説明

磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置

【課題】COP(能力÷消費電力)の効率が良い電気利用による加熱装置は、熱の相転移により大気の熱を利用するヒートポンプしか現在の所ないが、ヒートポンプは冷媒を必要とする為環境に良い製品とはいい難く、また、構造が複雑である。
【解決手段】回転板2に永久磁石3を取り付け回転させることにより磁束が変化し、電磁誘導により発熱板4に渦電流が発生する。回転板2の磁束の変化は発熱板4の渦電流に変化し、熱エネルギーに変換され発熱板4を暖める。暖められた熱をファン6等で大気中に取り出す。構造も永久磁石3を回転させるだけなのでシンプルである。また、発熱板4の発生熱を高めるには、良導電体で熱を一定温度まで高める熱伝導率の低いものが良く、アルミの効率が高い。アルミ等を発熱板4として使用することにより有効にCOPを上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の回転により磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両で使われる電磁ブレーキの一種として、渦電流式ブレーキがある。渦電流式ブレーキはレールに接近させてN−S極を前後に並べて電磁石を設置し、ブレーキ力が必要な時にこれを励磁して、磁力でレールに渦電流を発生させてレンツの法則によるブレーキ力を得る。
【0003】
渦電流による熱発生装置としては、渦電流が流れる金属の抵抗によるジュール熱を利用する電磁調理器などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気利用による加熱装置は色々とあるが、COP(能力÷消費電力)の効率が良い装置は、熱の相転移により大気の熱を利用するヒートポンプしか現在の所ない。ヒートポンプは冷媒を必要とする為、環境に良い製品とはいい難い。また、構造が複雑になる。
【0005】
渦電流式ブレーキは、電磁石の利用であり、また、発熱を取り出す装置ではない。
【0006】
渦電流による熱発生装置としては、渦電流が流れる金属の抵抗によるジュール熱を利用する電磁調理器などがあるが、回転による磁束の変化(運動エネルギー)を熱エネルギーに変換するものではないく、大気中に熱を取り出す装置ではない。
【問題を解決する為の手段】
【0007】
上述の課題を解決する為、本発明は、回転板に永久磁石を取り付け高速度で回転させることにより、並べられた磁石の磁束の変化により固定された発熱板に渦電流が発生する。発熱板は固定されている為、回転板の運動エネルギーは発熱板の渦電流に変化し、その電流の損失により熱エネルギーに変換され発熱板を暖める。暖められた熱をファン等で大気中に取り出す。本発明によりCOPを上げることができる。また、構造も永久磁石を回転させるだけの為、非常にシンプルである。
【0008】
発熱板の発生熱を高める為には、磁力により渦電流を発生させる良導電体で、熱を一定温度まで高める熱伝導率の低いものが良い。それぞれの金属は一長一短あるが、アルミの効率が高い。アルミを発熱板として使用することにより有効にCOPを上げることができる。
【0009】
熱を取り出す為には、空気は熱伝導率が低い為、ファン等により空気の流れを作る。発熱板にスリットを入れることにより発熱板の表面からの熱移動の効率を上げる。スリットは発熱板の中心から外側に向かって入れる事により電流の流れを妨げない。また、回転板の温度を上げない事により磁石の熱による減磁を防ぐ。
【0010】
熱は高い所から低いところに移動する為、ファンからの空気の流れを空気より熱伝導率が良く、大気との接触面積の大きい放熱板内部を通過させる事により、熱の移動速度を上げる。また、ファンは空気の汲み出しにより、低圧部を作り、低圧部は気温の低下や空気の流れを作る。これらにより熱の伝導効率が増し効率的に熱を取り出すことが出来る
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、COPを上げることができる為、電気の使用による熱効率を高めることが出来る。暖房コストの削減、二酸化炭素の発生がないなど環境にも良い。また、構造がシンプルな為、低価格で製造でき、耐用年数が長い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 回転板、発熱板、放熱板、ファンの立面からの模式図。
【図2】 発熱板のスリット方向の模式図
【発明を実施する為の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を模式図に基づき説明する。
【0014】
永久磁石を貼り付けた回転板の回転により、磁束を変化させ、その磁束変化により渦電流を発生させる事ができる発熱板とその発生熱を効率的に取り出す為の放熱板とファンからなる模式図と発熱板のスリット方向の模式図である。
【0015】
本発明の実施の形態を模式図で説明したが、本発明はこの形態に限るものではない。
【符号の説明】
【0016】
1、モーター
2、回転板
3、永久磁石
4、発熱板
5、放熱板
6、ファン
7、吐出口
8、スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転板に永久磁石を取り付け高速度で回転させることにより、取り付けられた磁石の磁束の変化により、固定された発熱板に渦電流が発生する。回転板の磁束の変化(運動エネルギーによる)は発熱板の渦電流に変化し、発熱板は固定されている為、その電流の損失により熱エネルギーに変換され発熱板を暖める。暖められた熱をファンや放熱板等で大気中に取り出す事を特徴とする磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置
【請求項2】
発熱板の発生熱を高める為には、磁力により渦電流を発生させ易い良導電体で、熱を一定温度まで高める熱伝導率の低いものが良い。それぞれの金属は一長一短あるが、アルミの効率が高い。アルミ等の効率の良い金属を発熱板として使用することにより有効にCOPを上げることができる事を特徴とする請求項1記載の磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置
【請求項3】
熱を取り出す為には、空気は熱伝導率が低い為、ファン等により空気の流れを作る。発熱板にスリットを入れることにより発熱板の表面からの熱移動の効率を上げる。スリットは発熱板の中心から外側に向かって入れる事により電流の流れを妨げず有効に渦電流を発生させることが出来る。また、回転板への熱伝導を抑え温度を上げない事により磁石の熱による減磁を防ぐ事を特徴とする請求項2記載の磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置
【請求項4】
熱は高い所から低いところに移動する為、ファンからの空気の流れを、空気より熱伝導率が良く大気との接触面積の大きい放熱板内部を通過させる事により、熱の移動速度を上げることが出来る。また、ファンは空気の汲み出しにより、低圧部を作り、低圧部は気温の低下や空気の流れを作る。これらにより熱の伝導効率が増し効率的に熱を取り出すことが出来る事を特徴とする請求項3記載の磁束を変化させる運動エネルギーの熱エネルギーへの変換取り出し装置

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−257921(P2010−257921A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124685(P2009−124685)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509144063)エネコム株式会社 (1)
【出願人】(509144074)
【Fターム(参考)】