説明

砂質地盤を振動締め固める装置

【課題】砂質地盤を振動締め固める装置であって、ロッドコンパクション工法による砂質地盤の改良範囲を広範囲、且つ、同時に実行して、工事費の低減化を可能にする。
【解決手段】略ボックス型に形成され、下面に複数のロッド18が相互に一定間隔で垂直に固設され、上面中心部にバイブロハンマー17が固設されたロッド取付用ビーム16を有し、更に、該バイブロハンマー17をクローラクレーン10の主巻きワイヤー14に連結し、ロッド取付用ビーム16並びに前記ロッド18と一体的に上下動できるように構成され、各ロッド18間を一定間隔に維持して該ロッド18の上下動を許容するボックス型の金属製保持体19を設け、該保持体19に設けた前記各ロッド18の遊挿孔19aに各ロッド18を遊嵌し、且つ、該保持体19をクローラクレーン10の補巻ワイヤー15に連結した砂質地盤を振動締め固める装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は砂質地盤を振動締め固める装置(以下、「ロッドコンパクション装置」といい、その工法を「ロッドコンパクション工法」という。)に関するものであり、特に、複数の鋼管製のロッド又はH鋼(以下、双方を称して単に「ロッド」という。)を用いたロッドコンパクション工法の施工中において、各ロッドの鉛直性及びロッド相互間の一定の間隔を保持することができ、且つ、均一で効率的な砂質地盤の改良が実行できるようにしたロッドコンパクション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロッドコンパクション装置を図16及び図17に従って説明し、更に、一般的ロッドコンパクション工法を図18及び図19に従って説明する。
【0003】
図16は従来の単軸ロッドから成るロッドコンパクション装置の全景を示す側面図であり、図17は同正面図である。一般的にロッドコンパクション工法は、バイブロハンマーによって振動をロッドを介して地盤に伝達し、砂質地盤の締め固めを実施する工法である。適用土質としては、ロッドコンパクション工法が基本的には砂質地盤の振動締め固め工法であることから、振動によって容易に締め固められる砂質地盤を対象とし、一般に粒径74μ以下で含有率35%以下の砂質地盤に適用される。
【0004】
又、ロッドコンパクション工法の使用目的は、緩い砂質地盤の液状化防止、支持力増大及び沈下の低減一定であり、建物、道路、タンク等の各種構造物の基礎、護岸、擁壁などの裏込め部の締め固めに用いられる。
【0005】
以下、従来の単軸ロッドコンパクション工法に用いられる装置1を前記図16及び図17に従って説明する。同図において、ロッドコンパクション装置1は、クローラクレーン2と、該クローラクレーン2のリーダ3に、上面にバイブロハンマー4及び下面に単軸ロッド5を固設した架台6を昇降自在に取付け、且つ、該単軸ロッド5を改良しようとする砂質地盤Gに該リーダ3に沿って鉛直に打込み及び引抜きながら、前記バイブロハンマー4の振動を該単軸ロッド5を介し、砂質地盤Gに伝達させて該砂質地盤Gの締め固めを実行するものである。
【0006】
次に、ロッドコンパクション工法の一般的手順を図18及び図19に従って説明する。図18(a)に示すように、単軸ロッド5を改良しようとする砂質地盤G上面にセットする。次に、同図(b)に示すように該単軸ロッド5をバイブロハンマー4の振動により前記砂質地盤Gに改良規定深度に到達するまで打込み、次に同図(c)に示すように改良規定深度に達した後、該単軸ロッド5を予め算出された規定量Um引抜き、更に、同図(d)に示すように、予め算出された規定量Dm打込む。
【0007】
斯くの如く、単軸ロッド5の打込み、引抜き動作を反覆しながら(同図(e)乃至(f)参照)該単軸ロッド5を介して伝達されるバイブロハンマー4の振動及び該単軸ロッド5の打込み時の突き固め動作で改良しようとする砂質地盤Gを締固める。又、該締固め動作によって該砂質地盤Gの表層が沈下するので、この部分には同図(g)に示すように補給砂を充填しながらロッドコンパクション工法を施工することにより砂質地盤Gの締固めが行われて改良地盤を完成させるのである。
【0008】
尚、前記単軸ロッド5の引抜き規定量Um及び打戻し規定量Dmは原砂質地盤Gの砂相互間の間隙比N値と締固めた後の改良地盤の設計値N′値により求められ、総突き固め長
h並びに打設ピッチdを決定してロッドコンパクション工法を施工するのである。図19は改良深度10mのロッドコンパクション工法におけるロッド先端軌跡模式の一例を示す。本例では引抜き規定量U=3.0m、打戻し規定量D=2.0mとして施工している。又、表層から2m深度における改良については、引抜き長に対して2/3以上の比率を打戻す事を原則としてロッドコンパクション工法を施工している。
【0009】
而して、上記一般のロッドコンパクション工法による締固め効果は主として前記単軸ロッド5の振動によって砂質地盤の締固めを実行するものであるから、バイブロハンマー4による振動の伝達が該単軸ロッド5の周辺に限られる。然るときは、締固めて改良された改良柱の直径が小さく、依って、広域に及んで地盤を改良しようとすると、小ピッチで施工を繰り返さなければならなくなり、斯くして、工事費が嵩むと云う問題が生じる。
【0010】
そこで、鋼管から成るロッド本体と、該ロッド本体の外径と同等かそれより大径をなす先端ブロックとを同軸上に離間して配置するとともに、前記ロッド本体の先端部と前記先端ブロックとを該ロッド本体よりも剛性の小さい連結手段により連結して成るロッドコンパクション工法に用いるロッドが提案されている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−83080号公報(特許請求の範囲「請求項1」及び「図1」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1記載のロッドコンパクション装置のロッドも、一般のロッドと同様に結果として単軸ロッドであるから、該特許文献1記載のロッドの縦振動と横振動に基づく締固めによって改良柱を形成するとしても、その振動幅は当然該単軸ロッド周辺に限られることになり、上記従来例の有する欠陥を効果的に解消し得るまでには至らない。
【0012】
そこで、ロッドコンパクション装置であって、ロッドコンパクション工法による砂質地盤の改良範囲を可及的に広範囲、且つ、同時に実行して小ピッチ施工の反覆操作を少なくし、工事費の低減化を可能にするために解決せられるべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案せられたものであり、請求項1記載の発明はロッドコンパクション装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したロッドコンパクション装置を提供するものである。
【0014】
この構成によれば、複数のロッドが相互に一定間隔を有してロッド取付用ビームに取付けられているので、バイブロハンマーの振動は複数のロッド振動の相剰作用が働き、ロッド間及びその外側周辺に及んで砂質地盤へ前記振動が伝達される。
【0015】
又、ボックス型の金属製保持体に一定間隔で遊挿された各ロッドは常時一定間隔を維持して砂質地盤への打設、引抜き動作が行われる。
【0016】
請求項2記載の発明はロッドコンパクション装置であって、該装置は略ボックス型に形
成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、更に、前記ロッド取付用ビームの上下動をガイドする門型ガイドフレームを該ロッド取付用ビームの両側に対峙して設け、且つ、該門型ガイドフレームの脚部下端部近傍に前記ボックス型の金属製保持体を固設し、該門型ガイドフレームの上枠をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したロッドコンパクション装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、上記請求項1記載の発明による作用の外、バイブロハンマー及び各ロッドを取付けたロッド取付用ビームの両側が門型ガイドフレームによってガイドされるので、たとえ前記保持体がロッドの打設、引抜動作時に垂直維持性が不足しても、該門型ガイドフレームによって各ロッドは常に垂直性を維持して砂質地盤への打設、引抜き動作が行われる。
【0018】
請求項3記載の発明は、ロッドコンパクション装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をアームを介してクローラクレーンの上部旋回体に取外し自在にすると共に、該金属製保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したロッドコンパクション装置を提供するものである。
【0019】
この構成によれば、上記請求項1記載の発明による作用の外、該保持体はロッドの垂直打設、引抜きを維持し得るに足る十分な重量を有していないとしても、該保持体はアームを介してクローラクレーンの上部旋回体に連結されているので、該保持体の設置位置は所定位置に固定されることになり、依って、各ロッドの砂質地盤に対する打設、引抜き方向が常に垂直に維持される。
【0020】
請求項4記載の発明はロッドコンパクション装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結すると共に、該保持体上面中心部にバイブロタンパーを取付けたロッドコンパクション装置を提供するものである。
【0021】
この構成によれば、上記請求項1記載の発明による作用の外、保持体上にバイブロタンパーが取付けられているので、ロッドコンパクション工法施工後において砂質地盤の表層部が前記バイブロタンパーの起振によって締固められる。
【0022】
請求項5記載の発明は、上記保持体は自重によってロッドの上下動方向を垂直に保持できるように構成されたロッドコンパクション装置を提供するものである。
【0023】
この構成によれば、請求項1又は4記載の発明に用いられている保持体が、各ロッドが砂質地盤へ垂直に打設又は引抜かれることを可能にし得るに足る十分な重量を有しているので、各ロッドは該砂質地盤に対して常に垂直に打設又は引抜かれてロッドコンパクション工法が実行される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明は、複数のロッドがロッド取付用ビームの下面に夫々一定の間隔を有して取付けられているので、ロッドコンパクション工法による砂質地盤に対する締固めエリアが増大すると共に、各ロッドは各ロッドの前記一定の間隔を維持して砂質地盤へ打設又は引抜き動作が保障されるようにボックス型の金属製保持体に前記一定の間隔を有して該保持体に設けられている遊挿孔に遊挿されているので、各ロッドの前記打設及び引抜き動作時における一定間隔が常に維持される。斯くして、ロッドが砂質地盤に打込まれるとき及び引抜き時に生じる曲げモーメントによる撓みが生じることはなく、複数の単軸ロッドによるロッドコンパクション工法を精度良く施工することが可能となる。
【0025】
又、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明のロッド取付用ビームの両側がガイドされて上下動できるように門型ガイドフレームが設けられており、且つ、該門型ガイドフレームの下部を前記保持体に固設してクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結しているので、各ロッドは請求項1記載の発明の効果に加え、各ロッドが一定の間隔を有しながら鉛直に上下動することが可能となるため、該ロッドの振動の相互作用に基づく砂質地盤の締固めをより一層高精度に達成することが可能となる。
【0026】
請求項3記載の発明は、保持体をアームを介してクローラクレーンの上部旋回体に取付けているので保持体の位置が固定し、不慮揺動することがない。斯くして、ロッドの砂質地盤に対する打込み及び引抜き動作時において常にロッド相互間の所定間隔及び鉛直性を維持しながらロッドコンパクション工法を精度良く実行することが可能となる。
【0027】
請求項4記載の発明は、保持体上面中心部にバイブロタンパーを取付けたので、ロッドコンパクション工法施工後、表層部を前記バイブロタンパーを起動させてタンパー工を施工できる。斯くして、ロッドコンパクション工法から引き続き前記タンパー工を同時に実行できるので、別途機械を用いてタンパー工を施工するものに比し、位置セット及び移動時間が省略でき、依って、工期の短縮及び組立解体費用の低減等が可能となる。又、タンパー工施工時においては、各ロッドがタンパーの門型ガイドフレームとして作用するので、タンパー工施工時に問題となる横ずれが防止でき、効率良くタンパーによる締固めが実施されることが可能となる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の保持体が各ロッドの上下動方向を垂直に保持できるに足る十分な重量を有するように構成されているので、請求項2記載の発明の門型ガイドフレームを有しなくても、各ロッドは相互に一定間隔を有し、且つ、砂質地盤に対して鉛直方向へ正確に打込み及び引抜き動作が実行されるので、ロッドコンパクション工法において請求項1記載の発明の効果に加え、より一層の精度良好な砂質地盤を広範囲に、且つ、同時に施工することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
ロッドコンパクション工法による砂質地盤の改良範囲を可及的に広範囲にし、且つ、同時に実行して小ピッチ施工の反覆操作を少なくし、工事費の低減化を可能にすると云う目的を達成するためにロッドコンパクション装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハ
ンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したことを特徴とするロッドコンパクション装置を提供することによって実現した。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を図1乃至図15に従って詳述する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す側面図であり、図2は同正面図、図3は要部の側面図である。図において、符号10はロッドコンパクション工法に用いられるクローラクレーンであり、該クローラクレーン10は下部走行体11と、該下部走行体11上に旋回自在に搭載されている上部旋回体12と、該上部旋回体12の前部(図1において右端部)に俯仰自在に枢着されているブーム13とから成る。該ブーム13には主巻ワイヤー14と補巻ワイヤー15が各ジャッキー(図示略)に連結されている。
【0031】
図1乃至図3に示す実施例は平面略方形に形成されたロッド取付用ビーム16上にバイブロハンマー17を固結すると共に、下面に2本のロッド18,18が夫々一定間隔で固結されている。即ち、該ロッド18,18は該ロッド取付用ビーム16の両端部近傍に配設することにより各ロッド18,18は相互に一定間隔を有して前記ロッド取付用ビーム16に固結されることができる。該ロッド18は鋼管製のロッド又はH鋼から成る。
【0032】
而して、本発明にかかる各ロッド18,18は各ロッド18,18がロッドコンパクション工法により改良しようとする砂質地盤Gに打込まれるとき、及び引抜かれるとき各ロッド18,18相互間の一定間隔を維持し、且つ、垂直方向に前記打込み、引抜き動作が実行されるべくブロック状であって、且つ、略方形の保持体19が設けられ、該保持体19の両端部近傍に各ロッド18,18の遊挿孔19a,19aを開穿し、各遊挿孔19a,19aに前記対応する各ロッド18,18を遊挿することにより、各ロッド18,18は相互に一定間隔を維持しながら垂直方向へ打込まれ及び引抜かれることになる。
【0033】
尚、本実施例の場合は、ロッド18は2本に限定せられるものではなく、前記保持体19を略正方形に形成し、該保持体19の四隅近傍に四本のロッド18,18,18,18を固設して用いることもでき、この場合はより広範囲のロッドコンパクション工法が施工できる。
【0034】
而して、該保持体19は前記各ロッド18,18を遊嵌するとともに、少なくとも両端部が門型ガイドフレーム20の対峙する双方の脚部20a,20aの下端部近傍に固設されて該門型ガイドフレーム20と一体に構成されている。尚、前記脚部20a,20aの下端部20b,20bは該保持体19の下面から突設されている。又、該門型ガイドフレーム20の上枠20cは前記補巻ワイヤー15に連結され、前記バイブロハンマー17は前記主巻ワイヤー14に連結されて個々に上下動できるように構成されている。
【0035】
又、該門型ガイドフレーム20の前記双方の脚部20a,20aには前記ロッド取付用ビーム16の両側縁部が係止されて該ロッド取付用ビーム16が門型ガイドフレーム20にガイドされて鉛直に上下動可能に構成されている。斯くして、この実施例のロッドコンパクション部Aが構成される。
【0036】
而して、該ロッドコンパクション部Aを改良しようとする砂質地盤G上にセットする際は、図1に示すように先ず、クローラクレーン10によって該ロッドコンパクション部Aを前記目的地点に配置し、そして、図2に示すように前記門型ガイドフレーム20の下端
部20b,20bを地盤表層部へ突入させて該門型ガイドフレーム20を該砂質地盤G上に垂直に固定し、然る後、図3に示すように前記主巻ワイヤー14の作動により前記ロッド取付用ビーム16を前記門型ガイドフレーム20にてガイドされながら垂直方向に上下動できるように形成されている。このとき、該門型ガイドフレーム20がロッド18,18の前記砂質地盤Gへの貫入時に伴う共下がりを防止するために、クローラクレーン10の補巻ワイヤー15にて吊下する。
【0037】
尚、ロッドコンパクション工法による施工は、従来例でも説明しているが、本発明によるロッドコンパクション工法による施工は図11乃至図16に基づいて後述する。
【0038】
図4及び図5は第2の実施例を示し、図4は側面図、図5はキャッチホーク21の平面図である。而して、該キャッチホーク21は前記保持体19と同様に各ロッド18を遊嵌して各ロッド18相互の一定の間隔を保持できるように構成されて成るものである。而して、この実施例と前記図1〜図3に示す実施例との相違点は該キャッチホーク21は四本のロッド18,18,18,18を採択し、そして、該四本のロッド18,18,18,18を一定間隔に維持すべく各ロッド18,18,18,18の遊挿孔19a,19a,19a,19aを設けている点、及び前記門型ガイドフレーム20がない点、並びに、前記第1の実施例の保持体19に対応するキャッチホーク21の後端部をアーム22を介してクローラクレーン10の上部旋回体12に連結して、この実施例のロッドコンパクション部Bを構成している点である。
【0039】
そこで、該ロッドコンパクション部Bを改良しようとする砂質地盤上にセットしたときは、該キャッチホーク21の位置が固定されるので、各ロッド18,18,18,18は前記実施例と同様に夫々相互に一定間隔を維持して垂直に上下動できるように構成されている。
【0040】
図6及び図7は、更に本発明の第3の実施例を示し、図6はその側面図、図7(a)は前記保持体19及びキャッチホーク21に対応するキーパー23の平面図、同図(b)は同側面図である。
【0041】
この実施例が前記第1及び第2の実施例と相違する点は、前記門型ガイドフレーム20を有しない点及びキーパー23が前記アーム22によってクローラクレーン10の上部旋回体12に連結されていない点である。そこで、この第3の実施例のロッドコンパクション部Cにおける前記キーパー23は、略正方形状の金属製の重量物で構成され、且つ、四隅近傍にロッド18,18,18,18の遊挿孔19a,19a,19a,19aが設けられて、各ロッド18,18,18,18が夫々遊嵌されている。而して、該キーパー23の自重によって該キーパー23に夫々遊嵌されるロッド18,18,18,18が相互に一定の距離を維持すると共に、垂直方向の上下動を許容するに足る十分な重量物によって構成されている。
【0042】
而して、該キーパー23は前述したように、略正方形状に形成された金属製重量物から成り、中間部は桁状に形成されているが之に限定せられるべきではない。又、該キーパー23の四隅近傍にロッド18,18,18,18の夫々の遊挿孔を形成するパイプ23a,23a,23a,23aが固設され、該パイプ23a,23a,23a,23aに夫々対応する各ロッド18,18,18,18が遊嵌され、該パイプ23a,23a,23a,23aを介して各ロッド18,18,18,18が相互に一定間隔を有して垂直に上下動できるように構成されている。
【0043】
図8乃至図10は更に、本発明の第4の実施例を示し、図8及び図9はその側面図、図10は前記キーパー23の中心部にバイブロタンパー24を搭載した状態を示す平面図で
ある。
【0044】
而して、本実施例のロッドコンパクション部Dは前述したように、前記第3の実施例のロッドコンパクション部Cにおけるキーパー23の中心部にバイブロタンパー24を固結し、之をクローラクレーン10の補巻ワイヤー15に連結した点が第3の実施例のロッドコンパクション部Cと異なり、その余は第3の実施例のロッドコンパクション部Cと全く同一である。
【0045】
以下、本発明を用いてロッドコンパクション工法の手順を図11乃至図15に基づいて説明する。尚、ここでは本発明の第1乃至第4の各実施例にて示されたロッドコンパクション部A,B,C,Dのうち、門型ガイドフレーム20を用いた第1の実施例についてのロッドコンパクション部Aによるロッドコンパクション工法の手順を説明するが、他の実施例についてのロッドコンパクション部B,C,Dを用いた場合であっても手順は同様であるから、之等ロッドコンパクション部B,C,Dによるロッドコンパクション工法の手順は省略するものとする。
【0046】
ア:打設準備(図11)
ロッドコンパクション部Aを、クローラクレーン10によって改良しようとする砂質地盤Gに誘導してセットする。このセットに際して、先ず門型ガイドフレーム20をクローラクレーン10の駆動により下降させて該門型ガイドフレーム20の双方の脚部20a,20aの下端部20b,20bを砂質地盤Gの表層部へ垂直に打入させて保持体19の位置を固定させる。尚、第2の実施例の場合は前記門型ガイドフレームに代えてキャッチホーク21をアーム22を介してクローラクレーン10の上部旋回体12に固定しているので、セットされた該キャッチホーク21の位置は固定される。又、第3及び第4実施例の場合は、キーパー23の自重によって該キーパー23のセット位置が固定される。
【0047】
斯くの如く、実施例1のロッドコンパクション部Aの門型ガイドフレーム20の双方の脚部20a,20aの下端部20b,20bが砂質地盤G内に貫入し固定されたときは、クローラクレーン10の補巻ワイヤー15を巻き上げてロッド18を貫入するとき、共下がりを阻止できる状態まで門型ガイドフレーム20を吊設しておく。
【0048】
イ:ロッド貫入(図12)
バイブロハンマー17を起動させ、ロッド18を規定深度まで貫入させる。該ロッド18の貫入に伴い、砂質地盤Gが沈下するのでトラクタショベル26を用いて補給砂P,P…を該沈下地点に投入する。
【0049】
ウ:ロッド引抜き(図13)
バイブロハンマー17を起動させたまま、ロッド18を引抜き規定量Um引抜く。このときも砂質地盤Gはバイブロハンマー17の起動によってロッド18に伝達された振動により徐々に締固められる。
【0050】
エ:打戻し(図14)
バイブロハンマー17を起動させたままロッド18を打戻し規定量Dmまで打戻す。このとき、ロッド18の先端部で砂質地盤Gを突固め、同時に該ロッド18の前記振動との相剰作用によって該砂質地盤Gが締固められる。
【0051】
打戻しに伴い砂質地盤Gの表層が沈下するのでトラクタショベル26を用いて前記補給砂P,P…を該沈下部分に充填しながら、前記ロッド引抜き及び該打戻し工程を繰り返し、規定地盤(天端)に至るまで該砂質地盤Gの締固めを行う。
【0052】
オ:バイブロタンパー工(図15)
ロッドコンパクション工法は、表層2m程度の締固めが不充分となり易いので、前記ロッド18を取り外してタンパー用プレート25に変更し、或いは、ロッド取付用ビーム16の底面のままで、バイブロタンパー24を用いてバイブロタンパー工を実行し、前記表層2mの締固めを行い、斯くして、規定深度から表層に至るまでの砂質地盤Gの締固めが実行される。
【0053】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、その全景の側面図。
【図2】本発明の第1実施例のロッドコンパクション部を砂質地盤上にセットした状態を示す正面図。
【図3】図2の状態からロッドを砂質地盤に規定深度に達するまで貫入した状態を示す正面図。
【図4】本発明の第2の実施例を示し、その全景の側面図。
【図5】前記第2の実施例に用いられるキャッチホークの平面図。
【図6】本発明の第3の実施例を示し、その全景の側面図。
【図7】(a):前記第3の実施例に用いられるキーパーの平面図。 (b):(a)の側面図。
【図8】本発明のタンパー併用型の第4実施例を示し、その全景の側面図。
【図9】図8のタンパー併用型の第4実施例を砂質地盤へセットした状態を示す側面図。
【図10】図8及び図9の実施例に用いられるバイブロタンパーを設置した状態を示す平面図。
【図11】本発明を用いてロッドコンパクション工法を施工する手順であって、その打設準備の状態を示す側面図。
【図12】図11の状態からロッドを砂質地盤の規定深度に到達するまで貫入した状態を示す側面図。
【図13】図12の状態からロッドを規定量引抜いた状態を示す側面図。
【図14】図13の状態からロッドを規定量だけ打戻した状態を示す側面図。
【図15】図14の状態から表層部を締固めるためのバイブロハンマー工を実施している状態を示す側面図。
【図16】従来のロッドコンパクション工法に用いられる装置を示し、その側面図。
【図17】図16の正面図。
【図18】(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g):一般のロッドコンパクション工法の手順を示す解説図。
【図19】一般のロッドコンパクション工法におけるロッド先端軌跡模式の一例を示す解説図。
【符号の説明】
【0055】
10 クローラクレーン
11 下部走行体
12 上部旋回体
13 ブーム
14 主巻きワイヤー
15 補巻ワイヤー
16 ロッド取付用ビーム
17 バイブロハンマー
18 ロッド
19 保持体
19a 遊挿孔
20 門型ガイドフレーム
20a 脚部
20b 下端部
20c 上枠
21 キャッチホーク
22 アーム
23 キーパー
24 バイブロタンパー
25 タンパー用プレート
26 トラクタショベル
A,B,C,D ロッドコンパクション部
P 補給砂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂質地盤を振動締め固める装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したことを特徴とする砂質地盤を振動締め固める装置。
【請求項2】
砂質地盤を振動締め固める装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、更に、前記ロッド取付用ビームの上下動をガイドする門型ガイドフレームを該ロッド取付用ビームの両側に対峙して設け、且つ、該門型ガイドフレームの脚部下端部近傍に前記ボックス型の金属製保持体を固設し、該門型ガイドフレームの上枠をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したことを特徴とする砂質地盤を振動締め固める装置。
【請求項3】
砂質地盤を振動締め固める装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をアームを介してクローラクレーンの上部旋回体に取外し自在に連結すると共に、該金属製保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結したことを特徴とする砂質地盤を振動締め固める装置。
【請求項4】
砂質地盤を振動締め固める装置であって、該装置は略ボックス型に形成され、下面に複数のロッドが相互に一定間隔で垂直に固設されたロッド取付用ビームを有し、該ロッド取付用ビーム上面中心部にバイブロハンマーが固設され、更に、該バイブロハンマーをクローラクレーンの主巻きワイヤーに連結して、該バイブロハンマー及びロッド取付用ビーム並びに前記ロッドが同時に上下動できるように構成されると共に、各ロッド間を一定間隔に維持して該ロッドの上下動を許容するボックス型の金属製保持体を設け、該保持体に設けた前記各ロッドの遊挿孔に各ロッドを遊嵌し、且つ、該保持体をクローラクレーンの補巻ワイヤーに連結すると共に、該保持体上面中心部にバイブロタンパーを取付けたことを特徴とする砂質地盤を振動締め固める装置。
【請求項5】
上記保持体は自重によってロッドの上下動方向を垂直に保持できるように構成されたことを特徴とする請求項1又は4記載の砂質地盤を振動締め固める装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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