説明

硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物

【課題】耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等と共に圧縮永久歪特性に優れた硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を提供する。
【解決手段】(a)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−C2aO−(式中、aは独立に1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含む2価のパーフルオロエーテル構造を有する数平均分子量3,000〜10万である直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する含フッ素有機ケイ素化合物(c)ヒドロシリル化反応触媒(d)BET比表面積が50m/g以上で、かつアルキル基含有ケイ素化合物、ビニル基含有ケイ素化合物及び炭素数が3以上のパーフルオロアルキル基含有ケイ素化合物により表面が疎水化処理されたシリカ微粉末を含有してなることを特徴とする硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等に優れ、かつ圧縮永久歪特性が改良された硬化物を与え、O−リング等に好適に利用される硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、そのパーフルオロアルキルエーテル構造の有する特性から種々の用途に用いられている。この場合、シリコーンゴム等の補強のために使用されるヒュームドシリカと呼ばれている乾式法シリカ、沈降性シリカと呼ばれている湿式法シリカ等のシリカ微粉末を硬化性フルオロポリエーテル系ゴムに配合することにより、得られた硬化物の機械的特性を飛躍的に向上させられることがわかっている。これにより耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等の性質がバランスよく優れたフルオロポリエーテル系ゴム組成物を得ることができ、ほとんどの用途においては、これで十分な性能を有している。(特許文献1〜3参照)
【0003】
シリカの本来親水性の表面をシリコーン系化合物で処理することにより撥水性表面に改質する方法も提案されていて、特にパーフルオロアルキル基を含有するポリシロキサン又はポリシラザンが撥水性に優れていることも公知である。(特許文献4〜6参照)
【0004】
また、表面をフルオロシリコーンおよびパーフルオロアルキル基含有シラザンで疎水化処理したシリカをシリコーンゴム等の補強剤として配合することにより、得られた硬化物の機械的特性を向上させられることは公知である。(特許文献7〜9参照)
【0005】
しかし、従来のフルオロポリエーテル系ゴム組成物は、ほとんどの用途では性能的に十分であるものの、O−リング等の成型用途では、より圧縮永久歪が小さいものが要求されており、このため圧縮永久歪特性の改善が課題となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−192546号
【特許文献2】特開2000−248166号
【特許文献3】特開2002−20615号
【特許文献4】特開平3−290437号
【特許文献5】特開平6−256756号
【特許文献6】特開平9−59605号
【特許文献7】特公平6−92502号
【特許文献8】特開平7−316456号
【特許文献9】特願2007−329566号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等に優れている上、圧縮永久歪特性、特にエチレングリコール水溶液中での圧縮永久歪特性に優れた硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、
(a)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−C2aO−(式中、aは独立に1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含む2価のパーフルオロエーテル構造を有する数平均分子量3,000〜10万である直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物 100質量部
(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する含フッ素有機ケイ素化合物 SiH基/アルケニル基=0.4〜5.0となる量
(c)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
(d)BET比表面積が50m/g以上で、かつアルキル基含有ケイ素化合物、ビニル基含有ケイ素化合物及び炭素数が3以上のパーフルオロアルキル基含有ケイ素化合物により表面が疎水化処理されたシリカ微粉末 10〜40質量部
を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物が、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等に優れている上、圧縮永久歪特性に優れた硬化物を得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物によれば、空気中及び種々の水溶液、特にエチレングリコールとの混合水溶液中での圧縮永久歪特性に優れた硬化物を与え、O―リング等に好適に利用することができる硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を提供することができる。しかも本発明組成物は、フルオロポリエーテル系ゴム固有の耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、低温性等に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
従って本発明は、上記(a)〜(d)成分を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を提供する。
【0011】
(a)成分の直鎖状ポリエーテル化合物
(a)成分の直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有するもので、数平均分子量が3,000〜10万であり、組成物のベースポリマーとして使用される。
【0012】
ここで、パーフルオロアルキルエーテル構造としては、−C2aO−(式中、各単位のaは独立に1〜6の整数である。)の多数の繰り返し単位を含むもので、例えば下記一般式(2)で示されるものなどが挙げられる。
(C2aO) (4)
(式中、qは20〜600、好ましくは30〜400、より好ましくは30〜200の整数である。)
【0013】
上記式(2)で示される繰り返し単位−C2nO−としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、上記パーフルオロアルキルエーテル構造は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
−CFO−
−CFCFO−
−CFCFCFO−
−CF(CF)CFO−
−CFCFCFCFO−
−CFCFCFCFCFCFO−
−C(CFO−
これらの中では、特に下記単位が好適である。
−CFO−
−CFCFO−
−CFCFCFO−
−CF(CF)CFO−
【0014】
この(a)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物におけるアルケニル基としては、炭素数2〜8、特に2〜6で、かつ末端にCH=CH−構造を有するものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の末端にCH=CH−構造を有する基、特にビニル基、アリル基等が好ましい。
【0015】
かかる(a)成分としては、下記一般式(2)または(3)で表される化合物を挙げることができる。
CH=CH−(X)−Rf−(X’)−CH=CH (2)
CH=CH−(X)−Q−Rf−Q−(X’)−CH=CH (3)
[式中、Xは独立に−CH−、−CHO−、−CHOCH−又は−Y−NR−CO−(但し、Yは−CH−又は下記構造式(Z)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、X’は−CH−、−OCH−、−CHOCH−又は−CO−NR−Y’−(但し、Y’は−CH−又は下記構造式(Z’)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基であり、
【0016】
【化1】


(o,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
【0017】
【化2】


(o,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)で表される基である。Rfは二価のパーフルオロポリエーテル構造であり、上記式(2)、即ち(C2aO)で示される繰り返し単位を含むものが好ましい。Qは炭素数1〜15の二価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、具体的にはアルキレン基、エーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基である。)、pは独立に0又は1である。]
【0018】
このような(a)成分の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物としては、特に下記一般式(5)で示されるものが好適である。
【0019】
【化3】

[式中、X、X’及びpは前記と同じであり、rは2〜6の整数、m、nはそれぞれ0〜600の整数であり、更にmとnの和が20〜600である。]
【0020】
上記式(5)の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量が3,000〜100,000、特に3,000〜50,000であることが望ましい。数平均分子量が3,000未満では、機械的強度に劣る可能性があるので好ましくなく、数平均分子量が100,000超えると、作業性に劣る場合があるので好ましくない。
【0021】
一般式(5)で表される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】


(式中、m及びnはそれぞれ0〜600,m+n=20〜600を満足する整数を示す。)
【0025】
更に本発明では、上記式(5)の直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物を目的に応じた所望の数平均分子量に調節するため、予め上記したような直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物を分子内にSiH基を2個含有する有機ケイ素化合物と通常の方法及び条件でヒドロシリル化反応させ、鎖長延長した生成物を(a)成分として使用することも可能である。
これらの直鎖状フルオロポリエーテル化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する含フッ素有機ケイ素化合物
次に(b)成分の含フッ素有機ケイ素化合物は上記(a)成分の架橋剤、鎖長延長剤として作用するものである。(a)成分との相溶性、分散性を考慮して、1分子中に1個以上の一価のパーフルオロアルキル基、一価のパーフルオロオキシアルキル基、二価のパーフルオロアルキレン基又は二価のパーフルオロオキシアルキレン基を有していて、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有する有機ケイ素化合物であれば特に制限されるものではない。
【0027】
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキシアルキレン基としては、下記一般式で示される基を例示することができる。
2g+1
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
−C2g
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
【0028】
【化7】


(式中、fは2〜200、好ましくは2〜100、hは1〜3の整数である。)
【0029】
【化8】


(式中、i及びjは1以上の整数、i+jの平均は2〜200、好ましくは2〜100である。)

−(CFO)−(CFCFO)−CF
(但し、d及びeはそれぞれ1〜50の整数である。)
【0030】
また、これらパーフルオロ(オキシ)アルキル基、パーフルオロ(オキシ)アルキレン基は、ケイ素原子に直接結合していてもよいが、ケイ素原子と二価の連結基を介して結合していてもよい。ここで、二価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基やこれらの組み合わせでも、あるいはこれらにエ一テル結合酸素原子やアミド結合、カルボニル結合等を介在するものであってもよく、例えば炭素数2〜12のものが好ましく、下記の基等が挙げられる。
−CHCH
−CHCHCH
−CHCHCHOCH
−CHCHCH−NH−CO−
−CHCHCH−N(Ph)−CO−(但し、Phはフェニル基である。)
−CHCHCH−N(CH)−CO−
−CHCHCH−O−CO−
等の炭素数2〜12のものが挙げられる。
【0031】
また、この(b)成分の有機ケイ素化合物における一価又は二価の含フッ素置換基、即ちパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基あるいはパーフルオロアルキレン基を含有する一価の有機基以外のケイ素原子に結合した一価の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、プチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基:あるいはこれらの基の水素原子の一部が塩素原子、シアノ基等で置換された例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換炭化水素基が挙げられる。
【0032】
(b)成分の含フッ素有機ケイ素化合物は、環状でも鎖状でもよく、更に三次元網状でもよい。更に、この含フッ素有機ケイ素化合物における分子中のケイ素原子数は特に制限されないが、通常2〜60、特に3〜30程度が好ましい。
【0033】
この様な有機ケイ素化合物としては、例えば下記のような化合物が挙げられ、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。なお、下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を示す。
【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
【化15】

【0041】
【化16】

【0042】
【化17】

【0043】
【化18】

【0044】
【化19】

【0045】
【化20】


(n=1〜50、m=1〜50、n+m=2〜50)
【0046】
【化21】

【0047】
【化22】

【0048】
【化23】

【0049】
【化24】

【0050】
【化25】

【0051】
(b)成分の配合量は、通常(a)成分中に含まれるビニル基、アリル基、シクロアルケニル基等のアルケニル基1モルに対して、(b)成分中のヒドロシリル基、即ちSiH基の合計量が好ましくは0.4〜5.0モル、より好ましくは0.8〜3.0モル供給する量が好適である。(b)成分の配合量が少なすぎると架橋度合いが不十分で硬化物の強度が不足する場合があり、多すぎても鎖長延長が優先し、硬化が不十分となったり発泡したり、耐熱性、圧縮永久歪特性等を悪化させる場合がある。また、この(b)成分は1種単独で使用してもいいし、2種以上のものを併用してもよい。
【0052】
(c)ヒドロシリル化反応触媒
(c)成分のヒドロシリル化反応触媒としては、遷移金属、例えばPt、Rh、Pd等の白金族金属やこれら遷移金属の化合物などが好ましく使用される。本発明では、これら化合物が一般に貴金属の化合物で高価格であることから、比較的入手しやすい白金化合物が好適に用いられる。白金化合物としては、具体的に塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフインとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ又はカーボン等の担体上に担持された白金を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
白金化合物以外の白金族金属化合物としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物等が知られており、例えばRhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、RhC1(C、Ru(CO)12、IrCl(CO)(PPh、Pd(PPh等が挙げられる(なお、Phはフェニル基を示す)。これらの触媒の使用量は、特に制限されるものではなく、触媒量で所望とする硬化速度を得ることができるが、経済的見地又は良好な硬化物を得るためには組成物全量に対して0.1〜1,000ppm(白金族金属換算)、より好ましくは0.1〜500ppm(同上)程度の範囲とするのがよい。
【0054】
(d)BET比表面積が50m/g以上で、かつアルキル基含有ケイ素化合物、ビニル基含有ケイ素化合物及び炭素数が3以上のパーフルオロアルキル基含有ケイ素化合物により表面が疎水化処理されたシリカ微粉末
(d)成分は、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物の補強及び圧縮永久歪特性向上のために使用されるもので、このシリカ微粉末は、ヒュームドシリカと呼ばれている乾式法シリカ、沈降性シリカと呼ばれている湿式法シリカのいずれでもよく、機械的特性を向上させるためBET比表面積(窒素吸着法)が少なくとも50m/gである粒子状のものである必要がある。
【0055】
また上記シリカ微粉末は、圧縮永久歪特性向上のため、上記シリカ表面のケイ素原子に結合した水酸基を、アルキル基含有ケイ素化合物、ビニル基含有ケイ素化合物及びパーフルオロアルキル基含有ケイ素化合物で処理することにより得られる。
【0056】
上記表面をアルキル基で覆うことのできる表面処理剤としては、以下に限定されるものではないが、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザン、1,3-ジエチル-1,1,3,3テトラメチルジシラザン、1,3-ジメチル-1,1,3,3テトラエチルジシラザン等のシラザン化合物等が最も好ましい。
【0057】
上記表面をビニル基で覆うことのできる表面処理剤としては、以下に限定されるものではないが、1, 3-ジビニルテトラメチルシラザン、1, 3-ジアリルテトラメチルシラザン、1, 3-ジブテニルテトラメチルシラザン、1, 3-ジビニルテトラエチルシラザン、1, 3-ジメチルテトラビニルシラザン等のシラザン化合物等が最も好ましい。
【0058】
また、上記表面をパーフルオロアルキル基で覆うことができる表面処理剤としては、パーフルオロアルキル基を有するケイ素化合物であれば特に限定されるものではないが、具体的には以下一般式(1)、
[(RfQSi(R(NR4−a−b/2 (1)
〔ここで、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、非置換若しくは置換の1価炭化水素基であり、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基であり、Rfは、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数3〜20個のパーフルオロアルキル基であり、Qは、炭素原子数2〜5の2価の有機基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、但し、a+bは1〜3の整数であり、lはそれぞれ2〜5の整数である〕で示される含フッ素シラザン化合物が最も好ましい。
【0059】
前記式(1)中、Rは、各々、非置換若しくは置換の1価炭化水素基であり、非置換若しくは置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル基等のアルキル基、フェニル、トリル基等のアリール基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、又はこれら基の2個以下の炭素原子に結合した水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基等であり、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜6のもの、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、CFCFCHCH基等である;Rは水素原子又はアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル基等であり、好ましくは水素原子である;Rfは、例えば、式:C2c+1− (ここで、cは3〜20の整数)で表されるパーフルオロアルキル基等であり;Qは炭素原子数2〜5の2価の有機基で、例えば、式:−CHCH−基、−CHCHCH−基等のアルキレン基、式:−CHOCHCHCH−基等の酸素含有アルキレン基、−CONHCHCHCH−等のアルキルアミド基等である。
【0060】
a及びbはそれぞれ前記の整数であり、但し、a+bは前記の整数であり、各構成単位において同一でも異なってもよい。また、lはそれぞれ2〜5の整数であるが、好ましくはl≦3とされる。lの値が上記範囲より大きすぎると、シラザン化合物の粘度が増大し、シリカ系充填剤表面の均一処理が難しくなるため好ましくない。
【0061】
一般式(1)に示す含フッ素シラザン化合物は、例えば、一般式(6)
(RfQ)Si(R4−a−b (6)
〔ここで、R、Rf、Q、a、b及びa+bは前記のとおりであり;Xはハロゲン原子、例えば、塩素、臭素である〕で示されるオルガノシランを、アンモニア及び第1級アミンから選ばれる少なくとも1種と反応させることにより製造することができる。
【0062】
このようにして得られる含フッ素シラザン化合物としては、下記のものがあげられる。
【0063】
【化26】

【0064】
【化27】

【0065】
【化28】

【0066】
【化29】

【0067】
これら表面処理剤を使用して処理する方法としては、予め粉体の状態で直接処理剤で気相処理するか又は、処理剤を適当な溶媒に希釈して処理するのが好ましい。かかる希釈溶媒としてはヘキサン、トルエン、アセトンなどが用いられる。
【0068】
上記表面処理方法としては、通常、公知の技術を採用することができ、例えば常圧で密閉された機械混練り装置に、或いは流動層に上記未処理のシリカ微粉末と処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温下或いは加熱下にて混合処理される。場合により加湿をしてもよく、混練り後乾燥することにより調製することができる。
【0069】
表面処理剤の配合量は、フッ素変性基含有処理剤が30〜95mol%、好ましくは30〜70mol%、ビニル基含有処理剤が1〜40mol%、好ましくは1〜30mol%、アルキル基含有処理剤が0〜50mol%、好ましくは10〜40mol%のmol比の割合で処理されたものが好ましい。
表面処理剤の配合量は、その処理剤に対する未処理シリカ微粉末の被覆面積から計算される量以上であればよい。
処理剤の使用量は処理剤の分子量によって変動するが、おおよその目安としては、非フッ素系の処理剤の場合、通常は未処理のシリカ微粉末100質量部に対して処理剤を1〜25質量部、フッ素系処理剤の場合、処理剤の分子量が大きくなるので、未処理のシリカ微粉末100質量部に対して処理剤を10〜80質量部が好ましい。
【0070】
上記表面処理剤のパーフルオロアルキル基の炭素数は、3以上が望ましい。3より炭素数が少ないと、フッ素変性基部位の極性が高くなりすぎてしまい、圧縮永久歪特性向上の効果が認められないことが考えられる。
【0071】
なお、上記処理シリカの変性量は疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)を測定することにより、おおよそ把握することができる。本発明の疎水化度とは、メタノールに対する濡れ性の尺度で示され、すなわち疎水化度分布は以下のようにして測定することができる。
【0072】
疎水化度分布の測定方法
1)測定対象のシリカ微粉末を0.2g秤量し、遠沈管に入れる。(プロットしたい点数分+1本(全沈用)を用意する)
2)駒込ピペットにて濃度の異なるメタノール溶液を各7mL遠沈管に入れ、蓋をしっかり締める。(全沈用は上記疎水化度で決定されたメタノール濃度を用いる)
3)ターブラーミキサー90rpmで30秒間分散する。
4)遠心分離器にかける。(3500rpm、10min.)
5)沈降容積を読み取り、全沈降容積(全てが沈降した容積)を100%としたときの各沈降容積(vol.%)を求める。すなわち、沈降容積(vol.%)は下式より定義される。
【0073】
沈降容積(vol.%)=各溶液の沈降容積(mL)/全沈した時の沈降容積(mL)×100
【0074】
6)上記、各測定値を基に、横軸メタノール濃度(vol.%)、縦軸沈降容積(vol.%)のグラフを作成し、目的の疎水化度分布曲線が得られる。
【0075】
上記測定により、本発明に用いたシリカ微粉末の疎水化度分布を測定し、好ましくは沈降容積50vol.%におけるメタノール濃度が60〜80vol.%、より好ましくは65〜75vol.%の範囲内であることが、フッ素変性及びビニル化処理の効果が最も得られやすい、という点で好ましい。
【0076】
このシリカ微粉末の配合量は、(a)成分100質量部に対して10〜40質量部であり、より好ましくは15〜30質量部である。10質量部未満では少なすぎて機械的強度の向上が認められず、また40質量部より多くすると粘度の上昇が大きく、配合が難しい。
【0077】
その他の成分
本発明の組成物には、(a)〜(d)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種の添加剤を配合することができる。このような成分としては、具体的に1−エチル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、フェニルブチノールなどのアセチレンアルコールや3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のヒドロシリル化反応触媒の制御剤、酸化鉄、酸化セリウム、カーボンブラック等の顔料や、着色剤、染料、酸化防止剤、一部又はすべてがフッ素変性されたオイル状化合物等が挙げられる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0078】
使用方法
本発明の組成物は、用途に応じて前記(a)〜(d)成分の必須成分全てを1つの組成物として取り扱う、いわゆる1液タイプとして構成してもよいし、あるいは例えば前記(a),(c)及び(d)成分を一方の組成物とし、(a),(b)及び(d)成分を他方の組成物とする、いわゆる2液タイプとして構成し、使用にあたってこれを混合してもよい。
【0079】
また、組成物を溶解希釈して用いることも可能である。このような溶剤としては、(a)成分を溶解させ得るものが好ましく、例えばC10、C18、COCH、COC、2−n−ノナフルオロブチル−テトラフルオロフラン、トリス(n−ノナフルオロブチル)アミン、メタキシレンヘキサフルオライド、パラキシレンヘキサフルオライド、ベンゾトリフルオライド等のフッ素化溶剤などが例示される。
【0080】
本発明の組成物は、常温にて放置するか、加熱することにより容易に硬化させることができるが、通常室温(例えば5〜35℃)〜200℃、1分間〜24時間の範囲で熱的に硬化させるのが好ましく、このような硬化により、優れた特性を有する導電性ゴムを得ることができる。
【0081】
用途
本発明の組成物は種々の用途に利用することができる。即ち、フッ素含有率が高いため、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、また、透湿性も低く、低表面エネルギーを有するため、離型性、撥水性に優れており、耐油性を要求される自動車用ゴム部品、具体的にはフューエル・レギュレーター用ダイヤフラム、パルセーションダンパ用ダイヤフラム、オイルプレッシャースイッチ用ダイヤフラム、EGR用ダイヤフラムなどのダイヤフラム類、キャニスタ用バルブ、パワーコントロール用バルブなどのバルブ類、クイックコネクタ用O−リング、インジェクター用O−リングなどのO−リング類、あるいはオイルシール、シリンダヘッド用ガスケットなどのシール材など、化学プラント用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、バルブ類、O−リング類、ホース類、パッキン類、オイルシール、ガスケットなどのシール材など、インクジェットプリンタ用ゴム部品、半導体製造ライン用ゴム部品、具体的には薬品が接触する機器用のダイヤフラム、弁、O−リング、パッキン、ガスケットなどのシール材など、低摩擦耐磨耗性を要求されるバルブなど、分析、理化学機器用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、弁、シール部品(O−リング、パッキンなど)、医療機器用ゴム部品、具体的にはポンプ、バルブ、ジョイントなど、また、テント膜材料、シーラント、成型部品、押し出し部品、被覆材、複写機ロール材料、電気用防湿コーティング材、センサー用ポッティング材、燃料電池用シール材、積層ゴム布などに有用である。
【実施例】
【0082】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、粘度は23℃における値である。
[合成例]
【0083】
以下、本発明に際してその実施例及び比較例で用いた処理シリカの調製方法を以下に、その調整結果を表1に示す。
【0084】
[合成例1]
処理シリカAの調製方法:
比表面積 300m/gの未処理シリカ微粉末(品名 AEROSIL300:日本アエロジル(株)社製商品名)100gに1,3-ジビニルテトラメチルシラザン4.2g(0.023モル)、下記式(7)で示される含フッ素シラザン化合物35g(0.056モル)、及びヘキサメチルジシラザン5.4g(0.034モル)の混合物を添加し、温度200℃で120分加熱撹拌後に冷却し、調製した。
【0085】
【化30】

【0086】
なお、上記処理シリカAのBET比表面積は208m/g、疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)測定において、沈降容積50vol.%でのメタノール濃度は72vol.%であった。
【0087】
[合成例2]
処理シリカBの調製方法:
比表面積 300m/gの未処理シリカ微粉末(品名 AEROSIL300:日本アエロジル(株)社製商品名)100gに1,3-ジビニルテトラメチルシラザン1.1g(0.006モル)、上記式(7)で示される含フッ素シラザン化合物35g(0.056モル)、及びヘキサメチルジシラザン8.2g(0.051モル)の混合物を添加し、温度200℃で120分加熱撹拌後に冷却し、調製した。
【0088】
なお、上記処理シリカBのBET比表面積は189m/g、疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)測定において、沈降容積50vol.%でのメタノール濃度は73vol.%であった。
【0089】
[合成例3]
処理シリカCの調製方法:
比表面積 300m/gの未処理シリカ微粉末(品名 AEROSIL300:日本アエロジル(株)社製商品名)100gにヘキサメチルジシラザン18g(0.11モル)を添加し、温度200℃で120分加熱撹拌後に冷却し、調製した。
【0090】
なお、上記処理シリカCのBET比表面積は180m/g、疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)測定において、沈降容積50vol.%でのメタノール濃度は59vol.%であった。
【0091】
[合成例4]
処理シリカDの調製方法:
比表面積 300m/gの未処理シリカ微粉末(品名 AEROSIL300:日本アエロジル(株)社製商品名)100gに、上記式(7)で示される含フッ素シラザン化合物70g(0.11モル)を添加し、温度200℃で120分加熱撹拌後に冷却し、調製した。
【0092】
なお、上記処理シリカDのBET比表面積は182m/g、疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)測定において、沈降容積50vol.%でのメタノール濃度は78vol.%であった。
【0093】
[合成例5]
処理シリカEの調製方法:
比表面積 300m/gの未処理シリカ微粉末(品名 AEROSIL300:日本アエロジル(株)社製商品名)100gに1,3-ジビニルテトラメチルシラザン1.1g(0.006モル)、及びヘキサメチルジシラザン17.3g(0.108モル)の混合物を添加し、温度200℃で120分加熱撹拌後に冷却し、調製した
【0094】
なお、上記処理シリカEのBET比表面積は179m/g、疎水化度分布(メタノールウェッタビリティ)測定において、沈降容積50vol.%でのメタノール濃度は60vol.%であった。
【0095】
【表1】


カッコ内は疎水化処理剤のモル比を示す。
【0096】
[実施例1]
下記式(10)
【0097】
【化31】


で表される主ポリマーA(粘度5,500mm/s、数平均分子量15,700)100質量部と処理シリカAを20質量部の配合比でプラネタリーミキサーに投入後、1時間混練りを行った。次いで、150℃で1時間混合減圧(−65〜−75cmHg)熱処理し、冷却後3本ロールにて分散処理してベースの製造を行った。
【0098】
更に上記ベース120質量部に対して塩化白金酸を下記式(11)で示される化合物で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度0.5重量%)0.2質量部、エチニルシクロヘキサノールの50%トルエン溶液を0.4質量部、下記式(12)で示される有機ケイ素化合物(架橋剤A)3.35質量部を加え、プラネタリーミキサーにより均一に混合し、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を得た。
【0099】
【化32】

【0100】
【化33】

【0101】
得られた組成物から、150℃で10分プレスキュアー、更に200℃で4時間オーブンキュアーの条件で、圧縮永久歪測定用のO−リングを成形した。このO−リングを使用して、JIS K6262に準じて、空気中とエチレングリコール50重量%水溶液中にて、120℃/500時間(25%圧縮)後の圧縮永久歪を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
[実施例2]
シリカ微粉末として処理シリカBを使用する以外は実施例1と同様の方法でベースの製造及び組成物の配合を行い、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を得た。
【0103】
更に得られた組成物から、実施例1と同様に測定試料を作製し、実施例1と同様の方法で圧縮永久歪の測定を行った。結果を表1に示す。
【0104】
[比較例1]
シリカ微粉末として、処理シリカCを使用する以外は実施例1と同様の方法でベースの製造及び組成物の配合を行い、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を得た。
【0105】
更に得られた組成物から、実施例1と同様に測定試料を作製し、実施例1と同様の方法で圧縮永久歪の測定を行った。結果を表1に示す。
【0106】
[比較例2]
シリカ微粉末として処理シリカDを使用する以外は実施例1と同様の方法でベースの製造及び組成物の配合を行い、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を得た。
【0107】
[比較例3]
シリカ微粉末として処理シリカEを使用する以外は実施例1と同様の方法でベースの製造及び組成物の配合を行い、硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を得た。
【0108】
更に得られた組成物から、実施例1と同様に測定試料を作製し、実施例1と同様の方法で圧縮永久歪の測定を行った。結果を表2に示す。
【0109】
【表2】

【0110】
表の解説:アルキル基のみで表面処理したシリカを使用した場合(比較例1)に比べて、すべてをフッ素含有基で表面処理したシリカ(比較例2)は空気中およびエチレングリコール(EG)中の圧縮永久歪が改善されている。
また、フッ素基は含有しないがビニル基を有する処理剤で表面処理したシリカ(比較例3)では、空気中の圧縮永久歪が改善されているが、EG中は比較例1ほどの改善は見られない。
これらに対して、実施例1及び2では、フッ素含有基とビニル基を有する処理剤で表面処理したシリカを使用することによって、空気中とEG中の圧縮永久歪みが大幅に改善されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に−C2aO−(式中、aは独立に1〜6の整数である。)の繰り返し単位を含む2価のパーフルオロエーテル構造を有する数平均分子量3,000〜10万である直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物 100質量部
(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する含フッ素有機ケイ素化合物 SiH基/アルケニル基=0.4〜5.0となる量
(c)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
(d)BET比表面積が50m/g以上で、かつアルキル基含有ケイ素化合物、ビニル基含有ケイ素化合物及び炭素数が3以上のパーフルオロアルキル基含有ケイ素化合物により表面が疎水化処理されたシリカ微粉末 10〜40質量部
を含有してなることを特徴とする硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
【請求項2】
(d)成分のシリカ微粉末が、ビニル基を有するシラザン化合物、及び以下一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有するシラザン化合物で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
[(RfQSi(R(NR4−a−b/2 (1)
〔ここで、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換又は非置換の1価炭化水素基であり、Rは、水素原子又はアルキル基であり、Rfは、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数3〜20個のパーフルオロアルキル基であり、Qは、炭素原子数2〜5の2価の有機基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、但し、a+bは1〜3の整数であり、lはそれぞれ2〜5の整数である〕
【請求項3】
また、(d)成分のシリカ微粉末において、シリカ微粉末の表面処理剤は、フッ素変性基含有処理剤が30〜95mol%、ビニル基含有処理剤が1〜40mol%、アルキル基含有処理剤が0〜50mol%のmol比の割合で処理されたもの。
【請求項4】
(a)成分が、下記一般式(2)または(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
CH=CH−(X)−Rf−(X’)−CH=CH (2)
CH=CH−(X)−Q−Rf−Q−(X’)−CH=CH (3)
[式中、Xは独立に−CH−、−CHO−、−CHOCH−又は−Y−NR−CO−(但し、Yは−CH−又は下記構造式(Z)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、X’は−CH−、−OCH−、−CHOCH−又は−CO−NR−Y’−(但し、Y’は−CH−又は下記構造式(Z’)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基であり、
【化1】


(o,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
【化2】


(o,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)で表される基である。Rfは二価のパーフルオロポリエーテル基であり、(C2aO)で示される繰り返し単位を含むものが好ましい。Qは炭素数1〜15の二価の有機基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、具体的にはアルキレン基、エーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基である。)、pは独立に0又は1である。]

【公開番号】特開2010−143975(P2010−143975A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320039(P2008−320039)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】