説明

破壊強度測定装置及び破壊強度測定方法

【課題】割れやすい測定対象物の小型化及び薄型化を進めた場合であっても、測定対象物の破壊強度を高精度に測定することができる破壊強度測定装置を得る。
【解決手段】測定対象物13を載置するステージ2を、測定対象物13に対して荷重を印加する荷重印加装置(昇降装置)33と、荷重印加装置33に連結されており、測定対象物13を押圧する押圧子14と、測定対象物13が破壊したときの測定対象物13の変化を検知するセンサー12と、センサー12が測定対象物13が破壊したときの変化を検知したときの押圧子14により印加されていた荷重を測定する荷重検出部32とを有し、センサー12が測定対象物13自体の変化を検知するセンサーであり、荷重印加装置33と押圧子14との間に弾性体(バネ)21,22が挿入されている、破壊強度測定装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、積層セラミック電子部品などの測定対象物の破壊強度を測定するための破壊強度測定装置及び破壊強度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの電子機器の小型化が進んでいる。そのため、電子機器に搭載されるセラミック電子部品などにおいても、小型化や薄型化が強く求められている。近年、例えば、平面形状は1.0mm×0.5mmであり、高さが0.3mm以下のような非常に薄い小型のセラミック電子部品が開発されている。
【0003】
ところで、セラミック電子部品は、セラミック素体の外表面及び/または内部に電極を形成した構造を有する。薄型化が進むと、セラミック素体が薄くなる。そのため、実装基板にセラミック電子部品を実装する際の機械的衝撃により、セラミック素体にクラックが生じたり、またはセラミック素体が割れたりすることがある。
【0004】
そこで、予めセラミック電子部品の抗折強度を測定し、測定された抗折強度に応じて実装時の衝撃を低めたり、あるいは実装時の衝撃に耐えられるようにセラミック電子部品自体の強度を高めたりする必要が生じてきている。従って、セラミック電子部品の抗折強度をより正確に測定することが望まれている。
【0005】
従来、割れやすい材料の抗折強度を測定する装置として、様々な装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、薬剤としての錠剤状試料の抗折強度を測定する装置が開示されている。
【0006】
図11に示すように、この抗折強度測定装置101では、錠剤102が、支持台103により支持されている。支持台103は、上面に2つの支持突起103a,103aを有する。この支持突起103a,103aにより、錠剤102が支持されている。そして、錠剤102の上方から負荷を与えるために、ポンチ104を降下させる。ポンチ104は、支持突起103a,103a間の中央領域において、錠剤102に当接される。従って、錠剤102に三点曲げ負荷が加えられる。錠剤102が折れたときのポンチ104による荷重値を抗折強度とする。
【0007】
なお、上記ポンチ104により加えられる荷重を検出するには、従来、一般にポンチなどの押圧部分にロードセルを接続し、ロードセルにより荷重が検出されている。
【0008】
他方、図12は、従来の抗折強度測定装置の他の例を示す模式的正面図である。ここでは、抗折強度測定装置111において、ステージ112上に、測定対象物113が載置されている。測定対象物113の上方から押圧子114を当接し、荷重を加える。押圧子114には、荷重印加部115が接続されている。この荷重印加部115は、押圧子114から出される荷重を検出するロードセルをも有する。また、荷重印加部115においては、ロードセルに変位センサーが接続されている。そして、押圧子114が変位した場合、その変位量が変位センサーにより検知される。
【0009】
押圧子114により荷重を加えながら、測定対象物113を下方に押し込んでいくと、ある段階で測定対象物113が割れる。そのため、押圧子114が測定対象物113の上面から一定距離下方位置まで急速に降下することとなる。この際の押圧子114の変位量と、予め求められていた変位量と押圧子114から加わる荷重との関係とから、測定対象物が割れた際の荷重を高精度に求めることができる。この荷重の値が抗折強度とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−34311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図12に示す抗折強度測定装置111では、測定対象物113が割れた際の押圧子114の下方への急激な変位量に基づき、抗折強度を正確に求めることができるとされている。
【0012】
しかしながら、前述したように、セラミック電子部品の小型化及び薄型化が進むと、押圧子114により荷重を印加した場合、測定対象物113してとのセラミック電子部品が瞬時に割れることとなる。そのため、割れる際の荷重印加速度の勾配が急峻となりすぎ、同じ仕様のセラミック電子部品を測定した場合であっても、測定結果が大きくばらつくという問題があった。
【0013】
また、図12に示したような従来の抗折強度測定装置では、測定対象物113が割れた後の押圧子114の変位に基づき、割れた瞬間の荷重を推定しているため、実際に測定対象物113が破壊された瞬間に加わっている荷重を正確に測定することはできなかった。
【0014】
従って、小型化及び薄型化が進んでいるセラミック電子部品の実装条件の改善や部品強度設計の変更を高精度にかつ確実に行うことは非常に困難であった。
【0015】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、測定対象物の小型化や薄型化、特に薄型化が進み、割れやすくなった場合でも、測定対象物の強度を高精度に測定することが可能である破壊強度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、測定対象物に対して荷重を印加するための荷重印加装置と、前記測定対象物を載置するためのステージと、前記荷重印加装置から印加された荷重により、前記測定対象物を押圧する押圧子と、前記測定対象物に荷重を印加することにより、測定対象物が破壊したときの該測定対象物の変化を検知するセンサーと、前記センサーが前記測定対象物が破壊したときの前記変化を検知したときの荷重印加装置が押圧子を印加していた荷重を測定する荷重測定装置とを備え、前記センサーが、前記測定対象物自体の変化を検知するセンサーであり、かつ前記荷重印加装置と前記押圧子との間に挿入された弾性体をさらに備える破壊強度測定装置が提供される。
【0017】
本発明に係る破壊強度測定装置のある特定の局面では、上記センサーがAEセンサーであり、その場合には、測定対象物自体の変化を非接触的に高精度に検出することができる。
【0018】
本発明に係る破壊強度測定装置の他の特定の側面では、前記ステージが、ベース部材と、前記ベース部材上に配置されており、かつ上面に前記測定対象物が載置される支持部とを有し、前記支持部の下面に貫通孔が形成されており、該貫通孔の周囲において、前記支持部がベースプレートにより支持されており、前記AEセンサーの検出部が該貫通孔内において前記支持部の下面に接続されている。この場合には、AEセンサーにより測定対象物の変化をより一層高精度に検出できる。また、支持部の下面の外周部において支持部がベースプレートにより安定に支持される。従って、破壊強度をより一層高精度に測定することができる。
【0019】
好ましくは、前記ベース部材と前記支持部材との間に配置されており、振動の伝達を抑制する緩衝材がさらに備えられている。この場合には、外部からの振動や衝撃等による影響を緩衝材により緩和し、測定対象物の破壊強度をより一層高精度に測定することができる。
【0020】
本発明に係る破壊強度測定装置のさらに別の特定の局面では、前記ステージの前記ベース部材内に前記センサーが収納されており、その場合には、破壊強度測定装置の小型化を図ることができる。
【0021】
本発明に係る破壊強度測定方法は、本発明従って構成された破壊強度測定装置を用いた測定対象物の破壊強度を測定する方法であって、前記ステージに前記測定対象物を載置する工程と、前記荷重印加装置から荷重を印加し、前記押圧子により、測定対象物を押圧する工程と、前記測定対象物の変化を検知するセンサーにより、前記測定対象物が荷重の印加により破壊したときの変化を検知し、該測定対象物が破壊したときの変化を検知したときの前記荷重印加装置により押圧子を印加していた荷重を測定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る破壊強度測定装置及び破壊強度測定方法によれば、測定対象物が破壊したときの測定対象物の変化がセンサーで検知されるので、すなわち測定対象物自体の変化により測定対象物の破壊地点が高精度に検出されるので、測定対象物が破壊した瞬間の押圧子により印加していた荷重を高精度に測定することができる。従って、測定対象物が小型化、特に薄型化し、非常に割れやすい場合であっても、測定対象物の破壊強度を高精度に測定することが可能となる。
【0023】
また、荷重印加装置と押圧子との間に弾性体が挿入されているので、荷重印加速度の立ち上がりが緩やかとなり、測定対象物が瞬時に割れることを防止することができる。さらに、サーボモータ等の高精度の昇降装置や、サンプリング周波数の高い高精度の計測装置が不要となり、安価でシンプルな構造の抗折強度測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る破壊強度測定装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る破壊強度測定装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る破壊強度測定装置の要部を示す部分正面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態の破壊強度測定装置で測定される測定対象物としてのセラミック電子部品を示す正面図及び平面図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の破壊強度測定装置の変形例における押圧子の形状を説明するための模式的正面図及び平面図である。
【図6】本発明の一実施形態の破壊強度測定装置の支持部の構造を示すための模式的正面図である。
【図7】本発明の一実施形態の破壊強度測定装置に用いられるロードセルを示す模式図である。
【図8】本発明の一実施形態の破壊強度測定装置で用いられるブリッジ回路を示す回路図である。
【図9】本発明の一実施形態の破壊強度測定装置の概略ブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る破壊強度測定装置において、オシロスコープによりロードセル及びAEセンサーから入力される電流をモニターにした結果を示す図である。
【図11】従来の抗折強度測定装置を示す正面図である。
【図12】従来の抗折強度測定装置の他の例を説明するための模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る破壊強度測定装置の部分断面正面図であり、図2はその側面図である。
【0027】
破壊強度測定装置1は、測定対象物を載置するためのステージ2を有する。ステージ2は、ベース部材3と、ベース部材3に支持された支持部4とを有する。より具体的には、ベース部材3は、剛体からなるプレート5と、同じく剛体からなる筒状部材6とを有する。プレート5が、床上などに載置される部分である。そして、筒状部材6の下端には、フランジ部6aが設けられている。このフランジ部6aにおいて、筒状部材6がボルト7,7によりプレート5に固定されている。
【0028】
筒状部材6内には、支持部4及びAEセンサー12が配置されている。図6に示すように、より具体的には、支持部4は、上面に開いた凹部4aを有する。支持部4は、金属等の剛性材料からなる。支持部4は、ベース部材3の上記筒状部材6内に固定的に設けられた台座6bに収納されている。台座6bは、筒状部6内に形成されており、上方に開いた有底の開口部を有する。
【0029】
台座6bの底面に、緩衝材11が配置されている。緩衝材11として、本実施形態では、ウレタン樹脂シートが用いられている。もっとも、ウレタン樹脂シートに限らず、緩衝材11上に配置される支持部4と台座6bとの間の振動の伝達を抑制し得る限り、適宜の弾性材料により緩衝材11を形成することができる。
【0030】
台座6bにおいては、底面中央に貫通孔6cが形成されている。この貫通孔6c内に、AEセンサー12が位置している。すなわち、AEセンサー12はベース部材3内に収納されている。AEセンサー12の上端に位置している検出面12aが支持部4の下面に当接されている。
【0031】
AEセンサー12は、周知の音響放出センサーである。すなわちAEセンサー12は、圧電共振子を用いて構成されており、支持部4の内部に配置された後述の測定対象物13が破壊したときの音波を瞬時に測定することかできる。すなわち、AEセンサー12を用いることにより、測定対象物自体の破壊時の変化を瞬時に検知することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、AEセンサー12を用いたが、本発明においては、測定対象物の破壊時点を瞬時に検出し得る限り、例えば、電流の変化を検出するセンサーを用いてもよい。このような電流の変化を検出することにより、破壊時点を検出することができるセンサーとしては、ステージ上に一対の電極ランドを形成し、該一対の電極ランドにまたがるように測定対象物を載置し、一対の電極ランド間に電圧を印加し、漏れ電流を電流計で検出するセンサーが挙げられる。測定対象物が破壊すると、電流計における電流値が変化するため、測定対象物の破壊時点を瞬時に検出することができる。
【0033】
なお、本発明においては、上記測定対象物の破壊時点を検出するセンサーとしては、上記音や電流を用いたものに限定されるものではないが、いずれにしても、押圧子ではなく、測定対象物13自体の破壊時の変化を、センサーにより検出することが必要である。
【0034】
図1に戻り、上記支持部4内に配置された測定対象物13上に、押圧子14が配置されている。図3に拡大して示すように、押圧子14は、筒状の本体15と、本体15の下端から下方に延びるように設けられた押圧ピン16とを有する。押圧ピン16の先端には、先端にいくにつれて径が小さくなるようにテーパーがつけられて、円錐部16aが設けられている。円錐部16aの先端により、測定対象物13が押圧される。
【0035】
押圧子本体の上端開口内周面には、雌ねじが形成されている。押圧子14は、第1のプレート17の下面に固定されている。固定は、第1のプレート17に設けられた貫通孔を介して、上記押圧子の本体15の雌ねじに固定ねじ18をねじ込むことにより行われている。
【0036】
他方、第1のプレート17の上方には、第1のプレート17と対向するように、第2のプレート19が配置されている。第2のプレート19においては、上記押圧子14が設けられている領域よりも外側、すなわち外周縁近傍に、貫通孔19a,19bが形成されている。第2のプレート19の貫通孔19a,19bに、筒状スペーサー23,23が挿入されており、この筒状スペーサー23が、ボルト24及びナット25によりプレート19に固定されている。筒状のスペーサー23,23をシャフト20,20が上下に移動可能に挿通されている。シャフト20,20の下端は、第1のプレート17に固定されている。シャフト20,20は、貫通孔19a,19bを挿通し、上方に延ばされている。そして、シャフト20,20には、プレート17,19間において、バネ21,22が外挿されている。バネ21,22は、第2のプレート19に対して第1のプレート17を下方に付勢するように設けられている。
【0037】
図1及び図2に戻り、第2のプレート19の上方には、押圧子14により測定対象物13に加えられる荷重を検出するためのロードセル31が内蔵された荷重検出部32が配置されている。また、荷重検出部32の上方には、荷重印加装置としての昇降装置33が連結されている。
【0038】
昇降装置33は、昇降装置33より下方の部分、すなわち荷重検出部32、並びに荷重検出部32に連結された第2のプレート19とを一体的に昇降させる。従って、第2のプレート19が降下されると、それに伴って、第1のプレート17及び押圧子14も降下されることとなる。
【0039】
もっとも、プレート17,19間においては、上記シャフト20,20に、バネ21,22が外挿されているため、押圧子14から測定対象物13に加わる荷重印加速度の立ち上がりは穏やかとなる。従って、測定対象物13が瞬時に割れることを防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態は、このような荷重印加速度の立ち上がりを穏やかにするための弾性体として、上記バネ21,22を用いたが、バネ以外の適宜の弾性体を用いることができる。すなわち、押圧子14から測定対象物13に加わる荷重の荷重印加速度の立ち上がりを穏やかにし得る限り、押圧子と荷重検出部32との間に、適宜の弾性体を介在させればよい。
【0041】
次に、本実施形態の破壊強度測定装置の仕様方法及び動作を説明する。
【0042】
本実施形態では、図4(a)及び(b)に示す積層セラミック電子部品34の破壊強度を測定する。積層セラミック電子部品34は、セラミック素体35と、外部電極36,37とを有する。セラミック素体35は、セラミックスからなるため、脆性破壊しやすい。また、積層セラミック電子部品34では、セラミック素体35の厚みが薄くなると、それに伴って、押圧子14による押圧力によって非常に割れやすくなる。
【0043】
本実施形態では、先ず、上記積層セラミック電子部品34を、ベース部材3中の台座6b上に配置されている支持部4内に載置する。その状態で、支持部4の下方のAEセンサー12を駆動する。AEセンサー12は、所定の音波を支持部4側に発射し、測定対象物13から戻ってきた音波を測定し、測定対象物13の変化を音波の変化により検出する。
【0044】
次に、昇降装置33を駆動し、荷重検出部32を介して第2のプレート19を降下する。第2のプレート19が降下すると、バネ21,22が圧縮され、しかる後、バネ21,22の付勢力を受けて第1のプレート17の下方に移動する。その結果、押圧子14の押圧ピン16の先端から荷重が穏やかに測定対象物13に加わる。
【0045】
昇降装置33により、降下を持続すると、押圧子14から加わる荷重が次第に高くなり、測定対象物13が破壊する。破壊した瞬間は、AEセンサー12の出力により直ちに検出することができる。破壊時点における荷重をロードセル31により検出し、測定対象物13の破壊強度とする。
【0046】
以下、上記測定の流れをより具体的に説明する。
【0047】
図7は、上記ロードセル31を示す模式図である。昇降装置により加重が印可されると、S字形状のロードセル本体31aが歪むこととなる。その結果、内蔵されている歪みゲージ31bが歪み、その抵抗値が変化する。
【0048】
歪みゲージ31bの抵抗値変化は、例えば図8に示すブリッジ回路41を用いて検出することができる。すなわち、歪みゲージ31bの抵抗値が変化すると、ブリッジ回路41から取り出される出力電流が変化する。
【0049】
図9にブロック図で示すように、ロードセル31から上記のようにして出力された出力電流が、オペアンプ42で増幅され、オシロスコープ43に入力される。他方、AEセンサー12により音が検知され、AEセンサー12は検知した音に応じた出力電流を出力する。この出力電流が、オペアンプ44で増幅され、オシロスコープ43に入力される。オシロスコープ43により、ロードセル31から入力された上記出力電流と、AEセンサー12から入力された上記出力電流とをモニターする。図10は、ロードセル31から入力された電流と、AEセンサー12から入力された電流とをモニターした結果を示すグラフである。AEセンサー12から入力された電流値が変化した時点を捉え、そのときのロードセル31から入力された電流値を加重に変換する。この変換された値を例えば加重Fとする。
【0050】
なお、ロードセル31としては、例えば、ミネベア株式会社製U3B1シリーズを用いることができる。また、オペアンプ42,44としては、例えば、新光電子株式会社製、DAS−406を用いることができる。また、オシロスコープ43としては、例えば、Tektronix社製、MSO4104を用いることができる。また、AEセンサー12としては、例えば、株式会社エヌエフ回路設計ブロック社製、AE−TESTER9501を用いることができる。
【0051】
本実施形態の破壊強度測定装置1を用いれば、上記のように、測定対象物13の破壊時点をAEセンサー12の出力から瞬時に検出することができる。すなわち、測定対象物13自体の変化により、測定対象物13の破壊時点を高精度に検出することができるので、従来の抗折強度測定に比べ、測定対象物の破壊強度を高精度に検出することが可能となる。
【0052】
加えて、上記実施形態では、バネ21,22がプレート17,19間に配置されており、押圧子14から測定対象物13に加わる荷重の印加速度の立ち上がりが穏やかとなる。従って、押圧子14により荷重を測定対象物13に加えはじめた瞬間に誤って測定対象物13が破壊し難い。よって、より一層高精度に測定対象物13の破壊強度を測定することができる。
【0053】
さらに、上記緩衝材11が支持部4と台座6bとの間に配置されているため、周囲からの振動等の影響を受けることなく、測定対象物13の破壊時点を高精度に検出することができる。
【0054】
なお、上記実施形態は、押圧子14の押圧ピン16の先端は円錐部16aとされていたが、図5(a)及び(b)に示す変形例のように、押圧ピン15の先端に、円錐第15bを設け、円錐台15bの先端から円錐台15bよりも小径の突出部15cを設けた形状としてもよい。
【0055】
いずれにしても、押圧ピン15においては、測定対象物13に当接される部分の面積を小さくすることにより、測定対象物13の小型化に対応することができる。
【0056】
本願発明者は、長さ1.0mm×幅0.5mm×厚み0.2mmの積層セラミックコンデンサの破壊強度を測定した。比較のために、上記AEセンサー12、緩衝材11及びバネ21,22を設けなかったことを除いては、上記と同様にして構成された従来例に相当する比較例の破壊強度測定装置を用意した。実施形態及び比較例の破壊強度測定装置を用い、破壊強度に至る荷重値及びそのばらつきを測定した。
【0057】
その結果、ある試料群では、比較例では、平均荷重が2.08Nであり、荷重値のばらつきσは1.18であるのに対し、上記実施形態では、平均荷重値が6.61Nであり、荷重値のばらつきσは0.86であった。また、他の試料群では、比較例では、平均荷重が2.29Nであり、荷重値のばらつきσは0.95であったのに対し、上記実施形態によれば、平均荷重が7.15Nであり、荷重値のばらつきσは0.62であった。
【0058】
従って、本実施形態によれば、非常に小型の積層セラミック電子部品の破壊強度を高精度に測定し得ることがわかる。
【0059】
なお、本発明は、積層セラミック電子部品の破壊強度を測定する用途に限らず、様々な割れやすい測定対象物の破壊強度の測定に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1…破壊強度測定装置
2…ステージ
3…ベース部材
4…支持部
4a…凹部
5…プレート
6…筒状部材
6a…フランジ部
6b…台座
6c…貫通孔
7…ボルト
11…緩衝材
12…AEセンサー
13…測定対象物
14…押圧子
15…押圧ピン
16…押圧ピン
16a…円錐部
17…第1のプレート
18…固定ねじ
19…第2のプレート
19a,19b…貫通孔
20…シャフト
21,22…バネ
23…筒状スペーサー
24…ボルト
25…ナット
31…ロードセル
31a…ロードセル本体
31b…歪みゲージ
32…荷重検出部
33…昇降装置
34…積層セラミック電子部品
35…セラミック素体
36,37…外部電極
41…ブリッジ回路
42…オペアンプ
43…オシロスコープ
44…オペアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に対して荷重を印加するための荷重印加装置と、
前記測定対象物を載置するためのステージと、
前記荷重印加装置から印加された荷重により、前記測定対象物を押圧する押圧子と、
前記測定対象物に荷重を印加することにより、測定対象物が破壊したときの該測定対象物の変化を検知するセンサーと、
前記センサーが前記測定対象物が破壊したときの前記変化を検知したときの荷重印加装置が押圧子を印加していた荷重を測定する荷重測定装置とを備え、
前記センサーが、前記測定対象物自体の変化を検知するセンサーであり、
かつ前記荷重印加装置と前記押圧子との間に挿入された弾性体をさらに備える破壊強度測定装置。
【請求項2】
前記センサーがAEセンサーである、請求項1に記載の破壊強度測定装置。
【請求項3】
前記ステージが、ベース部材と、前記ベース部材上に配置されており、かつ上面に前記測定対象物が載置される支持部とを有し、前記支持部の下面に貫通孔が形成されており、該貫通孔の周囲において、前記支持部がベースプレートにより支持されており、前記AEセンサーの検出部が該貫通孔内において前記支持部の下面に接続されている、請求項1または2に記載の破壊強度測定装置。
【請求項4】
前記ベース部材と前記支持部材との間に配置された緩衝材をさらに備える、請求項3に記載の破壊強度測定装置。
【請求項5】
前記ステージの前記ベース部材内に前記センサーが収納されている、請求項3または4に記載の破壊強度測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の破壊強度測定装置を用いた測定対象物の破壊強度を測定する方法であって、
前記ステージに前記測定対象物を載置する工程と、
前記荷重印加装置から荷重を印加し、前記押圧子により、測定対象物を押圧する工程と、
前記測定対象物の変化を検知するセンサーにより、前記測定対象物が荷重の印加により破壊したときの変化を検知し、該測定対象物が破壊したときの変化を検知したときの前記荷重印加装置により押圧子を印加していた荷重を測定する工程とを備える、破壊強度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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