説明

硬化性組成物及び歯科用硬化物

【課題】高い審美性、強度、及び耐久性を有すると共に高い表面滑沢性を有する硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】無機粉体と重合性単量体を含有する硬化性組成物であって、前記無機粉体は球状結晶制御粉体を含み、前記球状結晶制御粉体は二酸化ケイ素の含有量が97質量%以上100質量%であり、且つ非晶質部分と結晶質部分とが混在してなる。前記球状結晶制御粉体とこの球状結晶制御粉体を除いた成分のみを硬化させた場合に得られる硬化物との屈折率差が、0.05以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性組成物、及びこの硬化性組成物から形成される歯科用硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用の歯冠材料、補綴材料、人口歯等(以下、歯科用材料と総称する)を得るためには、一般に、シリカ(二酸化ケイ素)などの無機粉体、(メタ)アクリレート系の重合性単量体、光重合触媒又は加熱重合触媒等を含有する硬化性組成物およびその硬化物が使用されている。このような歯科用材料には、天然歯と代替するために、審美性、強度、耐久性などが求められる。従来、歯科用材料に種々の性能を付与するために、種々の無機粉体を使用することが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、二酸化珪素と他の金属酸化物を凝集させ、その酸化物の結晶化温度未満の温度で熱処理することにより、二酸化珪素と他の金属酸化物とで独立な非晶質層を形成した歯科用複合材料用充填材が開示されている。
【0004】
特許文献2には、重合性単量体、充填剤、重合開始剤よりなる歯科用複合組成物において、充填剤として、平均粒径、屈折率、細孔容積、BET比表面積、及び一次粒子径が制御されたシリカ及び他の金属酸化物の熱処理された凝集物を使用することが開示されている。
【0005】
特許文献3には、SiO、B、Al、P、BeO、MgO、CaO、X線造影性元素酸化物、アルカリ金属酸化物、及びFを特定の割合で含有し、かつガラス骨格を形成するSi、BおよびAl元素を特定のモル比になるようにした歯科充填用ガラスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3481660号公報
【特許文献2】特開2001−302429号公報
【特許文献3】特開2002−114620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、歯科用材料には、審美性、強度、耐久性と共に、口腔内に固定されることから高い表面滑沢性も求められる。これに対し、従来の歯科用材料はこれらの特性を充分に兼ね備えてはいない。
【0008】
すなわち、特許文献1及び2に開示されている技術では、二酸化ケイ素と他の金属酸化物との凝集部分の強度が弱くなってしまい、硬化物の強度が充分ではないという問題がある。
【0009】
また、特許文献3に開示されている技術では、歯科充填用ガラスとして破砕状の粉体しか得ることができず、このような歯科充填用ガラスを含有する硬化性組成物の硬化物では表面滑沢性が低くなるという問題がある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、高い審美性、強度、及び耐久性を有すると共に高い表面滑沢性を有する硬化物を形成することができる硬化性組成物、及びこの硬化性組成物を硬化して得られる歯科用硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の発明に係る硬化性組成物は、無機粉体と重合性単量体を含有する硬化性組成物であって、前記無機粉体は球状結晶制御粉体を含み、前記球状結晶制御粉体は二酸化ケイ素の含有量が97質量%以上100質量%以下であり且つ非晶質部分と結晶質部分とが混在してなり、前記球状結晶制御粉体を除いた成分のみを硬化させた場合に得られる硬化物と、前記球状結晶制御粉体との屈折率差が、0.05以下である。
【0012】
第一の発明においては、前記球状結晶制御粉体の屈折率が1.48〜1.60の範囲であってもよい。
【0013】
第一の発明においては、前記球状結晶制御粉体の、X線回折スペクトルにおける相対バックグラウンド高さが3〜10であってもよい。
【0014】
第一の発明においては、前記球状結晶制御粉体の平均粒径が0.01〜50μmの範囲であってもよい。
【0015】
第一の発明においては、前記球状結晶制御粉体が、火炎溶融法によって得られた非晶質の球状粒子を加熱処理して部分的に結晶化させることによって得られたものであってもよい。
【0016】
第一の発明においては、さらに重合触媒を含有し、前記球状結晶制御粉体の含有量が5〜95質量%の範囲であってもよい。
【0017】
第一の発明においては、前記重合性単量体がアクリレート系モノマーとメタクリレート系モノマーのうち少なくとも一方を含み、前記球状結晶制御粉体の含有量が55〜95質量%の範囲であってもよい。
【0018】
第二の発明に係る歯科用硬化物は、第一の発明に係る硬化性組成物を硬化させて得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高い審美性、強度、及び耐久性を有すると共に高い表面滑沢性を有する硬化物を形成可能な硬化性組成物を得ることができる。
【0020】
また、本発明によれば、高い審美性、強度、及び耐久性を有すると共に高い表面滑沢性を有する歯科用硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
硬化性組成物は無機粉体と重合性単量体を含有する。この無機粉体は球状結晶制御粉体を含む。球状結晶制御粉体は二酸化ケイ素を主成分としており、二酸化ケイ素の含有量が97質量%以上100質量%以下である。かつ、この球状結晶制御粉体は、1つの粒子中に非晶質部分と結晶質部分とが混在している。更に、この球状結晶制御粉体と、硬化性組成物中の球状結晶制御粉体を除いた成分のみを硬化させた場合に得られる硬化物(以下、球状結晶制御粉体を含有する硬化性組成物の硬化物と区別するため、部分的硬化物という。)との屈折率差は、0.05以下とされる。
【0022】
上記のとおり、球状結晶制御粉体の屈折率と、部分的硬化物の屈折率との差は、0.05以下とされる。特に、球状結晶制御粉体の屈折率が1.48〜1.60の範囲であることが好ましい。歯科用途に用いられるアクリレート系モノマー、メタクリレート系モノマー等の重合性単量体の硬化物の屈折率が、一般にこの範囲だからである。
【0023】
球状結晶制御粉体の屈折率は、球状結晶制御粉体中の非晶質部分と結晶質部分との割合から大きな影響を受ける。球状結晶制御粉体のX線回折スペクトルにおける相対バックグランド強度が、球状結晶制御粉体中の非晶質部分と結晶質部分との割合の指標となる。相対バックグラウンド高さが大きいほど球状結晶制御粉体中の非晶質の存在割合が大きくなり、小さいほど球状結晶制御粉体中の結晶質部分の存在割合が大きくなる。
【0024】
球状結晶制御粉体のX線回折スペクトルにおける相対バックグラウンド高さは、球状結晶制御粉体と結晶性の標準試料の各X線回折スペクトルが、同一の条件で測定された場合の、球状結晶制御粉体のX線回折スペクトルのバックグラウンド高さ(F)と、標準試料のX線回折スペクトルのバックグラウンド高さ(A)との比(F/A)で表される。バックグラウンド高さとは、X線回折スペクトルにおけるバックグラウンド部分の回折強度の平均値である。
【0025】
球状結晶制御粉体のバックグラウンド高さ(F)は、Cu−Kα線を使用して測定される粉末X線回折スペクトルに基づき、下記数式(1)から導出される。
【0026】
【数1】

【0027】
数式(1)の右辺の分母のNは、2θ=10〜35°の範囲でのバックグラウンド部分の回折強度の測定点数であり、その数は1501である。式(1)の右辺の分子は、前記1501個の各測定点における回折強度の総和を示す。
【0028】
標準試料のバックグラウンド高さ(A)は、例えば標準試料として標準アルミナ粉体(National Institute of Standard & Technology, Standard Reference Material 674a)を用い、球状結晶制御粉体と同じ方法で導出される。
【0029】
上記のように導出された球状結晶制御粉体のバックグラウンド高さ(F)を、標準試料のバックグラウンド高さ(A)で除して得られる値(F/A)が、相対バックグラウンド高さとなる。相対バックグラウンド高さは、屈折率を1.48以上にする観点、及び球状結晶制御粉体自身の硬さを向上させて球状結晶制御粉体が添加された硬化物の硬さを向上させる観点から、10.0以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、7.0以下が更に好ましい。また、球状結晶制御粉体自身の透明性を向上させる観点、及び成型時の金型の摩耗を抑制し、汚染を低減する観点から、3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4.0以上が更に好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、相対バックグラウンド高さは、3.0〜10.0が好ましく、4.0〜7.5がより好ましく、5.0〜7.0が更に好ましい。相対バックグラウンド高さを上記範囲内に制御することに関しては、後述する製造方法において、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方の添加量を増やすことによって、あるいは熱処理温度を高くすることや、熱処理時間を長くすることによって、相対バックグラウンド高さを小さくすることができる。
【0030】
球状結晶制御粉体の粒子形状は、表面がほぼ曲面から形成されていれば、厳密な球体である必要はない。但し、硬化性組成物中での球状結晶制御粉体の分散性を向上させることにより硬化性組成物への高充填を可能とする観点、球状結晶制御粉体による光散乱を抑制して硬化物の透明性を向上する観点、硬化物の表面滑沢性を向上させる観点などから、球状結晶制御粉体中の粒子の真球度が0.95以上であることが好ましい。この真球度は0.96以上であればより好ましく、0.97以上であれば更に好ましい。真球度を上記範囲内に制御することに関しては、後述する製造方法において、火炎温度を高くしたり、火炎内滞留時間を長くすることにより、真球度を高くすることができる。
【0031】
尚、真球度の算出にあたっては、球状結晶制御粉体中の粒子の顕微鏡撮影画像に基づいて得られる各粒子の投影断面の面積及びこの断面の周囲長から、〔粒子投影断面の面積と同じ面積の真円の円周長〕/〔粒子投影断面の周囲長の測定値〕の値が算出される。真球度は、球状結晶制御粉体中の任意の50個の粒子についてそれぞれ導出された前記値の平均値である。
【0032】
なお、硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に球状結晶制御粉体以外の無機粉体を含有してもよい。この球状結晶制御粉体以外の無機粉体としては、ナノサイズのシリカ、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。球状結晶制御粉体以外の無機粉体がナノサイズであれば、歯科用硬化物の透明性が損なわれることなくその強度や耐久性が向上する。球状結晶制御粉体以外の無機粉体の形状も、歯科用硬化物の表面滑沢性を向上させる観点から、球状であることが好ましい。
【0033】
無機粉体全量における球状結晶制御粉体の含有量は、50質量%以上が好ましく、75質量以上%がより好ましく、85質量%以上が更に好ましい。この含有量の上限は100質量%である。
【0034】
球状結晶制御粉体は、天然物又は合成物を原料として得られる。天然物としては、二酸化ケイ素を主成分とする無機鉱物が挙げられる。合成物は、例えば珪石などの天然石を湿式または乾式粉砕するなどして得られる出発原料を、火炎溶融法により球状化することで得られる。また、ゾルゲル法などによって合成物を得ることもできる。下記において、合成物である球状結晶制御粉体について、更に詳しく説明する。
【0035】
球状結晶制御粉体は、例えば出発原料に対して火炎溶融法による処理が施されることで得られる。火炎溶融法は、無機成分の粉砕物等の出発原料を火炎中で溶融して球状化する方法である。出発原料は破砕物でも球状粉体であってもよく、また破砕物と球状粉体との混合物であってもよい。この火炎溶融法によって、溶融した出発原料が表面張力により球状化する。この火炎溶融法によれば、適度の粒径を有する球状結晶制御粉体が容易に得られる。
【0036】
出発原料としては、珪石、珪砂、石英、クリストバライト、非晶質シリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸エチル、シリカゾル等の、シリカ源となる材料が挙げられる。好適な態様においては、出発原料が酸素等のキャリアガスに分散した状態で、火炎中に投入される。火炎は、例えばプロパン、ブタン、メタン、液化天然ガス、LPG、重油、灯油、軽油、微粉炭等の燃料が酸素と燃焼することによって発生する。高温の火炎を発生させる観点から、火炎の発生のために酸素ガスバーナーを用いることが好ましい。バーナーの構造は特に限定されず、特開平7−48118号公報、特開平11−132421号公報、特開2000−205523号公報、特開2000−346318号公報等に開示されている公知のバーナーが使用可能である。このような火炎溶融法により、真球度が高い球状結晶制御粉体が得られる。キャリアガス中の出発原料の濃度は、出発原料の充分な分散性を確保する観点から、0.1〜20kg/Nmが好ましく、0.2〜10kg/Nmがより好ましい。
【0037】
火炎溶融法以外の方法、例えばゾルゲル法などによって、球状結晶制御粉体が得られてもよい。
【0038】
火炎溶融法やゾルゲル法により得られる球状結晶制御粉体は、一般には非晶質である。この非晶質の球状結晶制御粉体に、部分的な結晶化が生じる条件で熱処理が施されることで、球状結晶制御粉体中の各粒子中に非晶質の部分と結晶質の部分とが混在するようになる。更に、この熱処理によって、粒子中の非晶質の部分と結晶質の部分との割合が容易に制御される。その結果、球状結晶制御粉体の屈折率も容易に調整される。
【0039】
特に火炎溶融法による処理と、それに続く熱処理とが採用されると、球状結晶制御粉体が適度の粒径に容易に調整されるようになる。更に熱処理の条件が適宜調整されることで、所望の相対バックグラウンド高さ(すなわち所望の非晶質部分と結晶質部分の割合)を有し、且つ所望の屈折率を有する球状結晶制御粉体が容易に得られるようになる。
【0040】
熱処理時の処理温度は、球状結晶制御粉体を溶融させない観点から1700℃以下が好ましく、1400℃以下がより好ましく、1100℃以下が更に好ましい。またこの処理温度は、球状結晶制御粉体の部分的な結晶化を促進させて生産性を向上させる観点からは、600℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、1000℃以上が更に好ましい。これらの観点を総合すると、処理温度は、600〜1700℃が好ましく、800〜1400℃がより好ましく、1000〜1100℃が更に好ましい。
【0041】
処理時間は、処理温度との関係で適宜決定される。処理温度が高ければ、短い処理時間で結晶化が促進されて球状結晶制御粉体の屈折率が上がる。処理時間は、結晶化を促進させ、屈折率を向上させる観点から、0.01時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。また、生産性を向上させる観点から、処理時間は100時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、処理時間は、0.01〜100時間が好ましく、0.5〜24時間がより好ましい。
【0042】
熱処理によって球状結晶制御粉体の結晶化を促進する観点からは、熱処理前の球状結晶制御粉体に、結晶化促進剤としてアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物から選ばれる一種以上の化合物が添加されることが好ましい。上記化合物としては、水溶性の高いものが好ましく、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩や酸化物、あるいはケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム等の複合酸化物等が挙げられる。なかでも、結晶化促進の観点から、上記化合物として硝酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0043】
この結晶化促進剤の添加量は、球状結晶制御粉体の結晶化を促進させると共に、熱処理時の融解、固着を抑制する観点から、球状結晶制御粉体100質量部に対して、結晶化促進剤中の金属元素(アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素)の酸化物換算で0.10質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.20質量部以上が更に好ましい。また、不純物に起因する球状結晶制御粉体の透明性低下を抑制する観点、並びに球状結晶制御粉体の真球度を向上させる観点からは、結晶化促進剤の添加量は球状結晶制御粉体100質量部に対して、結晶化促進剤中の金属元素(アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素)の酸化物換算で3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましい。これらの観点を総合すると、上記化合物の結晶化促進剤は、球状結晶制御粉体100質量部に対して、結晶化促進剤中の金属元素(アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素)の酸化物換算で0.10〜3質量部が好ましく、0.15〜2質量部がより好ましく、0.20〜1.5質量部が更に好ましい。
【0044】
球状結晶制御粉体中のアルカリ金属とアルカリ土類金属の酸化物の含有量の合計は、屈折率を高める観点から、0.10質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が更に好ましい。また、不純物に起因する球状結晶制御粉体自身の透明性低下を抑制し、球状結晶制御粉体を含有した硬化物の透明性を向上させる観点、及び球状結晶制御粉体の真球度を向上させる観点から、2.9質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、球状結晶制御粉体中のアルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物の酸化物の合計は、0.10〜2.9質量%が好ましく、0.15〜2.0質量%がより好ましく、0.20〜1.5質量%が更に好ましい。
【0045】
球状結晶制御粉体の平均粒径は、0.01〜50μmの範囲であることが好ましい。球状結晶制御粉体の平均粒径が0.01μm以上であれば、この球状結晶制御粉体を含有する硬化性組成物の粘度上昇が抑制され、また硬化性組成物の粘度上昇が起きることなく硬化性組成物中に球状結晶制御粉体が多量に配合されることも可能となる。更に、硬化性組成物の硬化物の強度が更に向上する。また、球状結晶制御粉体の平均粒径が50μm以下であれば、硬化物の表面滑沢性が更に向上する。球状結晶制御粉体の平均粒子径は、0.1〜20μmがより好ましく、1〜10μmが更に好ましい。平均粒子径を上記範囲内に制御するには、後述する製造方法において、火炎中に投入する原料粒子の粒子径を調整すればよい。
【0046】
球状結晶制御粉体には、カップリング剤による表面処理が施されていることが好ましい。カップリング剤は硬化性組成物に混合することにより配合してもよい。歯科用材料を得るための硬化性組成物に含有される球状結晶制御粉体の場合には、一般に歯科用として用いられているカップリング剤が使用されることが好ましい。カップリング剤としては、例えばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの公知のカップリング剤が挙げられる。
【0047】
硬化性組成物は、重合性単量体を含有する。特に歯科用材料を得るための硬化性組成物に含有される重合性単量体としては、一般に歯科用途に用いられているアクリレート系モノマー、メタクリレート系モノマー、ウレタンアクリレート系モノマー、ウレタンメタクリレート系モノマー、ビスフェノールA骨格を含むアクリレート系モノマー、ビスフェノールA骨格を含むメタクリレート系モノマーなどの公知の重合性単量体が挙げられる。これらの重合性単量体の具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジ(フェニルグリシジルエーテルアクリレート)−ヘキサメチレンジウレタン、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の化合物が挙げられる。これらの化合物は一種のみが用いられても、複数種が併用されてもよい。
【0048】
また、重合性単量体として、一般に電子材料用として用いられるビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂モノマーなどの化合物が用いられてもよい。
【0049】
硬化性組成物は、必要に応じて、重合触媒を含有してもよい。特に歯科用材料を得るための硬化性組成物に含有される重合触媒としては、一般に歯科用として用いられている加熱重合開始剤、光重合開始剤などの公知の重合触媒が挙げられる。これらの重合触媒の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなどの加熱重合開始剤、カンファーキノン、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤などが挙げられる。これらの化合物は一種のみが用いられても、複数種が併用されてもよい。
【0050】
硬化性組成物は、必要に応じて、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、フッ素徐放剤、着色顔料、その他の従来公知の添加剤などを含有してもよい。特に歯科用材料を得るための硬化性組成物に含有される添加剤としては、一般に歯科用として用いられている適宜の化合物が用いられる。
【0051】
硬化性組成物中の球状結晶制御粉体の含有量は5〜95質量%の範囲であることが好ましい。このように球状結晶制御粉体の含有量が5質量%以上であると、無機粉体による硬化物の補強効果が発現し始め、またこの含有量が95質量%以下であると、組成物全体への球状結晶制御粉体の均一な混合が容易になる。この球状結晶制御粉体の含有量が40〜95質量%の範囲であれば更に好ましく、55〜95質量%の範囲であれば特に好ましい。
【0052】
このような硬化性組成物が光硬化或いは熱硬化させられるなどして、硬化物が得られる。この硬化物では、上記のような非晶質の二酸化ケイ素と結晶質の二酸化ケイ素とが混在した球状結晶制御粉体を含有することで、硬化物中の球状結晶制御粉体と部分的硬化物との屈折率差が0.05以下となっている。このためこの硬化物は充分に高い透明性を発揮する。しかも、球状結晶制御粉体中の非晶質の二酸化ケイ素と結晶質の二酸化ケイ素との割合が調整されることで球状結晶制御粉体の屈折率が容易に調整される。このため、硬化性組成物中の球状結晶制御粉体以外の組成が変更される場合でも、適切な屈折率を有する球状結晶制御粉体が使用されることで、透明性の高い硬化物が得られる。部分的硬化物と、前記球状結晶制御粉体との屈折率差が小さいほど、硬化物の透明性が高くなる。
【0053】
歯科用途に用いる硬化物の透明性は、後述する透明性試験による評価法で40%以上95%以下が好ましく、50%以上95%以下が更に好ましく、60%以上95%以下が特に好ましい。
【0054】
また、球状結晶制御粉体が球状であることから、硬化物の表面滑沢性が高くなり、このためこの硬化物が口腔内に固定されたとしても口腔や歯が傷つけられにくくなる。
【0055】
また、均質性の高い球状結晶制御粉体が硬化物中に含有されているため、硬化物中で異種の粒子が凝集するような場合に較べて、硬化物が高い強度及び耐久性を発揮し得る。
【0056】
更に、二酸化ケイ素は生体に対する安全性が高いため、硬化物の生体に対する安全性も高くなる。
【0057】
硬化性組成物から形成される硬化物は、上記のような利点があることから、歯冠材料、補綴材料、人口歯等を形成するための歯科用硬化物として好適である。特に、部分的硬化物と、球状結晶制御粉体との屈折率差が0.02以下であると、天然歯に非常に近い透明性を有する歯科用硬化物が得られる。この屈折率差は、0.01以下であれば更に好ましい。
【0058】
球状結晶制御粉体の屈折率は、前記球状結晶制御粉体を除いた成分の屈折率に近似させ、球状結晶制御粉体が添加された硬化物の光透過性を向上させる観点から、1.48〜1.60の範囲であることが好ましく、1.49〜1.59の範囲であれば更に好ましい。屈折率を上記範囲内に制御することに関しては、後述する製造方法において、アルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方の添加量を多くすることによって、あるいは熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くすることによって、屈折率を高くすることができる。
【0059】
歯科用硬化物を形成するための硬化性組成物は、特に球状結晶制御粉体の含有量が55〜95質量%の範囲であり、且つ重合性単量体としてアクリレート系モノマーとメタクリレート系モノマーのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、無機粉体の含有量が55質量%以上であることで、硬化物に義歯や歯科補綴物として充分な強度や耐久性が付与される。またアクリレート系モノマー及びメタクリレート系モノマーは歯科材料としての使用実績が豊富であり、歯科材料等として生体に適用される場合の安全性が高い。
【0060】
歯科用硬化物は、例えば角柱状、円柱状、角板状、円板状あるいは義歯、インレー、クラウンなどの補綴物形状などの適宜の形状に形成される。この内の角柱状、円柱状、角板状、円板状などの歯科用硬化物からは、例えば義歯、インレー、クラウンなどの歯科用補綴物が、CAD/CAM装置による切削加工等で作製される。
【0061】
以下、特に歯科用硬化物を形成する方法について説明する。硬化性組成物に、その組成に応じた光が照射され、若しくは加熱され、或いは光が照射されると共に加熱されることによって、硬化性組成物が重合硬化する。これにより、歯科用硬化物が得られる。
【0062】
例えば硬化性組成物が加熱重合型の開始剤を含有する場合には、まず角柱状、円柱状、角板状、円板状あるいは義歯、インレー、クラウンなどの補綴物形状など適宜の形状のキャビティを有する成形型の前記キャビティに硬化性組成物が充填された後、このキャビティ内が減圧されて硬化性組成物から気泡が除去される。次に、この成形型に蓋がされてキャビティが閉塞された状態で硬化性組成物が加圧下又は常圧下で加熱されることで重合硬化する。これにより、歯科用硬化物が得られる。重合硬化時の加圧力や加熱温度は、必要に応じて経時的に変動してもよい。
【0063】
硬化性組成物が光重合型の開始剤を含有する場合には、例えばまず光を透過させることができる部分がある、角柱状、円柱状、角板状、円板状あるいは義歯、インレー、クラウンなどの補綴物形状などのキャビティを有する成形型と蓋が準備される。この成形型のキャビティに硬化性組成物が充填された後、このキャビティ内が減圧されて硬化性組成物から気泡が除去される。次に、この成形型に蓋がされた状態で硬化性組成物に加圧下又は常圧下で光が照射される。これにより硬化性組成物が重合硬化し、歯科用硬化物が得られる。重合硬化時には、必要に応じて光照射後の硬化性組成物に後硬化処理として加熱処理が施されてもよい。
【0064】
光を透過させることができる部分がある成形型及び蓋の材質としては、特に制限されないが、例えばステンレス、テフロン(登録商標)、シリコーン、ガラス、PET、ポリカーボネートなどが挙げられる。成形型及び蓋の表面には離型剤を付着させるなどの処理が施されることが好ましい。
【0065】
尚、硬化性組成物は歯科用硬化物を形成するために好適であるが、封止材料、接着剤、積層板形成材料等の電子材料用途にも適用可能である。
【実施例】
【0066】
[粉体の製造]
(粉体A)
酸素をキャリアガスとして用い、LPGを対酸素比(容量比)1.1で燃焼させて、約2000℃の火炎を発生させた。この火炎中に、平均粒子径2.0μmの天然珪石粉砕物(純度99.9%)を投入し、平均粒子径2.2μmの非晶質シリカ粒子を得た。この非晶質シリカ粒子100質量部に、硝酸カルシウム四水和物を4.2質量部(酸化物換算で1.00質量部)添加し、更にエタノールを加えて、ボールミルで30分間混合した。この混合物からエタノールを除去した後、1100℃で24時間熱処理を施すことで、粉体Aを得た。
【0067】
(粉体B)
硝酸カルシウム四水和物の添加量を2.1質量部(酸化物換算で0.50質量部)に変更したこと以外は、粉体Aの場合と同じ条件で、粉体Bを得た。
【0068】
(粉体C)
酸素をキャリアガスとして用い、LPGを対酸素比(容量比)1.1で燃焼させて、約2000℃の火炎を発生させた。この火炎中に、平均粒子径4.4μmの天然珪石粉砕物(純度99.9%)を投入し、平均粒子径4.9μmの非晶質シリカ粒子を得た。この非晶質シリカ粒子100質量部に、硝酸カルシウム四水和物0.8質量部(酸化物換算で0.20質量部)を添加し、更に蒸留水を加えて、ボールミルで30分間混合した。この混合物から蒸留水を除去した後、1100℃で24時間熱処理を施すことで、粉体Cを得た。
【0069】
(粉体D)
粉体Aの製造時において、火炎溶融法によって得られた、熱処理が施されていない平均粒子径2.2μmの非晶質シリカ粒子を、粉体Dとした。
【0070】
[粉体の評価]
(組成)
粉体A〜Dについて、蛍光X線法(JIS R2216「耐火れんが及び耐火モルタルの蛍光X線分析法」)による元素分析を行うことで、各粉体A〜D中の組成を定量した。
【0071】
(相対バックグラウンド高さ)
粉体A〜Dをガラス製ホルダに充填し、株式会社リガク製の自動X線回折装置(型番RINT2500)で各粉体A〜Dの粉末X線回折スペクトルを、CuのKα線を使用して測定した。得られた回折スペクトルを文献(Abraham Savitzky et.al., Analytical Chemistry, 36(8), 1627(1964))に記載されている方法により、ポイント数25の条件でスム−ジングした。次に、回折スペクトルのバックグラウンド部分を文献(Sonneveld, E. J and Visser, J. W., J.Appl. Cryst. 8, 1(1975))に記載された方法により、点数間隔40点、繰り返し回数32回の条件で抽出した。その結果に基づき、上記数式(1)に基づいて、粉体のバックグラウンド高さ(F)を算出した。
【0072】
一方、標準試料として標準アルミナ粉体(National Institute of Standard & Technology, Standard Reference Material 674a)を用い、この標準アルミナ粉体の粉末X線回折スペクトルを、粉体A〜Dの場合と同じ条件で測定した。更に、粉体A〜Dの場合と同じ方法で標準アルミナ粉体のバックグラウンド高さ(A)を算出した。
【0073】
上記のように算出された粉体A〜Dのバックグラウンド高さ(F)を、標準アルミナ粉体のバックグラウンド高さ(A)で除することで、粉体A〜Fの相対バックグラウンド高さ(F/A)を算出した。
【0074】
(平均粒子径)
粉体A〜DのD50(体積の累積が全累積体積の50%となる中位粒径)を、株式会社堀場製作所製の型番LA−920を用いてレーザー回折・散乱法により測定した。超音波を印加しながら、イオン交換水中に粒子を分散させ、分散液の透過率が80〜90%の状態で平均粒子径を測定した。測定に際し、相対屈折率は用いなかった。
【0075】
(真球度)
粉体A〜Dを、キーエンス社製のリアルサーフェースビュー顕微鏡(型番VF−7800)で観察し、得られた像から、任意の50個の粒子について、粒子投影断面の面積及びこの断面の周囲長を測定した。次いで、〔粒子投影断面の面積と同じ面積の真円の円周長〕/〔粒子投影断面の周囲長の測定値〕の値を、50個の粒子につきそれぞれ導出し、得られた値の平均値を、真球度とした。
【0076】
(屈折率)
各粉体A〜Dの屈折率を、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、B法(顕微鏡を用いる液浸法(ベッケ線法))により求めた。
【0077】
(結果)
以上の結果を下記表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
[実施例1〜5、比較例1]
(硬化性組成物及び硬化物の作製)
各実施例及び比較例では、下記表2に示す成分を攪拌混合することで、硬化性組成物を得た。尚、表2中のTEDMはトリエチレングリコールジメタクリレートを、PGA−HMUはジ(フェニルグリシジルエーテルアクリレート)−ヘキサメチレンジウレタンを、TMPTMはトリメチロールプロパントリメタクリレートを、BPOはベンゾイルパーオキサイドを、それぞれ示す。なお、粉体A〜Dには、配合前に予めシランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を噴霧した後に攪拌することで表面処理を施した。シランカップリング剤の使用量は、粉体60質量部に対して0.3質量部とした。
【0080】
実施例1,2,4〜5及び比較例1では、硬化性組成物をステンレス製の成形型(キャビティサイズ50mm×40mm×2mmと50mm×40mm×1mmの2種類)に充填し、減圧脱泡した後、この成形型にステンレス製の蓋を取り付けた。この状態で硬化性組成物を80℃で1時間加熱した後、120℃で1時間加熱することで硬化させて、硬化物を得た。
【0081】
実施例3では、ガラス板とステンレス製の枠から作製された成形型(キャビティサイズ50mm×40mm×2mmと50mm×40mm×1mmの2種類)に硬化性組成物を充填し、減圧脱泡後、この成形型にガラス製の蓋を取り付けた。この状態で硬化性組成物に向けて、歯科用光重合装置から365nmの強度が100mW/cmの紫外光を、成形型の片側のガラス面を介して5分間照射した後、成形型の反対側のガラス面を介してを5分間照射した。これにより硬化性組成物を硬化させ、硬化物を得た。
【0082】
各実施例及び比較例で得られた硬化物から試験片を切り出し、この試験片の評価試験を下記の方法で行った。
【0083】
(曲げ強さ試験(常態))
試験片の寸法を25mm×2mm×2mmとし、この試験片の破断時の強度を、曲げ試験機を用いて、クロスヘッドスピード毎分1mmで測定した。各実施例及び比較例において5個の試験片について測定し、その結果の平均値で評価した。この値は硬化物の強度の代表値となる。
【0084】
(曲げ強さ試験(水浸漬後))
試験片の寸法を25mm×2mm×2mmとし、この試験片をまず37℃の水中に24時間浸漬した。次にこの試験片の破断時の強度を、曲げ試験機を用いて、クロスヘッドスピード毎分1mmで測定した。各実施例及び比較例において5個の試験片について測定し、その結果の平均値で評価した。この値は硬化物の耐久性の代表値となる。
【0085】
(屈折率差)
各実施例及び比較例において、粉体A〜Dを配合することなく硬化性組成物を調製し、この硬化性組成物を硬化させて硬化物を得た。この硬化物の屈折率をJIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、A法(アッベ屈折計を用いる測定法)により求めた。各実施例及び比較例につき、この硬化物の屈折率と、粉体の屈折率との差を算出した。
【0086】
(透明性試験)
試験片の寸法を13mm×13mm×1mmとした。この試験片に、厚みが0.8mmになるまでバフ研磨を施した。この試験片の、空気層の全光線透過率を100%とした全光線透過率を、ヘイズメーターで測定した。各実施例及び比較例において3個の試験片について測定し、その結果の平均値で評価した。この値は硬化物の審美性の代表値となる。
【0087】
(評価結果)
以上の結果を下記表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
各実施例で得られた硬化物は、充分な強度、耐久性及び審美性を発現した。これらの硬化物は、歯科用の歯冠材料、補綴材料、人口歯などの歯科用材料として使用した場合に、天然歯の代替材料として優れた特性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粉体と重合性単量体を含有する硬化性組成物であって、前記無機粉体は球状結晶制御粉体を含み、前記球状結晶制御粉体は二酸化ケイ素の含有量が97質量%以上100質量%以下であり且つ非晶質部分と結晶質部分とが混在してなり、前記球状結晶制御粉体を除いた成分のみを硬化させた場合に得られる硬化物と、前記球状結晶制御粉体との屈折率差が、0.05以下である硬化性組成物。
【請求項2】
前記球状結晶制御粉体の屈折率が1.48〜1.60の範囲である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記球状結晶制御粉体の、X線回折スペクトルにおける相対バックグラウンド高さが3〜10である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記球状結晶制御粉体の平均粒径が0.01〜50μmの範囲である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記球状結晶制御粉体が、火炎溶融法によって得られた非晶質の球状粒子を加熱処理して部分的に結晶化させることによって得られたものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
更に、重合触媒を含有し、前記球状結晶制御粉体の含有量が5〜95質量%の範囲である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記重合性単量体がアクリレート系モノマーとメタクリレート系モノマーのうち少なくとも一方を含み、前記球状結晶制御粉体の含有量が55〜95質量%の範囲である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られる歯科用硬化物。