、その回転部材に設けた所要の表示が複数個の数字であり、且つそれに隣接して矢印マークが設けられているので、時計玩具を逆さにして受け部材への流動体の収容量を適宜変更し、流動体をノズルから流下させることによって回転部材が回転して停止した位置において矢印マークが指し示す数字などによって、サイコロ遊びと同じようなゲームが楽しめるのであり、砂時計またはゲーム用の砂時計玩具として広い範囲で有用に利用することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【図2】同実施の形態に係る時計玩具を略示的に示した側面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【図4】同実施の形態に係る時計玩具を略示的に示した側面図である。
【図5】本発明に係る第3の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【図6】本発明に係る第4の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【図7】本発明に係る第5の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【図8】本発明に係る第6の実施の形態に係る砂時計式の時計玩具を略示的に示した正面図である。
【符号の説明】
【0057】
1、21 時計玩具
2、22 頭部
3、23 括れ部または首部
4、24 胴部
5、25 受け部材
5a、5b、25a、25b、25c、25d ノズル
6、26 隙間
7、27 ブリッジ材
8、28 流動体
9、10、29 回転部材
9a、10a、29a 羽根板または仕切板
11、11a、11b 回転軸
12 表示部
13、13a、13b 矢印マーク部材
14,34 板部材
31 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なガラスまたは樹脂材により頭部と首部または括れ部と胴部とを一連に形成した天地が非対称の容器と、
該容器内の首部または括れ部を境にして上部の頭部または下部の胴部内に、周囲に所要の間隙をもって配設したノズル付の椀型形状の受け部材と、
前記ノズルの先端が臨む位置に回転可能に配設し、周方向に複数等分して所要の表示を設けた少なくとも1個の回転部材と、
該容器内に収納した前記受け部材の容量を少なくとも10%を超える量の流動体とからなること
を特徴とする砂時計式の時計玩具。
【請求項2】
前記非対称の容器は、全体形状が扁平な形状または横断面が円形であること
を特徴とする請求項1に記載の砂時計式の時計玩具。
【請求項3】
前記流動体は液体または粒状体であって着色してあること
を特徴とする請求項1に記載の砂時計式の時計玩具。
【請求項4】
前記回転部材に設けた所要の表示は、複数個の数字であること
を特徴とする請求項1に記載の砂時計式の時計玩具。
【請求項5】
前記胴部には前記回転部材と隣接する状態で矢印マークが設けられていること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の砂時計式の時計玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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