説明

硫黄含有オリゴマーおよびそれから調製された高指数ポリウレタン

本発明は、少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きく、そしてこの2種以上の異なるジエンが(a)少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエン;または(b)少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエン;または(c)少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエン、を含むポリチオールオリゴマーを提供する。本発明の硫黄含有ポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;上述したポリチオールオリゴマーと;および活性水素含有材料とを合わせることによって調製できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄含有ポリウレタンおよびそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどの多数の有機ポリマー材料は、光学レンズ、光ファイバー、窓、ならびに自動車、船舶および航空機の透明部品などの用途においてガラスの代替品および代用品として開発されてきた。これらのポリマー材料は、ガラスに比較して、耐破砕性、所定の用途のためのより軽量さ、成型の容易さおよび着色の容易さを含む長所を提供できる。しかし多数のポリマー材料の屈折率は、ガラスの屈折率に比較して一般に小さい。眼科学的用途においては、低屈折率を有するポリマー材料の使用は、より高い屈折率を有する材料に比較して、より厚いレンズを必要とする。より厚いレンズは望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、当該技術分野においては、高屈折率および良好なアッベ数(Abbe Number)、耐衝撃性/強度、および光透過性を有するポリマー材料を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書のためには、他に特に指示しない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、「約」という用語によってあらゆる場合に修飾されると理解されたい。したがって、反対のことを指示しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載した数的パラメータは、本発明によって入手しようと努められる所望の特性に依存して変動する可能性のある近似値である。少なくとも、そして本特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするのではなく、各数的パラメータは少なくとも、報告された有効数字を考慮に入れ、そして通常の丸め法を適用することにより解釈されるべきである。
【0005】
本発明の広い範囲を説明している数的範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載した数値はできる限り正確に報告されている。しかし任意の数値は、それらの各試験測定において見いだされた標準偏差の結果として必然的に生じる所定の誤差を本質的に含有している。
【0006】
本発明は、少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーを提供する。非限定的な実施形態では、この2種以上の異なるジエンは、
(a)少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエン;または
(b)少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエン;または
(c)少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエン、を含むことができる。
【0007】
1つの非限定的な実施形態では、この(a)の環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、芳香族環含有ジエン、およびそれらの混合物から選択することができる。1つの非限定的な実施形態では、前記(b)の非芳香族環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、およびそれらの混合物から選択することができる。非限定的な実施形態では、前記化学量論比は、1.0:1.0超〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜2.0:1.0、または1.05:1.0〜2.0:1.0、または1.1:1.0〜1.5:1.0、または1.25:1.0〜1.5:1.0であってよい。
【0008】
また別の非限定的な実施形態では、本発明のポリチオールオリゴマーは、2種以上の異なるジエンと、1種以上のジチオールと、および必要に応じて三官能性もしくはより多官能性のポリチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーを含むことができる。
【0009】
1つの非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;ポリチオールオリゴマーと;および活性水素含有材料との反応生成物を含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、このポリチオールオリゴマーは、少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、このジチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この化学量論比は、1.1:1.0〜1.5:1.0であってよい。
【0010】
また別の非限定的な実施形態では、この硫黄含有ポリウレタンを調製するために使用されるポリチオールオリゴマーは、少なくとも2種以上の異なるジエンと、少なくとも1種以上のジチオールと、および必要に応じて三官能性もしくはより多官能性のポリチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーを含むことができる。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、この反応において使用するジエンについて言及する場合は、用語「異なるジエン」には、以下の非限定的な実施形態を含むことができる:
(a)少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエン;
(b)少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエン;または
(c)少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエン。
【0012】
また別の非限定的な実施形態では、この(a)の環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエンまたはそれらの組み合わせもしくは混合物、または芳香族環含有ジエン、またはそれらの混合物を含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この(b)の非芳香族環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含むことができる。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、用語「イソシアネート」および「イソチオシアネート」とは、ブロック化されていない、そしてチオールもしくはヒドロキシル官能基などの反応性基とともに共有結合を形成できる材料をいう。また別の非限定的な実施形態では、本発明のポリイソシアネートは、イソシアネート(NCO)から選択される少なくとも2つの官能基を含有していてよく、そしてポリイソチオシアネートは、イソチオシアネート(NCS)から選択される少なくとも2つの官能基を含有していてよい。また別の非限定的な実施形態では、本発明のポリイソチオシアネートは、イソチオシアネート、ならびにイソシアネートおよびイソチオシアネートの官能基の組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含有していてよい。
【0014】
また別の非限定的な実施形態では、重合した場合の本発明の硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも1.55、または少なくとも1.56、または少なくとも1.57、または少なくとも1.58、または少なくとも1.59、または少なくとも1.60、または少なくとも1.61、または少なくとも1.62、または少なくとも1.65の屈折率を有する重合物(polymerizate)を生成できる。さらにまた別の非限定的な実施形態では、重合した場合の本発明の硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも30、または少なくとも32、または少なくとも34、または少なくとも35、または少なくとも36、または少なくとも38、または少なくとも39、または少なくとも40、または少なくとも44のアッベ数を有する重合物を生成できる。屈折率およびアッベ数は、例えば米国標準試験法(American Standard Test Method:ASTM)番号D542−00などの当該技術分野において知られている方法によって決定され得る。さらに、屈折率およびアッベ数は、知られている様々な機器を用いて決定され得る。本発明の非限定的な実施形態では、屈折率およびアッベ数は、(i)セクション7.3に規定された最小3片の試験片の代わりに1〜2片のサンプル/試験片を試験すること;および(ii)セクション8.1に規定されたとおりに試験に先行してサンプル/試験片を状態調節する代わりに状態調節していないサンプルを試験することを除いて、ASTM D542−00に準拠して測定され得る。さらに、1つの非限定的な実施形態では、サンプル/試験片の屈折率およびアッベ数を測定するためには、Atago社製DR−M2型多波長デジタル式アッベ屈折計を使用できる。
【0015】
1つの非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタンは、
(a)ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネートと;少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、を反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)この硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させてこの硫黄含有ポリウレタンを形成する工程と、によって調製できる。
【0016】
また別の非限定的な実施形態では、この硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成するために使用されるこの(a)の活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この(a)のジチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この(b)のポリチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。
【0017】
代替的な非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタンは、
(a)ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネートと;および少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと、を反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)この硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させてこの硫黄含有ポリウレタンを形成する工程と、によって調製できる。
【0018】
また別の非限定的な実施形態では、(a)は、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料をさらに含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、このポリチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この(b)の活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、このジチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。
【0019】
また別の非限定的な実施形態では、イソシアネート末端硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートの量および活性水素含有材料の量は、(NCO):(SH+OH)の当量比が1.0:1.0より大きくなり得るように、または少なくとも2.0:1.0、または少なくとも2.5:1、または4.5:1.0未満、または5.5:1.0未満であってよいように選択することができる。
【0020】
また別の非限定的な実施形態では、イソチオシアネートもしくはイソシアネート/イソチオシアネート末端硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるポリイソチオシアネートもしくはポリイソシアネートとポリイソチオシアネートとの混合物の量および活性水素含有材料の量は、(NCO+NCS):(SH+OH)の当量比が1.0:1.0より大きくなり得るように、または少なくとも2.0:1.0、または少なくとも2.5:1、または4.5:1.0未満、または5.5:1.0未満であってよいように選択することができる。
【0021】
非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンを形成するためのイソシアネート末端硫黄含有ポリウレタンプレポリマーの量およびこのプレポリマーと反応させられる活性水素含有材料の量は、(OH+SH):(NCO)の当量比が1.1:1.0〜0.85:1.0、または1.1:1.0〜0.90:1.0、または1.0:1.0〜0.85:1.0、または1.0:1.0〜0.90:1.0であるように選択することができる。
【0022】
非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンを形成するためのイソチオシアネートもしくはイソシアネート/イソチオシアネート末端硫黄含有ポリウレタンプレポリマーの量およびこのプレポリマーと反応させられる活性水素含有材料の量は、(OH+SH):(NCS+NCO)の当量比が1.1:1.0〜0.85:1.0、または1.1:1.0〜0.90:1.0、または1.0:1.0〜0.85:1.0、または1.0:1.0〜0.90:1.0であるように選択することができる。
【0023】
本発明の硫黄含有ポリウレタンの調製において有用であるポリイソシアネートおよびポリイソチオシアネートは、極めて多くあり、広範囲に変動する。本発明において使用するために適切なポリイソシアネートは、高分子およびC〜C20の直鎖状、分枝状、脂環式および芳香族のポリイソシアネートを含むことができるが、それらに限定されない。本発明において使用するために適切なポリイソチオシアネートは、高分子およびC〜C20の直鎖状、分枝状、環式および芳香族のポリイソチオシアネートを含むことができるが、それらに限定されない。非限定的な例には、ウレタン結合(−NH−C(O)−O−)、チオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)、チオカルバメート結合(−NH−C(S)−O−)、ジチオウレタン結合(−NH−C(S)−S−)およびそれらの組み合わせから選択されるバックボーン結合を有するポリイソシアネートおよびポリイソチオシアネートを含むことができる。
【0024】
ポリイソシアネートおよびポリイソチオシアネートの分子量は、広範囲に変動してよい。また別の非限定的な実施形態では、各々の数平均分子量(M)は、少なくとも100g/モル、または少なくとも150g/モル、または15,000g/モル未満、または5,000g/モル未満であってよい。数平均分子量は、知られている方法を用いて決定できる。本明細書および特許請求の範囲において列挙した数平均分子量値は、ポリスチレン標準物質を用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。
【0025】
適切なポリイソシアネートおよびポリイソチオシアネートの非限定的な例は、本明細書に参照により援用されるWO2004/060951A1の第0014〜0035段落に記載されたものを含み得るが、それらに限定されない。
【0026】
さらにまた別の代替的な非限定的な実施形態では、ポリイソシアネートは、メタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル−ベンゼン);3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート;4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート);メタ−キシリレンジイソシアネート;およびそれらの混合物を含むことができる。
【0027】
本発明の非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンは、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネートとポリチオールオリゴマーとを反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;およびこの硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを活性水素含有材料と反応させてこの硫黄含有ポリウレタンを形成する工程とによって調製できる。
【0028】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールオリゴマーは、少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオールとの反応によって形成することができるが、ここで、このポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、1.0:1.0より大きい。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、このポリチオールオリゴマーを調製するために使用されるジエンについて言及する場合は、用語「異なるジエン」は、様々な点のいずれか1つにおいて相互に異なっていてよいジエンを指すことができる。非限定的な実施形態では、「異なるジエン」は、以下の3つの点のうちの1つにおいて相互に異なっていてよい:(a)非環式対環式;(b)芳香族対非芳香族環含有;または(b)非芳香族単環式対非芳香族多環式。非限定的な実施形態では、この少なくとも2種以上の異なるジエンは、
(a)少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエンであって、ここで、この環式ジエンの非限定的な例は、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエンもしくはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない非芳香族環含有ジエン、または芳香族環含有ジエン、もしくはそれらの混合物を含むことができる、少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエン;または
(b)少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエンであって、ここで、この非芳香族環式ジエンの非限定的な例は非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、もしくはそれらの混合物を含むことができる、少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエン;または
(c)少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエン、を含むことができる。
【0030】
2種以上の異なるジエンは各々、直鎖状および/または分枝状の脂肪族非環式ジエンを含む非環式ジエン;非芳香族環含有ジエンを含む非芳香族環含有ジエンであって、ここで二重結合は環内に含有されていても含有されていなくても、またはそれらの組み合わせであってよく、そしてこの非芳香族環含有ジエンは非芳香族単環式基もしくは非芳香族多環式基またはそれらの組み合わせを含有していてよい、非芳香族環含有ジエン;芳香族環含有ジエン;または複素環式環含有ジエン;またはそのような非環式基および/または環式基の任意の組み合わせを含有するジエン、から独立して選択されてよく、ここで、この2種以上の異なるジエンは、必要に応じてチオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよい;ただし、このジエンは、ポリチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成することができる二重結合を含有しており、そしてこのジエンの少なくとも2つ以上は相互に異なることを前提とする;そして1種以上のジチオールは各々、直鎖状および/または分枝状の非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環基、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含有するジチオールから独立して選択されてよく、ここで、この1種以上のジチオールは各々、必要に応じてチオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよい;およびここで、このポリチオールオリゴマーを調製するために使用される全ジチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、1.0:1.0より大きい。本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、用語「当量数」は、特定のジエンもしくはポリチオールのモル数にこのジエンもしくはポリチオールの1分子当たりのチオール基もしくは二重結合基の平均数を掛けた数を指す。
【0031】
非限定的な実施形態では、本発明のポリチオールオリゴマーを調製するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、1.0:1.0超〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜2.0:1.0、または1.05:1.0〜2.0:1.0、または1.1:1.0〜1.5:1.0、または1.25:1.0〜1.5:1.0であってよい。
【0032】
別の非限定的な実施形態では、このポリチオールオリゴマーを調製するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、(n+1):(n)(ここで、nは2〜30の整数を表すことができる)であってよい。
【0033】
少なくとも2種以上の異なるジエンの群と少なくとも1種以上のジチオールの群とからなる反応混合物およびこのポリチオールオリゴマーを調製するために使用されるジエンおよびジチオール各々の対応する当量数は、以下のスキームI:
スキームI.
【0034】
【化2】

(ここで、D〜Dは、2種以上の異なるジエンを表し、xは、2以上の整数であり、存在する異なるジエンの総数を表す;d〜dは、各々対応するジエンの当量数を表す;T〜Tは、1種以上のジチオールを表す;t〜tは、各々対応するジチオールの当量数を表す;およびyは、1以上の整数であり、存在するジチオールの総数を表す)に示したようにかくことができる。
【0035】
1つの非限定的な実施形態では、少なくとも2種以上の異なるジエンの群および各ジエンの対応する当量数は、用語「d」(例えば、上記のスキームIに示したようにd〜d)によって記載することができ、ここで、Dはi番目のジエンを表し、dはDの当量数を表し、iは1〜xに及ぶ整数であってよく、ここで、xは、2以上の整数であり、存在する異なるジエンの総数を規定している。さらに、存在する全ジエンの当量数の合計は、式(I):
【0036】
【化3】

(ここで、i、x、およびdは、上記に規定したとおりである)によって規定される用語「d」によって表すことができる。
【0037】
同様に、少なくとも1種以上のジチオールの群および各ジチオールの対応する当量数は、用語「t」(例えば、上記のスキームIに示したように、t〜t)によって記載することができるが、ここで、Tはj番目のジチオールを表し、tは対応するジチオールTの当量数を表し、jは1〜yの範囲内の整数であり、ここで、yは存在するジチオールの総数を規定する整数であり、yは、1以上の数値を有する。さらに、存在する全ジチオールの当量数の合計は、式(II):
【0038】
【化4】

(ここで、j、y、およびtは、上記に規定したとおりである)によって規定される用語「t」によって表すことができる。
【0039】
存在する全ジチオールの当量数の合計の、存在する全ジエンの当量数の合計に対する比率は、用語「t:d」によって特徴付けることができ、ここで、tおよびdは上記に規定したとおりである。比率t:dは、1:1より大きい数値を有していてよい。非限定的な実施形態では、比率t:dは、1.0:1.0超〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜3.0:1.0、または1.01:1.0〜2.0:1.0、または1.05:1.0〜2.0:1.0、または1.1:1.0〜1.5:1.0、または1.25:1.0〜1.5:1.0の範囲内の数値を有していてよい。
【0040】
当該技術分野において知られているように、所定セットのジエンおよびジチオールについては、ポリチオールオリゴマーが調製される反応中に様々な分子量を備えるオリゴマー分子の統計的混合物が形成され、ここで、結果として生じる混合物の数平均分子量は、ジエンおよびジチオールの分子量、ならびにこのポリチオールオリゴマーを調製するために使用される反応混合物中に存在するジエンとジチオールとの相対当量比もしくはモル比に基づいて計算および予測することができる。同様に当業者には知られているように、上記のパラメータは、ポリチオールオリゴマーの数平均分子量を調整するために変動させることができる。以下は仮想例である:上記に規定したxの数値が2であり、yの数値が1であり、そしてジエンが100の分子量(MW)を有し、ジエンが150の分子量を有し、ジチオールが200の分子量を有し、そしてジエン、ジエン、およびジチオールが以下のモル量:ジエンが2モル、ジエンが4モル、およびジチオールが8モルで存在する場合は、結果として生じるポリチオールオリゴマーの数平均分子量(M)は、以下のように計算される:
={(モル数ジエン1×MWジエン1)+(モル数ジエン2×MWジエン2)+(モル数ジチオール×MWジチオール)}/m;
ここで、mは、最小モル量で存在する材料のモル数である。
={(2×100)+(4×150)+(8×200)}/2
=1,200g/モル。
【0041】
1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーは、ジエンおよびジエンとジチオールとの反応から製造される、以下のスキームIIにおける式(AA’)に示したポリチオールオリゴマーであってよく、ここで、R、R、R、およびRは、H、メチル、もしくはエチルから独立して選択されてよく、そしてRおよびRは、直鎖状および/または分枝状の脂肪族非環式部分;非芳香族単環式部分もしくは非芳香族多環式部分またはそれらの組み合わせを含む非芳香族環含有部分;芳香族環含有部分;もしくは複素環式環含有部分;またはそのような非環式および/もしくは環式基の任意の組み合わせを含有する部分から独立して選択されてよい;ただし、ジエンおよびジエンは相互から異なっており、そしてジチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成できる二重結合を含有することを前提とし;そしてRは、直鎖状および/または分枝状の非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環式基、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含有する二価の基から選択することができ;そしてR、R、およびRは、必要に応じてエーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよく;そしてnは、1〜20の範囲内の整数である。
【0042】
スキームII
【0043】
【化5】

第2の非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーは、ジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)とジチオールとの反応から製造される、以下のスキームIIIにおける式(AA’’)に示したポリチオールオリゴマーであってよく、ここで、RおよびRは、H、メチル、もしくはエチルから独立して選択されてよく、そしてRは、直鎖状および/または分枝状の脂肪族非環式部分;非芳香族単環式環含有部分;芳香族環含有部分;または複素環式環含有部分から選択されてよいか;またはそのような非環式および/または環式基の任意の組み合わせを含有する部分を含むことができる;ただし、ジエンは、VNBとは異なっており、そしてジチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成できる二重結合を含有することを前提とし;そしてRは、直鎖状および/または分枝状の非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環式基、またはそれらの組み合わせを含有する二価の基から選択することができ;そしてRおよびRは、必要に応じてエーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよく;そしてnは、1〜20の範囲内の整数である。
【0044】
スキームIII
【0045】
【化6】

第3の非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーは、ジエンおよび4−ビニル−1−シクロヘキセン(VCH)とジチオールとの反応から製造される、以下のスキームIVにおける式(AA’’’)に示したとおりであってよく、ここで、RおよびRは、H、メチル、もしくはエチルから独立して選択されてよく、そしてRは、直鎖状および/または分枝状の脂肪族非環式部分;非芳香族多環式環含有部分;芳香族環含有部分;または複素環含有部分;またはそのような非環式および/または環式の基の任意の組み合わせを含有する部分から選択されてよい;ただし、ジエンは、VCHとは異なっており、そしてジチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成できる二重結合を含有することを前提とする;そしてRは、直鎖状および/または分枝状の非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環式基、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含有する二価の基から選択することができ;RおよびRは、必要に応じてチオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよく;そしてnは、1〜20の範囲内の整数である)に描出したポリチオールオリゴマーであってよい。
【0046】
スキームIV
【0047】
【化7】

また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、少なくとも2種以上の異なるジエンと少なくとも1種以上のジチオール、および必要に応じて、1種以上の三官能性もしくはより多官能性のポリチオールとの反応によって形成されたポリチオールオリゴマーを含んでいてよい;およびここで、このポリチオールオリゴマーを調製するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、1.0:1.0より大きい。
【0048】
非限定的な実施形態では、この2種以上の異なるジエンは各々、直鎖状および/または分枝状の脂肪族非環式ジエンを含む非環式ジエン;非芳香族環含有ジエンを含む非芳香族環含有ジエンであって、ここで、二重結合は環内に含有されていても環内に含有されていなくても、またはそれらの組み合わせであってよく、そしてここで、この非芳香族環含有ジエンは非芳香族単環式基もしくは非芳香族多環式基またはそれらの組み合わせを含有していてよい、非芳香族環含有ジエン;芳香族環含有ジエン;複素環式環含有ジエン;またはそのような非環式および/または環式の基の任意の組み合わせを含有するジエンから独立して選択されてよく;そしてここで、この2種以上の異なるジエンは必要に応じてチオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを含有していてよい;ただし、このジエンはポリチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成することができる二重結合を含有しており、そしてこのジエンの少なくとも2つ以上は相互に異なることを前提とする。また別の非限定的な実施形態では、この1種以上のジチオールは各々、直鎖状および/または分枝状の非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環式基、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含有するジチオールから独立して選択されてよく;そしてこの1種以上のジチオールは各々、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを必要に応じて含有していてよい。また別の非限定的な実施形態では、この三官能性もしくはより多官能性のポリチオールは、非環式脂肪族基、脂環式基、アリール基、アリール−アルキル基、複素環式基、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含有するポリチオールから独立して選択されてよく;そしてこの三官能性もしくはより多官能性のポリチオールは各々、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、もしくはチオウレタン結合、もしくはハロゲン置換基、またはそれらの組み合わせを必要に応じて含有していてよい。
【0049】
ポリチオールオリゴマーを調製する際に使用するために適切なジチオールは、当該技術分野において知られている広範囲から選択することができる。非限定的な例は、本明細書に開示したものを含むことができる。ポリチオールオリゴマーを調製する際に使用するための適切なジチオールのまた別の非限定的な例は、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、2−メルカプトエチルスルフィド(DMDS)、メチル−置換2−メルカプトエチルスルフィド、ジメチル−置換2−メルカプトエチルスルフィド、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタンおよび1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンを含むことができるが、それらに限定されない。また別の非限定的な実施形態では、ジチオールは、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンテンジメルカプタン(DPDM)、およびそれらの混合物であってよい。
【0050】
ポリチオールオリゴマーを調製する際に使用するために適切な三官能性もしくはより多官能性のポリチオールは、当該技術分野において知られている広範囲から選択することができる。非限定的な例は、本明細書に開示したものを含むことができる。ポリチオールオリゴマーを調製する際に使用するために適切な三官能性もしくはより多官能性のポリチオールのまた別の非限定的な例には、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート)、本明細書に開示した式(IV’i)、(IV’m)、(IV’p)、(IV’q)に描出した構造を備える三官能性ポリチオール、またはそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0051】
ポリチオールオリゴマーを調製する際に使用するために適切なジエンは、広範囲に変動してよく、当該技術分野において知られているものから選択することができる。適切なジエンの非限定的な例には、非環式非共役ジエン、非環式ポリビニルエーテル、アリル−およびビニル−アクリレート、アリル−およびビニル−メタクリレート、直鎖状のジオールおよびジチオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステル、ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステル、単環式脂肪族ジエン、多環式脂肪族ジエン、芳香族環含有ジエン、芳香族環ジカルボン酸のジアリルエステルおよびジビニルエステル、ならびにそれらの混合物が含まれ得るが、それらに限定されない。
【0052】
非環式非共役ジエンの非限定的な例は、以下の一般式によって表されるものを含むことができる:
【0053】
【化8】

ここで、Rは、C〜C30の直鎖状、分枝状二価飽和アルキレンラジカル、または炭素原子および水素原子に加えて硫黄、酸素およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有するC〜C30二価有機ラジカルを表すことができる。
【0054】
また別の非限定的な実施形態では、非環式非共役ジエンは、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエンおよびそれらの混合物から選択することができる。
【0055】
適切な非環式ポリビニルエーテルの非限定的な例には、構造式(V’):
CH=CH−−O−−(−−R−−O−−)−−CH=CH (V’)
によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されず、ここで、RはC〜Cのn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン基、または−−[(CH−−)−−O−−]−−(−−CH−−)−−であってよく、mは0〜10の有理数であってよく、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、rは2〜10の整数であってよい。
【0056】
1つの非限定的な実施形態では、mは2であってよい。
【0057】
使用するために適切なポリビニルエーテルモノマーの非限定的な例は、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、およびそれらの混合物などであるがそれらに限定されない、ジビニルエーテルモノマーを含むことができる。
【0058】
適切なアリル−およびビニル−のアクリレートおよびメタクリレートの非限定的な例には、以下の式によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されない:
【0059】
【化9】

ここで、Rは、各々独立して水素またはメチルであってよい。
【0060】
1つの非限定的な実施形態では、アクリレートおよびメタクリレートのモノマーは、アリルメタクリレート、アリルアクリレートおよびそれらの混合物などであるがそれらに限定されないモノマーを含むことができる。
【0061】
直鎖状ジオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステルの非限定的な例には、以下の構造式によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されない:
【0062】
【化10】

ここで、RはC〜C30二価飽和アルキレンラジカル;分枝状二価飽和アルキレンラジカル;または炭素原子および水素原子に加えて硫黄、酸素およびケイ素から選択される少なくとも1つの元素を含有するC〜C30二価有機ラジカルを表すことができ;そしてRは水素もしくはメチルを表すことができる。
【0063】
また別の非限定的な実施形態では、直鎖状ジオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステルは、エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,2−ブタンジオールジアクリレート、1,2−ブタンジオールジメタクリレート、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0064】
ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステルの非限定的な例には、以下の構造式によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されない:
【0065】
【化11】

ここで、Rは水素もしくはメチルを表すことができ、pは1〜5の整数を表すことができる。
【0066】
また別の非限定的な実施形態では、ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジアクリレートエステルおよびジメタクリレートエステルは、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0067】
適切なジエンのまた別の非限定的な例は、以下の構造式によって表されるものなどであるがそれらに限定されない単環式脂肪族ジエンを含むことができる:
【0068】
【化12】

(ここで、XおよびYは各々独立してC1〜10二価飽和アルキレンラジカル;または炭素原子および水素原子に加えて硫黄、酸素およびケイ素の群から選択された少なくとも1つの元素を含有するC1〜5二価飽和アルキレンラジカルを表すことができ;そしてRはH、またはC〜C10アルキルを表すことができる);および
【0069】
【化13】

(ここで、XおよびRは上記に規定したとおりであり得、RはC〜C10アルケニルを表すことができる)。
【0070】
また別の非限定的な実施形態では、単環式脂肪族ジエンは、1,4−シクロヘキサジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、ジペンテンおよびテルピネンを含むことができる。
【0071】
多環式脂肪族ジエンの非限定的な例は、5−ビニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン;ジシクロペンタジエンおよびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0072】
芳香族環含有ジエンの非限定的な例には、以下の構造式によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されない:
【0073】
【化14】

ここで、Rは、水素もしくはメチルを表すことができる。
【0074】
また別の非限定的な実施形態では、芳香族環含有ジエンは、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼンおよびそれらの混合物などのモノマーを含むことができる。
【0075】
芳香族環ジカルボン酸のジアリルエステルの非限定的な例には、以下の構造式によって表されるものを含むことができるが、それらに限定されない:
【0076】
【化15】

ここで、mおよびnは各々独立して0〜5の整数であってよい。
【0077】
また別の非限定的な実施形態では、芳香族環ジカルボン酸のジアリルエステルは、o−ジアリルフタレート、m−ジアリルフタレート、p−ジアリルフタレートおよびそれらの混合物を含むことができる。
【0078】
1つの非限定的な実施形態では、少なくとも1種のポリチオールと2種以上の異なるジエンとの反応は、ラジカル開始剤の存在下で実施できる。本発明において使用するための適切なフリーラジカル開始剤は広範囲に変動してよく、当業者に知られているものを含むことができる。ラジカル開始剤の非限定的な例には、アゾビスアルカレンニトリルなどのアゾもしくは過酸化物タイプのフリーラジカル開始剤を含むことができるが、それらに限定されない。1つの非限定的な実施形態では、フリーラジカル開始剤は、商用名VAZO(商標)の下でDuPont社から市販で入手できるアゾビスアルカレンニトリルであってよい。また別の非限定的な実施形態では、VAZO−52、VAZO−64、VAZO−67、VAZO−88およびそれらの混合物をフリーラジカル開始剤として使用できる。
【0079】
1つの非限定的な実施形態では、フリーラジカル開始剤の選択は、反応温度に依存してよい。1つの非限定的な実施形態では、反応温度は室温から100℃まで変動することがある。さらにまた別の非限定的な実施形態では、Vazo 52は50〜60℃の温度で使用することができ、またはVazo 64もしくはVazo 67は60℃〜75℃の温度で使用でき、またはVazo 88は75〜100℃の温度で使用することができる。
【0080】
少なくとも1種のポリチオールと2種以上の異なるジエンとの反応は、種々の反応条件下で実施できる。また別の非限定的な実施形態では、そのような条件は、ジエンの反応性および結果として生じるポリチオールオリゴマーの所望の構造に依存してよい。
【0081】
1つの非限定的な実施形態では、この少なくとも2種以上の異なるジエンおよびこのポリチオールは、この材料とフリーラジカル開始剤との混合物を形成する工程、およびこのジエンおよびポリチオールを反応させる工程とによって一緒に反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、この材料の混合物の反応は、混合物を加熱して実施することができる。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールおよびフリーラジカル開始剤は合わせることができ、そして結果として生じる混合物は2種以上のジエンの混合物へある期間にわたって比較的少量で加えることができる。
【0082】
また別の非限定的な実施形態では、2種以上の異なるジエンは、フリーラジカル開始下での段階的方法でポリチオールと反応させることができる。非限定的な実施形態では、ポリチオール、1種のジエンおよび必要に応じてフリーラジカル開始剤の混合物を調製できる;ポリチオールおよびジエンおよび必要に応じてフリーラジカル開始剤は二重結合が本質的に消費されるまで反応させることができる;そして次に第2ジエンを、結果として生じる混合物に加えることができ、続いて、混合物へフリーラジカル開始剤を加えることができる。結果として生じる混合物は、次に、二重結合が本質的に消費され事前に計算された(例えば、化学量論に基づいて計算され、滴定によって測定される)理論的SH当量が得られるまで反応させられる。完了のための反応時間は、使用されるジエンの反応性に依存して1時間〜5日間の間で変動してよく、そして反応温度は、使用されるジエンの反応性、ならびに使用されるラジカル開始剤のタイプおよび量に依存して、広範囲に変動してよい。
【0083】
非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーは、ランダム型もしくはブロック型構造(すなわち、このポリチオールオリゴマーの繰り返し単位のランダム型もしくはブロック型のシーケンシング)を含むことができる。
【0084】
非限定的な実施形態では、ランダム型構造;すなわち繰り返し単位のランダムシーケンシングを備えるポリチオールオリゴマーは、少なくとも2種以上の異なるジエン、ポリチオール、およびフリーラジカル開始剤を一緒に反応させる工程によって調製することができる。1つの非限定的な実施形態では、このジエン、このポリチオール、およびフリーラジカル開始剤の混合物を調製し、反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、このポリチオールおよびこのフリーラジカル開始剤の混合物を調製し、ある期間にわたってこのジエンの混合物に加えることができる。
【0085】
また別の非限定的な実施形態では、ブロック型構造;すなわち繰り返し単位のブロック型もしくはブロックシーケンシングを備えるポリチオールオリゴマーは、少なくとも2種以上の異なるジエン、ポリチオール、およびフリーラジカル開始剤を段階的方法で反応させる工程によって調製することができる。1つの非限定的な実施形態では、ポリチオール、1種のジエンおよび必要に応じてフリーラジカル開始剤の混合物を調製できる;ポリチオールおよびジエンおよび必要に応じてフリーラジカル開始剤は二重結合が本質的に消費されるまで反応させることができる;そして次に第2ジエンおよびフリーラジカル開始剤を、結果として生じる混合物に加えることができる;結果として生じる混合物は次に、二重結合が本質的に消費され、事前に計算された理論的SH当量が得られるまで反応させられる。
【0086】
1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールと少なくとも2種以上の異なるジエンとの反応は、触媒の存在下で実施できる。反応において使用するために適切な触媒は、広範囲に変動してよく、当該分野で知られているものから選択することができる。本発明の反応において使用される触媒の量は、広範囲に変動してよく、選択される触媒に依存してよい。1つの非限定的な実施形態では、触媒の量は、反応混合物の0.01重量%〜で5重量%の量で存在してよい。
【0087】
ジエンの混合物がアクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマーを含むことのできる1つの非限定的な実施形態では、アクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマーは塩基性触媒の存在下でポリチオールと反応させることができる。この反応において使用するために適切な塩基性触媒は、広範囲に変動し、当該分野で知られているものから選択することができる。非限定的な例には、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)およびN,N−ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミン塩基が含まれてよいが、それらに限定されない。使用される塩基性触媒の量は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、塩基性触媒は、反応混合物の0.01重量%〜5.0重量%の量で存在してよい。アクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマーとポリチオールとの反応における塩基性触媒の使用は、二重結合重合を実質的に最小限に抑える、または本質的に排除することができる。
【0088】
1つの非限定的な実施形態では、二重結合重合を実質的に最小限に抑えるかまたは本質的に排除するために、アクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマーの二重結合を最初に塩基性触媒反応条件下でポリチオールと反応させ、次に電子が豊富な反応性二重結合ジエンを中間生成物に加え、ラジカル開始条件下で反応させることができる。電子が豊富な反応性二重結合ジエンの非限定的な例は、ビニルエーテル、脂肪族ジエンおよび脂環式ジエンなどであるがそれらに限定されない材料を含むことができる。
【0089】
1つの非限定的な実施形態では、アクリルジエンおよび/またはメタクリルジエンとポリチオールとを塩基性触媒の存在下で反応させ、その後にこの電子が豊富なジエンとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーは、ブロック型コポリマー構造(すなわち、このポリチオールオリゴマーの繰り返し単位のブロック型シーケンシング)を有することができる。
【0090】
また別の非限定的な実施形態では、二重結合重合を実質的に最小限に抑えるかまたは本質的に排除するために、非(メタ)アクリルジエンの二重結合は、最初にフリーラジカル開始条件(例えば、フリーラジカル開始剤の存在下で加熱する)下でジチオールと反応させ、次にアクリルおよび/またはメタクリルの二重結合を有するジエンを中間生成物に加え、塩基性触媒反応条件下で反応させることができる。
【0091】
1つの非限定的な実施形態では、最初に非(メタ)アクリルジエンとポリチオールとをフリーラジカル開始条件下で反応させ、その後にアクリルおよび/またはメタクリルジエンを塩基性触媒反応条件下で反応させることによって形成されるポリチオールオリゴマーは、ブロック型コポリマー構造(すなわち、このポリチオールオリゴマーの繰り返し単位のブロック型シーケンシング)を有することができる。
【0092】
何らかの特定の理論に結び付けられることを意図していないが、ポリチオール、ジエンおよびラジカル開始剤の混合物が加熱されるにつれて、二重結合は、ポリチオールのSH基との反応によって少なくとも部分的に消費されると考えられている。混合物は、二重結合が本質的に消費されてSH含量についての事前に計算された理論値に到達する十分な期間にわたって加熱することができる。1つの非限定的な実施形態では、混合物は、1時間〜5日間の期間にわたり加熱することができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、40℃〜100℃の温度で加熱することができる。
【0093】
結果として生じるポリチオールオリゴマーの数平均分子量(M)は、広範囲に変動してよい。ポリチオールオリゴマーの数平均分子量(M)は、反応の化学量論に基づいて予測できる。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーのMは、400〜10,000g/モル、または1,000〜3,000g/モルの間で変動してよい。
【0094】
結果として生じるポリチオールオリゴマーの粘度は、広範囲に変動してよい。また別の非限定的な実施形態では、粘度は73℃で40cP〜4,000cP、または73℃で40cP〜2,000cP、または73℃で150cP〜1,500cPであってよい。
【0095】
1つの非限定的な実施形態では、ビニルシクロヘキセン(VCH)および1,5−ヘキサジエン(1,5−HD)は一緒に合わされてよく、そして2−メルカプトエチルスルフィド(DMDS)およびラジカル開始剤(例えば、Vazo 52)は一緒に混合することができ、そしてこの混合物は60℃の温度を超えないような速度でジエンの混合物へ滴下することができる。添加が完了した後、この混合物は、二重結合が本質的に消費されてSH含量についての事前に計算された理論値に到達するまで、60℃の温度を維持するために加熱することができる。
【0096】
また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーは、以下のジエンおよびポリチオールの組み合わせから調製できる:
(a)5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)およびDMDS;
(b)VNB、ブタンジオールジビニルエーテル(BDDVE)、DMDS;
(c)VNB、DEGDVE、BDDVE、DMDS;
(d)1,3−ジイソプロペニルベンゼン(DIPEB)、DEGDVEおよびDMDS;
(e)DIPEB、VNBおよびDMDS;
(f)DIPEB、4−ビニル−1−シクロヘキセン(VCH)、DMDS;
(g)アリルメタクリレート(AM)、VNB、およびDMDS;
(h)VCH、VNB、およびDMDS;
(i)リモネン(L)、VNB、およびDMDS;
(j)エチレングリコールジメタクリレート(EGDM)、VCH、およびDMDS;
(k)ジアリルフタレート(DAP)、VNB、DMDS;
(l)ジビニルベンゼン(DVB)、VNB、DMDS;
(m)DVB、VCH、DMDS;および
(n)1,5−HD、VCH、DMDS。
【0097】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、少なくとも2種以上の異なるジエンと、少なくとも1種以上のジチオールと、および必要に応じて、1種以上の三官能性もしくはより多官能性のポリチオールの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーを含むことができ、ここで、このジエンは、この少なくとも1種のジエンが少なくとも1.52の屈折率を有し、少なくとも1種のもう1種のジエンが少なくとも40のアッベ数を有しているように選択することができ、そしてこのジエンは、ポリチオールのSH基と反応して共有C−S結合を形成できる二重結合を含有しており;そしてここで、存在する全ポリチオールの当量数の合計の、存在する全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は、1.0:1.0より大きい。また別の非限定的な実施形態では、少なくとも1.52の屈折率を備えるジエンは、少なくとも1種の芳香族環を含有するジエン、および/または少なくとも1つの硫黄含有置換基を含有するジエンから選択することができるが、ただしこのジエンは少なくとも1.52の屈折率を有することを前提とする;そして少なくとも40のアッベ数を備えるジエンは、芳香族環を含有していない環式もしくは非環式のジエンから選択することができるが、ただしこのジエンは少なくとも40のアッベ数を有することを前提とする。さらにまた別の非限定的な実施形態では、少なくとも1.52の屈折率を備えるジエンは、ジアリルフタレートおよび1,3−ジイソプロペニルベンゼンから選択することができる;および少なくとも40のアッベ数を備えるジエンは、5−ビニル−2−ノルボルネン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、リモネン、ジエチレングリオールジビニルエーテル、およびアリルメタクリレートから選択することができる。
【0098】
当該技術分野において知られているように、ポリチオールのSH基の性質は、酸化結合が容易に発生して、ジスルフィド結合の形成をもたらすような性質である。様々な酸化剤は、そのような酸化結合をもたらすことができる。当該技術分野において知られているように、空気中の酸素は、一部の場合は、ポリチオールの貯蔵中にそのような酸化結合をもたらすことがある。当該技術分野において知られているように、チオール基の結合について考えられる機序は、チイルラジカルを形成し、その後のこのチイルラジカルが結合してジスルフィド結合が形成されることを含んでいると考えられている。当該技術分野において知られているように、さらにまた、ジスルフィド結合の形成は、フリーラジカル開始を含んでいる反応条件を含むがそれには限定されない、チイルラジカルの形成をもたらすことができる条件下で発生できると考えられている。
【0099】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールオリゴマーは、このポリチオールオリゴマーを調製するために使用されるジチオールおよび/またはポリチオール中に存在するジスルフィド結合を含有していてよい。また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールオリゴマーは、このポリチオールオリゴマーの合成中に形成されるジスルフィド結合を含有していてよい。また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールオリゴマーは、このポリチオールオリゴマーの貯蔵中に形成されるジスルフィド結合を含有していてよい。
【0100】
また別の非限定的な実施形態では、ポリイソシアネートおよびポリチオールオリゴマーを含有する反応混合物は、少なくとも1つの追加の活性水素含有材料を含むことができる。活性水素含有材料は様々であり、当該技術分野において知られている。非限定的な例は、ポリオールなどであるがそれには限定されないヒドロキシル含有材料;ヒドロキシル官能性ポリスルフィドなどであるそれには限定されない硫黄含有材料、およびポリチオールなどであるがそれには限定されないSH含有材料;ならびにヒドロキシル基とチオール官能基との両方を有する材料を含むことができる。
【0101】
本発明において使用するために適切なヒドロキシル含有材料は、当該技術分野において知られている広範囲の材料を含むことができる。非限定的な例には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシ官能性アクリレートを含有するポリマー、ヒドロキシ官能性メタクリレートを含有するポリマー、アリルアルコールを含有するポリマーおよびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0102】
ポリエーテルポリオールおよびそれらの調製方法は、当業者には知られている。様々なタイプおよび分子量の多数のポリエーテルポリオールは、様々な製造業者から市販で入手できる。ポリエーテルポリオールの非限定的な例は、本明細書に参照により援用されるWO2004/060951A1の第0038〜0040段落に記載されたものを含み得るが、それらに限定されない。
【0103】
本発明において使用するために適切な様々なポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールは、当該技術分野において知られている。適切なポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールには、本明細書に参照により援用されるWO2004/060951A1のそれぞれ、第0041段落および0042段落に記載されたものを含み得るが、それらに限定されない。
【0104】
本発明において使用するためのポリカーボネートポリオールは様々であり、当業者には知られている。適切なポリカーボネートポリオールには、WO2004/060951の第0043段落に記載されたものを含み得るが、それらに限定されない。
【0105】
活性水素含有材料のまた別の非限定的な例には、低分子量の二官能性およびより多官能性のポリオールおよびそれらの混合物を含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、これらの低分子量材料は、500g/モル未満の数平均分子量を有していてよい。さらにまた別の非限定的な実施形態では、選択される低分子量材料の量は、ポリウレタンにおける高度の架橋結合を回避するような量であってよい。二官能性ポリオールは、典型的には、2〜16個、または2〜6個、または2〜10個の炭素原子を含有している。そのような二官能性ポリオールの非限定的な例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、1,3−、2,4−および1,5−ペンタンジオール、2,5−および1,6−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサンおよびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。三官能性もしくは四官能性のポリオールの非限定的な例には、グリセリン、テトラメチロールメタン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、例えばエトキシ化トリメチロールプロパン、プロポキシ化トリメチロールプロパン、エトキシ化トリメチロールエタンなどであるがそれらに限定されないアルコキシ化ポリオール;およびそれらの混合物が含まれてよい。
【0106】
1つの非限定的な実施形態では、活性水素含有材料は、エチレンオキシド−プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド−ブチレンオキシドのブロックを含むブロックポリマーを含んでいてよい。1つの非限定的な実施形態では、活性水素含有材料は、以下の化学式のブロックコポリマーを含んでもよい:
HO−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−H (I’’)
ここで、R〜Rは各々、水素またはメチルを独立して表してよい;a、b、およびcは各々、独立して0〜300の整数であってよい;a、bおよびcは、GPCによって決定したポリオールの数平均分子量が32,000g/モルを超えないように選択される)。また別の非限定的な実施形態では、a、b、およびcは、ポリオールの数平均分子量が、GPCによって決定したポリオールの数平均分子量が10,000g/モルを超えないように選択されてよい。非限定的な実施形態では、a、b、およびcは各々、独立して各々1〜300の整数であってよい。1つの非限定的な実施形態では、R、R、R、およびRは水素であり、そしてRおよびRは各々独立して水素およびメチルから選択されるが、ただしRおよびRは相互に異なることを前提とする。また別の非限定的な実施形態では、RおよびRは水素であり、RおよびRは、RおよびRが相互に異なることを前提として各々独立して水素およびメチルから選択され、そしてRおよびRはRおよびRが相互に異なることを前提として各々独立して水素およびメチルから選択される。
【0107】
さらにまた別の非限定的な実施形態では、BASF社から市販で入手できるPluronic R、Pluronic L62D、Tetronic RもしくはTetronicは、本発明における活性水素含有材料として使用できる。
【0108】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するための活性水素含有材料は、少なくとも200g/モル、または少なくとも350g/モル、または少なくとも700g/モル、または少なくとも900g/モル、または3,000g/モル以下、または5,000g/モル以下、または10,000g/モル、または15,000g/モル以下の数平均分子量を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0109】
本発明において使用するために適切なポリオールの非限定的な例には、本明細書に参照により援用されるWO2004/060951の第17頁第11行〜第18頁第6行の第0050段落に記載されたものなどであるがそれらに限定されない直鎖状もしくは分枝状のアルカンポリオールおよびそれらの混合物を含むことができる。
【0110】
さらに別の非限定的な実施形態では、ポリオールは、2つ以上のヒドロキシ官能基を有するポリウレタンプレポリマーであってよい。そのようなポリウレタンプレポリマーは、本明細書の上記に記載したポリオールおよびポリイソシアネートのいずれかから調製できる。1つの非限定的な例では、OH:NCOの当量比は、ポリウレタンプレポリマーを調製する際に遊離NCO基が本質的に全く生成されないように選択することができる。また別の非限定的な実施形態では、ポリウレタンプレポリマー中に存在するOH対NCO(すなわち、イソシアネート)の当量比は、2.0〜5.5未満のOH/1.0NのCOの量であってよい。
【0111】
また別の非限定的な実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、50,000g/モル未満、または20,000g/モル未満、または10,000g/モル未満、または5,000g/モル未満、または1,000g/モル超または2,000g/モル超の数平均分子量(M)を有していてよい。
【0112】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するための活性水素含有材料は、少なくとも2つのチオール基を有するポリチオールなどであるがそれらに限定されないSH含有材料などの硫黄含有材料を含むことができる。適切なポリチオールの非限定的な例には、脂肪族ポリチオール、脂環式ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環式ポリチオール、ポリマーポリチオール、オリゴマーポリチオールおよびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。硫黄含有活性水素含有材料は、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、ポリスルフィド結合(−S−、ここで、xは少なくとも2、または2〜4である)およびそのような結合の組み合わせを含むがそれらに限定されない結合を有していてよい。本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、用語「チオール」、「チオール基」、「メルカプト」または「メルカプト基」は、イソシアネート基を備えるチオウレタン結合(すなわち、−NH−C(O)−S−)またはイソチオシアネート基を備えるジチオウレタン結合(すなわち、−NH−C(S)−S−)を形成することができる−SH基をいう。
【0113】
適切なポリチオールの非限定的な例には、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ジメルカプトエチルスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、エタンジチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコールジ)ジ(2−メルカプトアセテート)およびポリ(エチレングリコールジ)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、ならびにそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0114】
ポリチオールは、参照により本明細書に援用されるWO2004/060951A1の第0056〜0060段落に記載された材料から選択することができる。ポリチオールは、例えば2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンなどであるがそれには限定されない、以前に開示されたポリチオールから選択することができる。また別の非限定的な実施形態では、硫黄は、結晶状、コロイド状、粉末状の硫黄もしくは硫黄華の形状にあってよく、そして少なくとも95%または少なくとも98%の純度を有していてよい。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールオリゴマーはジスルフィド結合を有していてよく、参照により本明細書に援用されるWO2004/060951A1の第0061段落に記載されたものなどの材料を含むことができる。
【0115】
当該技術分野において知られているように、ポリチオールのSH基の性質は、酸化結合が容易に発生して、ジスルフィド結合の形成をもたらすような性質である。様々な酸化剤は、そのような酸化結合をもたらすことができる。当該技術分野において知られているように、空気中の酸素は、一部の場合は、ポリチオールの貯蔵中にそのような酸化結合をもたらすことがある。当該技術分野において知られているように、チオール基の結合について考えられる機序は、チイルラジカルを形成し、その後のこのチイルラジカルが結合してジスルフィド結合が形成されることを含んでいると考えられている。当該技術分野において知られているように、さらにまた、ジスルフィド結合の形成が、フリーラジカル開始を含んでいる反応条件を含むがそれには限定されない、チイルラジカルの形成をもたらすことができる条件下で発生できると考えられている。
【0116】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、貯蔵中に形成されるジスルフィド結合を含有する種を含むことができる。
【0117】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、このポリチオールの合成中に形成されるジスルフィド結合を含有する種を含むことができる。
【0118】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、参照により本明細書に援用されるWO2004/060951A1の第30頁第31行の第0062〜0093段落に記載されたものを含むことができる。
【0119】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、このジチオールのSH基とこのジエンの二重結合基とのチオール−エンタイプの反応を介して、ジチオールとジエンとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーを含むことができる。
【0120】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下のとおりの少なくとも1種のオリゴマーポリチオールを含むことができる:
【0121】
【化16】

ここで、Rは、C〜Cのn−アルキレン、未置換もしくは置換のC〜Cアルキレン(ここで、置換基はヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシもしくはエトキシであってよい)、またはC〜Cシクロアルキレンから選択することができ;Rは、C〜Cのn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜C10アルキルシクロアルキレンもしくは−−[(CH−−)−−O−−]−−(−−CH−−)−−から選択することができ;mは0〜10の有理数であってよく、nは1〜20の整数であってよく、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、そしてrは2〜10の整数であってよい。
【0122】
式(IV’f)のポリチオールを調製する様々な方法は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる米国特許6,509,418B1の第4欄第52行〜第8欄第25行までに詳述されている。一般に、このポリチオールは、1種以上のポリビニルエーテルモノマー、および1種以上のポリチオールを含む反応物質を組み合わせることによって調製できる。有用なポリビニルエーテルモノマーには、構造式(V’)によって表されるジビニルエーテルを含むことができるが、それらに限定されない:
CH=CH−−O−−(−−R−−O−−)−−CH=CH (V’)
ここで、RはC〜Cのn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜C10アルキルシクロアルキレンまたは−−[(CH−−)−−O−−]−−(−−CH−−)−−から選択することができ、mは0〜10の有理数であってよく、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、そしてrは2〜10の整数である。
【0123】
1つの非限定的な実施形態では、mは2であってよい。
【0124】
使用するために適切なポリビニルエーテルモノマーの非限定的な例は、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテルおよびそれらの混合物などであるがそれらに限定されないジビニルエーテルモノマーを含むことができる。
【0125】
また別の非限定的な実施形態では、ポリビニルエーテルモノマーは、ポリチオールを調製するために使用される10から50モル%未満、または30から50モル%未満の反応物質を構成することができる。
【0126】
式(V’)のジビニルエーテルは、式(VI’)によって表されるジチオールなどであるがそれには限定されないポリチオールと反応させることができる:
HS−−R−−SH (VI’)
ここで、Rは、C〜Cのn−アルキレン基;ヒドロキシル、例えばメチルもしくはエチルなどのアルキルを含むことができるが、それらに限定されない1種以上のペンダント基を有するC〜C分枝状アルキレン基;アルコキシ;またはC〜Cシクロアルキレンから選択することができる。
【0127】
式(V’)と反応させるために適切なポリチオールのまた別の非限定的な例は、本明細書に式2によって表されるそれらのポリチオールを含むことができる。
【0128】
式(V’)と反応させるために適切なポリチオールの非限定的な例には、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、メチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンおよびそれらの混合物などのジチオールを含むことができるが、それらに限定されない。
【0129】
1つの非限定的な実施形態では、式(V’)と反応するためのポリチオールは、90〜1,000g/モル、または90〜500g/モルの範囲内の数平均分子量を有していてよい。さらにまた別の非限定的な実施形態では、ポリチオールのジビニルエーテルに対する化学量論比は、ポリビニルエーテル1当量対ポリチオール1当量未満であってよい。
【0130】
1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールおよびジビニルエーテル混合物は、さらにまた1種以上のフリーラジカル開始剤を含むことができる。適切なフリーラジカル開始剤の非限定的な例には、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などであるがそれには限定されないアゾビス−ニトリル化合物などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシドおよびt−ブチルペルオキシドなどであるがそれらに限定されない有機過酸化物;無機過酸化物および類似のフリーラジカル発生剤を含むことができる。
【0131】
また別の非限定的な実施形態では、式(IV’f)によって表される材料を生成するための反応は、光開始剤を用いて、または用いずにのいずれかでの紫外線による照射を含むことができる。
【0132】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式によって表され、以下の反応によって調製される材料を含むことができる:
【0133】
【化17】

ここで、nは1〜20の整数であってよい。
【0134】
式(IV’g)のポリチオールを調製するための様々な方法は、参照によりその開示が本明細書に援用されるWO03/042270の第2頁第16行〜第10頁第7行までに詳述されている。一般に,ポリチオールは、100〜3,000g/モルの数平均分子量を有していてよい。ポリチオールは、適切な光開始剤の存在下で紫外線(UV)によって開始されたフリーラジカル重合によって調製できる。このプロセスのためには、当業者に知られている通常の量で適切な光開始剤を使用できる。1つの非限定的な実施形態では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184)は、混合物中の重合可能なモノマーの総重量に基づいて、0.05重量%〜0.10重量%の量で使用できる。
【0135】
1つの非限定的な実施形態では、式(IV’g)によって表されるポリチオールは、上記に示した「n」モルのアリルスルフィドと「n+1」モルのジメルカプトジエチルスルフィドとを反応させる工程によって調製できる。
【0136】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式によって表され、以下の反応によって調製される材料を含むことができる:
【0137】
【化18】

ここで、nは1〜20の整数であってよい。
【0138】
式(IV’h)のポリチオールを調製するための様々な方法は、参照によりその開示が本明細書に援用されるWO/01/66623A1の第3頁第19行〜第6頁第11行までに詳述されている。一般に、ポリチオールは、ラジカル開始剤の存在下でジチオールなどのチオールと脂肪族環含有非共役ジエンとの反応によって調製できる。適切なチオールの非限定的な例は、エタンジチオール、ビニルシクロヘキシルジチオール、ジシクロペンタジエンジチオール、ジペンテンジメルカプタン、およびヘキサンジチオールなどの低級アルキレンチオール;チオグリコール酸およびチオプロピオン酸のポリオールエステル;ならびにそれらの混合物およびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0139】
適切なシクロジエンの非限定的な例は、ビニルシクロヘキセン、ジペンテン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカジエン、シクロオクタジエン、2−シクロペンテン−1−イル−エーテル、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボナジエンを含むことができるが、それらに限定されない。
【0140】
反応のために適切なラジカル開始剤の非限定的な例は、商用名VAZO(商標)の下でDuPont社から市販で入手できるアゾビスアルキレンニトリルなどのアゾもしくは過酸化物フリーラジカル開始剤を含むことができる。
【0141】
また別の非限定的な実施形態では、「n+1」モルのジメルカプトエチルスルフィドは、上述したように、VAZO−52のラジカル開始剤の存在下で、「n」モルの4−ビニル−1−シクロヘキセンと反応させることができる。
【0142】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式および反応スキームによって表される材料を含むことができる:
【0143】
【化19】

ここで、RおよびRは各々、C〜Cのn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜C10アルキルシクロアルキレン、C〜Cアリール、C〜C10アルキル−アリール、エーテル結合もしくはチオエーテル結合またはエステル結合もしくはチオエステル結合またはそれらの組み合わせを含有するC〜C10アルキル、−−[(CH−−)−−X−−]−−(−−CH−−)−−(ここで、XはOもしくはSであってよく、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、rは0〜10の整数であってよい)から独立して選択することができ;Rは水素もしくはメチルから選択されてよく;そしてnは1〜20の整数であってよい。
【0144】
一般に、式(IV’j)のポリチオールは、ジ(メタ)アクリレートモノマーと1種以上のポリチオールとを反応させることによって調製できる。適切なジ(メタ)アクリレートモノマーの非限定的な例は、広範囲に変動してよく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3−ジメチルプロパン1,3−ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、チオジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビス−フェノールAジ(メタ)アクリレートなどであるがそれらに限定されない、当該技術分野において知られているものを含むことができる。
【0145】
式(IV’j)のポリチオールを調製する際に反応物質として使用するために適切なポリチオールの非限定的な例は、広範囲に変動してよく、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、メチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、3,6−ジオキサ,1,8−オクタンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン(DMMD)、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物などであるがそれらに限定されない当該技術分野において知られているものを含むことができる。
【0146】
1つの非限定的な実施形態では、式(IV’j)のポリチオールを調製するために使用されるジ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートであってよい。
【0147】
また別の非限定的な実施形態では、式(IV’j)のポリチオールを調製するために使用されるポリチオールは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)であってよい。
【0148】
1つの非限定的な実施形態では、式(IV’j)のポリチオールを生成するための反応は、塩基性触媒の存在下で実施できる。この反応において使用するために適切な塩基性触媒は、広範囲に変動してよく、当該技術分野で知られているものから選択することができる。非限定的な例には、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)およびN,N−ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミン塩基が含まれてよいが、それらに限定されない。使用される塩基性触媒の量は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、塩基性触媒は、反応混合物の0.001重量%〜5.0重量%の量で存在してよい。
【0149】
何らかの特定の理論に結び付けられることを意図していないが、ポリチオール、ジ(メタ)アクリレートモノマーおよび塩基性触媒の混合物が反応させられるにつれて、二重結合は、ポリチオールのSH基との反応によって少なくとも部分的に消費され得ると考えられている。
【0150】
1つの非限定的な実施形態では、混合物は、二重結合が実質的に消費され、SH含量についての事前に計算された理論値に達するような期間にわたって反応させることができる。1つの非限定的な実施形態では、混合物は、1時間〜5日間の期間にわたり反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、20℃〜100℃の温度で反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、SH含量についての0.5%〜20%の理論値が達成されるまで反応させることができる。
【0151】
結果として生じるポリチオールの数平均分子量(M)は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールの数平均分子量(M)は、反応の化学量論によって決定できる。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールのMは、少なくとも400g/モル、または5,000g/モル以下、または1,000〜3,000g/モルであってよい。
【0152】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式および反応スキームによって表される材料を含むことができる:
【0153】
【化20】

ここで、RおよびRは各々、C〜Cのn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜C10アルキルシクロアルキレン、C〜Cアリール、C〜C10アルキル−アリール、エーテル結合もしくはチオエーテル結合またはエステル結合もしくはチオエステル結合またはそれらの組み合わせを含有するC〜C10アルキル、−−[(CH−−)−−X−−]−−(−−CH−−)−−(ここで、XはOもしくはSであってよく、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、rは0〜10の整数であってよい)から独立して選択することができ;Rは水素もしくはメチルから選択されてよく;そしてnは1〜20の整数であってよい。
【0154】
一般に、式(IV’k)のポリチオールは、ポリチオ(メタ)アクリレートモノマーと1種以上のポリチオールとを反応させることによって調製できる。適切なポリチオ(メタ)アクリレートモノマーの非限定的な例は、広範囲に変動してよく、それらのオリゴマーを含む1,2−エタンジチオールのジ(メタ)アクリレート、それらのオリゴマーを含むジメルカプトジエチルスルフィドのジ(メタ)アクリレート(すなわち、2,2’−チオエタンジチオールジ(メタ)アクリレート)、それらのオリゴマーを含む3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオールのジ(メタ)アクリレート、それらのオリゴマーを含む2−メルカプトエチルエーテルのジ(メタ)アクリレート、4,4’−チオジベンゼンエチオールのジ(メタ)アクリレート、ならびにそれらの混合物などであるがそれらに限定されない当該技術分野において知られているものを含み得る。
【0155】
ポリチオ(メタ)アクリレートモノマーは、米国特許第4,810,812号、米国特許第6,342,571号;およびWO03/011925に開示された方法を含むがそれらに限定されない方法を含む、当業者に知られている方法を用いてポリチオールから調製できる。ポリチオールを調製する際に反応物質として使用するために適切なポリチオールの非限定的な例は、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、3,6−ジオキサ,1,8−オクタンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン(DMMD)、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物などであるがそれらに限定されない当該技術分野において知られている広範囲のポリチオールを含むことができる。
【0156】
1つの非限定的な実施形態では、式(IV’k)のポリチオールを調製するために使用されるポリチオ(メタ)アクリレートは、ジメルカプトジエチルスルフィドのジ(メタ)アクリレート、すなわち2,2’−チオジエタンチオールジメタクリレートであってよい。また別の非限定的な実施形態では、式(IV’k)のポリチオールを調製するために使用されるポリチオールは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)であってよい。
【0157】
1つの非限定的な実施形態では、この反応は、塩基性触媒の存在下で実施することができる。使用するために適切な塩基性触媒の非限定的な例は、広範囲に変動してよく、当該技術分野において知られているものから選択することができる。非限定的な例には、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)およびN,N−ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミン塩基が含まれてよいが、それらに限定されない。
【0158】
使用される塩基性触媒の量は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、塩基性触媒は、反応混合物の0.001重量%〜5.0重量%の量で存在してよい。1つの非限定的な実施形態では、混合物は、1時間〜5日間の期間にわたり反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、20℃〜100℃の温度で反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、SH含量についての事前に計算された0.5%〜20%の理論値が達成されるまで加熱することができる。
【0159】
結果として生じるポリチオールの数平均分子量(M)は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールの数平均分子量(M)は、反応の化学量論によって決定できる。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールのMは、少なくとも400g/モル、または5,000g/モル以下、または1,000〜3,000g/モルであってよい。
【0160】
1つの非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式および反応によって表される材料を含むことができる:
【0161】
【化21】

ここで、Rは、水素もしくはメチルから選択することができ、そしてRは、C〜Cn−アルキレン、C〜C分枝状アルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜C10アルキルシクロアルキレン、C〜Cアリール、C〜C10アルキル−アリール、エーテル結合もしくはチオエーテル結合またはエステル結合もしくはチオエステル結合またはそれらの組み合わせを含有するC〜C10アルキル、または−−[(CH−−)−−X−−]−−(−−CH−−)−−(ここで、XはOもしくはSから選択することができ、pは2〜6の整数であってよく、qは1〜5の整数であってよく、rは0〜10の整数であってよい)から選択することができ;そしてnは1〜20の整数であってよい。
【0162】
一般に、式(IV’l)のポリチオールは、アリル(メタ)アクリレートと1種以上のポリチオールとを反応させることによって調製できる。
【0163】
式(IV’l)のポリチオールを調製する際に反応物質として使用するために適切なポリチオールの非限定的な例は、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル−置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、3,6−ジオキサ,1,8−オクタンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物などであるがそれらに限定されない広範囲の公知のポリチオールを含むことができる。
【0164】
1つの非限定的な実施形態では、式(IV’l)のポリチオールを調製するために使用されるポリチオールは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)であってよい。
【0165】
1つの非限定的な実施形態では、アリル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル酸二重結合は、最初に塩基性触媒の存在下でポリチオールと反応させることができる。適切な塩基性触媒の非限定的な例は、広範囲に変動してよく、当該技術分野において知られているものから選択することができる。非限定的な例には、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)およびN,N−ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミン塩基が含まれてよいが、それらに限定されない。使用される塩基性触媒の量は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、塩基性触媒は、反応混合物の0.001重量%〜5.0重量%の量で存在してよい。1つの非限定的な実施形態では、混合物は、1時間〜5日間の期間にわたり反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、20℃〜100℃の温度で反応させることができる。さらに別の非限定的な実施形態では、ポリチオールのSH基とアリル(メタ)アクリレートの利用できる実質的に全部の(メタ)アクリレート二重結合との反応後に、アリル二重結合は、次にラジカル開始剤の存在下で残留しているSH基と反応させることができる。
【0166】
何らかの特定の理論に結び付けられることを意図しないが、混合物が加熱されるにつれて、アリル二重結合は、残留しているSH基との反応によって少なくとも部分的に消費される可能性があると考えられている。適切なラジカル開始剤の非限定的な例には、アゾビスアルキレンニトリルなどのアゾもしくは過酸化物タイプのフリーラジカル開始剤を含むことができるが、それらに限定されない。1つの非限定的な実施形態では、フリーラジカル開始剤は、商用名VAZO(商標)の下でDuPont社から市販で入手できるアゾビスアルキレンニトリルであってよい。また別の非限定的な実施形態では、VAZO−52、VAZO−64、VAZO−67、またはVAZO−88をラジカル開始剤として使用できる。
【0167】
1つの非限定的な実施形態では、混合物は、二重結合が実質的に消費され、SH含量についての所望の事前に計算された理論値に達するような期間にわたって加熱することができる。1つの非限定的な実施形態では、混合物は、1時間〜5日間の期間にわたり加熱することができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、40℃〜100℃の温度で加熱することができる。また別の非限定的な実施形態では、混合物は、SH含量についての0.5%〜20%の理論値が達成されるまで加熱することができる。
【0168】
結果として生じるポリチオールの数平均分子量(M)は、広範囲に変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、ポリチオールの数平均分子量(M)は、反応の化学量論によって決定できる。また別の非限定的な実施形態では、ポリチオールのMは、少なくとも400g/モル、または5,000g/モル以下、または1,000〜3,000g/モルであってよい。
【0169】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するための三官能性ポリチオールは、以下の構造式および反応スキームによって表される材料を含むことができる:
【0170】
【化22】

ここで、nは1〜20の整数であってよい。
【0171】
1つの非限定的な実施形態では、式(IVm)のポリチオールは、「n」モルの1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVCH)と「3n」モルのジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)とを反応させる工程と、およびこの混合物をVAZO 64などであるがそれには限定されない適切なフリーラジカル開始剤の存在下で加熱する工程とによって調製できる。
【0172】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するための三官能性ポリチオールは、以下の構造式および反応スキームによって表される材料を含むことができる:
【0173】
【化23】

ここで、nは1〜20の整数であってよい。
【0174】
1つの非限定的な実施形態では、式(IVp)のポリチオールは、「n」モルのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と「3n」モルのジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)とを反応させる工程と、およびこの混合物をVAZO 52などであるがそれには限定されない適切なフリーラジカル開始剤の存在下で加熱する工程とによって調製できる。
【0175】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するための三官能性ポリチオールは、以下の構造式および反応スキームによって表される材料を含むことができる:
【0176】
【化24】

ここで、nは1〜20の整数であってよい。
【0177】
1つの非限定的な実施形態では、式(IVq)のポリチオールは、「n」モルのトリアリルシアヌレート(TAC)と「3n」モルのジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)とを反応させる工程と、およびこの混合物をVAZO 52などであるがそれには限定されない適切なフリーラジカル開始剤の存在下で加熱する工程とによって調製できる。
【0178】
また別の非限定的な実施形態では、本発明において使用するためのポリチオールは、以下の構造式によって表される材料を含むことができる:
【0179】
【化25】

(式中、nは1〜20の整数であってよい)。
【0180】
式(IV’i)のポリチオールを調製する様々な方法は、米国特許5,225,472号の第2欄第8行〜第5欄第8行までに詳述されている。
【0181】
1つの非限定的な実施形態では、「3n」モルの1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)は、上述したように、無水塩化亜鉛の存在下で「n」モルのギ酸エチルと反応させることができる。
【0182】
ヒドロキシル基とチオール基との両方を有する適切な二官能性もしくは三官能性の活性水素含有材料の非限定的な例は、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンビス(2−メルカプトアセテート)、グリセリンビス(3−メルカプトプロピオネート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールモノ(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールビス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールトリス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0183】
また別の非限定的な実施形態では、本活性水素含有材料は、少なくとも200g/モル、または少なくとも400g/モル、または少なくとも700g/モル、または少なくとも900g/モル、または15,000g/モル以下、または10,000g/モル以下、または5,000g/モル、または2,500g/モル以下の数平均分子量を有していてよい。
【0184】
本発明の硫黄含有ポリウレタンは、当該技術分野において知られている様々な技術を用いて調製することができる。
【0185】
本発明の1つの非限定的な実施形態では、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートもしくはそれらの混合物と;ポリチオールオリゴマーと;必要に応じて活性水素含有材料と;ならびに必要に応じてウレタン化触媒とを反応させて、硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成することができる。1つの非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、このポリチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。適切なウレタン化触媒の非限定的な例は、本明細書に開示したものを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この硫黄含有ポリウレタンプレポリマーは、以前に本明細書で開示されているポリオール、ポリチオール、ポリチオールオリゴマー、ヒドロキシルおよびチオール基の両方を含有する多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料を用いて、そして必要に応じてウレタン化触媒の存在下で、鎖伸長(すなわち、反応)させて硫黄含有ポリウレタンポリマーを形成すことができる。1つの非限定的な実施形態では、このポリチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンを形成するために硫黄含有ポリウレタンプレポリマーと反応させられるこの活性水素含有材料は、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。
【0186】
1つの非限定的な実施形態では、この硫黄含有ポリウレタンプレポリマーは、ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるポリチオールおよび/またはポリチオールオリゴマー中に含有されるジスルフィド結合によってジスルフィド結合を含有することができる。
【0187】
また別の非限定的な実施形態では、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートもしくはそれらの混合物、ポリチオールオリゴマー、活性水素含有材料、ならびに必要に応じてウレタン化触媒を「ワンポット(one pot)」プロセスにおいて一緒に反応させることができる。また別の非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。また別の非限定的な実施形態では、この活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、このジチオールは、ジチオールオリゴマーを含むことができる。
【0188】
1つの非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタンは、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネート、ポリチオールオリゴマー、必要に応じて活性水素含有材料、ならびに必要に応じてウレタン化触媒を合わせて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と、そして次に活性水素含有材料および必要に応じてウレタン化触媒を硫黄含有ポリウレタンプレポリマーへ添加する工程と、および結果として生じる混合物を重合させる工程とによって調製することができる。さらに別の非限定的な実施形態では、このプレポリマーおよびこの活性水素含有材料は、それらを混合する工程の前に真空下で脱気させ、次に重合を実施することができる。この活性水素含有材料は、例えばインペラまたは押出成形機などであるがそれらに限定されない様々な方法および装置を用いてプレポリマーと混合することができる。
【0189】
硫黄含有ポリウレタンをワンポットプロセスによって調製できるまた別の非限定的な実施形態では、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネート、ポリチオールオリゴマー、活性水素含有材料、および必要に応じて触媒を個別に脱気させ、その後に合わせて混合し、次に結果として生じる混合物を重合させることができる。また別の非限定的な実施形態では、このポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネートを混合し、その後に脱気させることができる;そしてこのポリチオールオリゴマー、活性水素含有材料、および必要に応じて触媒を混合して次に脱気させることができ、その後にこの混合物を一緒に混合して重合させることができる。
【0190】
レンズを形成できるまた別の非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンプレポリマー、活性水素含有材料および必要に応じてウレタン化触媒を含むポリウレタン形成用材料の混合物;または必要に応じて脱気させることのできる、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネート、ポリチオールオリゴマー、および活性水素含有材料ならびに必要に応じてウレタン化触媒の混合物を型の中に導入することができ、そして型は当該技術分野において知られている様々な従来技術を用いて(すなわち、熱硬化サイクルを用いて)加熱することができる。熱硬化サイクルは、反応物質の反応性およびモル比、ならびに触媒の存在に依存して変動してよい。1つの非限定的な実施形態では、熱硬化サイクルは、このポリウレタン形成用材料の混合物を室温から200℃の温度へ0.5時間〜120時間の期間にわたって;または80〜150℃へ5時間〜72時間の期間にわたって加熱する工程を含むことができる。
【0191】
1つの非限定的な実施形態では、本発明においてポリウレタン形成用材料の反応を強化するために、ウレタン化触媒を使用できる。適切なウレタン化触媒は変動してよく、当該技術分野において知られるものを含むことができる;例えば、適切なウレタン化触媒は、NCOおよびOH含有材料の反応ならびにおよび/またはNCOおよびSH含有材料の反応によるウレタンの形成のために有用である触媒を含むことができる。適切な触媒の非限定的な例は、ルイス塩基、ルイス酸およびUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、1992年、第A21巻、第673〜674頁に記載された挿入触媒から選択することができる。非限定的な例には錫化合物、第3級アミン触媒、またはそれらの混合物を含むことができるが、それらに限定されない。非限定的な実施形態では、ウレタン化触媒として使用するために適切な錫化合物は、錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫ジマレート、ジメチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、およびそれらの混合物などであるがそれらに限定されない有機酸の錫塩を含むことができる。ウレタン化触媒として使用するために適切な第3級アミンの非限定的な例は、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびそれらの混合物;ならびに参照によりその開示が本明細書に援用される米国特許第5,693,738号の第10欄第6〜38行に開示された第3級アミンを含むことができる。適切なウレタン化触媒のまた別の非限定的な例は、第3級アンモニウム塩、ホスフィン、亜鉛オクトエート、アセチルアセトネート鉄(III)、または適切なビスマス化合物を含むことができる。
【0192】
また別の非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタン内に様々な知られている添加剤を組み込むことができる。そのような添加剤には、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、静的(非フォトクロミック)色素、顔料、ならびにアルコキシ化フェノールベンゾエートおよびポリ(アルキレングリコール)ジベンゾエートなどであるがそれらに限定されない柔軟化添加剤を含むことができるが、それらに限定されない。抗黄変添加剤の非限定的な例には、3−メチル−2−ブテノール、オルガノピロカーボネート、トリフェニルホスファイト(CAS登録番号101−02−0)、およびヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことができる。そのような添加剤は、添加剤がプレポリマーの総重量に基づいて、10重量%未満、または5重量%未満、または3重量%未満を構成するような量で存在してよい。また別の非限定的な実施形態では、上述した必要に応じた添加剤は、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソチオシアネートと混合することができる。また別の非限定的な実施形態では、必要に応じた添加剤は、活性水素含有材料と混合することができる。
【0193】
1つの非限定的な実施形態では、結果として生じる本発明の硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも部分的に硬化している場合は固体であってよく、そしてそれが光学適用もしくは眼科学用途のために適切なように本質的に透明であってよい。また別の非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも1.55、または少なくとも1.56、または少なくとも1.57、または少なくとも1.58、または少なくとも1.59、または少なくとも1.60、または少なくとも1.62、または少なくとも1.65の屈折率を有していてよい。さらにまた別の非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも30、または少なくとも32、または少なくとも35、または少なくとも38、または少なくとも39、または少なくとも40、または少なくとも44のアッベ数を有していてよい。
【0194】
1つの非限定的な実施形態では、硫黄含有ポリウレタンは、重合して少なくとも部分的に硬化している場合は、良好な耐衝撃性/強度を示すことができる。耐衝撃性は、当業者には知られている様々な従来方法を用いて測定することができる。1つの非限定的な実施形態では、耐衝撃性は、厚さ3mmを有し、およそ4cm×4cmの正方形のピースに切断された重合物のフラットシートサンプルを試験することから構成される衝撃エネルギー試験(Impact Energy Test)を用いて測定される。この重合物のフラットシートサンプルは、以下に規定するように、スチールホルダーの台座の上部に取り付けられているフラットなOリング上に支持される。このOリングは、40±5のショア(Shore)Aデュロメータの硬さ、8.3MPaの最小引張強さ、および400%の最小極限伸びを有するネオプレンから構成されており、内径25mm、外径31mm、および厚さ2.3mmを有している。このスチールホルダーは、およそ12kgの質量を備えるスチール製底部とこのスチール製底部に固定されたスチール製台座から構成される。このスチール製台座の形状は、外径75mmおよび高さ10mmを有する円筒の上部に、底面径75mm、上面径25mmおよび高さ8mmを有する直円錐の錘台を隣接させた結果として生じるであろう固体形状に近く、ここで、この錘台の中心はこの円筒の中心と一致する。このスチール製台座の底面は、このOリングの中心をこのスチール製台座の中心と一致させて、このスチール製底部に取り付けられ、ネオプレンのOリングがこのスチール製台座の上部に取り付けられている。重合物のフラットシートサンプルは、このフラットシートサンプルの中心をこのOリングの中心と一致させてOリングの上部に取り付けられる。衝撃エネルギー試験は、重量を増加させながら鋼球を50インチ(1.27m)の距離からフラットシートサンプルの中心に落下させることによって実施される。シートは、シートが破損しない場合は試験に合格であると決定される。シートは、シートが破損した場合は試験に不合格であると決定される。本明細書で使用する場合、用語「破損」は、シートの全厚を通して2片以上の別個のピースへの亀裂、またはシートの裏面(すなわち、シートの衝撃を受ける側とは反対の側)からの1つ以上の材料片の剥離をいう。シートの衝撃強度は、シートが試験に合格する最高レベル(すなわち最大の鋼球)に対応する衝撃エネルギーとして報告され、それは以下の式にしたがって計算される:
E=mgd
ここで、Eはジュール(J)での衝撃エネルギーを表し、mはkg単位での鋼球の質量を表し、gは重力に起因する加速(すなわち、9.80665m/sec)を表し、dはm単位での鋼球落下距離(すなわち、1.27m)を表す。また別の非限定的な実施形態では、本明細書に記載した衝撃エネルギー試験を用いると、衝撃強度は少なくとも1.0ジュール、または少なくとも2.0ジュール、または少なくとも4.95ジュールであってよい。
【0195】
また別の非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタンは、少なくとも部分的に硬化している場合は、低密度を有している可能性がある。また別の非限定的な実施形態では、密度は、少なくとも1.0、または少なくとも1.1g/cm、または1.45未満、または1.4未満、または1.3未満、または1.25未満、または1.2g/cm未満、または1.0〜1.2g/cm、または1.0〜1.25g/cm、または1.0〜1.3g/cm、または1.0〜1.4g/cm、または1.0〜1.45g/cm未満であってよい。1つの非限定的な実施形態では、密度は、ASTM D297に準拠してTech Pro社によって製造されたDensiTECH機器を用いて測定される。
【0196】
本発明の硫黄含有ポリウレタンを用いて調製できる固体製品には、例えば平レンズおよび眼科用レンズなどの光学レンズ、望遠レンズ、窓、例えばフロントガラス、サイドライトおよびバックライトなどの自動車用透明部品、および航空機用透明部品などが含まれるがそれらに限定されない。
【0197】
1つの非限定的な実施形態では、本発明の硫黄含有ポリウレタン重合物は、レンズなどのフォトクロミック製品を調製するために使用できる。また別の実施形態では、重合物はフォトクロミック物質を活性化させる電磁スペクトル、すなわち、フォトクロミック物質の着色形もしくは開形を生成する紫外(UV)線の波長の部分にとって、そしてそのUV活性化形、すなわち開形にあるフォトクロミック物質の吸収極大波長を含む可視スペクトルの部分にとって透過性であってよい。
【0198】
本発明においては、広範囲のフォトクロミック物質を使用できる。適切なフォトクロミック物質、それらの適切な量、および重合物中への組み込み方法は、参照により本明細書に援用されるWO2004/060951A1の第00151〜00161段落に記載されている。
【0199】
また別の実施形態では、フォトクロミック物質は、材料を重合および/またはキャスト硬化させる工程の前に硫黄含有ポリウレタンへ加えることができる。この実施形態では、使用されるフォトクロミック物質は、それが、存在する例えばイソシアネート、イソチオシアネート基との潜在的に有害な相互作用に対して耐性であるように選択することができる。そのような有害な相互作用は、例えば、開形もしくは閉形のいずれかにそれらを捕獲することによって、フォトクロミック物質の不活化を生じさせることがある。
【0200】
本発明において使用するために適切なフォトクロミック物質のさらに非限定的な例は、例えば米国特許第4,166,043号および第4,367,170号に開示されたような金属酸化物中にカプセル封入されたフォトクロミック顔料および有機フォトクロミック物質;米国特許第4,931,220号に開示されたような有機重合物中にカプセル封入された有機フォトクロミック物質を含むことができる。
【実施例】
【0201】
以下の実施例では、他に特に明記しない限り、赤外線スペクトルを、Mattson Sirius 100 FT−IR装置で測定した;屈折率およびアッベ数を、ATAGO Co.,Ltd.によって製造された多重波長アッベ屈折計モデルDR−M2で測定した;液体の屈折率およびアッベ数を、ASTM−D1218に準拠して測定した;固体の屈折率およびアッベ数を、ASTM−D542に準拠して測定した;屈折率(e−ライン)は温度20℃で測定した;ならびに粘度はBrookfield CAP 2000+粘度計を用いて測定した。
【0202】
プレポリマー(成分A)のNCO濃度は、ASTM−2572−97に準拠して、過剰のn−ジブチルアミン(DBA)と反応させて対応する尿素を生成し、その後のHClを用いて未反応のDBAを滴定することによって決定した。
【0203】
試薬
1.試薬グレードテトラヒドロフラン(THF)。
2.80/20のTHF/プロピレングリコール(PG)ミックス。この溶液を、4Lボトル中で0.8LのPGと3.2LのTHFとを混合することによって実験室内で調製した。
3.ACS認定のDBA。
4.DBA/THF溶液。150mLのジブチルアミン(DBA)を750mLのテトラヒドロフラン(THF)と合わせた;これをしっかり混合し、アンバーボトルへ移した。
5.ACS認定の濃塩酸。
6.工業グレードのイソプロパノール。
7.0.2Nの塩酸アルコール。75mLの濃塩酸を4Lボトルに入れた工業グレードのイソプロパノールへマグネチックスターラーで攪拌しながら緩徐に加えた。これを少なくとも30分間にわたり混合した。この溶液を以下のとおりに、トリスヒドロキシルメチルアミノメタン(THAM)を用いて標準化した:100mLのガラス製ビーカー内に、およそ0.6gのTHAM第1標準物質を0.1mgの位まで測り入れ、重量を記録した。100mLの脱イオン水を加え、混合して溶解させ、調製した塩酸アルコールを用いて滴定した。この手順を少なくとも1回繰り返し、以下の計算式を用いて数値を平均化した。
【0204】
【数1】

装置
1.ポリエチレン製ビーカー(200mL)、Falcon製試験片破砕機、製品番号354020。
2.上記のためのポリエチレン製蓋、Falcon製品番号354017。
3.マグネチックスターラーおよびスターラーバー。
4.分注用Brinkmann薬量計、または10mLピペット。
5.pH電極を装備した自動滴定装置。
6.溶媒用の25mLおよび50mLのディスペンサーまたは25mLおよび50mLのピペット。
【0205】
手順
1.ブランク値の決定:220mLのポリエチレン製ビーカー内に50mLのTHF、次に10.0mLのDBA/THF溶液を加えた。この溶液にキャップをはめ、マグネチックスターラーを用いて5分間混合した。50mLの80/20のTHF/PGミックスを加え、標準化した塩酸アルコール溶液を用いて滴定し、この体積を記録した。この手順を繰り返し、これらの数値をブランク値として使用するために平均化した。
2.ポリエチレン製ビーカー内に1.0gのプレポリマーサンプルを測り入れ、この重量を0.1mgの位まで記録した。50mLのTHFを加え、サンプルにキャップをはめ、マグネチックスターラーを用いて溶解させた。
3.10.0mLのDBA/THF溶液を加え、サンプルにキャップをはめ、15分間にわたり攪拌しながら反応するに任せた。
4.50mLの80/20のTHF/PG溶液を加えた。
5.ビーカーを滴定装置上に置き、滴定を開始させた。この手順を繰り返した。
【0206】
計算
【0207】
【数2】

生成物内のSH基を、以下の手順を用いて決定した。サンプルサイズ(0.1g)の生成物を50mLのテトラヒドロフラン(THF)/プロピレングリコール(80/20)溶液と合わせ、サンプルが実質的に溶解するまで室温で攪拌した。攪拌している間に、25.0mLの0.1Nヨウ素溶液(8898−1、Aldrich 31から市販で入手)を混合液に加え、5〜10分間にわたり反応するに任せた。この混合液に2.0mLの濃HClを加えた。この混合液を、ミリボルト(mV)モードで0.1Nチオ硫酸ナトリウムを用いて電位差滴定法によって滴定した。結果として生じる滴定剤の体積を、以下の式においてサンプル量(mL)として表す。ブランク値を、生成物サンプルを用いて実施した方法と同一方法でチオ硫酸ナトリウムを用いて25.0mLのヨウ素(1mLの濃塩酸を含む)を滴定することによって最初に得た。結果として生じる滴定剤の体積を、以下の式においてブランク量(mL)として表す。
【0208】
【数3】

実施例1:DMDS/VCH(2:1のモル比)からのジチオールオリゴマー(PT−1)の合成
機械的スターラー、温度計、および2つのガス流路アダプタ(1つは入口用およびもう1つは出口用)を装備した1L入りの4つ口フラスコ内にジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(888.53g、5.758モル)を入れた。フラスコを乾燥窒素でフラッシュし、4−ビニル−1−シクロヘキセン(VCH)(311.47g、2.879モル)を、2時間15分にわたり攪拌しながら加えた。反応温度は、室温から添加1時間後には62℃へ上昇した。VCHの添加後、温度は37℃であった。この反応混合液を次に60℃へ加熱し、0.25gずつ5つの部分に分けたフリーラジカル開始剤Vazo−52(DuPont社から入手した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)を加えた。各部分は1時間の間隔をあけて加えた。反応混合物を60℃/4〜5mmHgで1時間にわたり脱気して、以下の特性を備える1.2kg(収率:100%)の無色液体が産生した:25℃で300cpの粘度、1.597の屈折率、39のアッベ数および15.9%のSH基含量、208g/当量のSHEW。
【0209】
実施例2:PT−1およびDIPEB(2:1のモル比)からのブロック型ジチオールオリゴマー(PT−2)の合成
機械的スターラーおよび温度計を装備した0.5Lの3つ口フラスコへ131.4g(0.317モル)のPT−1を入れた。次いで、この混合液に1回で25.1g(0.159モル)の1,3−ジイソプロペニルベンゼン(DIPEB)を一度に加え、温度を65℃へ上昇させた。0.03gずつの2つの部分のフリーラジカル開始剤AIBN(2,2’−アゾビス(2−メチル−プロピオニトリル))を加えた。これら2つの部分は各々、2時間の間隔をあけて加えた。温度はさらに2時間にわたり65℃で維持し、その後に二重結合分析(IR分光法)およびSH分析を実施した。結果は、反応の完了を証明した。反応生成物(156.5g、収率100%)は、73℃で596cPの粘度、1.613の屈折率、37のアッベ数および539g/当量のSHEWを有する透明な粘性液体であった。
【0210】
実施例3:DMDS、DIPEBおよびDEGDVEからのブロック型ジチオールオリゴマー(PT−3)の合成
機械的スターラーおよび温度計を装備した1Lの3つ口フラスコへ617.20g(4.00モル)の2−メルカプトエチルスルフィド(DMDS)を入れた。DMDSに、その混合物の温度が65℃未満に維持できる速度で316.50g(2.00モル)の1,3−ジイソプロペニルベンゼン(DIPEB)を滴下した。全ての1,3−ジイソプロペニルベンゼンを添加した後、温度をさらに30分間にわたり65℃で維持した。0.25gずつの5つの部分のフリーラジカル開始剤Vazo−52を加えた。これら5つの部分は各々、1時間の間隔をあけて加えた。反応の完了後、二重結合の存在についての分析を実施すると、二重結合が全く存在しないことが証明された。この混合液に次に158.0g(1.0モル)のジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)、および0.25gずつの2つの部分のフリーラジカル開始剤AIBNを加えた。AIBNの2つの部分は各々、2時間の間隔をあけて加えた。混合液の温度はさらに2時間は65℃で維持し、その後に二重結合分析およびSH分析を実施した。結果は、反応の完了を証明した。反応生成物(1,088g、収率100%)は、73℃で300cPの粘度、1.603の屈折率、37のアッベ数および540g/当量のSHEWを有する透明な粘性液体であった。
【0211】
実施例4:3当量のDMDSおよび1当量のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)からのポリチオールオリゴマー(PT−4)の合成
機械的スターラーおよび温度計を装備した1Lの3つ口フラスコへ462.90gの2−メルカプトエチルスルフィド(DMDS)(3.0モル)および249.27gのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)(1.00モル)を入れた。この混合液を60℃へ加熱し、次に0.17gずつの3つの部分のフリーラジカル開始剤Vazo−52を2時間の間隔をあけて加えた。この混合液を攪拌し、60℃の温度で計8時間にわたり維持した。二重結合分析は、アリル二重結合が存在しないことを示した。反応生成物(712.17g、収率100%)は、73℃で445cPの粘度、1.609の屈折率、38のアッベ数および248g/当量のSHEWを有する透明な液体であった。
【0212】
実施例5:DMDS/VNB(2:1のモル比)からのジチオールオリゴマー(PT−5)の合成
308gのDMDS(2モル)をガラス瓶に入れ、内容物を60℃の温度へ加熱した。この瓶に120gのVNB(1モル)を混合しながら緩徐に加えた。添加速度は、混合液の温度が70℃を超えないように調整した。VNBの添加が完了したら、混合液の攪拌をさらに1時間にわたり60℃で持続した。その後、混合液に0.04gずつの5つの部分のVAZO 52を加えた(1時間毎に1つの部分を添加した)。混合液を次に60℃の温度でさらに3時間攪拌し、その後に生成物を滴定したところ、214g/当量のSH当量を有することが見いだされた。二重結合の存在についての分析を実施して、二重結合が全く存在しないことが示された。73℃での粘度は56cp、屈折率は1.609、およびアッベ数は41であった。
【0213】
実施例6:PT−5およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDM)(2:1のモル比)からのブロック型ジチオールオリゴマー(PT−6)の合成
周囲温度で、134.0gの実施例5に記載したジチオールオリゴマー(PT−5)(0.313モル)および30.8gのEGDM(0.156モル)をガラス瓶に装填し、混合した。0.015gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)をこの混合液に加えた。最初に混合液の温度の36℃までのわずかな上昇が観察されたが、次に温度は室温に戻った。混合液を室温でさらに16時間攪拌し、その後に生成物を滴定したところ、516g/当量のSH当量を有することが見いだされた。粘度は73℃で284cp、屈折率は1.594、およびアッベ数は42であった。
【0214】
実施例7:DMDS/DIPEB(2:1のモル比)からのジチオールオリゴマー(PT−7)の合成
524.6gのDMDS(3.4モル)をガラス瓶に入れ、内容物を60℃の温度へ加熱した。このガラス瓶へ温度を60℃未満に維持する速度で混合しながら269gのDIPEB(1.7モル)を緩徐に加えた。DIPEBの添加が完了したら、ガラス瓶は2時間にわ、60℃に加熱したたりオーブン内に置いた。次いで、このガラス瓶をオーブンから取り出した;0.1gのVAZO 52をガラス瓶の内容物中に溶解させた;そしてガラス瓶を20時間にわたり60℃のオーブン内へ戻した。結果として生じる混合液のサンプルをSH当量について滴定したところ、145g/当量の当量を有することが見いだされた。0.1gのVAZO 52を反応混合液中に溶解させ、次いでこれを60℃のオーブン内に戻した。8時間の期間にわたって、反応混合液を60℃のオーブン内に維持し、さらに0.2gのVAZO 52をさらに2回添加した。17時間後、結果として生じるサンプルを滴定すると、238g/当量のSH当量が得られた。25℃でのこの材料の粘度は490cpであった。生成物の屈折率は1.615であり、アッベ数は34であった。
【0215】
実施例8:PT−7およびVNB(2:1のモル比)からのブロック型ジチオールオリゴマー(PT−8)の合成
周囲温度で、285.6gの実施例7に記載したジチオールオリゴマー(PT−7)(0.6モル)および36.1gのVNB(0.3モル)をガラス瓶に入れ、混合した。この混合液を62℃のオーブン内に1時間入れた。次に0.1gずつの3つの部分のフリーラジカル開始剤VAZO 52を3時間毎に混合液中に加え、ガラス瓶を引き続いて、62℃に加熱したオーブン内へ置いた。ラジカル開始剤の最終添加後、混合液はさらに10.0時間にわたり62℃のオーブン内に維持した。混合液をオーブンから取り出し、結果として生じるサンプルをSH当量について滴定したところ、454g/当量の当量を有していた。さらに0.1gのVAZO 52を混合液に加え、この混合液を24時間にわたりオーブンへ戻した。この時間の後、混合液をオーブンから取り出し、結果として生じる材料の当量を滴定したところ、543g/当量のSH当量が示された。IR分析は、二重結合が存在しないことを示した。73℃での粘度は459cp、屈折率は1.617、およびアッベ数は36であった。
【0216】
実施例9:PT−2およびDesmodur Wからのポリウレタンプレポリマー(PUP−1)
ガラス瓶に窒素ピロー下で48.30g(0.0484モル)のPT−2および商用名Desmodur Wの下でBayer Corp.から入手した53.75g(0.2051モル)の4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を入れた。この混合液を70℃の温度へ加熱し、ホモジナイズした。0.050g(500ppm)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン触媒(Polycat 8、 Air Products and Chemicals,Inc.から入手)を加え、この混合液を70℃の温度で2時間にわたり攪拌した。SH分析を実施すると、SH基の消費および反応の完了が示された。このポリチオウレタンプレポリマー(102g、収率100%)は、透明な粘性液体であり、11.00%のNCO含量、73℃で2838cPの粘度、1.571の屈折率および43のアッベ数を有していた。
【0217】
実施例10:PUP−1からのポリウレタンポリマー(PU−1)
40g(NCO当量:0.105)のPUP−1および1滴のジブチル錫ジラウレート(DBTDL)触媒を一緒に混合した。この混合液を真空下で4時間にわたり80℃の温度で脱気させた。22.62g(SH当量:0.0912)のPT−4および1滴のPolycat 8を一緒に混合した。この混合液を真空下で2時間にわたり80℃の温度で脱気させた。次にこの2つの混合液を合わせ、80℃の温度で混合し、結果として生じる混合液をフラットなガラス板型内へ流し込んだ。温度を130℃へ上昇させ、型内の混合液を16時間にわたり加熱した。硬化したポリマー生成物は、透明かつ無色で、1.608の屈折率、40のアッベ数、および2.5Jの衝撃強度を有していた。
【0218】
下記では、使用したボールのサイズおよび対応する衝撃エネルギーを提供する。
【0219】
【表1】

実施例11:PT−6およびDesmodur Wからのポリウレタンプレポリマー(PUP−2)
ガラス瓶内に窒素ピロー下で103.2g(0.1モル)のPT−6および104.8g(0.4モル)のDesmodur Wを入れた。混合液をホモジナイズし、次に65℃の温度へ加熱し、この温度で16時間にわたり攪拌した。SH分析を実施したところ、SH基の消費および反応の完了が示された。このポリウレタンプレポリマー(208g、収率100%)は、透明な粘性液体であり、12.20%のNCO含量、73℃で1774cPの粘度、1.557の屈折率および43のアッベ数を有していた。
【0220】
非限定的な実施形態を参照しながら本発明を記載してきた。詳細な説明を読んで理解すれば、他の物に対する明白な修飾および変更を思い付くことができる。本発明は、それらが添付の特許請求の範囲またはそれらの同等物の範囲内に含まれる限り、そのような修飾および変更すべてを含むと解釈すべきであると企図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きく、そして該2種以上の異なるジエンは:
(a)少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエン;または
(b)少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエン;または
(c)少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエン、
を含む、ポリチオールオリゴマー。
【請求項2】
前記環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、芳香族環含有ジエン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1(a)に記載のポリチオールオリゴマー。
【請求項3】
前記非芳香族環式ジエンは、非芳香族単環式ジエン、非芳香族多環式ジエン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1(b)に記載のポリチオールオリゴマー。
【請求項4】
前記化学量論比は、1.1:1.0〜1.5:1.0である、請求項1に記載のポリチオールオリゴマー。
【請求項5】
三官能性もしくはより多官能性のポリチオールをさらに含む、請求項1に記載のポリチオールオリゴマー。
【請求項6】
硫黄含有ポリウレタンであって、
ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;
2種以上の異なるジエンおよび1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに
三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、
の反応生成物を含む、硫黄含有ポリウレタン。
【請求項7】
前記2種以上の異なるジエンは、少なくとも1種の非環式ジエンおよび少なくとも1種の環式ジエンを含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項8】
前記2種以上の異なるジエンは、少なくとも1種の芳香族環含有ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族環式ジエンを含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項9】
前記2種以上の異なるジエンは、少なくとも1種の非芳香族単環式ジエンおよび少なくとも1種の非芳香族多環式ジエンを含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項10】
前記ポリチオールオリゴマーは、三官能性もしくはより多官能性のポリチオールをさらに含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項11】
前記活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項12】
前記ジチオールは、ジチオールオリゴマーを含む、請求項11に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項13】
重合した場合に、少なくとも1.55の屈折率および少なくとも30のアッベ数を有する、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項14】
(a)ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;2種以上の異なるジエンおよび1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、を反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)該硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させる工程と、によって調製される、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項15】
前記(a)の活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む、請求項14に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項16】
(a)ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;および2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーとを反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)該硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させる工程と、によって調製される、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項17】
(a)は、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料をさらに含む、請求項16に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項18】
前記ポリイソシアネートの量、前記ポリチオールオリゴマーの量、および前記活性水素含有材料の量は、(NCO):(SH+OH)の当量比が2.0:1.0〜5.5:1.0であるように選択される、請求項14に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項19】
硫黄含有ポリウレタンを形成するための(b)の前記硫黄含有ポリウレタンプレポリマーの量および前記活性水素含有材料の量は、(OH+SH):(NCO)の当量比が1.1:1.0〜0.85:1.0であるように選択される、請求項14に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項20】
前記ポリイソシアネートの量および前記ポリチオールオリゴマーの量は、(NCO):(SH)の当量比が2.0:1.0〜5.5:1.0であるように選択される、請求項16に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項21】
硫黄含有ポリウレタンを形成するための前記(b)の硫黄含有ポリウレタンプレポリマーの量および前記活性水素含有材料の量は、(OH+SH):(NCO)の当量比が1.1:1.0〜0.85:1.0であるように選択される、請求項16に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項22】
硫黄含有ポリウレタンの調製方法であって、
(a)ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、を反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)該硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させて該硫黄含有ポリウレタンを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項23】
前記(a)の活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記(b)のポリチオールは、ジチオールオリゴマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
硫黄含有ポリウレタンの調製方法であって、
(a)ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;および2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと、を反応させて硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と;および
(b)該硫黄含有ポリウレタンプレポリマーを、三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と反応させて該硫黄含有ポリウレタンを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項26】
(a)は、ポリオール、ポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む多官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記(b)の活性水素含有材料は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ワンポットプロセスにおいて、硫黄含有ポリウレタンを調製する方法であって、
(a)ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;
(b)2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;および
(c)三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、
を反応させる工程を含む、方法。
【請求項29】
(c)は、ジオール、ジチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含む二官能性材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料をさらに含有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記三官能性もしくはより多官能性のポリチオールは、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、および以下の構造式:
【化1】

によって表される材料から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項6に記載の硫黄含有ポリウレタン。
【請求項31】
硫黄含有ポリウレタンを含む光学製品であって、該硫黄含有ポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;2種以上の異なるジエンと1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料との反応生成物を含む光学製品。
【請求項32】
眼科用レンズを含む、請求項31に記載の光学製品。
【請求項33】
重合した基材、および少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質を含む、請求項31に記載の光学製品。
【請求項34】
前記フォトクロミック物質は、前記基材内に吸収されている、請求項33に記載の光学製品。
【請求項35】
前記基材は、少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質を含むコーティング組成物で被覆されている、請求項33に記載の光学製品。
【請求項36】
硫黄含有ポリウレタンであって、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、もしくはそれらの混合物と;2種以上の異なるジエンおよび1種以上のジチオールとの反応によって形成されるポリチオールオリゴマーであって、該ポリチオールオリゴマーを形成するために使用される全ポリチオールの当量数の合計の、全ジエンの当量数の合計に対する化学量論比は1.0:1.0より大きい、ポリチオールオリゴマーと;ならびに三官能性もしくはより多官能性のポリオール、三官能性もしくはより多官能性のポリチオール、ヒドロキシル基とSH基との両方を含有する三官能性もしくはより多官能性の材料、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの材料を含む活性水素含有材料と、の反応生成物を含み、ここで、該硫黄含有ポリウレタンは、ジスルフィド結合を含有する、硫黄含有ポリウレタン。

【公表番号】特表2009−520058(P2009−520058A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545653(P2008−545653)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/046639
【国際公開番号】WO2007/078550
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】