説明

磁気センサの信号検出回路

【課題】高い精度と安定性を有し、製造ばらつきが少なく小型化が可能な磁気センサの信号検出回路を提供する。
【解決手段】磁気センサ11の検出コイル113の出力電圧が入力される差動増幅器33と、差動増幅器33の出力が入力されるヒステリシスコンパレータ34と、ヒステリシスコンパレータ34から出力されるデジタル信号に基づいて、出力電圧に含まれる隣接する2つのスパイク状電圧のそれぞれが出力される間におけるクロックのパルス数をカウントするカウンタ35とを含む磁気センサの信号検出回路を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気センサの信号検出回路に関し、とくに高い精度と安定性を有する磁気センサの信号検出回路を提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
軟磁性コアに巻回した励磁コイルに周期的なドライブ信号を入力することにより周期的に磁束を飽和させ、測定対象となる外部磁場の大きさに応じて変化する飽和時間間隔から外部磁場の強度を計測する、いわゆるフラックスゲート磁力計が知られている。フラックスゲート磁力計は、(1)感度及び磁場分解能が高い、(2)微弱磁場の測定が可能、(3)測定レンジが広い、(4)他の方式による磁力計に比べて温度安定性が良い、(5)入力磁場に対する直線性が高いといった、磁力計としての各種優れた特徴を有する。
【0003】
このようなフラックスゲート磁力計の一例として、特許文献1には、励磁コイルへの交番信号の通電により磁気検知材料からなるリングコアを飽和磁界の領域まで励磁し、リングコアに誘起される飽和磁束密度の対称性を利用して磁束密度を計測する磁気センサを備えたフラックスゲート磁力計が開示されている。また特許文献2には、コアに励振コイルと検出コイルを巻回してなるフラックスゲートの励振コイルに発振器より励振電流を与え、検出コイルの出力を同期整流回路で同期整流して出力するようにした磁力計が開示されている。昨今では、携帯型コンパス用の磁気センサ等、小型機器への適用も期待されている。
【特許文献1】特開2005−147947号公報
【特許文献2】特開平8−285929号公報
【特許文献3】特開2005−61969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フラックスゲート磁力計の磁気センサの検出コイルの出力電圧を検出する信号検出回路には、高い精度と安定性が要求される。また複数の空間軸方向に対する磁場測定を行う場合など、フラックスゲート磁力計は複数個が併用されて用いられることも多く、個々のフラックスゲート磁力計には量産に際して製造ばらつきが少ないことも要求される。さらに小型機器への適用にあたっては、部品点数が少なく集積化に際してチップ面積を占有しないことが求められる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高い精度と安定性を有し、製造ばらつきが少なく小型化が可能な磁気センサの信号検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明のうちの主たる発明は、磁気センサの信号検出回路であって、磁気センサの検出コイルの出力電圧が印加される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が入力され、前記出力電圧に含まれる隣接する2つのスパイク状電圧のそれぞれが出力される間は一方の論理値をとるデジタル信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータの出力が一方の論理値をとる期間においてクロックのパルス数をカウントするカウンタとを有することとする。
【0007】
このように、本発明の磁気センサの信号検出回路は、カウンタによってクロックのパルス数をカウントすることにより、検出コイルの出力電圧に含まれる隣接する2つのスパイク状電圧の時間間隔をデジタル的に測定する構成であるため、高精度な磁場測定が可能となる。またアナログ回路に代えてカウンタを用いるようにしたことで、短時間での測定も可能となる。また磁気センサの出力電圧をヒステリシスコンパレータによって直ちにデジタル化してしまうため、温度やノイズの影響を受けにくい。また出力電圧の増幅を差動増幅器によって行っているのでコモンモードノイズの影響も少ない。
【0008】
また本発明のうち他の主たる発明の一つは、請求項1に記載の磁気センサの信号検出回路であって、複数の前記検出コイルが接続され、検出対象となる前記検出コイルを選択するスイッチ回路を有することとする。
【0009】
このように、スイッチによって適宜検出対象となる検出コイルを選択するようにしたことで、複数の検出コイルの出力電圧の処理を同一の信号検出回路によって行うことが可能となり、測定時のばらつきが抑えられる。また信号検出回路の部品点数やチップ面積を削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い精度と安定性を有し、製造ばらつきが少なく小型化が可能な磁気センサの信号検出回路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1に本発明の一実施形態として説明するフラックスゲート磁力計の構成を示している。同図に示すフラックスゲート磁力計1は、X軸、Y軸、Z軸の各軸に対応する3つの磁気センサ11,12,13を有している。これら各磁気センサ11,12,13は、ナノ結晶軟磁性材料等の軟磁性材料からなる磁性体コア111,121,131に、励磁コイル112,122,132及び検出コイル113,123,133を巻回した構造からなる。励磁コイル112,122,132は、励磁側スイッチ回路21、非反転増幅器22、反転増幅器23、D/Aコンバータ24、及びD/Aコンバータ24の動作を制御する制御ロジック(以下、DAC制御ロジック25という)を含んで構成される励磁コイル駆動回路によって駆動される。また検出コイル113,123,133の出力電圧は、検出側スイッチ回路31、出力電圧を所定の電圧レベルに調節する電圧調整回路32、出力電圧を増幅する差動増幅器33、出力電圧に含まれる2つのスパイク状電圧の間の期間においてロウ(LOW)レベルのデジタル信号を出力するヒステリシスコンパレータ34、及びヒステリシスコンパレータ34から出力されるデジタル信号がロウレベルである期間におけるクロック信号のパルス数をカウントするカウンタ35を含んで構成される信号検出回路によって処理される。
【0012】
制御回路41は、DAC制御ロジック25を制御する。制御回路41は、カウンタ35から入力されるカウント値を受信して、これを内部のメモリ411に記憶する。制御回路41には励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31の制御ライン51が接続しており、制御回路41は制御ライン51を通じてスイッチ21及びスイッチ31の開閉を制御する。制御回路41は、バスライン61を介してマイクロコンピュータ71(外部装置)と通信可能に接続しており、メモリ411に記憶しているカウント値をマイクロコンピュータ71に適宜送信する。
【0013】
図2は本実施形態のフラックスゲート磁力計1の動作を示すタイミングチャートである。以下、同図に示すタイミングチャートとともに、フラックスゲート磁力計1の動作について説明する。なお、以下の説明において、励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31の全ての接点はあらかじめ開放(オフ)されているものとする。
【0014】
図2に示すように、まずマイクロコンピュータ71から制御回路41にバスライン61を介して測定開始信号が入力される(t1)。測定開始信号が入力されると、制御回路41は、次に励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31にX軸の接点をオンにするための信号(以下、X軸選択信号という)を出力する(t2)。X軸選択信号が入力されると、励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31は、X軸方向の磁場を測定するための磁気センサ11の励磁コイル112及び検出コイル113の接点をオンにする。このように、励磁側スイッチ回路21によって、後述するドライブ信号P及びドライブ信号Nが印加される励磁コイル112,122,132が選択される。
【0015】
次に制御回路41は、DAC制御ロジック25にドライブ開始イネーブル信号を出力する(t3)。DAC制御ロジック25は、ドライブ開始イネーブル信号が入力されると、D/Aコンバータ24にDACデータが入力される。具体的には、まずDACデータとしてダウンカウントデータを入力する(t4〜t5)。このダウンカウントデータによって、非反転増幅器22や反転増幅器23等の回路素子に損傷を与えるような高圧の逆起電力が励磁コイル112に生じるのを防ぐための信号が、後述する昇圧期間の直前に付加される。次にDAC制御ロジック25は、D/Aコンバータ24にDACデータとしてアップカウントデータを出力する(t5)。これによりD/Aコンバータ24から三角波の昇圧期間の信号が出力される(t5〜t8)。
【0016】
次にDAC制御ロジック25は、t8においてD/Aコンバータ24へのアップカウントデータの出力を停止し、今度はダウンカウントデータを出力する。これによりD/Aコンバータ24から三角波の降圧期間の信号が出力される(t8〜t11)。次にDAC制御ロジック25は、t11においてD/Aコンバータ24へのダウンカウントデータの出力を停止してアップカウントデータを出力する。このダウンカウントデータによって、非反転増幅器22や反転増幅器23等の回路素子に損傷を与えるような高圧の逆起電力が励磁コイルに生じるのを防ぐための信号が、上記降圧期間の直後に付加される。
【0017】
D/Aコンバータ24のドライブ信号は、非反転増幅器22の非反転入力端子に供給される。D/Aコンバータ24のVref信号は、反転増幅器23の非反転入力端子に供給される。非反転増幅器22の反転入力端子には、非反転増幅器22の出力が負帰還されている。また反転増幅器23の反転入力端子には、非反転増幅器22の出力が入力されている。これにより非反転増幅器22からはD/Aコンバータ24の出力信号を増幅した、図2中実線で示す信号(以下、ドライブ信号Pという)が、また反転増幅器23からはドライブ信号Pの振幅を反転させた、図2中破線で示す信号(以下、ドライブ信号Nという)がそれぞれ出力される。
【0018】
非反転増幅器22から出力されたドライブ信号Pは、励磁コイル112の2つの端子のうちの1つに印加される。また反転増幅器23から出力されたドライブ信号Nは、励磁コイル112の2つの端子のうちのもう一端に印加される。従って、励磁コイル112には、ドライブ信号Pとドライブ信号Nの差分の電圧(以下、この電圧を励磁電圧という)が印加されることになる。
【0019】
図2に示すように、検出コイル113の端子間に生じるスパイク状電圧(t7,t10)は、磁気センサ11のB−H曲線(B:磁束密度,H:磁場)における非飽和区間において生じる起電力によるものである。t7,t10における2つのスパイク状電圧の時間間隔(Tx)は、磁気センサ11に印加される外部磁場ΔHに応じて変化する。つまり、2つのスパイク状電圧が出力される時間間隔(Tx)を測定することにより外部磁場ΔHの強度等に関する情報を得ることができる。
【0020】
検出コイル113に生じたスパイク状電圧は、電圧調整回路32によって所定の電圧レベルに変換された後、差動増幅器33に入力されて増幅される。差動増幅器33によって増幅された出力電圧は、ヒステリシスコンパレータ34に入力される。
【0021】
ヒステリシスコンパレータ34は、出力電圧に含まれる隣接するスパイク状電圧に挟まれる期間中にロウレベルとなり、それ以外の期間ではハイ(High)レベルとなるデジタル信号を出力する。初期状態では、ヒステリシスコンパレータ34はハイレベルを出力している。そしてヒステリシスコンパレータ34は、t6における励磁電圧の極性反転に起因して生じたスパイク状電圧が入力されたタイミングでロウレベルの出力を開始する(t7)。またヒステリシスコンパレータ34は、t9における励磁電圧の極性反転に起因して生じたスパイク状電圧が入力されたタイミングで出力をハイレベルに切り換える(t10)。
【0022】
ヒステリシスコンパレータ34から出力されたデジタル信号は、カウンタ35に入力される。カウンタ35にはクロック信号が入力されており、カウンタ35は、ヒステリシスコンパレータ34から出力されるデジタル信号がロウレベルになっている期間におけるクロック信号のパルス数をカウントする。デジタル信号がハイレベルとなってパルス数のカウントが終了すると、カウンタ35は、カウント値を制御回路41に出力する。制御回路41は、入力されたカウント値をメモリ411に記憶する。
【0023】
次に制御回路41は、DAC制御ロジック25に入力しているドライブ開始イネーブル信号をオフする(t13)。また制御回路41は、励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31へのX軸選択信号の入力を停止する(t14)。これによりX軸方向の磁場を測定するための磁気センサ11の励磁コイル112及び検出コイル113の接点がオフされる。
【0024】
次に制御回路41は、励磁側スイッチ回路21及び検出側スイッチ回路31にY軸の接点をオンにする信号(以下、Y軸選択信号という)を送信する(t15)。これによりY軸についての処理が開始される。なお、t15〜t16の期間に行われるY軸についての処理は、X軸の場合と同様に行われる。またt17〜t18の期間に行われるZ軸についての処理についてもX軸の場合と同様に行われる。
【0025】
以上によりX軸、Y軸、Z軸のそれぞれについてのカウント値がメモリ411に記憶されると、次に制御回路41はカウント値の書き込みが終了した旨を通知する割込信号をマイクロコンピュータ71に送信する(t19)。マイクロコンピュータ71は、割込信号を受信すると、制御回路41に読み出し要求を送信する。これにより制御回路41のメモリ411に記憶されているX軸、Y軸、Z軸のそれぞれについてのカウント値がマイクロコンピュータ71によって読み出される(t20)。なお、マイクロコンピュータ71に読み出されたカウント値は、外部磁場ΔHの強度の測定等の利用に供される。
【0026】
ところで、以上に説明した構成からなる本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、励磁コイル112,122,132を駆動するための信号を、DAC制御ロジック25やD/Aコンバータ24といったデジタル回路によって生成している。このため、アナログ回路を用いた場合に比べて温度等の影響を受けにくく、高精度で安定したドライブ信号を生成することができる。またデジタル回路を用いることにより製造ばらつきも抑えられる。
【0027】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、複数の励磁コイル112,122,132を同一のD/Aコンバータ24によって駆動するようにしている。このため、励磁コイル112,122,132のそれぞれに均質の励磁電圧を印加することができ、出力のばらつきを抑えることができる。また回路を共通化することにより、集積化に際して部品点数やチップ面積を削減することができる。
【0028】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、デジタル回路を用いたことでドライブ信号の昇圧期間(t5〜t8)と降圧期間(t8〜t11)の長さを高い精度で一致させることが可能となり、測定精度を向上させることができる。また例えば時間間隔(Tx,Ty,Tz)に含まれる誤差の測定間隔による影響を補正するためにドライブ信号全体の長さを測定する回路など、アナログ回路の場合に必要となる回路が不要となり、これにより小型かつ低消費電力のフラックスゲート磁力計1を実現することができる。
【0029】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、カウンタ35でクロック信号のパルス数をカウントすることにより2つのスパイク状電圧の時間間隔(Tx,Ty,Tz)を測定するため、アナログ回路を用いた場合に比べて高精度の測定が可能である。また時間間隔(Tx,Ty,Tz)の測定をアナログ回路で行う場合は、通常は集積化に際してチップ占有面積の広いA/Dコンバータが必要であるが、カウンタ35はチップ占有面積の小さいカウンタ35を用いているため、小型のフラックスゲート磁力計1を実現することができる。
【0030】
また位相検波とフィルタの組合せによって時間間隔(Tx,Ty,Tz)の測定を行う通常の方法では、測定値の確度向上のために積分器が必要であり、測定時間を短縮することが難しいが、カウンタ35を用いたことで短時間での測定が可能となる。またこれにより消費電流も抑えられる。
【0031】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1では、ヒステリシスコンパレータ33によって検出コイル113,123,133の出力電圧を早期にデジタル化してしまうため、温度やノイズの影響を受けにくい。
【0032】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、複数の検出コイル113,123,133の出力電圧についての処理を同一の差動増幅器33及び同一のヒステリシスコンパレータ34で行っているため、各検出コイル113,123,133間の測定値のばらつきが少ない。またこのように検出コイル113,123,133の出力電圧の処理を同一の回路を用いて行うことで、集積化に際して部品点数やチップ面積を減らすことができる。
【0033】
また本実施形態のフラックスゲート磁力計1は、出力電圧の増幅に差動増幅器33を用いているため、コモンモードノイズの混入が少ない。また検出コイル113,123,133は、いずれも接地されていないため、このことによってもコモンモードノイズの混入が抑えられる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態につき詳細に説明したが、以上の実施形態の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、D/Aコンバータ24の後段にローパスフィルタを介在させ、D/Aコンバータ24から出力されたドライブ信号をスムージングするようにしてもよい。
【0035】
またドライブ信号の生成をD/Aコンバータ24に代えて例えば図3に示す構成からなるSC(スイッチトキャパシタ)積分器により生成するようにしてもよい。同図に示すSC積分器80は、4つのスイッチSW1〜SW4と、コンデンサC1、及びオペアンプを用いた積分回路81によって構成されている。スイッチSW1、コンデンサC1、及びSW4はこの順に直列に接続されており、SW1には直流電源Vinが接続され、SW4の出力が積分回路81を構成しているオペアンプの反転入力端子に入力される。スイッチSW1とコンデンサC1との間には、その一端が接地されたスイッチSW2が接続されている。コンデンサC1とスイッチSW4との間には、その一端が接地されたスイッチSW3が接続されている。
【0036】
図3のSC積分器80によって三角波からなるドライブ信号の昇圧期間における信号を生成する場合には、交互に図4(a)、(b)の状態になるように、スイッチSW1〜SW4を一定間隔Δtでスイッチングする(クロール型駆動方式)。これにより図6(a)に示すように一定の傾きでステップ状に昇圧していくドライブ信号を得ることができる。またドライブ信号の降圧期間における信号を生成する場合には、交互に図5(a)、(b)の状態となるように、スイッチSW1〜SW4を一定間隔Δtでスイッチングする(バタフライ型駆動方式)。これにより図6(b)に示すように一定の傾きでステップ状に降圧していくドライブ信号を得ることができる。なお、SC積分器80から出力されるドライブ信号は、ローパスフィルタを通過させてスムージングすることで、直線状のドライブ信号を得ることができる。
【0037】
上記SC積分器80において、公知のデジタル回路を用いてΔtとΔtとを正確に一致させることが可能であり、昇圧期間と降圧期間の傾きが高精度で一致した正確な三角波を生成することができる。従って、SC積分器80を用いた場合でも、D/Aコンバータ24の場合と同様に高精度で磁場測定が可能なフラックスゲート磁力計1を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態として説明するフラックスゲート磁力計1の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態として説明するフラックスゲート磁力計1の動作を説明するタイミングチャートを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として説明するSC積分器80の一例を示す図である。
【図4】(a)、(b)は、ドライブ信号の昇圧期間における信号を生成する際のSC積分器80のスイッチSW1〜SW4の状態を示す図である。
【図5】(a)、(b)は、ドライブ信号の降圧期間における信号を生成する際のSC積分器80のスイッチSW1〜SW4の状態を示す図である。
【図6】(a)、(b)はSC積分器80によって生成されるドライブ信号の一例である。
【符号の説明】
【0039】
1 フラックスゲート磁力計
11,12,13 磁気センサ
111,121,131 磁性体コア
112,122,132 励磁コイル
113,123,133 検出コイル
21 励磁側スイッチ回路
22 非反転増幅器
23 反転増幅器
24 D/Aコンバータ
25 DAC制御ロジック
31 検出側スイッチ回路
32 電圧調整回路
33 差動増幅器
34 ヒステリシスコンパレータ
35 カウンタ
41 制御回路
411 メモリ
51 制御ライン
61 バスライン
71 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気センサの検出コイルの出力電圧が印加される差動増幅器と、
前記差動増幅器の出力が入力され、前記出力電圧に含まれる隣接する2つのスパイク
状電圧のそれぞれが出力される間は一方の論理値をとるデジタル信号を出力するコンパレータと、
前記コンパレータの出力が一方の論理値をとる期間においてクロックのパルス数をカウントするカウンタと
を有すること
を特徴とする磁気センサの信号検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気センサの信号検出回路であって、
外部装置と通信可能に接続され、メモリを含む制御回路を有し、
前記カウンタは前記パルス数のカウント値を前記制御回路に出力し、
前記制御回路は前記カウント値を前記メモリに記憶すること
を特徴とする磁気センサの信号検出回路。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気センサの信号検出回路であって、
複数の前記検出コイルが接続され、検出対象となる前記検出コイルを選択するスイッチ回路を有することを特徴とする磁気センサの信号検出回路。
【請求項4】
請求項2に記載の磁気センサの信号検出回路であって、
複数の前記検出コイルが接続され、検出対象となる前記検出コイルを選択するスイッチ回路を有し、
前記制御回路は、前記スイッチ回路に前記検出コイルのうちの1つを選択するための選択信号を出力し、
前記スイッチ回路は、入力される前記選択信号に応じて検出対象となる前記検出コイルを選択すること
を特徴とする磁気センサの信号検出回路。
【請求項5】
請求項2に記載の磁気センサの信号検出回路であって、
前記制御回路は、前記カウント値を記憶すると前記外部装置にその旨を示す信号を送信し、
前記制御回路は、前記外部装置からの要求に応じて前記カウント値を前記外部装置に送信すること
を特徴とする磁気センサの信号検出回路。
【請求項6】
磁場を検出するためのデジタルデータが入力されるD/Aコンバータと、
前記D/Aコンバータの出力信号に基づいて、磁気センサの励磁コイルの一端に印加されるドライブ信号Pを出力する第1の増幅器と、
前記D/Aコンバータの出力信号に基づいて、前記励磁コイルの他端に印加される、前記ドライブ信号Pの反転信号でありかつ前記ドライブ信号Pと2回以上交叉するドライブ信号Nを出力する第2の増幅器と、
を有する励磁コイル駆動回路と、
磁気センサの検出コイルの出力電圧が印加される差動増幅器と、
前記差動増幅器の出力が入力され、前記出力電圧に含まれる隣接する2つのスパイク
状電圧のそれぞれが出力される間は一方の論理値をとるデジタル信号を出力するコンパレータと、
前記コンパレータの出力が一方の論理値をとる期間においてクロックのパルス数をカウントするカウンタと
複数の励磁コイルが接続され、前記ドライブ信号P及び前記ドライブ信号Nを印加する前記励磁コイルを選択する第1のスイッチ回路と、
複数の検出コイルが接続され、検出対象となる前記検出コイルを選択する第2のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路及び前記第2のスイッチ回路に接続し、前記第1のスイッチ回路に前記励磁コイルのうちの1つを選択するための第1の選択信号を出力し、前記第2のスイッチ回路に前記検出コイルのうちの1つを選択するための選択信号を出力する制御回路と、
を有し、
前記第1のスイッチ回路は前記第1の選択信号に応じて前記励磁コイルのうちの1つを選択し、前記第2のスイッチ回路は前記第2の選択信号に応じて前記検出コイルのうちの1つを選択することを特徴とする磁気センサの信号検出回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−78423(P2007−78423A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264285(P2005−264285)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】