説明

硬質ポリウレタンフォーム用ポリイソシアネート組成物、及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】 液の貯蔵安定性に極めて優れ、且つ、得られる硬質ポリウレタンフォームにおける優れた接着性能や機械物性(寸法安定性等)を付与することを可能とする、とりわけ水を発泡剤として用いる場合において好適である、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物、及び、該ポリイソシアネート組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供すること。
【解決手段】 有機ポリイソシアネートと、三級アミン含有化合物とモノカルボン酸とを等モルで反応させることにより得られる一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物とからなる硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物を用いることにより、解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物、及び、該ポリイソシアネート組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。なお、本発明において「硬質ポリウレタンフォーム」とは、特に断らない限り「イソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム」を含む概念である。
【背景技術】
【0002】
従来、硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵庫、建築材料等の断熱材として、また、スプレー用途として広範囲に使用されている。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームを製造する際のポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記。)とMDI系多核縮合体(ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート)とを包含するポリメリックMDIが使用されている。
【0004】
一方、硬質ポリウレタンフォームを製造する際の発泡剤として、近年、オゾン層破壊を防止するなどの観点から、従来多用されていた1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどの(ハイドロ)クロロフルオロカーボン類に代えて、水、または、ハイドロカーボン(n−ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等)等が使用され始めている。
【0005】
硬質ポリウレタンフォームが用いられる分野の中には、例えば、断熱性能を有する外壁材の芯材、また、建造物等において断熱性能を付与するべくスプレー発泡による壁面等への施工、といった用途がある。このような分野においては、硬質ポリウレタンフォーム自体に対し、外壁材に用いられる面材、または、建造物等における壁面といった被着体に対する優れた接着性を有することが要求される。
【0006】
前記のように、例えば発泡剤として水を用いた場合、イソシアネート基と水との反応により生成するウレア結合の増加・介在に起因する接着性の低下が従来から知られており、この解決策(硬質ポリウレタンフォーム自体の接着性の向上)が求められていた。
【0007】
このような問題の解決を図る手法として、例えば、種々の被着体に対して良好な接着性を有し、しかも、収縮率が低くて形状安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームを製造することのできるポリイソシアネート組成物として、スルホ基もしくはスルホナト基を分子構造中に有するポリエステルポリオールを反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、ポリエーテルモノオールを反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、シリコーン系整泡剤とを含有するポリイソシアネート組成物を用いる方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0008】
しかしながら、上記の方法により得られるポリイソシアネート組成物は、所望される接着性能は確保できるものの、低温(例えば−5℃)雰囲気下における液貯蔵安定性に劣る(寒冷地における安定供給が困難になる)という問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2005−213306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような背景に基づいてなされたものである。
【0011】
本発明の第1の目的は、優れた接着性を付与できることが可能な硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物、及び、該ポリイソシアネート組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の第2の目的は、液状での貯蔵安定性、とりわけ優れた低温(例えば−5℃)雰囲気下における液貯蔵安定性に優れた(寒冷地における安定供給が可能な)硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物、及び、該ポリイソシアネート組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第3の目的は、併せて、従来用いられている硬質ポリウレタンフォームと同等もしくはそれ以上の所望される機械物性を有する硬質ポリウレタンフォームを得ることが可能である、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物、及び、該ポリイソシアネート組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの一連の課題を解決する(目的を達成する)ために、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を用いて変性した有機ポリイソシアネート用いることが解決する手段として非常に有効であることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は次の(1)〜(4)のとおりである。
【0016】
(1) 有機ポリイソシアネート(A)、及び、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる、一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)からなることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【0017】
(2) 前記の水酸基含有化合物(Z)が、液状エステル系化合物、または、アルキレングリコールジアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上の化合物(W)と併せ用いられることを特徴とする、(1)に記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【0018】
(3) 有機ポリイソシアネート(A)が、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物(a1d)を20〜80質量%、3核体以上のジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(a1p)が80〜20質量%(但し、(a1d)+(a1p)=(A1)として100質量%)であるポリメリックMDI(A1)であることを特徴とする、(1)または(2)のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【0019】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物と、ポリオール(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)、及び整泡剤(E)の存在下に反応させて得ることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物に用いられる分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる前記の水酸基含有化合物(Z)は、該化合物(Z)自体の粘度が比較的低くて取り扱いが容易であり、かつ、液貯蔵安定性にも優れる(クリアで液状を保持できる)ことから、必要に応じて、該化合物(Z)を大量に製造した後における長期間にわたる保存が可能である。このことは、製造コストの低下(バッチ式で製造する場合における一括大量製造による設備占有率の低下)、及び硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物の製造時における原料同一化による製造ロット毎のぶれ(諸性能のばらつき)を最小限に抑えることを可能にする。
【0021】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物は、液貯蔵安定性、とりわけ優れた低温(例えば−5℃)雰囲気下における液貯蔵安定性に優れることから、例えば硬質ポリウレタンフォームを寒冷地で製造する場合でも、輸送時における特別な加温設備を必要とせず、かつ、品質的にも安定した原料の供給を可能にする。
【0022】
本発明により、従来用いられている硬質ポリウレタンフォームと同等もしくはそれ以上の所望される機械物性を有し、かつ、接着性能にも優れた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することが可能となる。勿論、従来用いられている製造設備をそのまま使用可能である。
【0023】
なお、これらの一連の優れた効果は、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物において、後記に示すとおり、前記の化合物(Z)を微量導入するだけで得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明をさらに詳細に説明する。まず、本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物について、詳細に説明する。
【0025】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物(以下、必要に応じて「本発明のポリイソシアネート組成物」と略記)は、有機ポリイソシアネート(A)、及び、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)(以下、必要に応じて「本発明に供される水酸基含有化合物(Z)」と略記)から構成される。
【0026】
<有機ポリイソシアネート(A)>
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物を構成する有機ポリイソシアネート(A)としては、1分子中に2以上のイソシアネート基を含有する化合物であれば、従来公知の物質を全て適用することができる。
【0027】
1分子中に2以上のイソシアネート基を含有する化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物(以下「MDI」と略記)、3核体以上のジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(以下「MDI系多核縮合体」と略記)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートなどを挙げることができる。また、これらのポリメリック体やこれらのイソシアネートと、活性水素基含有化合物とを反応させて得られるウレタン化物、ウレア化物、アロファネート化物、ビウレット化物、カルボジイミド化物、ウレトンイミン化物、ウレトジオン化物、イソシアヌレート化物などを使用することもできる。これらのイソシアネート化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明においては、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物を構成する有機ポリイソシアネート(A)として、適用可能なこれら一連の1分子中に2以上のイソシアネート基を含有する化合物のうち、本発明により得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される機械強度を確実に具備できるとの観点から、MDI(a1d)が20〜80質量%、MDI系多核縮合体(a1p)が80〜20質量%からなる混合物であるポリメリックMDI(A1)を選択して用いるのが好ましい。該ポリメリックMDIは、別称として「ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート」または「クルードMDI」とも称される場合がある。なお、MDI(a1d)とMDI系多核縮合体(a1p)との合計は、ポリメリックMDI(A1)として100質量%である。
【0029】
ポリメリックMDI(A1)は、アニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)のアミノ基を、ホスゲン化等によりイソシアネート基に転化することによって得ることができ、縮合時の原料組成比や反応条件を変更することによって、最終的に得られるポリメリックMDIの組成(核体分布や異性体構成比)を制御することができる。
【0030】
本発明において好ましく用いられるポリメリックMDI(A1)は、イソシアネート基への転化後の反応液、反応液から溶媒の除去、一部MDIを留出分離した缶出液等の、反応条件や分離条件等の異なった数種の混合物であってもよい。また、市販のポリメリックMDIにMDI(a1d)を混合したものであってもよい。
【0031】
ポリメリックMDI(A1)におけるMDI(a1d)の割合は20〜80質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは25〜75質量%の範囲内、中でも、ポリメリックMDI(A1)における液状での貯蔵安定性の保持、また、硬質ポリウレタンフォーム形成時における良好な作業性を具備するとの観点から、26〜70質量%の範囲内であることがとりわけ好ましい。ここで、MDI(a1d)の割合はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるMDIのピーク面積比から求める割合である。ポリメリックMDI(A1)におけるMDI(a1d)の割合が80質量%を超えた場合、MDI(a1d)に起因する結晶の析出が生じる等、ポリメリックMDIの貯蔵安定性の面で不具合が生じる可能性が高くなる傾向にある。一方、この割合が20質量%未満である場合、ポリメリックMDIの粘度が過度に高くなり、混合不良が生じる等作業性の面で不具合が生じる可能性が高くなる傾向にある。
【0032】
2核体であるMDI(a1d)は、4,4′−MDIと、2,2′−MDIと、2,4′−MDIとの3種類の異性体により構成されている。本発明においては、これらの異性体の構成比は特に限定はないが、例えば−20℃といった過酷な低温雰囲気条件下でも優れた貯蔵安定性を具備する(結晶等が析出しない)との観点から、4,4′−MDI含有割合が60〜100%の範囲内であることが好ましく、得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される機械物性を確実に得ることができるとの観点から、95〜100%の範囲内(中でも、とりわけ好ましいのは限りなく100%に近いレベル)であることがより好ましい。なお、異性体の構成比はGC(ガスクロマトグラフィー)によって得られる各ピークの面積百分率を基に、検量線から求めることができる。
【0033】
ポリメリックMDI(A1)の平均官能基数は、2.1以上(2.1を含む)であることが好ましく、更に好ましくは2.2〜3.1の範囲内とされる。
【0034】
ポリメリックMDI(A1)のイソシアネート基含有量は、27〜33質量%の範囲内であることが好ましいが、更に好ましくは28.5〜32.5質量%の範囲内とされる。
【0035】
ポリメリックMDI(A1)の酸度は0.001〜0.2質量%の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.003〜0.15質量%の範囲内とされる。これにより、得られるポリイソシアネート組成物の貯蔵安定性と好適な反応性とが確保される。なお、「酸度」とは、室温でアルコールと反応し遊離する酸成分を塩化水素に換算して示した値をいい、JIS K−1603によって測定される。
【0036】
<分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)>
本発明のポリイソシアネート組成物を得るために用いられる分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)としては、例えば、N、N−ジメチルエタノールアミン、N、N−ジエチルエタノールアミン、N、N−ジプロピルエタノールアミン、N、N−ジブチルエタノールアミン等を挙げることができる。
【0037】
本発明においては、比較的低粘度であり、かつ、凝固点も比較的低いとの観点から、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)として、N、N−ジメチルエタノールアミンを選択して用いるのが好ましい。
【0038】
<分子量150未満のモノカルボン酸(Y)>
本発明のポリイソシアネート組成物を得るために用いられる分子量150未満のモノカルボン酸(Y)としては、例えば、蟻酸;酢酸、プロピオン酸、β−オキシプロピオン酸、ラク酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、イソラク酸、トリメチル酢酸、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、フェニル酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ジクロロ酢酸、グリコール酸、乳酸、シアノ酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸等の脂肪族系モノカルボン酸;安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、サリチル酸等の芳香族系モノカルボン酸等を挙げることができる。
【0039】
本発明においては、本発明のポリイソシアネート組成物における安定した液貯蔵安定性を得るとの観点から、非ハロゲン系でかつ水酸基を含有しない分子量150未満の飽和(芳香環に係る部分を除く)モノカルボン酸を用いるのが好ましく、中でも、前記の分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)との反応が速やかに進行するとの観点から、酢酸または安息香酸を選択して用いるのが好ましい。
【0040】
<一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)>
本発明に供される水酸基含有化合物(Z)は、前記の分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と、前記の分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを、等モルで反応させることにより得られる。
【0041】
前記の反応は、引火点や臭気を考慮する(反応時における作業性を安全なものとする) との観点から、20〜40℃の範囲内で行われるのが好ましい。
【0042】
なお、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)は、本発明のポリイソシアネート組成物を構成する成分として用いられる必要がある(後述する液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との併用においても同じ)。仮に、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)を、後記するポリオール(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、及び整泡剤(E)からなる混合物に添加したとしても、本発明に所望される効果である硬質ポリウレタンフォームにおける接着性の向上には寄与しない。
【0043】
<液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)>
本発明に供される水酸基含有化合物(Z)は、本発明のポリイソシアネート組成物の製造時における計量または仕込み等といった作業の容易性を確保するために粘度をより低くする等の目的から、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)と混合された形態で用いられるのが好ましい。
【0044】
この場合、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)と液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との混合比は、本発明により得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される接着性と機械物性の双方を具備するとの観点から、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)を100質量%とした場合、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0045】
<液状エステル系化合物(W1)>
本発明において必要に応じて供される液状エステル系化合物(W1)とは、常温(25℃)雰囲気下において液状を示すエステル系化合物(有機酸または無機酸の水素原子を有機基(R)で置換した分子構造を有するすべての化合物が包含される)である。具体例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、ε−カプロラクトンなどのカルボン酸エステル系化合物;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート(炭酸エステル)系化合物;リン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどのホスフェート(リン酸エステル)系化合物などを挙げることができる。
【0046】
本発明においては、これらの化合物のうち、環状のカーボネート系化合物、中でも
引火点が比較的高くかつ低粘度であるため取り扱いが容易であるとの観点から、プロピレンカーボネートを選択して、必要に応じて用いるのがより好ましい。
【0047】
<アルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)>
本発明において必要に応じて供されるアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)としては、ジアルキルグリコールエーテルとも称されるもの、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(DBDG)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMFDG)などを挙げることができる。
【0048】
本発明においては、これらの化合物のうち、沸点並びに引火点が共に比較的高く、かつ、粘度が低いとの観点から、トリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)及び/またはジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)を選択して用いるのが好ましい。
【0049】
<硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物>
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物は前記のとおり、有機ポリイソシアネート(A)、及び、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)(または、該化合物(Z)と、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との混合物)より構成される。
【0050】
具体的には、有機ポリイソシアネート(A)に、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)(または、該化合物(Z)と、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との混合物)を添加して反応(ウレタン化反応)及び/または均一混合させることにより得られる。この場合、有機ポリイソシアネート(A)を100質量%とした場合、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)を添加する割合は0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0質量%の範囲内、中でも、本発明により得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される接着性と機械物性の双方を具備するとの観点から0.2〜2.5質量%の範囲内であることが特に好ましい。添加する割合が0.1質量%未満の場合、所望され接着性を得ることができなくなる可能性が高くなる。また、添加する割合が5.0質量%を超える場合、本発明により得られる硬質ポリウレタンフォームの機械物性が低下する可能性が高くなる。
【0051】
前記の反応及び/または均一混合の際の温度については特に制限はないが、20〜120℃の範囲内であることが好ましく、中でも、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)における水酸基と有機ポリイソシアネート(A)におけるイソシアネート基との反応が確実に進行し、かつ、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)自体の解離によるイソシアネート基に対する触媒効果の発現を防ぐとの観点から、40〜80℃の範囲内であることがより好ましい。なお、該反応及び/または均一混合の方法については、従来公知のウレタン化反応方法に準じて行うことができる。
【0052】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物におけるイソシアネート基含有量は、前記の効果を奏するとの観点から27.0〜33.0質量%の範囲内であることが好ましいが、より好ましくは27.2〜32.5質量%の範囲内、中でも、本発明のポリイソシアネート組成物を用いて得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される良好な機械物性を確実に具備できるとの観点から、27.5〜32.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。イソシアネート基含有量が27.0質量%未満の場合、粘度が高くなることで均一混合性に劣る、また、反応に寄与するイソシアネート基が少ないことにより良好な機械物性を得ることが難しくなる可能性がある。また、33.0質量%を超える場合、本発明において得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される機械物性を得ることが難しくなる可能性がある。
【0053】
また、本発明のポリイソシアネート組成物の粘度(25℃)は、前記の効果を奏するとの観点から50〜500mPa・sの範囲内であることが好ましいが、より好ましくは
60〜450mPa・sの範囲内、中でも、硬質ポリウレタンフォームを得るにために用いられる後記する他の成分(ポリオール等)との良好な混合性を確保し、かつ、得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される機械物性を具備するとの観点から、70〜400mPa・sの範囲内であることがとりわけ好ましい。
【0054】
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物には、本発明により得られる効果が損なわれない範囲内において、各種の任意成分が含有されていてもよい。かかる任意成分としては、硬質ポリウレタンフォームを製造するためのポリイソシアネート組成物に含有されるものとして従来公知の物質(添加剤など)を全て使用することができる。
【0055】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物は、該組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームに優れた接着性を付与するとの本発明のもたらす効果を鑑み、とりわけ、接着性の改善が課題となる場合が多い水のみを発泡剤として用いた硬質ポリウレタンフォーム製造用として、好適に用いられる。
【0056】
次に、本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法について、詳細に説明する。
【0057】
<硬質ポリウレタンフォームの製造方法>
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリイソシアネート組成物とポリオール(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下で混合・反応させる方法であって、前記のポリイソシアネート組成物として、有機ポリイソシアネート(A)と分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)(または、該化合物(Z)と、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との混合物)からなる硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物を用いる点に特徴を有している。
【0058】
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、前記の有機ポリイソシアネート(A)として、MDI(a1d)を20〜80質量%、MDI系多核縮合体(a1p)が80〜20質量%(但し、(a1d)+(a1p)=(A1)として100質量%)であるポリメリックMDI(A1)を用いるのが、得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される機械物性を確実に具備するとの観点から好ましい。
【0059】
<ポリオール(B)>
本発明の製造方法に用いられる「ポリオール(B)」としては、以下に示す3種類のポリオール〔ポリオール(b1)〜(b3)〕の少なくとも1種類を使用することが好ましく、2種類以上を使用することが更に好ましい。
【0060】
ポリオール(b1)およびポリオール(b3)の何れか1種類のみを使用する場合には、形成される硬質ポリウレタンフォームが十分な機械的強度を有するものとならない場合がある。また、ポリオール(b2)のみからなるポリオール(B)は粘度が過大となって、作業性に劣る傾向がある。
【0061】
<ポリオール(b1)>
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、トリレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アンモニア、アニリン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のアミン系化合物の1種または2種以上の混合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させて得られる、水酸基価50〜1,000mgKOH/gの範囲内、好ましくは100〜900mgKOH/gの範囲内のポリエーテルポリオール。なお、更に開始剤として、ポリオール(b2)およびポリオール(b3)を得るために使用される多価アルコールを併用することができる。
【0062】
<ポリオール(b2)>
(1)エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズのような多価アルコールの1種または2種以上の混合物と、アジピン酸、マロン酸、フマル酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のような、少なくとも2個以上のカルボキシル基(またはカルボキシル基から誘導される基)を有する化合物の1種または2種以上の混合物とを使用し、公知の方法によって製造することによって得られる、水酸基価50〜800mgKOH/g、好ましくは100〜700mgKOH/gの範囲内のポリエステルポリオール。
(2)ラクトン(例えばε−カプロラクトン)類の開環重合により得られるポリエステルポリオール。
(3)ポリエステルポリオール及びポリエステル成形品を分解して得られる回収ポリエステル。
【0063】
<ポリオール(b3)>
エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークローズのような、1分子中にヒドロキシル基を2〜8個有する多価アルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させて得られる、水酸基価50〜1,000mgKOH/gの範囲内、好ましくは100〜900mgKOH/gの範囲内のポリエーテルポリオール。
【0064】
ポリオール(b1)〜(b3)の各々において、水酸基価が一定の値(下限値)以上であることにより、形成される硬質ポリウレタンフォームに十分な機械的強度を付与することができる。また、水酸基価が一定の値(上限値)以下であることにより、形成される硬質ポリウレタンフォームの脆性化を抑制することができる。
【0065】
ポリオール(b1)の平均官能基数は2〜6の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは3〜6の範囲内とされる。
【0066】
ポリオール(b2)の平均官能基数は2〜4の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは2〜3の範囲内とされる。
【0067】
ポリオール(b3)の平均官能基数は2〜8の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは3〜8の範囲内とされる。
【0068】
ポリオール(b1)〜(b3)の各々において、平均官能基数が一定の数(下限)以上であることにより、形成される硬質ポリウレタンフォームに十分な機械的強度を付与することができる。また、平均官能基数が一定の数(上限)以下であることにより、形成される硬質ポリウレタンフォームの脆性化を抑制することができる。
【0069】
ポリオール(b1)を使用する場合において、ポリオール(B)に占めるポリオール(b1)の割合は5〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
【0070】
ポリオール(b2)を使用する場合において、ポリオール(B)に占めるポリオール(b2)の割合は10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。
【0071】
ポリオール(b3)を使用する場合において、ポリオール(B)に占めるポリオール(b3)の割合は10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。
【0072】
ポリオール(B)に占める、ポリオール(b1)、ポリオール(b2)、ポリオール(b3)の合計の割合は80質量%以上(80質量%を含む)であることが好ましい。
【0073】
ポリオール(b1)の含有割合が過大であると、活性が高くなりすぎ、ボイド等の成形不良を招く虞がある。
【0074】
ポリオール(b2)の含有割合が過大であると、ポリオール(B)の粘度が高くなり、フォームの液流れ性・充填性が悪化する傾向がある。
【0075】
ポリオール(b3)の含有割合が過大であると、形成される硬質ポリウレタンフォームの機械的強度が低下する傾向がある。
【0076】
ポリオール(B)を構成するポリオール(b1)〜(b3)以外のポリオール(以下、その他ポリオールと略記する)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、水酸基価が50〜150mgKOH/gの範囲内のポリプロピレングリコールを好適なものとして挙げることができる。
【0077】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、水酸基価が50〜150mgKOH/gの範囲内のポリプロピレングリコールから選ばれた少なくとも1種類を用いることにより、ポリオール(B)の粘度を低下させることができる。
【0078】
また、ポリオール(B)を構成するその他ポリオールとして、ポリマーポリオールを用いてもよい。このポリマーポリオールは、前述のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールをベースとして、スチレンまたはアクリロニトリルのビニルポリマーや、活性水素基含有化合物とポリイソシアネートから得られるポリマーをグラフト重合またはフィラーとして導入したものである。ポリマーポリオールにおけるポリマー含有量は1〜20質量%であることが好ましい。
【0079】
ポリオール(B)の粘度(25℃)は2,000mPa・s以下(2,000mPa・sを含む)であることが好ましく、更に好ましくは100〜1,800mPa・sの範囲内とされる。粘度が上限を越える場合は、特に冬期での作業性が低下する。
【0080】
<発泡剤(C)>
本発明の製造方法に用いられる「発泡剤(C)」としては、硬質ポリウレタンフォームを得るために供される従来公知の発泡剤であれば特に限定されず、いずれも使用可能である。
【0081】
本発明の製造方法においては、近年のオゾン層破壊防止といった観点を考慮し、また、自然界に豊富に存在する最も安定的に入手可能な発泡剤(C)として、水のみを単独で用いるのが最も好ましく、本発明による一連の優れた効果を最も得ることができる。この場合、発泡剤(C)としての水の添加量としては、ポリオール(B)を100質量部とした場合、0.5〜10.0質量部の範囲内で用いることが好ましい。
【0082】
なお、本発明の製造方法は、水の場合と同じ観点から、発泡剤(C)として、ハイドロカーボン(側鎖を有しても良い直鎖状の飽和炭化水素化合物または環状の飽和炭化水素化合物)、例えば、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、またはこれらの混合物等といったハイドロカーボン(好ましく、良好なガス熱伝導率を得られること、また、引火点が比較的高いとの観点から、中でもシクロペンタン)と水とを併用する方法にも好適に用いることができる。この場合も、前記の水のみを単独で用いた場合と同様の一連の優れた効果を得ることができる。なお、この場合の発泡剤(C)の添加量としては、ハイドロカーボンがポリオールを100質量%とした場合1〜50質量%の範囲内、また、水がポリオールを100質量%とした場合0.5〜5.0質量%の範囲内において、両者を併せ用いることが好ましい。
【0083】
また、本発明の製造方法においては、得られる硬質ポリウレタンフォームに所望される性能(例えば低い熱伝導性や寸法安定性(常温収縮が小さいこと))を維持できる範囲内であれば、発泡剤(C)として、ハイドロフルオロエーテルを単独で、または、水及び/またはハイドロカーボンと併せ用いることも可能である。
【0084】
ハイドロフルオロエーテルとしては、ハイドロフルオロエーテルとして従来公知のもの、具体的には、例えばHFE−254pc(CHFCFOCH)、CFCHFOCF(HFE−227me)、CFCHFOCHF(HFE−236me)、CFCHOCF(HFE−236mf)、 CHFCFOCHF(HFE−236pc)、CFCFOCH(HFE−245mc)、CFCHOCHF(HFE−245mf)、CFCFCFOCH(HFE−247mcc)、CFCFOCHCF(HFE−338mc−f)、(CFCFOCH(HFE−347mmy)、CHFCFOCHF(HFE−245pc)、CHFCFOCHF(HFE−245qc)、CFCFCHOCHF(HFE−347mcf)、CFCHFCFOCH(HFE−356mec)、CHFCFCFOCH(HFE−356pcc)、CHFCFCHOCHF(HFE−356pcf)、CHFCFOCHCF(HFE−347pc−f)、CFCHOCHCF(HFE−356mf−f)、CHFCFOCHCF(HFE−356qc−f)、(CFCHOCH(HFE−356mmz)等を挙げることができる。本発明の製造方法においては、これらのうちいずれか1種を選択して、単独で、または、水及び/またはハイドロカーボンと併せ用いても良いし、これらのうち2種以上を併用するかたちでハイドロフルオロエーテル混合物として、水及び/またはハイドロカーボンと併せ用いても良い。
【0085】
<触媒(D)>
本発明の製造方法で用いられる「触媒(D)」としては、通常ウレタン発泡に用いられる公知の触媒を使用することができる。例えば、ウレタン化触媒として、N−メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等の錫化合物、アセチルアセトン金属塩等の金属錯化合物等が挙げられる。三量化触媒としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン等のトリアジン類、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2−エチルアジリジン等のアジリジン類等のアミン系化合物、3級アミンのカルボン酸塩等の第四級アンモニウム化合物、ジアザビシクロウンデセン、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物等を挙げることができる。これらの触媒は、1種または2種以上併用して用いることがでる。
【0086】
触媒(D)の使用量は、ポリオール(B)を100質量%とした場合、0.01〜15質量%の範囲内となる量を用いるのが適当である。
【0087】
<整泡剤(E)>
本発明の製造方法に用いられる整泡剤(E)としては、硬質ポリウレタンフォーム用の整泡剤として従来公知のもの(ジメチルポリシロキサンおよびポリシロキサン−ポリエーテル共重合体)を全て使用することができる。具体例としては、公知のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、例えば東レ・ダウコーニング製のL−5340、L−5420、L−5421、L−5740、L−580、SZ−1142、SZ−1642、SZ−1605、SZ−1649、SZ−1919、SZ−1675、SZ−1720、SZ−1725、SH−190、SH−192、SH−193、SF−2945F、SF−2940F、SF−2936F、SF−2938F、SRX−294A、信越化学工業製のF−305、F−341、F−343、F−374、F−345、F−348、ゴールドシュミット製のB−8404、B−8407、B−8465、B−8444、B−8467、B−8433、B−8466、B−8870、B−8450、B−8460等が挙げられる。
【0088】
本発明における整泡剤(E)の使用量は、ポリオール(B)を100質量%とした場合、0.1〜5質量%の範囲内となる量が適当である。
【0089】
本発明の製造方法においては、任意成分として、さらに添加剤を併せ用いること(添加剤の存在下に、本発明のポリイソシアネート組成物とポリオール(B)とを反応させること)ができる。この添加剤としては、可塑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、減粘剤、有機または無機の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等が挙げられる。本発明では、得られる硬質ポリウレタンフォームの用途等を鑑み、必要に応じて難燃剤を用いるのが好ましい。難燃剤としては、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等のリン酸エステル類、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル等の亜リン酸エステル類のリン酸化合物等が挙げられる。なお、これらは難燃性の付与目的の他に、液の粘度を低くする目的として用いられても良い。
【0090】
本発明の製造方法においては、3成分以上の多成分系としても良いが、装置を簡略化する目的から、前記の本発明のポリイソシアネート組成物を主成分とする「I液」と、ポリオール(B)を主成分とする「R液」からなる2成分系とするのが好ましい。
【0091】
ここで、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)を本発明のポリイソシアネート組成物を構成する成分とせず、前記のポリオール(B)を主成分とする「R液」を構成する成分として添加することも考えられるが、この形態により得られる硬質ポリウレタンフォームについては前記のとおり、本発明において所望される接着性を得ることができない。前記のポリオール(B)を主成分とする「R液」への添加により、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)における結合の解離が発生するためと考えられる。このような事態を避けるべく、本発明に供される水酸基含有化合物(Z)は、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物を構成する成分としてとして用いるのが適当である。
【0092】
以下、2成分系とする場合における好ましい具体的な製造方法の一例を示す。
【0093】
(1)前記の本発明のポリイソシアネート組成物を「I液」とし、前記ポリオール(B)を「R液」とする。
【0094】
(2)発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)および添加剤(任意成分)の各々を、「I液」および/または「R液」中に混合させる。なお、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)は、「R液」中に混合させることが好ましい。
【0095】
(3)「I液」と「R液」とを混合し、前記の本発明のポリイソシアネート組成物と、前記のポリオール(B)とを、前記の発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させ、反応系を発泡、硬化させる。
【0096】
「I液」と「R液」との混合装置としては特に限定されるものでなく、例えば、小型ミキサー、一般のウレタンフォームを製造する際に使用される、注入発泡用の低圧または高圧発泡機、スラブ発泡用の低圧または高圧発泡機、連続ライン用の低圧または高圧発泡機、吹き付け工事用のスプレー発泡機等を使用することができる。なお、混合される「I液」と「R液」の温度は、各々15〜30℃の範囲内に調節しておくことが好ましい。
【0097】
なお、本発明の製造方法において、発泡剤(C)としてハイドロカーボン(C1)を用いる場合、ハイドロカーボン(C1)の有する引火点の低さ、これに伴う取扱上の注意点を考慮し、「I液」と「R液」の他に、発泡剤としてのハイドロカーボン(C1)を別成分とした3成分系(発泡する直前にハイドロカーボンを「I液」または「R液」に混合して用いる形態)とするのも好ましい。
【0098】
本発明の製造方法によって得られる硬質ポリウレタンフォームは、ウレタン結合やウレア結合といった化学結合を有するもの(いわゆるウレタンフォーム)である。また、製造条件によっては、発泡時にイソシアヌレート基を生成させることができ、このようにして得られるイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム(いわゆるイソシアヌレートフォーム)も「硬質ポリウレタンフォーム」に包含される。イソシアヌレート基は、イソシアネート基を三量化触媒により三量化させて生成され、機械的強度や耐熱性等を向上させることができる。
【0099】
本発明の製造方法において、好ましいイソシアネートインデックス〔(ポリイソシアネート組成物中の全イソシアネート基のモル数/ポリオール(B)中の全活性水素基のモル数)×100〕は、いわゆるウレタンフォームの場合で50〜140の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは70〜130の範囲内である。また、三量化触媒を用いて形成するいわゆるイソシアヌレートフォームの場合で140〜800の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは150〜500の範囲内である。イソシアネートインデックスがウレタンフォームの場合で50未満、イソシアヌレートフォームの場合で140未満であると、得られたフォームが十分な強度を有しないことがあり収縮しやすくなる。また、ウレタンフォームの場合で140を越え、イソシアヌレートフォームの場合で800を越えると、得られるフォームの脆性が高くなり接着性が低下する傾向にある。
【実施例】
【0100】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によってなんら限定して解釈されるものではない。なお、以下においては特段の記載がない限り、「%」および「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を示す。
【0101】
<水酸基含有化合物(Z)の合成>
合成例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量200kgの反応器に、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)として「N、N−ジメチルエタノールアミン」を44.57kg仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、分子量150未満のモノカルボン酸(Y)として「安息香酸」を61.07kgについて、反応器への仕込みを行った(モル比として、(X):(Y)=1:1)。仕込み完了後、攪拌しながら40℃にて1時間反応させ、一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)である「PUA−1」を得た。この水酸基含有化合物「PUA−1」の粘度(25℃)は325mPa・sであった。
【0102】
合成例2〜8
下記表1に示す処方に従って、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)として「N、N−ジメチルエタノールアミン」、分子量150未満のモノカルボン酸(Y)として「乳酸」「サリチル酸」または「酢酸」の各々を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、水酸基含有化合物「PUA−2」〜「PUA−8」を合成した。得られた各々の水酸基含有化合物の粘度(25℃)を表1に併せて示す。
【0103】
<水酸基含有化合物の液貯蔵安定性>
上記の合成例1〜8により得られた水酸基含有化合物「PUA−1」〜「PUA−8」の各々について、200ml容量のガラス製サンプル瓶に200g仕込み、蓋で密封した後、−5℃並びに40℃雰囲気下にて90日間静置した。90日経過後の外観を目視により観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に併せて示す。
【0104】
(評価基準)
「○」:結晶析出や液相分離は見られず、クリアである。
「×」:結晶析出や液相分離(またはこれらの前兆と思われる液の濁り)が見られる等、クリアな状態でない。または、固化している。
なお、測定開始時においては、前記の水酸基含有化合物のうち「PUA−8」以外は全て「○」と判断されている。
【0105】
【表1】

【0106】
上記の表1における化合物(成分)の詳細は、下記のとおりである。
【0107】
<DEDG>
ジエチルジグリコール(ジエチレングリコールジエチルエーテル)、商品名「DEDG(日本乳化剤(株)製)」
<DMTG>
ジメチルトリグリコール(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、商品名「DMTG(日本乳化剤(株)製)」
<ポリエステルポリオール「PES−1」>
5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、アジピン酸、1,6−ヘキサンジオールを、常法に従って反応(エステル反応およびエステル交換反応)させて得られたスルホナト基(スルホン酸ナトリウム残基)含有アジペート系ポリエステルポリオール:数平均分子量=1,000、スルホナト基の含有割合=0.4mmol/g
<ポリエーテルモノオール「PE−1」>
(i)開始剤=2−エチルヘキサノール
(ii)数平均分子量=800
(iii)PO(オキシプロピレン)/EO(オキシエチレン)=100/0(質量比)
<シリコーン系整泡剤「SI−1」>
ポリシロキサン−ポリエーテル共重合体、商品名「B−8460(ゴールドシュミット製)」
【0108】
<ポリイソシアネート組成物の合成>
実施例1
下記表2に示す処方に従って、攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量:100kgの反応器に、ポリメリックMDI(A1)として「イソシアネートA」を99.5kg仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、等モルで反応させて得られた一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)である前記の「PUA−1」を0.5kgについて、反応器への仕込みを行った。仕込み完了後、攪拌しながら40℃にて1時間反応させ、本発明のポリイソシアネート組成物「NCO−1」を得た。このポリイソシアネート組成物「NCO−1」のイソシアネート基含有量(以下、必要に応じて「NCO含量」と略記。)は30.4質量%、粘度(25℃)は179mPa・sであった。
【0109】
実施例2〜10、比較例1〜3
下記表2〜表3に示す処方に従って、ポリメリックMDI(A1)として「イソシアネートA」、水酸基含有化合物(Z)(または、該化合物(Z)と、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)との混合物)として「PUA−2」〜「PUA−7」、分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)である「N、N−ジメチルエタノールアミン」、または、分子量150未満のモノカルボン酸(Y)である「乳酸」の各々を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のポリイソシアネート組成物「NCO−2」〜「NCO−10」、並びに、比較例としてのポリイソシアネート組成物「NCO−11」〜「NCO−13」を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有量および粘度(25℃)を表2〜表3に併せて示す。
【0110】
<ポリイソシアネート組成物の液貯蔵安定性>
前記の実施例1〜10並びに比較例1〜3により得られたポリイソシアネート組成物「NCO−1」〜「NCO−13」の各々について、200ml容量のガラス製サンプル瓶に200g仕込み、蓋で密封した後、−5℃並びに40℃雰囲気下にて90日間静置した。90日経過後の外観を目視により観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表2〜表3に併せて示す。
【0111】
(評価基準)
「○」:結晶析出や液相分離は見られず、クリアである。
「△」:結晶析出や液相分離は見られないが、曇りがある等クリアではない。
「×」:結晶析出や液相分離、または液表面における膜の生成が見られる等液状が不均一である。
なお、測定開始時においては、前記のポリイソシアネート組成物「NCO−1」〜「NCO−13」は全て「○」と判断されている。
【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
上記の表2〜表3における化合物(成分)の詳細は下記のとおりである。
【0115】
<イソシアネートA(本発明の(A1)に相当)>
(i)GPCによるMDIのピーク面積比=40%(ポリメリックMDI)
(ii)MDI中の4,4’−MDIの割合=99%(GCによる測定)
(iii)イソシアネート含量=30.6%
(iv)平均官能基数=2.3
(v)酸度=0.01%
【0116】
<ポリオール組成物の調製>
調製例1〜3
下記の表4に示す配合処方に従って、各成分を均一混合することによりポリオール組成物「OH−1」〜「OH−3」を調製した。
【0117】
【表4】

【0118】
上記の表4における化合物(成分)の詳細は下記のとおりである。
【0119】
<ポリオール(B−1)>
アミン系ポリエーテルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物、公称官能基数=4、公称水酸基価=410、公称粘度(25℃)=1800mPa・s、商品名「サンニックスPF−610(三洋化成工業(株)製)」
<ポリオール(B−2)>
脂肪族多価アルコール(ペンタエリスリトール)系ポリエーテルポリオール、公称官能基数=4、公称水酸基価=400、公称粘度(25℃)=1800mPa・s、商品名「サンニックスHD−402(三洋化成工業(株)製)」
<発泡剤(C)「水」>
精製水
<触媒(D−1)>
N−メチルモルホリン、商品名「カオライザーNo.21(花王(株)製)」
<触媒(D−2)>
酢酸カリウムの38%モノエチレングリコール溶液、商品名「DABCO P−15(日本乳化剤(株)製)」
<触媒(D−3)>
三級アミンの混合物、商品名「TOYOCAT RX−7(東ソー(株)製)」
<整泡剤(E−1)>
ポリシロキサン−ポリエーテル共重合体、商品名「SZ−1649(東レ・ダウコーニング(株)製)」
<TCPP(任意添加成分)>
トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、商品名「ファイロールPCF(アクゾノーベル社製)」
(※ TCPPは減粘剤として、ポリオール組成物「OH−1」〜「OH−3」にそれぞれ用いた。)
【0120】
<硬質ポリウレタンフォームの形成(製造)>
実施例11〜20、比較例4〜8
【0121】
<その1(反応性、接着強度、並びにフリーライズ密度の測定)>
ポリイソシアネート組成物として「NCO−1」〜「NCO−13」を、また、ポリオール組成物(B液)として「OH−1」〜「OH−3」をそれぞれ用意し、各々液温を20℃に調整した。これらを下記の表5〜表6に示す組合せに従い、(A液)/(B液)=200/100(体積比)となるよう、合計400gを容量2Lサイズのポリプロピレン製カップに仕込み、ラボミキサー(T.K.ホモディスパー(特殊機化工業(株)製))を用いて5秒間攪拌・均一混合することにより、発泡性の混合物を得た。
【0122】
得られた発泡性の混合物の各々について、予め40℃に温調され、かつ、側面に200mm×200mmサイズのクラフト紙(75g/mタイプ、大興製紙(株)製)をセットした250mm×250mm×250mm(高さ)のアルミ製モールド(オープントップ)に直ちに投入し、硬質ポリウレタンフォーム形成(発泡)時における反応時間(クリームタイム、ゲルタイム、タックフリータイム、ライズタイム)を測定した。これらの結果を表5〜表6に示す。
【0123】
次に、撹拌開始から10分経過した時点で形成された硬質ポリウレタンフォームをモールドから取り出し、直ちに、得られた硬質ポリウレタンフォーム側面に付着するように予めセットしていた前記のクラフト紙について100mm×100mmサイズにカッターで切り目を入れ、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製)を用いて接着強度を測定した。n数=4における測定結果(平均値)を表5〜表6に示す。
【0124】
次いで、接着強度を測定し終えた前記の硬質ポリウレタンフォームをモールドについて、直ちにJIS A9511に準拠してフリーライズ密度(コア部)を測定した。これらの結果を表5〜表6に示す。
【0125】
<その2(フォーム物性の測定)>
ポリイソシアネート組成物として「NCO−1」〜「NCO−13」を、また、ポリオール組成物(B液)として「OH−1」〜「OH−3」をそれぞれ用意し、各々液温を20℃に調整した。これらを下記の表5〜表6に示す組合せに従い、(A液)/(B液)=200/100(体積比)となるよう、合計500gを容量2Lサイズのポリプロピレン製カップに仕込み、ラボミキサー(T.K.ホモディスパー(特殊機化工業(株)製))を用いて5秒間攪拌・均一混合することにより、発泡性の混合物を得た。
【0126】
得られた発泡性の混合物の各々について、予め40℃に調温した500mm(幅方向)×500mm(組成物の流れ方向=発泡方向)×60mm(厚み方向)のアルミ製モールド(オープントップ)に直ちに投入し、上面を開放した状態で硬質ポリウレタンフォーム製のパネルを作成した。撹拌開始から10分経過した時点で形成された該パネルをモールドから取り出した後、25℃雰囲気下にて24時間静置した。静置後、以下に示す方法により、独立気泡率、並びに寸法安定性(低温一定雰囲気下並びに高温高湿一定雰囲気下における体積変化)について測定を行った。これらの結果を表5〜表6に示す。
【0127】
<独立気泡率>
前記の硬質ポリウレタンフォーム製のパネルより、30mm(幅方向)×30mm(厚み方向)×130mm(組成物の流れ方向=発泡方向)の寸法を有するフォームコア部をカットしたもの(試験片)について、ASTM D2856に準拠して独立気泡率(%)を測定した。
【0128】
<寸法安定性>
前記の硬質ポリウレタンフォーム製のパネルより、50mm(幅方向)×40mm(厚み方向)×50mm(組成物の流れ方向=発泡方向)の寸法を有するフォームコア部をカットしたもの(試験片)について、−20℃(低温)雰囲気下、また、70℃95%相対湿度(高温高湿)雰囲気下に48時間各々静置した場合の体積変化を測定して、寸法安定性を評価した。
【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリイソシアネート組成物、及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、前記のとおり優れた接着性と機械物性を共に具備することから、ボード、パネル、冷蔵庫、庇、ドア、雨戸、サッシ、コンクリート系住宅、バスタブ、低温タンク機器、冷凍倉庫、パイプカバー、結露防止、スラブ等、各種断熱材用途に適用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリイソシアネート(A)、及び、
分子量200未満のN、N−ジアルキルアルカノールアミン(X)と、分子量150未満のモノカルボン酸(Y)とを等モルで反応させることにより得られる、一分子中に一個の水酸基を含有する水酸基含有化合物(Z)
からなることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
前記の水酸基含有化合物(Z)が、液状エステル系化合物(W1)またはアルキレングリコールジアルキルエーテル(W2)からなる群から選択される1種以上の化合物(W)と混合された形態で用いられることを特徴とする、請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
有機ポリイソシアネート(A)が、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物(a1d)を20〜80質量%、3核体以上のジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(a1p)が80〜20質量%(但し、(a1d)+(a1p)=(A1)として100質量%)であるポリメリックMDI(A1)であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物と、ポリオール(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)、及び整泡剤(E)の存在下に反応させて得ることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。


【公開番号】特開2008−239725(P2008−239725A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80494(P2007−80494)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】