説明

硬質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】発泡剤としてシクロペンタンおよび水を使用した場合でも、断熱材としての断熱性(低熱伝導度)を保持し、特に高い圧縮強度を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤および触媒から硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、特定組成のジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールをポリオールの一部として使用する製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に冷凍庫、冷蔵庫、建材等の断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。特にシクロペンタンと水の発泡剤によって製造され、優れた圧縮強度を有する硬質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性(低熱伝導度)と共に、冷凍庫、冷蔵庫、建材等の構造強度に寄与する部材としての必要性から、接合する部材との接着性や寸法変化が小さいこと(寸法安定性)また特に高い圧縮強度を有していることなど良好な性能が求められている。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームの製造においては発泡剤の使用は必要であり、発泡剤としてはハイドロクロロフルオロカーボン類(以下「HCFC」という)やハイドロルオロカーボン類(以下「HFC」という)が使用されてきた。しかし、HCFCはオゾン層の破壊などを引き起こすため使用できないという状況にあり、HFC類は二酸化炭素より大きい地球温暖化係数を持っている。
【0004】
従って、地球環境保護の立場から、シクロペンタンを例とする炭化水素や水を発泡剤とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法の確立が望まれている。
【0005】
しかし、炭化水素、特にシクロペンタンを発泡剤に用いた場合、硬質ポリウレタンフォームなどのポリウレタン樹脂に対する溶剤効果(溶解性)が大きく、硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度などの強度や寸法安定性等において、HCFCやHFCと同密度で比較すると低下する傾向にある。シクロペンタンを発泡剤に用いてHCFCやHFCと同様の強度や寸法安定性を得ようとすれば、硬質ポリウレタンフォームの成型品などにおいては充填量を増やして密度を上げる必要が生じる。密度の上昇は製造コストが高くなると共に断熱性(熱伝導度)も悪くなる一因になり好ましくない。従って、シクロペンタンを用いても硬質ポリウレタンフォームの使用量を増やさないようにする必要がある。
【0006】
また、従来から硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられている水酸基やアミノ基などの活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを付加して得られるポリオールと炭化水素の相互溶解性の低さも、圧縮強度や接合する部材との接着性を低下させると考えられる。
【0007】
発泡剤に水を単独あるいは多く用いた場合は、断熱性(熱伝導度)や部材との接着性も悪くなる傾向にあり好ましくない。
【0008】
これらの問題を解消するために、炭化水素や水からなる発泡剤とポリオールとしてジアミノジフェニルメタン及びポリメチレンポリフェニルアミンなどの芳香族アミンを開始剤としアルキレンオキシドを付加して得られるポリオールを使用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法が提案されている。
【0009】
特開昭57−18720公報には、4,4’ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミンのアルキレンオキシド付加物を利用し、耐衝撃性、耐熱性に優れる硬質ポリウレタンフォームの製造方法について記載されている。しかし、ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミンを開始剤とするポリオールは、官能基数が4.0であり硬質ポリウレタンフォームの強度を出すという面ではあまり好ましくない。
【0010】
特開昭61−69825公報には、ジフェニルメタンジアミン及びポリメチレンポリフェニルアミンの混合物にアルキレンオキシドを付加したポリオールを含む活性水素化合物を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造した場合に、硬質ポリウレタンフォームが低温寸法安定性に優れ、熱伝導度が低いことが記載されている。しかし、圧縮強度などが不充分である。
特開平5−186553公報には、ジフェニルメタンジアミン及びポリメチレンポリフェニルアミンの混合物にアルキレンオキシドを付加したポリオールを含む活性水素化合物を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造した場合に、硬質ポリウレタンフォームが、断熱性、強度物性および低温寸法安定性に優れていることが記載されている。しかし、圧縮強度などが不充分である。
【0011】
【特許文献1】特開昭57−18720公報
【特許文献2】特開昭61−69825公報
【特許文献3】特開平5−186553公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発泡剤としてシクロペンタンおよび水を使用し、断熱材としての断熱性(低熱伝導度)を保持し、特に高い圧縮強度を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法については、まだ充分とは言えない。
【0013】
本発明の目的は、発泡剤としてシクロペンタンおよび水を使用し、断熱材としての断熱性(低熱伝導度)を保持し、特に高い圧縮強度を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する為に、硬質ポリウレタンフォームの製造において、発泡剤としてシクロペンタンおよび水を使用した場合でも、特定組成のジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物(以後「MMDAとPMDA混合物」と言う)にアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールをポリオールの一部として使用することで、断熱材としての断熱性(低熱伝導度)を保持し、特に高い圧縮強度を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤および触媒から硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
発泡剤が炭素数3〜8の炭化水素および水で、
ポリオールの一部に、下記式(1)で表され、
n=0が50〜70重量%で、
n≧1が30〜50重量%のジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物において、
n=4の化合物の量が上記混合物に対して2.5重量%以上である該混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる平均官能基数が4.5以上のポリエーテルポリオールを使用することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法を特徴とする製造方法を提供する。
【化1】

【発明の効果】
【0016】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、発泡剤として地球環境保護に良いシクロペンタンと水を使用し、断熱材としての断熱性(低熱伝導度)を保持し、特に高い圧縮強度を有した硬質ポリウレタンフォームが製造できる。圧縮強度がn=4の化合物の量が2.0重量%以下である場合に比較して7〜20%高くなっている。硬質ポリウレタンフォームは、29〜32kg/mの範囲であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
芳香族ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上有する有機ポリイソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(2.4TDIや2.6TDI)、4.4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(4.4’MDI)、2.4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(2.4’MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートがある。それらの変性品として活性水素化合物との反応物のウレタン変性品や、カルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビューレットやアロファネート変性されたものがあり、これらの有機ポリイソシアネートは単独あるいは混合して用いて良い。芳香族ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は20〜48重量%、好ましくは25〜40重量%である。
これらのなかでも好ましいのはポリメリックMDIである。ポリメリックMDIの組成としてはポリメリックMDI中の4.4’MDIが41〜46重量%、2.4’MDIが2〜6重量%、3核体以上の多核体成分48〜57重量%、のものが特に好ましい。
【0019】
ポリオールの一部として、下記式で表されるMMDAとPMDA混合物にアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールを用いる。
【化2】

[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、複数個のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5の整数である。]
【0020】
このポリエーテルポリオールは、一般工業的に用いられる方法で得られ、例えば、アルカリ触媒の存在下でMMDAとPMDA混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる。
アルキレンオキシドとしては炭素数2〜4のエチレンオキシド、プロピレンオキシドが挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシドそれぞれ単独での付加あるいはこれらの併用が好ましい。特に先にエチレンオキシドを付加しておいて次にプロピレンオキシドを付加する末端にプロピレンオキシドが付加されたものが好ましい。
【0021】
MMDAとPMDAの混合物中のn=0で示されるジアミノジフェニルメタンが多い場合は得られる硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度が低くなり実用に適さなくなる。一方、混合物中のn≧1(n=0以外の高次元縮合物/多核体成分とも言う)のポリメチレンポリフェニルアミンが必要以上に多くなると得られるポリエーテルポリオールの粘度が高くなりすぎ硬質ポリウレタンフォームの製造現場での作業性の低下が生じるなど生産効率が落ちる。また熱伝導度も高くなる傾向があり好ましくない。
【0022】
n=0が50〜70重量%でn≧1として30〜50重量%であるMMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる平均官能基数が4.5以上のポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。特にn=0が55〜65重量%でn≧1として35〜45重量%のものが好ましい。
更にn=4の化合物の量がMMDAとPMDA混合物に対して2.5重量%以上[好ましい範囲の例としては2.5〜6.0重量%(n=4以外のn≧1は24〜47.5重量%)]に調整されているものが好ましい。尚一層好ましい範囲の例としては3.0〜5.0重量%(n=4以外のn≧1は25〜46.5重量%)である。
n=0が30〜70重量%でn≧1として30〜50重量%であるMMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる平均官能基数が4.5以上のポリエーテルポリオールで、更にn=4の化合物の量がMMDAとPMDA混合物中に対して2.5重量%以上であれば高い圧縮強度を有した硬質ポリウレタンフォームが得られる。
またn=4が2.5〜6.0重量%(尚一層好ましい範囲として3.0〜5.0重量%)であれば断熱材として必要な熱伝導度も21.0mW/m・K以下に保たれるので更に好ましい。
【0023】
MMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールの水酸基価は250〜550mgKOH/が良く、特に300〜450mgKOH/gが好ましい。
【0024】
MMDAとPMDAの混合物から得られるポリエーテルポリオール以外のその他のポリオールとして、水酸基やアミノ基などの活性水素含有官能基を2つ以上有する化合物あるいはそれらの2種以上の混合物を開始剤としてアルキレンオキシドを付加して得られるポリオールが挙げられる。
その他のポリオールの水酸基価は300〜600mgKOH/が良く、特に350〜550mgKOH/gが好ましい。
【0025】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、多価アルコールなどが有る。
ポリエーテルポリオールの1種以上か、それを主成分としてポリエステルポリオール、多価アルコール、アルカノールアミン、ポリアミンとの併用が良い。
【0026】
ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、糖類、アルカノールアミン、ジアミノジフェニルメタン及びポリメチレンポリフェニルアミン以外のポリアミンなどにプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールが良い。
またポリオールとしてポリエーテルポリオール中にポリマーの微粒子を分散させたポリマーポリオールも使用することが出来る。
【0027】
ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸の縮合系ポリオールや環状エステルの開環重合体系のポリオールなどが有る。
【0028】
開始剤の多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがある。糖類としてはシュークロース、ソルビトールなどが有る。またアルカノールアミンはジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどである。ポリアミンとしてはエチレンジアミン、トリレンジアミンなどがある。
【0029】
これらの開始剤の内、特にアルカノールアミンを開始剤とするポリエーテルポリオールは、MMDAとPMDAから得られるポリエーテルポリオールに混合し粘度を下げるのに好適である。特に好ましいのはジエタノールアミンを開始剤とするポリエーテルポリオールである。
MMDAとPMDAから得られるポリエーテルポリオールの取扱いなどの作業性を考えると、ジエタノールアミンはアルキレンオキシドを付加する前のMMDAとPMDAの混合物に当初から混合しておき、MMDAとPMDAの混合物とジエタノールアミンの混合物から得られるポリエーテルポリオールとして粘度を下げておいた方が好ましい。ジエタノールアミンの混合比率(量)としては、MMDAとPMDAの混合物100重量部に対して25〜55重量部が好ましく、特に35〜45重量部が好ましい。
ジエタノールアミンの混合比率が25〜55重量部の範囲であれば、硬質ポリウレタンフォームの製造現場での作業性に適した粘度のポリエーテルポリオールが得られ作業性の低下が生じない。
【0030】
MMDAとPMDAの混合物から得られるポリエーテルポリオールは、ポリオールの合計[すなわち、MMDAとPMDAの混合物から得られるポリエーテルポリオールとその他のポリオールとの混合物(以後「ポリオール混合物」と言う)]100重量部に対して5〜20重量部を使用するのが好ましい。特に好ましいのは10〜15重量部である。5〜20重量部の範囲であれば硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度を高める事ができる。
【0031】
発泡剤は、炭素数3〜8の炭化水素および水を使用する。炭化水素としては、プロパン、ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどである。用途に応じてこれらは2種類以上の混合物として使用しても良い。これらの中でもシクロペンタンが好ましい。
発泡剤量としてはポリオール混合物100重量部に対して20〜10重量部が好ましく、特に好ましいのは18〜13重量部である。
炭化水素と水の使用比率は、3:1〜10:1が良く、好ましい比率は5:1〜8:1である。炭化水素と水の使用比率が3:1〜10:1の範囲であれば、圧縮強度並びに断熱性(低熱伝導度)や接合する部材との接着性など断熱材としての必要な性能をバランスよく有することが出来る。
【0032】
触媒は、有機ポリイソシアネートとポリオールを反応させる際に使用し、ピペラジン、トリアジン、トリエチレンジアミンなどの3級アミン触媒、有機錫化合物などの金属化合物系等の触媒が使用される。またカルボン酸金属塩などのイソシアネート基同士を反応させる多量化触媒も必要に応じて用いられる。触媒の量は、ポリオール混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜4.0重量部、より好ましくは、0.3〜3.0重量部であってよい。
【0033】
助剤を使用しても良い。助剤の例は、細やかな気泡を形成する整泡剤、特にシリコーン系整泡剤である。その他の助剤としては、難燃剤、着色剤、充填剤、減粘剤などがある。助剤の量は、ポリオール混合物100重量部に対して、50重量部以下、例えば0.1〜10重量部であってよい。
【0034】
ポリオール成分の活性水素と有機ポリイソシアネートとの当量比(NCOインデックス)が80〜300、好ましくは100〜200になるように、更に好ましくは105〜125になるようにポリオール成分と有機ポリイソシアネートとの混合比を調整する。
【0035】
以上のように、断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオールの一部として、MMDAとPMDA混合物において、nが0〜5の整数で、n=0が50〜70重量%(好ましくは55〜65重量%)、n≧1として30〜50重量%(好ましくは35〜45重量%)であるMMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる平均官能基数が4.5以上のポリエーテルポリオールであって、更にn=4の化合物の量がMMDAとPMDA混合物に対して2.5重量%以上(好ましい範囲として2.5〜6.0重量%、特に好ましくは3.0〜5.0重量%)に調整されているポリエーテルポリオールをポリオール混合物中に5〜20重量部(特に好ましいのは10〜15重量部)使用することで、発泡剤としてシクロペンタンおよび水を使用しても、(特に密度が29〜32kg/mの)硬質ポリウレタンフォームにおいて、熱伝導度が21.0mW/m・K以下で、特に10%圧縮強度で5〜20%以上高い値を示す硬質ポリウレタンフォーム、好ましくは断熱材用の硬質ポリウレタンフォームが得られる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例において、特記しない限り、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0037】
下記表1に示すような各原料を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造した。以下に各原料および性能の評価方法を示す。
【0038】
[ポリオール]
ポリオールA:
シュークロースとプロピレングリコールの混合物にプロピレンオキサイドを付加した平均官能基数(f)5.6、水酸基価380mgKOH/g、粘度11000mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
ポリオールB:
トルエンジアミンにプロピンレオキサイドを付加した、平均官能基数(f)4.0、水酸基価345mgKOH/g、粘度11000mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
【0039】
ポリオールC:
n≧1が41%で、MMDAとPMDAの混合物に対してn=4が3.5%(n=0が59%、n=4以外のn≧1が37.5%)、平均官能基数(f)が4.8のMMDAとPMDAの混合物とジエタノールアミンの混合物に、始めにエチレンオキサイドを次いでプロピレンオキサイドを付加した、平均官能基数が約4.1、水酸基価410mgKOH/g、粘度13000mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
MMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールを70重量部含む。
ポリオールD:
n≧1が47%で、MMDAとPMDAの混合物に対してn=4が4.8%(n=0が53%、n=4以外のn≧1が42.2%)、平均官能基数(f)が5.0のMMDAとPMDAの混合物とジエタノールアミンの混合物に、始めにエチレンオキサイドを次いでプロピレンオキサイドを付加した、平均官能基数が約4.2、水酸基価410mgKOH/g、粘度13500mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
MMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールを70重量部含む。
【0040】
ポリオールE:
n≧1が33%で、その内のn=4が1.9%、平均官能基数(f)が4.7のMMDAとPMDAの混合物とジエタノールアミンの混合物に、始めにエチレンオキサイドを次いでプロピレンオキサイドを付加した、平均官能基数が約4.0、水酸基価395mgKOH/g、粘度11000mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
MMDAとPMDAの混合物にアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールを70重量部含む。
ポリオールF:トルエンジアミンとトリエタノールアミンの混合物にプロピンレオキサイドを付加した、平均官能基数(f)が3.9、水酸基価410mgKOH/g、粘度5000mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
ポリオールG :
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加した、平均官能基数(f)が2.0、水酸基価500mgKOH/g、粘度60mPa・s(25℃)のポリエーテルポリオール。
【0041】
[硬質ポリウレタンフォーム成型品の製造]
表1に示したポリオール混合物100重量部に、シリコーン整泡剤B8462(ゴールドシュミット社製)を1.9重量部、アミン触媒のToyocatNP(東ソー社製)を1.5重量部とKaoライザーNo3(花王社製)を0.4重量部とKaoライザーNo14(花王社製)0.7重量部と、水2.3重量部およびシクロペンタン14重量部を予め混合(ポリオール成分)した。
ポリオール成分100重量部とイソシアネート基含有率 31.5%のポリメリックMDI(住化バイエルウレタン製:スミジュール44V20)134重量部(NCOインデックス115)を、高圧発泡機を用いて、40℃に温度調整された寸法500×500×50(厚)mmのアルミ製の型に注入し、発泡硬化させて、注入後5分で離型し成型品を得た(ポリオール成分とポリメリックMDIは20〜23℃に温度調整)。
【0042】
[硬質ポリウレタンフォームの性能評価(フォーム物性測定)]
得られた成型品は、20℃の条件下で24時間保管した後、物性測定を次の様にして行った。
(1)コア密度
成型品のスキン層を取り除き、直方体(40×40×25(厚)mm)になるように切り出し、この切り出した試料の重量と水中置換により求めた体積から算出した(n=10)。
(2)10%圧縮強度
コア密度(1)の測定におけるのと同様に直方体に切り出した成型品を、圧縮試験機(島津製作所製、オートグラフAGS-10KNG型式)を用いて、JIS K 7220に準じて測定した(n=10)。
(3)熱伝導度
コア密度(1)の測定におけるのと同様に直方体に切り出した成型品を、熱伝導度測定装置(英引精機社製、HC-074A型式)を用いて、JIS A1412に準じて測定した(n=1)。
【0043】
一般に、断熱材として利用される硬質ポリウレタンフォームの物性として、10%圧縮強度で130kPa以上また熱伝導度で21.0mW/m・K以下が必要とされることが多い。表2に示すように、本発明の特定組成のMMDAとPMDA混合物から得られるポリエーテルポリオールを使用し、コア密度が異なる(29〜32kg/mの範囲で4点)硬質ポリウレタンフォーム成型品を作りフォーム物性の測定を行った。
【0044】
その結果、29.4(Kg/m3)のコア密度の場合は、実施例1と2は比較例1と2に比べ圧縮強度の値が9.0〜17.4%高くなっており、また、30〜32(Kg/m3)のコア密度においても実施例1と2は比較例1と2に比べ圧縮強度の値が7.3〜19.9%高くなっている。この事から、本発明による硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度の値は、コア密度が29〜32(Kg/m3)の範囲において比較例に対して7〜20%高くなっていることが分かる(これは、圧縮強度の値が比較例(従来品)と同じで良い場合は、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、比較例より密度を下げることができる利点を有していると言える)。
【0045】
【表1】


【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤および触媒から硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
発泡剤が炭素数3〜8の炭化水素および水で、
ポリオールの一部に、下記式(1)で表され、
n=0の化合物が50〜70重量%で、
n≧1の化合物が30〜50重量%のジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物において、
n=4の化合物の量が上記混合物に対して2.5重量%以上である該混合物にアルキレンオキシドを付加して得られる平均官能基数が4.5以上のポリエーテルポリオールを使用することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【化1】

[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、複数個のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5の整数である。]
【請求項2】
炭素数3〜8の炭化水素がシクロペンタンである請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
ジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物にアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールの水酸基価が250〜550mgKOH/gであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
ジアミノジフェニルメタンとポリメチレンポリフェニルアミンの混合物から得られるポリエーテルポリオールは、ポリオールの合計100重量部に対して5〜20重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、密度が29〜32kg/mで、圧縮強度がn=4の化合物の量が2.0重量%以下である場合に比較して7〜20%高くなっている請求項1〜4のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2009−57482(P2009−57482A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226422(P2007−226422)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000183299)住化バイエルウレタン株式会社 (33)
【Fターム(参考)】