硬貨回収補助具
【課題】硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができ、しかも残す硬貨の枚数を任意の枚数にすることができ、硬貨収容カセットに対して汎用であって、簡単な構造の硬貨回収補助具を提供する。
【解決手段】硬貨回収補助具1は、硬貨を収容するカセット本体71aと、該カセット本体71aの一側を開閉自在に覆う蓋体71bとを具えた硬貨収容カセット71に収容された硬貨を、その一部を残して他を回収する時に使用する硬貨回収補助具であって、該硬貨回収補助具装着後、前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記硬貨回収補助具により、カセット本体71aに収容された硬貨を前記カセット本体71aの内周壁面へ向けて押圧し支持することを特徴としている。
【解決手段】硬貨回収補助具1は、硬貨を収容するカセット本体71aと、該カセット本体71aの一側を開閉自在に覆う蓋体71bとを具えた硬貨収容カセット71に収容された硬貨を、その一部を残して他を回収する時に使用する硬貨回収補助具であって、該硬貨回収補助具装着後、前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記硬貨回収補助具により、カセット本体71aに収容された硬貨を前記カセット本体71aの内周壁面へ向けて押圧し支持することを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に配設される硬貨処理装置に関し、特に硬貨処理装置の硬貨収容カセットに着脱自在に取り付けられる硬貨回収補助具であって、該硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収できる硬貨回収補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機では、投入された硬貨を識別し金種別に収容すると共に、この収容した硬貨を釣銭として払い出す図示せぬ硬貨処理装置が装備されている(特許文献1の図6、特許文献2の図1等参照)。
【0003】
この従来の硬貨処理装置は、釣銭としての硬貨を金種別に積み重ねて収容する複数本のコインチューブから構成された硬貨収容カセットを備えている。この硬貨収容カセットは、上記硬貨処理装置の装置本体に着脱自在に取り付けられるようになっている。
また、硬貨処理装置に取り付けられる硬貨収容カセットの鉛直方向上端部には、各コインチューブ毎に開口部が形成されており、この開口部を介して、自動販売機の利用者(顧客)が投入する硬貨が、釣銭としてコインチューブ内へ自動補給されるようになっている(特許文献2の図4等参照)。
【0004】
また、硬貨収容カセットのコインチューブ内に収容された各硬貨を回収するには、前記硬貨処理装置から硬貨収容カセットを取り外した後、硬貨収容カセットを傾けて各コインチューブから各開口部を介し各硬貨を排出し回収するようにしているが、この回収の際には、次の販売のために釣銭として、各コインチューブ内に収容された硬貨のうちの一部の硬貨を、各コインチューブ内にそれぞれ残す必要がある。
そこで、硬貨を回収する際には、図15(a)及び図15(b)で示すように、硬貨収容カセット71の蓋体71bを開いて、カセット本体71aに収容されている図示せぬ硬貨を露出させた後、該カセット本体71aに残す硬貨を直接、図示せぬ手によって保持した状態でカセット本体71aを傾けることによって、該保持した所望の枚数の硬貨を釣銭として残すようにしていた。
図15は、従来の硬貨を回収する動作を説明するための図であって、特に図15(a)は、硬貨処理装置から取り外され、かつ蓋体が開けられている途中の硬貨収容カセットの概念側面図であり、図15(b)はこの硬貨収容カセットの概念斜視図である。
なお、図15(a)の符号71eは、蓋体71bに配設された軸71eを示し、符号71dは、カセット本体71aの下端部に形成され、軸71eを支承する孔を示している。 なお、この孔71dと軸71eとの係合により、蓋体71bはカセット本体71aに回動自在に支承されている。
【0005】
また従来、硬貨収容カセットを傾けて硬貨収容カセット内に収容された硬貨を回収する硬貨収容カセットとして、該硬貨収容カセットの側面に縦長の開口を形成し、硬貨収容カセットを傾ける際に、この縦長の開口から露出する収容された硬貨の周縁を、直接指で押さえ、これにより所望の枚数だけ釣銭として残すようにしたものが提案されている(特許文献1の図2、図3および図5参照)。
【0006】
また、従来から、硬貨収容カセットの側面に、通常時は各コインチューブの外周方向に付勢され、指で押すことによりコインチューブ内部へ突出し各コインチューブ内に収容された硬貨を、該硬貨と対向するコインチューブの内周面に押圧して支持するボタンを設けた硬貨収容カセットが提案されている。この硬貨収容カセットを傾ける際に上記したボタンを指で押さえると、そのボタンによって直接押圧され支持された硬貨を含む所定枚数の硬貨を、釣銭として残すことができる(特許文献2の図3〜図7参照)。
【0007】
なお、硬貨収容カセット内に収容された硬貨を回収する方法には、上述したように硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する方法のほか、硬貨処理装置に具えられている自動回収機能を働かせ、これにより各コインチューブ内の硬貨をそれぞれ1枚ずつ各コインチューブの下端部から排出させ回収する方法がある。しかし、この方法では、各コインチューブから1枚ずつ硬貨を回収することとなるので、複数枚の硬貨を回収する回収時間全体が長くなり、そのため、その回収作業が煩雑である。
【0008】
【特許文献1】特開平05−174222号公報
【特許文献2】特開平06−333118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する従来の硬貨収容カセットでは、手又は指で残す硬貨又はボタンを押さえるようにしていたから、該押さえる作業が難しく、そのため硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部を残して回収する作業が煩雑であった。
【0010】
また、硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する従来の硬貨収容カセットでは、硬貨収容カセットに開口又はボタンを形成する必要があったから、構造が複雑であり、また開口やボタンが形成されていない既存の硬貨収容カセットには、開口又はボタンを追加することはできない。
【0011】
また、硬貨収容カセットにボタンを設ける従来の硬貨処理装置では、残す硬貨の枚数が予め配置されたボタンの位置に限定されてしまうから、所定の枚数の硬貨しか残すことができない。
【0012】
この発明は、上述した事情に鑑み、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができ、しかも残す硬貨の枚数を任意の枚数にすることができ、硬貨収容カセットに対して汎用であって、簡単な構造の硬貨回収補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨を収容するカセット本体と、該カセット本体の一側を開閉自在に覆う蓋体とを具えた硬貨収容カセットの前記蓋体の内周壁面に嵌着される弾性体であって、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の硬貨回収補助具は、硬貨収容カセットの蓋体の内周壁面に嵌着される弾性体であり、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持するようにしたから、手又は指で硬貨又はボタンを押さえていた場合に比し、硬貨を押圧し支持する作業が簡単になり、そのため硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができ、しかも弾性体の嵌着位置を変更することによって残す硬貨の枚数を任意の枚数にすることができ、硬貨収容カセットに嵌着されるものであるから簡単な構造であり、既存の硬貨収容カセットにも嵌着できるので汎用性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の硬貨回収補助具の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0016】
この発明の第一実施例の硬貨回収補助具1〜5は、図1で示すように、硬貨収容カセット71の蓋体71bに嵌着されるものである。
図1は、この発明の第一実施例の硬貨回収補助具が、硬貨収容カセットに嵌着された様子を示す概念斜視図であって、硬貨収容カセットの蓋体が開いている様子を示す図である。図1乃至後述する図14では、図15と同一部分を同一符号で示している。
図1で示すように、硬貨収容カセット71は、図示せぬ硬貨K1、K2、K3、K4を収容するカセット本体71aと、該カセット本体71aの一側71cを開閉自在に覆う蓋体71bとを具えている。このうち、蓋体71bはカセット本体71aに回動自在に支承されている。
【0017】
また、硬貨収容カセット71は、複数のコインチューブ73〜77を有している。
このうち、コインチューブ73は、カセット本体71aの内周壁面73aと蓋体71bの内周壁面73bとによって形成される。
図1では、硬貨収容カセット71の蓋体71bを開いている様子を示しているが、硬貨収容カセット71を、図示せぬ硬貨処理装置の図示せぬ装置本体に装着する際には、蓋体71bが閉じた状態で装着される。また、硬貨収容カセット71を上記硬貨処理装置の装置本体に装着している状態では、蓋体71bは閉じられている。
蓋体71bが閉じられている状態では、カセット本体71aの一側71cが蓋体71bによって覆われ、またカセット本体71aの内周壁面73aと、蓋体71bの内周壁面73bとによって、硬貨K1を収容する円筒形のコインチューブ73が形成されている。そのため、この硬貨収容カセット71が、図示せぬ自動販売機内の硬貨処理装置の装置本体に装着されている場合には、該自動販売機の利用者が硬貨を投入すると、コインチューブ73の開口部72を介してコインチューブ73内に該硬貨を収容できる。また、投入された硬貨はコインチューブ73内に、その図示せぬ底面から積み重ねられて収容される。
なお、硬貨収容カセット71が上記硬貨処理装置の装置本体に装着された場合には、蓋体71bが該装置本体に覆われるとともに、カセット本体71aのうち蓋体71bが配設されている一側71cとは反対側の面が、硬貨処理装置の外面の一部として露出する。硬貨収容カセット71および上記硬貨処理装置の詳細な構造については、特開2002−63640号公報等を参照されたい。
【0018】
また、図1で示すように、硬貨収容カセット1の蓋体71bを開いた時、コインチューブ73内に硬貨が収容されている場合には、収容されている硬貨の外周面略半分が硬貨収容カセット71から露出する。
【0019】
なお、硬貨収容カセット1の蓋体71bが閉じられると、カセット本体71aに収容されている硬貨の外周面は蓋体71bによって覆われ、該硬貨は、円筒形のコインチューブ73に収容されることとなる。
【0020】
また、コインチューブ74〜77の構成は、上述したコインチューブ73の構成と同様である。なお、図1では、各コインチューブ74〜77を形成している各内周壁面73a、73bの各符号及びコインチューブ74〜77の開口部72の符号の図示を省略している。
また、この実施例では、コインチューブ73およびコインチューブ75は、硬貨K1(例えば10円硬貨)を収容し、コインチューブ74は、硬貨K2(例えば50円硬貨)を収容し、コインチューブ76は硬貨K3(例えば100円硬貨)を収容し、コインチューブ77は硬貨K4(例えば500円硬貨)を収容するものとしている。なお、コインチューブ73〜75の各内径S1(図8(a))は、それぞれ、収容する硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外径R1に応じて形成されている。
【0021】
一方、図1で示すように、硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセット71の蓋体71bの各内周壁面73bに嵌着される弾性体である。
【0022】
図2は、図1の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図2(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図2(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
図2で示すように、硬貨回収補助具1は、コインチューブ73(図1)を形成する蓋体71bの内周壁73bに対向する第一の面1aと、該第一の面1aと反対側に形成された第二の面1bとを具えている。
なお、第一の面1aと第二の面1bとの間の距離、すなわち硬貨回収補助具1の厚さは1mm乃至2mm程度である。また、硬貨回収補助具1である弾性体は、たとえば、シリコンゴム又は柔らかい樹脂によって形成されている。
また、第一の面1aと第二の面1bは、図2(a)で示すように、いずれも、蓋体71bの内周面73bと同様に、断面略半円弧形状に形成されている。
また、この硬貨回収補助具1は、第一の面1aの両端1cに凹凸部1dが形成されている。
なお、この硬貨回収補助具1の外径D1は、コインチューブ73の内径S1(図8(a))よりも若干大きく形成されている(D1>S1)。
【0023】
また、図1に示す硬貨回収補助具2〜5は、上記した硬貨回収補助具1と同様の構造である。ただし、硬貨回収補助具2〜5の各外径D1(図2(a)参照)は、それぞれコインチューブ74〜77の各内径S1(図8(a)参照)に応じ、この各内径S1より若干大きく形成されている。
【0024】
図1、図2に示す硬貨回収補助具1〜5は、個々に形成されたものであるが、これらの硬貨回収補助具を一体に形成し、それから所望の大きさに切り離して使用するようにも出来る。
図3は、図1の硬貨回収補助具を切り離して作る時に用いる1枚の弾性体を示す概念斜視図である。また、図4は、図3に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図4の上段に該弾性体の平面図を示し、図4の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図4の下段右に該弾性体の正面図を示した図である。
【0025】
図3および図4で示すように、この1枚の弾性体11は、複数の硬貨回収補助具1を具えてなる群13と、複数の硬貨回収補助具2を具えてなる群14と、複数の硬貨回収補助具3を具えてなる群15と、複数の硬貨回収補助具4を具えてなる群16と複数の硬貨回収補助具5を具えてなる群17とが一体に形成されている。
なお図4のY方向は、各硬貨回収補助具1〜5が嵌着された蓋体71b(図1)を閉めた場合に各コインチューブ73〜77の長手方向に沿った方向と平行になる方向である。また、図4のX方向は、Y方向と直角であり、各硬貨回収補助具1〜5が嵌着された蓋体71b(図1)を閉めた場合にコインチューブ73〜77が配列されている方向と平行になる方向である。
【0026】
また、図4で示すように、弾性体11には、群13中の硬貨回収補助具1と、これと隣り合う同じ群13中の硬貨回収補助具1との間に、切り取り溝11cが形成されている。
また、群14〜17中の各硬貨回収補助具2〜5についても、群13中の各硬貨回収補助具1と同様に、互いに隣り合う同じ群14〜17中の硬貨回収補助具同士の間に、それぞれ切り取り溝11cが形成されている。
【0027】
また、弾性体11には、各切り取り溝11cの少なくとも一端が臨む孔11bが形成されている。この孔11bは、互いに隣り合う群13と群14との間、群14と群15との間、群15と群16との間および群16と群17との間に、それぞれ形成されている。
また、弾性体11には、互いに隣り合う群13と群14との間、群14と群15との間、群15と群16との間、群16と群17との間に、それぞれ溝11aが形成されており、この各溝11a上に、上記した孔11bが配置されている。
【0028】
また、群13〜17の各切り取り溝11cは、それぞれコインチューブ73〜77に収容される各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各板厚に応じた間隔をあけて形成されている。
たとえば、同一群13中の各切り取り溝11cは、群13が硬貨回収補助具1を具えてなるものであり、この硬貨回収補助具1は、硬貨K1を収容するコインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着するものだから、該切り取り溝11cと、これと隣り合う同じ群13中の切り取り溝11cとの間隔が、硬貨K1を所定枚数積み重ねてなる高さ、いいかえると硬貨K1の板厚の所定倍である距離にされている。なお、この実施例では、群13中の各切り取り溝11cと、これと隣り合う同じ群13中の切り取り溝11cとの間隔が、硬貨K1を5枚積み重ねてなる高さにされている。
なお、同一群14中の各切り取り溝11c、同一群15中の各切り取り溝11c、同一群16中の各切り取り溝11c、同一群17中の各切り取り溝11cについても、上述した同一群13中の各切り取り溝11cと同様に、群13〜17中の各切り取り溝11cとこれと隣り合う同じ群中の切り取り溝11cとの間隔が、コインチューブ73〜77にそれぞれ収容する各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の金種を示す、図3に数値で表示された数値の各硬貨を所定枚数積み重ねてなる高さにされている。
【0029】
このような1枚の弾性体11から、まず、硬貨回収補助具1からなる群13を取り出す。
群13を取り出すには、図5のA−Aで示すように、群13と群14とを切り離す。このとき、群13と群14との間には溝11aが形成されているから、溝11aに沿って切り離せばよく、そのため群13と群14との切り離しが容易である。さらに、この溝11a上には孔11bが形成されているので、この孔11bによって群13と群14との切り離しは一層容易である。
【0030】
次に、図6のように取り出された群13から、1つの硬貨回収補助具1を取り出す。
たとえば、図6のB−Bおよび図6のC−Cで示すように、取り出す硬貨回収補助具1と、それと隣り合う各硬貨回収補助具1とを切り離せば、図7で示すように、1つの硬貨回収補助具1を取り出すことができる。
このとき、互いに隣り合う各硬貨回収補助具1同士の間には切り取り溝11cが形成されているので、この切り取り溝11cに沿って切り離せばよく、そのため隣り合う硬貨回収補助具1同士の切り離しが容易である。
さらに、切り取り溝11cの少なくとも一端は孔11bに臨んでいるので、この孔11bによって、互いに隣り合う硬貨回収補助具1同士の切り離しは一層容易である。
【0031】
また、各硬貨回収補助具2〜7を切り離す場合にも、それぞれ各群13〜17をこれと隣接する群から切り離し、該群13〜17中の1つの硬貨回収補助具2〜7をこれと隣接する硬貨回収補助具2〜7から切り離せばよい。またその際、上述した硬貨回収補助具1と同様に、切り取り溝11c又は溝11aに沿って切り離しを行えばよい。
【0032】
なお、上述した図5〜図7は、図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図である。特に図6は、図5のA−Aに沿ってその両側の群同士を切り離した様子を示す図である。また特に、図7は、図6のB−BおよびC−Cに沿ってそれぞれ、その両側の硬貨回収補助具同士を切り離し、図1の硬貨回収補助具を切り離した様子を示す図である。
【0033】
次に、図2に示す1個ずつ成形した硬貨回収補助具を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着させる動作、およびコインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bからそれぞれ取り外す動作を説明する。
【0034】
図1で示すように、硬貨回収補助具1(図2)を、コインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着させるには、図2の硬貨回収補助具1の両端1cを指で挟んでつまみ、第一の面1aを蓋体71bの内周壁面73bに接触させた後、指をはなす。すると、硬貨回収補助具1は弾性体であるので、該硬貨回収補助具1が内周壁面73bに嵌着される。
【0035】
また、内周壁面73bに嵌着された硬貨回収補助具1を、該内周壁面73bから取り外すには、両端1cを挟むように指でつまみ、これにより第一の面1aを内周壁面73bから引き離せばよい。
なお、嵌着された硬貨回収補助具1の両端1cには、図8(b)で示すように凹凸部1dが形成されているので、凹凸部1dと内周壁面73bとの間に隙間が形成され、この隙間によって、硬貨回収補助具1の両端1cをつまんで第一の面1aを内周壁面73bから引き離す作業がしやすく、そのため収容硬貨保持具1を内周壁面73bから取り外すことが容易である。
【0036】
また、図1に示すように、硬貨回収補助具2〜5は、コインチューブ74〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着されるが、硬貨回収補助具2〜5の嵌着動作は、上述した硬貨回収補助具1の嵌着動作と同様である。また、嵌着した硬貨回収補助具2〜5の取り外し動作は、上述した収容硬貨保持具1の取り外し動作と同様である。
【0037】
また、硬貨回収補助具1〜5を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着させる場合には、図1および図8(b)で示すように、該嵌着された蓋体71bを閉めたときに、硬貨回収補助具1〜5が、各コインチューブ73〜77内に残す硬貨のうち、一番上に積み重ねられている硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外周面と対向する位置(以下、単に「嵌着位置」という。)に嵌着させる。
例えば、コインチューブ73が透明樹脂製で蓋体71bに硬貨の収納枚数を示す目盛りが形成されている場合には、コインチューブ73内に残す硬貨K1の所望の枚数が40枚であったら、コインチューブ73に40枚目に収容された硬貨K1に相当する蓋体71bの内周面73bから見える目盛り「40」の箇所に、硬貨回収補助具1の上部が来るように硬貨回収補助具を嵌着させる。
【0038】
図8は、図2の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図8(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図8(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を付勢した様子を示す概念断面図であり、図8(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図である。
図8(a)の矢印Eで示すように、硬貨回収補助具1が内周壁面73bに嵌着された蓋体71bを閉める(図8(c)参照)。すると、図8(b)で示すように、該嵌着された硬貨回収補助具1である弾性体が、蓋体71bを閉める方向に付勢される。また、この付勢された弾性体によって、該弾性体と対向するカセット本体71aに収容された硬貨K1は、カセット本体71aの内周壁面73aへ向けて押圧され、該押圧された硬貨K1は、硬貨回収補助具1の第二の面1bとカセット本体71aの内周壁面73aとによって支持される。
また、硬貨K1が押圧され支持された状態を維持して、カセット本体71aを倒す。すると、押圧され支持された硬貨K1より上に積み重ねられ収容された硬貨K1を、コインチューブ73から開口部72を介し排出させて該硬貨K1を回収することができるとともに、押圧され支持された硬貨K1およびその硬貨K1とコインチューブ73の図示せぬ底面との間に積み重ねられている硬貨K1を、コインチューブ73を形成するカセット本体73内に残すことができる。
【0039】
また、硬貨回収補助具2〜5も、上記した硬貨回収補助具1と同様に、嵌着位置と対向する各硬貨K2、K1、K3、K4を押圧して支持するので、この状態を維持して硬貨収容カセット71を倒すと、該押圧され支持された硬貨K2、K1、K3、K4より上に積み重ねられ収容された硬貨K2、K1、K3、K4を、コインチューブ74〜77から各開口部72を介し排出させて該硬貨を回収することができるとともに、押圧され支持された硬貨K2、K1、K3、K4およびその硬貨と各コインチューブ74〜77の図示せぬ各底面との間に積み重ねられている硬貨K2、K1、K3、K4を、それぞれコインチューブ74〜77内に残すことができる。
【0040】
以上説明したように、この発明では、硬貨回収補助具1〜5が装着された後、該硬貨回収補助具1〜5が蓋体71bを閉める方向に付勢された時、硬貨回収補助具1〜5により、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、カセット本体71aの内周壁面73aへ向けて押圧し支持するようにしている。
また、この硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセット71の蓋体71bの各内周壁面73bに嵌着される弾性体であって、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、カセット本体71aの各内周壁面73aへ向けて押圧し支持するようにしたものである。
該硬貨回収補助具1〜5である弾性体を蓋体71bを閉める方向に付勢するには、図8(c)で示すように蓋体71bを手で押すことにより、蓋体71bを閉じればよい。また、この付勢を行うとき、蓋体71bのどの位置を押さえてもよい。そのため、従来のように手又は指で直接、硬貨を押さえる又はボタンを押さえていた場合に比し、手で押さえる範囲が広がるから、硬貨K1、K2、K1、K3、K4を押圧し支持する作業が簡単になり、そのため、収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができる。
【0041】
また、硬貨収容カセット71の蓋体71bは通常、プラスチック等の合成樹脂から形成されているから変形しにくい。そのため硬貨回収補助具1〜5は、硬貨を手で押さえる又はボタンを押さえていた場合に比し、可及的に均一に各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面を押圧できるので、該硬貨を押圧し支持する作業が簡単になる。
【0042】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71に開口、又はボタンを形成する必要がなく、そのため構造が簡単である。
【0043】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71に開口、又はボタンを形成する必要がなく、開口又はボタンが形成されていない既存の硬貨収容カセットに硬貨回収補助具1〜5を嵌着させれば、該既存の硬貨収容カセットに収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を回収する場合に、その一部の硬貨を残すことができる。
したがって、この硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセットに対し汎用の硬貨回収補助具1〜5といえる。
【0044】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71にボタンを形成する必要がなく、そのため該ボタンの位置に、残す硬貨の枚数が限定されることはない。また硬貨回収補助具1〜5の嵌着位置も任意に変更できる。したがって、硬貨収容カセット71の各コインチューブ73〜77内にそれぞれ任意の枚数の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残すことができる。
【0045】
また、この実施例の硬貨回収補助具1はカセット本体73aを傾けることにより、開口部72を介しコインチューブ73内の複数枚の硬貨を一括して排出させて回収でき、これにより、従来の自動回収機能を働かせた場合のように、コインチューブ73内に収容された硬貨を1枚ずつ該コインチューブ73の各下端部から排出させて回収するものに比し、各コインチューブ73内に収容された複数枚の硬貨を回収する回収時間全体を短くでき、そのため、その回収作業が簡単である。なお、硬貨回収補助具2〜5についても、この硬貨回収補助具1と同様である。
【0046】
また、硬貨収容カセット71は、蓋体71bの内周壁面73bとカセット本体71aの内周壁面73aとによってそれぞれ形成されるコインチューブ73〜77を有しており、硬貨回収補助具1〜5である弾性体は、各コインチューブ73〜77をそれぞれ形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着され、該嵌着された各弾性体を蓋体71bを介して蓋体71bを閉める方向に付勢し、該付勢された各弾性体により、各コインチューブ73〜77を形成するカセット本体71aに収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、各コインチューブ73〜77をそれぞれ形成するカセット本体71aの各内周壁面73aへ向けてそれぞれ押圧し支持するものである。
従来、コインチューブ73〜77に積み重ねられた硬貨枚数の差が大きい場合には、手又は指で直接、硬貨を押さえる又はボタンを押さえる作業が難しかったが、この実施例の硬貨回収補助具では、蓋体71bを介してコインチューブ73〜77に嵌着された各弾性体を、一括して付勢することができる。
したがって、従来に比し、各コインチューブ73〜77に収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、その一部の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残して回収する作業が簡単になる。
【0047】
さらに、この実施例の各硬貨回収補助具1〜5には、それぞれ、互いに隣り合う硬貨回収補助具同士を互いに切り離す切り取り溝11c又は孔11bが形成されている。したがって、この切り取り溝11c又は孔11bによって、互いに隣り合う硬貨回収補助具同士を切り離す作業が簡単になる。
【0048】
なお、上述した第一実施例の硬貨回収補助具1〜5では、第二の面1bに突起は形成されていないが、この発明の硬貨回収補助具は、この実施例に限定されず、第二の面1bに突起が形成されたものであってもよい。
【実施例2】
【0049】
図9は、この発明の第二実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図9(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図9(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。この図9では図2と同一部分を同一符号で示している。
図9で示すように、この発明の第二実施例の硬貨回収補助具21には、硬貨K1と対向する第二の面1bに、硬貨K1を押圧する突起部22が形成されている。
【0050】
この第二実施例の硬貨回収補助具21を、図10(a)で示すように、コインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着する場合には、突起22を両側から指でつまんで、第一の面1aを蓋体71bの内周壁面73bに押し付けて該内周壁面73bに接触させた後、指をはなすようにすればよい。また、嵌着した硬貨回収補助具22を蓋体71bの各内周面73bから取り外す場合には、突起22を両側から指でつまみ、これにより第一の面1aを内周壁面73bから引き離せばよい。
このように突起22をつまむことができると硬貨回収補助具1の両端11cをつまむことなく、硬貨回収補助具21を嵌着し又は取り外すことができるので、第一の実施例の硬貨回収補助具1に比し、硬貨回収補助具を嵌着する作業又は取り外す作業が容易である。
【0051】
さらに、硬貨回収補助具21の両端1cには、第一の面1aに凹凸部1dが形成されており、凹凸部1dと内周壁面73bとの間には隙間が形成されているので、この隙間によって、嵌着している硬貨回収補助具21を内周壁面73bから取り外す作業は一層容易である。
【0052】
図10は、図9の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図10(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図10(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を示す概念断面図であり、図10(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図である。
図10(a)の矢印Eで示すように、第二実施例の硬貨回収補助具21が嵌着された蓋体71を閉じ(図10(c)参照)、これにより蓋体71bを介し、硬貨回収補助具21である弾性体を、蓋体71bを閉じた方向に付勢する。すると、図10(b)で示すように、該弾性体の突起22の面22aが、硬貨K1の外周面を押圧し、該硬貨K1を面22aと内周壁面73aとによって支持する。この硬貨K1は、図8(b)で示すように第二の面1b全体で押圧される場合に比し、より強い力によって押圧され支持されるから、この第二実施例の硬貨回収補助具21によれば、第一実施例の硬貨回収補助具1に比し、収容された硬貨K1をその一部の硬貨K1を残して回収する作業がより簡単となる。
なお、該一部の硬貨を残すためには、硬貨回収補助具21を、蓋体71bの内周壁面73bの上記嵌着位置に嵌着させる必要があることは、第一実施例の硬貨回収補助具1〜5と同様である。
【0053】
また、上述した第一の実施例の各硬貨回収補助具1〜5(図1)は、互いに分離しているものとし、第二の実施例の収容硬貨保持部21についても同様であることとしたが、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨保持具1〜5が一体形成されているものであってもよい。
【実施例3】
【0054】
図11は、この発明の第三実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図11(a)は該硬貨回収補助具の概念底面図であり、図11(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
図11(a)および図11(b)で示すように、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5を一つずつ具えている。また、この硬貨回収補助具1〜5は互いに一体形成されている。
【0055】
この第三実施例の硬貨回収補助具31は、図3および図4で示す1枚の弾性体11から、硬貨保持具1〜5を互いに分離することなく切り取ることによりつくることができる。
また、この切り取りは、各コインチューブ73〜77に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の所望の枚数に合わせて行えばよい。
【0056】
この第三実施例の硬貨回収補助具31を蓋体71bに嵌着させる際には、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bの上記各嵌着位置に嵌着させる必要があることは、第一実施例および第二実施例の硬貨回収補助具1〜5、21で述べたとおりである。
この第三実施例の硬貨回収補助具31では、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5が互いに一体形成されているので、硬貨回収補助具1〜5のいずれか1つの硬貨回収補助具の嵌着位置を決定すれば、他の収容硬貨の嵌着位置も自動的に決定される。
そのため、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5を各内周壁面73bに嵌着する際に各硬貨回収補助具1〜5ごとに嵌着位置を決定することなく、硬貨回収補助具1〜5を嵌着できる。
したがって、第三実施例の硬貨回収補助具31は、第一実施例および第二実施例のものに比し、硬貨回収補助具1〜5の嵌着作業が簡単であり、また第三実施例の硬貨回収補助具31は、各コインチューブ73〜77に残す硬貨の枚数がすべて決まっている場合の硬貨回収補助具として好ましい。
また、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5が一体形成されているから、嵌着した硬貨回収補助具1〜5を各内周壁面73bから取り外す作業も、第一および第二の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21に比し簡単である。
【0057】
また、第一実施例および第三実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31では、硬貨回収補助具1〜5を1つずつ配置するものとしたが、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ具えており、かつこれらを一体形成した弾性体であってもよい。
【実施例4】
【0058】
図12は、この発明の第四実施例の硬貨回収補助具の構造を示す概念図であって、図12の上段に該弾性体の平面図を示し、図12の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図12の下段右に該弾性体の正面図を示した図である。
この第四実施例の硬貨回収補助具41は、蓋体71bを開けた時に露出する硬貨を覆うように取り付けるもので、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ具えており、これらが一体形成されている。
【0059】
この硬貨回収補助具41を取り付けた場合は、蓋体71bを閉めたときに、Y方向(図4参照)の一番上に位置する各硬貨回収補助具1〜5が、それぞれ、コインチューブ73〜77内に残す所望枚数の硬貨K1、K2、K1、K3、K4のうち、一番上に積み重ねられている硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外周面と対向する位置に合わせて取り付ける。
【0060】
この第四実施例の硬貨回収補助具41は、図13で示す1枚の弾性体から、所望の数の硬貨保持具1〜5を互いに分離することなく切り取ることによりつくることができる。
なお、1枚の弾性体11からの切り取りは、各コインチューブ73〜77に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の所望の枚数に合わせて行えばよく、図2で示すように、各コインチューブ73〜77内に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の枚数を、互いに異ならせてもよいことはもちろんである。
【0061】
この第四実施例の硬貨回収補助具41では、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5が互いに一体形成されているので、硬貨回収補助具1〜5の嵌着作業および取り外し作業が簡単であり、また第四実施例の硬貨回収補助具41は、各コインチューブ73〜77に残す硬貨の枚数がすべて決まっている場合の硬貨回収補助具として好ましい。
【0062】
さらに、この硬貨回収補助具41は、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ配置しているので、各硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ一つずつ配置した第一乃至三の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31に比し、押圧支持する硬貨の枚数が多くなる。したがって、この硬貨回収補助具41は、第一乃至三の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31に比し、可及的に確実に所望の枚数の硬貨を残すことができる。
【0063】
さらに、この第四の実施例の硬貨回収補助具41は、図14で示すように、蓋体71bを開いた場合に、蓋体71bを閉じることなく、各コインチューブ73〜77に収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4をその一部の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残して回収することもできる。
蓋体71bを閉じないでこの回収を行うには、蓋体71bを開いた場合に露出する各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面(図示しない)を硬貨回収補助具41で覆うとともに該硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面に各硬貨回収補助具1〜5の第二の面1bを嵌め合わせるように硬貨回収補助具41を装着し、次に該硬貨回収補助具41を直接手で押さえて蓋体71bを閉める方向に付勢し、この付勢を維持して硬貨収容カセット1を倒せばよい。
このようにすれば、硬貨回収補助具41を蓋体71bを閉じた場合と同様に、硬貨回収補助具1〜5である弾性体によって、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面が押圧され該硬貨が支持される。
なお、上述した図13は、図12に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図13の上段に該弾性体の平面図を示し、図13の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図13の下段右に該弾性体の正面図を示している。また、図14は、図12の硬貨回収補助具を用いて、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する様子を示す概念斜視図である。また、この図14では硬貨回収補助具41の一端11dが、蓋体71bを開けた際に露出するカセット本体71aの縁に沿って配置されている様子も図示している。このように硬貨回収補助具41の一端11dを、蓋体71bを開けた際に露出するカセット本体71aの縁に沿って配置すれば、残す硬貨を覆う硬貨回収補助具41の位置決めが容易である。図12〜図14の符号20は、各硬貨回収補助具1〜5の第一の面1aに形成された目盛であって、各硬貨回収補助具1〜5に対応する各コインチューブ73〜77の収容硬貨の枚数を示す数値である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、この発明の第一実施例の硬貨回収補助具が、硬貨収容カセットに嵌着された様子を示す概念斜視図であって、硬貨収容カセットの蓋体が開いている様子を示す図。
【図2】図1の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図2(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図、図2(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図。
【図3】図1の硬貨回収補助具を切り離してつくる時に用いる1枚の弾性体を示す概念斜視図である。
【図4】図3に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図4の上段に該弾性体の平面図を示し、図4の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図4の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図5】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図。
【図6】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図であって、特に図6は、図5のA−Aに沿ってその両側の群同士を切り離した様子を示す図。
【図7】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図であって、特に図7は、図6のB−BおよびC−Cに沿ってそれぞれ、その両側の硬貨回収補助具同士を切り離し、図1の硬貨回収補助具をつくった様子を示す図。
【図8】図2の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図8(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図8(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を付勢した様子を示す概念断面図であり、図8(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図。
【図9】この発明の第二実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図9(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図9(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図。
【図10】図9の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図10(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図10(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を示す概念断面図であり、図10(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図。
【図11】この発明の第三実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図11(a)は該硬貨回収補助具の概念底面図であり、図11(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
【図12】この発明の第四実施例の硬貨回収補助具の構造を示す概念図であって、図12の上段に該弾性体の平面図を示し、図12の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図12の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図13】図12に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図13の上段に該弾性体の平面図を示し、図13の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図13の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図14】、図14は、図12の硬貨回収補助具を用いて、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する様子を示す概念斜視図である。
【図15】従来の硬貨を回収する動作を説明するための図であって、特に図15(a)は、硬貨処理装置から取り外され、かつ蓋体が開けられている途中の硬貨収容カセットの概念側面図であり、図15(b)はこの硬貨収容カセットの概念斜視図。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3、4、5、21、31、41…硬貨回収補助具
1、2、3、4、5、21、31、41…弾性体
11…1枚の弾性体
11b…孔
11c…切り取り溝
20…目盛
22…突起
71…硬貨収容カセット
71a…コインチューブ本体
71b…蓋体
71c…コインチューブ本体の一側
73、74、75、76、77…コインチューブ
73a…コインチューブを形成するカセット本体の内周壁面
73b…コインチューブを形成する蓋体の内周壁面
E…蓋体を閉める方向
K1、K2、K3、K4…硬貨
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に配設される硬貨処理装置に関し、特に硬貨処理装置の硬貨収容カセットに着脱自在に取り付けられる硬貨回収補助具であって、該硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収できる硬貨回収補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機では、投入された硬貨を識別し金種別に収容すると共に、この収容した硬貨を釣銭として払い出す図示せぬ硬貨処理装置が装備されている(特許文献1の図6、特許文献2の図1等参照)。
【0003】
この従来の硬貨処理装置は、釣銭としての硬貨を金種別に積み重ねて収容する複数本のコインチューブから構成された硬貨収容カセットを備えている。この硬貨収容カセットは、上記硬貨処理装置の装置本体に着脱自在に取り付けられるようになっている。
また、硬貨処理装置に取り付けられる硬貨収容カセットの鉛直方向上端部には、各コインチューブ毎に開口部が形成されており、この開口部を介して、自動販売機の利用者(顧客)が投入する硬貨が、釣銭としてコインチューブ内へ自動補給されるようになっている(特許文献2の図4等参照)。
【0004】
また、硬貨収容カセットのコインチューブ内に収容された各硬貨を回収するには、前記硬貨処理装置から硬貨収容カセットを取り外した後、硬貨収容カセットを傾けて各コインチューブから各開口部を介し各硬貨を排出し回収するようにしているが、この回収の際には、次の販売のために釣銭として、各コインチューブ内に収容された硬貨のうちの一部の硬貨を、各コインチューブ内にそれぞれ残す必要がある。
そこで、硬貨を回収する際には、図15(a)及び図15(b)で示すように、硬貨収容カセット71の蓋体71bを開いて、カセット本体71aに収容されている図示せぬ硬貨を露出させた後、該カセット本体71aに残す硬貨を直接、図示せぬ手によって保持した状態でカセット本体71aを傾けることによって、該保持した所望の枚数の硬貨を釣銭として残すようにしていた。
図15は、従来の硬貨を回収する動作を説明するための図であって、特に図15(a)は、硬貨処理装置から取り外され、かつ蓋体が開けられている途中の硬貨収容カセットの概念側面図であり、図15(b)はこの硬貨収容カセットの概念斜視図である。
なお、図15(a)の符号71eは、蓋体71bに配設された軸71eを示し、符号71dは、カセット本体71aの下端部に形成され、軸71eを支承する孔を示している。 なお、この孔71dと軸71eとの係合により、蓋体71bはカセット本体71aに回動自在に支承されている。
【0005】
また従来、硬貨収容カセットを傾けて硬貨収容カセット内に収容された硬貨を回収する硬貨収容カセットとして、該硬貨収容カセットの側面に縦長の開口を形成し、硬貨収容カセットを傾ける際に、この縦長の開口から露出する収容された硬貨の周縁を、直接指で押さえ、これにより所望の枚数だけ釣銭として残すようにしたものが提案されている(特許文献1の図2、図3および図5参照)。
【0006】
また、従来から、硬貨収容カセットの側面に、通常時は各コインチューブの外周方向に付勢され、指で押すことによりコインチューブ内部へ突出し各コインチューブ内に収容された硬貨を、該硬貨と対向するコインチューブの内周面に押圧して支持するボタンを設けた硬貨収容カセットが提案されている。この硬貨収容カセットを傾ける際に上記したボタンを指で押さえると、そのボタンによって直接押圧され支持された硬貨を含む所定枚数の硬貨を、釣銭として残すことができる(特許文献2の図3〜図7参照)。
【0007】
なお、硬貨収容カセット内に収容された硬貨を回収する方法には、上述したように硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する方法のほか、硬貨処理装置に具えられている自動回収機能を働かせ、これにより各コインチューブ内の硬貨をそれぞれ1枚ずつ各コインチューブの下端部から排出させ回収する方法がある。しかし、この方法では、各コインチューブから1枚ずつ硬貨を回収することとなるので、複数枚の硬貨を回収する回収時間全体が長くなり、そのため、その回収作業が煩雑である。
【0008】
【特許文献1】特開平05−174222号公報
【特許文献2】特開平06−333118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する従来の硬貨収容カセットでは、手又は指で残す硬貨又はボタンを押さえるようにしていたから、該押さえる作業が難しく、そのため硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部を残して回収する作業が煩雑であった。
【0010】
また、硬貨収容カセットを倒して硬貨を回収する従来の硬貨収容カセットでは、硬貨収容カセットに開口又はボタンを形成する必要があったから、構造が複雑であり、また開口やボタンが形成されていない既存の硬貨収容カセットには、開口又はボタンを追加することはできない。
【0011】
また、硬貨収容カセットにボタンを設ける従来の硬貨処理装置では、残す硬貨の枚数が予め配置されたボタンの位置に限定されてしまうから、所定の枚数の硬貨しか残すことができない。
【0012】
この発明は、上述した事情に鑑み、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができ、しかも残す硬貨の枚数を任意の枚数にすることができ、硬貨収容カセットに対して汎用であって、簡単な構造の硬貨回収補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨を収容するカセット本体と、該カセット本体の一側を開閉自在に覆う蓋体とを具えた硬貨収容カセットの前記蓋体の内周壁面に嵌着される弾性体であって、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の硬貨回収補助具は、硬貨収容カセットの蓋体の内周壁面に嵌着される弾性体であり、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持するようにしたから、手又は指で硬貨又はボタンを押さえていた場合に比し、硬貨を押圧し支持する作業が簡単になり、そのため硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができ、しかも弾性体の嵌着位置を変更することによって残す硬貨の枚数を任意の枚数にすることができ、硬貨収容カセットに嵌着されるものであるから簡単な構造であり、既存の硬貨収容カセットにも嵌着できるので汎用性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の硬貨回収補助具の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0016】
この発明の第一実施例の硬貨回収補助具1〜5は、図1で示すように、硬貨収容カセット71の蓋体71bに嵌着されるものである。
図1は、この発明の第一実施例の硬貨回収補助具が、硬貨収容カセットに嵌着された様子を示す概念斜視図であって、硬貨収容カセットの蓋体が開いている様子を示す図である。図1乃至後述する図14では、図15と同一部分を同一符号で示している。
図1で示すように、硬貨収容カセット71は、図示せぬ硬貨K1、K2、K3、K4を収容するカセット本体71aと、該カセット本体71aの一側71cを開閉自在に覆う蓋体71bとを具えている。このうち、蓋体71bはカセット本体71aに回動自在に支承されている。
【0017】
また、硬貨収容カセット71は、複数のコインチューブ73〜77を有している。
このうち、コインチューブ73は、カセット本体71aの内周壁面73aと蓋体71bの内周壁面73bとによって形成される。
図1では、硬貨収容カセット71の蓋体71bを開いている様子を示しているが、硬貨収容カセット71を、図示せぬ硬貨処理装置の図示せぬ装置本体に装着する際には、蓋体71bが閉じた状態で装着される。また、硬貨収容カセット71を上記硬貨処理装置の装置本体に装着している状態では、蓋体71bは閉じられている。
蓋体71bが閉じられている状態では、カセット本体71aの一側71cが蓋体71bによって覆われ、またカセット本体71aの内周壁面73aと、蓋体71bの内周壁面73bとによって、硬貨K1を収容する円筒形のコインチューブ73が形成されている。そのため、この硬貨収容カセット71が、図示せぬ自動販売機内の硬貨処理装置の装置本体に装着されている場合には、該自動販売機の利用者が硬貨を投入すると、コインチューブ73の開口部72を介してコインチューブ73内に該硬貨を収容できる。また、投入された硬貨はコインチューブ73内に、その図示せぬ底面から積み重ねられて収容される。
なお、硬貨収容カセット71が上記硬貨処理装置の装置本体に装着された場合には、蓋体71bが該装置本体に覆われるとともに、カセット本体71aのうち蓋体71bが配設されている一側71cとは反対側の面が、硬貨処理装置の外面の一部として露出する。硬貨収容カセット71および上記硬貨処理装置の詳細な構造については、特開2002−63640号公報等を参照されたい。
【0018】
また、図1で示すように、硬貨収容カセット1の蓋体71bを開いた時、コインチューブ73内に硬貨が収容されている場合には、収容されている硬貨の外周面略半分が硬貨収容カセット71から露出する。
【0019】
なお、硬貨収容カセット1の蓋体71bが閉じられると、カセット本体71aに収容されている硬貨の外周面は蓋体71bによって覆われ、該硬貨は、円筒形のコインチューブ73に収容されることとなる。
【0020】
また、コインチューブ74〜77の構成は、上述したコインチューブ73の構成と同様である。なお、図1では、各コインチューブ74〜77を形成している各内周壁面73a、73bの各符号及びコインチューブ74〜77の開口部72の符号の図示を省略している。
また、この実施例では、コインチューブ73およびコインチューブ75は、硬貨K1(例えば10円硬貨)を収容し、コインチューブ74は、硬貨K2(例えば50円硬貨)を収容し、コインチューブ76は硬貨K3(例えば100円硬貨)を収容し、コインチューブ77は硬貨K4(例えば500円硬貨)を収容するものとしている。なお、コインチューブ73〜75の各内径S1(図8(a))は、それぞれ、収容する硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外径R1に応じて形成されている。
【0021】
一方、図1で示すように、硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセット71の蓋体71bの各内周壁面73bに嵌着される弾性体である。
【0022】
図2は、図1の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図2(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図2(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
図2で示すように、硬貨回収補助具1は、コインチューブ73(図1)を形成する蓋体71bの内周壁73bに対向する第一の面1aと、該第一の面1aと反対側に形成された第二の面1bとを具えている。
なお、第一の面1aと第二の面1bとの間の距離、すなわち硬貨回収補助具1の厚さは1mm乃至2mm程度である。また、硬貨回収補助具1である弾性体は、たとえば、シリコンゴム又は柔らかい樹脂によって形成されている。
また、第一の面1aと第二の面1bは、図2(a)で示すように、いずれも、蓋体71bの内周面73bと同様に、断面略半円弧形状に形成されている。
また、この硬貨回収補助具1は、第一の面1aの両端1cに凹凸部1dが形成されている。
なお、この硬貨回収補助具1の外径D1は、コインチューブ73の内径S1(図8(a))よりも若干大きく形成されている(D1>S1)。
【0023】
また、図1に示す硬貨回収補助具2〜5は、上記した硬貨回収補助具1と同様の構造である。ただし、硬貨回収補助具2〜5の各外径D1(図2(a)参照)は、それぞれコインチューブ74〜77の各内径S1(図8(a)参照)に応じ、この各内径S1より若干大きく形成されている。
【0024】
図1、図2に示す硬貨回収補助具1〜5は、個々に形成されたものであるが、これらの硬貨回収補助具を一体に形成し、それから所望の大きさに切り離して使用するようにも出来る。
図3は、図1の硬貨回収補助具を切り離して作る時に用いる1枚の弾性体を示す概念斜視図である。また、図4は、図3に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図4の上段に該弾性体の平面図を示し、図4の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図4の下段右に該弾性体の正面図を示した図である。
【0025】
図3および図4で示すように、この1枚の弾性体11は、複数の硬貨回収補助具1を具えてなる群13と、複数の硬貨回収補助具2を具えてなる群14と、複数の硬貨回収補助具3を具えてなる群15と、複数の硬貨回収補助具4を具えてなる群16と複数の硬貨回収補助具5を具えてなる群17とが一体に形成されている。
なお図4のY方向は、各硬貨回収補助具1〜5が嵌着された蓋体71b(図1)を閉めた場合に各コインチューブ73〜77の長手方向に沿った方向と平行になる方向である。また、図4のX方向は、Y方向と直角であり、各硬貨回収補助具1〜5が嵌着された蓋体71b(図1)を閉めた場合にコインチューブ73〜77が配列されている方向と平行になる方向である。
【0026】
また、図4で示すように、弾性体11には、群13中の硬貨回収補助具1と、これと隣り合う同じ群13中の硬貨回収補助具1との間に、切り取り溝11cが形成されている。
また、群14〜17中の各硬貨回収補助具2〜5についても、群13中の各硬貨回収補助具1と同様に、互いに隣り合う同じ群14〜17中の硬貨回収補助具同士の間に、それぞれ切り取り溝11cが形成されている。
【0027】
また、弾性体11には、各切り取り溝11cの少なくとも一端が臨む孔11bが形成されている。この孔11bは、互いに隣り合う群13と群14との間、群14と群15との間、群15と群16との間および群16と群17との間に、それぞれ形成されている。
また、弾性体11には、互いに隣り合う群13と群14との間、群14と群15との間、群15と群16との間、群16と群17との間に、それぞれ溝11aが形成されており、この各溝11a上に、上記した孔11bが配置されている。
【0028】
また、群13〜17の各切り取り溝11cは、それぞれコインチューブ73〜77に収容される各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各板厚に応じた間隔をあけて形成されている。
たとえば、同一群13中の各切り取り溝11cは、群13が硬貨回収補助具1を具えてなるものであり、この硬貨回収補助具1は、硬貨K1を収容するコインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着するものだから、該切り取り溝11cと、これと隣り合う同じ群13中の切り取り溝11cとの間隔が、硬貨K1を所定枚数積み重ねてなる高さ、いいかえると硬貨K1の板厚の所定倍である距離にされている。なお、この実施例では、群13中の各切り取り溝11cと、これと隣り合う同じ群13中の切り取り溝11cとの間隔が、硬貨K1を5枚積み重ねてなる高さにされている。
なお、同一群14中の各切り取り溝11c、同一群15中の各切り取り溝11c、同一群16中の各切り取り溝11c、同一群17中の各切り取り溝11cについても、上述した同一群13中の各切り取り溝11cと同様に、群13〜17中の各切り取り溝11cとこれと隣り合う同じ群中の切り取り溝11cとの間隔が、コインチューブ73〜77にそれぞれ収容する各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の金種を示す、図3に数値で表示された数値の各硬貨を所定枚数積み重ねてなる高さにされている。
【0029】
このような1枚の弾性体11から、まず、硬貨回収補助具1からなる群13を取り出す。
群13を取り出すには、図5のA−Aで示すように、群13と群14とを切り離す。このとき、群13と群14との間には溝11aが形成されているから、溝11aに沿って切り離せばよく、そのため群13と群14との切り離しが容易である。さらに、この溝11a上には孔11bが形成されているので、この孔11bによって群13と群14との切り離しは一層容易である。
【0030】
次に、図6のように取り出された群13から、1つの硬貨回収補助具1を取り出す。
たとえば、図6のB−Bおよび図6のC−Cで示すように、取り出す硬貨回収補助具1と、それと隣り合う各硬貨回収補助具1とを切り離せば、図7で示すように、1つの硬貨回収補助具1を取り出すことができる。
このとき、互いに隣り合う各硬貨回収補助具1同士の間には切り取り溝11cが形成されているので、この切り取り溝11cに沿って切り離せばよく、そのため隣り合う硬貨回収補助具1同士の切り離しが容易である。
さらに、切り取り溝11cの少なくとも一端は孔11bに臨んでいるので、この孔11bによって、互いに隣り合う硬貨回収補助具1同士の切り離しは一層容易である。
【0031】
また、各硬貨回収補助具2〜7を切り離す場合にも、それぞれ各群13〜17をこれと隣接する群から切り離し、該群13〜17中の1つの硬貨回収補助具2〜7をこれと隣接する硬貨回収補助具2〜7から切り離せばよい。またその際、上述した硬貨回収補助具1と同様に、切り取り溝11c又は溝11aに沿って切り離しを行えばよい。
【0032】
なお、上述した図5〜図7は、図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図である。特に図6は、図5のA−Aに沿ってその両側の群同士を切り離した様子を示す図である。また特に、図7は、図6のB−BおよびC−Cに沿ってそれぞれ、その両側の硬貨回収補助具同士を切り離し、図1の硬貨回収補助具を切り離した様子を示す図である。
【0033】
次に、図2に示す1個ずつ成形した硬貨回収補助具を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着させる動作、およびコインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bからそれぞれ取り外す動作を説明する。
【0034】
図1で示すように、硬貨回収補助具1(図2)を、コインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着させるには、図2の硬貨回収補助具1の両端1cを指で挟んでつまみ、第一の面1aを蓋体71bの内周壁面73bに接触させた後、指をはなす。すると、硬貨回収補助具1は弾性体であるので、該硬貨回収補助具1が内周壁面73bに嵌着される。
【0035】
また、内周壁面73bに嵌着された硬貨回収補助具1を、該内周壁面73bから取り外すには、両端1cを挟むように指でつまみ、これにより第一の面1aを内周壁面73bから引き離せばよい。
なお、嵌着された硬貨回収補助具1の両端1cには、図8(b)で示すように凹凸部1dが形成されているので、凹凸部1dと内周壁面73bとの間に隙間が形成され、この隙間によって、硬貨回収補助具1の両端1cをつまんで第一の面1aを内周壁面73bから引き離す作業がしやすく、そのため収容硬貨保持具1を内周壁面73bから取り外すことが容易である。
【0036】
また、図1に示すように、硬貨回収補助具2〜5は、コインチューブ74〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着されるが、硬貨回収補助具2〜5の嵌着動作は、上述した硬貨回収補助具1の嵌着動作と同様である。また、嵌着した硬貨回収補助具2〜5の取り外し動作は、上述した収容硬貨保持具1の取り外し動作と同様である。
【0037】
また、硬貨回収補助具1〜5を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着させる場合には、図1および図8(b)で示すように、該嵌着された蓋体71bを閉めたときに、硬貨回収補助具1〜5が、各コインチューブ73〜77内に残す硬貨のうち、一番上に積み重ねられている硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外周面と対向する位置(以下、単に「嵌着位置」という。)に嵌着させる。
例えば、コインチューブ73が透明樹脂製で蓋体71bに硬貨の収納枚数を示す目盛りが形成されている場合には、コインチューブ73内に残す硬貨K1の所望の枚数が40枚であったら、コインチューブ73に40枚目に収容された硬貨K1に相当する蓋体71bの内周面73bから見える目盛り「40」の箇所に、硬貨回収補助具1の上部が来るように硬貨回収補助具を嵌着させる。
【0038】
図8は、図2の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図8(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図8(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を付勢した様子を示す概念断面図であり、図8(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図である。
図8(a)の矢印Eで示すように、硬貨回収補助具1が内周壁面73bに嵌着された蓋体71bを閉める(図8(c)参照)。すると、図8(b)で示すように、該嵌着された硬貨回収補助具1である弾性体が、蓋体71bを閉める方向に付勢される。また、この付勢された弾性体によって、該弾性体と対向するカセット本体71aに収容された硬貨K1は、カセット本体71aの内周壁面73aへ向けて押圧され、該押圧された硬貨K1は、硬貨回収補助具1の第二の面1bとカセット本体71aの内周壁面73aとによって支持される。
また、硬貨K1が押圧され支持された状態を維持して、カセット本体71aを倒す。すると、押圧され支持された硬貨K1より上に積み重ねられ収容された硬貨K1を、コインチューブ73から開口部72を介し排出させて該硬貨K1を回収することができるとともに、押圧され支持された硬貨K1およびその硬貨K1とコインチューブ73の図示せぬ底面との間に積み重ねられている硬貨K1を、コインチューブ73を形成するカセット本体73内に残すことができる。
【0039】
また、硬貨回収補助具2〜5も、上記した硬貨回収補助具1と同様に、嵌着位置と対向する各硬貨K2、K1、K3、K4を押圧して支持するので、この状態を維持して硬貨収容カセット71を倒すと、該押圧され支持された硬貨K2、K1、K3、K4より上に積み重ねられ収容された硬貨K2、K1、K3、K4を、コインチューブ74〜77から各開口部72を介し排出させて該硬貨を回収することができるとともに、押圧され支持された硬貨K2、K1、K3、K4およびその硬貨と各コインチューブ74〜77の図示せぬ各底面との間に積み重ねられている硬貨K2、K1、K3、K4を、それぞれコインチューブ74〜77内に残すことができる。
【0040】
以上説明したように、この発明では、硬貨回収補助具1〜5が装着された後、該硬貨回収補助具1〜5が蓋体71bを閉める方向に付勢された時、硬貨回収補助具1〜5により、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、カセット本体71aの内周壁面73aへ向けて押圧し支持するようにしている。
また、この硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセット71の蓋体71bの各内周壁面73bに嵌着される弾性体であって、該弾性体が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記弾性体により、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、カセット本体71aの各内周壁面73aへ向けて押圧し支持するようにしたものである。
該硬貨回収補助具1〜5である弾性体を蓋体71bを閉める方向に付勢するには、図8(c)で示すように蓋体71bを手で押すことにより、蓋体71bを閉じればよい。また、この付勢を行うとき、蓋体71bのどの位置を押さえてもよい。そのため、従来のように手又は指で直接、硬貨を押さえる又はボタンを押さえていた場合に比し、手で押さえる範囲が広がるから、硬貨K1、K2、K1、K3、K4を押圧し支持する作業が簡単になり、そのため、収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4をその一部の硬貨を残して回収する作業を簡単に行うことができる。
【0041】
また、硬貨収容カセット71の蓋体71bは通常、プラスチック等の合成樹脂から形成されているから変形しにくい。そのため硬貨回収補助具1〜5は、硬貨を手で押さえる又はボタンを押さえていた場合に比し、可及的に均一に各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面を押圧できるので、該硬貨を押圧し支持する作業が簡単になる。
【0042】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71に開口、又はボタンを形成する必要がなく、そのため構造が簡単である。
【0043】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71に開口、又はボタンを形成する必要がなく、開口又はボタンが形成されていない既存の硬貨収容カセットに硬貨回収補助具1〜5を嵌着させれば、該既存の硬貨収容カセットに収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を回収する場合に、その一部の硬貨を残すことができる。
したがって、この硬貨回収補助具1〜5は、硬貨収容カセットに対し汎用の硬貨回収補助具1〜5といえる。
【0044】
また、この実施例の硬貨回収補助具1〜5は、カセット本体71aの内周壁面73bに嵌着されるものであるから、従来のように硬貨収容カセット71にボタンを形成する必要がなく、そのため該ボタンの位置に、残す硬貨の枚数が限定されることはない。また硬貨回収補助具1〜5の嵌着位置も任意に変更できる。したがって、硬貨収容カセット71の各コインチューブ73〜77内にそれぞれ任意の枚数の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残すことができる。
【0045】
また、この実施例の硬貨回収補助具1はカセット本体73aを傾けることにより、開口部72を介しコインチューブ73内の複数枚の硬貨を一括して排出させて回収でき、これにより、従来の自動回収機能を働かせた場合のように、コインチューブ73内に収容された硬貨を1枚ずつ該コインチューブ73の各下端部から排出させて回収するものに比し、各コインチューブ73内に収容された複数枚の硬貨を回収する回収時間全体を短くでき、そのため、その回収作業が簡単である。なお、硬貨回収補助具2〜5についても、この硬貨回収補助具1と同様である。
【0046】
また、硬貨収容カセット71は、蓋体71bの内周壁面73bとカセット本体71aの内周壁面73aとによってそれぞれ形成されるコインチューブ73〜77を有しており、硬貨回収補助具1〜5である弾性体は、各コインチューブ73〜77をそれぞれ形成する蓋体71bの各内周壁面73bにそれぞれ嵌着され、該嵌着された各弾性体を蓋体71bを介して蓋体71bを閉める方向に付勢し、該付勢された各弾性体により、各コインチューブ73〜77を形成するカセット本体71aに収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、各コインチューブ73〜77をそれぞれ形成するカセット本体71aの各内周壁面73aへ向けてそれぞれ押圧し支持するものである。
従来、コインチューブ73〜77に積み重ねられた硬貨枚数の差が大きい場合には、手又は指で直接、硬貨を押さえる又はボタンを押さえる作業が難しかったが、この実施例の硬貨回収補助具では、蓋体71bを介してコインチューブ73〜77に嵌着された各弾性体を、一括して付勢することができる。
したがって、従来に比し、各コインチューブ73〜77に収容された各硬貨K1、K2、K1、K3、K4を、その一部の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残して回収する作業が簡単になる。
【0047】
さらに、この実施例の各硬貨回収補助具1〜5には、それぞれ、互いに隣り合う硬貨回収補助具同士を互いに切り離す切り取り溝11c又は孔11bが形成されている。したがって、この切り取り溝11c又は孔11bによって、互いに隣り合う硬貨回収補助具同士を切り離す作業が簡単になる。
【0048】
なお、上述した第一実施例の硬貨回収補助具1〜5では、第二の面1bに突起は形成されていないが、この発明の硬貨回収補助具は、この実施例に限定されず、第二の面1bに突起が形成されたものであってもよい。
【実施例2】
【0049】
図9は、この発明の第二実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図9(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図9(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。この図9では図2と同一部分を同一符号で示している。
図9で示すように、この発明の第二実施例の硬貨回収補助具21には、硬貨K1と対向する第二の面1bに、硬貨K1を押圧する突起部22が形成されている。
【0050】
この第二実施例の硬貨回収補助具21を、図10(a)で示すように、コインチューブ73を形成する蓋体71bの内周壁面73bに嵌着する場合には、突起22を両側から指でつまんで、第一の面1aを蓋体71bの内周壁面73bに押し付けて該内周壁面73bに接触させた後、指をはなすようにすればよい。また、嵌着した硬貨回収補助具22を蓋体71bの各内周面73bから取り外す場合には、突起22を両側から指でつまみ、これにより第一の面1aを内周壁面73bから引き離せばよい。
このように突起22をつまむことができると硬貨回収補助具1の両端11cをつまむことなく、硬貨回収補助具21を嵌着し又は取り外すことができるので、第一の実施例の硬貨回収補助具1に比し、硬貨回収補助具を嵌着する作業又は取り外す作業が容易である。
【0051】
さらに、硬貨回収補助具21の両端1cには、第一の面1aに凹凸部1dが形成されており、凹凸部1dと内周壁面73bとの間には隙間が形成されているので、この隙間によって、嵌着している硬貨回収補助具21を内周壁面73bから取り外す作業は一層容易である。
【0052】
図10は、図9の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図10(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図10(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を示す概念断面図であり、図10(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図である。
図10(a)の矢印Eで示すように、第二実施例の硬貨回収補助具21が嵌着された蓋体71を閉じ(図10(c)参照)、これにより蓋体71bを介し、硬貨回収補助具21である弾性体を、蓋体71bを閉じた方向に付勢する。すると、図10(b)で示すように、該弾性体の突起22の面22aが、硬貨K1の外周面を押圧し、該硬貨K1を面22aと内周壁面73aとによって支持する。この硬貨K1は、図8(b)で示すように第二の面1b全体で押圧される場合に比し、より強い力によって押圧され支持されるから、この第二実施例の硬貨回収補助具21によれば、第一実施例の硬貨回収補助具1に比し、収容された硬貨K1をその一部の硬貨K1を残して回収する作業がより簡単となる。
なお、該一部の硬貨を残すためには、硬貨回収補助具21を、蓋体71bの内周壁面73bの上記嵌着位置に嵌着させる必要があることは、第一実施例の硬貨回収補助具1〜5と同様である。
【0053】
また、上述した第一の実施例の各硬貨回収補助具1〜5(図1)は、互いに分離しているものとし、第二の実施例の収容硬貨保持部21についても同様であることとしたが、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨保持具1〜5が一体形成されているものであってもよい。
【実施例3】
【0054】
図11は、この発明の第三実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図11(a)は該硬貨回収補助具の概念底面図であり、図11(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
図11(a)および図11(b)で示すように、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5を一つずつ具えている。また、この硬貨回収補助具1〜5は互いに一体形成されている。
【0055】
この第三実施例の硬貨回収補助具31は、図3および図4で示す1枚の弾性体11から、硬貨保持具1〜5を互いに分離することなく切り取ることによりつくることができる。
また、この切り取りは、各コインチューブ73〜77に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の所望の枚数に合わせて行えばよい。
【0056】
この第三実施例の硬貨回収補助具31を蓋体71bに嵌着させる際には、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5を、コインチューブ73〜77を形成する蓋体71bの各内周壁面73bの上記各嵌着位置に嵌着させる必要があることは、第一実施例および第二実施例の硬貨回収補助具1〜5、21で述べたとおりである。
この第三実施例の硬貨回収補助具31では、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5が互いに一体形成されているので、硬貨回収補助具1〜5のいずれか1つの硬貨回収補助具の嵌着位置を決定すれば、他の収容硬貨の嵌着位置も自動的に決定される。
そのため、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5を各内周壁面73bに嵌着する際に各硬貨回収補助具1〜5ごとに嵌着位置を決定することなく、硬貨回収補助具1〜5を嵌着できる。
したがって、第三実施例の硬貨回収補助具31は、第一実施例および第二実施例のものに比し、硬貨回収補助具1〜5の嵌着作業が簡単であり、また第三実施例の硬貨回収補助具31は、各コインチューブ73〜77に残す硬貨の枚数がすべて決まっている場合の硬貨回収補助具として好ましい。
また、第三実施例の硬貨回収補助具31では、硬貨回収補助具1〜5が一体形成されているから、嵌着した硬貨回収補助具1〜5を各内周壁面73bから取り外す作業も、第一および第二の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21に比し簡単である。
【0057】
また、第一実施例および第三実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31では、硬貨回収補助具1〜5を1つずつ配置するものとしたが、この発明の硬貨回収補助具は、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ具えており、かつこれらを一体形成した弾性体であってもよい。
【実施例4】
【0058】
図12は、この発明の第四実施例の硬貨回収補助具の構造を示す概念図であって、図12の上段に該弾性体の平面図を示し、図12の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図12の下段右に該弾性体の正面図を示した図である。
この第四実施例の硬貨回収補助具41は、蓋体71bを開けた時に露出する硬貨を覆うように取り付けるもので、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ具えており、これらが一体形成されている。
【0059】
この硬貨回収補助具41を取り付けた場合は、蓋体71bを閉めたときに、Y方向(図4参照)の一番上に位置する各硬貨回収補助具1〜5が、それぞれ、コインチューブ73〜77内に残す所望枚数の硬貨K1、K2、K1、K3、K4のうち、一番上に積み重ねられている硬貨K1、K2、K1、K3、K4の各外周面と対向する位置に合わせて取り付ける。
【0060】
この第四実施例の硬貨回収補助具41は、図13で示す1枚の弾性体から、所望の数の硬貨保持具1〜5を互いに分離することなく切り取ることによりつくることができる。
なお、1枚の弾性体11からの切り取りは、各コインチューブ73〜77に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の所望の枚数に合わせて行えばよく、図2で示すように、各コインチューブ73〜77内に残す各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の枚数を、互いに異ならせてもよいことはもちろんである。
【0061】
この第四実施例の硬貨回収補助具41では、その構成要素である硬貨回収補助具1〜5が互いに一体形成されているので、硬貨回収補助具1〜5の嵌着作業および取り外し作業が簡単であり、また第四実施例の硬貨回収補助具41は、各コインチューブ73〜77に残す硬貨の枚数がすべて決まっている場合の硬貨回収補助具として好ましい。
【0062】
さらに、この硬貨回収補助具41は、硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ所望の数ずつ配置しているので、各硬貨回収補助具1〜5をそれぞれ一つずつ配置した第一乃至三の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31に比し、押圧支持する硬貨の枚数が多くなる。したがって、この硬貨回収補助具41は、第一乃至三の実施例の硬貨回収補助具1〜5、21、31に比し、可及的に確実に所望の枚数の硬貨を残すことができる。
【0063】
さらに、この第四の実施例の硬貨回収補助具41は、図14で示すように、蓋体71bを開いた場合に、蓋体71bを閉じることなく、各コインチューブ73〜77に収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4をその一部の硬貨K1、K2、K1、K3、K4を残して回収することもできる。
蓋体71bを閉じないでこの回収を行うには、蓋体71bを開いた場合に露出する各硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面(図示しない)を硬貨回収補助具41で覆うとともに該硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面に各硬貨回収補助具1〜5の第二の面1bを嵌め合わせるように硬貨回収補助具41を装着し、次に該硬貨回収補助具41を直接手で押さえて蓋体71bを閉める方向に付勢し、この付勢を維持して硬貨収容カセット1を倒せばよい。
このようにすれば、硬貨回収補助具41を蓋体71bを閉じた場合と同様に、硬貨回収補助具1〜5である弾性体によって、カセット本体71aに収容された硬貨K1、K2、K1、K3、K4の外周面が押圧され該硬貨が支持される。
なお、上述した図13は、図12に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図13の上段に該弾性体の平面図を示し、図13の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図13の下段右に該弾性体の正面図を示している。また、図14は、図12の硬貨回収補助具を用いて、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する様子を示す概念斜視図である。また、この図14では硬貨回収補助具41の一端11dが、蓋体71bを開けた際に露出するカセット本体71aの縁に沿って配置されている様子も図示している。このように硬貨回収補助具41の一端11dを、蓋体71bを開けた際に露出するカセット本体71aの縁に沿って配置すれば、残す硬貨を覆う硬貨回収補助具41の位置決めが容易である。図12〜図14の符号20は、各硬貨回収補助具1〜5の第一の面1aに形成された目盛であって、各硬貨回収補助具1〜5に対応する各コインチューブ73〜77の収容硬貨の枚数を示す数値である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、この発明の第一実施例の硬貨回収補助具が、硬貨収容カセットに嵌着された様子を示す概念斜視図であって、硬貨収容カセットの蓋体が開いている様子を示す図。
【図2】図1の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図2(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図、図2(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図。
【図3】図1の硬貨回収補助具を切り離してつくる時に用いる1枚の弾性体を示す概念斜視図である。
【図4】図3に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図4の上段に該弾性体の平面図を示し、図4の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図4の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図5】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図。
【図6】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図であって、特に図6は、図5のA−Aに沿ってその両側の群同士を切り離した様子を示す図。
【図7】図3に示した1枚の弾性体から、図1の硬貨回収補助具を切り離す手順を示す概念図であって、特に図7は、図6のB−BおよびC−Cに沿ってそれぞれ、その両側の硬貨回収補助具同士を切り離し、図1の硬貨回収補助具をつくった様子を示す図。
【図8】図2の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図8(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図8(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を付勢した様子を示す概念断面図であり、図8(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図。
【図9】この発明の第二実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図9(a)は該硬貨回収補助具の概念正面図であり、図9(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図。
【図10】図9の硬貨回収補助具が硬貨収容カセットに装着された様子を示す図であって、特に図10(a)は蓋体が開いている様子を示す概念断面図であり、図10(b)は蓋体を閉じる方向に硬貨回収補助具である弾性体を示す概念断面図であり、図10(c)は、その付勢を、蓋体を手で押すことにより蓋体を閉じる動作によって、行っている様子を示す参考概念断面図。
【図11】この発明の第三実施例の硬貨回収補助具の構造を示す図であって、特に図11(a)は該硬貨回収補助具の概念底面図であり、図11(b)は該硬貨回収補助具の概念斜視図である。
【図12】この発明の第四実施例の硬貨回収補助具の構造を示す概念図であって、図12の上段に該弾性体の平面図を示し、図12の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図12の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図13】図12に示した1枚の弾性体を説明する概念図であって、図13の上段に該弾性体の平面図を示し、図13の下段左に該弾性体の左側面図を示し、図13の下段右に該弾性体の正面図を示した図。
【図14】、図14は、図12の硬貨回収補助具を用いて、硬貨収容カセットに収容された硬貨をその一部の硬貨を残して回収する様子を示す概念斜視図である。
【図15】従来の硬貨を回収する動作を説明するための図であって、特に図15(a)は、硬貨処理装置から取り外され、かつ蓋体が開けられている途中の硬貨収容カセットの概念側面図であり、図15(b)はこの硬貨収容カセットの概念斜視図。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3、4、5、21、31、41…硬貨回収補助具
1、2、3、4、5、21、31、41…弾性体
11…1枚の弾性体
11b…孔
11c…切り取り溝
20…目盛
22…突起
71…硬貨収容カセット
71a…コインチューブ本体
71b…蓋体
71c…コインチューブ本体の一側
73、74、75、76、77…コインチューブ
73a…コインチューブを形成するカセット本体の内周壁面
73b…コインチューブを形成する蓋体の内周壁面
E…蓋体を閉める方向
K1、K2、K3、K4…硬貨
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収容するカセット本体と、該カセット本体の一側を開閉自在に覆う蓋体とを具えた硬貨収容カセットに収容された硬貨を、その一部を残して他を回収する時に使用する硬貨回収補助具であって、
該硬貨回収補助具装着後、前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記硬貨回収補助具により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持するようにしたことを特徴とする硬貨回収補助具。
【請求項2】
前記硬貨収容カセットは、前記蓋体の内周壁面と前記カセット本体の内周壁面とによって形成されるコインチューブを複数有し、
前記硬貨回収補助具は弾性体であり、各コインチューブをそれぞれ形成する前記蓋体の各内周壁面にそれぞれ嵌着され、該硬貨回収補助具が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢した時、前記硬貨回収補助具により、各コインチューブを形成するカセット本体に収容された各硬貨を、各コインチューブをそれぞれ形成するカセット本体の各内周壁面へ向けてそれぞれ押圧し支持するようにしたことを特徴とする請求項(1)に記載の硬貨回収補助具。
【請求項1】
硬貨を収容するカセット本体と、該カセット本体の一側を開閉自在に覆う蓋体とを具えた硬貨収容カセットに収容された硬貨を、その一部を残して他を回収する時に使用する硬貨回収補助具であって、
該硬貨回収補助具装着後、前記蓋体を閉める方向に付勢された時、前記硬貨回収補助具により、カセット本体に収容された硬貨をカセット本体の内周壁面へ向けて押圧し支持するようにしたことを特徴とする硬貨回収補助具。
【請求項2】
前記硬貨収容カセットは、前記蓋体の内周壁面と前記カセット本体の内周壁面とによって形成されるコインチューブを複数有し、
前記硬貨回収補助具は弾性体であり、各コインチューブをそれぞれ形成する前記蓋体の各内周壁面にそれぞれ嵌着され、該硬貨回収補助具が嵌着された前記蓋体を閉める方向に付勢した時、前記硬貨回収補助具により、各コインチューブを形成するカセット本体に収容された各硬貨を、各コインチューブをそれぞれ形成するカセット本体の各内周壁面へ向けてそれぞれ押圧し支持するようにしたことを特徴とする請求項(1)に記載の硬貨回収補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−146178(P2010−146178A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321172(P2008−321172)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]