説明

硬化可能な有機ケイ素組成物

硬化可能な有機ケイ素組成物であって、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物;有機ボラン−アミン錯体;縮合硬化性有機ケイ素化合物;縮合硬化用触媒;縮合硬化性架橋用化合物からなる硬化可能な有機ケイ素組成物。前記組成物は更にアミン−反応性化合物を含みうる。前記組成物は、有機ボラン−アミン錯体及びアミン−反応性化合物を別々の反応器に導入して形成しうる。前記組成物は様々な物品の製造に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合反応性架橋用化合物、有機ボラン−アミン錯体および縮合硬化用触媒を含む硬化可能な有機ケイ素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野では、硬化可能な有機ケイ素組成物は公知であり、コーティング剤、接着剤、インク、そして物品を形成する工業プロセスにおける使用に研究されてきた。これら組成物は、ハイドロシリル化、縮合、そして過酸化物ベースシステムを含む各種のシステムを用いて硬化することができる。しかしながら、上述のシステムのいずれもその使用は欠点を有している。
【0003】
ハイドロシリル化システムは、例えばロジウムおよび白金などの遷移金属を利用する。ハイドロシリル化触媒は、高価であり、例えば窒素、リン、硫黄、錫、および/またはヒ素などの抑制剤に曝されると潜在的に非活性化するためその機能が制限されていた。もし曝されて、ヒドロシリル化触媒は毒され、硬化可能な有機ケイ素組成物は機能性・選択性・実用性の低下を示す。抑制剤に曝されたときは、ヒドロシリル化硬化性有機ケイ素システムは、不適切に架橋する傾向を示し、結果不十分な硬化および基材への不十分な接着を引き起こす。その不十分な硬化や接着は、硬化温度を上昇させることにより改善することができる。しかし、それは生産コストおよびエネルギー消費を増大させることになる。
【0004】
縮合システムは縮合用触媒を利用し、その触媒には、例えば錫、チタニウム、アルミニウム、ジルコニウム、ビスマス、鉛、コバルト、アンチモン、マンガン、ハフニウム、およびバナジウムなどの金属が含まれ、またアミンおよびアミドをも含まれる。当該技術分野では知られているように、縮合硬化システムもまた、深部や密閉で硬化しなければならない用途に用いられたときは、縮合硬化反応の湿分活性化の必要条件が有効でないため、機能が制限された。そのようなものとして、縮合用触媒は、一般の接着剤、コーティング剤およびインク用途での使用に好ましくない。
【0005】
硬化可能な有機ケイ素組成物が過酸化物ベースシステムを利用して硬化されるときは、硬化を起動するにあたり高温が必要となり、そして周辺温度での保存安定性が制限されてしまう。また、過酸化物ベースシステムは、大気中の酸素の存在下明らかに抑制され、湿った表面を有する未硬化または貧硬化の製品になる。好ましくない分解副生成物もまた発生されることになる。
【0006】
シロキサン成分を含む硬化性組成物の一つの別の手段が米国特許第6,777,512号(ソネンシェイン他)に開示されている。’512特許は有機ボラン−アミン錯体を用いて重合性シロキサン成分と有機モノマーの両方からなる組成物を硬化することを開示する。この重合性シロキサン成分はシロキサン骨格と重合できる反応部分を有する。有機モノマーはアクリル酸エステルで、通常メタクリル酸メチル(MAA)である。有機ボランーアミン錯体はヒドロシリル化システム、縮合システムそして過酸化物ベースシステムを用いたときの問題を克服する、というのは有機ボラン−アミン錯体は抑制剤による阻害に対する抵抗があり、硬化を活性化するための湿分を必要としない。しかしながら、シロキサン成分に対する有機ボラン−アミン錯体およびその他の成分の限られた相溶性と高い表面張力のため、硬化に必要な高いエネルギーを表面から消費される傾向を有し、不完全硬化をもたらす結果となる。さらに、‘512特許の硬化可能な有機ケイ素組成物におけるMMAの含有は、硬化可能な有機ケイ素組成物の硬化後の熱安定性、耐湿性、および屈曲性を減少させる。特に、硬化かつ重合したアクリルモノマー、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)はシロキサン成分のような熱的安定性がなく、長時間高温にさらされると劣化、クラッキングや分解することがある。また、PMMAは含水性で、湿分を吸収する傾向があり、一貫性のない物理的特性をもたらす。さらに、PMMAはわずかな屈曲性しかなく、それによりクラッキングや劣化することがある。当該硬化可能な組成物を形成する方法はヒドロシリル化システム、縮合システムそして過酸化物ベースシステムを用いたときの問題を克服するけれども、当該硬化可能な有機ケイ素組成物は、硬化後、熱安定性、耐湿性や屈曲性の低下のため、通常の硬化可能な有機ケイ素組成物よりもある産業での使用では好まれていない。
【0007】
したがって、抑制剤および/または酸素による阻害に抵抗でき、かつ生産コストを削減する、有機ボラン−アミン錯体を含有する硬化可能な有機ケイ素組成物の形成の機会が依然としてある。また、熱安定性、耐湿性や屈曲性を増大した硬化可能な有機ケイ素組成物の形成の機会も依然としてある。さらに、常温で急速に架橋し、基材に結合し、かつ湿った表面および/または不完全硬化表面にならずに硬化する硬化可能な有機ケイ素組成物の形成の機会も依然として残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,777,512号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合硬化性有機ケイ素化合物を架橋する縮合反応性架橋用化合物からなる硬化可能な有機ケイ素組成物を提供する。硬化可能な有機ケイ素組成物を形成する方法もまた開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の硬化可能な有機ケイ素組成物の各種成分は、一般に、有機ボランと縮合硬化化学両方の‘二重硬化’機構を与える。さらに、この硬化可能な有機ケイ素組成物は低い温度で硬化し、深部や密閉部でもより早い硬化能力のため、幅広い硬化条件で利用でき、それにより、硬化オーブンおよび/または長い硬化サイクルに関係する生産コストやエネルギー消費を下げることができる。硬化可能な有機ケイ素組成物は白金族ハイドロシリル化触媒の抑制剤に対し抵抗があり、熱安定性の増加を示す。硬化可能な有機ケイ素組成物はまた第二層のより完全な硬化表面の形成に貢献し、それにより第二層湿った表面を減らすことになる。これら長所は、硬化可能な有機ケイ素組成物が以下に限定されないが、ラバー、テープ、接着剤、インク、コーティング剤、保護用コーティング剤、フィルム、封入材、ゲル、電子用部品、光通信用部品、音響減衰用部品、熱可塑性樹脂用品、熱硬化性樹脂用品、シーラント、発泡体、ガスケット、シール剤、O−リング、コネクター、感圧接着剤、紙用コーティング剤、離型性コーティング剤、およびそれらの組合せからなる各種用途で用いられたときは、特に重要である。
【0011】
硬化可能な有機ケイ素組成物もまた急速に架橋し、低い温度で、以下に限定されないがプラスチック、金属およびその他無機の表面を含めた各種の素材に架橋結合することができる。これは生産効率およびスピードを高め、さらに加熱に関係する生産コストやエネルギー消費を低下させる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、硬化可能な有機ケイ素組成物、物品および硬化可能な有機ケイ素組成物の形成方法を提供する。硬化可能な有機ケイ素組成物、以下単に「組成物」と称す、はどの産業でも使用できる。一つの実施態様では、組成物は、1個以上のケイ素原子を含まない、または混合の際に非ラジカル機構によりその場で反応してフリーラジカル硬化性ケイ素含有化合物を形成できない、ラジカル硬化性化合物を実質的に含まない。他の実施態様では、組成物はケイ素含んでいない、以下に限定されないがメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルおよびそれらの組合せを含むアクリラート(acrylates)およびアルカクリラート(alkacrylates)を実質的に含まない。当然のことながら、用語「実質的に含まない」とは、組成物100万部あたり、1個以上のケイ素原子またはアクリラートおよびアルカクリラートを含まないラジカル硬化性化合物の5,000部未満、あるいは900部未満、あるいは100部未満の濃度を称する。組成物は、少なくとも加熱により硬化する。
【0013】
通常、組成物は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合硬化性有機ケイ素化合物を架橋する縮合反応性架橋用化合物を含んでいる。一つの実施態様では、組成物はラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、縮合反応性架橋用化合物、および追加的にアミン−反応性化合物を含む。さらなる実施態様では、組成物は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、および縮合反応性架橋用化合物との反応生成物を含み、かつ有機ボラン−アミン錯体と縮合硬化用触媒と任意でアミン−反応性化合物を含む。
【0014】
その上さらなる実施態様では、組成物は、(i)ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、(ii)縮合硬化性有機ケイ素化合物、および(iii)縮合反応性架橋用化合物のいずれか二つの反応生成物(A)を含み、上記反応生成物(A)の一部として反応していない、(i)、(ii)、および(iii)のうち残りのものを含み、有機ボラン−アミン錯体を含み、および縮合硬化用触媒を含む。言い換えれば、その上さらなる実施態様では、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、および縮合反応性架橋用化合物のいずれか二つを予め反応させ、そしてその予備反応されていないそれら三つのうちの一つの成分は有機ボラン−アミン錯体とかつ縮合硬化用触媒とともに単に混合され、組成物を形成する。当該二つの成分は、組成物を作るための他の成分の導入前または導入から最小限離れたところで反応するように、予め反応させる。
【0015】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、当該技術で周知のものでよく、そして二つ以上のラジカル硬化性有機ケイ素化合物を含むこともできる。一つの実施態様では、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物はオルガノシラン、オルガノポリシロキサンおよびそれらの組合せからなる群から選択される。また、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物には、アクリロキシアルキル−およびメタクリロキシアルキル−官能性シラン(以下、合わせて「アクリル官能性シラン」と称す)、アクリロキシアルキル−およびメタクリロキシアルキル−官能性オルガノポリシロキサン、並びにそれらの組合せが含まれる。本発明の目的では、アクリロキシアルキルはアクリロイロオキシアルキルと同一であると理解されたい。
【0016】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、一量体、二量体、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、コポリマー、およびそれらの組合せであってもよい。一つの実施態様では、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、組成物にバルクの望ましい組合せおよび硬化速度、モジュラスや接着性のような表面特性を付与するために、一量体、二量体、オリゴマー、プレポリマー、およびポリマーの組合せを含む。
【0017】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、平均で少なくとも1個のフリーラジカル重合性基、そして平均で0.1から50モルパーセントの不飽和有機部分を含めたフリーラジカル重合性基を有する。不飽和有機基には、以下に限定されないが、アルケニル基、アルキニル基、アクリラート官能基、メタアクリラート官能基、およびそれらの組合せが含まれる。不飽和有機基の「モルパーセント」は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物のシロキサン部分に含まれる不飽和有機基のモル数の、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物中のシロキサン部分の全モル数に対する割合に100倍したものと定義される。
【0018】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、フリーラジカル重合性基中に組み込まれた非ラジカル反応性官能基を含むことができる。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、非ラジカル反応性官能基に関して単官能性または多官能性であってよく、それはラジカル硬化性有機ケイ素化合物を直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、コポリマー、架橋ポリマー、およびそれらの組合せに重合または硬化するという効果がある。官能基は、付加および/または縮合硬化可能な組成物で使用される技術で公知なものである。
【0019】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物には、一般構造式:RnSi(OR’)4-n(式中、nは4以下の整数であり、RおよびR’の少なくとも一つは独立してフリーラジカル重合性基を含む)を有するオルガノシランが含まれる。Rおよび/またはR’の唯一一つがフリーラジカル重合性基を含むなら、他は脂肪族不飽和を含まない一価有機基であってよい。Rおよび/またはR’には、独立して、水素、ハロゲン原子、および以下に限定されないが、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、ハロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、アクリラート基、およびメタクリラート基を含む有機基が含まれる。Rおよび/またはR’は、また互いに独立して、以下に限定されないが、グリシジル基、アミン基、エーテル基、シアナートエステル基、イソシアノ基、エステル基、カルボン酸基、カルボン酸塩含有基、サクシナート基、酸無水物基、メルカプト基、スルフィド基、アジド基、ホスホネート基、ホスフィン基、マスクされたイソシアノ基、ヒドロキシル基、およびそれらの組合せである他の有機官能基を含むことができる。一価有機基は、1から20個あるいは1から10個の炭素原子を有する。一価有機基には、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル基およびそれらの組合せを含むアルキル基が、シクロヘキシル基に限定されないがそれを含むシクロアルキル基に加えて、挙げられる。さらに、一価有機基には、以下に限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、2−フェニルエチル基およびそれらの組合せを含むアリール基が挙げられる。その上さらに、一価有機基には、以下に限定されないが、プロピルオキシポリ(オキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)、それらのハロゲン置換誘導体(version)およびそれらの組合せを含むアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基が挙げられる。追加的に、一価有機基には、シアノエチル基、シアノプロピル基およびそれらの組合せを含むシアノアルキル基に限定されないがそれを含むシアノ官能基が挙げられる。また、一価有機基には、以下に限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基、およびそれらの組合せを含むハロゲン化炭化水素基も含まれる。一価有機基には、その上さらに、例えば3−(N−カルバゾリル)プロピルなどのカルバゾール基、例えば4−(N、N−ジフェニルアミノ)フェニル−3−プロピルなどのアリールアミノ官能基、および例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、および6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルなどのハロゲン化炭化水素基が含まれる。ラジカル重合性基は、少なくとも一つの二重結合が末端部、内部または末端部かつ内部の両部に位置する脂肪族不飽和基を含有する。あるいは、ラジカル重合性基はアクリラート基、メタクリラート基およびそれらの組合せである。
【0020】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物の適した例には、以下に限定されないが、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルモノメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルモノメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、テトラ(アリルオキシ)シラン、テトラ−(3−ブテニル−1−オキシ)シラン、トリ−(3−ブテニル−1−オキシ)メチルシラン、ジ−(3−ブテニル−1−オキシ)ジメチルシラン、3−ブテニル−1−オキシ トリメチルシラン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0021】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、直鎖状、分岐状、超分岐状、または樹脂状構造を有し、またホモポリマーまたはコポリマーであってもいい。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物はアクリラートおよびメタクリラート基の少なくとも一つを含む。あるいは、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、例えばアクリロキシプロピル基などのアクリロキシアルキル基、例えばメタクリロキシプロピル基などのメタクリロキシアルキル基、および/または、以下に限定されないが、ビニル、アリル、ブテニルおよびヘキセニル基を含む2−12炭素原子を有するアルケニル基、エチニル、プロピニルおよびブチニル基を含む2−12炭素原子を有するアルキニル基、並びにそれらの組合せを包含する不飽和有機基を含有する。不飽和有機基には、オリゴマー状および/またはポリマー状ポリエーテル中のラジカル重合性基が含まれ、アリルオロキシポリ(オキシアルキレン)基、そのハロゲン置換類似体、およびそれらの組合せがある。
【0022】
あるいは、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、ポリマー骨格を有する有機化合物をラジカル硬化性有機ケイ素化合物とともに共重合することにより、共重合体あたり平均して少なくとも1個のフリーラジカル重合性基が存在するように形成された化合物を含む。適した有機化合物には、以下に限定されないが、例えばポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン ポリプロピレン共重合体などのようなポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンなどの炭化水素ベースポリマー、ポリアクリラート、例えばポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、例えばポリテレフタル酸エチレンおよびポリテレフタル酸ブチレンなどのポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ尿素、ポリメタクリラート、例えばポリテトラフルオロエチレンおよびフッ素化ラバーなどの部分的フッ素化またはパーフッ素化ポリマー、末端不飽和炭化水素、オレフィン、ポリオレフィンおよびそれらの組合せが含まれる。有機化合物には、また、有機多官能性ポリマー、オルガノポリシロキサン多官能性ポリマー、およびオルガノポリシロキサンと有機化合物との組合せポリマーを含む共重合体がある。共重合体は繰返し単位をランダム、グラフトまたはブロック配列で含んでいる。
【0023】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は液体、ガム状、または固体で、任意の粘度を有する。一つの実施態様では、粘度は25℃で0.001Pa・s以上である。樹脂または固体のものは高温でまたはせん断を加えると流動状になる。
【0024】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、次の式の少なくとも一つ有する:
(a) R13SiO(R12SiO)a(R1R2SiO)bSiR13
(b) R32R4SiO(R32SiO)c(R3R4SiO)dSiR32R4
(c) R32R4SiO(R32SiO)c(R3R4SiO)dSiR33;そして
(d) これらの組合せ
式(a)中、aおよびbは整数で平均して20,000以下の値を有し、その上、bは少なくとも1の平均値を有する。R1には、以下に限定されないが、例えばアクリロキシメチル、アクリロキシプロピル、メタクリロキシメチルおよびメタクリロキシプロピル基などのアクリル官能基、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル基などのアルキル基、例えばビニル、アリルおよびブテニル基などのアルケニル基、例えばエチニルおよびプロピニル基などのアルキニル基、例えばフェニル、トリルおよびキシリル基などの芳香族基、例えばシアノエチルおよびシアノプロピル基などのシアノアルキル基、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニルおよび6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルなどのハロゲン化炭化水素基、例えばアリルオキシポリ(オキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)およびアリルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばプロピルオキシポリ(オキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)およびプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばパーフルオロプロピルオキシポリ(オキシエチレン)、パーフルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)およびパーフルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびエチルヘキシルオキシ基などのアルコキシ基、例えば3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジンおよび3−プロピルピロール基などのアミノアルキル基、例えば3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルおよび5,6−エポキシヘキシル基などのエポキシアルキル基、例えばアセトキシメチルおよびベンゾイルオキシプロピル基などのエステル官能基、例えばヒドロキシおよび2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシル官能基、例えば3−イソシアナトプロピル、トリス−3−プロピルイソシアヌラート、t−ブチルカルバミン酸プロピルおよびエチルカルバミン酸プロピル基などのイソシアナートおよびマスクされたイソシアナート官能基、例えばウンデカナールおよびブチルアルデヒド基などのアルデヒド官能基、例えば3−プロピルコハク酸無水物、2−エチルコハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、3−プロピルマレイン酸無水物、2−エチルマレイン酸無水物およびメチルマレイン酸無水物基などの酸無水物官能基、例えば11−カルボキシウンデシル、3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチル基などのカルボン酸官能基、カルバゾール基、例えば3−(N、N−ジフェニルアミノ)フェニル−3−プロピル基および4−(N、N−ジフェニルアミノ)フェニル−3−プロピルなどのアリールアミノ官能基、そして例えば3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチル基などで、亜鉛、ナトリウムおよび/またはカリウム塩となっているカルボン酸金属塩官能基、およびこれらの組合せを含む一価有機基が含まれる。R2には、以下に限定されないが、例えばビニル、アリルおよびブテニル基などのアルケニル基、例えばエチニルおよびプロピニル基などのアルキニル基、そして例えばアクリロキシプロピルおよびメタクリロキシプロピル基などのアクリル官能基、およびそれらの組合せを含む不飽和一価有機基が含まれる。
【0025】
式(b)および(c)中、cおよびdは整数で、それぞれ平均して20,000以下の値を有する。それぞれのRはRと同じであっても異なっていてもよい。その上、それぞれのRには、独立して、以下に限定されないが、例えばビニル、アリルおよびブテニル基などのアルケニル基、例えばエチニルおよびプロピニル基などのアルキニル基、例えばアリルオキシポリ(オキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)およびアリルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばアクリロキシプロピルおよびメタクリロキシプロピル基などのアクリル官能基、およびそれらの組合せを含む不飽和一価有機基が含まれる。
【0026】
ラジカル硬化性オルガノポリシロキサンの例には、以下に限定されないが、1,3−ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(アクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(メタクリロキシメチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(アクリロキシメチル)テトラメチルジシロキサン、α、ω−メタクリロキシメチルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、α、ω−アクリロキシメチルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、α、ω−アクリロキシプロピルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、例えばポリ(アクリロキシプロピル−メチルシロキシ)ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メタクリロキシプロピル−メチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン共重合体などの側鎖アクリラートおよびメタクリラート官能性ポリマー、多アクリラートまたは多メタクリラートモノマーのアミン末端ポリジメチルシロキサンへのマイケル付加反応により形成されたものを含む複数のアクリラートまたはメタクリラート官能基を有するテレケリックポリジメチルシロキサン、およびそれらの組合せが含まれる。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として使用に適するそのほかの化合物には、以下に限定されないが、例えば一末端がメタクリロキシプロピルジメチルシリル基で他末端がn−ブチルジメチルシリル基であるポリジメチルシロキサンなどの一官能性アクリラートまたはメタクリラート末端オルガノポリシロキサンが含まれる。
【0027】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物には、官能性の程度および/またはフリーラジカル重合性基の異なる液体の混合物が含まれる。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物には、トリメチロールプロパントリアクリラート2モル当量と、またはアクリルオキシプロピルトリメトキシシランと3当量のヒドロキシ官能性メタクリラート、例えばメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの反応生成物2モル当量と、第2級アミン末端ポリジメチルシロキサンを含む前駆体とを、マイケル付加反応で製造される四官能性テレケリックポリジメチルシロキサンがある。同液体は、マイケル反応が有機ボラン触媒化硬化反応よりも同じまたは早い速度であるなら、前駆体とその場で形成することができる。発明は、先述の例に限定されるものではなく、というのは2個を超えるフリーラジカル重合性基を有する有機ケイ素化合物を形成する他の多くの方法も使用可能であることによる。
【0028】
マイケル付加反応は、類似の重合度を有する二官能性メタクリロキシプロピルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと比較して、硬化速度増大およびゾル含量減少をもたらすことができる。しかしながら、二官能性メタクリロキシプロピルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンは、作業時間の改善をもたらし、低いモデュラスのオルガノポリシロキサンを製造することができる。したがって、2個を超える官能性を有するテレケリックポリジメチルシロキサンと二官能性メタクリロキシプロピルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンとを組み合わせて使用される。
【0029】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、オルガノポリシロキサン樹脂として知られている次の構造を有してもよい:
【化1】

(ここで、M (R3SiO1/2)、D (R2SiO2/2)、T (RSiO3/2)、およびQ (SiO4/2)それぞれは独立してオルガノポリシロキサンの構造的な官能基を表す)。
【0030】
オルガノポリシロキサン樹脂には、R53SiO1/2基とSiO4/2基を含むMQ樹脂、R5SiO3/2基とR52SiO2/2基を含むTD樹脂、R53SiO1/2基とR5SiO3/2基を含むMT樹脂、R53SiO1/2基とR5SiO3/2基とR52SiO2/2基を含むMTD樹脂、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0031】
それぞれRは一価有機基であり、1から20個あるいは1から10個の炭素原子を有する。適する例には、以下に限定されないが、アクリロキシアルキル基などのアクリラート官能基、メタクリロキシアルキル基などのメタクリラート官能基、シアノ官能基、そして一価炭化水素基、およびそれらの組合せが含まれる。一価炭化水素基には、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシル基などのアルキル基、例えばシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、例えばビニル、アリル、ブテニルおよびヘキセニル基などのアルケニル基、例えばエチニル、プロピニルおよびブチニル基などのアルキニル基、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジルおよび2−フェニルエチニル基などのアリール基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピルおよび6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基などのハロゲン化炭化水素基、およびそれらの組合せが含まれる。
【0032】
には、例えばプロピルオキシポリ(オキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばパーフルオロプロピルオキシポリ(オキシエチレン)、パーフルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびパーフルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばアリルオキシポリ(オキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)およびアリルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基などのアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびエチルヘキシルオキシ基などのアルコキシ基、例えば3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジンおよび3−プロピルピロール基などのアミノアルキル基、例えばテトラメチルピペリジニル オキシプロピル基などのヒンダードアミノアルキル基、例えば3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルおよび5,6−エポキシヘキシル基などのエポキシアルキル基、例えばアセトキシメチルおよびベンゾイルオキシプロピル基などのエステル官能基、例えばヒドロキシおよび2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシル官能基、例えば3−イソシアナトプロピル、トリス−3−プロピルイソシアヌラート、t−ブチルカルバミン酸プロピル、およびプロピルエチルカルバミン酸プロピル基などのイソシアナートおよびマスクされたイソシアナート官能基、例えばウンデカナールおよびブチルアルデヒド基などのアルデヒド官能基、例えば3−プロピルコハク酸無水物および3−プロピルマレイン酸無水物基などの酸無水物官能基、例えば3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル基および10−カルボキシデシル基などのカルボン酸官能基、例えば3−(N、N−ジフェニルアミノ)フェニル−3−プロピルおよび4−(N、N−ジフェニルアミノ)フェニル−3−プロピルなどのアリールアミノ官能基、そして例えば3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチル基などで、亜鉛、ナトリウムおよびカリウム塩となっているカルボン酸金属塩官能基、およびこれらの組合せが含まれる。
【0033】
適する樹脂の例には、以下に限定されないが、MメタクリロキシメチルQ樹脂、MメタクリロキシプロピルQ樹脂、MTメタクリロキシメチルT樹脂、MTメタクリロキシプロピルT樹脂、MDメタクリロキシメチルフェニルT樹脂、MDTメタクリロキシプロピルフェニルT樹脂、Mビニルフェニル樹脂、TTメタクリロキシメチル樹脂、TTメタクリロキシプロピル樹脂、Tフェニルメタクリロキシメチル樹脂、Tフェニルメタクリロキシプロピル樹脂、TTフェニルメタクリロキシメチル樹脂そしてTTフェニルメタクリロキシプロピル樹脂、およびそれらの組合せが含まれる。
【0034】
オルガノポリシロキサン樹脂は、当該技術分野で公知な方法で、例えばシリカヒドロゾル・キャッピング法により生産された樹脂共重合体をアルケニル含有末端ブロッキング剤で処理するなどの任意な方法により製造することができる。この方法は、シリカヒドロゾルを酸性条件下でトリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのようなシロキサンおよびそれらの組合せと反応させて、MおよびQ基を有し2から5重量%のヒドロキシル基を含む共重合体を回収することからなる。同共重合体は、不飽和有機基を含む末端ブロッキング剤および脂肪族不飽和を含まない末端ブロッキング剤と、樹脂中に不飽和有機基が3から30モルパーセントとなる十分な量で反応させる。適する末端ブロッキング剤には、シラザン、シロキサン、シランおよびそれらの組合せが含まれる。
【0035】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、物理的転移温度を有し、物理的転移温度を持つ有機官能基を含む、また硬化により物理的転移温度、すなわちガラス転移または融解転移を有するオルガノポリシロキサン母体を形成し、それにより硬化可能な有機ケイ素組成物は使用条件下ある温度に達すると軟化または非線形の粘度減少により明らかな変化を受ける。オルガノポリシロキサン母体は、電子部品用熱伝導性相変化熱界面材で有用と思われるものなどの相変化組成物として有用である。適するオルガノポリシロキサン母体には、未架橋有機官能性シリコーンワックス、架橋有機官能性シリコーンワックスまたはそれらの組合せである有機官能性シリコーンワックスが含まれる。少なくとも1個のフリーラジカル重合性基、例えばアクリラートまたはメタクリラートなど、を含むオルガノ官能性シリコーンワックスが組成物に相変化を付与するために有用である。
【0036】
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、組成物100重量部あたり、5から95、あるいは10から95、あるいは40から95重量部の量で存在できる。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物は、上述の最初に導入されるアルカクリラートと同等でない。追加的に、オルガノポリシロキサン直鎖状ポリマー、樹脂 および共重合体などの1個以上のラジカル硬化性有機ケイ素化合物が組み合わされて、表面エネルギー、モジュラス、熱的安定性、耐湿性、および疎水性バランスなどの特性を最適化されたラジカル硬化性有機ケイ素化合物を形成する。
【0037】
組成物はまた、通常有機ボランと、周囲環境下で有機ボラン−アミン錯体を安定にする、適するアミンとの間で形成される錯体である有機ボラン−アミン錯体を含む。当該技術分野で知られている任意の有機ボラン−アミン錯体が使用できる。有機ボラン−アミン錯体は、アミン−反応性化合物の導入により、および/または加熱することにより、ラジカル硬化性オルガノポリシロキサンの重合または架橋反応を開始することができる。もちろん、必要としないアミン−反応性化合物が存在しないときは、有機ボラン−アミン錯体は加熱によって重合または架橋反応を開始する。有機ボランは通常トリ官能性ボランで、一般式:
【化2】

を有する (ここで、R−Rは独立して、1から10個の炭素原子を有し、かつR−Rのそれぞれは独立して、水素、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の一つである)。同脂肪族および/または芳香族炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状であることができる。有機ボランには、以下に限定されないが、トリ−メチルボラン、トリ−エチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリ−ドデシルボラン、フェニルジエチルボランおよびこれらの組合せが含まれる。通常有機ボランはトリ−n−ブチルボランである。
【0038】
有機ボランは、有機ケイ素官能性であることもでき、ケイ素原子、シロキサンオリゴマーおよびシロキサンポリマーの少なくとも一つを含む官能基を有する。有用な有機ケイ素官能性有機ボランは国際出願番号PCT/US05/044947に記載され、その記載を有機ケイ素官能性有機ボランに関連するものとして、ここに参照することにより援用する。有機ケイ素官能性有機ボラン−アミン錯体は少なくとも1個のケイ素原子、シロキサンオリゴマー、およびシロキサンポリマーを含む錯体であり、式:
【化3】

(ここで、Bはホウ素を示す)を有する。R、R10、およびR11のそれぞれは、水素原子、シクロアルキル基、骨格に1から12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、アルキルアリール基、オルガノシラン基、オルガノシロキサン基、ホウ素に対し共有結合性橋かけとして機能できるアルキレン基、ホウ素に対し共有結合性橋かけとして機能できる二価オルガノシロキサン基、およびそれらのハロゲン置換同族体の群から選択され、R、R10、およびR11の少なくとも一つが1個以上のケイ素原子を含み、かつホウ素と共有結合している。R12、R13、およびR14のそれぞれは、通常ホウ素を錯体化できるアミン化合物またはポリアミンを生じる。R、R10、およびR11の二つ以上およびR12、R13、およびR14の二つ以上が結合して複素環構造を形成してもよい、ただしR、R10、R11、R12、R13およびR14の原子の数の合計が11を超えない。
【0039】
当該技術分野で知られている任意のアミンが有機ボラン−アミン錯体を形成するために使用できる。通常アミンは、少なくとも一つのアルキル基、アルコキシ基、イミダゾール基、アミジン基、ウレイド基およびそれらの組合せを有する。あるいは、アミンには、以下に限定されないが、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、イソホロンジアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、アミノプロピルシラントリオール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン−トリアミン、1,1,2,4−テトラメチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン、アミン官能性オルガノポリシロキサンで3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、アミノメチル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジンおよび3−プロピルピロールなどのアミン官能基を有するもの、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシランを含む窒素化合物、およびそれらの組合せが含まれる。アミンはアミン−官能性シラン、アミン−官能性オルガノポリシロキサン、およびそれらの組合せの群から選択される。他の実施態様では、アミンはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0040】
有機ボラン−アミン錯体は、作業時間をコントロールし、かつ保管中の組成物中での分離に備えて液相の有機ボラン−アミン錯体を安定化するために、相担体(phase support)のような固形粒子に物理的および/または化学的に付着(結合)させるのがよい。付着は、現場または事前のいずれで行われ、並びに粉砕または沈澱シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、カーボンナノ粒子、シリコンナノ粒子、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、ボロン窒化物、銀、金、白金、パラジウム、およびそれらの合金、ニッケル、アルミニウム、銅および鋼などの卑金属、およびそれらの組合せなどの固形粒子を縮合反応性化合物で事前に処理することが含められる。使用される縮合反応性化合物には、以下に限定されないが、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、トリエトキシシリルウンデカナール、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、およびそれらの組合せが含まれる。前処理は、その後有機ボランとの錯体化、または縮合反応性である予め形成された有機ボラン−アミン錯体を用いて固体粒子への直接処理が続く。本質的にアミン反応性である表面処理剤などの添加剤または不純物には、付着された有機ボラン−アミン錯体の早急な分解を回避するための適切な予防措置が必要とする。アミン反応性物質を含む固体粒子は、有機ボラン−アミン錯体の付着前に精製または中和する。あるいは、有機ボラン−アミン錯体の付着を酸素のない環境で行う。
【0041】
有機ボラン−アミン錯体は組成物中に任意の量で存在することができる。通常有機ボラン−アミン錯体は組成物100重量部あたり0.01から95、あるいは0.1から80、あるいは1から30重量部の量で存在する。これらの量は有機ボラン−アミン錯体の分子量および官能性および充填剤などの他の成分の存在によって変わる。有機ボラン中のボロン濃度は、通常ラジカル硬化性有機ケイ素化合物100万重量部あたり、10と100,000との間、あるいは100と10,000との間、あるいは500と5,000重量部との間である。
【0042】
アミン−反応性化合物が含まれると、有機ボラン−アミン錯体は通常アミン−反応性化合物と相互に作用しあい、組成物の重合または架橋反応を開始する。この反応は、アミン−反応性化合物が有機ボラン−アミン錯体と混合され、室温およびそれ以下を含め有機ボラン−アミン錯体の解離温度以下で含酸素環境に曝されると起こる。
【0043】
アミン−反応性化合物には、当該技術分野で知られている任意のアミン−反応性化合物であり、ガス状、液体または固体として配送される。アミン−反応性化合物はフリーラジカル重合性基、または加水分解性基などの他の官能基を含むことができ、単量体、二量体、オリゴマーまたはポリマーである。アミン−反応性化合物は通常有機化合物、有機ケイ素化合物、オルガノシラン、またはオルガノポリシロキサンに結合しているアミン−反応性基を有する。アミン−反応性基は、有機ボラン−アミン錯体および/または存在する任意の添加剤から誘導され、ルイス酸、カルボン酸、カルボン酸誘導体、カルボン酸塩、イソシアナート、アルデヒド、エポキシド、酸塩化物、スルホン酸塩化物、ヨードニウム塩、酸無水物およびそれらの組み合せの群から選択される。あるいは、アミン−反応性化合物は、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジシソシアナート、トルエンジイソシアナート、メチルジフェニルジイソシアナート、アクリル酸、無水メタクリル酸、ウンデシレン酸、シトラコン酸無水物、ポリアクリル酸およびそれらの組合せの群から選択される。アミン−反応性化合物は有機化合物、シラン、オルガノシロキサン、並びにそれらの組合せの群から選択され、単量体、オリゴマーおよび/またはポリマーである。有機化合物、シランおよび/またはオルガノシロキサンは、イソシアナート官能基、カルボン酸官能基および酸無水物官能基の少なくとも一つを有する。アミン−反応性化合物には、以下に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、無水メタクリル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、イソホロンジイソシアナート単量体または同オリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアナート単量体、同オリゴマーまたは同ポリマー、トルエンジイソシアナート単量体、同オリゴマーまたは同ポリマー、メチルジフェニルジイソシアナート単量体、同オリゴマーまたは同ポリマー、メタクリロイルイソシアナート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセタート、ウンデシレンアルデヒド、ドデシルコハク酸無水物、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルコハク酸無水物−およびプロピルコハク酸無水物−官能化直鎖状、分岐状、樹脂状および/または超分岐状オルガノポリシロキサン、シクロヘキセニルコハク酸無水物−官能化直鎖状、分岐状、樹脂状および/または超分岐状オルガノポリシロキサン、例えばカルボキシデシル末端オリゴマーまたはポリマー状ポリジメチルシロキサンなどのカルボン酸−官能化直鎖状、分岐状、樹脂状および/または超分岐状オルガノポリシロキサン、例えばウンデシレンアルデヒド末端オリゴマーまたはポリマー状ポリジメチルシロキサンなどのアルデヒド−官能化直鎖状、分岐状、樹脂状および/または超分岐状オルガノポリシロキサンを含むアミン−反応性オルガノシランまたはオルガノポリシロキサン、並びにそれらの組合せが含まれる。使用可能な他の化合物には、紫外線照射されるとアミン−反応性基を生じる化合物、例えば光酸発生剤および[SbF6]‐の対イオンを含むヨードニウム塩など、および例えばイソプロピルチオキサントンなどの光増感性化合物が含まれる。アミン−反応性化合物は、作業時間のコントロールまたは液相の安定化のために上述した各種の固体粒子などの固相連続または不連続担体に物理的および/または化学的に結合されている。アミン−反応性化合物は、組成物中に任意の量で存在できるが、通常組成物100重量部あたり0.1から95、あるいは0.1から90、あるいは1から50重量部の量で存在する。その量はアミン−反応性化合物の分子量や官能性および充填剤などの他の添加剤の存在によって変わる。あるいは、アミン−反応性化合物は、硬化可能な有機ケイ素組成物中のアミン基に対するアミン−反応性基のモル比が0.1から100、あるいは0.5から50、あるいは0.8から20となる量で存在することもできる。アミン−反応性化合物がアクリラート基および/またはメタクリラート基を有するときは、アミン−反応性化合物は上述の最初に導入される任意のアルカクリラートに同等でない。
【0044】
組成物はさらに縮合硬化性有機ケイ素化合物を含む。特別な理論よって束縛される意図はないが、縮合硬化性有機ケイ素化合物は、縮合硬化用触媒との相互作用により、架橋剤とラジカル硬化性有機ケイ素化合物とともに架橋すると考えられる。縮合硬化性有機ケイ素化合物は当該技術分野で知られており、単量体、二量体、オリゴマー、ポリマー、プレポリマー、コポリマーおよびそれらの組合せである。単量体、二量体、オリゴマー、プレポリマー および/またはポリマーの組合せが使用される。ここで使われる用語「オリゴマー」には、縮合可能な反応部分を介して一体として結合された単量体、二量体、三量体、四量体、および/または五量体を含め、特定可能な化学基を有する。例として、以下に限定されないが、加水分解性部分、ヒドロキシル部分、イソシアナート部分、アミンおよびそれらの組合せが含まれる。反応性部分には、以下に限定されないが、加水分解性部分、ヒドロキシル部分および/またはそれらの組合せが含まれる。あるいは、縮合硬化性有機ケイ素化合物はオルガノシラン、オルガノポリシロキサンおよびそれらの組合せの群から選択される。そうであれば、オルガノポリシロキサンは、シラノール末端シロキサン、アルコキシシリル−末端シロキサンおよびそれらの組合せの群から選択される。縮合硬化性有機ケイ素化合物はラジカル硬化性有機ケイ素化合物と異なっている。
【0045】
縮合硬化性有機ケイ素化合物は通常ヒドロキシルおよび/またはオルガノシロキシ基(−SiOR)を有し、あるいはヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンである。縮合硬化性有機ケイ素化合物は一般式:
【化4】

(ここで、各々のR15およびR16は独立的に、水素、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルキレニル基、アリール基、ハロゲン置換アリール基、アルカリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基であり、およびnは整数である)を有する。
【0046】
あるいは、縮合硬化性有機ケイ素化合物はヒドロカルビレンおよび/またはフルオロカルビレン基を含む。ヒドロカルビレン基は炭素と水素を含む二価の部分である。フルオロカルビレン基は、少なくとも1個の水素が少なくとも1個のフッ素原子で置換されているヒドロカルビレンである。フルオロカルビレン基は部分的または全体的にフッ素置換のアルキレン基を含む。縮合硬化性有機ケイ素化合物は、またアクリラート、メタクリラート、ビニル、アセチレニルおよびそれらの組合せを含むオレフィン部分を含んでいる。
【0047】
縮合硬化性有機ケイ素化合物は少なくとも一つの末端シラノール基または湿分に曝されるとシラノール基を形成する加水分解性基を有する。末端シラノール基は触媒化されると縮合可能となる。シラノール基の形成は、一段階または二段階重合システムとしてかつシラノール縮合反応用触媒の存在下、室温で進行する。
【0048】
縮合硬化性有機ケイ素化合物は任意の量で組成物中に存在するが、通常、組成物100重量部あたり0.001から30、あるいは0.01から10、あるいは0.01から5重量部の量で存在する。
【0049】
縮合硬化用触媒は縮合硬化性有機ケイ素化合物および縮合反応性架橋用化合物と相互作用して、組成物を硬化させ、かつ硬化後の濡れた表面の形成を減らすことができる。縮合硬化用触媒は当該技術分野で周知であり、通常、以下に限定されないが、例えばチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラ−t−ブチル、チタン酸テトラプロピルなどのチタン酸エステル、例えばジイソプロポキシチタニウム−ジ(エチルアセトアセトナート)およびジ(n−プロポキシ)ジルコニウム−ジ(エチルアセトアセトナート)などの部分的キレート化有機チタンおよび有機ジルコニウム化合物、例えばジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジメチルスズジネオデカノアートおよびオクチル酸スズなどの有機スズ化合物、例えばアルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトナート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、例えばビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)、ビスマストリス(ネオデカノアート)などの有機カルボン酸のビスマス塩、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタニウムテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物、オクチル酸鉛などの有機鉛化合物、有機バナジウム化合物、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)およびそれらのカルボン酸塩などのアミン化合物、過剰のポリアミンと多塩基酸から得られる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物、およびそれらの組合せが含まれる。しかし、縮合硬化用触媒は当該技術分野では知られており、通常以下に限定されないが、チタニウム、ジルコニウム、スズ、ビスマス、およびそれらの組合せを含む有機金属化合物である。縮合硬化用触媒には、スズ化合物が含まれ、それは、以下に限定されないが、例えばジブチルスズジアセタート、ジメチルスズジラウラート、ジメチルスズジネオデカノアート、ジブチルスズジラウラート、マレイン酸ジブチルスズおよびジオクチルスズジアセタートなどの有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、オクチル酸スズまたはナフテン酸スズなどのカルボン酸スズ、ジアルキルスズ酸化物とフタール酸エステルまたはアルカンジオンの反応生成物、例えばジブチルスズジアセチルアセトナート(ジブチルスズアセチルアセトナート)などのジアルキルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズ酸化物などのジアルキルスズ酸化物、スズ(II)ジアセタート、スズ(II)ジオクタノアート、スズ(II)ジエチルヘキサノアートまたはスズ(II)ジラウラートなどの有機カルボン酸のスズ(II)塩、ジメチルスズ二塩化物などのジアルキルスズ(IV)ジハライド、オクタン酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸スズまたはラウリン酸スズなどのカルボン酸スズ(II)塩、およびそれらの組合せが含まれる。縮合硬化用触媒はジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラート、およびそれらの組合せの群から選択される。一つの縮合硬化用触媒または複数の縮合硬化用触媒のいずれかで使用できる。通常縮合硬化用触媒はジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラート、および/またはジメチルスズジネオデカノアートである。あるいは縮合硬化用触媒はジブチルスズジアセタートである。縮合硬化用触媒は、任意の量で組成物中に存在できるが、組成物100重量部あたり0.0001から30、あるいは0.001から5、あるいは0.001から2重量部の量で存在する。
【0050】
縮合反応性架橋用化合物は縮合反応で有用であり、当該技術分野では知られている任意の縮合反応性架橋用化合物である。通常縮合反応性架橋用化合物はアルコキシシラン、あるいはメタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび/またはメタクリロキシメチルトリメトキシシランである。縮合反応性架橋用化合物は、アクリラートおよびメタクリラート基の少なくとも一つを有するトリアルコキシシランである。しかし縮合反応性架橋用化合物はシロキサン基、かつシロキサン基および任意の不飽和基と反応できる少なくとも二つの官能基を含む化合物でもよい。縮合反応性架橋用化合物には、以下に限定されないが、例えば(3−グリシジルプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランなどの上述したアルコキシ官能性オルガノシラン、および例えば(メタクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサン コポリマー、メタクリロキシメチル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(アクリオキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサン コポリマー、3−アミノプロピルトリエトキシシロキサン、3−アミノプロピルトリメトキシシロキサン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシロキサン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシロキサン、(3−グリシジルプロピル)トリメトキシシロキサン、(アクリロキシプロピル)トリメトキシシロキサンなどのオルガノポリシロキサン、およびそれらの組合せが含まれる。あるいは、縮合反応性架橋用化合物はオキシラン環やアルコキシシロキサンである。縮合反応性架橋用化合物はアクリルまたはメタクリル官能性を有しおよび/またはメルカプト官能性シロキサンおよびイソシアナト官能性シロキサンである。通常縮合反応性架橋用化合物はメタクリロキシプロピルトリメトキシシランまたはアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリル官能性シランである。
【0051】
縮合反応性架橋用化合物は縮合硬化用触媒とともに相互作用により縮合硬化性有機ケイ素化合物と反応する。縮合反応性架橋用化合物はさらにラジカル硬化性有機ケイ素化合物とも反応し、ラジカル硬化性および縮合硬化性有機ケイ素化合物を一緒に反応させることになる。縮合反応性架橋用化合物は組成物中に任意の量で存在する、通常組成物100重量部あたり0.01から50、あるいは0.1から20、あるいは0.5から15重量部の量で存在する。縮合反応性架橋用化合物は上述の最初に導入されるアルカクリラートと同等ではない。
【0052】
組成物はさらに、当該有機ボラン−アミン錯体と異なるアミン添加剤、ガス発生成分、接着促進剤、増量性高分子、軟化性高分子、補強性高分子、強化性高分子、粘度調整剤、揮発調整剤、増量用充填剤、補強用充填剤、伝導性充填剤、スペーサー、染料、顔料、コモノマー、紫外線吸収剤、ヒンダーアミン系光安定剤、アジリジン安定剤、空隙低減剤(void reducing agent)、硬化調整剤、フリーラジカル開始剤、希釈剤、レオロジー調整剤、酸受容体、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、シリル化剤、泡安定剤、界面活性剤、湿潤剤、溶剤、可塑剤、フラックス剤(融剤)、乾燥剤、およびそれらの組合せの群から選択される添加剤を含むことができる。
【0053】
添加剤には、水素化ケイ素、水、アルコールおよび/またはカルボン酸のような活性水素原子を有する化合物、ならびに有機金属化合物であるガス発生成分を含む。通常添加剤は、組成物が発泡体を形成するために使われるときは、ガス発生成分であり、発泡体は水素化ケイ素、活性水素および有機金属化合物により柔らかくまたは固くすることができる。特に、ガス発生化合物は硬化時に水素ガスを発生し、発泡体を形成する。発泡体細孔の大きさ分布は公知の発泡方法でコントロールでき、モジュラス、密度および透過性などの要求特性を達成できる。
【0054】
添加剤は、あるいは、潤滑剤でまたは他の表面処理剤で事前に処理された増量、補強そして伝導性充填剤の少なくとも一つである。充填剤はアミン−反応性化合物をデリバリーするために用いられる。添加剤は組成物100重量部あたり0.0001から95、あるいは0.001から90、あるいは0.01から88重量部の量で存在する。
【0055】
組成物はまた、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、アミン−反応性化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、そして縮合反応性架橋用化合物の少なくとも一つの周囲に配置される封入用化合物を有する。封入用化合物は組成物の任意の一部を完全に包囲または部分的に包囲する。通常封入用化合物はラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合反応性架橋用化合物の一つ以上をミクロ相で包囲する。
【0056】
組成物にまた、組成物の各種成分のいくつかの反応生成物が含まれる、ただし有機ボラン−アミン錯体と任意のアミン−反応性化合物が含まれるなら、それらは、組成物を形成する前に、酸素の存在下で実質的に反応させてはならない。一つの例として、組成物は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物および縮合反応性架橋用化合物の反応生成物を、縮合硬化用触媒、有機ボラン−アミン錯体および任意のアミン−反応性化合物と一緒に有する。ラジカル硬化性および縮合硬化性有機ケイ素化合物は、縮合反応性架橋用化合物を介して、一緒に結合している。追加例として、組成物は、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、および縮合反応性架橋用化合物の少なくとも二つが有機ボラン−アミン錯体、アミン−反応性化合物および縮合硬化用触媒の存在下で反応した反応生成物を含む。さらなる例においては、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、および縮合反応性架橋用化合物の二つまたは三つが事前に反応して反応生成物を形成することが意図されている。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、または縮合反応性架橋用化合物のいずれかが反応生成物に含まれていないときは、この未使用成分はなお利用され、有機ボラン−アミン錯体、縮合硬化用触媒および/または任意のアミン−反応性化合物とともに存在する。
【0057】
組成物はまた、以下に限定されないが、ラバー、テープ、接着剤、コーティング剤、保護用コーティング剤、インク、フィルム、封入材、ゲル、電子用部品、光通信用部品、音響減衰用部品、熱可塑性樹脂用品、熱硬化性樹脂用品、シーラント、発泡体、ガスケット、シール剤、O−リング、コネクター、感圧接着剤、紙用コーティング剤、離型性コーティング剤、およびそれらの組合せが含まれる物品を形成するために使用される。組成物は、自己接着性シリコーンラバーおよびゲルの製造に使用でき、それらはダイ接着剤、インク、リッド・シーラント(lid sealant)、封入材、ガスケット、O−リング、ポッティング・コンパウンド、離型コーティング剤そしてコンフォーマル・コーティング剤としての使用を含め数多くの用途を持っている。シリコーンエラストマーは、金型からの離型を可能にし、しかし一方、同時にポリマー表面に選択的に接着することができる。したがって、シリコーンエラストマーはポリマー樹脂と同時成形またはオーバー・モールディングが可能で、一体的に密着した部品、例えば電気配線・電子回路用コネクターやハウジング、およびスキューバダイビング用ダイビングマスクなどを成形できる。
【0058】
上記に示唆したとおり、組成物は接着剤、コーティング剤、および/またはインクに使用可能である。これら接着剤、コーティング剤、および/またはインクは複数成分系である。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、有機ボラン−アミン錯体、アミン−反応性化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合反応性架橋用化合物の組合せは、複数成分系接着剤、コーティング剤、および/またはインクの部分として使われる。通常複数成分系接着剤、コーティング剤、および/またはインクでは、アミン−反応性化合物と有機ボラン−アミン錯体が一緒に保存されるのなら、嫌気性、すなわち酸素含まない状態にされる。逆に、酸素の存在下でも保存安定性を実現するためには、有機ボラン−アミン錯体およびアミン−反応性化合物は通常物理的および/または化学的に分離しておく。例えば、組成物は、有機ボラン−アミン錯体をアミン−反応性化合物から分けて包装することにより空気安定性が与えられる。あるいは、有機ボラン−アミン錯体およびアミン−反応性化合物は封入され、および/または別々の相でデリバリーされる。これは、知らぬ間の混合を防ぐために、一つまたは両方を封入などにより固形で保存することで成し遂げられる。組成物が複数成分系接着剤、コーティング剤、および/またはインクに使われるのであれば、複数成分系接着剤、コーティング剤、および/またはインクは、実質的にアルカクリラートおよび特にメタクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルを含まないのがよい。組成物は、単一または複数成分系接着剤、コーティング剤、および/またはインクとして、加熱によって硬化される。
【0059】
あるいは、物品は、第一層と第一層上に配置され組成物から形成される第二層とを有する。第二層は物品内で、第一層に直接接触しても、していなくともよい。第二層は通常加熱硬化している。物品はまた第二層の上に配置された第三層を有する。第三層は、第二層と直接接触しても、しなくてもよい。通常は、第三層は第二層上に配置され、第二層を第一層と第三層の間で挟んでいる。
【0060】
通常、物品は、第二層を第一層に接着して形成される、それは、組成物と第一層とがしっかりと接着して物品を形成するように、組成物を硬化させ十分な接着を得ることにより達成できる。あるいは、物品は組成物を第一層の上に水の沸点(100℃)より低い温度で配置し、同時に組成物を硬化させることにより製造される。これは第一層および/または第三層を事前乾燥する必要性を取り除けられる。
【0061】
さらに、第一層および第三層の少なくとも一つは、有機材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属材料、セラミック材料、無機材料、およびそれらの組合せの群から選択される。第一層および第三層の少なくとも一つは、未変性シンジオタクチックポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、エポキシ(例、エポキシ熱硬化性材料)、ポリイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリフタルアミド、ポリアミド、およびそれらの組合せの群から選択される。
【0062】
組成物は、任意の温度・時間で硬化できる。通常、組成物は−100から300、あるいは0から100、あるいは15から35℃で硬化される。組成物は少なくとも5秒、あるいは30秒から24時間、あるいは15秒から2時間で硬化される。組成物を硬化するための高い方の温度は80℃未満がいい。最大の利益のためには、温度は通常40から80、あるいは0から60、あるいは15から35℃である。組成物は、計量混同し、押し出しおよび/またはロボットまたは手作業での適用により第一および/または第三層に適用される。
【0063】
本発明は組成物の形成方法をも提供する。組成物がアミン−反応性成分を含まないときは、組成物の各種成分は、任意の方法で組み合わせられ、簡単にすべての成分を一つの容器に入れられる。他方、もし組成物がアミン−反応性成分を含むなら、二つの容器または反応器が一般である、というのは、上記に暗に示したとおり、有機ボラン−アミン錯体と任意のアミン−反応性化合物とは一緒にしないこと、すなわち組成物を形成する前に酸素の存在下一緒に曝さないことが重要である。絶対的な要求ではないが、有機ボラン−アミン錯体とアミン−反応性化合物とは、すべての成分の反応が望まれるまで、互いに異なる容器に保管することがもっとも望まれる。
【0064】
アミン−反応性化合物が組成物の一部である、この特有な方法においては、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合反応性架橋用化合物は、第一または第二容器の少なくとも一つに導入される。言い換えれば、任意に上述の成分の一つが第一容器、第二容器、または第一・第二容器の両方、すなわち両容器にこれら成分の一部、のいずれかに導入される。この方法では、有機ボラン−アミン錯体は第一または第二容器の一つに導入され、アミン−反応性化合物は第一または第二容器の他方に導入する。説明の目的だけのためとして、有機ボラン−アミン錯体は第一容器に導入され、アミン−反応性化合物は第二容器に導入されると記載する。それから有機ボラン−アミン錯体とアミン−反応性化合物は混ぜられる。すなわち、第一および第二容器の内容物は組成物のすべての成分を一つにするため混ぜられる。第一容器の内容物を第二容器に加えるか、第二容器の内容物を第一容器に加えるか、第一・第二容器両方の内容物を第三容器に加えればよい。さらに、第一および/または第二容器には、通常実質的に酸素および湿気が含まれないようにでき、かつ含まれていない。ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、および縮合反応性架橋用化合物のうち任意の二つまたは少なくとも二つが反応して、反応生成物を生成する実施態様では、本発明の方法はそれら成分の反応および/または混合する段階を含む。
【0065】
任意の方法では、導入および/または混合は当該技術分野公知の任意の手順および装置で成し得る。一つの実施態様において、混合はバッグの中で空気中または圧力ガンを経由して所望の体積比で成される。第一および第二容器の内容物の混合比について何ら制限はないけれど、通常第一容器の内容物の第二容器の内容物に対する混合比は0.05:1から20:1までとする。あるいは、混合比は0.1:1から10:1までとする。
【実施例】
【0066】
本発明の組成物の形成および使用を説明する次の実施例は、発明を説明するためであり、発明を制限する意図はない。
【0067】
18個の硬化可能な有機ケイ素組成物である組成物1から18が形成され、それから硬化して硬化組成物1から18を製造する。さらに、2個のコントロール用組成物であるコントロール組成物1と2もまた形成し、硬化させて、硬化コントロール組成物1および2を製造する。硬化組成物1および2と硬化コントロール組成物1については、動的貯蔵弾性率、レオロジ−特性が評価され、下記表1に記載する。さらに硬化組成物3から18および硬化コントロール組成物2については、表2に記載のゲル化時間、乾燥時間、表面質感が評価され、下記表2に記載する。
【0068】
実施例1:

組成物1を処方するために、第一および第二混合物が二つの容器のそれぞれにおいて、ハウスチルド回転ミキサーを使って形成される。
第一混合物には:
縮合硬化性有機ケイ素化合物として、44,000g/モルの数平均分子量を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(OH−PDMS)を2.87グラム;
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、13,000g/モルの数平均分子量を有するメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(MA−PDMS)を2.87グラム;
縮合硬化用触媒として、ジブチルスズジアセタート(DBTDA)を0.03グラム;および
有機ボラン−アミン錯体として、1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランの錯体を0.23グラム;
が含まれる。
第二混合物には:
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、13,000g/モルの数平均分子量を有するMA−PDMSを5.51グラム;
アミン−反応性化合物として、イソホロンジイソシアナート(IPDI)を0.19グラム;および
縮合反応性架橋用化合物として、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTS)を0.30グラム;
が含まれる。
【0069】
第一および第二混合物の形成後、第一および第二混合物各々1.52グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物1を形成する。組成物1のサンプルを、即レオメトリックスRDA IIレオメーター内の二枚の25ミリメートルの平行なプレート板の間(1.5ミリメートルの隙間設定にされた)に分注する。動的貯蔵弾性率(G’)の測定は、公称歪み2.0%をもって固定周波数10rad/sで、20℃で硬化したサンプル(G’(20))について行われた。レオメーターは寸法変化を修正するために測定の間垂直力と歪みを一定に保つ。24時間硬化した後、サンプルは150℃に加熱され、周波数掃引がG’の加熱の影響を判断する(G’(150))。(G’(150))の(G’(20))に対する比が計算され、サンプルの温度感受性および安定性の指標となり、下記の表1に記載する。
【0070】
実施例2:

組成物2は、OH−PDMS、MA−PDMS、有機ボラン−アミン錯体、DBTDAおよびIPDIの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。また、メタクリオキシメチルトリメトキシシラン(MAMTS)がMAPTSに置き換わっている。具体的には、OH−PDMの3.83グラム、MA−PDMSの3.83グラム、および1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.31グラムから第三混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの7.47グラム、IPDIの0.25グラムおよびMAMTSの0.28グラムを、第四混合物として、混ぜ合わせた。第三および第四混合物の形成後、第三および第四混合物各々2.07グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物2を形成する。組成物2は上記組成物1と同一の方法で評価され、その結果を下記の表1に記載する。追加的に、組成物2は150℃で測定後20℃まで再び冷やされ、動的貯蔵弾性率(G’(20))について再試験される。比G’(20):G’(20)がまた計算され下記の表1に記載する。
【0071】
コントロール実施例1:

コントール組成物1を処方するために、第一および第二比較混合物を二つの容器それぞれでハウスチルド回転ミキサーを使って形成する。
第一比較混合物には:
縮合硬化性有機ケイ素化合物として、OH−PDMSを4.42グラム;
縮合硬化用触媒として、DBTDAを0.20グラム;
有機ボラン−アミン錯体として、1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランの錯体を0.39グラム;
が含まれる。
第二比較混合物には:
Cab−O−Sil TS610、ジメチルシリル化噴霧シリカ(米国マサチューセッツ州ボストンのCabot社から市販されている)を0.303グラム;
メタクリル酸メチルを3.98グラム;
アミン−反応性化合物として、IPDIを0.21グラム;および
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.51グラム;
が含まれる。
【0072】
第一および第二比較混合物の形成後、第一および第二比較混合物それぞれ2.12グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合してコントロール組成物1を形成する。コントロール組成物1は上記組成物2と同じようにして評価され、その結果が下記の表1に記載する。
【表1】

【0073】
これらの結果は、硬化組成物1および2が硬化コントロール組成物1よりも、当初柔らかくかつ柔軟であり、高温による影響も少ないことを表している。G’(20):G’(20)比によって示すとおり、150℃に加熱されたあと戻されたモジュラスは、硬化組成物1および2の方が硬化コントロール組成物1よりも始動モジュラスに近く、硬化組成物1および2の改善された熱安定性を意味する。
【0074】
実施例3:

組成物3は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、IPDIおよびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、異なる有機ボラン−アミン錯体が使われる。具体的には、OH−PDMSの2.335グラム、MA−PDMSの2.337グラムおよび1.2モル当量のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.337グラムから第五混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.536グラム、DBTDAの0.049グラム、IPDIの0.163グラムおよびMAPTSの0.255グラムを、第六混合物として、混ぜ合わせた。第五および第六混合物の形成後、第五および第六混合物各々2.5グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物3を形成する。組成物3はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。ポリエステルフィルムは、商品名「マイラーA(MylarA)」でエキソティック・オートメーション&サプライ社(Exotic Automation&Supply、米国ミシガン州フリーランド)から市販されている。組成物3はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0075】
実施例4:

組成物4は、OH−PDMS、MA−PDMS、有機ボラン−アミン錯体、DBTDA、IPDIおよびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。具体的には、OH−PDMSの2.41グラム、MA−PDMSの2.41グラムおよび1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.18グラムから第七混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.54グラム、DBTDAの0.05グラム、IPDIの0.16グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第八混合物として、混ぜ合わせた。第七および第八混合物の形成後、第七および第八混合物各々2.2グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物4を形成する。組成物4はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物4はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0076】
実施例5:

組成物5は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、IPDIおよびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、異なる有機ボラン−アミン錯体が使われる。具体的には、OH−PDMSの2.34グラム、MA−PDMSの2.34グラムおよび1.5モル当量の3−アミノプロピルトリエトキシシランで錯体化したトリエチルボランからなる錯体の0.32グラムから第九混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.54グラム、DBTDAの0.05グラム、IPDIの0.17グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第十混合物として、混ぜ合わせた。第九および第十混合物の形成後、第九および第十混合物各々2.2グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物5を形成する。組成物5はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物5はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0077】
実施例6:

組成物6は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、IPDIおよびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、異なる有機ボラン−アミン錯体が使われる。具体的には、OH−PDMSの2.42グラム、MA−PDMSの2.43グラムおよび等モル量の1,3−プロパンジアミンで錯体化したトリエチルボランからなる錯体の0.16グラムから第十一混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.51グラム、DBTDAの0.05グラム、IPDIの0.19グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第十二混合物として、混ぜ合わせた。第十一および第十二混合物の形成後、第十一および第十二混合物各々1.8グラムをハウスチルド回転ミキサーを用いて15秒間混合して組成物6を形成する。組成物6はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物6はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0078】
実施例7:

組成物7は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、IPDIおよびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、異なる有機ボラン−アミン錯体が使われる。具体的には、OH−PDMSの2.39グラム、MA−PDMSの2.39グラムおよび1.2モル当量の3−アミノプロピルトリメトキシシランで錯体化したトリエチルボランからなる錯体の0.22グラムから第十三混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.54グラム、DBTDAの0.05グラム、IPDIの0.17グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第十四混合物として、混ぜ合わせた。第十三および第十四混合物の形成後、第十三および第十四混合物各々2.4グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物7を形成する。組成物7はポリエステルフィルム上の厚さおよそ0.05インチの単一層を適用し、室温で硬化する。組成物7はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載した。
【0079】
実施例8:

組成物8は、OH−PDMS、MA−PDMS、IPDI、有機ボラン−アミン錯体およびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、ジブチルスズジラウラートがDBTDAを置き換える。具体的には、OH−PDMSの2.33グラム、MA−PDMSの2.35グラムおよび1.2モル当量のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで錯体化したトリブチルボランからなる錯体の0.34グラムから第十五混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.53グラム、ジブチルスズジラウラートの0.05グラム、IPDIの0.16グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第十六混合物として、混ぜ合わせた。第十五および第十六混合物の形成後、第十五および第十六混合物各々1.8グラムをハウスチルド回転ミキサーを用いて15秒間混合して組成物8を形成する。組成物8はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物8はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0080】
実施例9:

組成物9は、アクリル酸がアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換えることを除けば、組成物6と同じ方法で形成される。組成物6において当初はIPDIとMAPTSと混ぜ合わせられたMA−PDMSの量は、組成物9を形成するために必要とするアクリル酸の量での差異を補うために調整される。具体的には、MA−PDMS4.58グラムが使用される。組成物9はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0081】
実施例10:

組成物10は、無水メタクリル酸がアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換えることを除けば、組成物6と同じ方法で形成される。組成物6において当初はIPDIとMAPTSと混ぜ合わせられたMA−PDMSの量は、組成物10を形成するために必要とする無水メタクリル酸の量での差異を補うために調整される。具体的には、MA−PDMS4.45グラムが使用される。組成物10はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0082】
実施例11:

組成物11は、ウンデシレン酸がアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換えることを除けば、組成物6と同じ方法で形成される。組成物6において当初はIPDIとMAPTSと混ぜ合わせられたMA−PDMSの量は、組成物11を形成するために必要とするウンデシレン酸の量での差異を補うために調整される。具体的には、MA−PDMS4.40グラムが使用される。組成物11はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0083】
実施例12:

組成物12は、シトラコン酸無水物がアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換えることを除けば、組成物6と同じ方法で形成される。組成物6において当初はIPDIとMAPTSと混ぜ合わせられたMA−PDMSの量は、組成物12を形成するために必要とするシトラコン酸無水物の量での差異を補うために調整される。具体的には、MA−PDMS4.51グラムが使用される。組成物12はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0084】
実施例13:

組成物13は、ポリアクリル酸がアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換えることを除けば、組成物6と同じ方法で形成される。組成物6において当初はIPDIとMAPTSと混ぜ合わせられたMA−PDMSの量は、組成物13を形成するために必要とするポリアクリル酸の量での差異を補うために調整される。具体的には、MA−PDMS4.58グラムが使用される。組成物13はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0085】
実施例14:

組成物14を処方するために、第十七および第十八混合物が二つの容器でそれぞれ、ハウスチルド回転ミキサーを用いて形成される。第十七混合物には、OH−PDMSを1.87グラム、MA−PDMSを1.87グラム、および1.2モル当量のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで錯体化されたトリ−n−ブチルボランからなる錯体を0.26グラムが含まれる。第十八混合物には、MA−PDMSを3.60グラム、DBTDAを0.04グラム、IPDIを0.12グラム、MAPTSを0.20グラム、および少し過剰のモル濃度のテトラエトキシシランとエチレングリコールとの反応生成物からなる接着促進剤を0.039グラムが含まれる。第十七および第十八混合物の形成後、第十七および第十八混合物各々1.8グラムをハウスチルド回転ミキサーを用いて15秒間混合し組成物14を形成する。組成物14はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0086】
実施例15:

組成物15は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、有機ボラン−アミン錯体およびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。さらに、アクリル酸メチルがアミン−反応性化合物として等モル量(アミン反応性基を基準に)で、IPDIを置き換える。具体的には、OH−PDMSの2.39グラム、MA−PDMSの2.39グラムおよび1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.22グラムから第一混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.57グラム、DBTDAの0.05グラム、アクリル酸メチルの0.13グラムおよびMAPTSの0.25グラムを、第二混合物として、混ぜ合わせた。第一および第二混合物の形成後、第一および第二混合物各々2.04グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物15を形成する。組成物15はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物15はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0087】
実施例16:

組成物16は、OH−PDMS、MA−PDMS、IPDI、有機ボラン−アミン錯体およびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物15と同じ方法で形成される。さらに、ジメチルスズネオデカノアートがDBTDAを置き換える。具体的には、OH−PDMSの2.36グラム、MA−PDMSの2.36グラム、ジメチルスズネオデカノアートの0.07グラムおよび1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.20グラムから第一混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの4.59グラム、IPDIの0.16グラムおよびMAPTSの0.26グラムを、第二混合物として、混ぜ合わせた。第一および第二混合物の形成後、第一および第二混合物各々2.43グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物16を形成する。組成物16はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物16はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0088】
実施例17:

組成物17は、OH−PDMS、MA−PDMS、DBTDA、IPDI、有機ボラン−アミン錯体およびMAPTSの異なる量を使っていることを除けば、組成物1と同じ方法で形成される。具体的には、OH−PDMSの1.71グラム、MA−PDMSの1.71グラムおよび1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランからなる錯体の0.57グラムから第一混合物を製造する。さらに、MA−PDMSの3.34グラム、DBTDAの0.04グラム、IPDIの0.45グラムおよびMAPTSの0.19グラムを、第二混合物として、混ぜ合わせた。第一および第二混合物の形成後、第一および第二混合物各々2.17グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合して組成物17を形成する。組成物17はポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化する。組成物17はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感が評価され、下記の表2に記載する。
【0089】
実施例18:

組成物18を処方するために、第一および第二混合物が二つの容器のそれぞれの中で、ハウスチルド回転ミキサーを使って形成された。
第一混合物には:
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、60,000g/モルの数平均分子量を有するメタクリロキシプロピル、ジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンを4.35グラム;
表面処理された噴霧シリカ充填剤(Cab−O−Sil TS−610)を0.22グラム;および
有機ボラン−アミン錯体として、1.3モル当量の3−メトキシプロピルアミンで錯体化したトリ−n−ブチルボランの錯体を0.43グラム;
が含まれる。
第二混合物には:
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、60,000g/モルの数平均分子量を有するメタクリロキシプロピル、ジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンを4.35グラム;
表面処理された噴霧シリカ充填剤(Cab−O−Sil TS−610)を0.22グラム;および
任意のアミン−反応性化合物として、イソホロンジイソシアナート(IPDI)を0.43グラム;
が含まれる。
【0090】
第一および第二混合物の形成後、第一混合物の3.01グラムをハウスチルド混合カップに入れ、続いてテトラ(t−ブチル)チタネート(TTBT)0.030グラムを入れる。成分は15秒サイクルで混合される。次に、第二混合物3.00グラムを同じハウスチルド混合カップに入れ、続いてTTBT0.029グラムを入れる。混ぜられた混合物は15秒サイクルで混合される。混合カップは開けられ、混合物を手で素早くかき混ぜポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化させる。組成物18はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感を評価され、下記の表2に記載する。
【0091】
組成物18で、ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物および縮合硬化性有機ケイ素化合物を架橋する縮合反応性架橋用化合物は一緒に、60,000g/モルの数平均分子量を有するメタクリロキシプロピル、ジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンの形で存在する。この分子は、およそ60,000g/モルのヒドロキシル末端PDMS100グラムをMAPTS2.5グラムおよび触媒としてTTBT0.1グラムと混合し、室温で24時関混合物を反応させて製造する。
【0092】
コントロール実施例2:

コントール組成物2を処方するために、第三および第四比較混合物を二つの容器それぞれでハウスチルド回転ミキサーを使って形成する。
第三比較混合物には:
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、MA−PDMSを4.683グラム;および
有機ボラン−アミン錯体として、1.2モル当量のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで錯体化されたトリ−n−ブチルボランからなる錯体を0.349グラム
が含まれる。
第四比較混合物には:
ラジカル硬化性有機ケイ素化合物として、MA−PDMSを4.837グラム;および
アミン−反応性化合物として、IPDIを0.175グラム
が含まれる。
【0093】
第三および第四比較混合物の形成後、第三および第四比較混合物それぞれ2.5グラムをポリエチレンバッグの中で混ぜ合わせ、30秒間混合してコントロール組成物2を形成する。コントロール組成物2は、ポリエステルフィルム上に厚さおよそ0.05インチの単一層で適用し、室温で硬化させる。コントロール組成物2はゲル化時間、乾燥時間、および表面質感を評価され、下記の表2に記載する。
【0094】
硬化している間、組成物3乃至18およびコントロール組成物2のそれぞれを定期的に金属製スパチュラで調べて、それぞれが硬化したかどうか、それぞれの表面がザラザラかスベスベかを判定する。硬化速度は、組成物3乃至18およびコントロール組成物2それぞれのバルクをスパチュラでせん断したときに流れ出さなくなったときを観測測定する。その時間がゲル化時間として報告される。乾燥時間は、組成物3乃至18およびコントロール組成物2それぞれのバルクがスパチュラを用いて判断し濡れなくなったときを観測測定する。表面質感は、スパチュラで表面を検査し、それぞれの表面がザラザラかスベスベかを判定する。結果は下記の表2に記載する。
【0095】
【表2A】

【0096】
【表2B】

【0097】
【表2C】

【0098】
【表2D】

【0099】
【表2E】

【0100】
【表2F】

【0101】
表2で示されているように、本発明の組成物3乃至18は、コントロール組成物2よりも短い時間で、乾燥かつスベスベした表面に硬化する。また、硬化組成物4乃至7は、比較的急速に硬化し乾燥表面のエラストマー状材料が各種の有機ボラン−アミン錯体を用いて形成できることを実証する。さらに、硬化組成物3とともに挙げられる硬化組成物8は、比較的早く硬化し乾燥表面を有するエラストマー材料が各種の縮合用触媒を用いて形成できることを実証する。またさらに、硬化組成物14は、接着促進剤の添加が組成物14の硬化かつスベスベした乾燥表面の形成性に影響することなくできることを実証する。その上、硬化組成物15は、アクリラートがアミン−反応性化合物として使用でき、さらに硬化組成物16はいろいろなスズ触媒が効果的に使用できることを実証する。また、硬化組成物18は、本発明の成分の事前反応が使用でき、所望結果を得られることを実証する。
【0102】
発明は、実例的方法にて記述されており、当然のことながら、使用された用語は制限するというよりもむしろ記述の言葉という性質のものであることを意図している。明らかに、上記の教示を踏まえて、本発明の多くの変更や変化は可能であり、本発明は具体的に記述されていることと別の方法で実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化可能な有機ケイ素組成物であって、
前記組成物の100重量部あたり10から95重量部の量で存在するラジカル硬化性オルガノポリシロキサン;
有機ボラン−アミン錯体;
縮合硬化性有機ケイ素化合物;
縮合硬化用触媒;
縮合硬化性有機ケイ素化合物を架橋する縮合反応性架橋用化合物
からなる硬化可能な有機ケイ素組成物。
【請求項2】
さらに、アミン−反応性化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、一個以上のケイ素原子を含んでいないラジカル硬化性化合物を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ラジカル硬化性オルガノポリシロキサンが、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一つを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機ボラン−アミン錯体が有機ボランとアミンの錯体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機ボランが、トリ−メチルボラン、トリ−エチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリドデシルボラン、フェニルジエチルボラン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機ボランが、有機ケイ素官能性であり、かつ、ケイ素原子、シロキサンオリゴマーおよびシロキサンポリマーの少なくとも一つからなる官能基を含有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミンが、アルキル基、アルコキシ基、イミダゾール基、アミジン基、ウレイド基おおよびそれらの組合せの少なくとも一つを含有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記アミンが、アミン官能性シラン、アミン官能性オルガノポリシロキサン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機ボラン−アミン錯体が固形粒子に結合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記アミン−反応性化合物が、ルイス酸、カルボン酸、カルボン酸誘導体、カルボン酸塩、イソシアナート、アルデヒド、エポキシド、酸塩化物、スルホニルクロリド、ヨードニウム塩、無水物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミン−反応性化合物が、シラン、オルガノシロキサン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミン−反応性化合物が、前記硬化可能な有機ケイ素組成物中のアミン基に対するアミン反応性基のモル比が0.1対100であるような量で存在する、請求項2に記載する組成物。
【請求項14】
前記縮合硬化性有機ケイ素化合物が、オルガノシラン、オルガノポリシロキサン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記縮合硬化性有機ケイ素化合物がヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記縮合硬化性有機ケイ素化合物が、前記組成物の100重量部あたり0.001から30重量部の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記縮合硬化用触媒が、チタニウム、ジルコニウム、錫、ビスマス、およびそれらの組合せからなる群から選択される有機金属化合物からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記縮合硬化用触媒が、ジブチル錫ジアセタート、ジブチル錫ジラウラート、ジメチル錫ジネオデカノアート、およびそれらの組合せの群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記縮合硬化用触媒が、前記組成物100重量部あたり0.001から5重量部の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記縮合反応性架橋用化合物がアルコキシシランからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記縮合反応性架橋用化合物がアクリラート基およびメタクリラート基の少なくとも一つを有するトリアルコキシシランからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記縮合反応性架橋用化合物が、前記組成物100重量部あたり0.1から20重量部の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
さらに、前記ラジカル硬化性オルガノポリシロキサン、前記有機ボラン−アミン錯体、前記縮合硬化性有機ケイ素化合物、前記縮合硬化用触媒および前記縮合反応性架橋用化合物の少なくとも1つの周囲に配置される封入用化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物は実質的にアクリレートを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記ラジカル硬化性有機ケイ素化合物、前記縮合硬化性有機ケイ素化合物、および前記縮合反応性架橋用化合物の少なくとも2つが予め反応されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1の前記組成物を形成する方法。
【請求項27】
請求項1に記載された前記組成物から形成され、かつラバー、テープ、接着剤、インク、コーティング剤、保護用コーティング剤、フィルム、封入材、ゲル、電子用部品、光通信用部品、音響減衰用部品、熱可塑性樹脂用品、熱硬化性樹脂用品、シーラント、発泡体、ガスケット、シール剤、O−リング、コネクター、感圧接着剤、紙用コーティング剤、離型性コーティング剤、およびそれらの組合せから選択される物品。
【請求項28】
ラジカル硬化性オルガノポリシロキサン、有機ボラン−アミン錯体、アミン−反応性化合物、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合反応性架橋用化合物からなる硬化可能な有機ケイ素組成物の形成方法であって、
前記組成物の100重量部あたり10から95重量部の量のラジカル硬化性オルガノポリシロキサン、縮合硬化性有機ケイ素化合物、縮合硬化用触媒、および縮合反応性架橋用化合物を、第一容器および第二容器の少なくとも一つに導入し;
有機ボラン−アミン錯体を第一容器に導入し;
アミン−反応性化合物を第二容器に導入し;そして
有機ボラン−アミン錯体とアミン−反応性化合物とを組み合せる;
段階からなる硬化可能な有機ケイ素組成物の形成方法。
【請求項29】
前記第一容器および前記第二容器には実質的に酸素および湿分が存在しない、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
硬化可能な有機ケイ素組成物であって、
(A)次のいずれか二つの反応生成物;
(i)ラジカル硬化性オルガノポリシロキサン、
(ii)縮合硬化性有機ケイ素化合物、および
(iii)縮合反応性架橋用化合物;
(B)上記反応生成物(A)の一部として反応させなかった(i)、(ii)、および(iii)のうち残りのもの;
(C)有機ボラン−アミン錯体;および
(D)縮合硬化用触媒、
からなり、前記オルガノポリシロキサンが前記組成物の100重量部あたり10から95重量部の量で反応する、硬化可能な有機ケイ素組成物。
【請求項31】
さらに、アミン−反応性化合物を含む、請求項30に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−541531(P2009−541531A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516538(P2009−516538)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/014251
【国際公開番号】WO2007/149422
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(500450325)ダウ・コーニング・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】