説明

砂除去装置、及び砂除去方法

【課題】排出物に含まれる液体成分の量が少ない砂除去装置を提供する。
【解決手段】本発明の砂除去装置は、砂と有機物とを含む処理対象物51に対して遠心分級を行うことにより、処理対象物51を、混濁物が少ない除砂液52と混濁物が多い濃厚処理液53とに分離する液体サイクロン19と、濃厚処理液53に対して沈殿分級を行う水切りタンク24と、前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物54として取り出すパイプコンベア25と、取り出された排出物54に含有される液体成分を吸引する液体吸引装置26とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂除去装置及び砂除去方法に関し、特に、し尿や浄化層汚泥に含まれる砂を除去するために好適な装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処理施設や汚泥再生処理センターで行われるし尿や浄化槽汚泥の処理(以下では、これらの両方を含む意味で、「し尿処理」という。)は、前工程と後工程の2つに分かれる。前工程では、し尿や浄化槽汚泥に含まれる夾雑物や砂が除去される。後工程では、し尿や浄化槽汚泥が、生物処理や薬液処理等の工程によって処理される。
【0003】
前工程における砂除去率の向上は、後工程の設備を保護する上で重要である。砂が後工程における処理対象物に混入すると、ポンプその他の後工程に設けられた機器の劣化や、配管の閉塞及び内面磨耗や、貯留槽や生物処理水槽に砂が溜まる原因になる。
【0004】
特開2006−263702号公報は、前工程における砂除去率を向上するための技術を開示している。この公報に記載の砂除去装置は、概略的には、液体サイクロンと水切りタンクとパイプコンベアとから構成されている。処理対象物は、液体サイクロンによって、混濁物が少ない清澄処理液と混濁物が多い濃厚処理液とに分離され、その後、混濁物が多い濃厚処理液に対して水切りタンク内で沈降分級が行われる。沈降分級によって得られた沈殿物は、主として砂で構成される。得られた沈殿物は、排出物としてパイプコンベアによって搬送される。パイプコンベアは、それ自身が搬送中に液体成分を除去する機能を有している。このような構成によれば、排出物を搬送するパイプコンベアが液体成分を除去する機能を有しており、また、密閉環境で処理対象物を処理することができるため、処理時間が短く、臭気の発生が少なく、また、砂除去率が高い砂除去装置を実現することができる。
【0005】
この公報に記載された砂除去装置の一つの問題は、パイプコンベアによる液体成分の分離が不完全であることである。砂と液体と混合した場合、大気圧下では、砂と一定量の液体が分離されずに一体で留まる。したがって、パイプコンベアによって搬送された排出物(その大部分は砂である)には、依然として無視出来ない量の液体成分が含まれる。排出物に多くの液体成分が含まれると、移送・貯留する際に液体成分が排出物から浸出し、衛生面や設備の維持管理上、問題である。
【特許文献1】特開2006−263702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、排出物に含まれる液体成分の量が少ない砂除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付記されている。但し、付記された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0008】
一の観点において、本発明の砂除去装置は、砂と有機物とを含む処理対象物(51)に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物(51)を、前記砂が除かれた除砂液(52)と前記砂を含む濃厚処理液(53)とに分離する遠心分級装置(19)と、前記濃厚処理液(53)に対して沈殿分級を行う沈殿分級機構(24)と、前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物(54)として取り出す排出物取り出し機構(25)と、取り出された前記排出物(54)に含有される液体成分を吸引する液体吸引装置(26)とを具備する。
【0009】
前記排出物取り出し機構(25)は、パイプコンベアであることが好ましい。より具体的には、前記排出物取り出し機構(25)は、前記沈殿分級機構(24)に接続されたパイプ(31)と、前記パイプ(31)の中に配置された複数のブレード(32)と、前記複数のブレード(32)を連結する牽引索(33)と、前記牽引索(33)を駆動する駆動装置(34)とを備えていることが好ましい。
【0010】
前記液体吸引装置(26)は、前記パイプ(31)に取り付けられたフィルタ(41)と、前記フィルタ(41)に負圧を印加するポンプ(44)とを備える真空吸引装置であることが好ましい。この場合、前記フィルタ(41)の目開きは、30μm〜100μmであることが好ましい。
【0011】
前記遠心分級装置(19)としては、液体サイクロンが使用されることが好ましい。
【0012】
好適には、当該砂除去装置は、更に、前記液体成分が吸引された前記排出物(54)に対して熱処理を行う熱処理装置(27)を具備する。
【0013】
液体吸引装置(26)の代わりに、排出物取り出し機構(25)によって取り出された前記沈殿物(54)を圧搾して液体成分を除去する圧搾装置(28)が使用されてもよい。
【0014】
他の観点において、本発明の砂除去方法は、
砂と有機物とを含む処理対象物(51)に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物(51)を、前記砂が除かれた除砂液(52)と前記砂を含む濃厚処理液(53)とに分離する工程と、
前記濃厚処理液(53)に対して沈殿分級を行う工程と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物(54)として取り出す工程と、
取り出された前記排出物(54)に含有される液体成分を吸引する工程
とを具備する。
【0015】
更に他の観点において、本発明の砂除去方法は、
砂と有機物とを含む処理対象物(51)に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物(51)を、前記砂が除かれた除砂液(52)と前記砂を含む濃厚処理液(53)とに分離する工程と、
前記濃厚処理液(53)に対して沈殿分級を行う工程と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物(54)として取り出す工程と、
取り出された前記沈殿物(54)を圧搾して液体成分を除去する工程
とを具備する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排出物に含まれる液体成分の量が少ない砂除去装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態における処理プラントの構成を示すブロック図である。図1の処理プラント10は、し尿の処理や、浄化槽汚泥の処理に使用される処理プラントであり、前工程において砂を含む夾雑物の除去を行い、後工程において生物処理を行う構成を有している。本実施形態では、処理プラント10は、受入槽11、破砕ポンプ12、ドラムスクリーン13、スクリュープレス14、コンベア15、し渣ホッパ16、焼却炉17、中継タンク18、サイクロン19、貯留槽20、投入ポンプ21、生物処理水槽22、ロータリーバルブ23、水切りタンク24、パイプコンベア25、及び液体吸引装置26を備えている。
【0018】
受入槽11は、し尿、浄化槽汚泥、又はそれらの混合物を処理対象物として受け入れて蓄積する。受入槽11に蓄積された処理対象物は、破砕ポンプ12によって破砕されてドラムスクリーン13に圧送される。ドラムスクリーン13は、圧送された処理対象物から夾雑物を除去する。ドラムスクリーン13によって除去された夾雑物はスクリュープレス14に送られる一方、夾雑物が除去された処理対象物は、中継タンク18に送られる。
【0019】
スクリュープレス14は、ドラムスクリーン13によって除去された夾雑物を機械的に圧搾する。圧搾によって取り出された液体成分は、受入槽11に送られる。一方、圧搾において残ったし渣は、コンベア15に排出され、コンベア15によってし渣ホッパ16に投入される。し渣ホッパ16は、投入されたし渣を焼却炉17に投入する。焼却炉17は、投入されたし渣を焼却する。
【0020】
中継タンク18は、ドラムスクリーン13から送られてきた処理対象物を、それに設けられている中継ポンプ18aを用いて液体サイクロン19に送る。
【0021】
液体サイクロン19、水切りタンク24、パイプコンベア25、及び液体吸引装置26は、処理対象物から砂を除去する機能を有する砂除去装置であり、本実施形態の特徴的な構成の一つである。以下では、図2を参照して、液体サイクロン19、水切りタンク24、パイプコンベア25、及び液体吸引装置26の構成を詳細に説明する。
【0022】
液体サイクロン19は、中継タンク18から送られてきた処理対象物51に対して遠心分級を行う装置である。より具体的には、液体サイクロン19は、処理対象物51それ自身の流れの勢いによって発生した旋回流によって処理対象物51に遠心力を作用させ、処理対象物51を、砂が除かれた除砂液52と砂を含む濃厚処理液53とに分離する。砂を含まない除砂液52は、図1に示されているように、貯留槽20に送られて一旦蓄積され、更に、投入ポンプ21によって生物処理水槽22に送られる。砂は、混濁物が多い濃厚処理液53に含まれ、除砂液52には含まれないから、貯留槽20及び生物処理水槽22には、砂が蓄積されない。上述のように、貯留槽20及び生物処理水槽22に送られる処理液から砂を排除することは、貯留槽20及び生物処理水槽22への砂の蓄積を防止し、更に、生物処理水槽22に接続される後工程の装置(例えば、ポンプ)の磨耗・劣化を低減させるために重要である。一方、図2に示されているように、混濁物が多い濃厚処理液53は、ロータリーバルブ23を介して水切りタンク24に送られる。
【0023】
水切りタンク24は、液体サイクロン19から送られてくる濃厚処理液53を蓄積し、沈降分級を行う。より具体的には、水切りタンク24の内部にはオーバーフロー液受け24aが設けられており、更に、水切りタンク24の下部には、パイプコンベア25のパイプ31に接続された開口が設けられている。水切りタンク24とパイプコンベア25のパイプ31とは接続されているため、濃厚処理液53の液面は水切りタンク24の内部に存在すると共に、パイプコンベア25のパイプ31の内部にも存在している。図2には、水切りタンク24の内部にある濃厚処理液53の液面が符号53aで、パイプコンベア25のパイプ31の内部にある濃厚処理液53の液面が符号53bで示されている。沈降分級によって沈殿する沈殿物は、水切りタンク24の下部に設けられた開口からパイプコンベア25に導入される。この沈殿物は、その大部分が砂である。一方、濃厚処理液53の液面53aがオーバーフロー液受け24aの上端を越えると、オーバーフロー液受け24aに液体成分が流れ込み、受入槽11に送られる。オーバーフロー液受け24aに流れ込む液体成分には、沈殿物は含まれない。
【0024】
パイプコンベア25は、沈降分級によって発生した沈殿物を、排出物として取り出して搬送し、コンベア15に投下する。パイプコンベア25は、パイプ31の内部に設けられた複数のブレード32と、ブレード32を環状に連結する牽引索33と、牽引索33を駆動する駆動装置34とを備えている。牽引索33としては、本実施形態では、チェーンが使用される。牽引索33は、ブレード32がパイプ31の内部で環状に移動するように駆動される。詳細には、牽引索33は、パイプ31のうちの上昇部分31aではブレード32が上昇していき、下降部分31bではブレード32が下降していくように駆動される。水切りタンク24からパイプコンベア25に導入された排出物は、ブレード32によって捕捉され、パイプ31の上昇部分31aを上昇していく。図2では、ブレード32によって捕捉された排出物は、符号54によって示されている。排出物54は、上昇部分31aを昇りきると排出口35に導入され、排出口35からコンベア15に投下される。図1に示されているように、コンベア15に投下された排出物54は、コンベア15により、し渣ホッパ16に搬送される。
【0025】
図2に戻り、排出物54は、濃厚処理液53の液面53bを越えて搬送されるため、排出物54からは液体成分がある程度除去される。即ち、パイプコンベア25は、排出物54から液体成分を大まかに除去する機能も有している。しかしながら、排出物54には、それでもなお、無視出来ない量の液体成分が含まれる。パイプコンベア25によって取り出される排出物54は、そのほとんどが砂であるが、砂と液体と混合した場合、大気圧下では、砂と一定量の液体が分離されずに一体で留まる。排出物54に液体成分が多く含まれると、コンベア15によって搬送されている間に浸出した液体成分が垂れたり、し渣ホッパ16に液体成分が溜まったりするため、衛生面や設備の運用面において問題である。
【0026】
本実施形態では、パイプコンベア25によって搬送される排出物54からより多くの液体成分を除去するために、排出物54から液体成分を吸引する液体吸引装置26が使用される。本実施形態では、液体吸引装置26としては、フィルタ41と、吸引室42と、真空タンク43と、真空ポンプ44と、排水ポンプ45とを備えた真空吸引装置が使用される。吸引室42は、パイプ31の上昇部分31aに設けられた開口に接合されている。フィルタ41は、パイプ31と吸引室42との接合部に、パイプ31と吸引室42を仕切るように設けられている。吸引室42は、配管を通じて真空タンク43に接続されている。真空タンク43には、真空ポンプ44と排水ポンプ45とが接続されており、更に、真空タンク43の液位を測定するための液位計46が設けられている。真空ポンプ44は、真空タンク43から空気を大気に排出する機能を有している。真空タンク43の中の空気は、直接に大気に排出されてもよく、また、脱臭装置によって脱臭された上で大気に放出されてもよい。真空ポンプ44が動作すると、吸引室42及び真空タンク43が減圧され、フィルタ41に負圧が印加される。これにより、フィルタ41に接触している排出物54から液体成分が吸引される。このように、本実施形態では、液体吸引装置26によって液体成分を吸引することにより、排出物54における液体成分の含有率が低減される。
【0027】
排出物54から吸引された液体成分は、一旦真空タンク43に蓄積される。真空タンク43からの液体成分の排出は、排水ポンプ45によって行われる。液位計46によって真空タンク43の液位が所定液位に到達したことを検知すると、真空ポンプ44が停止されると共に排水ポンプ45が動作され、これにより、真空タンク43に蓄積された液体成分が受入槽11に送られる。
【0028】
発明者の実験では、パイプコンベア25によって排出物54を搬送することにより、排出物54の液体成分の含有率は55〜60%になり、更に、目開きが75μmのフィルタ41を使用して液体吸引装置26によって液体成分を吸引することにより、液体成分の含有率が約36%まで低減された。
【0029】
留意すべきことは、液体サイクロン19から送られてくる濃厚処理液53に対して直接に液体吸引装置26によって液体成分を除去する処理は困難である点である。これは、濃厚処理液53には、し尿汚泥などの細かな浮遊物が多量に混在しているからである。細かな浮遊物が処理対象物に多量に混在していると、フィルタが目詰りしやすいため、液体吸引装置によって処理対象物から液体成分を吸引する処理を行うことは、実質的に困難である。本実施形態の構成によれば、パイプコンベア25によって排出物54が搬送されることにより、細かな浮遊物が排出物54から液体成分とともに概ね除去されているので、排出物54から液体成分を吸引する処理が可能である。
【0030】
フィルタ41の目開きの大きさは、液体成分を吸引した後における排出物54の液体成分の含有率や、フィルタ41の目詰りのし易さに影響するために重要である。発明者の検討によれば、フィルタ41の目開きの大きさは、30μm〜100μmが好適である。図3に示されているように、沈降分級によって沈殿する砂の粒度分布は、粒径の増大と共に約30μmで増大し始め、約100μmでピークに達する。したがって、フィルタ41の目開きの大きさが、30μm〜100μmであれば、概ね、排出物54に含まれる砂が、真空タンク43に侵入することが防がれる。その一方で、フィルタ41の目開きの大きさが30μm〜100μmであれば、細かな浮遊物による目詰りも発生しにくい。このような観点から、フィルタ41の目開きの大きさは、30μm〜100μmが好適である。
【0031】
本実施形態では、液体吸引装置26がパイプコンベア25のパイプ31に接合されているが、液体吸引装置はパイプコンベア25の排出口35に接続されて設けられていてもよい。重要なのは、濃厚処理液53の液面53bを越えて搬送された排出物54に対して液体成分を吸引する処理が行われることである。
【0032】
図4は、パイプコンベア25の排出口35に接続されて設けられた液体吸引装置(図4では、符号26Aにより参照)の構成の一例を示す図である。図4の液体吸引装置26Aでは、吸引室と兼用に使用される真空タンク43Aが、パイプコンベア25の排出口35に接続されている。真空タンク43Aには、フィルタ41が斜めに設けられている。フィルタ41は、その最も低い位置が、排出口47の位置になるように設けられている。真空タンク43Aには、真空ポンプ44と排水ポンプ45とが接続されており、更に、真空タンク43の液位を測定するための液位計46が設けられている。
【0033】
図4の液体吸引装置26Aは、下記のように動作する。排出物54は、パイプコンベア25の排出口35からフィルタ41に投下され、フィルタ41の上に堆積される。真空ポンプ44によって真空タンク43Aの中の空気が排出されると、真空タンク43Aが減圧されてフィルタ41に負圧が印加される。これにより、フィルタ41に接触している排出物54から液体成分が吸引される。フィルタ41が斜めに設けられているため、排出物54が次々にフィルタ41に投下されると、その自重により、排出物54は、真空タンク43Aの排出口47に流れ込み、排出口47からコンベア15に投下される。排出物54から吸引された液体成分は、一旦真空タンク43Aに蓄積される。真空タンク43Aからの液体成分の排出は、排水ポンプ45によって行われる。液位計46によって真空タンク43の液位が所定液位に到達したことを検知すると、真空ポンプ44が停止されると共に排水ポンプ45が動作され、これにより、真空タンク43Aに蓄積された液体成分が受入槽11に送られる。
【0034】
図5に示されているように、フィルタ41の上に堆積された排出物54を排出口47から強制的に排出するために、ピストン48とシリンダ49とが使用されてもよい。シリンダ49は、適宜のタイミングで駆動され、ピストン48を押し出す。ピストン48が押し出されると、フィルタ41の上に堆積している排出物54が、排出口47から強制的に排出される。シリンダ49は、空気圧や油圧によって駆動されてもよく、電気アクチュエータによって駆動されてもよい。
【0035】
図6は、パイプコンベア25の排出口35に接続されて設けられた液体吸引装置(図6では、符号26Bにより参照)の構成の他の例を示す図である。図6の液体吸引装置26Bでは、無限軌道を構成するベルト式のフィルタが用いられる。より具体的には、図6の液体吸引装置26Bでは、パイプコンベア25の排出口35に吸引室42が接続されており、その吸引室42の中では、無限軌道を構成するフィルタ41Aがローラー61、62の間に掛け渡されている。フィルタ41Aは、排出口35の真下に位置している。ローラー62は、チェーン64によって駆動装置65に接続されており、駆動装置65によって駆動される。フィルタ41Aの上側部分(排出口35に対向する部分)の直下に位置するように、吸引カップ63が配置されている。吸引カップ63は、真空タンク43に接続されている。真空タンク43には、真空ポンプ44と排水ポンプ45とが接続されており、更に、真空タンク43の液位を測定するための液位計46が設けられている。真空ポンプ44は、真空タンク43から空気を大気に排出する機能を有している。
【0036】
図6の液体吸引装置26Bは、下記のように動作する。排出物54は、パイプコンベア25の排出口35からフィルタ41Aに投下され、フィルタ41Aの上に堆積される。真空ポンプ44によって真空タンク43の中の空気が排出されると、真空タンク43及び吸引カップ63が減圧されてフィルタ41Aに負圧が印加される。これにより、フィルタ41Aに接触している排出物54から液体成分が吸引される。
【0037】
フィルタ41Aの上に投下された排出物54から液体成分が吸引される一方で、フィルタ41Aは、ローラー62、チェーン64及び駆動装置65によって駆動される。フィルタ41Aの上側部分は逐次に排出口47に向けて移動され、これにより、液体成分が吸引された排出物54は排出口47に排出され、コンベア15に投下される。
【0038】
図4、図5の液体吸引装置26Aと同様に、排出物54から吸引された液体成分は、一旦真空タンク43に蓄積される。真空タンク43からの液体成分の排出は、排水ポンプ45によって行われる。液位計46によって真空タンク43の液位が所定液位に到達したことを検知すると、真空ポンプ44が停止されると共に排水ポンプ45が動作され、これにより、真空タンク43に蓄積された液体成分が受入槽11に送られる。
【0039】
図7は、パイプコンベア25の排出口35に接続されて設けられた液体吸引装置(図7では、符号26Cにより参照)の構成の更に他の例を示す図である。図7の液体吸引装置26Cは、羽板66が取り付けられた円筒状のフィルタ41Bが使用される。フィルタ41Bは、回転可能であるように取り付けられている。羽板66は、フィルタ41Bから外側方向に突出するように放射状に取り付けられており、パイプコンベア25の排出口35から投下される排出物54を受け止めるために使用される。フィルタ41Bは、チェーン67によって駆動装置68に接続されている。吸引室42の排出口47は、フィルタ41Bの斜め下に設けられており、フィルタ41Bが回転すると、その上に堆積された排出物54は排出口47に投下される。円筒状のフィルタ41Bの内部には、吸引筒69が配置されている。吸引筒69は、その上側部分がメッシュ69aになっている。メッシュ69aは、フィルタ41Bと対向するように設けられており、後述されるように、排出物54からの液体成分の吸引に使用される。
【0040】
図7の液体吸引装置26Cは、下記のように動作する。排出物54は、パイプコンベア25の排出口35からフィルタ41Bに投下される。フィルタ41Bに羽板66が設けられているため、投下された排出物54は、フィルタ41Bの上に堆積する。真空ポンプ44によって真空タンク43の中の空気が排出されると、真空タンク43及び吸引筒69が減圧されてフィルタ41Bに負圧が印加される。これにより、フィルタ41Bに接触している排出物54から液体成分が吸引される。
【0041】
フィルタ41Bの上に投下された排出物54から液体成分が吸引される一方で、フィルタ41Bは、チェーン67及び駆動装置68によって駆動される。フィルタ41Bが駆動されて回転されると、フィルタ41Bの斜め下に設けられた排出口47に、フィルタ41Bの上に堆積された排出物54が投下される。これにより、液体成分が吸引された排出物54は排出口47に排出され、更にコンベア15に投下される。
【0042】
図2、図4〜図7の液体吸引装置では、真空タンクからの液体成分の排出が排水ポンプによって行われているが、真空タンクからの液体成分の排出が重力を利用した自然流下によって行われることも可能である。図8Aは、自然流下によって真空タンクから液体成分を排出する液体吸引装置の構成の例を示す図である。図8Aの液体吸引装置26Dでは、図4の液体吸引装置26Aが、自然流下によって液体成分を排出するように変更されている。
【0043】
より具体的には、図8Aの液体吸引装置26Dでは、排水ポンプ45の代わりに排水自動弁71が真空タンク43Aに接続されている。排出物54から液体成分を吸引する場合には、真空ポンプ44が動作され、排水自動弁71が閉じられる。液位計46によって測定された液位が所定液位に到達すると、真空ポンプ44が停止されると共に排水自動弁71が開けられる。真空ポンプ44が停止されると、フィルタ41を介して空気が真空タンク43Aに取り入れられ、これにより、真空タンク43Aが大気圧に戻る。この状態で排水自動弁71が開けられると、真空タンク43Aに蓄積されていた液体成分が重力により自然流下する。このような構成によれば、受入槽11を真空タンク43Aよりも低い位置に設けることにより、ポンプを使用せずに、真空タンク43Aに蓄積されていた液体成分を受入槽11に送ることができる。
【0044】
図8Bに示されているように、真空タンク43Aに、更に真空破壊弁72が取り付けられてもよい。真空破壊弁72は、液体成分の排出時に真空タンク43Aに空気を導入するために使用される。より具体的には、排出物54から液体成分を吸引する場合には、真空ポンプ44が動作され、排水自動弁71及び真空破壊弁72が閉じられる。液位計46によって測定された液位が所定液位に到達すると、真空ポンプ44が停止されると共に排水自動弁71及び真空破壊弁72が開けられる。真空ポンプ44が停止されると、真空破壊弁72を介して空気が真空タンク43Aに取り入れられ、これにより、真空タンク43Aが大気圧に戻る。この状態で排水自動弁71が開けられると、真空タンク43Aに蓄積されていた液体成分が重力により自然流下する。このような構成によれば、受入槽11を真空タンク43Aよりも低い位置に設けることにより、ポンプを使用せずに、真空タンク43Aに蓄積されていた液体成分を受入槽11に送ることができる。
【0045】
図8A、図8Bの自然流下によって液体成分を排出する構成は、図2、図5〜図7の液体吸引装置にも適用可能であることに留意されたい。
【0046】
なお、本実施形態では、中継タンク18から送られてきた処理対象物51に対する遠心分級は、液体サイクロン19によって行われるが、液体サイクロン19の代わりに遠心分離機が使用されてもよい。ただし、構造が簡単であり、また、スループットが大きいという観点から、遠心分級を行う手段としては液体サイクロン19が最も好適である。
【0047】
また、図1の処理システムでは、パイプコンベア25から排出される排出物54は、コンベア15及びし渣ホッパ16を介して焼却炉17に投入されているが、排出物54は、焼却炉17によって焼却される必要はない。排出物54には液体成分が吸引される処理が行われており、有機物は液体成分と共に除去されるから、排出物54に含まれている有機物は少ない。このため、排出物54は、そのまま埋め立て処分によって処理されても衛生面で問題はない。
【0048】
ただし、より衛生的な処理を行うためには、図9に示されているように、パイプコンベア25から排出された排出物54の埋め立て処分は、熱処理装置27によって熱処理を行った後で行われることが好ましい。熱処理の温度は、100℃以上であることが好ましく、400℃程度であることが最も好ましい。熱処理装置27の熱源としては、焼却炉17の廃熱が利用されることが好適である。焼却炉17の排気を熱処理装置27に導入することにより、焼却炉17の廃熱を有効利用して熱処理装置27による熱処理を行うことができる。
【0049】
また、図10に示されているように、液体吸引装置26の代わりに、圧搾装置28が使用されてもよい。圧搾装置28は、パイプコンベア25から排出される排出物54を機械的に圧搾することにより、排出物54から液体成分を除去する。圧搾装置28としては、ベルト圧搾装置や、フィルタプレス装置や、スクリュープレス装置が使用され得る。発明者の実験によれば、圧搾装置28を使用することにより、液体成分の含有率が約36%まで低減可能である。
【0050】
圧搾装置28による圧搾によって抽出された液体成分は、受入槽11に送られる。一方、液体成分が除去された排出物54は、コンベア15に投下され、し渣ホッパ16に搬送され、更に焼却炉17によって焼却される。その代わりに、液体成分が除去された排出物54は、そのまま埋め立て処分によって処理されてもよく、また、図4の構成と同様に、液体成分が除去された排出物54に対して熱処理装置によって熱処理が行われた後に埋め立て処分によって処理されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における処理プラントの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における砂除去装置の構成を示す概念図である。
【図3】図3は、沈殿分級によって沈殿する砂の粒度分布の例を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態における砂除去装置の構成を示す概念図である。
【図5】図5は、図4の砂除去装置の変形例を示す概念図である。
【図6】図6は、本発明の更に他の実施形態における砂除去装置の構成を示す概念図である。
【図7】図7は、本発明の更に他の実施形態における砂除去装置の構成を示す概念図である。
【図8A】図8Aは、液体吸引装置の真空タンクから液体成分を排出する機構の構成を示す概念図である。
【図8B】図8Bは、液体吸引装置の真空タンクから液体成分を排出する機構の構成を示す概念図である。
【図9】図9は、本発明の更に他の実施形態における処理プラントの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の更に他の実施形態における処理プラントの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
10:処理プラント
11:受入槽
12:破砕ポンプ
13:ドラムスクリーン
14:スクリュープレス
15:コンベア
16:し渣ホッパ
17:焼却炉
18:中継タンク
18a:中継ポンプ
19:サイクロン
20:貯留槽
21:投入ポンプ
22:生物処理水槽
23:ロータリーバルブ
24:水切りタンク
24a:オーバーフロー液受け
25:パイプコンベア
26、26A、26B、26C、26D:液体吸引装置
27:熱処理装置
28:圧搾装置
31:パイプ
31a:上昇部分
31b:下降部分
32:ブレード
33:牽引索
34:駆動装置
35:排出口
41、41A、41B:フィルタ
42:吸引室
43、43A:真空タンク
44:真空ポンプ
45:排水ポンプ
46:液位計
47:排出口
48:ピストン
49:シリンダ
51:処理対象物
52:除砂液
53:濃厚処理液
53a、53b:液面
54:排出物
61、62:ローラー
63:吸引カップ
64:チェーン
65:駆動装置
66:羽板
67:チェーン
68:駆動装置
69:吸引筒
69a:メッシュ
71:排水自動弁
72:真空破壊弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂と有機物とを含む処理対象物に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物を、前記砂が除かれた除砂液と前記砂を含む濃厚処理液とに分離する遠心分級装置と、
前記濃厚処理液に対して沈殿分級を行う沈殿分級機構と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物として取り出す排出物取り出し機構と、
取り出された前記排出物に含有される液体成分を吸引する液体吸引装置
とを具備する
砂除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の砂除去装置であって、
前記排出物取り出し機構は、
前記沈殿分級機構に接続されたパイプと、
前記パイプの中に配置された複数のブレードと、
前記複数のブレードを連結する牽引索と、
前記牽引索を駆動する駆動装置
とを備える
砂除去装置。
【請求項3】
請求項2に記載の砂除去装置であって、
前記液体吸引装置は、
前記パイプに取り付けられたフィルタと、
前記フィルタに負圧を印加するポンプ
とを備える
砂除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の砂除去装置であって、
前記フィルタの目開きは、30μm〜100μmである
砂除去装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の砂除去装置であって、
前記遠心分級装置が、液体サイクロンである
砂除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の砂除去装置であって、
更に、
前記液体成分が吸引された前記排出物に対して熱処理を行う熱処理装置
を具備する
砂除去装置。
【請求項7】
砂と有機物とを含む処理対象物に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物を、前記砂が除かれた除砂液と前記砂を含む濃厚処理液とに分離する遠心分級装置と、
前記濃厚処理液に対して沈殿分級を行う沈殿分級機構と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物として取り出す排出物取り出し機構と、
取り出された前記沈殿物を圧搾して液体成分を除去する圧搾装置
とを具備する
砂除去装置。
【請求項8】
砂と有機物とを含む処理対象物に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物を、前記砂が除かれた除砂液と前記砂を含む濃厚処理液とに分離する工程と、
前記濃厚処理液に対して沈殿分級を行う工程と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物として取り出す工程と、
取り出された前記排出物に含有される液体成分を吸引する工程
とを具備する
砂除去方法。
【請求項9】
請求項8に記載の砂除去方法であって、
前記排出物を取り出す工程は、前記濃厚処理液を受け入れるパイプと、前記パイプの中に配置された複数のブレードと、前記複数のブレードを連結する牽引索と、前記牽引索を駆動する駆動装置とを備える排出物取り出し機構によって行われる
砂除去方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の砂除去方法であって、
前記液体成分を吸引する工程は、フィルタに前記沈殿物を接触させ、前記フィルタに負圧を印加することによって行われる
砂除去方法。
【請求項11】
砂と有機物とを含む処理対象物に対して遠心分級を行うことにより、前記処理対象物を、前記砂が除かれた除砂液と前記砂を含む濃厚処理液とに分離する工程と、
前記濃厚処理液に対して沈殿分級を行う工程と、
前記沈殿分級によって得られた前記砂を含む沈殿物を、排出物として取り出す工程と、
取り出された前記沈殿物を圧搾して液体成分を除去する工程
とを具備する
砂除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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