説明

破砕加工食品

【課題】健康維持に不可欠な脂肪酸と共に、葉菜類に含まれる全ての栄養素を口当たりよく摂取することができる食品を提供する。
【解決手段】破砕加工食品は、小松菜などの葉菜類を破砕した葉菜類破砕物とアボガドを破砕したアボガド破砕物とを含み、これらを混合して作られている。葉菜類破砕物と脂肪酸を含むアボガド破砕物とをそのまま使用しているので、食物繊維を含む葉菜類の全ての栄養素と同時に、健康維持に不可欠な脂肪酸を手軽にかつバランスよく摂取することができ、また、アボガド破砕物が与えるとろみにより口当たりもよくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉菜類の破砕物を主原料とした破砕加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外食の機会が増えて野菜の摂取量が減り、一日に摂取される各種ビタミン、食物繊維などが不足してきており、これが成人病の一因になっていると指摘されている。こうした野菜の摂取量の不足を補って健康を維持するために、様々な野菜を搾汁して製造した野菜ジュースの人気が高まっている。
【0003】
こうした野菜ジュースの原料として使用される野菜のうち、キャベツ、白菜、レタス、ほうれん草、小松菜、空芯菜、チンゲン菜などの葉菜類は、各種ビタミンに加えてβカロチンやカリウムなどの栄養素も豊富に含み、栄養価が高く特に健康維持に有益であることから、野菜ジュースに使用されることが多い。一方で、野菜、特に葉菜類の搾汁は青臭さやエグ味が強くそれだけでは飲みにくいので、市販の野菜ジュースでは、例えば特許文献1に記載のように柑橘類の果汁を野菜の搾汁に添加したり、リンゴなどの柑橘類以外の果汁を野菜の搾汁に添加したりして飲みやすくすることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−171881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような市販の野菜ジュースでは、野菜の搾汁だけを使用するので、野菜に含まれる食物繊維の大部分が除かれてしまうという問題がある。また、野菜の中でも葉菜類は特に栄養価が高いが、葉菜類の搾汁は青臭さやエグ味が強い。これを消して飲みやすくするために葉菜類の搾汁に添加する果汁の量を多くすると、野菜ジュースに含まれる糖分が増えてしまう一方、適度な糖分に抑えるために果汁の量を少なくすると、十分に青臭さやエグ味が消えず、万人受けしにくい味となってしまうという問題がある。さらに、葉菜類は豊富なビタミン類、ミネラル、食物繊維を含むが、これらの栄養素だけでなく、健康維持に不可欠な他の栄養素、特に脂肪酸なども同時に摂取できるようにすることが栄養のバランスの観点からは望ましい。
【0006】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決して、健康維持に不可欠な脂肪酸と共に、葉菜類に含まれる全ての栄養素を口当たりよく摂取することができる食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に鑑み、本発明によれば、葉菜類を破砕した葉菜類破砕物とアボガドを破砕したアボガド破砕物とが混合されている破砕加工食品が提供される。例えば、前記葉菜類は小松菜又はチンゲン菜とすることができる。
【0008】
上記破砕加工食品では、葉菜類破砕物が使用されているので、食物繊維を含む葉菜類の全ての栄養素をそのまま摂取できる。また、アボガドは、果肉の20%程度が脂肪であり、食物繊維と共に脂肪酸も豊富に含むので、葉菜類に足りない脂肪酸も同時に摂取できるようになる。特に、アボガドに含まれる脂肪の約80%は必須脂肪酸のオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸であり、不飽和脂肪酸は、二重結合を有しているために酸化されにくいという利点と共に、血液中の悪玉コレステロールを減らして血液をサラサラにする作用があり、体にやさしい脂肪酸であるという利点を有する。また、アボガドに含まれるビタミンB群やビタミンEと食物繊維が三大栄養素であるたんぱく質、脂肪、炭水化物の代謝の促進に役立つだけでなく、アボガドに含まれる食物繊維と脂肪が腸内を掃除することにも役立つ。さらに、アボガド破砕物はとろみを与えるので、口当たりが柔らかくなって葉菜類破砕物を摂取しやすくなる。
【0009】
上記破砕加工食品は、ピューレ状又はペースト状になるように葉菜類の25重量%以上のアボガドを含むことが好ましい。葉菜類の重量の4分の1以上のアボガドを含むようにすれば、上記粉砕加工食品はピューレ状又はペースト状になり、口通り時に舌触りや喉ごしなどの食感が高まる。したがって、上記破砕加工食品をデザート感覚で口当たりよく摂取できるようになる。
【0010】
また、上記破砕加工食品はバナナを破砕したバナナ破砕物をさらに含んでもよい。バナナ破砕物はアボガドと同じようなとろみを与えると共に甘みも与えるので、デザート的な感覚をより強くすることができる。
【0011】
上記破砕加工食品はゼラチンをさらに含み、ゼリー状にすることもできる。ゼリー状にすることで、上記破砕加工食品をデザートとして食べることができるようになり、健康維持に不可欠な栄養素をより気軽に摂取できるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、食物繊維を含む葉菜類の全ての栄養素と同時に、健康維持に不可欠な脂肪酸、特に不飽和脂肪酸を手軽にかつバランスよく摂取することができる。また、アボガド破砕物のもつとろみにより、葉菜類破砕物を口当たりよく摂取することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による破砕加工食品の実施の形態を説明する。
本発明による破砕加工食品は、葉菜類を破砕した葉菜類破砕物と、アボガドを破砕したアボガド破砕物とを含む。葉菜類破砕物及びアボガド破砕物は、葉菜類及びアボガドを細かく破砕することによって生成されるもので、破砕によって生成される葉菜類及びアボガドの微細片と破砕の際に生じる液体成分とからなる。葉菜類破砕物及びアボガド破砕物は、例えばフードプロセッサーなどを用いて回転するカッターで原料となる葉菜類及びアボガドを細かく破砕することによって生成される。しかしながら、葉菜類及びアボガドの破砕方法は、葉菜類及びアボガドの大部分を0.1〜0.25mm以下まで細かく破砕することができれば特に限定されるものではなく、任意の方法をとることができる。また、葉菜類破砕物及びアボガド破砕物は、葉菜類とアボガドを一緒に破砕しながら混合してもよく、別個に破砕した後に混合してもよい。
【0014】
葉菜類としては、白菜、レタス、キャベツなどの葉菜を使用することができ、カリウム、カルシウム、鉄分、βカロチン、各種ビタミン、食物繊維などの栄養素をバランスよく豊富に含むことから、小松菜、チンゲン菜、水菜、ホウレン草などのような青菜(すなわち、緑色の濃い葉菜)を使用することが好ましい。また、複数の種類の葉菜類を同時に使用してもよい。
【0015】
本発明による破砕加工食品では、葉菜類を破砕した葉菜類破砕物をそのまま使用しているので、ジューサーを使用して作ったジュースのように搾りカスを使用せず搾汁のみを使用する場合に比べて、食物繊維を豊富に摂取することができる。また、アボガドも食物繊維を豊富に含んでおり、これを破砕したアボガド破砕物をそのまま使用しているので、より多くの食物繊維を摂取できるようになる。さらに、アボガド破砕物を使用することで、とろみが加えられて舌触りや喉ごしのような食感が高められると共に、葉菜類の青臭さやエグ味を抑えることができる。したがって、野菜ジュースというよりもデザートのような食感で本発明による破砕加工食品を摂取することができるようになると共に、葉菜類の青臭さやエグ味を消すために使用される果実類や柑橘類の使用量を抑えて糖分の過剰摂取を防ぐことも可能となる。加えて、アボガドは、果肉の20%程度が脂肪であり、健康維持に不可欠な栄養素である脂肪酸を豊富に含んでいるので、アボガド破砕物を使用することにより、人体に不可欠な栄養素であるが通常の野菜ジュースなどに不足する脂肪酸を摂取することができる効果も奏する。また、アボガドに含まれる脂肪酸は、必須脂肪酸のオレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸であり、不飽和脂肪酸は、二重結合を有しているために酸化されにくいという利点と共に、血液中の悪玉コレステロールを減らして血液をサラサラにする作用があり、体にやさしい脂肪酸であるという利点を有する。また、アボガドに含まれるビタミンB群やビタミンEと食物繊維が三大栄養素であるたんぱく質、脂肪、炭水化物の代謝の促進に役立つだけでなく、アボガドに含まれる食物繊維と脂肪が腸内を掃除することにも役立つ。
【0016】
特に、葉菜類又は葉菜類破砕物に対して葉菜類又は葉菜類破砕物の25重量%以上のアボガド又はアボガド破砕物を加えて混合すれば、粘度(とろみ)が増し、液体というよりはピューレ状又はペースト状のような半液体状態になって、舌触りや喉ごしなどの食感が高められてデザート的な食感となり。さらに、葉菜類又は葉菜類破砕物に対して葉菜類又は葉菜類破砕物の40重量%以上のアボガド又はアボガド破砕物を加えて混合すれば、よりデザート的な食感が高まると共に、アボガド破砕物に葉菜類破砕物の微細片が包まれるような状態となって葉菜類破砕物の微細片による青臭さ及びエグ味が大幅に抑えられ、まろやかな味になる。また、葉菜類破砕物とアボガド破砕物との混合物にゼラチンなどを添加することにより、本発明による破砕加工食品を固形物状態として、完全なデザートとして摂取できるようにしてもよい。
【0017】
また、葉菜類の青臭さやエグ味をより抑えるために、レモン汁などの柑橘類、リンゴの果汁を本発明による破砕加工食品に加えて混合してもよい。さらに、甘みを加えて摂取しやすくするために、バナナを破砕したバナナ破砕物を本発明による破砕加工食品に加えて混合してもよく、人工又は天然の甘味料、例えば砂糖やはちみつなどを加えてもよい。甘みを加えたいが糖尿病患者のように摂取カロリーを抑えたい場合には、例えばラカントS(登録商標)のようなカロリーゼロの人工甘味料を使用すればよい。
【実施例】
【0018】
本発明による破砕加工食品の製造方法の一例を説明する。
ここでは、葉菜類として230gの小松菜と、100gのアボガドと、60gのバナナと、200gのリンゴとを使用する。
【0019】
まず、低速回転(60回転/分程度)のフードプロセッサーなどを用いて、上記の材料を0.5mm以下程度になるまで破砕(粗破砕)し、破砕した上記の材料全てを高速回転(1500回転/分程度)のフードプロセッサーで0.1〜0.25mm以下になるまでさらに細かく破砕しながら混合する。上記材料の破砕は、各材料ごとに行ってもよく、全ての材料を一緒にして行ってもよいが、混合と破砕を同時に行えることから、後者が好ましい。このような破砕加工を行うことにより、葉菜類破砕物及びアボガド破砕物を混合したものは、スプーンですくって傾けたときに全てがスプーンから落下するのに1秒以上かかる程度の粘度が得られるようになる。
【0020】
次に、味を調えるために、レモン搾汁などの適量の柑橘類果汁をフードプロセッサー内に加え、さらに混合する。このようにして生成された破砕加工食品を例えば直径3cm、高さ3cm程度の円筒状容器に収容して販売する。
【0021】
上記の破砕加工食品は、上述したように、小松菜、アボガド、バナナ及びリンゴの破砕物をそのまま使用しているので、各種ビタミン、βカロチン、カリウムなどのミネラルなどと共に、食物繊維を豊富に含む。また、脂肪酸、特に不飽和脂肪酸を豊富に含むアボガドの破砕物を使用しているので、脂肪酸を別途で添加しなくても、上記の破砕加工食品は人体の維持に不可欠な脂肪酸を豊富に含むことができる。特に、不飽和脂肪酸は、血液中の悪玉コレステロールを減らして血液をサラサラにする作用があるので、体にやさしい脂肪酸であると言える。また、アボガドは、それに含まれるビタミンB群やビタミンEと食物繊維が三大栄養素であるたんぱく質、脂肪及び炭水化物の代謝の促進に役立つという利点と共に、アボガドに含まれる食物繊維と脂肪が腸内の掃除に役立つという利点も有する。さらに、アボガド破砕物は上記破砕加工食品にとろみを与え、口当たりをよくするので、デザート的な食感が得られると共に、小松菜のもつ青臭さやエグ味を抑えることができる。加えて、このように小松菜などの葉菜類の青臭さやエグ味が抑えられているので、味を調えるために加えられるバナナ、リンゴ、柑橘類果汁などの量も葉菜類を使った通常の野菜ジュースなどより減らすことができる。
【0022】
したがって、上記破砕加工食品は、糖分を抑えながら、各種ビタミン、βカロチン、ミネラルに加えて脂肪酸を非常にバランスよく含み、かつ、口当たりよくデザート的に気軽に摂取することができる栄養食品となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉菜類を破砕した葉菜類破砕物とアボガドを破砕したアボガド破砕物とが混合されていることを特徴とする破砕加工食品。
【請求項2】
ピューレ状又はペースト状になるように葉菜類の25重量%以上のアボガドを含む、請求項1に記載の破砕加工食品。
【請求項3】
前記葉菜類は小松菜又はチンゲン菜である、請求項1又は請求項2に記載の破砕加工食品。
【請求項4】
バナナを破砕したバナナ破砕物をさらに含む、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の破砕加工食品。
【請求項5】
ゼラチンをさらに含み、ゼリー状にした、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の破砕加工食品。