説明

硬化性材料、および、それを硬化させてなる硬化物

【課題】機械的特性、難燃性に優れ、さらに、優れた耐熱性と速硬化性とを両立しうるジヒドロベンゾオキサジン環含有新規硬化性材料を提供する。
【解決手段】1分子中に、
重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)とを有する化合物を含んでなる硬化性材料。イミド基が、単環もしくは縮合環に含まれるものであり、重合性不飽和結合基を構成する二つの炭素原子のうちの少なくとも一つが、前記単環もしくは縮合環に含まれている上記硬化性材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造とを有する化合物を含んでなる新規な硬化性材料であって、特に耐熱性、速硬化性、機械的特性、電気特性、難燃性に優れ、硬化反応時に揮発性副生成物をほとんど生じない硬化性材料に関する。
また、本発明は、この硬化性材料を硬化して得られる硬化物、及びその好適な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板用銅張積層板、多層配線板用接着剤、半導体用封止材料、半導体実装用接着剤、半導体搭載用モジュール、あるいは自動車用、航空機用、建築部材等に用いられる部品などに用いられる硬化性材料において、高温・高湿下での安定性や信頼性に優れた耐熱性材料が求められている。更に、エネルギー分野において、燃料電池や各種二次電池などの研究開発が進展し、この分野においても耐熱性材料が必要となってきている。また、環境低負荷化の観点から、ハロゲンフリー難燃性を有する樹脂材料が強く望まれている。
【0003】
このような産業分野において、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂は、その熱硬化性という性質に基づく耐熱性、信頼性により、広く用いられている。しかし、フェノール樹脂やメラミン樹脂は硬化時に揮発性副生成物を発生し、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂は難燃性に劣る等、それぞれ固有の問題点が存在し、現実には用途に応じて適宜妥協する必要がある。
そこで、これらの欠点を有しない新規な硬化性材料の開発が従来より進められてきた。
【0004】
その一つとして、ジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物がある(特許文献1参照)。この化合物は、従来のフェノール樹脂に比較して、硬化物の耐熱性、耐湿性が良好な材料であり、また、この化合物の硬化は、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応を利用するものであるため、硬化時に揮発分の発生を殆ど伴わずに熱硬化し、低硬化収縮性を示す(非特許文献1,2参照)。また、開環反応後の硬化物は、低膨張性を有することも報告されている(非特許文献3参照)。
【0005】
また、これらのジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物は、エポキシ樹脂とも反応性を示し、熱硬化剤として有効であることも報告されている(特許文献2参照)。
しかし、これらのジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物は、分子鎖の伸長度が小さく、架橋密度も小さいため、200℃を超えると、軟化したり、熱劣化する(非特許文献4参照)。さらに、この開環重合反応は通常のフェノール樹脂の硬化反応と比べて硬化に長時間を要するという欠点があり、生産性の点で、産業上の用途が限定されるという問題も知られている。
【0006】
また、ジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物とエポキシ樹脂との組成物については、同様に硬化の律速段階がジヒドロベンゾオキサジン環の開環反応にあるため、硬化速度が遅いという問題がある。
そこで、これらのジヒドロベンゾオキサジン環構造含有硬化性材料の欠点を改善するものとして、1分子内にジヒドロベンゾオキサジン環構造と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造以外の熱硬化性官能基とを併有する化合物、例えば、プロパルギル基含有キサジン系樹脂(特許文献3)、プロパルギルエーテル基を有するベンゾオキサジン化合物(特許文献4)、アリル基含有キサジン系熱硬化性樹脂(特許文献5)などが開示されている。
【0007】
これらはいずれも充分に熱硬化することで、従来のジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物に比べて高い耐熱性を示す。しかし、合成過程が複雑であることや、2種類の異なる熱硬化性官能基を充分に硬化させるために高温での熱硬化が必要であるという欠点があり、生産性の面で、産業上の用途が大きく限定されるという問題があった。
また、ラジカル重合性基が導入されたジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物が開示されており(特許文献6)、これらは速硬化性に優れているが、ラジカル重合性基部分の耐熱性が充分ではないため、硬化物の耐熱性が劣るという欠点があった。
【0008】
このように、従来の技術では、優れた耐熱性と速硬化性とを両立しうる、ジヒドロベンゾオキサジン環構造含有硬化性材料は得られていなかった。

【特許文献1】特開昭49−47378号公報
【非特許文献1】H. Ishida, et al., J. Polym. Sci., Vol.32, p921 (1994)
【非特許文献2】H. Ishida, et al., J. Polym. Sci., Vol.34, p1019 (1994)
【非特許文献3】H. Ishida, et al., J. Appl. Polym. Sci., Vol.61, p1595 (1996)
【特許文献2】特開平4−227922号公報
【非特許文献4】ポリマーサイエンステクノロジー(Polym.Sci.Technol.),31巻,27〜49ページ(1985)
【特許文献3】特開2003−286466号公報
【特許文献4】特開2002−241495号公報
【特許文献5】特開2003−286320号公報
【特許文献6】特開2002−302486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造とを有する化合物を含んでなる新規な硬化性材料であって、機械的特性、難燃性に優れ、さらに、優れた耐熱性と速硬化性とを両立しうる硬化性材料を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、この硬化性材料を硬化して得られる硬化物及び好適な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明の1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造とを有する化合物を含んでなる新規な硬化性材料が、従来報告されているジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物の硬化性材料としての優れた性質に加えて、従来技術では達成し得なかった優れた耐熱性と速硬化性とを両立しうることを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、1分子中に、
重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、
ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)とを有する化合物を含んでなる硬化性材料に関する。
【0013】
また、本発明は、イミド基が、単環もしくは縮合環に含まれるものであり、
重合性不飽和結合基を構成する二つの炭素原子のうちの少なくとも一つが、前記単環もしくは縮合環に含まれている上記硬化性材料に関する。
【0014】
また、本発明は、イミド基が、単環もしくは縮合環に含まれるものであり、
重合性不飽和結合基が、イミド基を含む単環もしくは縮合環と、
直接結合もしくは炭素数1〜10の接続基を介して結合している上記硬化性材料に関する。
【0015】
また、本発明は、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、フェノール性水酸基とを併せ持つ化合物(C)と、
1級アミノ基含有化合物(D)と、
アルデヒド基を有する化合物(E)とを反応させる反応させてなる上記硬化性材料に関する。
【0016】
また、本発明は、上記硬化性材料と、前記材料以外の硬化性材料とを含む硬化性材料に関する。
【0017】
また、本発明は、上記硬化性材料と、重合開始剤とを含む硬化性材料に関する。
【0018】
また、本発明は、上記硬化性材料を、100〜400℃で熱硬化させてなる硬化物に関する。
【0019】
また、本発明は、上記硬化性材料を、光照射して光硬化させてなる硬化物に関する。
【0020】
また、本発明は、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、フェノール性水酸基とを併せ持つ化合物(C)と、
1級アミノ基含有化合物(D)と、
アルデヒド基を有する化合物(E)とを反応させることを特徴とする硬化性材料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、機械的特性、難燃性に優れ、さらに、優れた耐熱性と速硬化性とを両立しうる硬化性材料を提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(官能基(A)について)
本発明の、重合性不飽和結合基とは、例えば、熱、光、ラジカル、カチオン、アニオン、脱水などのトリガーによって重合しうる不飽和結合基であれば何でもよい。
例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、マレイミド基、ナジイミド基、ビフェニレン基、シクロペンタジエニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、などの重合性不飽和二重結合基、アセチニル基、フェニルアセチニル基、プロパルギル基、プロパルギルエーテル基などの重合性不飽和三重結合基などが挙げられる。また、本発明において、これらの重合性不飽和結合基は、一種類のみが使用されてもよいし、複数種が併用されていてもよい。
【0023】
本発明のイミド基とは、アンモニアもしくは1級アミノ基の窒素原子に結合している2個の水素原子が、アシル基で置換された構造である。
また、イミド基は、単環もしくは縮合環に含まれるものであってもよい。イミド基を含む単環もしくは縮合環としては、例えば、単環の場合、スクシンイミド環、グルタルイミド環、マレイミド環、ウレトジオン環、イソシアヌレート環、ウラシル環、ヒダントイン環、アロキサン環、オキサリル尿素環、マロニル尿素環、タルトロニル尿素環などが挙げられる。また、縮合環の場合、フタルイミド環、ヘキサヒドロフタルイミド環、テトラヒドロフタルイミド環、ナジイミド環、水添ナジイミド環、シクロペンタンジカルボキシイミド環、尿酸環などが挙げられる。なお、これらの環は、環を構成している炭素原子や窒素原子に直接結合している水素原子が、他の原子や置換基によって置換されていてもよい。この場合、他の原子としては、例えば塩素、臭素、フッ素などのハロゲン原子が挙げられ、また、他の置換基としては、有機残基であれば特に制限はなく、例えばメチル基やエチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。また、これらの環は、環を構成している炭素原子や窒素原子が、隣接している原子同士で多重結合を形成していてもよい。さらに、本発明において、これらのイミド基は、一種類のみが使用されていてもよいし、複数種が併用されていてもよい。
また、本発明でいうイミド基には、N−置換マレイミド基などのマレイミド誘導体基、モノアリルイソシアヌル酸基、ジアリルイソシアヌル酸基などの重合性不飽和結合基含有イソシアヌル酸誘導体基のほか、下記式1で表されるものなども含まれる。
【0024】
(式1)
【化1】

【0025】
本発明でいう、「重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)」として具体的に以下に例示する。また、重合性不飽和結合基が、イミド基を含む単環もしくは縮合環と、直接結合もしくは炭素数1〜10の接続基を介して結合している場合が好適に挙げられる。
具体的な(A)の例をいくつか示す。
【0026】
【化2】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】
(環構造(B)、化合物(C)、化合物(D)、化合物(E)について)
本発明でいうジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)とは、下記式2であらわされる、2,4−ジヒドロ−5,6−ベンゾ−1,3−オキサジン構造のことである。
【0032】
(式2)
【化3】

【0033】
式2中のベンゼン環は、単環であってもよいし、縮合環の一部であってもよい。また、それらの単環または縮合環に直接結合している水素原子は、水素原子以外の原子や置換基で置換されていてもよい。また、式2中のオキサジン核を形成する2,4位の炭素原子および3位の窒素原子に直接結合している水素原子は、それぞれ独立に、水素原子以外の原子や置換基で置換されていてもよい。例えば、下記式3のような構造が挙げられる。
【0034】
(式3)
【化4】

【0035】

【0036】
本発明でいうジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)は、例えば、以下に述べるような、フェノール性水酸基含有化合物と、1級アミノ基含有化合物と、アルデヒド基含有化合物とを反応させることによって得ることができる。
本発明でいうフェノール性水酸基とは、アリール基に直接結合している水酸基のことであり、例えば、フェノールの水酸基、p−クレゾールの水酸基、m−クレゾールの水酸基、o−クレゾールの水酸基、α−ナフトールの水酸基、β−ナフトールの水酸基、フェノール樹脂の水酸基などが挙げられる。ただし、このフェノール性水酸基を、ジヒドロベンゾオキサジン環構造を形成する際に用いる場合、フェノール性水酸基の少なくとも一方のオルト位が水素原子であるものを用いなけばならない。本発明において、これらのフェノール性水酸基は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0037】
本発明の、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、フェノール性水酸基を併せ持つ化合物(C)を以下に例示する。
【0038】
【化5】

【0039】

【0040】
本発明でいう1級アミノ基含有化合物(D)とは、分子内に少なくとも一つの1級アミノ基を有する化合物であれば、特に制限はない。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ラウリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンなどのアルキルアミン類;
シクロヘキシルアミン、アダマンチルアミン、ノルボルネンモノアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、アダマンチルジアミンなどの脂環式アミン類;
エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどを重合して得られる重合体の末端水酸基をアミノ基に転化することで得られるポリオキシアルキレンアミン類;
ビニルアミン、アリルアミンなどの重合性不飽和結合基含有アミン類;
オキシジアニリン、フルオレンジアニリン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ジアニリノネオペンチルグリコール、ジアニリノヘキサメチレングリコール、ジアニリノビフェノールなどの芳香族アミン類などが挙げられる。また、本発明において、これらの1級アミノ基含有化合物は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0041】
本発明でいうアルデヒド基を有する化合物(E)とは、分子内に少なくとも一つのアルデヒド基を有する化合物であれば、特に制限はなく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。これらは水やエタノール等の溶液の状態で使用してもよく、特にホルムアルデヒドを用いる場合は、パラホルムアルデヒドやホルマリン溶液などの形態で使用してもよい。また、本発明において、これらのアルデヒド基を有する化合物は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0042】
ここで、フェノール性水酸基含有化合物と、1級アミノ基含有化合物と、アルデヒド基含有化合物とを反応させることによって得られるジヒドロベンゾオキサジン環構造の一般的な製造方法を以下に述べる。
1級アミノ基含有化合物をアルデヒド基含有化合物へ徐々に加える方法により反応させた後、フェノール性水酸基含有化合物を加え、20分〜5時間、70〜120℃に保つことにより製造される。この際、必要に応じて有機溶媒や、触媒を用いることができる。
【0043】
有機溶媒としては、特に制限はないが、原料であるフェノール性水酸基含有化合物、1級アミノ基含有化合物、アルデヒド基含有化合物に対して溶解性の高いものが好ましく、更に好ましくは、ジヒドロベンゾオキサジン環構造生成の際に発生する水分に対して、溶解性の高いものが好ましい。例えば、1,4−ジオキサン、n-メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。本発明において、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0044】
触媒としては、酸性あるいはアルカリ性物質が挙げられ、アルカリ性物質としては、例えば、苛性カリ、苛性ソーダの他、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、1,8−ジアザビシクロ [5,4,0] ウンデセ−7−エンなどの2級あるいは3級脂肪族アミン、並びにピリジン、イミダゾール、ピペリジン、モルホリンなどの塩基性含窒素複素環化合物などが挙げられる。本発明において、これらの触媒は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0045】
以下に、水酸基含有化合物としてフェノール、1級アミノ基含有化合物としてアニリン、アルデヒド基を有する化合物としてホルムアルデヒド、有機溶媒として1,4−ジオキサンを用いた場合の反応式を示す。
(式4)
【化6】

【0046】
このようにして得られるジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物は、単一で得られる場合もあるが、多くの場合、目的物に加えて、一旦生成したジヒドロベンゾオキサジン環が反応時の熱によって部分的に開環重合することで生成するオリゴマーや、フェノール樹脂等の副生成物が、同時に存在する混合物として得られる。
本発明の場合、目的物を必ずしも単離して用いる必要はなく、目的に応じて混合物の状態で用いてもよいし、目的物のみを単離して用いてもよい。例えば、混合物の状態で用いる場合、ジヒドロベンゾオキサジン環構造の欠点である架橋密度の低さが、予め部分重合体を含んでいる混合物の状態で使用することによって補える。また、目的物のみを単離して用いる場合、系内に存在する他の熱硬化性基(例えばエポキシ基やオキセタン基などのような、フェノール性水酸基と反応しうる官能基)との副反応が極めて起こりにくく、硬化前の保管時の径時安定性に優れるという特徴が得られる。目的物を単離する方法としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することで、フェノール性水酸基を有する原料や副生成物を除去する方法がある。

【0047】
ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)は、熱やカチオンによって開環重合し、架橋構造を形成する。下記式5に、ジヒドロベンゾオキサジン環構造の熱による開環重合の反応式を示す。
【0048】
(式5)
【化7】

【0049】
このように、本発明で言うジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)は、開環重合した場合に、フェノール性水酸基と三級アミノ基を生成する。したがって、ヒドロベンゾオキサジン環構造(B)以外の硬化性材料として、エポキシ化合物などのフェノール性水酸基と反応しうる官能基を有する硬化性材料を混在させておくことで、開環重合後に生成するフェノール性水酸基が反応し、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
【0050】
また、本発明で言うジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)は、この開環重合反応に伴い、三次元架橋反応が進行し、良好な機械特性、低吸湿性、高強度、高弾性率、低硬化収縮性、難燃性を示す硬化物となる。
また、本発明の硬化性材料の場合、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)とを有しているため、硬化反応としては、上記のジヒドロベンゾオキサジン環構造による開環重合反応に加えて、重合性不飽和結合基由来の重合反応が進行する。従って、得られる硬化物は、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)を含まない硬化性材料の硬化物に比べて、特に機械特性、強度、耐熱性などにおいて優れた硬化物が得られる。
【0051】
本発明の、1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)と有する化合物を以下に例示する。
【0052】
【化8】

【0053】

【0054】
(そのほかの硬化性材料について)
本発明でいう1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)と有する化合物(C)以外の硬化性材料としては、光硬化性材料や、熱硬化性材料、光硬化性と熱硬化性を併有する材料などが挙げられる。
この場合の光硬化性材料としては、光照射によって硬化し得る材料であれば特に制限はないが、例えば、エチレン性不飽和結合基含有化合物などが挙げられる。さらに詳しく例示すると、エチレン性不飽和結合基含有化合物としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、ペンテニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレン基の和が2〜14のものなど)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の和が2〜14のものなど)、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ビスフェノールA誘導体の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0055】
また、この場合の熱硬化性材料としては、熱によって硬化し得る材料であれば特に制限はないが、例えば、本発明のジヒドロベンゾオキサジン環構造含有硬化性材料が、開環重合した際に生成するフェノール性水酸基と反応し得る官能基を有した化合物や、フェノール性水酸基が結合したベンゼン環に対して反応性を有する化合物、熱によって本発明の硬化性材料の不飽和結合基と反応し得る官能基を有した化合物などが挙げられる。
【0056】
フェノール性水酸基と反応し得る官能基としては、特に制限はないが、例えばエポキシ基、酸無水物基、オキセタン基、テトラヒドロフラン誘導体基、ビニルエーテル基、カルボキシル基、イソシアネート基、アジリジン基、カプロラクトン基、フェノール基などが挙げられ、これらの官能基を有する化合物として具体的に例示すると、例えば、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、スチレンオキシド、グリシドール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、プロピレングリコール系脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の直接水素化反応で得られる水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン誘導体のエポキシ化物、グリシジル基含有ナフタレン誘導体樹脂、臭素化エポキシ樹脂などのエポキシ基含有化合物、ジシクロペンタジエン誘導体のエポキシ化物、トリシクロペンタジエン誘導体のエポキシ化物、液状ポリブタジエンのエポキシ化物などの各種脂環式エポキシ基含有化合物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9‘−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9’−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、無水トリメリット酸のカルボン酸エステル化物、スチレン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体などの酸無水物基含有化合物、オキセタンアルコール誘導体などのオキセタン基含有化合物、テトラヒドロフルフリルアルコール誘導体などのテトラヒドロフラン誘導体基含有化合物、エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エチルシクロヘキサノールのビニルエーテル化物、t-ブチルビニルエーテル、ジシクロペンタジエンのビニルエーテル化物、水添ジシクロペンタジエンのビニルエーテル化物、トリシクロペンタジエンのビニルエーテル化物、水添トリシクロペンタジエンのビニルエーテル化物、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのビニルエーテル化物、アルカノールアミン類のビニルエーテル化物、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、シクロヘキサンモノビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、α−フルフリルビニルエーテル、α−テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、トリシクロデカンエポキシビニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどビスフェノール類のビニルエーテル化物、β−ナフトールのビニルエーテル化物、オキセタンアルコールのビニルエーテル化物、ポリジメチルシロキサンのビニルエーテル化物などのビニルエーテル基含有化合物、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンモノカルボン酸、ジフェノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、各種酸無水物類のハーフエステル化物、各種酸無水物類のハーフアミド化物、(メタ)アクリル酸共重合アクリル樹脂、ポリカルボン酸、スチレン(メタ)アクリル酸共重合樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、各種多価カルボン酸化合物などのカルボキシル基含有化合物、1,6−ヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートの水添化合物、リジントリイソシアネート、ポリメリックイソシアネートなどのイソシアネート基含有化合物、N,N’−ヘキサアミノエチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジニルプロピオネートなどのアジリジン基含有化合物、β−カプロラクトンなどのカプロラクトン基含有化合物などが挙げられる。
【0057】
フェノール性水酸基が結合しているベンゼン環に対して反応性を有する化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノール含有ポリイミド、フェノール基含有ポリウレタン、フェノール基含有アクリル樹脂、フェノール基含有ポリエステルなどのフェノール基含有化合物やアニリンなどの芳香族アミン類と、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物との混合物などが挙げられる。
【0058】
熱によって本発明の硬化性材料の不飽和結合基と反応し得る官能基としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、ナジイミド基、シクロペンタニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサニル基、ジシクロヘキサニル基、プロパルギル基、プロパルギルエーテル基などが挙げられ、これらの官能基を有する化合物としては、具体的には、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、塩化ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ビニル基含有ポリブタジエン、などのビニル基含有化合物、上記記載のビニルエーテル基含有化合物類、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、パラヒドロキシフェニルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、t−ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、パラヒドロキシフェニルマレイミド、パラヒドロキシフェニルマレイミドのフェノール性水酸基変性物、ビスA型ビスマレイミド、水添ビスA型ビスマレイミド、ビスF型ビスマレイミド、ブチルビスマレイミド、ヘキシルビスマレイミドなどのマレイミド類、無水ハイミック酸誘導体のイミド化物、アリルナジイミド、ビニルナジイミド、メチルナジイミド、エチルナジイミド、パラヒドロキシフェニルナジイミド、パラヒドロキシフェニルナジイミドのフェノール性水酸基変性物などのナジイミド類、シクロペンタニル基含有化合物、シクロペンタジエニル基含有化合物、シクロヘキサニル基含有化合物、ジシクロヘキサニル基含有化合物、プロパルギル基含有化合物、エチルプロパルギルエーテル、ヒドロキシエチルプロパルギルエーテル、ブチルプロパルギルエーテル、ヒドロキシブチルプロパルギルエーテル、ジエチレングリコールモノプロパルギルエーテル、ジエチレングリコールジプロパルギルエーテル、トリエチレングリコールモノプロパルギルエーテル、トリエチレングリコールジプロパルギルエーテル、エトキシエチルプロパルギルエーテル、メトキシエチルプロパルギルエーテル、エチルシクロヘキサノールのプロパルギルエーテル化物、t-ブチルプロパルギルエーテル、ジシクロペンタジエンのプロパルギルエーテル化物、水添ジシクロペンタジエンのプロパルギルエーテル化物、トリシクロペンタジエンのプロパルギルエーテル化物、水添トリシクロペンタジエンのプロパルギルエーテル化物、ジエチルアミノエチルプロパルギルエーテル、ジメチルアミノエチルプロパルギルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのプロパルギルエーテル化物、アルカノールアミン類のプロパルギルエーテル化物、ヒドロキシペンチルプロパルギルエーテル、シクロヘキサンモノプロパルギルエーテル、シクロヘキサンジプロパルギルエーテル、α−フルフリルプロパルギルエーテル、α−テトラヒドロフルフリルプロパルギルエーテル、トリメチロールプロパントリプロパルギルエーテル、トリメチロールプロパンジプロパルギルエーテル、トリメチロールプロパンモノプロパルギルエーテル、ペンタエリスリトールモノプロパルギルエーテル、ペンタエリスリトールジプロパルギルエーテル、ペンタエリスリトールトリプロパルギルエーテル、ペンタエリスリトールテトラプロパルギルエーテル、トリシクロデカンエポキシプロパルギルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどビスフェノール類のプロパルギルエーテル化物、β−ナフトールのプロパルギルエーテル化物、オキセタンアルコールのプロパルギルエーテル化物、ポリジメチルシロキサンのプロパルギルエーテル化物などのプロパルギルエーテル含有化合物などが挙げられる。
【0059】
また、光硬化性と熱硬化性を併有する材料としては、熱硬化性官能基と光硬化性官能基を併有する材料が挙げられ、具体的には、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルのように、グリシジル基と重合性不飽和二重結合基を併有する化合物などが挙げられる。
本発明において、これらの硬化性材料は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよく、必要に応じて光硬化性材料と、熱硬化性材料と、光硬化性と熱硬化性とを併有する材料とを任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0060】
(重合開始剤について)
本発明でいう重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、光照射によって重合の開始反応に寄与する化合物であれば特に制限はないが、例えば、水素引き抜き型光重合開始剤や、解裂型光重合開始剤などが挙げられる。さらに具体的には、ミヒラーズケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイルナフタレン、o-ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、ベンジル、2,2‘−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2‘−ビイミダゾール、2,2‘−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2‘−ビイミダゾール、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン、ベンジルジフェニルジスルフィド、フェナンスレンキノン、2−イソプロピルチオキサントン、リボフラビンテトラブチレート、2,6−ビス(p−ジエチルアミノベンザル)−4−メチル−4−アザシクロヘキサノン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノ−1,3−ジフェニルプロパンジオン、1−フェニル−2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、3,3‘,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタニウム、3,3‘−ジメトキシ−4,4’−ジアザドビフェニル、3,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)−1−メチル−4−アザシクロヘキサノン、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−テノニルクマリン、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ジエチルアミノ安息香酸エチル、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン−1−[4−フェニルチオ−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、N−(4−シアノフェニル)グリシン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、マレイミド誘導体などが挙げられる。
【0061】
熱重合開始剤としては、熱によって重合の開始反応に寄与する化合物であれば特に制限はないが、例えば、2,2‘−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2‘−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシメチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2‘−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2‘−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2‘−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2‘−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジヒドレート。2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2‘−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4‘−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ポリ[ポリオキシエチレン−4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタノエート)]などのアゾ系熱重合開始剤、2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)−プロパン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロトレフタレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどの過酸化物系熱重合開始剤などが挙げられる。
【0062】
本発明において、これらの重合開始剤は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよく、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを単独使用あるいは併用してもよい。
また、本発明において、光重合開始剤を使用する場合に、光増感剤を併用してもよい。光増感剤としては、例えば、N−メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン等の水素供与型光増感剤、カルバゾール誘導体、ナフタレン誘導体、N−置換アクリドン誘導体など、長波長側に吸収を有する化合物などが挙げられる。
【0063】
本発明の硬化性材料を、熱硬化させる場合、100〜400℃で熱硬化させることが好ましく、更に好ましくは、120〜350℃で熱硬化させることが好ましい。硬化させる温度が100℃未満の場合、硬化が充分に進行せず、所望の耐熱性が得られない場合がある。また、硬化させる温度が400℃より高い場合、特に長時間過熱した場合において、本発明の硬化性材料は、熱劣化を起こす場合がある。
【0064】
本発明の硬化性材料を、光照射して光硬化させる場合、5〜1000mJ/cm2照射することが好ましく、更に好ましくは、20〜500mJ/cm2照射することが好ましい。光の照射量が5mJ/cm2未満の場合、硬化が充分に進行せず、所望の耐熱性が得られない場合があり、光の照射量が1000mJ/cm2より多い場合、本発明の硬化性材料は、光劣化を起こす場合がある。

【実施例】
【0065】
以下に実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断らない限り「部」は重量部を意味する。
【0066】
実施例1
請求項記載の化合物(C)としてパラヒドロキシフェニルマレイミド、化合物(D)としてアニリン、化合物(E)としてホルムアルデヒドを用いた場合の合成例を以下に示す。

N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称する) 20.00 部
1,4−ジオキサン 50.00 部
の混合溶液に
パラヒドロキシフェニルマレイミド 18.92 部 (0.1モル)
を完全に溶解させ、溶液(1)とした。
次に、攪拌機、還流冷却器、温度計、ガス導入管、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、
1,4−ジオキサン 30.00 部、
37%ホルマリン溶液 16.23 部 (ホルムアルデヒド換算で0.2モル)
を仕込み、滴下ロートに、
1,4−ジオキサン 20.00 部、
アニリン 9.31部 (0.1モル)
を仕込み、窒素雰囲気下、氷浴を用いてフラスコ内の温度が10℃以下になるように保持し、フラスコを攪拌しながら滴下ロートに仕込んだ溶液を15分かけて徐々に滴下した。次に、フラスコ内の温度を10℃以下に保持したまま30分攪拌を継続し、その後、このフラスコに溶液(1)を投入し、攪拌下、90〜120℃で4時間反応させた。
その後、激しく窒素を吹き込みながら、110〜120℃でジオキサンを脱溶剤することで、目的物を含む茶褐色のNMP溶液を得た。
【0067】
実施例2〜6
実施例1と同様にして、請求項記載の化合物(C)、化合物(D)、化合物(E)の原料を変更し、本発明のジヒドロベンゾオキサジン環構造含有硬化性材料を合成した。実施例1〜6の原料組成を下記表1に示す。
【0068】
比較例1〜3
実施例の化合物(C)の変わりに、表1中に記載したフェノール化合物を用い、ジヒドロベンゾオキサジン環構造含有硬化性材料を合成した。比較例1〜3の原料組成を下記表1に示す。
【0069】
<表1>
【表1】

【0070】
<表1の注釈>
ホルマリン・・・37%ホルマリン溶液(仕込み量は、ホルムアルデヒド換算でのmol数)
pHPMI・・・パラヒドロキシフェニルマレイミド
pHPNI・・・パラヒドロキシフェニルナジイミド
ANI−HP・・・N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
PDI−HP・・・N−(4’−ヒドロキシフェニル)−1−プロペン−2,3−ジカルボキシイミド
DADE・・・4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル
【0071】
実施例1〜6および比較例1〜3で得られた材料について、IR測定、1HNMR測定、およびGPC測定で同定を行ったところ、すべての材料について、次の事が言えた。
IR測定では、950cm-1付近および1500cm-1付近にトリ置換ベンゼン環由来のピーク、1230cm-1付近にジヒドロベンゾオキサジン環構造のC−O−Cのピーク、1330cm-1付近にジヒドロベンゾオキサジン環構造の−CH2−のピークが観察できた。これらは、試料中にジヒドロベンゾオキサジン環構造が存在することを示す。また、1780cm−1付近、1720cm−1付近に、イミド基由来のピークが観察できた。(参考として、実施例1で得られた硬化性材料のIR測定結果を図1に示す。)
1HNMR測定では、4.60ppm付近に、オキサジン核のAr-CH2-Nプロトンのピーク、5.40ppm付近に、オキサジン核の
O-CH2-Nプロトンのピークが観察できた。これらは、試料中にジヒドロベンゾオキサジン環構造が存在することを示す。(参考として、実施例1で得られた硬化性材料の1HNMR測定結果を図2に示す。)
GPC測定では、低分子量側から順番に、原料である化合物(C)のピーク、目的物であるジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物とその部分重合物および副生成物のピークが観察できた。合成例1のGPCチャートでは、ジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物とその部分重合物及び副生成物の面積占有率は、62%であった。 (参考として、実施例1で得られた硬化性材料のGPC測定結果を図3に示す。)
【0072】
実施例1〜6および比較例1〜3で得られた材料について、次の評価を行った。
<速硬化性>
充分に乾燥することで完全に脱溶剤した試料について、DSC(示差走査熱量分析)測定を行い、発熱のピーク温度で判断した。発熱のピーク温度が低いほど、速硬化性に優れていることが言える。なお、DSC測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差走査熱量計「EXSTAR6000 DSC6200」を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、サンプル重量約2mg、窒素流量50mL/minで行った。(参考として、実施例1で得られた硬化性材料のDSC測定結果を図4に示す)
【0073】
<耐熱性>
200℃で1時間熱硬化させた試料について、熱重量分析測定を行い、5%重量減少温度で判断した。5%重量減少温度が高いほど、耐熱性に優れていることが言える。なお、熱重量分析測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差熱熱重量同時測定装置「EXSTAR6000 TG/DTA6300」を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、サンプル重量約5mg、窒素流量50mL/minで行った。
【0074】
<機械特性>
引張強度、引張弾性率および引張伸び率をJIS K6911に準じて測定することで判断した。
【0075】
<難燃性>
UL規格の方法に従って1.6mm厚の硬化物の難燃性を評価した。
【0076】
<光硬化性>
硬化性材料10重量部に対し、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンを1重量部混合し、膜厚20μmになるようにガラス板に塗工した。塗膜に含まれる溶剤を完全に乾燥させた後、120W/cmメタルハライドランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射した。照射後、塗膜の表面を、MEKを含浸させた綿棒で擦り、塗膜が剥がれて下地のガラス板が露出するときのラビング回数を測定した。このラビング回数が多いほど、光硬化性が良好であることを示す。
【0077】
評価結果を下記表2に示す。
<表2>
【表2】

【0078】
表2の結果より、本発明の硬化性材料は、機械特性、難燃性に優れていることに加えて、特に速硬化性および耐熱性において、従来報告されているジヒドロベンゾオキサジン環構造含有化合物に比べて大きく優れている。さらに、優れた速硬化性、耐熱性を両立し得るという点でも特徴的な性能を有しており、なおかつ光硬化性も有している。
【0079】
<他の硬化性材料と併用した場合の硬化性>
実施例1で作成した硬化性材料10重量部に対し、それ以外の硬化性材料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート828」(エポキシ当量=190、ジャパンエポキシレジン株式会社製)10重量部を混合し、熱硬化性材料(a)とした。この熱硬化性材料(a)を、膜厚20μmになるようにガラス板に塗工し、塗膜に含まれる溶剤を完全に乾燥させた後、200℃で1時間熱硬化させた。硬化後、塗膜をガラス板から剥がし、塗膜の一部を切り取ってDSCを測定した。また、塗膜を幅1cm×長さ3.5cmになるように切り取り、動的粘弾性測定を行った。 なお、DSC測定は、速硬化性の評価と同じ条件で行った。また、動的粘弾性測定(DMS測定)は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製粘弾性測定装置「EXSTAR6000 DMS6100」を用い、昇温速度2℃/min、サンプル幅1cm×チャック間距離2cmの条件で測定し、tanδのピークトップの個数とその時の温度を観察した。実施例1の硬化性材料を、単独で硬化させた場合を測定し、熱硬化性を比較した。
【0080】
評価結果を下記表3に示す。
<表3>
【表3】

【0081】
表3の結果より、本発明の硬化性材料は、他の硬化性材料と併用した場合においても良好な硬化性を示す。詳しく説明すると、DSC測定の結果から、本発明の硬化性材料が開環重合した後に、生成したフェノール性水酸基と他の硬化性材料であるエポキシ樹脂のエポキシ基の反応が起こっていることが推測でき、DMS測定の結果においては、tanδのピークの個数が1つであることから、どちらの硬化性材料も均一に硬化していることが言える。この2つの結果から、実施例1の硬化性材料とエポキシ樹脂が、熱硬化の過程で互いに反応し、均一に硬化していることが言える。また、DMS測定のtanδのピーク温度から、実施例1の硬化性材料単独に比べて、エポキシ樹脂を併用したほうが可とう性に優れた塗膜が得られる。このように、本発明の硬化性材料は、他の硬化性材料と併用した場合、熱硬化時に均一に反応し、他の熱硬化性材料を適宜選択することによって、硬化後の塗膜の物性を制御することができる。
【0082】
以上の評価結果から、本発明の硬化性材料は、硬化性材料として従来にない性能を有する非常に優れた材料であることが言える。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の硬化性材料は、耐熱性、速硬化性、機械的特性、難燃性に優れているため、高温・高湿下での安定性や信頼性に優れる耐熱性材料として、プリント配線板用銅張積層板、多層配線板用接着剤、半導体用封止材料、半導体実装用接着剤、半導体搭載用モジュール、あるいは自動車用、航空機用、建築部材等に用いられる部品などに好適に用いることができる。更には、炭素繊維や炭素電極あるいは燃料電池、各種二次電池などのエネルギー分野の周辺部材、各種複合材料等のバインダーやマトリックス樹脂として用いることができる。
また、環境低負荷の観点からは、ハロゲンフリー難燃性樹脂材料などとして用いることができる。
また、各種塗料、印刷インキ、コーティング剤等、硬化の手段として熱硬化や光硬化のプロセスが介在する分野に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、実施例1の硬化性材料のIRスペクトルを示す。
【図2】図2は、実施例1の硬化性材料のNMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、実施例1の硬化性材料のGPCチャートを示す。
【図4】図4は、実施例1の硬化性材料のDSCチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に、
重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、
ジヒドロベンゾオキサジン環構造(B)とを有する化合物を含んでなる硬化性材料。
【請求項2】
イミド基が、単環もしくは縮合環に含まれるものであり、
重合性不飽和結合基を構成する二つの炭素原子のうちの少なくとも一つが、前記単環もしくは縮合環に含まれている請求項1記載の硬化性材料。
【請求項3】
イミド基が、単環もしくは縮合環に含まれるものであり、
重合性不飽和結合基が、イミド基を含む単環もしくは縮合環と、
直接結合もしくは炭素数1〜10の接続基を介して結合している請求項1記載の硬化性材料。
【請求項4】
1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、フェノール性水酸基とを併せ持つ化合物(C)と、
1級アミノ基含有化合物(D)と、
アルデヒド基を有する化合物(E)とを反応させる反応させてなる請求項1〜3いずれか記載の硬化性材料。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の硬化性材料と、前記材料以外の硬化性材料とを含む硬化性材料。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の硬化性材料と、重合開始剤とを含む硬化性材料。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の硬化性材料を、100〜400℃で熱硬化させてなる硬化物。
【請求項8】
請求項1〜6いずれか記載の硬化性材料を、光照射して光硬化させてなる硬化物。
【請求項9】
1分子中に、重合性不飽和結合基とイミド基とを含む官能基(A)と、フェノール性水酸基とを併せ持つ化合物(C)と、
1級アミノ基含有化合物(D)と、
アルデヒド基を有する化合物(E)とを反応させることを特徴とする硬化性材料の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−265433(P2006−265433A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87878(P2005−87878)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】