説明

硬質発泡合成樹脂の製造方法、および、ポリオール組成物

【課題】良好な表面外観を持ち、製造時の寸法安定性に優れた、硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡剤として沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボン、特にHFC−365mfcを、使用し、かつ、水酸基価が84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40質量%以上のポリエーテルポリオール(X)、マンニッヒ反応させて得られた反応生成物を開始剤として環状エーテルを付加重合して得られる水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリエーテルポリオール(Y)、および、安定に分散している下記ポリマー微粒子(P)を0.01質量%以上含むポリマー分散ポリオールを使用して、硬質発泡合成樹脂を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、硬質ポリウレアフォーム等の硬質発泡合成樹脂を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオール類とポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて発泡合成樹脂を製造することは、広く行われている。得られる発泡合成樹脂としては、例えばポリウレタンフォーム、ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、ポリウレアフォーム等のウレタン系フォームが挙げられる。
【0003】
上記ウレタン系フォームは、用いるポリオールの分子量によって、低水酸基価(高分子量)のポリオールを主に用いる軟質フォーム、高水酸基価(低分子量)のポリオールを主に用いる硬質フォームとに区別できる。以下では硬質発泡合成樹脂とは前記硬質フォームを表す。
【0004】
近年、硬質発泡合成樹脂製造時の寸法安定性を高めるために、すなわちフォーム収縮を防止するために、ポリマー分散ポリオールを高水酸基価のポリオールに添加し硬質フォームを製造する方法が特許文献1、特許文献2に提案されている。
【0005】
上記提案に記載の硬質発泡合成樹脂の製造実施例では、オゾン層破壊のおそれのない発泡剤として、水、炭化水素、ヒドロフルオロカーボンが挙げられている。このうち、水を発泡剤として使用した場合は、水とポリイソシアネートとの反応により炭酸ガスが生成すると同時に尿素結合が生成し、接着性不良となりやすい、熱伝導率が高くなりやすい等の問題がある。また炭化水素は可燃性のため、製造設備、製造環境を防爆対応にする必要があり好ましくない。またヒドロフルオロカーボンとして挙げられている、CF3CH2F(以下HFC−134aという)、CF3CH2CHF2(以下HFC−245faという)は、不燃性で好ましいが、沸点が低く(HFC−134aは−26.5℃、HFC−245faは15.3℃)、作業性が悪い問題がある。
【0006】
低沸点発泡剤を使用する場合の具体的な問題を以下に挙げる。原料調製工程では、ポリオール、触媒等を予備混合したポリオールシステムを調合する際、開放系の混合槽では発泡剤が飛散し、密閉系の混合槽では槽の耐圧設備対応が必要である等である。また、ポリオールシステムの輸送では、従来から使用されているドラムを使用した場合には、特に夏場においては、システムが泡立ちあふれたり、ドラムが大きく膨れる、ドラムの代わりに耐圧ボンベを使用した場合には、耐圧ボンベによる重量の増加やボンベの回収等の操作性の不具合が多い等である。
【0007】
また、硬質発泡合成樹脂の製造時では、発泡の初期過程において発泡剤が発泡合成樹脂中に捕捉されにくく、ボイド、膨れ等の発泡合成樹脂表面の外観不良が発生しやすいという問題がある。特に壁面に吹きつけるスプレー施工では、吹き付け直後に発泡剤が発泡合成樹脂中に捕捉されにくく、壁面と発泡合成樹脂面の間に発泡剤が逃げて、発泡合成樹脂の浮き、剥離が生じやすくなる等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−7752号公報
【特許文献2】特開2000−212242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上説明した問題を解決するため、沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンを発泡剤として使用し、かつポリマー分散ポリオールを使用する、良好な表面外観を持つ硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法において、発泡剤として、沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンを使用し、かつ、ポリオールとして、下記ポリエーテルポリオール(X)、下記アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および安定に分散している下記ポリマー微粒子(P)を含み、ポリマー微粒子(P)を全ポリオールに対して0.01質量%以上含有するポリオールを使用することを特徴とする、硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供する。また本発明は、整泡剤、触媒、CF3CH2CF2CH3、および下記ポリオール(V)を含む、ポリオール組成物を提供する。
【0011】
ポリオール(V):下記ポリエーテルポリオール(X)、下記アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および安定に分散している下記ポリマー微粒子(P)を含み、ポリマー微粒子(P)を0.01質量%以上含有するポリマー分散ポリオール。なお、以下全ポリオールをポリオール(V)とする。
ポリエーテルポリオール(X):水酸基価が84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40質量%以上のポリエーテルポリオール。
アミン系ポリエーテルポリオール(Y):アミン化合物を開始剤として環状エーテルを付加重合して得られるアミン系ポリエーテルポリオールであって、前記アミン化合物がマンニッヒ反応させて得られた反応生成物である、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリマー微粒子(P):重合性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られるポリマー微粒子。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によれば、寸法安定性、およびフォーム表面の外観に優れた硬質発泡合成樹脂を製造できる。また、本発明のポリオール組成物は分散安定性に優れるため、ポリオールシステムを長期間放置しても、問題なく使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発泡剤]
本発明において発泡剤として、沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンを使用する。発泡剤がヒドロフルオロカーボンであるのでオゾン層を破壊するおそれがない。また発泡剤の沸点が30℃より低いと、得られた硬質発泡合成樹脂に外観不良が発生しやすい。また、沸点が50℃より高いと、充分に発泡せず、得られた硬質発泡合成樹脂の物性が不良となりやすい。
【0014】
通常の硬質発泡合成樹脂の製造において比較的高沸点の発泡剤を用いた場合には、低温環境で発泡した際に収縮がおきやすい問題があるが、本発明では以下に述べるポリオール(V)と組み合わせることにより、収縮の少ない寸法安定性に優れた硬質合成発泡樹脂を得られる。
【0015】
沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンの中では、さらに不燃性のヒドロフルオロカーボンが好ましい。不燃性であることは、硬質発泡合成樹脂の製造設備、製造環境を防爆管理する必要がなくなり好ましい。上記不燃性のヒドロフルオロカーボンの中では、沸点が40℃であるCF3CH2CF2CH3(以下HFC−365mfcという)が好ましい。
【0016】
発泡剤としては、水、HFC−365mfc以外のヒドロフルオロカーボンおよび炭素数10以下の炭化水素化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上を、HFC−365mfcと併用することもできる。HFC−365mfc以外のヒドロフルオロカーボンとしては、HFC−134a、HFC−245fa等が挙げられる。炭素数10以下の炭化水素化合物としては、ブタン、シクロペンタン、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等が挙げられる。
【0017】
HFC−365mfcの使用量は、ポリオール(V)100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。また発泡剤としての水をHFC−365mfcと併用する場合には、水の使用量はポリオール(V)100質量部に対して10質量部以下で、かつ、HFC−365mfc100質量部に対して100質量部以下が好ましい。より好ましくはポリオール(V)100質量部に対して10質量部以下で、かつ、HFC−365mfc100質量部に対して20質量部以下である。また、HFC−365mfcと併用される水以外の発泡剤の使用量は、ポリオール類100質量部に対して1〜100質量部で、かつ、HFC−365mfc100質量部に対して1〜200質量部が好ましい。より好ましくはポリオール(V)100質量部に対して1〜100質量部以下で、かつ、HFC−365mfc100質量部に対して1〜100質量部以下である。
【0018】
[ポリオール(V)]
本発明におけるポリオール(V)はポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および安定に分散しているポリマー微粒子(P)を含み、ポリマー微粒子(P)を0.01質量%以上含有するポリマー分散ポリオールである。
【0019】
ポリオール(V)中におけるポリエーテルポリオール(X)の含量は、0.005質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。ポリオール(V)中におけるアミン系ポリエーテルポリオール(Y)の含量は、0.003質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましい。
【0020】
ポリオール(V)中にポリマー微粒子(P)は0.01質量%以上含まれている。ポリマー微粒子(P)の割合がこれより少ない場合、寸法安定性に優れた硬質発泡合成樹脂を得にくい。ポリマー微粒子(P)の含量は0.05質量%以上が好ましい。またポリマー微粒子(P)の含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。
【0021】
ポリオール(V)の平均水酸基価は100〜800mgKOH/gが好ましく、100〜750mgKOH/gがより好ましい。硬質発泡合成樹脂として硬質ポリウレタンフォームを製造する場合、ポリオール(V)の平均水酸基価は200〜800mgKOH/gが好ましく、250〜750mgKOH/gがより好ましい。硬質発泡合成樹脂として硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームを製造する場合、ポリオール(V)の平均水酸基価は、100〜550mgKOH/gが好ましく、100〜450mgKOH/gがより好ましい。
【0022】
またポリオール(V)は下記ポリマー分散ポリオール(A)のみから、または、ポリマー分散ポリオール(A)と硬質発泡合成樹脂製造に用いるその他のポリオール(B)とから、なることが好ましく、ポリマー分散ポリオール(A)と硬質発泡合成樹脂製造に用いるその他のポリオール(B)とを併含することがより好ましい。
【0023】
ポリマー分散ポリオール(A):下記ポリオール(W)とポリマー微粒子(P)とからなるポリマー分散ポリオール。
ポリオール(W):ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および任意にその他のポリオール(Z)を含むポリオール。
【0024】
ポリオール(V)におけるポリマー分散ポリオール(A)とその他のポリオール(B)との混合比は、質量比で(A)/(B)が0.1〜100/99.9〜0が好ましく、0.3〜100/99.7〜0がより好ましく、1〜50/99〜50がさらに好ましく、1〜10/99〜90が特に好ましい。
【0025】
[ポリマー分散ポリオール(A)]
ポリマー分散ポリオール(A)はポリオール(W)とポリマー微粒子(P)とを併含するポリマー分散ポリオールである。製造方法は後述する。ポリマー分散ポリオール(A)の水酸基価は200〜800mgKOH/gが好ましく、200〜750mgKOH/gがより好ましく、250〜750mgKOH/gが特に好ましい。ポリマー分散ポリオール(A)が分離し、ポリマー微粒子(P)が沈降しない期間は、静置状態で、1ケ月間以上が好ましく、2ケ月間以上がより好ましく、3ケ月間以上が特に好ましい。
【0026】
[ポリオール(W)]
ポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および任意にその他のポリオール(Z)を含むポリオールである。ポリオール(W)におけるポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)およびその他のポリオール(Z)の混合比は、質量比で(X)/(Y)/(Z)が、5〜97/3〜35/0〜92が好ましく、10〜60/5〜35/10〜85がより好ましく、25〜50/8〜25/25〜67が特に好ましい。
【0027】
ポリオール(W)の平均水酸基価は200〜800mgKOH/gが好ましい。ポリオール(W)の平均水酸基価が200mgKOH/gより低い場合、製造したポリマー分散ポリオール(A)と、高水酸基価をもつ硬質発泡合成樹脂の製造に用いるその他のポリオール(B)との相溶性が乏しくなる。そのため、併用するとポリマー微粒子が分離する、または、ポリオール(V)が増粘する等の問題がおき、硬質発泡合成樹脂用原料として使用しにくい。ポリオール(W)の平均水酸基価が前記範囲より高い場合、ポリマー微粒子(P)が安定に分散したポリマー分散ポリオール(A)が得にくい。ポリオール(W)のより好ましい平均水酸基価は250〜750mgKOH/gである。
【0028】
[ポリエーテルポリオール(X)]
本発明におけるポリエーテルポリオール(X)は水酸基価が84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40質量%以上のポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価が84mgKOH/gより大きいと、ポリマー分散ポリオール(A)におけるポリマー微粒子(P)の分散安定性が低下する。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価は67mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以下が特に好ましい。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価の下限は特にないが、水酸基価は、5mgKOH/g以上が好ましく、8mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましく、30mgKOH/g以上が最も好ましい。
【0029】
ポリエーテルポリオール(X)のオキシエチレン基含量が40質量%より低いと、ポリマー分散ポリオール(A)におけるポリマー微粒子(P)の分散安定性が低下する。ポリエーテルポリオール(X)のオキシエチレン基含量の下限は50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が特に好ましい。ポリエーテルポリオール(X)のオキシエチレン基含量の上限は特にないが、約100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
【0030】
ポリオール(W)中のポリエーテルポリオール(X)の含量は、5質量%〜97質量%が好ましい。ポリエーテルポリオール(X)の含量が5質量%より低いと、ポリマー分散ポリオール(A)におけるポリマー微粒子(P)の分散安定性が低下する。ポリオール(W)中のポリエーテルポリオール(X)の含量は、10〜60質量%がより好ましく、25〜50質量%が特に好ましい。
【0031】
本発明におけるポリエーテルポリオール(X)は、開始剤として3価以上の多価アルコールを使用し、エチレンオキシドを単独で、または、エチレンオキシドと他の環状エーテルとを併用して、付加重合して得られるポリエーテルポリオールが好ましい。3価以上の多価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコールが特に好ましい。エチレンオキシドと併用する他の環状エーテルとしてはプロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が好ましく、このうちプロピレンオキシドが特に好ましい。
【0032】
[アミン系ポリエーテルポリオール(Y)]
本発明におけるアミン系ポリエーテルポリオール(Y)はアミン化合物を開始剤として環状エーテルを付加重合して得られる、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリエーテルポリオールであって、前記アミン化合物がマンニッヒ反応させて得られた反応生成物である、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリエーテルポリオールである。該水酸基価は、300〜800mgKOH/gが好ましく、350〜800mgKOH/gが特に好ましい。
【0033】
ポリオール(W)中のアミン系ポリエーテルポリオール(Y)の含量は、3〜35質量%が好ましい。アミン系ポリエーテルポリオール(Y)の含量が3質量%より低いと、ポリマー分散ポリオール(A)を用いて製造した硬質発泡合成樹脂の寸法安定性が不良となることがある。アミン系ポリエーテルポリオール(Y)の含量が35質量%より高いと、低粘度で分散安定性のよいポリマー分散ポリオール(A)が得られにくい。ポリオール(W)中のアミン系ポリエーテルポリオール(Y)の含量は、5〜35質量%がより好ましく、8〜30質量%がさらに好ましく、8〜25質量%が最も好ましい。
【0034】
上記アミン化合物に付加重合させる環状エーテルとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が好ましく、このうちエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが特に好ましい。
【0035】
[その他のポリオール(Z)]
その他のポリオール(Z)は、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)以外の任意のポリオールである。その他のポリオール(Z)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、多価アルコール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等が挙げられる。
【0036】
その他のポリオール(Z)の水酸基価は、200〜1000mgKOH/gが好ましく、400〜850mgKOH/gが特に好ましい。ポリオール(W)中のその他のポリオール(Z)の含量は、0〜92質量%が好ましく、10〜85質量%がより好ましく、25〜67質量%が特に好ましい。
【0037】
[その他のポリオール(B)]
その他のポリオール(B)は、ポリオール(V)にポリマー分散ポリオール(A)と共に含まれる、硬質発泡合成樹脂製造に用いられる任意のポリオールである。その他のポリオール(B)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、多価アルコール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等が挙げられる。また、フェノール類とアルカノールアミン類とアルデヒド類とをマンニッヒ反応により反応させて得られる反応物に環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオール等も使用できる。ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリエーテルポリオール(Y)も使用できる。
【0038】
また、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームを製造する場合には、その他のポリオール(B)として、ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールが特に好ましい。多価カルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が好ましい。上記ポリエステルポリオールの水酸基価は、100〜450mgKOH/gが好ましく、100〜350mgKOH/gが特に好ましい。ポリオール(V)中の上記ポリエステルポリオールの含量は10〜99.9質量%が好ましく、50〜99.9質量%がより好ましい。
【0039】
また、ポリオール(V)中の上記ポリエステルポリオールの含量が10〜50質量%と比較的低い場合は、さらに、(i)ビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物等の多価フェノールに環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオール類、(ii)フェノール類とアルカノールアミン類とアルデヒド類とをマンニッヒ反応により反応させて得られる反応生成物に環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオール類、(iii)ジオールに環状エーテルを付加して得られるポリエーテルジオール類、等をその他のポリオール(B)として併用することが好ましい。
【0040】
またその他のポリオール(B)としては、鎖延長剤、架橋剤として、比較的低分子量の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、多価アルコール等も併用できる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール等が用いられる。
【0041】
[ポリマー微粒子(P)]
本発明におけるポリマー微粒子(P)は、重合性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られるポリマー微粒子である。本発明に用いられる重合性不飽和結合を有するモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2,4−ジシアノ−1−ブテン等のニトリル系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、その他のジエン系モノマー;マレイン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和脂肪酸エステル系モノマー;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。
【0042】
重合性不飽和結合を有するモノマーの組合せとしては、ニトリル系モノマー5〜90質量%と他のモノマー10〜95質量%の組み合わせが好ましい。ニトリル系モノマーとスチレン系モノマーの組み合わせ、またはニトリル系モノマーとカルボン酸ビニルエステル系モノマーの組み合わせが、低粘度で分散安定性の良好なポリマー分散ポリオールを得るために好ましい。前記モノマーの組合せとしては、アクリロニトリルとスチレンの組み合わせ、および、アクリロニトリルと酢酸ビニルの組み合わせが特に好ましく、アクリロニトリルと酢酸ビニルの組合せが分散安定性が良好であるため特に好ましい。
【0043】
アクリロニトリルとスチレンの組み合わせの場合、その割合はアクリロニトリル/スチレンが質量比で90〜40/10〜60が好ましく、85〜60/15〜40が最も好ましい。アクリロニトリルと酢酸ビニルの組み合わせの場合、その割合はアクリロニトリル/酢酸ビニルが質量比で50〜10/50〜90が好ましく、40〜15/60〜85が最も好ましい。
【0044】
上記モノマーの使用量は特に限定されないが、ポリマー分散ポリオール(A)中のポリマー微粒子(P)の濃度としては約1〜50質量%が好ましく、2〜45質量%が特に好ましく、5〜40質量%が最も好ましい。
【0045】
[ポリマー分散ポリオール(A)の製造方法]
ポリオール(W)を用いて、ポリマー微粒子(P)が安定に分散した、ポリマー分散ポリオール(A)を製造する方法は下記の2通りの方法等が挙げられる。
【0046】
第1の方法は、必要に応じて溶媒の存在下、ポリオール(W)中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させ直接粒子を析出させる方法である。第2の方法は、必要に応じて粒子を安定化させるグラフト化剤の存在下、溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させ粒子を析出させた後、ポリオール(W)と溶媒を置換する方法である。本発明ではどちらの方法も採用でき、第1の方法が特に好ましい。
【0047】
重合性不飽和結合を有するモノマーの重合は、通常ラジカル重合が採用される。ラジカル重合の重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNという)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル)、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、過硫酸塩等が挙げられる。特にAIBN、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル)が好ましい。
【0048】
ポリマー微粒子(P)の分散安定性を良くするために、グラフト化剤を使用できる。グラフト化剤としては、ポリエーテル鎖やポリエステル鎖を有する化合物であって、分子内に重合性不飽和結合を有する化合物が使用できる。
【0049】
上記グラフト化剤としては、不飽和結合を分子内に有する活性水素化合物を開始剤として使用し、アルキレンオキシドを付加重合して得られる高分子量のポリオールまたはモノオール;ポリエーテルポリオールに無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物を反応させた後、必要に応じてアルキレンオキシドを付加して得られた高分子量のポリオールまたはモノオール;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブテンジオール等の不飽和結合を分子内に有するアルコールと他のポリオールとポリイソシアネートとの反応物;アリルグリシジルエーテル等の不飽和結合を分子内に有するエポキシ化合物とポリオールとの反応物等が挙げられる。これらの化合物は水酸基を有することが好ましいがそれに限定されない。
【0050】
[ポリオール組成物]
本発明におけるポリオール組成物は、整泡剤、触媒、HFC−365mfcおよびポリオール(V)を含む。前記ポリオール組成物は、ポリイソシアネートと混合して反応させることにより硬質発泡合成樹脂を製造するための原料であり、いわゆるポリオールシステムと呼ばれるものである。
【0051】
前記ポリオール(V)は分散安定性に優れる。また前記ポリオール組成物も分散安定性に優れる。前記ポリオール組成物が分離し、ポリマー微粒子(P)が沈降しない期間は、静置状態で、1ケ月間以上が好ましく、2ケ月間以上がより好ましく、3ケ月間以上が特に好ましい。
【0052】
[硬質発泡合成樹脂の製造方法]
本発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法において、発泡剤として沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンを使用することを特徴とする、硬質発泡合成樹脂の製造方法である。
【0053】
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を分子内に平均して2個以上有する芳香族系、脂環族系、または脂肪族系のポリイソシアネート類が挙げられる。また前記ポリイソシアネート類2種以上の混合物、または前記ポリイソシアネート類を変性して得られる変性ポリイソシアネート類も使用できる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物;ポリイソシアネート化合物のプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。
【0054】
整泡剤としては、通常硬質発泡合成樹脂を製造する際用いられるものが使用でき、シリコーン系整泡剤やフッ素系整泡剤等が挙げられる。触媒としては、通常硬質発泡合成樹脂を製造する際用いられるものが使用できる。トリエチレンジアミン等のアミン系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛、2−エチルヘキサン酸スズ(II)等の有機金属化合物触媒、4級アンモニウム塩触媒等が使用できる。また、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームを製造する場合は、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−sym−トリアジン、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、4級アンモニウム塩触媒等のイソシアヌレート変性化触媒を使用できる。
【0055】
その他、硬質発泡合成樹脂の原料としては、鎖延長剤、架橋剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤等を任意に使用できる。鎖延長剤、架橋剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のポリアミン等が使用できる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。また表中、ANはアクリロニトリル、Stはスチレン、VAcは酢酸ビニル、MMAはメタクリル酸メチルを示す。表中単位のない数字は質量部を表す。
【0057】
[ポリオールの製造]
使用したポリオールは次のとおりである。
ポリオールX1:グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをランダムに付加して得られた、水酸基価が50mgKOH/g、オキシエチレン基含量が55質量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールX2:グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをランダムに付加して得られた、水酸基価が50mgKOH/g、オキシエチレン基含量が75質量%のポリエーテルポリオール。
【0058】
ポリオールY1:ノニルフェノールとホルムアルデヒドとジエタノールアミンとをマンニッヒ反応させて得られた反応生成物にプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が470mgKOH/gのアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリオールY2:エチレンジアミンにプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が760mgKOH/gのアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリオールY3:エチレンジアミンにプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が500mgKOH/gのアミン系ポリエーテルポリオール。
【0059】
ポリオールY4:シュークロースとジエタノールアミンの混合物にプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が450mgKOH/gのアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリオールY5:トリレンジアミンにエチレンオキシドとプロピレンオキシドをこの順で付加して得られた、水酸基価が450mgKOH/g、オキシエチレン基含量が30%のアミン系ポリエーテルポリオール。ポリオールY6:エチレンジアミンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドをこの順で付加して得られた、水酸基価が450mgKOH/g、オキシエチレン基含量が40%のアミン系ポリエーテルポリオール。
【0060】
ポリオールZ1:グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをランダムに付加して得られた、水酸基価が50mgKOH/g、オキシエチレン基含量が25質量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールZ2:グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドをこの順で付加して得られた、水酸基価が56mgKOH/g、オキシエチレン基含量が10質量%のポリエーテルポリオール。ポリオールZ3:グリセリンにプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
【0061】
ポリオールZ4:グリセリンにプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールZ5:ビスフェノールAにエチレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が280mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールZ6:シュークロースとグリセリンの混合物にプロピレンオキシドを付加して得られた、水酸基価が450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールZ7:フタル酸とジエチレングリコールを反応して得られた、水酸基価が250mgKOH/gのポリエステルポリオール。
【0062】
(例1〜6:ポリマー分散ポリオールの製造例)
(ポリマー分散ポリオールA1、A2、B1、B2、B3の製造)
5L加圧反応槽に表1に示したポリオールの混合物のうち70質量%を仕込み、120℃に保ちながら残りのポリオールの混合物、表1に示したモノマーおよび開始剤としてのAIBNの混合物を撹拌しながら4時間かけて供給した。供給終了後、120℃で約0.5時間撹拌を続けた。すべての例においてモノマーの反応率は90%以上であった。反応終了後、未反応モノマーを120℃、13Paで2時間かけて加熱減圧脱気にて除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。
【0063】
それぞれの水酸基価(単位:mgKOH/g)、25℃における粘度(単位:cP)および分散安定性を表1に示す。ポリエーテルポリオール(X)を使用せずに製造した、ポリオールB2は、相分離を起こし均一な分散体は得られず、水酸基価、粘度は測定できなかった。
【0064】
(ポリマー分散ポリオールA3の製造)
5L加圧反応槽に表1に示したポリオール、モノマーおよび開始剤としてのAIBNを全て仕込んだ後、撹拌しながら昇温した。反応液を80℃に保ちながら10時間反応させた。モノマーの反応率は80%以上であった。反応終了後、110℃、13Paで2時間かけて加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。水酸基価(単位:mgKOH/g)、25℃における粘度(単位:cP)および分散安定性を表1に示す。
【0065】
[硬質発泡合成樹脂の製造]
(例7〜29:硬質ポリウレタンフォームの製造例)
表2〜3に示した量と種類の、ポリオールの100質量部、ポリマー分散ポリオール(表中ではPOPと表す)の2質量部、発泡剤、触媒、シリコーン整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、SH−193)の1.5質量部、および、難燃剤としてトリス(2−クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、以下TMCPPという)の10質量部、を調合し、ポリオール組成物を製造した。
【0066】
使用した発泡剤の種類は、発泡剤a:HFC−365mfc、発泡剤b:HFC−134a、発泡剤c:HFC−245fa、発泡剤d:シクロペンタン、発泡剤e:n−ペンタンである。
【0067】
使用した触媒の種類と量は、触媒f:トリエチレンジアミン溶液(商品名:DABCO 33LV、エアプロダクトアンドケミカルズ社製)をハンド発泡時のゲルタイムが40秒になるのに必要な質量部、触媒g:N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(商品名:カオライザーNo.10、花王製)をハンド発泡時のゲルタイムが60秒になるのに必要な質量部である。
【0068】
調合したポリオール組成物に対し、イソシアネートとしてポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、MR−200)を、イソシアネートインデックスが110となるよう、液温20℃で混合し、縦200mm×横200mm×高さ200mmの木製のボックス内に投入し、硬質ポリウレタンフォームを製造した。
【0069】
(例30〜42:硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームの製造例)
表4に示した量と種類の、ポリオールの100質量部、ポリマー分散ポリオールの2質量部、発泡剤、触媒、シリコーン整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、SH−193)1.5質量部、および、難燃剤としてTMCPPの20質量部、を調合し、ポリオール組成物を製造した。
【0070】
使用した触媒の種類と量は、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−sym−トリアジン(商品名:ポリキャット41、エアプロダクト社製)と2−エチルヘキサン酸カリウム溶液(カリウム15%、商品名プキャット15G、日本化学産業社製)の混合物を、ハンド発泡時のゲルタイムが40秒になるのに必要な質量部である。
【0071】
調合したポリオール組成物に対し、イソシアネートとしてポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、MR−200)を用い、イソシアネートインデックスが200となるよう、液温20℃で混合し、縦200mm×横200mm×高さ200mmの木製のボックス内に投入し、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームを製造した。
【0072】
[ポリオール組成物の評価および発泡評価1]
得られたフォームの、コア密度(単位:kg/m3)、低温収縮度(単位:%)、ポリオール組成物の貯蔵安定性、フォーム表面の外観および熱伝導率(単位:mW/m・K)を表2〜4に示す。
【0073】
低温収縮度は、−30℃で24時間経過後の発泡方向に対して垂直方向の寸法変化率を示す。ポリオール組成物の貯蔵安定性は、ポリオール組成物を40℃で2ケ月放置した後の分離状態を観察することにより評価した。分離せずに安定な場合を○、分離した場合を×、とした。
【0074】
フォーム表面の外観は、フォーム上面の表面に見られる凹凸の大きさ、数で判断した。大きなボイド等がなく、外観の良好な場合を○、大きなボイド等が多く、外観が不良な場合を×とした。熱伝導率は、JIS A−1412に従って測定した。
【0075】
なお、表2中、例7〜9および11は実施例、例10は参考例、例12〜19は比較例であり、表3中、例20〜22および24〜26は実施例、例23は参考例、例27〜29は比較例であり、表4中、例30〜31および33〜36は実施例、例32は参考例、例37〜42は比較例である。
【0076】
表2〜4に示したように、発泡剤としてHFC−365mfcを使用して得られた硬質ポリウレタンフォームおよび硬質ウレタン変性ヌレートフォームはいずれも、ボイド、膨れ等のない、良好なフォーム表面外観であった。また本発明の製造方法に基づいて製造した硬質ポリウレタンフォームおよび硬質ウレタン変性ヌレートフォームは、低温収縮度が小さく、いずれも良好な寸法安定性を示し、また、熱伝導率が低く、優れた断熱性能を示した。また本発明のポリオール組成物は良好な貯蔵安定性を示した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
[発泡評価2]
次にインバースラインのベルトコンベアにより運ばれてくる上下面材の間に、例7〜11、20〜26、30〜36の組成を用いて、硬質フォームを製造した。樹脂をスプレーノズルタイプのミキシングヘッドを介しトラバースしながら均一に分散させ、キュアゾーンにてアフターキュアを実施し、連続ラミネートボードを成形した。その結果得られた連続ラミネートボードは小口面等に低温収縮は見られず、良好な寸法安定性を示し、かつ、表面にボイド、エアだまりの見られない良好な外観であった。
【0082】
[発泡評価3]
次に例7〜11、20〜26、30〜36の組成を用い、カラー鋼板を面材として備えた2700×1000×100mmのパネル型枠内に、高圧発泡装置を使用し注入流動発泡を行った。その時の温度は20℃、型温度は35℃であった。その結果得られたフォームに低温収縮は見られず、良好な寸法安定性を示し、かつ、表面にボイド、エアだまりの見られない良好な外観であった。
【0083】
[発泡評価4]
次に触媒として2―エチルヘキサン酸鉛のミネラルスピリット溶液(濃度20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業社製)を0.5質量部使用した以外は、例7〜11、20〜26、30〜36と同じポリオール組成物を用い、イソシアネートとしてポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、コロネート1155)を用いて、液温35℃、室温5℃で、ガスマー社発泡機を用いてスプレーしながら発泡、壁面に吹きつけ施工した。
【0084】
その結果得られた硬質フォームに低温収縮は見られず、良好な寸法安定性を示し、かつ、壁面と発泡合成樹脂面の間に浮き、剥離が生じることがなく、良好なフォーム外観であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネートとを整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法において、
発泡剤として、沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンを使用し、かつ、ポリオールとして、下記ポリエーテルポリオール(X)、下記アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および安定に分散している下記ポリマー微粒子(P)を含み、ポリマー微粒子(P)を全ポリオールに対して0.01質量%以上含有するポリオールを使用することを特徴とする、硬質発泡合成樹脂の製造方法。
ポリエーテルポリオール(X):水酸基価が84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40質量%以上のポリエーテルポリオール。
アミン系ポリエーテルポリオール(Y):アミン化合物を開始剤として環状エーテルを付加重合して得られるアミン系ポリエーテルポリオールであって、前記アミン化合物がマンニッヒ反応させて得られた反応生成物である、水酸基価が250〜900mgKOH/gアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリマー微粒子(P):重合性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られるポリマー微粒子。
【請求項2】
前記アミン化合物が、ノニルフェノールとホルムアルデヒドとジエタノールアミンとをマンニッヒ反応させて得られた反応生成物である、請求項1に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記環状エーテルが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項4】
全ポリオールの平均水酸基価が100〜800mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項5】
全ポリオール中にポリエーテルポリオール(X)が0.005質量%以上含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項6】
全ポリオール中にアミン系ポリエーテルポリオール(Y)が0.003質量%以上含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項7】
沸点が30〜50℃であるヒドロフルオロカーボンが、CFCHCFCHである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項8】
発泡剤として、水、CFCFH、CFCHCHFおよび炭素数10以下の炭化水素化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上を、CFCHCFCHと併用する、請求項7に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項9】
CFCHCFCHと併用する発泡剤として、水を使用し、水の使用量が、全ポリオール100質量部に対して10質量部以下であり、かつ、CFCHCFCHの100質量部に対して100質量部以下である、請求項8に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項10】
CFCHCFCHと併用する発泡剤として、CFCHCHFを使用し、該CFCHCHFの使用量が、全ポリオール100質量部に対して1〜100質量部であり、かつ、CFCHCFCHの100質量部に対して1〜100質量部である、請求項8または9に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項11】
スプレーしながら発泡させる工程を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項12】
壁面上に硬質発泡合成樹脂を形成する、請求項11に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項13】
上下面材の間に硬質発泡合成樹脂を形成する、請求項11に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
【請求項14】
整泡剤、触媒、発泡剤、および下記ポリオール(V)を含み、前記発泡剤が、水、CFCFH、CFCHCHFおよび炭素数10以下の炭化水素化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上、およびCFCHCFCHからなる、ポリオール組成物。
ポリオール(V):下記ポリエーテルポリオール(X)、下記アミン系ポリエーテルポリオール(Y)および安定に分散している下記ポリマー微粒子(P)を含み、ポリマー微粒子(P)を0.01質量%以上含有するポリマー分散ポリオール。
ポリエーテルポリオール(X):水酸基価が84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40質量%以上のポリエーテルポリオール。
アミン系ポリエーテルポリオール(Y):アミン化合物を開始剤として環状エーテルを付加重合して得られるアミン系ポリエーテルポリオールであって、前記アミン化合物がマンニッヒ反応させて得られた反応生成物である、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリエーテルポリオール。
ポリマー微粒子(P):重合性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られるポリマー微粒子。

【公開番号】特開2011−58009(P2011−58009A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290099(P2010−290099)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2001−18933(P2001−18933)の分割
【原出願日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】