説明

破砕機の制御方法、破砕機及びコンピュータソフトウェア製品

本発明は、破砕機の制御方法に関するものであり、この破砕機は、フレーム(6)と、好ましくは破砕手段を作動させるアクチュエータ(10)を備える回転式の破砕手段(4)とを備えている。本方法において、少なくとも第1のデータが決定され、この第1のデータは、アクチュエータに加えられる出力、破砕力、破砕機によって作り出される破砕物の破砕片の分布、若しくは、破砕機によって処理される被破砕物の量のうちの少なくとも1つを示すものである。破砕手段(4)の回転周波数は、前記第1のデータに基づき制御される。又、本発明は、破砕手段(4)の回転周波数が、制御ユニット(14)の制御データに応じて設定される破砕機に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特許請求の範囲の請求項1の前段に掲げられた破砕機に関するものである。又、この発明は、特許請求の範囲の請求項8の前段に掲げられた破砕機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、破砕機に関し、好ましくは、コーンクラッシャ及びジャイレトリクラッシャに関するものであるが、その構成はインパクトクラッシャ及びジョークラッシャ等他の形式の破砕機にも採用可能である。特に、コーン及びジャイレトリクラッシャは、岩石等の中程度ないし微細に粉砕される被破砕物に用いられるものである。コーンクラッシャは垂直偏心軸を備え、かつ、その内部に形成された傾斜孔を含んでいる。又、通常は保持コーンが固定された主軸が、前記傾斜孔に装着されている。前記保持コーンは、破砕機のフレームに囲まれており、このフレームには、摩滅手段として機能する通称アウタクラッシュブレードが装着されている。又、前記保持コーンには、摩滅部材として用いられる通称インナクラッシュブレードが装着されている。これらインナクラッシュブレード及びアウタクラッシュブレードによって破砕室が構成され、ここに供給された被破砕物が破砕される。前記偏心軸が回転すると、前記主軸及びそれに伴い保持コーンのすりこぎ状の振動が起こり、回転中、インナ及びアウタクラッシュブレードの各点間の間隙を変化させる。回転中に生じる最小の間隙は、破砕機の「セッティング」と称され、最大の間隙と最小の間隙との差は、破砕機の「ストローク」と称される。この破砕機のセッティングと破砕機のストロークとは、被破砕物の破砕片のサイズ分布、破砕機の処理能力等、他の事項にも影響を与えるものである。
【0003】
典型的なコーンクラッシャの主軸は、破砕コーンの下方にのみ軸支されている。又、いくつかの形式の破砕機は、更に主軸の上端部についても上部スラストベアリングによってフレームに支持されている。後者のコーンクラッシャは、通常ジャイレトリクラッシャと称されるものである。
【0004】
破砕工程における処理能力と破砕機の効率とを高めるために、被破砕物の質及び量を変化させることで、破砕機の運転調整がなされる。典型的なコーンクラッシャの場合には、破砕機のブレードの「セッティング」を調整することにより、運転調整される。従来技術の解決策では、前記セッティングは消費動力(供給電力)及び破砕力の少なくとも一方に基づき調整されるものである。しかしながら、上述のごとき破砕機の調整は困難であるか、もしくは、ロングストローク型の破砕機においては、必ずしも可能な手法ではない。
【0005】
ジャイレトリクラッシャは、破砕機のフレームに対し主軸が垂直方向に移動するように、通常は、液圧システムによって調整可能となっている。この構成は、被破砕物の破砕片を所望のサイズに適宜調整することが可能となるように破砕機のセッティングを変更し、及び/又は、クラッシュブレードの磨耗を一定にするようにセッティングを維持するためのものである。他の形式のコーンクラッシャにおける上記調整は、クラッシュブレードが装着された破砕機の上部フレームを昇降させ、これに、破砕機の下部フレーム、及び、下部フレームに対して垂直方向に固定された主軸が連動することにより行われる。
【0006】
又、消費動力又は破砕力の少なくとも一方に基づき「セッティング」を調整することは、被破砕物の破砕片のサイズを所望の大きさにする上で、大きな影響を与えることが出来ないことが確認されている。例えば、上記調整は、サイズの小さい破砕片に対してはより強い影響を与えるが、サイズの大きな破砕片に対しては影響が限定される。この理由は、調整の手法に更なる改良が必要だからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、破砕工程における処理能力と、破砕機の効率とを高いレベルに保つことを可能とするための、破砕機の制御技術を提供することにあり、かつ、それをストロークの異なる破砕機にも適用可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための、本発明に係る破砕機の第1の特徴部分が、特許請求の範囲の請求項1に係る独立項に示されている。又、本発明に係る方法の第1の特徴部分が、特許請求の範囲の請求項8に係る独立項に示されている。更に、本発明の好ましいいくつかの実施形態が、各従属項に示されている。
【0009】
下記の用語「コーンクラッシャ」は、コーン及びその軸が如何なる方法で保持されているかを問わず、被破砕物がコーンによって破砕される形式の全ての破砕機を意図するものである。本説明において、コーンクラッシャは破砕機の一例として挙げられたものであり、本発明の課題解決手段は、インパクトクラッシャやジョークラッシャ等、他の形式の破砕機にも適用可能なものである。従って、本発明に係る被破砕物の破砕手法は、破砕コーン以外の他の破砕手段にも効果的である。更には、以下に説明するように、本発明に係る破砕コーンは、他の可動式破砕手段にも適用可能である。
【0010】
本発明の1つの実施の形態において、破砕コーンを作動させるアクチュエータへの入力(供給電力)、及び、破砕機の破砕力の少なくとも一方に基づき、例えば破砕コーン等の、破砕機の破砕手段の回転速度又は周波数を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の実施の形態においては、破砕機によって作り出される被破砕物の破砕片のサイズ分布に基づき、破砕手段の回転周波数が制御されることを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明の1つの実施の形態において、破砕機により処理される被破砕物の量に基づき、破砕機の破砕手段の回転周波数を制御することを特徴とするものである。
【0013】
又、本発明の1つの実施の形態において、破砕機は少なくとも1つのフレームと、1つの破砕手段と、該破砕手段を動かすための1つのアクチュエータとを含むものである。更には、破砕機は、アクチュエータへの入力、及び、破砕力の少なくとも一方を計測する計測手段を含んでいる。この破砕機は、更に、計測データ及び制御データを演算処理する制御ユニットを含んでいる。この制御データは、破砕手段の回転周波数を調整するための調整手段を制御するために用いられる。
【0014】
又、本発明の1つの実施の形態に係る方法は、アクチュエータへの入力、及び、破砕力の少なくとも一方を決定し、このデータを破砕手段の回転周波数の制御に用いるものである。1つの実施の形態では、回転周波数はアクチュエータの回転速度を制御するために調整される。
【0015】
破砕機の破砕手段の回転周波数等は、供給可能な入力の範囲内で、最大の処理能力と効率を達成することが可能な値とされる。この回転周波数は、被破砕物の質及び入力比等の他の要因にも依存するものである。又、回転周波数は、被破砕片の量及び投入率等、他の要因にも影響されるものである。又、回転周波数は、破砕機のセッティングのみならず、破砕片のサイズにも影響を及ぼすものである。
【0016】
いくつかの応用例では、破砕機に供給可能な入力の範囲で、被破砕物の処理能力の最大化を達成し得る、破砕手段の最小回転周波数を決定することを目的としている。
【0017】
又、本発明の1つの実施の形態では、アクチュエータへの入力、及び、破砕力の少なくと一方を連続的に決定し、破砕手段の回転周波数を常時制御するものである。
【0018】
又、本発明の1つの実施の形態では、被破砕物の破砕片のサイズ分布を調整するために、破砕機の周波数を調整するものである。被破砕物の破砕片のサイズ分布は、破砕手段の回転周波数を適宜変化させるように運転することによって、所望の状態に調整されるものである。
【0019】
又、本発明の1つの実施の形態では、被破砕物の回転周波数は、アクチュエータの回転速度に影響を及ぼす周波数変換器によって調整されるものである。
【0020】
又、本発明の1つの実施の形態では、破砕手段の回転周波数の調整は連続的に行われることで、仮に、被破砕物が質/量共に高いレベルにあって短時間で大量に処理される場合であっても、最大の処理能力及び効率を実現するものとなる。
【0021】
更には、本発明の構成では、回転周波数の調整は、実質的に破砕機のストロークとは関連していない。従って、本発明の構成では、例えば破砕機のストロークの長短を問わず、様々な形式の破砕機に適用可能である。
【0022】
本発明に係る破砕手段の周波数の調整手法は、他の制御手法と組み合わせることも可能である。1つの実施例としては、必要に応じ、セッティングの変更に対応して破砕手段の回転周波数を変更するものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係るジャイレトリクラッシャの破砕ユニットを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る破砕機の要部模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る破砕コーンの、回転周波数に応じて変化する破砕力を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る破砕コーンの、回転周波数に応じて変化する処理量を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る破砕コーンの、回転周波数に応じて変化する破砕機の処理能力、及び、アクチュエータへの供給電力を示すグラフである。
【図6】前記回転周波数が、破砕物の破砕片のサイズ分布に及ぼす影響を示す図である。
【図7】前記回転周波数が、破砕物の破砕片のサイズ分布に及ぼす影響を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る破砕コーンの、回転周波数が破砕機の処理能力に及ぼす影響を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の各図面には、本発明の更なる詳細が開示されている。しかしながら、これらの構造及び詳細は、本発明を理解する上で必須のものではなく、又、本発明の特徴部分を明確化するために、各図には従来技術に相当する部分を省略して示している。
【0025】
本発明の実施の形態では、一例としてコーンクラッシャを挙げて詳細に説明するが、ここで開示される本発明の構成は、インパクトクラッシャ、ジョークラッシャ等の他の形式の破砕機にも適用可能である。又、本説明では、破砕コーンに関連する構成は、ジョークラッシャのクラッシュジョー等の、他の可動式破砕手段にも適用可能である。
【0026】
図1に示されたコーンクラッシャユニット1は、垂直偏心軸2及びその内部に形成された傾斜孔を含んでいる。又、主軸3が垂直偏心軸2の傾斜孔に装着され、また、保持コーン4が主軸3に装着されている。そして、摩滅部材として用いられる通称インナクラッシュブレード5が、保持コーン4に装着されている。保持コーン4は破砕機のフレーム6に囲まれ、フレーム6には、摩滅手段として機能する通称アウタクラッシュブレード7が装着されている。これらインナクラッシュブレード5及びアウタクラッシュブレード7によって破砕室8が構成され、ここに供給された被破砕物が破砕される。偏心軸2が回転すると、主軸3及びそれに伴い保持コーン4のすりこぎ状の振動が起こり、回転中、インナクラッシュブレード5及びアウタクラッシュブレード7の各点間の間隙を変化させる。回転中に生じる最小の間隙は、コーンクラッシャのセッティングSと称され、最大の間隙と最小の間隙との差は、破砕機のストロークと称される。破砕機の運転速度のみならず、破砕機のセッティング及び破砕機のストロークは、被破砕物の破砕片のサイズ分布、破砕機の処理能力等、他の事項にも影響を与えるものである。
【0027】
本説明において、用語「回転周波数」は、インナクラッシュブレード5及びアウタクラッシュブレード7の各点間の間隙を変化させる速さを定義するものとして用いられている。例えば、回転周波数が60であるとき、インナクラッシュブレード5の先端部分の軌道上で秒速60回転、換言すれば毎分3600回転する。
【0028】
図2には、電動モータ等の、コーンクラッシャユニット1に求められる動力エネルギーを発生させるアクチュエータ10が示されている。図1の構成において、アクチュエータ10の動作は、ドライブシャフト9を介して垂直偏心軸2に伝達される。例えば、アクチュエータ10は、調整手段11から、アクチュエータの回転速度を調整するための入力信号を受信する。好適な実施の形態では、調整手段11は周波数変換器であり、アクチュエータ10に供給される交流電流の周波数を変更し、それによって電動モータの回転速度を変更するために用いられる。
【0029】
又、図2には、アクチュエータ10への供給電力を計測する第1の計測手段12と、破砕力を計測する第2の計測手段13とが示されている。第1、第2の計測手段12、13は様々な測定手法を採用することが可能である。例えば、アクチュエータ10が電動モータである場合には、それに対する供給電力を計測するために、電力測定方法又は電流測定方法を採用することができる。又、第1、第2の計測手段12、13の配置は、実施態様に応じて適宜決定される。例えば、アクチュエータ10の出力は、制御手段11の前後のいずれにおいても計測可能である。一例としては、出力計測手段12は、制御手段11に接続する態様で配置される。
【0030】
更には、破砕力ついても、実施態様に応じて、様々な手法でかつ様々な状況で決定及び計測を行うことが出来る。いくつかの破砕機では、「セッティング」を調整するために用いられる手段によって、破砕力が決定される。例えば、ジャイレトリクラッシャの破砕力は、制御シリンダの圧力を計測することにより決定される。又、コーンクラッシャには、破砕力に比例する圧力のシリンダを付与することもできる。破砕力は、反作用力を計ることによって、測定することが出来る。例えば、圧力計測手段又は反作用力計測手段が、第2の計測手段13に用いられる。
【0031】
又、第1、第2の計測手段12、13は、異なる変数を計測する様々な形態の計測センサにより構成することが出来る。これらの計測センサにより得られるデータは、アクチュエータ10への供給電力、及び、破砕力の少なくとも一方を算出するために用いられる。
【0032】
又、図2に示される制御ユニット14によって、第1の計測手段12、及び、第2の計測手段13の少なくとも一方から得られたデータを変換する。制御ユニット14は、第1の計測手段12、及び、第2の計測手段13の計測データの少なくとも一方を、好ましくはソフトウェアを用いて計算する。かかるデータに基づき、制御ユニット14は調整手段11を制御するための制御データを演算する。調整手段11は、電動モータの回転速度等のアクチュエータ10の速度を制御する。アクチュエータ10によって生み出される動力は、ドライブシャフト9、垂直偏心軸2及び主軸3を介して保持コーン4に伝達され、この際、アクチュエータの速度が変更されることで、保持コーン及びインナクラッシュブレード5の回転周波数が変更される。
【0033】
好ましくは、アクチュエータ10への供給電力、及び、破砕力の少なくとも一方は連続的に決定され、アクチュエータ10の回転速度とそれに応じた破砕コーン4とインナクラッシュブレード5の回転周波数も、連続的に制御される。本説明では、この連続的な決定及び制御は、一秒間に数回実行されることが推奨されている。1つの実施の形態では、アクチュエータ10への供給電力、及び、破砕力の少なくとも一方は、一定間隔を空けて連続的に実行され、瞬時に行われる一回の決定及び制御の実行間隔は、1秒から10秒である。
【0034】
又、単一測定法の誤差の影響を最小限に抑えるために、統計学に基づく数学的処理を様々に実行することが可能である。例えば、与えられた計測時間に係る平均値を計算し、調整のためのデータを得るために用いることが可能である。
【0035】
図3には、一例として、破砕コーン4の回転周波数(RPM)に応じて変化する破砕力をグラフ化して示している。図3のグラフのみならず図4、図5のグラフは、試験装置により実施された破砕作業により得られたものであり、石材を4から10mmのサイズの破砕片に破砕した事例を示している。図3から、破砕コーン4の回転周波数が増加すると破砕力は減少することが理解される。破砕力と周波数とは実質的に直線状の相関関係を有するものである。
【0036】
図4には、同様にして、本破砕機の、破砕コーン4の回転周波数(RPM)に応じた処理量がグラフ化されて示されている。この図には、被破砕物の破砕片の大きさが4mm以下(0/4CAP)、4mmから10mm(4/10CAP)、10mm以上(+10CAP)の場合の各グラフが示されている。この図から、破砕コーン4の回転周波数の増加に伴い、処理量が減少していることが解る。また、この相関関係も実質的に直線状となっている。
【0037】
続いて、図5には、破砕コーン4の回転周波数(RPM)に応じた本破砕機の処理能力及びアクチュエータ10への供給電力がグラフ化されて示されている。この図からは、低い回転周波数では、高い処理能力が得られる反面、より多くの電力が必要となることが解る。同様に、供給電力の低減要求は、高い回転周波数において処理能力の低下を来たすものである。また、この相関関係も実質的に直線状となっている。
【0038】
図6及び図7には、他の破砕条件を一定に維持した状態での、回転周波数が被破砕物の破砕片のサイズ分布に及ぼす影響が示されている。図6には高い回転周波数の場合が、図7には低い回転周波数の場合が示されている。回転周波数が高い場合には、回転周波数が低い場合と比較して、小さいサイズの破砕片が比較的多く含まれている。
【0039】
続いて、図8には、本破砕機の処理能力と破砕手段(破砕コーン)4の回転周波数との相関関係が示されている。この図からは、最高点Nで本破砕機の処理能力が最高になることが解る。必要に応じ、最高点Nを試験、すなわち、回転周波数を変化させて、それと同時に破砕機の処理能力を観察することにより、求めることが可能である。この試験において、処理能力を変えることで、最高点Nを決定することができる。更には、N−Nの周波数帯は、試行により、本破砕機が所望の機能を発揮する周波数とする。
【0040】
何れも破砕コーン4の回転周波数に関連する、上記図3から図8からは、高い処理能力及び効率は、供給される電力に応じて達成されることが読み取れる。この回転周波数は、被破砕物の質や投入率など、他の要素にも起因するものである。又、回転周波数は、破砕機のセッティングのみならず、所望の破砕片のサイズにも影響を受けるものである。
【0041】
図3から図5によれば、アクチュエータ10の供給電力と本破砕機の破砕力とが、破砕コーン4の回転周波数を変化させるに当たり、何れも本質的に作用していることが読み取れる。この理由は、破砕コーン4の回転周波数の調整は、もっぱら、アクチュエータ10への供給電力又は破砕力に起因することによるものだからである。一例として、破砕コーン4の回転周波数の調整は、アクチュエータ10への供給電力及び本破砕機の破砕力の双方に基づくものであり、いくつかのケースでは、様々な変数を監視することにより、適用性の向上が達成されるものである。
【0042】
複数の適用例において、被破砕物の高い処理量を達成する上で、実施可能な範囲の最も低い破砕コーン4の回転周波数に係る破砕機の供給電力を見出すことを目的としている。
【0043】
1つの適用例では、アクチュエータ10への供給電力及び破砕力の少なくとも一方を、それらの最大値を下回るように維持するための、最も低い回転周波数が定められる。その後、回転周波数は決定値に設定される。かかる態様の手順は、図9にフローチャートで示されている。
【0044】
又、1つの実施例では、アクチュエータへの供給電力の最大値が決定され、破砕力及びアクチュエータ10の出力の少なくとも一方を、ほぼ最大値とするように、回転周波数が調整される。
【0045】
1つの実施の形態では、許容し得る、最大の破砕力及びアクチュエータ10への供給電力の少なくとも一方を示すデータ(限界値)が、コンピュータプログラムに含まれている。従って、ソフトウェアによって測定値は限界値と比較され、この比較に基づき回転周波数が調整される。限界値は、試験を通じて、又は、個々に所望の限界値をインプットすることにより決定される。
【0046】
本発明の実施の形態では、破砕コーン4の回転周波数は連続的に調整されることで短時間で様々な大量の被破砕物の破砕を行う場合であっても、最高の破砕工程の効率と、破砕機の稼働率とを実現することができる。
【0047】
又、破砕コーン4の回転周波数を設定するために、セッティングを調整する等、他の制御手法が組み合わされる。1つの実施例としては、クラッシュブレードのセッティングを変更することで、アクチュエータの出力及びコーンクラッシャユニット1の破砕力の少なくとも一方が影響を及ぼすものである。破砕コーン4の回転周波数を調整する解決方法は、アクチュエータへの供給電力及びコーンクラッシャユニット1の破砕力の少なくとも一方に基づくものであり、適切な手法によって、破砕コーンの回転周波数が変更され、必要に応じ、セッティングを変更する際に、そのセッティングに適合されるものである。
【0048】
1つの実施の形態では、破砕機の回転周波数が、被破砕物の破砕片のサイズ分布を調整するために設定される。被破砕物の破砕片のサイズ分布は、破砕機を様々な回転周波数で運転することにより、所望の状態に調整される。例えば、回転周波数は、2つ又はそれ以上の数値の回転周波数の間を、短い間隔で変更されるものである。図6、図7を参照すると、回転周波数が増加することで、破砕片のうちサイズの小さなものの占める割合が増加し、同様に、回転周波数が減少すると、破砕片のうちサイズの大きなものの占める割合が増加する。従って、サイズの大きな破砕片の含有比率を高めるために、回転周波数を減少させることになる。同様にして、サイズの小さな破砕片の含有比率を高めるために、回転周波数を増加させることになる。かかる調整は、計測手段13により適切に行われる、破砕機により処理される破砕片のサイズ分布の測定結果が基礎となる。計測手段13からの計測データを基礎として、制御ユニット14により、所望の破砕片のサイズ分布を得るための制御データが演算される。制御ユニット14から得られる制御データに基づき、破砕手段4の回転周波数が、調整手段11により調整される。
【0049】
上述の、クラッシュブレード4の回転周波数の調整態様は、例えば、ロングストローク又はショートストロークの破砕機のみならず、例えば、インパクトクラッシャやジョークラッシャ等、様々な形式のコーンクラッシャに適用可能である。回転周波数の調整に係る構成は、破砕機のストロークとは実質的に独立したものであり、よって、上述の破砕力及びアクチュエータ10への供給電力の少なくとも一方に基づき調整する手法は、破砕機のストロークに実質的に依存せず、有利なものとなる。
【0050】
なお、本発明は、本発明の技術思想に含まれる範囲内で、上記実施の形態と異なる様々な運転態様、構造を組み合わせ、他の実施の形態を構成することも可能である。従って、本発明は、上記実施の形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術思想の範囲内で、様々に応用された実施形態も含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1:コーンクラッシャユニット、2:垂直偏心軸、3:主軸、4:保持コーン、5:インナクラッシュブレード、6:フレーム、7:アウタクラッシュブレード、8:破砕室、9:ドライブシャフト、10:アクチュエータ、11:調整手段、12:第1の計測手段、13:第2の計測手段、14:制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(6)と、
回転式の破砕手段(4)と、
前記破砕手段を駆動するアクチュエータ(10)と、
計測手段(12、13)と、
該計測手段に接続され、該計測手段からの計測データを処理して制御データを演算する制御ユニット(14)とを少なくとも含む破砕機において、
前記制御ユニット(14)からの制御データに基づき、前記破砕手段(4)の回転周波数を調整する調整手段(11)を備えることを特徴とする破砕機。
【請求項2】
前記アクチュエータ(10)への入力を計測する計測手段(12)を備えることを特徴とする請求項1記載の破砕機。
【請求項3】
前記アクチュエータ(10)への入力を計測する第1の計測手段(12)と、破砕力を計測する第2の計測手段(13)と、前記第1、第2の計測手段からの計測データを処理して制御データを演算する制御ユニット(14)とを含むことを特徴とする請求項1記載の破砕機。
【請求項4】
破砕機によって生み出された被破砕物の破砕片の分布を計測する計測手段(13)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の破砕機。
【請求項5】
調整手段(11)は、前記アクチュエータ(10)の回転速度を変更するために用いられる周波数変換器であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の破砕機。
【請求項6】
前記制御ユニット(14)によって、前記アクチュエータ(10)に対し許容し得る最大入力が決定され、前記制御ユニットによって、前記最大入力となるように前記アクチュエータ(10)に対する入力が調整されることで、前記破砕手段(4)の回転周波数が設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の破砕機。
【請求項7】
前記破砕手段(4)は破砕コーンであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の破砕機。
【請求項8】
フレーム(6)と、
回転式の破砕手段(4)と、
前記破砕手段を駆動するアクチュエータ(10)とを少なくとも含む破砕機の、
前記アクチュエータへの入力と、
破砕力と、
破砕機によって生み出される被破砕物の破砕片の分布、又は、
破砕機によって生み出される被破砕物の量のうちの少なくとも1つに基づき、少なくとも第1のデータを決定する破砕機の制御方法であって、
前記第1のデータに基づき、前記破砕手段(4)を制御することを特徴とする破砕機の制御方法。
【請求項9】
前記アクチュエータ(10)への入力に係る第1のデータと、破砕力に係る第2のデータとを決定し、前記第1、第2のデータに基づき、前記破砕手段(4)の回転周波数を制御することを特徴とする請求項8記載の破砕機の制御方法。
【請求項10】
前記アクチュエータ(10)への入力と破砕力とを連続的に決定し、前記破砕手段(4)の回転周波数の制御を連続的に行うことを特徴とする請求項8又は9記載の破砕機の制御方法。
【請求項11】
前記破砕手段(4)の回転周波数を、周波数変換器(11)によって、前記アクチュエータ(10)の回転速度に影響を与えることで変更することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記載の破砕機の制御方法。
【請求項12】
前記アクチュエータ(10)に対し許容し得る最大入力を決定し、前記最大入力となるように前記アクチュエータに対する入力を調整することで、前記破砕手段(4)の回転周波数を設定することを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載の破砕機の制御方法。
【請求項13】
許容し得る最大破砕力を決定し、前記最大破砕力となるように前記アクチュエータに対する入力を調整することで、前記破砕手段(4)の回転周波数を設定することを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載の破砕機の制御方法。
【請求項14】
前記回転周波数を増大させることにより、サイズの小さい破砕片の相対的な量を増大させ、前記回転周波数を減少させることにより、サイズの大きい破砕片の相対的な量を増大させることを特徴とする請求項8記載の破砕機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−523309(P2010−523309A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501538(P2010−501538)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050193
【国際公開番号】WO2008/122689
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508172395)メッツオ ミネラルズ インク. (6)
【Fターム(参考)】