説明

硫化水素スカベンジャー及びアスファルトから硫化水素を除去する方法

アスファルト中の硫化水素を低減させる方法であって、硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルトに添加することを含んでなる方法が提供される。硫化水素スカベンジャーは、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含んでいる。
2NRNH−(RNH)n−H (I)
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。アスファルトの処理方法及び硫化水素スカベンジャーも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には硫化水素スカベンジャーに関し、さらに詳しくはアスファルト用の硫化水素スカベンジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
原油の精製に際しては、原油蒸留からの残留物としてアスファルト生成物又は重油が生じる。アスファルト生成物は黒色の粘性物質であって、これはさらなる精製によって価値の高いガソリン又はディーゼル油にアップグレードできる。しかし、アスファルト生成物はしばしば硫化水素を含み、アスファルト生成物のアップグレードは硫化水素暴露の危険性を高める。硫化水素は水の存在下で腐食性を示し、非常に低い濃度で有毒であるので、アスファルト生成物のアップグレード前にそれを除去しなければならない。
【0003】
アスファルトは高い温度範囲を有し、現行の商業技術では硫化水素スカベンジャーとして水性トリアジンが使用されている。しかし、これらの水性トリアジン材料は泡立ち、スピッティング及びスピルオーバーの可能性を引き起こすことがある。商業的に入手できる有機系スカベンジャーは高価であり、金属イオンを含むことがある。追加の金属イオンを導入することは、アップグレードされた触媒床との不適合性を生み出すことがある。
【0004】
要望されているのは、アスファルトから硫化水素を除去するための改良された有機系スカベンジャーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許第6444117号明細書
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、アスファルト中の硫化水素を低減させる方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルトに添加することを含んでなる方法が提供される。
【0007】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0008】
別の実施形態では、アスファルトの処理方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルト生成物に添加することを含んでなる方法が提供される。
【0009】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0010】
別の実施形態では、次の式Iのポリ脂肪族アミン及び触媒を含んでなる硫化水素スカベンジャー組成物が提供される。
【0011】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0012】
様々な実施形態によれば、アスファルト用及びアスファルト生成物から硫化水素を除去するための改良方法用の有機系硫化水素スカベンジャーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、アスファルト試料中の硫化水素の量(ppm単位)を時間(分単位)に対して示す棒グラフである。
【図2】図2は、アスファルト試料中の硫化水素の量(ppm単位)を時間(分単位)に対して示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
単数形で記載されたものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。同一の特性についての範囲は、すべてその上下限を含み、独立に結合可能である。引用した文献の開示内容はすべて援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0015】
数量に関して使用される「約」という修飾語は記載された値を含むと共に、(例えば、特定の数量の測定に関連する許容差の範囲を含め)前後関係から指示される意味を有する。
【0016】
「任意の」又は「任意には」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと、或いはその用語に続いて記載された材料が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合或いはその材料が存在する場合、及びその事象又は状況が起こらない場合或いはその材料が存在しない場合を包含する。
【0017】
一実施形態では、アスファルト中の硫化水素を低減させる方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルトに添加することを含んでなる方法が提供される。
【0018】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0019】
アスファルト生成物はしばしば硫化水素を含み、これは腐食性かつ有毒であり、アスファルト生成物をガソリンやディーゼル油のような高価値の生成物にアップグレードする前に除去しなければならない。アスファルトは、原油の蒸留から生じる任意のタイプの原油残留物又は重油である。それは、約500〜約1100°Fの温度範囲内の沸点を有する重質中間体又は完成製品である。アスファルトはある範囲の硫化水素含有量を含むことがあるが、いかなるレベルの硫化水素も処理できる。
【0020】
硫化水素スカベンジャーは、アスファルトからの硫化水素の抑制及び除去を行う。それはポリ脂肪族アミンを含む有機系組成物である。ポリ脂肪族アミンは次の式Iのものである。
【0021】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0022】
一実施形態では、nは約0〜約10である。別の実施形態では、nは約1〜約5である。
【0023】
一実施形態では、脂肪族基はアルキル、アルケニル又はアルコキシである。脂肪族基は直鎖又は枝分れ鎖であってよく、置換又は非置換のものであってよい。一実施形態では、脂肪族基は、ハロゲン基、アルキルオキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基及びメルカプト基のような1以上の有機基又は無機基で置換されている。一実施形態では、ハロゲン基はクロロ、ブロモ又はヨードである。
【0024】
別の実施形態では、脂肪族基はC1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基又はC1〜C30アルコキシ基である。一実施形態では、アルキル基はメチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、イソプロピル、ペンチル又はヘキシルである。別の実施形態では、アルコキシ基はメトキシ、エトキシ又はイソプロポキシである。別の実施形態では、アルケニル基はエチレン、メチルエチレン、トリメチレン、フェニルエチレン又はプロピレンである。
【0025】
一実施形態では、ポリ脂肪族アミンはポリアルキレンアミンである。別の実施形態では、ポリアルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン又はN−タロープロピレンジアミンである。
【0026】
スカベンジャー組成物は、任意適宜の方法でアスファルトに添加される。一実施形態では、スカベンジャー組成物は例えば計量ポンプシステムを用いてアスファルト中に注入される。スカベンジャー組成物はアスファルトに連続的に添加することもできるし、或いは1以上のバッチモードで添加し、反復添加を行うこともできる。
【0027】
スカベンジャー組成物は、アスファルト中の硫化水素レベルを低下させるのに十分な任意の量でアスファルトに添加される。一実施形態では、スカベンジャー組成物はアスファルトの重量を基準にして約50〜約3000重量ppmの量で添加される。別の実施形態では、スカベンジャー組成物はアスファルトの重量を基準にして約50〜約1000重量ppmの量で添加される。
【0028】
スカベンジャー組成物は、アスファルト中に含まれる硫化水素レベルを顕著に低下させる。残留硫化水素の実際の量は出発量に応じて変化する。一実施形態では、硫化水素レベルはアスファルトの重量を基準にして10重量ppm以下に低下する。別の実施形態では、硫化水素レベルはアスファルトの重量を基準にして2重量ppm以下に低下する。別の実施形態では、硫化水素レベルはアスファルトの重量を基準にして1重量ppm未満に低下する。
【0029】
硫化水素スカベンジャー組成物は、任意には溶媒を含み得る。溶媒は、スカベンジャー組成物をアスファルト生成物中に分散させるのを助ける。溶媒は、ポリ脂肪族アミンとの混和性及び高い引火点を有する任意の溶媒である。一実施形態では、溶媒は200°F以上の引火点を有する。一実施形態では、溶媒には、特に限定されないが、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートがある。
【0030】
一実施形態では、溶媒はポリ脂肪族アミンの重量を基準にして約0〜約300重量%の量で添加できる。別の実施形態では、溶媒はポリ脂肪族アミンの重量を基準にして約0〜約150重量%の量で添加される。別の実施形態では、溶媒はポリ脂肪族アミンの重量を基準にして約0〜約80重量%の量で添加される。
【0031】
別の実施形態では、硫化水素スカベンジャーはポリ脂肪族アミン及び触媒を含んでなる組成物である。触媒はスカベンジャー組成物の効力を高め、硫化水素の除去を向上させる。触媒は任意適宜の第四級アンモニウム塩であってもよい。一実施形態では、触媒は次の式IIのものである。
【0032】
1234+- II
式中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、Xはハロゲン化物イオン又はメチルスルフェートイオンである。一実施形態では、ハロゲン化物イオンは塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。別の実施形態では、触媒はアルキルベンジルアンモニウムクロリド又はベンジルココアルキルジメチル第四級アンモニウムクロリドである。別の実施形態では、触媒には、特に限定されないが、ジココジメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチル第四級アンモニウムメチルクロリド、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキル第四級アンモニウムクロリド、ジメチル(2−エチル)タローアンモニウムメチルスルフェート及び水素化タローアルキル(2−エチルヘキシル)ジメチル第四級アンモニウムメチルスルフェートがある。
【0033】
一実施形態では、スカベンジャー組成物は、組成物の重量を基準にして約20〜約98重量%のポリ脂肪族アミン、約2〜約20重量%の触媒及び0〜約78重量%の溶媒を含む。別の実施形態では、スカベンジャー組成物は、組成物の重量を基準にして約50〜約97重量%のポリ脂肪族アミン、約3〜約10重量%の触媒及び0〜約47重量%の溶媒を含む。
【0034】
スカベンジャー組成物は、任意には他の化合物、例えばアミン分散剤、腐食防止剤、界面活性剤などを含み得る。一実施形態では、界面活性剤はアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又はこれらの組合せを包含する。
【0035】
スカベンジャー組成物は一配合物としてアスファルトに添加してもよいし、或いはポリ脂肪族アミン及び他の成分をアスファルトに別々に添加してもよい。触媒、溶媒又は他の添加剤のような任意成分は、別々に添加してもよいし、ポリ脂肪族アミンと共に一配合物を形成してもよいし、或いは他のプレブレンドした後にアスファルトに添加してもよい。一実施形態では、スカベンジャー組成物の成分は全部をまとめてブレンドした後にアスファルトに添加される。
【0036】
別の実施形態では、アスファルトの処理方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルト生成物に添加することを含んでなる方法が提供される。
【0037】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0038】
一実施形態では、nは約0〜約10である。別の実施形態では、nは約1〜約5である。
【0039】
一実施形態では、脂肪族基はアルキル、アルケニル又はアルコキシである。脂肪族基は直鎖又は枝分れ鎖であってよく、置換又は非置換のものであってよい。一実施形態では、脂肪族基は、ハロゲン基、アルキルオキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基及びメルカプト基のような1以上の有機基又は無機基で置換されている。一実施形態では、ハロゲン基はクロロ、ブロモ又はヨードである。
【0040】
別の実施形態では、脂肪族基はC1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基又はC1〜C30アルコキシ基である。一実施形態では、アルキル基はメチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、イソプロピル、ペンチル又はヘキシルである。別の実施形態では、アルコキシ基はメトキシ、エトキシ又はイソプロポキシである。別の実施形態では、アルケニル基はエチレン、メチルエチレン、トリメチレン、フェニルエチレン又はプロピレンである。
【0041】
一実施形態では、ポリ脂肪族アミンはポリアルキレンアミンである。別の実施形態では、ポリアルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン又はN−タロープロピレンジアミンである。
【0042】
硫化水素スカベンジャー組成物は、任意には上記に説明したような触媒、溶媒又は他の添加剤を含み得る。
【0043】
別の実施形態では、次の式Iのポリ脂肪族アミン及び触媒を含んでなる硫化水素スカベンジャー組成物が提供される。
【0044】
2NRNH−(RNH)n−H I
式中、Rは脂肪族基であり、nは約0〜約15である。
【0045】
一実施形態では、nは約0〜約10である。別の実施形態では、nは約1〜約5である。
【0046】
一実施形態では、脂肪族基はアルキル、アルケニル又はアルコキシである。脂肪族基は直鎖又は枝分れ鎖であってよく、置換又は非置換のものであってよい。一実施形態では、脂肪族基は、ハロゲン基、アルキルオキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基及びメルカプト基のような1以上の有機基又は無機基で置換されている。一実施形態では、ハロゲン基はクロロ、ブロモ又はヨードである。
【0047】
別の実施形態では、脂肪族基はC1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基又はC1〜C30アルコキシ基である。一実施形態では、アルキル基はメチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、イソプロピル、ペンチル又はヘキシルである。別の実施形態では、アルコキシ基はメトキシ、エトキシ又はイソプロポキシである。別の実施形態では、アルケニル基はエチレン、メチルエチレン、トリメチレン、フェニルエチレン又はプロピレンである。
【0048】
一実施形態では、ポリ脂肪族アミンはポリアルキレンアミンである。別の実施形態では、ポリアルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン又はN−タロープロピレンジアミンである。
【実施例】
【0049】
当業者が本発明を一層容易に実施し得るようにするため、限定ではなく例示を目的として以下に実施例を示す。
【0050】
例1
51mgのジエチレントリアミンを34mgのプロピレングリコール中に分散させることで試料1を調製した。51mgのジエチレントリアミン及び3mgのアルキルベンジルアンモニウムクロリド(Akzo−Nobel社からのARQUAD DMCB−80)を34mgのプロピレングリコール中に分散させることで試料2を調製した。350ppmを超える硫化水素を含む(Conoco Phillips精油所(米国ルイジアナ州ウェストレイク))アスファルト578gに試料1を添加した。このアスファルト821gに試料2を添加した。図1に示すような時間間隔で蒸気相中の硫化水素濃度を測定した。データのばらつきは、H2S蒸気濃度の測定時における±15%の誤差に帰因させることができる。
【0051】
図1は、試料1及び2がアスファルト中の硫化水素含有量を低減及び抑制することを示している。触媒(アルキルベンジルアンモニウムクロリド)の添加は、スカベンジャー組成物の効力を顕著に高める。試料2は、42%多いアスファルト中の硫化水素レベルを効果的に抑制している。
【0052】
例2
51mgの1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを34mgのプロピレングリコール中に分散させることで対照試料Aを調製した。51mgのMA−トリアジン及び3mgのアルキルベンジルアンモニウムクロリド(Akzo−Nobel社からのARQUAD DMCB−80)を34mgのプロピレングリコール中に分散させることで対照試料Bを調製した。350ppmを超える硫化水素を含む(Conoco Phillips精油所(米国ルイジアナ州ウェストレイク))アスファルト578gに対照試料Aを添加した。このアスファルト821gに対照試料Bを添加した。図2に示すような時間間隔で蒸気相中の硫化水素濃度を測定した。データのばらつきは、H2S蒸気濃度の測定時における±15%の誤差に帰因させることができる。
【0053】
図2は、有機系MA−トリアジンを使用した場合、触媒(ARQUAD DMCB−80)は硫化水素スカベンジング効果に影響を与えないことを示している。図2中のデータはまた、対照試料の総合スカベンジングが図1中の試料1及び2によるスカベンジングほど効果的でないことも示している。
【0054】
以上、例示を目的として典型的な実施形態を説明してきたが、上記の記載は本発明の技術的範囲を限定するものと解すべきでない。したがって、当業者には、本発明の技術思想及び技術的範囲から逸脱することなしに様々な修正例、適応例及び代替例が想起できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト中の硫化水素を低減させる方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルトに添加することを含んでなる方法。
2NRNH−(RNH)n−H I
(式中、Rは脂肪族基であり、nは0〜15である。)
【請求項2】
脂肪族基がC1〜C30アルキル、C2〜C30アルケニル又はC1〜C30アルコキシである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリ脂肪族アミンがポリアルキレンアミンである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリアルキレンアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン及びN−タロープロピレンジアミンからなる群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
スカベンジャー組成物がアスファルトの重量を基準にして50〜3000重量ppmの量で添加される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
硫化水素スカベンジャー組成物がさらに溶媒を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
硫化水素スカベンジャー組成物がさらに触媒を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
触媒が次の式IIのものである、請求項7記載の方法。
1234+- II
(式中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基であり、Xはハロゲン化物イオン又はメチルスルフェートイオンである。)
【請求項9】
触媒が、ジココジメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチル第四級アンモニウムメチルクロリド、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキル第四級アンモニウムクロリド、ジメチル(2−エチル)タローアンモニウムメチルスルフェート及び水素化タローアルキル(2−エチルヘキシル)ジメチル第四級アンモニウムメチルスルフェートからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
スカベンジャー組成物が、組成物の重量を基準にして20〜98重量%のポリ脂肪族アミン、2〜20重量%の触媒及び0〜78重量%の溶媒を含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
アスファルトの処理方法であって、次の式Iのポリ脂肪族アミンを含む硫化水素スカベンジャー組成物をアスファルト生成物に添加することを含んでなる方法。
2NRNH−(RNH)n−H I
(式中、Rは脂肪族基であり、nは0〜15である。)
【請求項12】
脂肪族基がC1〜C30アルキル、C2〜C30アルケニル又はC1〜C30アルコキシである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ポリ脂肪族アミンがポリアルキレンアミンである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
ポリアルキレンアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン及びN−タロープロピレンジアミンからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
スカベンジャー組成物がアスファルトの重量を基準にして50〜3000重量ppmの量で添加される、請求項11記載の方法。
【請求項16】
硫化水素スカベンジャー組成物がさらに溶媒を含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
硫化水素スカベンジャー組成物がさらに触媒を含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
触媒が次の式IIのものである、請求項17記載の方法。
1234+- II
(式中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、Xはハロゲン化物イオン又はメチルスルフェートイオンである。)
【請求項19】
触媒が、ジココジメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチル第四級アンモニウムメチルクロリド、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキル第四級アンモニウムクロリド、ジメチル(2−エチル)タローアンモニウムメチルスルフェート及び水素化タローアルキル(2−エチルヘキシル)ジメチル第四級アンモニウムメチルスルフェートからなる群から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
スカベンジャー組成物が、組成物の重量を基準にして20〜98重量%のポリ脂肪族アミン、2〜20重量%の触媒及び0〜78重量%の溶媒を含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
次の式Iのポリ脂肪族アミン及び触媒を含んでなる硫化水素スカベンジャー組成物。
2NRNH−(RNH)n−H I
(式中、Rは脂肪族基であり、nは0〜15である。)
【請求項22】
脂肪族基がC1〜C30アルキル、C2〜C30アルケニル又はC1〜C30アルコキシである、請求項21記載のスカベンジャー組成物。
【請求項23】
ポリ脂肪族アミンがポリアルキレンアミンである、請求項21記載のスカベンジャー組成物。
【請求項24】
ポリアルキレンアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピルエチレンジアミン、テトラブチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサペンチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミン、デカエチレンウンデカミン、デカヘキシレンウンデカミン、ウンデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリデカミン、トリデカエチレンドデカミン、ドデカエチレントリアミン、トリデカエチレンテトラデカミン及びN−タロープロピレンジアミンからなる群から選択される、請求項23記載のスカベンジャー組成物。
【請求項25】
触媒が次の式IIのものである、請求項21記載のスカベンジャー組成物。
1234+- II
(式中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、Xはハロゲン化物イオン又はメチルスルフェートイオンである。)
【請求項26】
触媒が、ジココジメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチル第四級アンモニウムメチルクロリド、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキル第四級アンモニウムクロリド、ジメチル(2−エチル)タローアンモニウムメチルスルフェート及び水素化タローアルキル(2−エチルヘキシル)ジメチル第四級アンモニウムメチルスルフェートからなる群から選択される、請求項25記載のスカベンジャー組成物。
【請求項27】
当該組成物がさらに溶媒を含む、請求項21記載のスカベンジャー組成物。
【請求項28】
スカベンジャー組成物が、組成物の重量を基準にして20〜98重量%のポリ脂肪族アミン、2〜20重量%の触媒及び0〜78重量%の溶媒を含む、請求項27記載のスカベンジャー組成物。
【請求項29】
ポリ脂肪族アミンがジエチレントリアミンであり、触媒がアルキルベンジルアンモニウムクロリドである、請求項7記載の方法。
【請求項30】
スカベンジャー組成物がさらに、200°F以上の引火点を有する溶媒を含む、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−515560(P2011−515560A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501855(P2011−501855)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/033995
【国際公開番号】WO2009/120419
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】