説明

硬貨入出金装置およびプログラム

【課題】複数種の金種に在高異常が発生しているときに、何れの金種に在高異常が発生したかを判別できない。
【解決手段】一実施形態によれば、識別部と、収納庫を有する収納部と、選別部と、収納計数センサと、各収納計数センサが検知した硬貨枚数および金種を対応付けた在高情報を記憶する記憶部と、必要枚数の硬貨を搬出して硬貨払出口へ送る払出部と、硬貨の金種が硬貨払出指令により指定された金種であるかどうかを検知する複数の払出センサと、払出センサ及び収納計数センサが異常を検知した金種に対応させて在高異常の警告フラグを在高情報に書込むコントローラとを備え、コントローラは警告フラグにより金種毎に在高異常を報知することを特徴とする硬貨入出金装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は硬貨入出金装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
釣銭機は入金された硬貨を識別し、金種別に硬貨を収納する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
釣銭機は、上位装置からの釣銭の硬貨払出指令を受けると、硬貨収納部から釣銭額に相当する硬貨を払出口に払出す。入出金動作時、硬貨が搬送の勢いにより収納されるべき収納庫を通り過ぎて別の収納庫に収納されることがある。釣銭機にはキズや変形のある硬貨が投入され、異物が混入することがあり、硬貨の詰まりを生じることがある。またセンサ検知面の汚れによって通過する硬貨を検出できないというセンサ異常が起きることがある(例えば特許文献2参照)。これらの誤選別や硬貨の詰まりやセンサ異常といった釣銭機エラーが起こった場合、釣銭機では内部の在高が間違っている可能性がある。在高とは釣銭機内部の記憶部に記憶された硬貨の現在高データを指す。釣銭機は釣銭機エラーを画面表示し、在高異常警告フラグというデータを記憶部にセットする。
【0004】
定時刻や閉店時などに、決済の担当者であるキャッシャは釣銭機から硬貨を回収する。キャッシャは操作パネルのキーを操作し釣銭機に在高を表示させる。在高の問合わせが発生すると、釣銭機は記憶部を読む。在高異常警告フラグがセットされているとき、釣銭機は在高異常の警告表示を行い、収納庫の硬貨を全て回収して在高を正常に戻すように促すようにしている(例えば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2970007号明細書
【特許文献2】特開平11−219467号公報
【特許文献3】特開2005−149064号公報
【特許文献4】特開2010−257323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、例えば6種類の金種のうちのどの金種に在高異常が発生したかを釣銭機は判別することができない。2種類あるいは全ての金種に在高異常が発生している可能性がある。釣銭機は装置全体として在高異常が発生したことを警告する。何れの金種の収納庫に金種の異なる硬貨が混入したかを特定できない。また、異常状態を解除するためには、キャッシャは全ての金種の硬貨を回収しなければならない。収納庫の硬貨を全て回収することには時間がかかる。回収袋や回収カセットを用いて全回収することは、同じ釣銭機エラーが再発する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、投入口より送られた硬貨の金種を識別する識別部と、この識別部が識別する前記金種別に設けられ、それぞれ硬貨払出口に連通する複数の収納庫を有する収納部と、前記複数の収納庫の何れかを前記識別部の識別結果により選別して前記収納庫に前記硬貨を搬送収納する選別部と、この選別部および前記各収納庫間に設けられ、前記識別部が識別した前記金種の硬貨が前記収納庫に収納されたかどうかを検知する収納計数センサと、各収納計数センサが検知した硬貨枚数および前記金種を対応付けた在高情報を記憶する記憶部と、この記憶部の前記在高情報とは独立した硬貨払出指令に応じて前記収納部に金種別に収納された硬貨の中から必要枚数の硬貨を搬出して前記硬貨払出口へ送る払出部と、この払出部が前記硬貨払出口へ送る前記硬貨の金種が前記硬貨払出指令により指定された金種であるかどうかを検知する前記各収納庫に設けられた払出センサと、これらの払出センサおよび収納計数センサが異常を検知した前記金種に対応させて在高異常の警告フラグを前記在高情報に書込むコントローラと、を備え、このコントローラは、前記警告フラグにより前記金種毎に前記在高異常を報知することを特徴とする硬貨入出金装置が提供される。
【0008】
また、別の一実施形態によれば、コンピュータに、釣銭機エラーの発生を検知する機能と、金種別に設けられた複数の収納庫に収納された硬貨の枚数およびこの金種を対応付けた在高情報を記憶する記憶部に、前記金種に対応させて在高異常の警告フラグを書込む機能と、ユーザに対する情報の表示を行うタイミングにおいて、この警告フラグを前記金種毎に報知する機能とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係る硬貨入出金装置の斜視図である。
【図2】一実施形態に係る硬貨入出金装置の識別部、収納部及び選別部を含む内部構造を示す平面図である。
【図3】一実施形態に係る硬貨入出金装置の収納部及び選別部を含む縦断面図である。
【図4】一実施形態に係る硬貨入出金装置の投入口と払出口とを拡大して示す上面図である。
【図5】(a)は一実施形態に係る硬貨入出金装置に用いられる在高情報の一例を示す図であり、(b)は記憶部に設けられる払出枚数カウンタの一例を示す図である。
【図6】一実施形態に係る硬貨入出金装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】一実施形態に係る硬貨入出金装置の収納庫内の硬貨待機部分を示す縦断側面図である。
【図8】(a)〜(h)は何れも一実施形態に係る硬貨入出金装置の報知画面の表示例を示す図である。
【図9】一実施形態に係る硬貨入出金装置による在高異常警告フラグの書込み処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】一実施形態に係る硬貨入出金装置に異常が発生したときの報知画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る硬貨入出金装置およびコンピュータプログラムについて、図1乃至図10を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
一実施の形態に係る硬貨入出金装置は自動釣銭機である。この自動釣銭機はPOS(Electronic Cash Register)端末やECR(Point Of Sales)機器といった上位装置(ホスト)と連動して入金動作及び出金動作を行うものである。
【0012】
図1は自動釣銭機の斜視図である。図2は自動釣銭機の識別部、収納部及び選別部を含む内部構造を示す平面図である。図3は収納部及び選別部を含む自動釣銭機の縦断面図である。これらの図において同じ符号を有するものは互いに同じ要素を表す。自動釣銭機10は、硬貨の入出金を行う入出金ユニット11と、この入出金ユニット11を収容するケース12とを備えている。
【0013】
入出金ユニット11は、本体前部の投入口13からの硬貨を一枚ずつ分離して出力する硬貨受入部14と、硬貨受入部14より送られた硬貨の金種を識別する識別部15と、金種別に設けられそれぞれ払出口16に連通する収納庫17−1、17−2、17−3、17−4、17−5、17−6を有する収納部17と、これらの収納庫17−1〜17−6の何れかを識別部15の識別結果により選別し収納庫17−1〜17−6の何れかに硬貨を搬送収納する選別部18と、硬貨を硬貨受入部14から識別部15及び選別部18へ搬送する搬送機構19とを備えている。
【0014】
更に入出金ユニット11は、選別部18及び各収納庫17−1〜17−6間に設けられ識別部15が識別した金種の硬貨が収納庫17−1〜17−6に収納されたかどうかを検知する収納計数センサ23と、各収納計数センサ23が検知した硬貨枚数及び金種を対応付けた在高情報テーブル24(在高情報)を記憶する記憶部25と、記憶部25に記憶された在高情報とは独立し上位装置より受信した硬貨払出指令に応じて収納部17に金種別に収納された硬貨の中から必要枚数の硬貨を搬出して払出口16へ送る硬貨払出部20(払出部)と、硬貨払出部20が払出口16へ送る硬貨の金種が硬貨払出指令により指定された金種であるかどうかを検知する各収納庫17−1〜17−6の出口側に設けられた払出センサ21と、払出センサ21及び収納計数センサ23が異常を検知した金種に対応させて在高異常の警告フラグを在高情報テーブル24に書込むコントローラ26とを備えている。このコントローラ26は警告フラグにより金種毎に在高異常を報知するようにしている。
【0015】
図4は自動釣銭機10の投入口13と払出口16とを拡大して示す上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨受入部14は、投入口13より投入され傾斜面から滑り落ちるまとまった枚数の硬貨を搬送する投入ベルト27と、この投入ベルト27を回す投入モータ28と、投入ベルト27よりも硬貨搬送方向下流側に設けられ搬送される複数枚の硬貨を一枚ずつ分離して送出す投入プーリ29と、それぞれ投入された硬貨の存在を、照射光を光電的に検知することにより検出する複数例えば2組の投入センサ30とを備えている。
【0016】
また、識別部15は、図2に示すように、搬送面を搬送される硬貨の材質や直径を検出し、検出値をコントローラ26に出力するものである。識別部15は例えば磁気センサを用いる。磁気センサによる検出は、硬貨内部を貫く磁束の数が金種毎に異なること、及び磁束の数は直径に応じて異なるという特性を用いたものである。この磁気センサは硬貨の内部を通る磁束の本数あるいは本数の変化を検出し、検知値を出力するようにしている。識別部15は、材質や直径に加えて、硬貨の孔の有無や、硬貨の厚さ、硬貨の光の反射率、硬貨の凹凸形状のうちの何れか一つ以上を検知してもよい。
【0017】
収納部17の収納庫17−1〜17−6は図3に示すようにそれぞれ板72の側面によって間仕切りされた空間である。例えば収納庫17−1の装置幅方向の空間幅は、この収納庫17−1に収納される硬貨の直径よりも大きくされている。装置幅方向とはケース12の正面に向かって左右方向を指す。例えば収納庫17−1の空間幅は収納される硬貨の直径にその硬貨の厚さを加えた寸法幅よりは狭くされている。収納庫17−1の装置幅方向には、硬貨面を水平にした状態の硬貨が一枚のみ収納されるようにされている。収納庫17−1は硬貨が挟まれて詰まらないようにして払出ベルト38のベルト面上に落下させるようにしている。収納庫17−1は複数枚の硬貨を水平な状態で上下に重ねてこれらの硬貨をベルト面上に貯留するようにしている。収納庫17−2〜17−6も収納庫17−1の例と実質同じであり、それぞれ異なる空間幅を有する。
【0018】
選別部18(図2)は、プレート状の選別ベース31と、この選別ベース31のプレート面に硬貨を押し付けながら搬送するための選別ベルト32と、この選別ベルト32に回転の駆動力を与える搬送モータ45と、選別ベルト32に設けられ硬貨に下方へ向かう付勢力を与える図示しない付勢部材とを備えている。
【0019】
選別ベース31の装置幅方向の寸法は、収納部17のそれとほぼ等しい。この選別ベース31に6個の選別孔22が貫通形成されている。選別孔22は、これらの選別孔22の孔寸法が硬貨搬送方向の下流に向かうに従って順次拡大するように設けられている。孔寸法とはこの硬貨搬送方向と直交する方向にとった寸法を指す。この孔寸法は、右から左に向かって1円、50円、5円、100円、10円及び500円の各金種の硬貨径に対応している。各選別孔22は、各収納庫17−1〜17−6に連通しており、選別ベルト32が搬送する硬貨はこの硬貨に対応する選別孔22から落下するようになっている。
【0020】
選別ベルト32は、ゴム製の無端ベルトであり、一対のプーリ33、34間に掛渡されて折返し走行を行えるようにされている。駆動用のプーリ33は搬送モータ45の駆動によって回される。プーリ34はプーリ33とともに等速回転する従動プーリである。プーリ33、34の等速回転により選別ベルト32が等速回転する。搬送モータ45が等速度回転する制御によって、コントローラ26は識別部15の測定時間や、リジェクト孔37の開駆動のタイミングを調節している。
【0021】
搬送機構19は、硬貨受入部14の出口側に設けられた搬送ベース35と、この搬送ベース35上で硬貨を搬送する無端状の搬送ベルト36と、それぞれこの搬送ベルト36が巻掛けられる図示しない複数個のプーリとを有する。搬送機構19は、選別ベルト32を介してプーリを回す駆動力を与えられ、この駆動力によって搬送ベルト36を走行させるようにしている。搬送機構19は投入ベルト27(図4)から出力された硬貨を、搬送ベルト36と搬送ベース35とにより挟みつつ、搬送面上に押し付けながら搬送し、硬貨を選別部18へ渡すようになっている。また、搬送機構19は、搬送ベース35上の硬貨搬送方向下流側に、硬貨を落下させるリジェクト孔37を有する。識別部15が正貨でないと識別した硬貨は、硬貨搬送経路上の図示しないシャッタが開駆動されリジェクト孔37から排出されるようになっている。搬送機構19は硬貨搬送方向の下流の選別部18に対しては正貨のみを送るようにしている。
【0022】
6個の収納計数センサ23は遮光式センサであり、一対の発光素子及び受光素子を有する。各収納計数センサ23は選別ベース31の搬送面とは反対側の裏面に取付けられている。各収納計数センサ23は各選別孔22の周縁から離れた位置に取付けられている。収納計数センサ23が発光している光ビームを、落下している硬貨が遮蔽すると、収納計数センサ23は、コントローラ26へ検知信号を通知するようにしている。
【0023】
記憶部25は不揮発性のメモリである。図5(a)は在高情報テーブル24の一例を示す図である。在高情報テーブル24へはコントローラ26がリード、ライトする。在高情報テーブル24には金種ごとに、識別部15が検知した在高枚数が書込まれるようになっている。この記憶部25は払出し金額に一致するように算出された硬貨払出し枚数を金種別に計数する払出枚数カウンタ70も有する。図5(b)に払出枚数カウンタ70の一例を示す。
【0024】
また、硬貨払出部20は、図3にその一つが示されるように、収納庫17−1〜17−6の底部に無端状の払出ベルト38を備えている。6本の払出ベルト38の何れか一つ以上が選択駆動されるようにされている。各払出ベルト38は、駆動プーリ39、従動プーリ40及びアイドラプーリ41に支持されている。例えば払出モータ66には6個のクラッチが設けられており、これらのクラッチの外周にそれぞれ駆動プーリ39が取付けられている。払出モータ66が選択的に1又は複数個の駆動プーリ39を回すと、払出ベルト38は回転走行する。払出ベルト38は、収納部17の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
【0025】
更に硬貨払出部20は、収納部17の出口に配設されたリバースローラ42、払出シャッタ43、払出ソレノイド44を備えている。リバースローラ42は、払出ベルト38による硬貨の払出を一枚ずつに分離する分離ローラである。リバースローラ42は全ての金種の出口部をこれらの金種毎に横断するように設けられている。リバースローラ42の外周面と、払出ベルト38のベルト面とのギャップは一枚の硬貨の厚さ程度の寸法を有する。リバースローラ42の回転方向と、払出ベルト38の回転方向とが同じ方向にされると、ギャップを隔てて上側のベルト面と、下側のベルト面とが逆方向にすれ違うことにより、硬貨が一枚だけ分離されるようになっている。払出シャッタ43は、払出ソレノイド44によって開閉駆動される。払出シャッタ43は、閉状態では硬貨を待機させる。払出シャッタ43は、開状態では払出ベルト38に硬貨の払出を行わせる。払出ベルト38の走行方向の前端部に、硬貨払出部20は、硬貨の送り先を切替えるための壁体46を設けている。壁体46は硬貨の搬送経路を、払出口16と、回収用の図示しない回収袋等との何れかに切替えるための部材であり、傾斜面の角度を変更させることを可能にされている。
【0026】
払出センサ21はこの払出シャッタ43よりも硬貨搬送方向で下流側に設けられている。この払出センサ21は遮光式の光学的センサである。硬貨払出部20は搬送された硬貨の材質を検知する材質判定センサ71を有する。材質判定センサ71は払出ベルト38の回転によって送られてくる硬貨の金種を検知する磁気センサである。
【0027】
図4に示すように硬貨払出部20は、払出センサ21よりも排出方向下流側に開口47を有する。この開口47から出金される硬貨は、払出口16の斜面48を滑り落ちるようになっている。硬貨払出部20は、トレイ状に湾曲する払出口16に硬貨が残留することを検出するための残留硬貨光検出部49を有する。この残留硬貨光検出部49は、硬貨が溜まる受け皿である滑走面50と、この滑走面50の周囲から傾斜して起立した外装面部51と、それぞれこの外装面部51に切欠き形成された複数のスリット52と、これらのスリット52を介して光ビームを発光する複数の発光素子53と、これらの発光素子53からの光ビームを検知する複数の受光素子54とを備えている。発光素子53及び受光素子54はともに外装面部51よりも内側のスペースに設けられコントローラ26と電気的に接続されている。
【0028】
自動釣銭機10の前部には、表示器55と、複数のキーを有する操作パネル56とが設けられている。表示器55はLCD(液晶ディスプレイ)であり、自動釣銭機10の在高や状態及び警告メッセージ等を表示する。操作パネル56は、金種別の個別回収や全ての金種の一括回収などのローカル操作を行うためのキー番号1〜4を持つパネルキーを有する。操作パネル56はキャッシャに自動釣銭機10の状態を切替え操作のインターフェースとして機能する。
【0029】
コントローラ26は、在高を管理すること、POS端末から払出し指令を受けること、詰まりなどの異常の発生の有無を監視すること、及び異常発生時には在高情報テーブル24に在高異常の警告フラグを書込むことを実行している。コントローラ26は収納計数センサ23からの検知結果によりの在高情報テーブル24のように枚数を登録する。コントローラ26は在高情報テーブル24の在高のみを監視して自動釣銭機10内部の在高として管理するようにしており、自動釣銭機10がいくら預かったという情報をコントローラ26はPOS端末に通知する。コントローラ26は、POS端末から金種と、その金種の硬貨の必要な枚数とを受けている。また、コントローラ26は、入金処理について、収納計数センサ23からの検知結果により在高情報テーブル24の硬貨枚数の正否を判断しており、入金に対して収納計数センサ23が反応しないと在高異常の警告フラグを生成するという異常処理を行う。コントローラ26は、出金処理について、払出センサ21や材質判定センサ71の検知結果により、実際に払い出される硬貨の金種及び枚数が、POS端末から受信した払出し指令に含まれている金種及び枚数であるか否かを判断する。コントローラ26は指定された金種あるいは枚数に対して払出センサ21が反応しないと警告フラグを生成する。
【0030】
図6は自動釣銭機10の電気的接続を示すブロック図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。自動釣銭機10は、演算用のCPU(Central Processing Unit)57と、プログラム等の固定的データが予め記憶されたROM(Read Only Memory)58と、各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)59とがバス60を介して接続されている。バス60には、センサ類61からの信号を入力する入力ポート62が接続されている。センサ類61とは、投入センサ30、収納計数センサ23、払出センサ21、材質判定センサ71、識別部15(材質センサ、直径センサ)を指す。ROM58は、コンピュータに、釣銭機エラーの発生を検知する機能と、在高情報テーブル24に金種に対応させて警告フラグを書込む機能と、ユーザに対する情報の表示を行うタイミングにおいて、この警告フラグを金種毎に報知する機能とを実行させるコンピュータプログラムを記憶する。バス60には、リジェクトソレノイド64や、払出ソレノイド44等に駆動信号を出力する出力ポート63が接続されている。
【0031】
更にバス60には、POS端末と電気的に接続する通信インターフェース65と、投入モータ28、搬送モータ45、払出モータ66等のモータ類を個別に駆動制御するモータ駆動制御部67と、操作パネル56に接続されて操作キーから入力されるキー信号を取込むとともに表示器55にデータを表示させる操作パネル制御部68とが接続されている。これらの各部は、プログラムに従ってCPU57によって駆動制御される。
【0032】
このような構成の自動釣銭機10に対して、キャッシャは硬貨を補充し、予め実際在高を確認する。この自動釣銭機10はPOS端末に接続されて使われる。店員は操作パネル56を操作し、コントローラ26は売上げ登録処理を開始する。POS端末は店員による操作によって顧客が買上げる商品の売上げ登録を行う。POS端末の登録処理後、店員が硬貨を預かりコイントレイ上に一旦預かり硬貨を置く。店員の操作によってPOS端末は、預かり金額から商品金額を減額する釣銭演算を行う。POS端末は、釣銭データを自動釣銭機10に送出する。自動釣銭機10は釣銭相当の金銭を自動的に払出す。店員は、客が支払った預かり硬貨を自動釣銭機10に投入し釣銭として循環利用する。
【0033】
正常時の動作について述べる。
【0034】
取引の発生によって投入口13に硬貨が投入されると、この硬貨を投入センサ30が検出する。投入センサ30の検出信号の受信によりコントローラ26は、投入ベルト27、搬送ベルト36及び選別ベルト32をそれぞれ回し始める。硬貨は搬送ベース35上を搬送される。識別部15は硬貨の金種を判別する。硬貨が正貨でない場合、コントローラ26は、リジェクト孔37から、偽造硬貨やおもちゃの硬貨などが落下させる。また、選別部18は硬貨を選別ベルト32によって搬送し、硬貨を対応する選別孔22から落下させる。
【0035】
硬貨が正貨である場合、コントローラ26は硬貨を選別部18へ搬送する。コントローラ26は、硬貨の金種を在高情報テーブル24に書込む。コントローラ26は入金された硬貨の金種などの情報を、POS端末へ通知する。硬貨は収納庫17−1〜17−6の何れかに収納される。まとまった枚数の硬貨が収納庫17−1〜17−6に貯留する。コントローラ26は、これらの収納庫17−1〜17−6に貯留している硬貨を硬貨払出部20の排出経路上に待機させる。
【0036】
図7は収納庫17−1内の硬貨待機部分を示す縦断側面図である。収納庫17−1の内部構造が示されている。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。コントローラ26は硬貨待機部69に、数枚の硬貨Cが常に存在するように駆動プーリ39を制御している。駆動プーリ39により各硬貨を払出ベルト38上に一列に整列させて払出シャッタ43の手前で待機させている。収納庫17−2〜17−6の内部構造も図7の例と同じである。コントローラ26は金種毎に硬貨を一時的に停止させ、必要枚数の硬貨を短時間で送出すように待機させている。図8(a)は通常の待機状態での表示器55の表示例を示す図である。自動釣銭機10の状態が通常の待機状態である間、表示器55は何のメッセージも表示しない。
【0037】
操作パネル56は在高を表示するための在高キーを有する。店員は在高の確認をしようとするときこの在高キーを押す。コントローラ26は、在高情報テーブル24を読み、要求された金種の硬貨の在高を操作パネル制御部68へ送る。図8(c)は金種別の在高キー押下後の表示器55の表示例を示す図である。同図の例では、50円硬貨の在高は60枚であることが表示されている。操作パネル56を操作することによりサブメニュー画面を開くなどして、1円や500円など他の金種の在高を表示器55は表示する。全ての金種の在高をコントローラ26は表示器55に表示させてもよい。
【0038】
また、何れかの金種の硬貨を補充する必要が自動釣銭機10側に生じた場合、自動釣銭機10は店員に対して補充を要求する。コントローラ26は補充要求の旨を表示器55に表示する。図8(e)は硬貨の補充要求中の表示器55の表示例を示す図である。コントローラ26は例えば100円硬貨が不足した旨を店員に報知する際、在高情報テーブル24を読込み、この100円硬貨の在高を表示するのである。図8(c)の例では、人が自動釣銭機10に対して問合わせたときに金種毎の在高表示を自動釣銭機10は実行したが、図8(e)の例では、コントローラ26側から人に対して特定の金種の在高表示を行っている。他の金種の在高をコントローラ26は表示器55に表示させてもよい。硬貨の補充が自動釣銭機10に発生するタイミングとは、コントローラ26が在高情報テーブル24の何れかの硬貨の枚数が閾値よりも下がったことを検出した場合を指す。あるいはタイミングとは、コントローラ26から払出センサ21への開指令の送出に対してこの払出センサ21から硬貨検出信号を受けない場合を指す。
【0039】
また、何れか1種以上の金種の硬貨を回収する作業中において、自動釣銭機10は1種以上の金種別の在高表示を実行する。図8(g)は硬貨の回収中における表示器55の表示例を示す図である。同図の例では、100円硬貨を個別に回収しているときに、コントローラ26は、在高情報テーブル24を読む。コントローラ26は当該回収中の100円硬貨の在高を画面に表示する。他の金種の在高をコントローラ26は表示器55に表示させてもよい。キャッシャは決められた回収タイミングで硬貨を回収する。回収タイミングとは、一日の午前中又は午後の定時刻、閉店時、あるいは売上げ登録を中断し顧客との売上げ金種や釣銭情報の通信を行っていないときなどを指す。入出金ユニット11に回収袋又は回収カセットをキャッシャは取付ける。キャッシャは操作パネル56を操作する。一例として、コントローラ26は、硬貨払出部20の前端直下に回収袋が装着されたことを検知すると、壁体46の傾斜面を傾けて硬貨払出部20を駆動する。硬貨払出部20は収納部17の1種以上の金種の硬貨を搬送し始める。コントローラ26は在高情報テーブル24を読みに行く。コントローラ26は各金種の枚数情報を取得し、1又はそれ以上の金種の硬貨の枚数情報を表示器55に表示させる。
【0040】
図8(c)、図8(e)及び図8(g)の例のように、金種毎の在高が報知されるタイミングは、在高確認の時、補充時、硬貨の回収時であり、ユーザが所望するタイミングで全ての金種を個別に確認することができる。以上は正常時の表示タイミングの説明である。
【0041】
次に釣銭機エラーが発生したときの動作例について述べる。
【0042】
図9は警告フラグの書込み処理を説明するためのフローチャートである。自動釣銭機10は硬貨を待機させておく(ステップA1)。自動釣銭機10は顧客との間での金銭を授受するなどの決済作業を行う(ステップA2)。自動釣銭機10は、入金時の硬貨の誤選別、入金時の硬貨詰まり、出金時の硬貨詰まり、センサ異常などの釣銭機エラーが発生したかどうかを監視している(ステップA3)。ステップA3において釣銭機エラーが発生していない間、Noルートを通り、自動釣銭機10は釣銭機エラーの発生の有無を監視し続ける。一方、ステップA3において釣銭機エラーが発生すると、YESルートを通り、自動釣銭機10は、ステップA4に進み、当該金種の在高異常警告フラグを書込む。その後、ステップA5において、自動釣銭機10はエラーが発生した旨を表示器55に表示する。
【0043】
釣銭機エラーが発生した後、通常待機状態での表示例を図8(b)に示す。図8(b)は通常待機状態での表示器55の在高異常警告の表示例を示す図である。同図では、黒い四角形のマークの点灯又は点滅により在高異常警告を自動釣銭機10は報知する。例えば硬貨は勢い余って本来落下すべき選別孔22を飛び越して、別の選別孔22に落下することがある。本来遮光されるはずの収納計数センサ23がオンせず、本来遮光されないはずの別の収納計数センサ23がオンする。硬貨は収納部17のうちその硬貨が本来収納されるべき収納庫とは異なる別の収納庫に収納されることがある。コントローラ26は識別部15が識別した金種の収納庫に設けられた収納計数センサ23のセンサ出力を監視しており、例えばタイマ時間内に、当該収納計数センサ23から検知信号を受信しない場合、釣銭機エラーを検出する。コントローラ26は、在高情報テーブル24に金種に対応付けて在高異常の警告フラグを書込む。同時に表示器55にコントローラ26は例えば図10のような表示を行わせる。
【0044】
図10は釣銭機エラーの表示画面例を示す図である。操作パネル55の何れかを押すこと、エラー解除パスワードを入力させること、あるいはタイマ設定時間経過することなどの条件によりコントローラ26は画面表示を止め、図8(b)の表示を行わせる。このときにコントローラ26は表示器55に在高異常警告を表すマークを表示させる。
【0045】
また、図8(b)及び図10の表示画面をコントローラ26は硬貨の詰まりが発生したときにも表示器55に表示させる。例えば投入センサ30が投入口13に硬貨が投入されたことを検出したとする。検出後、設定時間を経過したときに、投入センサ30が硬貨の検知信号を出力している場合、コントローラ26は硬貨詰まりの発生を検出する。コントローラ26は硬貨詰まりの発生を判定すると、表示器55に詰まり発生あるいは在高異常警告を表すマークを表示させる。発生した詰まりは金種が識別される前における詰まりであるため、図8(b)のように、コントローラ26は金種の特定をせずに何れかの金種において在高異常が発生した旨だけを報知する。店員は詰まった硬貨を取除き、操作パネル56中のカウンタの修正用の操作キーを押す。コントローラ26は釣銭機エラー表示(図10等)を止める。
【0046】
また、硬貨搬送経路及び選別部18間で硬貨詰まりが有るか否かを収納計数センサ23によりコントローラ26は検索している。順次、コントローラ26は、収納部17、硬貨払出部20又は硬貨待機部69にそれぞれ硬貨詰まりが存在するか否かを順次検索する。これらの箇所で硬貨詰まりが発生した場合、コントローラ26は表示器55に釣銭機エラー表示を表示させる。この釣銭機エラー表示とは別に、コントローラ26は詰まりの発生した金種に対応する在高情報テーブル24のテーブルエントリ欄に在高異常の警告フラグを書込む。図5(a)のように、異常が発生したことがない金種のエントリは初期値‘OFF’をセットされた状態にある。異常が一回でも発生した金種のエントリについてコントローラ26は‘OFF’から‘ON’に書替える。店員は詰まった硬貨を取除き、修正キーを押すとコントローラ26は釣銭機エラー表示を止める。
【0047】
識別部15が例えば50円硬貨であることを識別した後、当該硬貨が詰まることは、自動釣銭機10内に違算の可能性を生じさせる。違算とは、在高情報テーブル24に記憶されている在高情報と、収納部17内の硬貨の実枚数との間の誤差を指す。詰まりが一回でも発生すると、在高が正確ではない可能性を自動釣銭機10は持つことになる。これは在高情報テーブル24によりコントローラ26は在高を管理しているからである。違算の発生要因が取除かれたことが明らかになるまで、過去の違算の履歴として警告フラグをコントローラ26は記憶部25に保持し続ける。コントローラ26は金種ごとに警告フラグを在高情報テーブル24に書込む。異常が発生した後、この警告フラグは違算を予告する違算予告フラグとしても機能する。
【0048】
また、何れかの箇所で硬貨詰まりが発生した場合、人がケース12などを外して詰まった硬貨を取除く。この時、誤って選別孔22に硬貨が落下すると収納計数センサ23が反応する。コントローラ26は搬送した硬貨の金種に在高情報テーブル24上で警告フラグを付す。データ上、当該金種は依然として警告フラグが付いたままの状態にされる。
【0049】
ここで店員が50円硬貨について在高の確認をすべく在高キーを押す。コントローラ26は、在高情報テーブル24を読み、警告フラグ、及び要求された金種の硬貨の在高を取得する。表示器55は図8(d)のように表示する。図8(d)は異常が発生した後に、在高確認キーを操作したときの画面表示例を示す図である。表示器55は、50円硬貨の在高は60枚であること、及び在高表示要求のあったこの50円硬貨については違算の可能性が存在することを表示する。金種別に違算を起こす可能性を人が知ることができる。例えば100円と識別された硬貨が詰まってフラグがセットされた状態では、100円硬貨の在高を人が確認すると、100円硬貨の在高と、違算の可能性とが報知される。また、全ての金種の在高と、釣銭機エラーが発生した1又は複数種の金種とを対応付けてコントローラ26は表示器55に表示させてもよい。
【0050】
また、出金側で硬貨払出しの時に異常が発生する場合、コントローラ26は払出ベルト38とリバースローラ42とにより収納部17から、全ての金種について硬貨待機部69に必要枚数の硬貨を送る。コントローラ26がPOS端末より硬貨払出指令を受信する。コントローラ26は金種毎に必要枚数の硬貨を送出す。コントローラ26は金種毎の払出センサ21からの信号を監視している。コントローラ26は該当する払出センサ21からの硬貨検出信号を受信すると、硬貨が払出センサ21の検出領域を通過したことを判断し、在高情報テーブル24の当該金種の値を減らす。コントローラ26は図5(b)の払出枚数カウンタ70の当該金種の枚数を1減らす。コントローラ26は金種に対応する材質判定センサ71の検知出力から搬送した硬貨の材質が正当なものか否かを判定する。材質が異常であると判定した場合、コントローラ26は表示器55に釣銭機エラー表示を表示させる。コントローラ26は当該金種の払出枚数カウンタ70を1だけ増やし払出枚数カウンタ70の値を修正する。コントローラ26は硬貨の払出しの際、異常が発生した金種に対応付けて在高情報テーブル24に警告フラグを書込む。
【0051】
また、硬貨払出指令による払出しを実行するときに、硬貨が硬貨待機部69を通過した後、残留硬貨光検出部49が詰まりを検出した場合、コントローラ26は表示器55に釣銭機エラー表示を表示させる。詰まりは、コントローラ26がリバースローラ42を正方向と逆方向とに回すことを繰返すリトライ処理を数回実行することによって検出される。また、コントローラ26は詰まりの発生した金種に対応付けて在高情報テーブル24に警告フラグを書込む。店員が50円硬貨について在高の確認のため、在高キーを押すと、コントローラ26は在高情報テーブル24を読む。表示器55は図8(d)の例と同じように表示する。
【0052】
また、釣銭機エラーの発生時や在高確認時とは別に、硬貨の補充の必要を自動釣銭機10が挙げるときに、金種別の在高異常警告を行ってもよい。補充のため、店員は操作パネル56を操作する。警告フラグが在高情報テーブル24に記憶されていない金種については、図8(e)の例と同様である。一方、在高情報テーブル24に警告フラグがセットされた金種についての表示例を図8(f)に示す。図8(f)は警告フラグが残っているときの硬貨補充要求中の表示器55の表示例を示す図である。100円硬貨が不足したことをコントローラ26が検知すると、コントローラ26は警告フラグが100円のエントリに書込まれていることを取得する。コントローラ26側から人に対して100円の硬貨の補充を促す表示を行うとともに、在高異常警告を表示器55に表示させる。
【0053】
また、何れか1種以上の金種の硬貨を回収するときにおいても、コントローラ26は、回収中の硬貨の在高を表示器55に表示させ、在高異常警告を画面表示させる。警告フラグが在高情報テーブル24に記憶されていない金種については、図8(g)の例と同様に、個別回収時、在高異常警告は表示されない。一方、例えば100円硬貨に警告フラグがセットされているとする。図8(h)は警告フラグがセットされているときの硬貨の回収中における表示器55の表示例を示す図である。100円硬貨を個別に回収しているときに、コントローラ26は、100円について在高異常警告を画面表示する。
【0054】
図8(d)、図8(f)及び図8(h)の例のように、自動釣銭機10は金種毎の在高が報知されるタイミングにおいて、在高異常警告を報知することができる。
【0055】
人が在高確認の操作をしたとき、自動釣銭機10に補充が必要なとき、及び人が自動釣銭機10に回収動作をさせているときの各動作時において、在高異常が発生している場合、金種毎に異常の可能性が有るかを一緒に知らせることができるようになる。定期的に回収を行う時間や、自動釣銭機10の動作モードを変えるときなど、コントローラ26は在高情報テーブル24を読込むため、キャッシャはすぐに状況を把握できる。
【0056】
また、コントローラ26による在高情報テーブル24の金種の警告フラグを解除するタイミングは、自動釣銭機10から当該金種の硬貨を全て回収し終えたときである。具体的には全ての硬貨が排出されたか否かを、コントローラ26は残留硬貨光検出部49の出力を見る。コントローラ26は、何度かリトライ処理を実行し、残留硬貨光検出部49が硬貨を検知しない場合、警告フラグをクリアする。コントローラ26が回収されたと判定する。仮に釣銭準備金として警告フラグが付された金種の硬貨を残すと、その残された硬貨の中に他の金種の硬貨が混入するなど異常を除去できない可能性がある。コントローラ26は、収納庫17−1〜17−6の何れかが空になるまで硬貨を全部払出してから、その部屋についての異常を解除する。
【0057】
以上説明したように、自動釣銭機10は、釣銭機エラーが発生した場合に、在高を正常に戻す機能を有する。自動釣銭機10の入出金動作中に硬貨詰まりなどの釣銭機エラーが発生すると、自動釣銭機10はエラー報知を行う。キャッシャはまず釣銭機内部を確認して詰まりを排除した後、エラー状態を解除する。また、エラーによって釣銭機内部の在高が間違っている可能性がある。このため、キャッシャはキー番号1〜4の操作キーをそれぞれ押下して、どの金種で在高異常警告が発生したかを表示器55を見ることにより確認する。また、POS端末は警告フラグのステータスをリードし、在高異常警告の金種を確認することもできる。在高異常警告を付された金種については、キャッシャはその金種の硬貨のみを個別回収で回収し、データ上で在高異常警告を解除し、在高を正常の状態に戻す。
【0058】
各収納庫17−1〜17−6から収納されている硬貨を全て回収することは時間がかかる。一般に全回収を行う際には、回収袋や回収カセットといった装備品をキャッシャは自動釣銭機10にセットする必要がある。これらの回収袋等によって、全ての金種の硬貨が同時に同じ場所に回収される。例えば100円硬貨が5円の収納庫に入った場合、5円硬貨を個別回収することにより、異常の原因が100円硬貨の混入であったということを特定することは可能である。ところが、全ての金種の硬貨を同時に同じ場所に回収することは、どの金種のどの硬貨が異常の原因であったことを判別できない。回収袋等を用いてキャッシャが全回収を行ってデータ上で在高異常を解除したとしても、回収袋等を用いると混入した硬貨を取除けない。キャッシャが在高異常を解除したとしても、混入した硬貨を排除せずに回収された硬貨を再び入金すると、同じ釣銭機エラーが発生することがある。
【0059】
本実施形態では、自動釣銭機10が在高異常の警告フラグを金種別に有し、表示器55が表示画面によりどの金種で在高異常の可能性があるかを人が分かるようになる。更に、金種別の在高異常の警告表示は金種別の回収操作によって、当該金種の在高枚数が0枚になったときにも解除できるようにする。
【0060】
このようにすることで、当該金種の判別が可能な釣銭機エラー(入金時の誤選別や出金時の硬貨詰まり、センサ異常など)が発生した場合、該当する金種のみの硬貨を受け皿などに回収することにより在高異常を解除することができる。また釣銭機エラーの原因となった硬貨があるときには、より簡単にその硬貨を探すことができる。釣銭機エラーが発生したときに、エラーとなった金種のみ回収することで、在高を正常に戻すことができる。
【0061】
また、このようにして、自動釣銭機10は、入出金動作にてエラーが発生した場合に金種毎に在高異常がある可能性を認識し、金種別の在高異常警告フラグを有する。自動釣銭機10は、金種別に有する在高異常警告フラグを表示器55に表示できる。自動釣銭機10は、金種別回収(個別回収)により、金種別に有する在高異常警告フラグを解除できる。
【0062】
上記実施形態では、図3の壁体46の構造や、回収袋、回収カセットの装着の仕方は一例であり、これらの形状、構造、回収の仕方は種々変更可能である。これらを変更して実施したに過ぎない実施品に対して本実施形態に係る硬貨入出金装置の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
10…自動釣銭機(硬貨入出金装置)、11…入出金ユニット、12…ケース、13…投入口、14…硬貨受入部、15…識別部、16…硬貨払出口、17…収納部、17−1、17−2、17−3、17−4、17−5、17−6…収納庫、18…選別部、19…搬送機構、20…硬貨払出部(払出部)、21…払出センサ、22…選別孔、23…収納計数センサ、24…在高情報テーブル(在高情報)、25…記憶部、26…コントローラ、27…投入ベルト、28…投入モータ、29…投入プーリ、30…投入センサ、31…選別ベース、32…選別ベルト、33,34…プーリ、35…搬送ベース、36…搬送ベルト、37…リジェクト孔、38…払出ベルト、39…駆動プーリ、40…従動プーリ、41…アイドラプーリ、42…リバースローラ、43…払出シャッタ、44…払出ソレノイド、45…搬送モータ、46…壁体、47…開口、48…斜面、49…残留硬貨光検出部、50…滑走面、51…外装面部、52…スリット、53…発光素子、54…受光素子、55…表示器、56…操作パネル、57…CPU、58…ROM、59…RAM、60…バス、61…センサ類、62…入力ポート、63…出力ポート、64…リジェクトソレノイド、65…通信インターフェース、66…払出モータ、67…モータ駆動制御部、68…操作パネル制御部、69…硬貨待機部、70…払出枚数カウンタ、71…材質判定センサ、72…板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口より送られた硬貨の金種を識別する識別部と、
この識別部が識別する前記金種別に設けられ、それぞれ硬貨払出口に連通する複数の収納庫を有する収納部と、
前記複数の収納庫の何れかを前記識別部の識別結果により選別して前記収納庫に前記硬貨を搬送収納する選別部と、
この選別部および前記各収納庫間に設けられ、前記識別部が識別した前記金種の硬貨が前記収納庫に収納されたかどうかを検知する収納計数センサと、
各収納計数センサが検知した硬貨枚数および前記金種を対応付けた在高情報を記憶する記憶部と、
この記憶部の前記在高情報とは独立した硬貨払出指令に応じて前記収納部に金種別に収納された硬貨の中から必要枚数の硬貨を搬出して前記硬貨払出口へ送る払出部と、
この払出部が前記硬貨払出口へ送る前記硬貨の金種が前記硬貨払出指令により指定された金種であるかどうかを検知する前記各収納庫に設けられた払出センサと、
これらの払出センサおよび収納計数センサが異常を検知した前記金種に対応させて在高異常の警告フラグを前記在高情報に書込むコントローラと、を備え、
このコントローラは、前記警告フラグにより前記金種毎に前記在高異常を報知することを特徴とする硬貨入出金装置。
【請求項2】
前記コントローラによる報知のタイミングは、前記複数の収納庫内の在高を前記金種毎に確認するときであることを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
前記コントローラによる報知のタイミングは、前記複数の収納庫に収納されている硬貨を個別に回収するときであることを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項4】
前記コントローラによる報知のタイミングは、前記収納計数センサおよび前記払出センサの何れかが前記異常を検知したときであることを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記警告フラグに当該硬貨の収納枚数を対応付けて表示器に表示させることを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記硬貨入出金装置の動作状態を、商品についての売上げ登録処理を行う状態と、在高確認処理を行う状態との間で動作させており、前記コントローラは、これらの状態の間で、前記在高異常の旨を、表示器の画面上の同じ位置に表示させ、あるいは同じマークを使って表示させることを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項7】
前記コントローラは、各金種の硬貨を個別に回収し、前記警告フラグを解除することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の硬貨入出金装置。
【請求項8】
コンピュータに、
釣銭機エラーの発生を検知する機能と、
金種別に設けられた複数の収納庫に収納された硬貨の枚数およびこの金種を対応付けた在高情報を記憶する記憶部に、前記金種に対応させて在高異常の警告フラグを書込む機能と、
ユーザに対する情報の表示を行うタイミングにおいて、この警告フラグを前記金種毎に報知する機能とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−33340(P2013−33340A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168387(P2011−168387)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】