説明

磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法

【課題】 折れたり、ひび割れたりした磁気カード、或いは、付着物がついた磁気カードを顧客が使用したとき、磁気カードが不良であることを検出できる磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法を提供する。
【解決手段】 磁気カード30を搬送する搬送ローラ40a〜40dと、磁気カード30から磁気データを読み出す磁気ヘッド10と、磁気ヘッド10に設け磁気ヘッド10の挙動を検出する加速度センサ20と、加速度センサ20の情報から磁気ヘッド10の挙動異常を判定する挙動監視部21とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法に関し、特に自動預金支払機(以降、ATMと称す。ATM:Automatic Teller Machine)などに搭載される磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動取引装置用の取引媒体のカードのひび割れなどの異常を検知し、カードのジャムや読み取りエラーを防止するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の技術は、挿入したカードの長手方向、幅方向に所定の押圧力を負荷する損傷検知部を設ける。損傷検知部は、カードに発生する曲げ応力や歪から割れ、ひび、反りなどの異常を検知する。ジャムの発生や読み取りエラーの虞のあるカードは、表示部画面や音声により顧客に知らせる。
【0004】
また、磁気カードに付着して挿入される異物を磁気カードの走行路内に取り込む以前に磁気カード読み取り装置外へ排除し、故障発生を防止するものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2の技術は、磁気カード挿入口に設ける取り込みローラと、磁気カードの挿入方向と逆方向に接触回転するブラシ付きローラと、ブラシ付きローラで排除されて変形した異物を検出するセンサと、センサの出力によって取り込みローラを逆転駆動させる制御部とで構成する。
【0006】
上記構成により、ブラシ付きローラは、磁気カードに付着して挿入される異物を排除し、センサは、排除されて変形した異物の存在を検出して検出信号を出力する。制御部は、検出信号を受信して、取り込みローラを逆転駆動させ、取り込みの途中状態の磁気カードを異物と共に磁気カード挿入口の外へ排除する。
【0007】
【特許文献1】特開平08−063637号公報
【特許文献2】特開平03−067382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金融機関などに設置したATMは、折れたり、ひび割れたりした磁気カード、或いは、磁気ストライプ部に付着物がついた磁気カードを顧客が使用したとき、磁気カードが搬送できずに装置から磁気カードを排出できない不具合の発生、或いは、磁気カードの読み取りエラーの不具合が発生する。
【0009】
上記特許文献1は、磁気カードのひび割れなどの異常を検知し、不良磁気カードを検出しているが、異常を検知するため、磁気カードへ押圧力を負荷する。従って、特許文献1は、磁気カードのひび割れ、反りを一層悪化させるケースが生じるという課題がある。
【0010】
また、特許文献1は、磁気カードの不良のみを検出しているため、磁気カードの読み取りエラーの発生時、エラー原因がATMと磁気カードとのどちら側にあるのか特定できないという課題がある。
【0011】
上記特許文献2は、磁気カードに付着して挿入される異物をセンサで検出しているが、センサで検出可能な異物は、紙片、レシートなどの限定された異物のみである。磁気ストライプ部に付着し、読み取りエラーが発生する異物は、粘着物、塵埃の塊などが一般的である。従って、特許文献2は、一般的な異物に対しては、存在を検出できず、磁気カードを取り込みの途中に排出できないという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、上述した課題を解決する磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の磁気カード読み取り装置は、磁気カードを搬送する搬送ローラと、磁気カードから磁気データを読み出す磁気ヘッドと、磁気ヘッドに設け磁気ヘッドの挙動を検出するセンサと、センサの情報から磁気ヘッドの挙動異常を判定する挙動監視部とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の磁気カード不良検出方法は、磁気カードを挿入するステップと、磁気カードを搬送ローラで搬送するステップと、磁気ヘッドで磁気カードから磁気データを読み出すステップと、磁気ヘッドに設けたセンサにより磁気ヘッドの挙動を検出するステップと、センサの情報から磁気ヘッドの挙動異常を挙動監視部で判定するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の磁気カード読み取り装置、磁気カード不良検出方法は、折れたり、ひび割れたりした磁気カード、或いは、付着物がついた磁気カードを顧客が使用したとき、磁気カードが不良であることを検出できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の磁気カード読み取り装置81の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【0018】
図1を参照すると、磁気カード読み取り装置81は、磁気カード30を搬送する搬送ローラ40a、40b、40c、40dと、磁気カード30から磁気データを読み出す磁気ヘッド10と、挙動監視部21とで構成する。磁気ヘッド10には、磁気ヘッド10の挙動を検出する加速度センサ20を設ける。なお、加速度センサ20に換え、変位センサを設けてもよい。この場合、静電容量型の変位センサを用いるとき、変位センサに対向する位置に金属平板を配置する。
【0019】
挙動監視部21は、加速度センサ20の情報から磁気ヘッド10の挙動異常を判定する異常判定部22を備える。
【0020】
搬送ローラ40c、40dは、磁気カード30を最初に取り込み挿入方向61へ搬送し、搬送ローラ40a、40bは、磁気カード30の先端部30aが磁気ヘッド10を通過後、磁気カード30を更に搬送する。
【0021】
次に、上述の構成の磁気カード読み取り装置81の動作について、図1を参照して説明する。
【0022】
磁気カード30を挿入方向61へ挿入すると、搬送ローラ40c、40dは、磁気カード30を磁気ヘッド10の存在する方向へ搬送する。磁気カード30は、先端部30aが磁気ヘッド10と接触し、磁気ヘッド10上を通過し、接触した状態で搬送される。磁気カード30は、その後、搬送ローラ40a、40bに取り込まれ更に搬送される。
【0023】
磁気ヘッド10は、磁気カード30と接触(密着)した状態で磁気カード30から磁気データを読み出す。
【0024】
一方、磁気ヘッド10に設けた加速度センサ20は、磁気ヘッド10の挙動(加速度)を常時検出している。挙動監視部21の異常判定部22は、加速度センサ20の情報から磁気ヘッド10の挙動異常を判定する。
【0025】
磁気カード30の先端部30aが磁気ヘッド10と接触したときの加速度センサ20の出力をα1とすると、α1は、磁気カード30の正常(良)/異常(不良)に拘わらず、検出される故、挙動異常の判定に用いない。
【0026】
異常判定部22は、加速度センサ20の出力が閾値を超えるとき、磁気ヘッド10の挙動異常と判定し、磁気カード30が不良であることを検出する。異常判定部22は、加速度センサ20の出力が閾値以下のとき、磁気ヘッド10の挙動が正常と判定し、磁気カード30が正常であることを検出する。
【0027】
なお、閾値は、磁気カード30の寸法のバラツキ、精度、および、磁気カード読み取り装置81の各種構成部品、組み立て後寸法のバラツキ、精度などを考慮して、実験的、統計的手法を用いて決定する。或いは、強制的にひび割れ、折れ目、異物付着などを施した磁気カード30を複数種作成し、作成した磁気カード30を用いて実験を行う。閾値は、加速度センサ20の出力と読み出しエラー発生との関係を実験結果から決定する。
【0028】
上述の磁気カード読み取り装置81は、磁気ヘッド10に加速度センサ20を取り付け、異常判定部22は、加速度センサ20の出力から磁気ヘッド10の挙動の正常/異常を判定し、磁気カード30の良/不良を検出する。
【0029】
従って、磁気カード読み取り装置81は、折れたり、ひび割れたりした磁気カード30、或いは、付着物がついた磁気カード30を顧客が使用したとき、磁気カード30が不良であることを検出できるという効果がある。
【0030】
また、磁気カード読み取り装置81は、磁気カード30の良/不良の検出を磁気カード30が磁気ヘッド10と接触している状態の間に行う。即ち、装置(例えば、ATM)内部の奥まで磁気カード30を挿入することなく、磁気カード10の不良を検出する。従って、不良の磁気カード30は、装置外部へ排出でき、装置内部での磁気カード30の詰まり現象を防止できるという効果がある。
【0031】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図2は、本発明の磁気カード読み取り装置82の第2の実施の形態を示す概略構成図、図3は、概略構成ブロック図である。なお、既述の第1の実施の形態の磁気カード読み取り装置81と同一構成要素は、同一符号で表記する。
【0033】
図2、3を参照すると、磁気カード読み取り装置82は、磁気カード30を搬送する搬送ローラ40a、40b、40c、40dと、搬送モータ制御部11と、磁気カード30から磁気データを読み出す磁気ヘッド10と、加速度センサ20と、位置センサ70と、ロータリエンコーダ50と、カード制御部16と、メモリ17と、挙動監視部12と、CPU(Central Processing Unit)13と、上位制御部14と、モニター15とで構成する。また、搬送ローラ40a、40bと搬送ローラ40c、40dとの間には、磁気カード30の搬送をガイドするガイド部91、92を設ける。
【0034】
搬送ローラ40c、40dは、磁気カード30を最初に取り込み挿入方向61へ搬送し、搬送ローラ40a、40bは、磁気カード30の先端部30aが磁気ヘッド10を通過後、磁気カード30を更に搬送する。
【0035】
搬送モータ制御部11は、搬送ローラ40a、40b、40c、40dを駆動するモータ(図示せず)を制御する。
【0036】
加速度センサ20は、磁気ヘッド10に設け、磁気ヘッド10の挙動を検出する。
【0037】
位置センサ70は、光学的検出手段、例えば、発光ダイオード71とフォトトランジスタ72とを備え、磁気カード30を搬送時に先端部30aの通過を検出する。
【0038】
ロータリエンコーダ50は、搬送ローラ40dの取り付けと同一のシャフト41に固定する回転円板51と、回転円板51を挟んで対向して設ける発光ダイオード52とフォトトランジスタ53とで構成する(図4参照)。回転円板51は、円周上に等間隔に複数の抜き穴511を設ける。ロータリエンコーダ50は、搬送ローラ40dによる磁気カード30の搬送量を検出する。回転円板51は、搬送ローラ40c側へ取り付けてもよい。
【0039】
ここに、搬送量の検出について、図2、図4を参照して説明する。
【0040】
図4(a)は、搬送ローラ40dとロータリエンコーダ50との関係を示す正面図、図4(b)は、側面図である。
【0041】
搬送ローラ40dの半径:R、回転速度:N回転/分(RPM)、抜き穴数:Kとすると、1パルス発生に対する磁気カード30の搬送量は、2πR/Kとなる。従って発生パルス数をカウントして、搬送量を検出できる。なお、フォトトランジスタ53の検出出力をパルスと表現している。
【0042】
カード制御部16は、磁気カード30の読み出し制御と、搬送モータ制御部11の制御とを行う。また、カード制御部16は、磁気ヘッド10で読み出した磁気データを二値化して、CPU13へ転送する。
【0043】
メモリ17は、磁気データに対する磁気カード30の先端部30aからの距離を予め記憶する。メモリ17は、磁気カード30の挿入方向61に対するデータ部31に記録する磁気データに対応する先端部30aからの距離を格納するデータ/距離対応テーブル171を備える(図6参照)。
【0044】
ここに、図5、6を参照してデータ/距離対応テーブル171について説明する。
【0045】
図5に示すように磁気カード30のデータ部31には、D1、D2、D3・・・Dnの磁気データが記録される。先端部30aからの各磁気データの距離は、L1、L2、L3・・・Lnとする。図6に示すように、データ/距離対応テーブル171は、D1、D2、D3・・・Dnに対応する先端部30aからの距離L1、L2、L3・・・Lnを記憶しておく。なお、先端部30aからの各磁気データの距離は、L1(図5では、先端部30aからデータ部31の始点までの距離)を求めておけば、記録ビット間隔は既知である故、磁気データ記録時における記録ビット数から容易に算出できる。この算出結果を図6に示すようにメモリ17に予め格納しておく。磁気データD1、D2、D3・・・Dnは、先頭ビットから1ビット毎の最終のmビットとしてもよい(データ部31は、mビットの構成とする)。この場合、各ビット位置に対する距離をメモリ17に予め格納しておく。磁気データD1、D2、D3・・・Dnは、磁気データを読み出し時に、読み出した磁気データが書き込み時のどのデータであるか識別できる情報であればよい。
【0046】
挙動監視部12は、加速度センサ20の情報から磁気ヘッド10の挙動異常を判定する異常判定部123と、位置センサ70の情報とロータリエンコーダ50の情報とから磁気カード30と磁気ヘッド10との相対位置関係を算出する相対距離算出部121と、加速度センサ20の情報と算出した相対位置関係とから磁気カード30の異常発生位置を特定する異常発生位置特定部122とを備える。
【0047】
ここに、相対位置関係の算出について、図2、図4を参照して説明する。
【0048】
相対距離算出部121は、位置センサ70で先端部30aを検出した後のロータリエンコーダ50の発生パルス数から磁気カード30の先端部30aの位置センサ70からの距離を算出する。一方、位置センサ70と磁気ヘッド10との距離Sは、設計で決定する既知の値である。従って、磁気ヘッド10に対する磁気カード30の相対位置は、容易に算出できる。例えば、発生パルス数:P、磁気ヘッド10に対する磁気カード30の先端部30aからの距離:Lpとすると、Lp=(2πRP/K−S)となる。
【0049】
異常判定部123による挙動異常を判定する方法については、既述の第1の実施の形態の磁気カード読み取り装置81の異常判定部22と同一故、説明を省略する。
【0050】
CPU13は、カード制御部16から受信した磁気データの読み出しエラー箇所を検証する読み出しエラー検証部131と、磁気カード30の不良有無を判定するエラー発生位置特定手段132とを備える。エラー発生位置特定手段132は、メモリ17を読み出し磁気データの読み出しエラー発生位置を求め、磁気カード30の異常発生位置と読み出しエラー発生位置とを比較し、磁気カード30の不良有無を判定する。
【0051】
上位制御部14は、CPU13から磁気カード30の不良判定情報を受信し、磁気カード30の交換が必要であることを示す情報を表示させる指示をモニター15へ送信する。
【0052】
モニター15は、交換必要情報を表示する。
【0053】
次に、上述の構成の磁気カード読み取り装置82の動作について、図7を参照して説明する。
【0054】
図7を参照すると、磁気カード30を挿入方向61へ挿入する(S101)と、搬送モータ制御部11は、搬送ローラ40c、40dを駆動し、搬送ローラ40c、40dにより、磁気カード30を磁気ヘッド10の方向へ一定速度で搬送する(S102)。
【0055】
位置センサ70は、磁気カード30の先端部30aを検出する(S103)。対向して配置した発光ダイオード71とフォトトランジスタ72との間を磁気カード30の先端部30aが通過すると、フォトトランジスタ72の出力は、HIGHからLOW(0)へと変化する。この出力変化信号により、位置センサ70は、磁気カード30の先端部30aの通過を検出する。
【0056】
位置センサ70を通過後、磁気カード30は、先ず、先端部30aが磁気ヘッド10と接触し、接触後、密着した状態で磁気ヘッド10上を搬送される(S104)。磁気カード30は、その後、搬送ローラ40a、40bに取り込まれ更に搬送される。
【0057】
磁気ヘッド10は、磁気カード30と接触(密着)した状態で磁気カード30から磁気データを読み出す。一方、磁気ヘッド10に設けた加速度センサ20は、磁気ヘッド10の挙動(加速度)を常時検出している。挙動監視部12は、加速度センサ20の情報から磁気ヘッド10の挙動を監視する(S105)。
【0058】
読み出しエラー検証部131は、カード制御部16から受信した磁気データのエラーの有無を検証する(S106)。
【0059】
一方、挙動監視部12の異常判定部123は、磁気ヘッド10の挙動異常の有無を判定する(S107)。
【0060】
上記(S106)において、磁気データの読み出しエラー有り、上記(S107)において、挙動異常が有りのとき、エラー発生位置特定手段132は、メモリ17を読み出し、磁気データの読み出しエラー発生箇所のデータに対する先端部30aからの距離をデータ/距離対応テーブル171から求める。また、相対距離算出部121は、位置センサ70の情報とロータリエンコーダ50の情報(発生パルス数)とから、磁気カード30と磁気ヘッド10との相対位置関係を算出する(S108)。
【0061】
エラー発生位置特定手段132は、相対距離算出部121で求めた磁気カード30の異常発生位置と、データ/距離対応テーブル171から求めたエラー発生位置とを比較する(S109)。
【0062】
エラー発生位置特定手段132は、上記(S109)における磁気カード30の異常発生位置とエラー発生位置とが一致するか否かを判定する(S110)。なお、一致するか否かの判定基準は、例えば、両位置の差が3mm以内のとき、一致すると判定するようにする。具体的には、既述のLp=(2πRP/K−S)と、Li(i=1〜n)との差の絶対値|Lp−Li|<3mmのとき、エラー発生位置特定手段132は、一致すると判定する。
【0063】
一致するとき、エラー発生位置特定手段132は、磁気カード30の不良と判定する(S111)。
【0064】
CPU13は、磁気カード30の不良情報を上位制御部14へ送信する(S112)。上位制御部14は、CPU13から磁気カード30の不良判定情報を受信し、磁気カード30の交換が必要であることを示す情報を表示させる指示をモニター15へ送信する。
【0065】
モニター15は、磁気カード30の交換必要情報を表示する(S113)。
【0066】
カード制御部16は、搬送モータ制御部11のモータ(図示せず)制御により搬送ローラ40a〜40dを挿入時と逆回転させ、磁気カード30を排出する制御を行う(S114)。
【0067】
上記(S110)で一致しないと判定したとき、エラー発生位置特定手段132は、磁気カード30のみの不良ではないと判定し(S115)、上記(S114)へ進む。なお、一致しないとの判定時は、磁気ヘッド10、装置回路(図示せず)などの磁気カード読み取り装置82の構成要素の不良、或いは、磁気カード30自体の不良のケースが想定できる。磁気カード30自体の不良のケースは、稀であるが、例えば、磁気カード30の表面に挙動異常が有りと判定される異物が付着し、異物の付着位置とは挿入方向61に離れた箇所のデータ部31の磁気データが一部消去されているケースである。
【0068】
以上説明したように、磁気カード読み取り装置82は、エラー発生位置特定手段132により、磁気カード30の異常発生位置とエラー発生位置とが一致するか否かを判定し、一致するとき、磁気カード30の不良と判定する。従って、磁気カード読み取り装置81は、折れたり、ひび割れたりした磁気カード30、或いは、付着物がついた磁気カード30を顧客が使用したとき、磁気カード30が不良であることを高い確度で検出できるという効果がある。
【0069】
また、磁気カード読み取り装置82は、磁気カード30の良/不良の検出を磁気カード30が磁気ヘッド10と接触している状態の間に行う。従って、不良の磁気カード30を検出時点で装置外部へ排出でき、装置内部での磁気カード30の詰まり現象を防止できるという効果がある。
【0070】
さらに、磁気カード読み取り装置82は、磁気カード30の交換必要情報をモニター15へ表示するため、磁気カード30の交換をユーザへ通知できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の磁気カード読み取り装置の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の磁気カード読み取り装置の第2の実施の形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明の磁気カード読み取り装置の第2の実施の形態を示す概略構成ブロック図である。
【図4】図4(a)は、搬送ローラとロータリエンコーダとの詳細を示す正面図、図4(b)は、側面図である。
【図5】データ/距離対応テーブルを説明するための図である。
【図6】データ/距離対応テーブルを説明するための図である。
【図7】本発明の磁気カード読み取り装置の第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10 磁気ヘッド
11 搬送モータ制御部
12 挙動監視部
121 相対距離算出部
122 異常発生位置特定部
123 異常判定部
13 CPU
131 読み出しエラー検証部
132 エラー発生位置特定手段
14 上位制御部
15 モニター
16 カード制御部
17 メモリ
171 データ/距離対応テーブル
20 加速度センサ
21 挙動監視部
22 異常判定部
30 磁気カード
30a 先端部
31 データ部
40a、40b 搬送ローラ
40c、40d 搬送ローラ
41 シャフト
50 ロータリエンコーダ
51 回転円板
511 抜き穴
52 発光ダイオード
53 フォトトランジスタ
61 挿入方向
70 位置センサ
71 発光ダイオード
72 フォトトランジスタ
81、82 磁気カード読み取り装置
91、92 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気カードを搬送する搬送ローラと、前記磁気カードから磁気データを読み出す磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドに設け前記磁気ヘッドの挙動を検出するセンサと、前記センサの情報から前記磁気ヘッドの挙動異常を判定する挙動監視部とを有することを特徴とする磁気カード読み取り装置。
【請求項2】
前記センサは、加速度センサを有することを特徴とする請求項1記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項3】
磁気カードを搬送する搬送ローラと、前記磁気カードから磁気データを読み出す磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドに設け前記磁気ヘッドの挙動を検出する挙動センサと、前記磁気カードを搬送時に先端位置を検出する位置センサと、前記磁気カードの搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記磁気データに対する前記磁気カードの前記先端位置からの距離を予め記憶するメモリと、前記磁気カードと前記磁気ヘッドとの相対位置関係を算出し、前記挙動センサの情報と算出した前記相対位置関係とから前記磁気カードの異常発生位置を特定する挙動監視部と、前記メモリを読み出し前記磁気データのエラー発生位置を求めるCPUとを有し、前記CPUは、前記磁気カードの異常発生位置と前記エラー発生位置とを比較し前記磁気カードの不良有無を判定する手段を有することを特徴とする磁気カード読み取り装置。
【請求項4】
磁気カードを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを駆動するモータを制御する搬送モータ制御部と、前記磁気カードから磁気データを読み出す磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドに設け前記磁気ヘッドの挙動を検出する挙動センサと、前記磁気カードを搬送時に先端位置を検出する位置センサと、前記搬送ローラによる前記磁気カードの搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記磁気カードの読み出し制御と搬送制御とを行うカード制御部と、前記磁気データに対する前記磁気カードの前記先端位置からの距離を予め記憶するメモリと、前記位置センサの情報と前記搬送量検出手段の情報とから前記磁気カードと前記磁気ヘッドとの相対位置関係を算出し、前記挙動センサの情報と算出した前記相対位置関係とから前記磁気カードの異常発生位置を特定する挙動監視部と、前記磁気データの読み出しエラーを検証し、前記メモリを読み出し前記磁気データの読み出しエラー発生位置を求め、前記磁気カードの異常発生位置と前記エラー発生位置とを比較し前記磁気カードの不良有無を判定するCPUと、前記CPUから前記磁気カードの不良判定情報を受信し、前記磁気カードの交換必要情報を表示させる上位制御部と、交換必要情報を表示するモニターとを有することを特徴とする磁気カード読み取り装置。
【請求項5】
前記挙動センサは、加速度センサを有することを特徴とする請求項3または4記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項6】
前記位置センサは、光学的検出手段を有することを特徴とする請求項3または4記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項7】
前記搬送量検出手段は、ロータリエンコーダを有し、前記ロータリエンコーダは、前記搬送ローラと同一のシャフトに固定する回転円板と、前記回転円板を挟んで対向して設ける発光ダイオードとフォトトランジスタとを有し、前記回転円板は、円周上に等間隔に複数の抜き穴を設けることを特徴とする請求項3または4記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項8】
前記カード制御部は、前記磁気ヘッドが読み出した前記磁気データを2値化する手段と、2値化したデータを前記CPUへ転送する手段とを有することを特徴とする請求項4記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項9】
前記メモリは、前記磁気カードの搬送方向に対するデータ部に記録する前記磁気データに対応する前記先端位置からの距離を格納するデータ/距離対応テーブルを有することを特徴とする請求項3または4記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項10】
前記挙動監視部は、前記挙動センサの情報から前記磁気ヘッドの挙動異常を判定する手段を有することを特徴とする請求項3、4、5の何れか1項記載の磁気カード読み取り装置。
【請求項11】
磁気カードを挿入するステップと、前記磁気カードを搬送ローラで搬送するステップと、磁気ヘッドで前記磁気カードから磁気データを読み出すステップと、前記磁気ヘッドに設けたセンサにより前記磁気ヘッドの挙動を検出するステップと、前記センサの情報から前記磁気ヘッドの挙動異常を挙動監視部で判定するステップとを有することを特徴とする磁気カード不良検出方法。
【請求項12】
前記センサは、加速度センサを有することを特徴とする請求項11記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項13】
磁気カードを挿入するステップと、搬送ローラで前記磁気カードを搬送するステップと、前記搬送ローラを駆動するモータを制御するステップと、前記磁気カードから磁気データを磁気ヘッドで読み出すステップと、前記磁気カードの読み出し制御と搬送制御とをカード制御部で行うステップと、前記磁気ヘッドに設けた挙動センサで前記磁気ヘッドの挙動を検出するステップと、前記磁気カードを搬送時に先端位置を位置センサで検出するステップと、前記搬送ローラによる前記磁気カードの搬送量を搬送量検出手段で検出するステップと、前記磁気データに対する前記磁気カードの前記先端位置からの距離を予めメモリへ記憶するステップと、挙動監視部が、前記位置センサの情報と前記搬送量検出手段の情報とから前記磁気カードと前記磁気ヘッドとの相対位置関係を算出し、前記挙動センサの情報と算出した前記相対位置関係とから前記磁気カードの異常発生位置を特定するステップと、CPUが、前記磁気データの読み出しエラーを検証し、前記メモリを読み出し前記磁気データの読み出しエラー発生位置を求め、前記磁気カードの異常発生箇所と前記エラー発生位置とを比較し前記磁気カードの不良有無を判定するステップと、上位制御部が、前記CPUから前記磁気カードの不良判定情報を受信し、前記磁気カードの交換必要情報をモニターへ表示させる指示をするステップと、モニターが交換必要情報を表示するステップとを有することを特徴とする磁気カード不良検出方法。
【請求項14】
前記挙動センサは、加速度センサを有することを特徴とする請求項13記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項15】
前記位置センサは、光学的検出手段を有することを特徴とする請求項13記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項16】
前記搬送量検出手段が、ロータリエンコーダにより、前記搬送ローラと同一のシャフトに回転円板を固定するステップと、前記回転円板を挟んで対向して発光ダイオードとフォトトランジスタとを設けるステップと、前記回転円板の円周上に等間隔に設けた複数の抜き穴を前記発光ダイオードと前記フォトトランジスタとで検出するステップとを有することを特徴とする請求項13記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項17】
前記カード制御部が、前記磁気ヘッドが読み出した前記磁気データを2値化するステップと、2値化したデータを前記CPUへ転送するステップとを有することを特徴とする請求項13記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項18】
前記メモリが、前記磁気カードの搬送方向に対するデータ部に記録する前記磁気データに対応する前記先端位置からの距離をデータ/距離対応テーブルへ格納するステップを有することを特徴とする請求項13記載の磁気カード不良検出方法。
【請求項19】
前記挙動監視部が、前記挙動センサの情報から前記磁気ヘッドの挙動異常を判定するステップを有することを特徴とする請求項13または14記載の磁気カード不良検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−15625(P2010−15625A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173088(P2008−173088)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】