磁気ディスク装置
【課題】固定化されたトラック幅を有する記録媒体に使用する磁気ヘッドの歩留まりを改善すること。
【解決手段】磁気ヘッド101がデータを記録するトラックとしてトラック211を定め、さらに、磁気ヘッド101のヘッドサイズがデータの記録に用いるトラック211のトラック幅よりも広く、不良品扱いとなる場合に、隣接するトラック212を不使用のトラックに定め、磁気ヘッド101をトラック212側にオフセットして記録することで磁気ヘッド101を不良品扱いとしない。
【解決手段】磁気ヘッド101がデータを記録するトラックとしてトラック211を定め、さらに、磁気ヘッド101のヘッドサイズがデータの記録に用いるトラック211のトラック幅よりも広く、不良品扱いとなる場合に、隣接するトラック212を不使用のトラックに定め、磁気ヘッド101をトラック212側にオフセットして記録することで磁気ヘッド101を不良品扱いとしない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パターンドメディアに使用する磁気ヘッドの歩留まりを向上させる磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置における記憶容量の増加を図るために、磁気記録媒体(以下、単に記録媒体とする)の記録密度が高くなっている。そして、この記録媒体の高密度化に伴い、データが記録されるトラック幅の更なる極小化が進んでいる。
【0003】
このトラック幅の極小化に伴い、磁気ヘッドサイズの更なる小型化が要求され、かつ記録するトラック幅よりも狭いサイズを有する磁気ヘッドが要求されるが、磁気ヘッドの性質上、小型化が難しく、磁気ヘッドのサイズにばらつきが生じる。
【0004】
その結果、磁気ヘッド単体の性能試験(例えば、ヘッドテスタを用いた試験)において、磁気ヘッドサイズが記録するトラック幅よりも広い場合に、上述した試験を通過することなく、不良品となる磁気ヘッドが多く発生し、磁気ヘッドの歩留まりの低下を招いている。
【0005】
そこで、トラック幅を磁気ヘッドサイズに応じて変更することで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を防ぐという技術が知られている。この従来技術について、具体的に図を用いて説明する。
【0006】
図14は、従来技術を説明するための図である。図14に示した磁気ヘッド10は、記録媒体1のトラックbに対してデータを記録する際に、トラックbに隣接するトラックaやトラックcに対してもデータを記録することなく、上述した性能試験に合格する磁気ヘッドを示している。なお、記録媒体1の各トラック幅は、使用する磁気ヘッドのサイズに応じて変更が可能である。
【0007】
一方、図14に示した磁気ヘッド11は、トラックbに対してデータを記録する際に、トラックbに隣接するトラックaやトラックcに対してもデータを記録してしまう。この場合、磁気ヘッド11は、不良品扱いとなり、性能試験では不合格となる。
【0008】
それに対して、図14に示した記録媒体1aは、磁気ヘッド11のヘッドサイズに応じて、トラックbのトラック幅を変更する。その結果、隣接するトラックaとトラックcとへの記録を防ぎ、磁気ヘッド11を不良品と扱わないことができる。そして、磁気ヘッドの歩留まりの低下を解消する(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
なお、磁気ヘッドの性能(例えば、磁気ヘッドの位置決め精度の格差)に応じて、記録するトラック幅を定め、磁気ヘッドの位置決め精度に応じてトラック幅を変更し、磁気ヘッドの歩留まりの低下を解消するという技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−237142号公報
【特許文献2】特開2007−213685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の技術では、トラック幅が変更できるような記録媒体に対してのみ有効で、固定のトラック幅を有するDTM(Discrete Track Media)やBPM(Bit Patterned Media)などのパターンドメディアに適用できないという問題があった。
【0012】
このパターンドメディアは、トラック幅あるいはビット幅が固定されており、トラック
幅を変更することができない。したがって、従来技術に示したような、トラック幅を変更し、磁気ヘッドの歩留まりを解消する手法は、パターンドメディアに使用することができない。
【0013】
なお、パターンメディアにおいても、トラック幅が異なるものを多数用意することで、磁気ヘッドサイズのバラつきに対応し、磁気ヘッドの歩留まりを抑えることができるが、コストが増える問題がある。
【0014】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、トラック幅を変更することができない磁気記録媒体において、これまで不良品扱いとなっていた磁気ヘッドを磁気ディスク装置内に含んでいても製品として成立し得る磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の開示する磁気ディスク装置は、複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と有することを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
本願に開示した磁気ディスク装置によれば、これまで、不良品とみなされていた磁気ヘッドを救済し、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、不良品の磁気ヘッドを説明するための図である。
【図2】図2は、発明の概要を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【図4】図4は、オフセットテーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、アウト側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【図6】図6は、イン側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例1に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例1に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【図10】図10は、オフセット制御テーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例2に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施例2に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、磁気ヘッドが良品とみなされた場合の磁気ディスク装置の処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願の開示する磁気ディスク装置の実施例を図面を用いて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
最初に、パターンドメディアに用いる磁気ヘッドの単体性能試験等において、不合格となり、不良品扱いとなる磁気ヘッドについて具体的に図を用いて説明する。図1は、不良品の磁気ヘッドを説明するための図である。
【0020】
図1に示した記録媒体50は、パターンドメディアであるから、トラック50a〜50cのトラック幅は、全て固定で、変更することができない。そして、磁気ヘッド100は、トラック50bにデータを記録する際、トラック50aやトラック50cにデータを記録することなく、例えば、磁気ヘッド単体の性能試験に合格する磁気ヘッドを示している。
【0021】
一方、図1に示した磁気ヘッド101は、トラック50bにデータを記録する際、トラック50bだけでなく、隣接するトラック50aやトラック50cにもデータを記録してしまう。
【0022】
この場合、磁気ヘッド101は、データ記録時に隣接トラックに影響を与えてしまう場合や、再生時に隣接トラックから影響を受けてしまう場合がある。この磁気ヘッド101は、不良品扱いとなり、磁気ヘッドの単体性能試験に合格せず、磁気ヘッドの歩留まり低下を招いてしまう。
【0023】
以下、上述した不良品の磁気ヘッドを救済することで、不良品の磁気ヘッドを含んでいても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。
【0024】
まず、本実施例に係る発明の概要について説明する。本実施例に係る磁気ヘッドは、パターンドメディアに使用する場合において、磁気ヘッドのサイズがトラック幅よりも広く、不良品扱いとなる場合に、隣接するトラックのいずれか片方を不使用のトラックに定め、磁気ヘッドを不使用トラック側にオフセットして記録することで磁気ヘッドを不良品扱いとしない。
【0025】
以下、発明の概要について具体的に図を用いて説明する。図2は、発明の概要を説明するための図である。図2に示した磁気ヘッド101のヘッドサイズは、データを記録するトラック幅よりも広く不良品扱いとなる磁気ヘッドである。
【0026】
そして、磁気ヘッド101を磁気ディスク装置に搭載した場合において、データ記録用のトラックをトラック211に定めた場合に、磁気ヘッド101は、隣接するトラック210や212に記録してしまう。
【0027】
この場合、トラック212をデータ記録に使用しないトラック(以下、データの記録に使用しないトラックを不使用トラックとする)に定め、磁気ヘッド101が、トラック211にデータを記録する場合について説明する。
【0028】
この場合、磁気ヘッド101をトラック211のトラックセンターのアウト側にオフセットし、トラック211とトラック212とに記録することで、トラック211に隣接するトラック210にデータを記録することなく、データの記録漏れは不使用トラック212にのみ生ずる。
【0029】
また、磁気ヘッド101が、トラック213にデータを記録する際、磁気ヘッド101をトラック213のトラックセンターのイン側にオフセットし、トラック212とトラック213に記録する。この場合、磁気ヘッド101は、トラック213に隣接するトラック214にデータを記録することはない。
【0030】
このように、トラック211から213の3トラックに対して、トラック212を不使用のトラックに定め、さらに、不使用トラック側に磁気ヘッド101をオフセットさせることで、不良品扱いとなっていた磁気ヘッド101を磁気ディスク装置に含んでいても製品として成立させることができる。
【0031】
これは、不使用トラックを3トラックに対して1トラック定め、想定していた2/3の記憶容量にすることで、不良品扱いとなっていた磁気ヘッドを磁気ディスク装置に含んでいたとしても、製品として成立させることになる。
【0032】
その結果、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することができ、例えば、不良品の磁気ヘッドを製造してしまう確率が20%であるならば、該当する磁気ヘッド(20%に相当する磁気ヘッド)を含んでいても製品として成立させることが可能となる。
【0033】
なお、図中に示した「A」および「B」は、オフセット量を示し、磁気ヘッドをトラックセンターからオフセットする位置(例えば、トラックセンターからアウト側に1nm(ナノメートル)ずらした位置)を示すものとして以下説明する。
【0034】
また、図中に示した「トラックセンター」とは、磁気ヘッド101の中心と、データを記録するトラックとの中心が一致するトラック上の位置を示すものとする。
【0035】
次に、図2で示した不良品の磁気ヘッドを含んでいても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。図3は、実施例1に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【0036】
図3に示した磁気ディスク装置300は、トラック幅が固定であるパターンドメディアを有し、磁気ヘッドが組込まれた際の試験時に、記録媒体のトラック番号ごとにオフセット量を決定する。
【0037】
そして、磁気ディスク装置300は、記録媒体へのデータ記録時に、決定されたオフセット量に基づき、トラック番号に応じたオフセット処理を行い、データの書込み処理を行う。
【0038】
磁気ディスク装置300は、インターフェース301と、ROM(Read Only Memory)302と、MCU(Micro Control Unit)303と、サーボ制御部304と、ボイスコイルモータ305と、リード/ライトチャネル306と、磁気ヘッドIC(Integrated Circuit)307と、磁気ヘッド308と、記録媒体309と、スピンドルモータ310とを有する。
【0039】
インターフェース301は、磁気ディスク装置300の上位ホスト(図示省略)と、磁気ディスク装置300とのデータの入出力を制御するインターフェースである。例えば、上位ホストからユーザデータが入力された場合、ユーザデータをMCU303に出力する。
【0040】
ROM302は、磁気ヘッド308を磁気ディスク装置300に組込んで実施する試験(以下、ヘッド試験とする)時において、MCU303が決定するオフセット量をトラック番号に応じて記憶する記憶部で、オフセットテーブル302aを有する。
【0041】
このオフセットテーブル302aは、「トラック番号」、「オフセット量」を記憶するテーブルで、MCU303によって記憶されるデータの入出力が管理される。具体的なデータ構造について図を挙げて説明する。図4は、オフセットテーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【0042】
「トラック番号」は、記録媒体309が有する磁気ディスク1面からリング状にくり抜いた領域を示すトラックを識別する番号で、図4に示したトラック番号0は、ディスクの最内側のトラック番号を示し、トラック番号1300は、ディスクの最外側のトラック番号を示すものとする。以下、トラック番号が0〜1300に定められる例を挙げて説明する。
【0043】
オフセット量は、図2で示したように、磁気ヘッド308を各トラックセンターからオフセットする位置を示し、単位は便宜的に[nm](ナノメートル)とする。したがって、トラック番号1を有するトラックのオフセット量は、X[nm]となり、トラック番号2のオフセット量もX[nm]を示している。
【0044】
なお、図4では、トラック番号に関わらず、オフセット量が一律の値「X」を有する場合を例に挙げて説明したが、ヘッド試験によっては、トラック番号に応じてオフセット量が個別に決定され、トラック番号別に異なるオフセット量が記憶される。
【0045】
さらに、トラック番号0〜1300の全てについてオフセット量が記憶されているが、例えば、トラック番号0〜50と、トラック番号100〜500と、トラック番号750〜1100といったように、一部のトラック番号についてのみオフセット量が決定される場合は、それらのトラック番号についてのみオフセット量が決定され、記憶される。
【0046】
この場合、トラック番号51〜99といったオフセット量が未決定のトラックについては、決定されたオフセット量に基づき、近似して記憶され、補完される。
【0047】
なお、トラック番号0とトラック番号1300のオフセット量が未決定であるが、これは、便宜的に、最内側と最外側のトラックを不使用トラックに定めた場合を示している。
【0048】
次に、図3の説明に戻り、MCU303について説明する。MCU303は、ヘッド試験時には、トラック番号別にオフセット量を決定し、記録媒体309へのユーザデータ記録時には、オフセット処理を実行し、ユーザデータの書込みを命令する制御部である。
【0049】
そして、MCU303は、オフセット決定部303aと、オフセット制御部303bと、データ処理部303cとを有する。まず、オフセット決定部303aから説明する。
【0050】
ヘッド試験時に、オフセット決定部303aは、記録媒体309からトラック番号を読出し、そのトラック番号に応じ、オフセット量を決定し、決定したオフセット量をトラック番号別にオフセットテーブル302a(図4参照)に記憶する処理部である。
【0051】
オフセット量を決定する際、オフセット決定部303aは、記録媒体309からトラック番号を読出し、読出したトラックのトラックセンターを定め、磁気ヘッド308のヘッドサイズや、記録媒体309のトラック幅、ヘッド試験の方法等に基づいてオフセット量を決定する。そして、オフセット決定部303aは、全てのトラック番号について決定する場合もあれば、数箇所のトラック番号についてのみ決定する場合もある。
【0052】
また、オフセット決定部303aは、トラック番号別にオフセット量を決める場合もあれば、図4に示したようにトラック番号に関係なく、一律にオフセット量(例えば、オフセット量が一律Xnm)を定める場合もある。
【0053】
オフセット制御部303bは、記録媒体309にユーザデータを記録する際、オフセット制御を行う制御部である。まず、オフセット制御部303bは、サーボ制御部304からユーザデータを書込むトラックを含むトラック番号を複数取得し、取得したトラック番号に基づき、磁気ヘッド308のオフセット方向を定める。
【0054】
その後、オフセット制御部303bは、オフセットテーブル302aから、取得したトラック番号に対応するオフセット量を参照し、オフセット処理を実行する。以下、具体的に図を用いて説明する。
【0055】
図5は、アウト側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。まず、オフセット制御部303bが、磁気ヘッド308をトラックセンターのアウト側もしくはイン側のいずれかにオフセットするかを決める際に使用する数式を以下のように定める。
【0056】
トラック番号N/3・・・(1)
ただし、Nは、便宜的に整数を示すものとする。
【0057】
上述した式(1)より、オフセット制御部303bは、余りが1となるトラック番号を有するトラックは、アウト側の隣接トラックにオフセットし、余りが0となるトラック番号を有するトラックはイン側の隣接トラックにオフセットする。そして、余りが2となるトラック番号を有するトラックは、不使用トラックに定める。
【0058】
図5では、まず、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時にトラック番号3から5をサーボ制御部304から読み込んだ場合を示し、その後、磁気ヘッド308が、トラック番号4のトラックにユーザデータを記録する場合を示している。
【0059】
この場合において、オフセット制御部303bは、トラック番号5に対し、式(1)を用いることで、余り「2」を算出する。したがって、オフセット制御部303bは、トラック番号5を不使用トラックに定める。
【0060】
一方、オフセット制御部303bは、トラック番号4に式(1)を用いることで、余り「1」を算出するから、磁気ヘッド308をトラック番号4のトラックセンターからアウト側にオフセットするように定める。
【0061】
続いて、オフセット制御部303bは、図4に示したオフセットテーブル302aから、トラック番号4に対応するオフセット量を参照する。この場合、トラック番号4に対応するオフセット量は、X[nm]である(図4参照)。
【0062】
したがって、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をトラック番号4のトラックセンターからアウト側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0063】
次に、オフセット制御部303bが、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする場合の動作について図を用いて説明する。図6は、イン側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【0064】
図6では、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時にトラック番号2から4を読込んだ場合を示し、その後、磁気ヘッド308が、トラック番号3のトラックにユーザデータを記録する場合を示している。
【0065】
この場合において、オフセット制御部303bは、トラック番号2に対し、式(1)を用いることで、余り「2」を算出する。したがって、オフセット制御部303bは、トラック番号2を不使用トラックに定める。
【0066】
そして、オフセット制御部303bは、トラック番号3に式(1)を用いることで、余り「0」を算出することから、磁気ヘッド308をトラック番号3のトラックセンターからイン側にオフセットするように定める。
【0067】
続いて、オフセット制御部303bは、図4に示したオフセットテーブル302aから、トラック番号3に対応するオフセット量を参照する。この場合、トラック番号3に対応するオフセット量は、X[nm]である(図4参照)。
【0068】
したがって、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をトラック番号3のトラックセンターからイン側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0069】
また、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時に、サーボ制御部304を介して、トラック番号0もしくはトラック番号1300を含むトラック番号を取得した場合に、いずれの場合においても、取得したトラック数が2本未満であれば、取得したトラックを廃棄する。
【0070】
一方、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号0を含む場合、オフセット制御部303bは、トラック番号1のトラックセンターからイン側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0071】
また、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号1300を含む場合、オフセット制御部303bは、トラック番号1299のトラックセンターからアウト側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0072】
次に、図3の説明に戻り、データ処理部303cについて説明する。データ処理部303cは、オフセット制御部303bが磁気ヘッド308をオフセットするための情報(以下、オフセット情報とする)と、上位ホストから出力されるユーザデータとをサーボ制御部304に出力する処理部である。
【0073】
サーボ制御部304は、ボイスコイルモータ305やスピンドルモータ310の動作の制御を行い、さらに、ユーザデータをリード/ライトチャネル306に出力する制御部である。
【0074】
具体的に、ヘッド試験時には、サーボ制御部304は、記録媒体309からトラック番号を読出し、オフセット決定部303aにトラック番号を出力する。
【0075】
一方、ユーザデータの記録時には、MCU303から入力されるオフセット情報に基づいて、ボイスコイルモータ305の動作を制御し、その後、データ処理部303cから入力されたユーザデータをリード/ライトチャネル306に出力する。
【0076】
ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308の動作を制御するモータで、ユーザデータ記録時において、オフセット情報が示す記録媒体309上の位置まで、磁気ヘッド308を移動させる。
【0077】
リード/ライトチャネル306は、ユーザデータ記録時において、記録媒体309に書込むユーザデータを磁気ヘッドIC307に出力する出力部である。
【0078】
磁気ヘッドIC307は、ユーザデータ書込み時においては、磁気ヘッド308が記録媒体309に書込むユーザデータを変調し、読込み動作時においては、磁気ヘッド308が記録媒体309から読込んだユーザデータを復調する制御部である。
【0079】
磁気ヘッド308は、ヘッド試験時において、記録媒体309からトラック番号の読込みを行い、読込んだトラック番号をサーボ制御部304に出力する。そして、ユーザデータ記録時は、オフセット情報が示す記録媒体309上の位置で、ユーザデータのリード・ライトを行う。
【0080】
記録媒体309は、ユーザデータが記録される磁性体と、ユーザデータが記録されない非磁性体とを有するパターンドメディアである。この磁性体のトラック幅は固定で、非磁性体の中に、所定の規則で配列されている。
【0081】
したがって、ユーザデータ記録時において、記録媒体309は、各磁性体間の磁気的な相互作用を少なくし、各磁性体間の磁気的干渉を低減させている。その結果、記録密度の大幅な向上が見込める。
【0082】
スピンドルモータ310は、記録媒体309の回転を制御するためのモータで、サーボ制御部304から出力されるオフセット情報に基づいて、動作制御が行われる。
【0083】
次に、磁気ディスク装置300のヘッド試験時における処理手順について説明する。図7は、実施例1に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【0084】
まず、磁気ヘッド308が、磁気ディスク装置300に組み込まれる(ステップS100)。続いて、オフセット決定部303aが、記録媒体309からトラック番号を読込み、読込んだトラック番号に基づいて、オフセット量を決定する(ステップS101)。
【0085】
その後、オフセット決定部303aが、ステップS101にて決定したオフセット量と、読込んだトラック番号をオフセットテーブル302aに記憶する(ステップS102)。
【0086】
次に、ユーザデータ書込み時における磁気ディスク装置300の処理手順について説明する。図8は、実施例1に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【0087】
まず、ホスト(上位装置)からユーザデータの書込み命令が、インターフェース301に出力される(ステップS200)。続いて、オフセット制御部303bが、記録媒体309からトラック番号を取得する(ステップS201)。
【0088】
その後、オフセット制御部303bは、ステップS201にて取得したトラック番号が「0」もしくは「1300」を含まない場合(ステップS202、No)、オフセット処理を実行する(ステップS203)。
【0089】
この場合において、ステップS201で取得したトラック番号から余り2以外を算出し(ステップS204、No)、その余りが「1」である場合(ステップS206、Yes)、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0090】
一方、トラック番号から余り2を算出した場合(ステップS204、Yes)、ステップS201で取得したトラックを不使用のトラックに決定し(ステップS205)、再びトラック番号を取得する(ステップS201)。
【0091】
ステップS201で取得したトラック番号から余り「1」が得られた場合において、その後、サーボ制御部304は、オフセット情報を取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットする(ステップS207)。
【0092】
一方、ステップS201で取得したトラック番号から余り「0」が得られた場合(ステップS206、No)、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をイン側にオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0093】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報をデータ処理部303cから取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする(ステップS208)。
【0094】
そして、ステップS207もしくはステップS208においてオフセットされた後、磁気ヘッド308は記録媒体309にユーザデータの書込み処理を実施する(ステップS209)。
【0095】
また、ステップS201にて取得したトラック番号に「0」もしくは「1300」を含む場合(ステップS202、Yes)、オフセット制御部303bは、取得したトラック数を判定する(ステップS210)。
【0096】
そして、トラック数が2未満でなく(ステップS211、No)、ステップS201で取得したトラック番号に0を含む場合に、オフセット制御部303bは、イン側に磁気ヘッド308をオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0097】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報を取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする(ステップS212)。
【0098】
一方、トラック数が2未満でなく(ステップS211、No)、ステップS201で取得したトラック番号に1300を含む場合に、オフセット制御部303bは、アウト側に磁気ヘッド308をオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0099】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報をデータ処理部303cから取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットする(ステップS212)。
【0100】
また、ステップS201で取得した、トラック数が2未満である場合(ステップS211、Yes)、オフセット制御部303bは、取得したトラックを廃棄する(ステップS213)。
【0101】
このフローチャートによれば、これまで、不良品の磁気ヘッドとして扱われていた磁気ヘッド308を良品の磁気ヘッドとして救済することができ、磁気ヘッドの歩留まり低下を低減することが可能となる。
【0102】
上述してきたように、本実施例1に係る磁気ディスク装置300によれば、不良品の磁気ヘッド308を含んでいたとしても、その磁気ヘッド308に隣接するトラックのいずれか片方を不使用トラックに定め、磁気ヘッド308を不使用トラック側にオフセットし、記録させることで磁気ヘッド308を不良品扱いとせず、製品として成立させることができる。その結果、磁気ヘッドの歩留まりを解消することができる。
【実施例2】
【0103】
次に、実施例2に係る発明の概要について説明する。本実施例に係る磁気ディスク装置は、実施例1で示した不良品の磁気ヘッドを含む場合において、その磁気ヘッドを磁気ディスク装置に組込んだ際に実施する試験(以下、ヘッド試験とする)時に、データトラックに隣接するトラックのいずれか片方を不使用トラックに定め、さらに、その磁気ヘッドのオフセット方向と、オフセット量についてもあらかじめ定める。
【0104】
そして、ユーザデータ記録時に、磁気ディスク装置は、ヘッド試験時に定められた各種データに基づいて、ユーザデータの書込みを行う。その結果、不良品の磁気ヘッドを含んでいたとしても製品として成立させる。
【0105】
以下、上述した不良品の磁気ヘッドを救済することで、不良品の磁気ヘッドを含んでいたとしても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。図9は、実施例2に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【0106】
図9に示した磁気ディスク装置400は、トラック幅が固定であるパターンドメディアを有し、ヘッド試験時には、記録媒体のトラック番号に応じて、不使用トラックと、オフセット方向と、オフセット量とを決定する。
【0107】
そして、磁気ディスク装置400は、記録媒体へのユーザデータ記録時には、決定された各種データに基づいて、ユーザデータの書込み処理を行う。なお、説明の便宜上、トラックの使用/不使用を示す情報と、オフセットの方向と、オフセット量とを有する情報をオフセット制御情報として、以下説明する。
【0108】
磁気ディスク装置400は、インターフェース401と、ファームウェア部402と、サーボ制御部403と、ボイスコイルモータ404と、リード/ライトチャネル405と、磁気ヘッドIC(Integrated Circuit)406と、磁気ヘッド407と、記録媒体408と、スピンドルモータ409とを有する。
【0109】
インターフェース401は、磁気ディスク装置400の上位ホスト(図示省略)と、磁気ディスク装置400とのユーザデータの入出力を制御するインターフェースである。例えば、上位ホストからユーザデータが入力された場合、ユーザデータをファームウェア部402に出力する。
【0110】
ファームウェア部402は、ヘッド試験時に、記録媒体408のトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量を決定するファームウェアである。
【0111】
そして、ユーザデータ記録時には、ヘッド試験時に決定された各種データに基づいて、記録媒体408へのユーザデータの書込みを実行し、ROM(Read Only Memory)402aと、MCU(Micro Control Unit)402bと有する。
【0112】
ROM402aは、ヘッド試験時に、トラックの使用/不使用を示すデータ、オフセットの方向、オフセット量を記憶する記憶部で、オフセット制御テーブル412を有する。
【0113】
このオフセット制御テーブル412は、MCU402bによってオフセット制御情報の入出力が管理され、「トラック番号」、「使用/不使用」、「オフセットの方向」、「オフセット量」が記憶される。具体的なデータ構造について図を挙げて説明する。図10は、オフセット制御テーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【0114】
「トラック番号」は、記録媒体408が有する磁気ディスク1面からリング状にくり抜いた領域を示すトラックを識別する番号で、図10に示した例において、トラック番号0は、ディスクの最内側のトラック番号を示し、トラック番号1300は、ディスクの最外側のトラック番号を示すものとする。以下、トラック番号が0〜1300に定められる場合を例に挙げて説明する。
【0115】
「使用/不使用」は、各トラックがデータトラックとして使用されるか否かを識別する情報で、「使用」が記憶されている場合、ユーザデータの記録用トラックとして使用され、「不使用」が記憶されている場合、ユーザデータの記録用トラックとして使用されない。
【0116】
「オフセットの方向」は、データトラックとして使用する場合に、磁気ヘッド407をそのトラックセンターからオフセットする方向を示す情報で、「アウト」が記憶されている場合、磁気ヘッド407をトラックセンターからアウト側にオフセットする情報を示し、「イン」が記憶されている場合、磁気ヘッド407をトラックセンターからイン側にオフセットする情報を示す。
【0117】
「オフセット量」は、磁気ヘッド407を各トラックセンターからオフセットする位置を示し、単位は便宜的に[nm](ナノメートル)とする。したがって、トラック番号1を有するトラックに対するオフセット量は、Y[nm]となり、トラック番号2に対するオフセット量もY[nm]を示している。
【0118】
なお、図10では、トラック番号に関わらず、オフセット量が一律の値「Y」を示す場合を例に挙げて説明したが、ヘッド試験によっては、トラック番号に応じてオフセット量が個別に決定され、トラック番号別に異なるオフセット量が記憶される。
【0119】
さらに、トラック番号0〜1300に対して、オフセット量が記憶されているが、例えば、トラック番号0〜50と、トラック番号100〜500と、トラック番号750〜1100といったように、一部のトラック番号についてのみオフセット量が決定される場合は、それらのトラック番号についてのみオフセット量が決定され、記憶される。
【0120】
この場合、トラック番号51〜99といったオフセット量が未決定のトラックについては、決定されたオフセット量に基づき、近似して記憶され、補完される。
【0121】
なお、トラック番号0とトラック番号1300のオフセット量が未決定であるが、便宜的に、最内側と最外側のトラックを不使用のトラックに定めた場合を示している。そして、その他不使用に定められたトラックについても同様にオフセット量が未決定である。
【0122】
また、ヘッド試験時において、磁気ヘッド407が隣接するトラックに影響なく、ユーザデータを記録する場合は、書込み対象となっているデータトラックから、磁気ヘッド407をオフセットしないで使用するものとする。
【0123】
次に、図9の説明に戻り、MCU402bについて説明する。MCU402bは、ヘッド試験時に、記録媒体408が有するトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定する処理部である。
【0124】
そして、MCU402bは、ヘッド試験時に決定したオフセット制御情報を、オフセット制御テーブル412に記憶する。その後、記録媒体408へのユーザデータ記録時には、MCU402bは、オフセット制御テーブルに記憶されているオフセット制御情報と、ユーザデータをサーボ制御部403に出力する。
【0125】
まず、ヘッド試験時において、トラックの使用/不使用を決定する場合に、MCU402bは、サーボ制御部403からトラック番号を取得し、取得したトラックのトラックセンターを定める。そして、上述した式(1)に基づき、トラックの使用/不使用を決定する。
【0126】
例えば、図10に示した場合において、MCU402bは、式(1)を用いて、余りが2となるトラック番号を有するトラックは、不使用トラックに定める。その後、MCU402bは、式(1)を用いて、磁気ヘッド407のオフセット方向を定める。
【0127】
例えば、余りが1となるトラック番号を有するトラックは、アウト側の隣接トラックに磁気ヘッド407をオフセットし、余りが0となるトラック番号を有するトラックはイン側に磁気ヘッド407をオフセットする。
【0128】
したがって、MCU402bは、トラック番号が29であれば、余りは「2」であるので、トラック番号29を不使用トラックに定める。一方、トラック番号30があれば、余りは「0」であるので、使用するトラックに定め、トラック番号31であれば、余りは「1」であるので、同様に使用するトラックに定める。
【0129】
その後、MCU402bは、余り「0」を算出したトラックについては、磁気ヘッド407をイン側にオフセットする「イン」をオフセット制御テーブル412に記憶する。一方、余り「1」を算出したトラックについては、磁気ヘッド407をアウト側にオフセットする「アウト」をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0130】
そして、MCU402bは、磁気ヘッド407のヘッドサイズや、記録媒体408が有するトラック幅、ヘッド試験の方法等に基づいて磁気ヘッド407のオフセット量を決定する。
【0131】
この場合、MCU402bは、全てのトラック番号について決定する場合もあれば、数箇所のトラック番号についてのみ決定する場合もある。また、トラック番号別にオフセット量を決める場合もあれば、図9に示したようにトラック番号に関係なく、一律にオフセット量(例えば、オフセット量が一律Ynm)を定める場合もある。
【0132】
また、MCU402bが、ヘッド試験時に、サーボ制御部403を介して、トラック番号0もしくはトラック番号1300を含むトラック番号を取得した場合に、いずれの場合においても、取得したトラック数が2本未満であれば、取得したトラックを廃棄する。
【0133】
一方、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号0を含む場合、MCU402bは、トラック番号1のトラックセンターからイン側にY[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0134】
また、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号1300を含む場合、MCU402bは、トラック番号1299のトラックセンターからアウト側にY[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0135】
さらに、MCU402bは、磁気ヘッド407が隣接するトラックに影響なく、ユーザデータを記録する場合に、書込み対象となっているトラックセンターから、磁気ヘッド407をオフセットすることなく、磁気ヘッド407に書込みを実行させる。
【0136】
サーボ制御部403は、ボイスコイルモータ404やスピンドルモータ409の動作の制御を行い、さらに、ユーザデータの書込み命令をリード/ライトチャネル405に出力する制御部である。
【0137】
具体的には、サーボ制御部403は、ヘッド試験時に、記録媒体408からトラック番号を読出して、MCU402bにトラック番号を出力する。一方、ユーザデータの記録時には、ユーザデータの書込み命令をリード/ライトチャネル405に出力する。
【0138】
ボイスコイルモータ404は、磁気ヘッド407の動作を制御するモータで、ヘッド試験時において、オフセット制御情報が示す記録媒体408上の位置まで、磁気ヘッド407を移動させる。
【0139】
リード/ライトチャネル405は、ユーザデータ記録時において、記録媒体408に書込むユーザデータをサーボ制御部403から取得し、磁気ヘッドIC406に出力する出力部である。
【0140】
磁気ヘッドIC406は、ユーザデータ書込み時に、磁気ヘッド407が記録媒体408に書込むデータを変調し、読込み動作時においては、磁気ヘッド407が記録媒体408から読み込んだデータを復調する制御部である。
【0141】
磁気ヘッド407は、ヘッド試験時において、記録媒体408からトラック番号の読込みを行い、読込んだデータをサーボ制御部403に出力する。そして、データ記録時は、オフセット制御情報に基づいたユーザデータのリード・ライトを記録媒体408に行う。
【0142】
記録媒体408は、ユーザデータが記録される磁性体と、ユーザデータが記録されない非磁性体を有するパターンドメディアである。この磁性体のトラック幅は固定で、非磁性体の中に、所定の規則で配列されている。
【0143】
したがって、ユーザデータ記録時において、記録媒体408は、各磁性体間の磁気的な相互作用を少なくし、各磁性体間の磁気的干渉を低減させている。その結果、記録密度の大幅な向上が見込める。
【0144】
スピンドルモータ409は、記録媒体408の回転を制御するためのモータで、サーボ制御部403から出力されるオフセット制御情報に基づいて、動作制御が行われる。
【0145】
次に、磁気ディスク装置400のヘッド試験時における処理手順について説明する。図11は、実施例2に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【0146】
まず、磁気ヘッド407が、磁気ディスク装置400に組み込まれる(ステップS300)。続いて、MCU402bが、記録媒体408からトラック番号を読込み、読込んだトラック番号に対して、トラックの不使用/使用を決定する(ステップS301)。
【0147】
その後、MCU402bが、ステップS301にて「使用トラック」に決定したトラックについてオフセットの方向を決定し(ステップS302)、さらに、オフセット量を決定する(ステップS303)。
【0148】
そして、MCU402bは、トラック番号、ステップS301で定めた使用/不使用トラック、ステップS302で定めたオフセット方向、ステップS303で定めたオフセット量をオフセット制御テーブル412に記憶する(ステップS304)。
【0149】
次に、磁気ディスク装置400のユーザデータ書込み時における処理手順について説明する。図12は、実施例2に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【0150】
まず、ホスト(上位装置)から磁気ディスク装置400に対してユーザデータの書込み命令が入力される(ステップS400)。その後、ファームウェア部402が、オフセット制御テーブル412に記憶されているオフセット制御情報を参照する(ステップS401)。
【0151】
そして、サーボ制御部403は、ファームウェア部402がステップS401にて取得したオフセット制御情報に基づいて、ボイルコイルモータ404の動作制御を行う。その後、磁気ヘッド407は、記録媒体408にユーザデータの書込みを行う(ステップS402)。
【0152】
このフローチャートによれば、これまで、不良品磁気ヘッドとして扱われていた磁気ヘッド407を良品の磁気ヘッドとして救済することができ、磁気ヘッドの歩留まり低下を低減することが可能となる。
【0153】
上述してきたように、本実施例2に係る磁気ディスク装置400は、不良品の磁気ヘッド407を含んでいたとしても、その磁気ヘッド407に隣接するトラックのいずれか片方を不使用のトラックに定め、磁気ヘッド407を不使用トラック側にオフセットして記録させることで磁気ヘッド407を不良品扱いとせず、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりを解消することができる。
【0154】
ところで、実施例2で示したヘッド試験時において、良品と判定された磁気ヘッドを有していたとしても、トラックにうねりが生じた場合は、良品の磁気ヘッドでも隣接トラックに影響を及ぼす場合がある。
【0155】
この「うねり」とは、物理的にデータトラックを同一のトラック幅に保ち続けることが困難であり、例えば、磁気ディスク装置内の温度等の影響を受けてトラックが歪んでしまうことを示す。この「うねり」が発生すると、各トラック間の間隔が変わってしまい、良品の磁気ヘッドでも、データトラックに隣接するトラックにユーザデータを記録してしまう場合がある。
【0156】
この「うねり」が発生した場合でも、実施例1もしくは実施例2で示したオフセット処理を実行することで、不良品の磁気ヘッドを救済することが可能となる。以下、実施例2に示した磁気ヘッド407が良品と判定された場合に、磁気ディスク装置400が行う処理について説明する。
【0157】
まず、ファームウェア部402は、うねりが発生しているトラック番号を含むトラックを読込み、読込んだトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定することで、製品として出荷することが可能となる。
【0158】
例えば、ヘッド試験時に、磁気ヘッド407が良品と判定されたが、あるトラック番号Zにおいてうねりが確認された場合、MCU402bは、トラック番号Zを含むトラック番号を読込み、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定する。
【0159】
そして、MCU402bは、ヘッド試験時に決定したオフセット制御情報を、オフセット制御テーブル412に記憶する。その後、トラック番号Zを有する記録媒体408に対してユーザデータを記録する際、MCU402bは、オフセット制御テーブル412に記憶されているオフセット制御情報に基づき、ユーザデータの書込みを実行する。
【0160】
このように、記録媒体408にうねりが発生した場合でも、MCU402bが磁気ヘッド407をオフセットして記録させることで、製品として成立させることができる。
【0161】
次に、磁気ヘッド407が、ヘッド試験において、良品とみなされた場合における磁気ディスク装置400の処理について説明する。図13は、磁気ヘッドが良品とみなされた場合の磁気ディスク装置の処理を示すフローチャートである。
【0162】
まず、磁気ヘッド407が、磁気ディスク装置400に組込まれる(ステップS500)。そして、磁気ヘッド407が良品と判定された後(ステップS501)、磁気ディスク装置400内でうねりが確認される(ステップS502)。
【0163】
その後、ファームウェア部402が、うねりが発生しているトラック番号を含むトラック番号を読込み、トラックの使用/不使用を決定し、オフセット方向を決定する(ステップS503)。
【0164】
そして、ファームウェア部402は、ステップS503にてオフセットの方向を定めたトラックに対して、オフセット量を決定する(ステップS504)。そして、オフセット制御テーブル412に、使用/不使用、オフセットの方向、オフセット量を記憶する(ステップS505)。
【0165】
そして、オフセット制御情報に基づいて、ボイルコイルモータ404の動作制御が行われ、磁気ヘッド407は、記録媒体408にユーザデータの書込みを行う(ステップS506)。
【0166】
このフローチャートによれば、良品の磁気ヘッド407を有する磁気ディスク装置400で、うねりが発生した場合でも、ファームウェア部402が磁気ヘッド407をオフセットし、ユーザデータを磁気ヘッド407に記録させることで、製品として成立させることができる。
【0167】
以上、本実施例に示した磁気ディスク装置によれば、これまで、不良品とみなされていた磁気ヘッドを救済し、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することが可能となる。
【0168】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0169】
(付記1)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0170】
(付記2)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0171】
(付記3)前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする付記2に記載の磁気ディスク装置。
【0172】
(付記4)前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する付記2に記載の磁気ディスク装置。
【0173】
(付記5)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0174】
(付記6)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【0175】
(付記7)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【0176】
(付記8)前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする付記7に記載の磁気ディスク制御装置。
【0177】
(付記9)前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する付記7に記載の磁気ディスク制御装置。
【0178】
(付記10)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【符号の説明】
【0179】
1、1a、50、50a、50b、50c、309、408 記録媒体
10、11、100、101 磁気ヘッド
210、211、212、213、214 トラック
300、400 磁気ディスク装置
301、401 インターフェース
302、402a ROM
302a オフセットテーブル
303、402b MCU
304、403 サーボ制御部
305、404 ボイスコイルモータ
306、405 リード/ライトチャンネル
307、406 磁気ヘッドIC
308、407 磁気ヘッド
310、409 スピンドルモータ
402 ファームウェア部
412 オフセット制御テーブル
A、B オフセット量
a、b、c トラック
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パターンドメディアに使用する磁気ヘッドの歩留まりを向上させる磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置における記憶容量の増加を図るために、磁気記録媒体(以下、単に記録媒体とする)の記録密度が高くなっている。そして、この記録媒体の高密度化に伴い、データが記録されるトラック幅の更なる極小化が進んでいる。
【0003】
このトラック幅の極小化に伴い、磁気ヘッドサイズの更なる小型化が要求され、かつ記録するトラック幅よりも狭いサイズを有する磁気ヘッドが要求されるが、磁気ヘッドの性質上、小型化が難しく、磁気ヘッドのサイズにばらつきが生じる。
【0004】
その結果、磁気ヘッド単体の性能試験(例えば、ヘッドテスタを用いた試験)において、磁気ヘッドサイズが記録するトラック幅よりも広い場合に、上述した試験を通過することなく、不良品となる磁気ヘッドが多く発生し、磁気ヘッドの歩留まりの低下を招いている。
【0005】
そこで、トラック幅を磁気ヘッドサイズに応じて変更することで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を防ぐという技術が知られている。この従来技術について、具体的に図を用いて説明する。
【0006】
図14は、従来技術を説明するための図である。図14に示した磁気ヘッド10は、記録媒体1のトラックbに対してデータを記録する際に、トラックbに隣接するトラックaやトラックcに対してもデータを記録することなく、上述した性能試験に合格する磁気ヘッドを示している。なお、記録媒体1の各トラック幅は、使用する磁気ヘッドのサイズに応じて変更が可能である。
【0007】
一方、図14に示した磁気ヘッド11は、トラックbに対してデータを記録する際に、トラックbに隣接するトラックaやトラックcに対してもデータを記録してしまう。この場合、磁気ヘッド11は、不良品扱いとなり、性能試験では不合格となる。
【0008】
それに対して、図14に示した記録媒体1aは、磁気ヘッド11のヘッドサイズに応じて、トラックbのトラック幅を変更する。その結果、隣接するトラックaとトラックcとへの記録を防ぎ、磁気ヘッド11を不良品と扱わないことができる。そして、磁気ヘッドの歩留まりの低下を解消する(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
なお、磁気ヘッドの性能(例えば、磁気ヘッドの位置決め精度の格差)に応じて、記録するトラック幅を定め、磁気ヘッドの位置決め精度に応じてトラック幅を変更し、磁気ヘッドの歩留まりの低下を解消するという技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−237142号公報
【特許文献2】特開2007−213685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の技術では、トラック幅が変更できるような記録媒体に対してのみ有効で、固定のトラック幅を有するDTM(Discrete Track Media)やBPM(Bit Patterned Media)などのパターンドメディアに適用できないという問題があった。
【0012】
このパターンドメディアは、トラック幅あるいはビット幅が固定されており、トラック
幅を変更することができない。したがって、従来技術に示したような、トラック幅を変更し、磁気ヘッドの歩留まりを解消する手法は、パターンドメディアに使用することができない。
【0013】
なお、パターンメディアにおいても、トラック幅が異なるものを多数用意することで、磁気ヘッドサイズのバラつきに対応し、磁気ヘッドの歩留まりを抑えることができるが、コストが増える問題がある。
【0014】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、トラック幅を変更することができない磁気記録媒体において、これまで不良品扱いとなっていた磁気ヘッドを磁気ディスク装置内に含んでいても製品として成立し得る磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の開示する磁気ディスク装置は、複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と有することを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
本願に開示した磁気ディスク装置によれば、これまで、不良品とみなされていた磁気ヘッドを救済し、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、不良品の磁気ヘッドを説明するための図である。
【図2】図2は、発明の概要を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【図4】図4は、オフセットテーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、アウト側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【図6】図6は、イン側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例1に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例1に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【図10】図10は、オフセット制御テーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例2に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施例2に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、磁気ヘッドが良品とみなされた場合の磁気ディスク装置の処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願の開示する磁気ディスク装置の実施例を図面を用いて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
最初に、パターンドメディアに用いる磁気ヘッドの単体性能試験等において、不合格となり、不良品扱いとなる磁気ヘッドについて具体的に図を用いて説明する。図1は、不良品の磁気ヘッドを説明するための図である。
【0020】
図1に示した記録媒体50は、パターンドメディアであるから、トラック50a〜50cのトラック幅は、全て固定で、変更することができない。そして、磁気ヘッド100は、トラック50bにデータを記録する際、トラック50aやトラック50cにデータを記録することなく、例えば、磁気ヘッド単体の性能試験に合格する磁気ヘッドを示している。
【0021】
一方、図1に示した磁気ヘッド101は、トラック50bにデータを記録する際、トラック50bだけでなく、隣接するトラック50aやトラック50cにもデータを記録してしまう。
【0022】
この場合、磁気ヘッド101は、データ記録時に隣接トラックに影響を与えてしまう場合や、再生時に隣接トラックから影響を受けてしまう場合がある。この磁気ヘッド101は、不良品扱いとなり、磁気ヘッドの単体性能試験に合格せず、磁気ヘッドの歩留まり低下を招いてしまう。
【0023】
以下、上述した不良品の磁気ヘッドを救済することで、不良品の磁気ヘッドを含んでいても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。
【0024】
まず、本実施例に係る発明の概要について説明する。本実施例に係る磁気ヘッドは、パターンドメディアに使用する場合において、磁気ヘッドのサイズがトラック幅よりも広く、不良品扱いとなる場合に、隣接するトラックのいずれか片方を不使用のトラックに定め、磁気ヘッドを不使用トラック側にオフセットして記録することで磁気ヘッドを不良品扱いとしない。
【0025】
以下、発明の概要について具体的に図を用いて説明する。図2は、発明の概要を説明するための図である。図2に示した磁気ヘッド101のヘッドサイズは、データを記録するトラック幅よりも広く不良品扱いとなる磁気ヘッドである。
【0026】
そして、磁気ヘッド101を磁気ディスク装置に搭載した場合において、データ記録用のトラックをトラック211に定めた場合に、磁気ヘッド101は、隣接するトラック210や212に記録してしまう。
【0027】
この場合、トラック212をデータ記録に使用しないトラック(以下、データの記録に使用しないトラックを不使用トラックとする)に定め、磁気ヘッド101が、トラック211にデータを記録する場合について説明する。
【0028】
この場合、磁気ヘッド101をトラック211のトラックセンターのアウト側にオフセットし、トラック211とトラック212とに記録することで、トラック211に隣接するトラック210にデータを記録することなく、データの記録漏れは不使用トラック212にのみ生ずる。
【0029】
また、磁気ヘッド101が、トラック213にデータを記録する際、磁気ヘッド101をトラック213のトラックセンターのイン側にオフセットし、トラック212とトラック213に記録する。この場合、磁気ヘッド101は、トラック213に隣接するトラック214にデータを記録することはない。
【0030】
このように、トラック211から213の3トラックに対して、トラック212を不使用のトラックに定め、さらに、不使用トラック側に磁気ヘッド101をオフセットさせることで、不良品扱いとなっていた磁気ヘッド101を磁気ディスク装置に含んでいても製品として成立させることができる。
【0031】
これは、不使用トラックを3トラックに対して1トラック定め、想定していた2/3の記憶容量にすることで、不良品扱いとなっていた磁気ヘッドを磁気ディスク装置に含んでいたとしても、製品として成立させることになる。
【0032】
その結果、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することができ、例えば、不良品の磁気ヘッドを製造してしまう確率が20%であるならば、該当する磁気ヘッド(20%に相当する磁気ヘッド)を含んでいても製品として成立させることが可能となる。
【0033】
なお、図中に示した「A」および「B」は、オフセット量を示し、磁気ヘッドをトラックセンターからオフセットする位置(例えば、トラックセンターからアウト側に1nm(ナノメートル)ずらした位置)を示すものとして以下説明する。
【0034】
また、図中に示した「トラックセンター」とは、磁気ヘッド101の中心と、データを記録するトラックとの中心が一致するトラック上の位置を示すものとする。
【0035】
次に、図2で示した不良品の磁気ヘッドを含んでいても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。図3は、実施例1に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【0036】
図3に示した磁気ディスク装置300は、トラック幅が固定であるパターンドメディアを有し、磁気ヘッドが組込まれた際の試験時に、記録媒体のトラック番号ごとにオフセット量を決定する。
【0037】
そして、磁気ディスク装置300は、記録媒体へのデータ記録時に、決定されたオフセット量に基づき、トラック番号に応じたオフセット処理を行い、データの書込み処理を行う。
【0038】
磁気ディスク装置300は、インターフェース301と、ROM(Read Only Memory)302と、MCU(Micro Control Unit)303と、サーボ制御部304と、ボイスコイルモータ305と、リード/ライトチャネル306と、磁気ヘッドIC(Integrated Circuit)307と、磁気ヘッド308と、記録媒体309と、スピンドルモータ310とを有する。
【0039】
インターフェース301は、磁気ディスク装置300の上位ホスト(図示省略)と、磁気ディスク装置300とのデータの入出力を制御するインターフェースである。例えば、上位ホストからユーザデータが入力された場合、ユーザデータをMCU303に出力する。
【0040】
ROM302は、磁気ヘッド308を磁気ディスク装置300に組込んで実施する試験(以下、ヘッド試験とする)時において、MCU303が決定するオフセット量をトラック番号に応じて記憶する記憶部で、オフセットテーブル302aを有する。
【0041】
このオフセットテーブル302aは、「トラック番号」、「オフセット量」を記憶するテーブルで、MCU303によって記憶されるデータの入出力が管理される。具体的なデータ構造について図を挙げて説明する。図4は、オフセットテーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【0042】
「トラック番号」は、記録媒体309が有する磁気ディスク1面からリング状にくり抜いた領域を示すトラックを識別する番号で、図4に示したトラック番号0は、ディスクの最内側のトラック番号を示し、トラック番号1300は、ディスクの最外側のトラック番号を示すものとする。以下、トラック番号が0〜1300に定められる例を挙げて説明する。
【0043】
オフセット量は、図2で示したように、磁気ヘッド308を各トラックセンターからオフセットする位置を示し、単位は便宜的に[nm](ナノメートル)とする。したがって、トラック番号1を有するトラックのオフセット量は、X[nm]となり、トラック番号2のオフセット量もX[nm]を示している。
【0044】
なお、図4では、トラック番号に関わらず、オフセット量が一律の値「X」を有する場合を例に挙げて説明したが、ヘッド試験によっては、トラック番号に応じてオフセット量が個別に決定され、トラック番号別に異なるオフセット量が記憶される。
【0045】
さらに、トラック番号0〜1300の全てについてオフセット量が記憶されているが、例えば、トラック番号0〜50と、トラック番号100〜500と、トラック番号750〜1100といったように、一部のトラック番号についてのみオフセット量が決定される場合は、それらのトラック番号についてのみオフセット量が決定され、記憶される。
【0046】
この場合、トラック番号51〜99といったオフセット量が未決定のトラックについては、決定されたオフセット量に基づき、近似して記憶され、補完される。
【0047】
なお、トラック番号0とトラック番号1300のオフセット量が未決定であるが、これは、便宜的に、最内側と最外側のトラックを不使用トラックに定めた場合を示している。
【0048】
次に、図3の説明に戻り、MCU303について説明する。MCU303は、ヘッド試験時には、トラック番号別にオフセット量を決定し、記録媒体309へのユーザデータ記録時には、オフセット処理を実行し、ユーザデータの書込みを命令する制御部である。
【0049】
そして、MCU303は、オフセット決定部303aと、オフセット制御部303bと、データ処理部303cとを有する。まず、オフセット決定部303aから説明する。
【0050】
ヘッド試験時に、オフセット決定部303aは、記録媒体309からトラック番号を読出し、そのトラック番号に応じ、オフセット量を決定し、決定したオフセット量をトラック番号別にオフセットテーブル302a(図4参照)に記憶する処理部である。
【0051】
オフセット量を決定する際、オフセット決定部303aは、記録媒体309からトラック番号を読出し、読出したトラックのトラックセンターを定め、磁気ヘッド308のヘッドサイズや、記録媒体309のトラック幅、ヘッド試験の方法等に基づいてオフセット量を決定する。そして、オフセット決定部303aは、全てのトラック番号について決定する場合もあれば、数箇所のトラック番号についてのみ決定する場合もある。
【0052】
また、オフセット決定部303aは、トラック番号別にオフセット量を決める場合もあれば、図4に示したようにトラック番号に関係なく、一律にオフセット量(例えば、オフセット量が一律Xnm)を定める場合もある。
【0053】
オフセット制御部303bは、記録媒体309にユーザデータを記録する際、オフセット制御を行う制御部である。まず、オフセット制御部303bは、サーボ制御部304からユーザデータを書込むトラックを含むトラック番号を複数取得し、取得したトラック番号に基づき、磁気ヘッド308のオフセット方向を定める。
【0054】
その後、オフセット制御部303bは、オフセットテーブル302aから、取得したトラック番号に対応するオフセット量を参照し、オフセット処理を実行する。以下、具体的に図を用いて説明する。
【0055】
図5は、アウト側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。まず、オフセット制御部303bが、磁気ヘッド308をトラックセンターのアウト側もしくはイン側のいずれかにオフセットするかを決める際に使用する数式を以下のように定める。
【0056】
トラック番号N/3・・・(1)
ただし、Nは、便宜的に整数を示すものとする。
【0057】
上述した式(1)より、オフセット制御部303bは、余りが1となるトラック番号を有するトラックは、アウト側の隣接トラックにオフセットし、余りが0となるトラック番号を有するトラックはイン側の隣接トラックにオフセットする。そして、余りが2となるトラック番号を有するトラックは、不使用トラックに定める。
【0058】
図5では、まず、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時にトラック番号3から5をサーボ制御部304から読み込んだ場合を示し、その後、磁気ヘッド308が、トラック番号4のトラックにユーザデータを記録する場合を示している。
【0059】
この場合において、オフセット制御部303bは、トラック番号5に対し、式(1)を用いることで、余り「2」を算出する。したがって、オフセット制御部303bは、トラック番号5を不使用トラックに定める。
【0060】
一方、オフセット制御部303bは、トラック番号4に式(1)を用いることで、余り「1」を算出するから、磁気ヘッド308をトラック番号4のトラックセンターからアウト側にオフセットするように定める。
【0061】
続いて、オフセット制御部303bは、図4に示したオフセットテーブル302aから、トラック番号4に対応するオフセット量を参照する。この場合、トラック番号4に対応するオフセット量は、X[nm]である(図4参照)。
【0062】
したがって、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をトラック番号4のトラックセンターからアウト側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0063】
次に、オフセット制御部303bが、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする場合の動作について図を用いて説明する。図6は、イン側にオフセットする場合の動作を説明するための図である。
【0064】
図6では、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時にトラック番号2から4を読込んだ場合を示し、その後、磁気ヘッド308が、トラック番号3のトラックにユーザデータを記録する場合を示している。
【0065】
この場合において、オフセット制御部303bは、トラック番号2に対し、式(1)を用いることで、余り「2」を算出する。したがって、オフセット制御部303bは、トラック番号2を不使用トラックに定める。
【0066】
そして、オフセット制御部303bは、トラック番号3に式(1)を用いることで、余り「0」を算出することから、磁気ヘッド308をトラック番号3のトラックセンターからイン側にオフセットするように定める。
【0067】
続いて、オフセット制御部303bは、図4に示したオフセットテーブル302aから、トラック番号3に対応するオフセット量を参照する。この場合、トラック番号3に対応するオフセット量は、X[nm]である(図4参照)。
【0068】
したがって、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をトラック番号3のトラックセンターからイン側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0069】
また、オフセット制御部303bが、ユーザデータ記録時に、サーボ制御部304を介して、トラック番号0もしくはトラック番号1300を含むトラック番号を取得した場合に、いずれの場合においても、取得したトラック数が2本未満であれば、取得したトラックを廃棄する。
【0070】
一方、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号0を含む場合、オフセット制御部303bは、トラック番号1のトラックセンターからイン側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0071】
また、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号1300を含む場合、オフセット制御部303bは、トラック番号1299のトラックセンターからアウト側にX[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をデータ処理部303cに出力する。
【0072】
次に、図3の説明に戻り、データ処理部303cについて説明する。データ処理部303cは、オフセット制御部303bが磁気ヘッド308をオフセットするための情報(以下、オフセット情報とする)と、上位ホストから出力されるユーザデータとをサーボ制御部304に出力する処理部である。
【0073】
サーボ制御部304は、ボイスコイルモータ305やスピンドルモータ310の動作の制御を行い、さらに、ユーザデータをリード/ライトチャネル306に出力する制御部である。
【0074】
具体的に、ヘッド試験時には、サーボ制御部304は、記録媒体309からトラック番号を読出し、オフセット決定部303aにトラック番号を出力する。
【0075】
一方、ユーザデータの記録時には、MCU303から入力されるオフセット情報に基づいて、ボイスコイルモータ305の動作を制御し、その後、データ処理部303cから入力されたユーザデータをリード/ライトチャネル306に出力する。
【0076】
ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308の動作を制御するモータで、ユーザデータ記録時において、オフセット情報が示す記録媒体309上の位置まで、磁気ヘッド308を移動させる。
【0077】
リード/ライトチャネル306は、ユーザデータ記録時において、記録媒体309に書込むユーザデータを磁気ヘッドIC307に出力する出力部である。
【0078】
磁気ヘッドIC307は、ユーザデータ書込み時においては、磁気ヘッド308が記録媒体309に書込むユーザデータを変調し、読込み動作時においては、磁気ヘッド308が記録媒体309から読込んだユーザデータを復調する制御部である。
【0079】
磁気ヘッド308は、ヘッド試験時において、記録媒体309からトラック番号の読込みを行い、読込んだトラック番号をサーボ制御部304に出力する。そして、ユーザデータ記録時は、オフセット情報が示す記録媒体309上の位置で、ユーザデータのリード・ライトを行う。
【0080】
記録媒体309は、ユーザデータが記録される磁性体と、ユーザデータが記録されない非磁性体とを有するパターンドメディアである。この磁性体のトラック幅は固定で、非磁性体の中に、所定の規則で配列されている。
【0081】
したがって、ユーザデータ記録時において、記録媒体309は、各磁性体間の磁気的な相互作用を少なくし、各磁性体間の磁気的干渉を低減させている。その結果、記録密度の大幅な向上が見込める。
【0082】
スピンドルモータ310は、記録媒体309の回転を制御するためのモータで、サーボ制御部304から出力されるオフセット情報に基づいて、動作制御が行われる。
【0083】
次に、磁気ディスク装置300のヘッド試験時における処理手順について説明する。図7は、実施例1に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【0084】
まず、磁気ヘッド308が、磁気ディスク装置300に組み込まれる(ステップS100)。続いて、オフセット決定部303aが、記録媒体309からトラック番号を読込み、読込んだトラック番号に基づいて、オフセット量を決定する(ステップS101)。
【0085】
その後、オフセット決定部303aが、ステップS101にて決定したオフセット量と、読込んだトラック番号をオフセットテーブル302aに記憶する(ステップS102)。
【0086】
次に、ユーザデータ書込み時における磁気ディスク装置300の処理手順について説明する。図8は、実施例1に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【0087】
まず、ホスト(上位装置)からユーザデータの書込み命令が、インターフェース301に出力される(ステップS200)。続いて、オフセット制御部303bが、記録媒体309からトラック番号を取得する(ステップS201)。
【0088】
その後、オフセット制御部303bは、ステップS201にて取得したトラック番号が「0」もしくは「1300」を含まない場合(ステップS202、No)、オフセット処理を実行する(ステップS203)。
【0089】
この場合において、ステップS201で取得したトラック番号から余り2以外を算出し(ステップS204、No)、その余りが「1」である場合(ステップS206、Yes)、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0090】
一方、トラック番号から余り2を算出した場合(ステップS204、Yes)、ステップS201で取得したトラックを不使用のトラックに決定し(ステップS205)、再びトラック番号を取得する(ステップS201)。
【0091】
ステップS201で取得したトラック番号から余り「1」が得られた場合において、その後、サーボ制御部304は、オフセット情報を取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットする(ステップS207)。
【0092】
一方、ステップS201で取得したトラック番号から余り「0」が得られた場合(ステップS206、No)、オフセット制御部303bは、磁気ヘッド308をイン側にオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0093】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報をデータ処理部303cから取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする(ステップS208)。
【0094】
そして、ステップS207もしくはステップS208においてオフセットされた後、磁気ヘッド308は記録媒体309にユーザデータの書込み処理を実施する(ステップS209)。
【0095】
また、ステップS201にて取得したトラック番号に「0」もしくは「1300」を含む場合(ステップS202、Yes)、オフセット制御部303bは、取得したトラック数を判定する(ステップS210)。
【0096】
そして、トラック数が2未満でなく(ステップS211、No)、ステップS201で取得したトラック番号に0を含む場合に、オフセット制御部303bは、イン側に磁気ヘッド308をオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0097】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報を取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をイン側にオフセットする(ステップS212)。
【0098】
一方、トラック数が2未満でなく(ステップS211、No)、ステップS201で取得したトラック番号に1300を含む場合に、オフセット制御部303bは、アウト側に磁気ヘッド308をオフセットするオフセット情報をデータ処理部303cに出力する。
【0099】
その後、サーボ制御部304は、オフセット情報をデータ処理部303cから取得し、取得したオフセット情報をボイスコイルモータ305に出力する。そして、ボイスコイルモータ305は、磁気ヘッド308をアウト側にオフセットする(ステップS212)。
【0100】
また、ステップS201で取得した、トラック数が2未満である場合(ステップS211、Yes)、オフセット制御部303bは、取得したトラックを廃棄する(ステップS213)。
【0101】
このフローチャートによれば、これまで、不良品の磁気ヘッドとして扱われていた磁気ヘッド308を良品の磁気ヘッドとして救済することができ、磁気ヘッドの歩留まり低下を低減することが可能となる。
【0102】
上述してきたように、本実施例1に係る磁気ディスク装置300によれば、不良品の磁気ヘッド308を含んでいたとしても、その磁気ヘッド308に隣接するトラックのいずれか片方を不使用トラックに定め、磁気ヘッド308を不使用トラック側にオフセットし、記録させることで磁気ヘッド308を不良品扱いとせず、製品として成立させることができる。その結果、磁気ヘッドの歩留まりを解消することができる。
【実施例2】
【0103】
次に、実施例2に係る発明の概要について説明する。本実施例に係る磁気ディスク装置は、実施例1で示した不良品の磁気ヘッドを含む場合において、その磁気ヘッドを磁気ディスク装置に組込んだ際に実施する試験(以下、ヘッド試験とする)時に、データトラックに隣接するトラックのいずれか片方を不使用トラックに定め、さらに、その磁気ヘッドのオフセット方向と、オフセット量についてもあらかじめ定める。
【0104】
そして、ユーザデータ記録時に、磁気ディスク装置は、ヘッド試験時に定められた各種データに基づいて、ユーザデータの書込みを行う。その結果、不良品の磁気ヘッドを含んでいたとしても製品として成立させる。
【0105】
以下、上述した不良品の磁気ヘッドを救済することで、不良品の磁気ヘッドを含んでいたとしても製品として成立させる磁気ディスク装置について説明する。図9は、実施例2に係る磁気ディスク装置を説明するための機能ブロック図である。
【0106】
図9に示した磁気ディスク装置400は、トラック幅が固定であるパターンドメディアを有し、ヘッド試験時には、記録媒体のトラック番号に応じて、不使用トラックと、オフセット方向と、オフセット量とを決定する。
【0107】
そして、磁気ディスク装置400は、記録媒体へのユーザデータ記録時には、決定された各種データに基づいて、ユーザデータの書込み処理を行う。なお、説明の便宜上、トラックの使用/不使用を示す情報と、オフセットの方向と、オフセット量とを有する情報をオフセット制御情報として、以下説明する。
【0108】
磁気ディスク装置400は、インターフェース401と、ファームウェア部402と、サーボ制御部403と、ボイスコイルモータ404と、リード/ライトチャネル405と、磁気ヘッドIC(Integrated Circuit)406と、磁気ヘッド407と、記録媒体408と、スピンドルモータ409とを有する。
【0109】
インターフェース401は、磁気ディスク装置400の上位ホスト(図示省略)と、磁気ディスク装置400とのユーザデータの入出力を制御するインターフェースである。例えば、上位ホストからユーザデータが入力された場合、ユーザデータをファームウェア部402に出力する。
【0110】
ファームウェア部402は、ヘッド試験時に、記録媒体408のトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量を決定するファームウェアである。
【0111】
そして、ユーザデータ記録時には、ヘッド試験時に決定された各種データに基づいて、記録媒体408へのユーザデータの書込みを実行し、ROM(Read Only Memory)402aと、MCU(Micro Control Unit)402bと有する。
【0112】
ROM402aは、ヘッド試験時に、トラックの使用/不使用を示すデータ、オフセットの方向、オフセット量を記憶する記憶部で、オフセット制御テーブル412を有する。
【0113】
このオフセット制御テーブル412は、MCU402bによってオフセット制御情報の入出力が管理され、「トラック番号」、「使用/不使用」、「オフセットの方向」、「オフセット量」が記憶される。具体的なデータ構造について図を挙げて説明する。図10は、オフセット制御テーブルのデータ構造の一例を説明するための図である。
【0114】
「トラック番号」は、記録媒体408が有する磁気ディスク1面からリング状にくり抜いた領域を示すトラックを識別する番号で、図10に示した例において、トラック番号0は、ディスクの最内側のトラック番号を示し、トラック番号1300は、ディスクの最外側のトラック番号を示すものとする。以下、トラック番号が0〜1300に定められる場合を例に挙げて説明する。
【0115】
「使用/不使用」は、各トラックがデータトラックとして使用されるか否かを識別する情報で、「使用」が記憶されている場合、ユーザデータの記録用トラックとして使用され、「不使用」が記憶されている場合、ユーザデータの記録用トラックとして使用されない。
【0116】
「オフセットの方向」は、データトラックとして使用する場合に、磁気ヘッド407をそのトラックセンターからオフセットする方向を示す情報で、「アウト」が記憶されている場合、磁気ヘッド407をトラックセンターからアウト側にオフセットする情報を示し、「イン」が記憶されている場合、磁気ヘッド407をトラックセンターからイン側にオフセットする情報を示す。
【0117】
「オフセット量」は、磁気ヘッド407を各トラックセンターからオフセットする位置を示し、単位は便宜的に[nm](ナノメートル)とする。したがって、トラック番号1を有するトラックに対するオフセット量は、Y[nm]となり、トラック番号2に対するオフセット量もY[nm]を示している。
【0118】
なお、図10では、トラック番号に関わらず、オフセット量が一律の値「Y」を示す場合を例に挙げて説明したが、ヘッド試験によっては、トラック番号に応じてオフセット量が個別に決定され、トラック番号別に異なるオフセット量が記憶される。
【0119】
さらに、トラック番号0〜1300に対して、オフセット量が記憶されているが、例えば、トラック番号0〜50と、トラック番号100〜500と、トラック番号750〜1100といったように、一部のトラック番号についてのみオフセット量が決定される場合は、それらのトラック番号についてのみオフセット量が決定され、記憶される。
【0120】
この場合、トラック番号51〜99といったオフセット量が未決定のトラックについては、決定されたオフセット量に基づき、近似して記憶され、補完される。
【0121】
なお、トラック番号0とトラック番号1300のオフセット量が未決定であるが、便宜的に、最内側と最外側のトラックを不使用のトラックに定めた場合を示している。そして、その他不使用に定められたトラックについても同様にオフセット量が未決定である。
【0122】
また、ヘッド試験時において、磁気ヘッド407が隣接するトラックに影響なく、ユーザデータを記録する場合は、書込み対象となっているデータトラックから、磁気ヘッド407をオフセットしないで使用するものとする。
【0123】
次に、図9の説明に戻り、MCU402bについて説明する。MCU402bは、ヘッド試験時に、記録媒体408が有するトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定する処理部である。
【0124】
そして、MCU402bは、ヘッド試験時に決定したオフセット制御情報を、オフセット制御テーブル412に記憶する。その後、記録媒体408へのユーザデータ記録時には、MCU402bは、オフセット制御テーブルに記憶されているオフセット制御情報と、ユーザデータをサーボ制御部403に出力する。
【0125】
まず、ヘッド試験時において、トラックの使用/不使用を決定する場合に、MCU402bは、サーボ制御部403からトラック番号を取得し、取得したトラックのトラックセンターを定める。そして、上述した式(1)に基づき、トラックの使用/不使用を決定する。
【0126】
例えば、図10に示した場合において、MCU402bは、式(1)を用いて、余りが2となるトラック番号を有するトラックは、不使用トラックに定める。その後、MCU402bは、式(1)を用いて、磁気ヘッド407のオフセット方向を定める。
【0127】
例えば、余りが1となるトラック番号を有するトラックは、アウト側の隣接トラックに磁気ヘッド407をオフセットし、余りが0となるトラック番号を有するトラックはイン側に磁気ヘッド407をオフセットする。
【0128】
したがって、MCU402bは、トラック番号が29であれば、余りは「2」であるので、トラック番号29を不使用トラックに定める。一方、トラック番号30があれば、余りは「0」であるので、使用するトラックに定め、トラック番号31であれば、余りは「1」であるので、同様に使用するトラックに定める。
【0129】
その後、MCU402bは、余り「0」を算出したトラックについては、磁気ヘッド407をイン側にオフセットする「イン」をオフセット制御テーブル412に記憶する。一方、余り「1」を算出したトラックについては、磁気ヘッド407をアウト側にオフセットする「アウト」をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0130】
そして、MCU402bは、磁気ヘッド407のヘッドサイズや、記録媒体408が有するトラック幅、ヘッド試験の方法等に基づいて磁気ヘッド407のオフセット量を決定する。
【0131】
この場合、MCU402bは、全てのトラック番号について決定する場合もあれば、数箇所のトラック番号についてのみ決定する場合もある。また、トラック番号別にオフセット量を決める場合もあれば、図9に示したようにトラック番号に関係なく、一律にオフセット量(例えば、オフセット量が一律Ynm)を定める場合もある。
【0132】
また、MCU402bが、ヘッド試験時に、サーボ制御部403を介して、トラック番号0もしくはトラック番号1300を含むトラック番号を取得した場合に、いずれの場合においても、取得したトラック数が2本未満であれば、取得したトラックを廃棄する。
【0133】
一方、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号0を含む場合、MCU402bは、トラック番号1のトラックセンターからイン側にY[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0134】
また、取得したトラック数が2本未満でなく、トラック番号1300を含む場合、MCU402bは、トラック番号1299のトラックセンターからアウト側にY[nm]ずらした位置にオフセットするための情報をオフセット制御テーブル412に記憶する。
【0135】
さらに、MCU402bは、磁気ヘッド407が隣接するトラックに影響なく、ユーザデータを記録する場合に、書込み対象となっているトラックセンターから、磁気ヘッド407をオフセットすることなく、磁気ヘッド407に書込みを実行させる。
【0136】
サーボ制御部403は、ボイスコイルモータ404やスピンドルモータ409の動作の制御を行い、さらに、ユーザデータの書込み命令をリード/ライトチャネル405に出力する制御部である。
【0137】
具体的には、サーボ制御部403は、ヘッド試験時に、記録媒体408からトラック番号を読出して、MCU402bにトラック番号を出力する。一方、ユーザデータの記録時には、ユーザデータの書込み命令をリード/ライトチャネル405に出力する。
【0138】
ボイスコイルモータ404は、磁気ヘッド407の動作を制御するモータで、ヘッド試験時において、オフセット制御情報が示す記録媒体408上の位置まで、磁気ヘッド407を移動させる。
【0139】
リード/ライトチャネル405は、ユーザデータ記録時において、記録媒体408に書込むユーザデータをサーボ制御部403から取得し、磁気ヘッドIC406に出力する出力部である。
【0140】
磁気ヘッドIC406は、ユーザデータ書込み時に、磁気ヘッド407が記録媒体408に書込むデータを変調し、読込み動作時においては、磁気ヘッド407が記録媒体408から読み込んだデータを復調する制御部である。
【0141】
磁気ヘッド407は、ヘッド試験時において、記録媒体408からトラック番号の読込みを行い、読込んだデータをサーボ制御部403に出力する。そして、データ記録時は、オフセット制御情報に基づいたユーザデータのリード・ライトを記録媒体408に行う。
【0142】
記録媒体408は、ユーザデータが記録される磁性体と、ユーザデータが記録されない非磁性体を有するパターンドメディアである。この磁性体のトラック幅は固定で、非磁性体の中に、所定の規則で配列されている。
【0143】
したがって、ユーザデータ記録時において、記録媒体408は、各磁性体間の磁気的な相互作用を少なくし、各磁性体間の磁気的干渉を低減させている。その結果、記録密度の大幅な向上が見込める。
【0144】
スピンドルモータ409は、記録媒体408の回転を制御するためのモータで、サーボ制御部403から出力されるオフセット制御情報に基づいて、動作制御が行われる。
【0145】
次に、磁気ディスク装置400のヘッド試験時における処理手順について説明する。図11は、実施例2に係る磁気ディスク装置のヘッド試験時の処理を示すフローチャートである。
【0146】
まず、磁気ヘッド407が、磁気ディスク装置400に組み込まれる(ステップS300)。続いて、MCU402bが、記録媒体408からトラック番号を読込み、読込んだトラック番号に対して、トラックの不使用/使用を決定する(ステップS301)。
【0147】
その後、MCU402bが、ステップS301にて「使用トラック」に決定したトラックについてオフセットの方向を決定し(ステップS302)、さらに、オフセット量を決定する(ステップS303)。
【0148】
そして、MCU402bは、トラック番号、ステップS301で定めた使用/不使用トラック、ステップS302で定めたオフセット方向、ステップS303で定めたオフセット量をオフセット制御テーブル412に記憶する(ステップS304)。
【0149】
次に、磁気ディスク装置400のユーザデータ書込み時における処理手順について説明する。図12は、実施例2に係る磁気ディスク装置のユーザデータ書込み時の処理を示すフローチャートである。
【0150】
まず、ホスト(上位装置)から磁気ディスク装置400に対してユーザデータの書込み命令が入力される(ステップS400)。その後、ファームウェア部402が、オフセット制御テーブル412に記憶されているオフセット制御情報を参照する(ステップS401)。
【0151】
そして、サーボ制御部403は、ファームウェア部402がステップS401にて取得したオフセット制御情報に基づいて、ボイルコイルモータ404の動作制御を行う。その後、磁気ヘッド407は、記録媒体408にユーザデータの書込みを行う(ステップS402)。
【0152】
このフローチャートによれば、これまで、不良品磁気ヘッドとして扱われていた磁気ヘッド407を良品の磁気ヘッドとして救済することができ、磁気ヘッドの歩留まり低下を低減することが可能となる。
【0153】
上述してきたように、本実施例2に係る磁気ディスク装置400は、不良品の磁気ヘッド407を含んでいたとしても、その磁気ヘッド407に隣接するトラックのいずれか片方を不使用のトラックに定め、磁気ヘッド407を不使用トラック側にオフセットして記録させることで磁気ヘッド407を不良品扱いとせず、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりを解消することができる。
【0154】
ところで、実施例2で示したヘッド試験時において、良品と判定された磁気ヘッドを有していたとしても、トラックにうねりが生じた場合は、良品の磁気ヘッドでも隣接トラックに影響を及ぼす場合がある。
【0155】
この「うねり」とは、物理的にデータトラックを同一のトラック幅に保ち続けることが困難であり、例えば、磁気ディスク装置内の温度等の影響を受けてトラックが歪んでしまうことを示す。この「うねり」が発生すると、各トラック間の間隔が変わってしまい、良品の磁気ヘッドでも、データトラックに隣接するトラックにユーザデータを記録してしまう場合がある。
【0156】
この「うねり」が発生した場合でも、実施例1もしくは実施例2で示したオフセット処理を実行することで、不良品の磁気ヘッドを救済することが可能となる。以下、実施例2に示した磁気ヘッド407が良品と判定された場合に、磁気ディスク装置400が行う処理について説明する。
【0157】
まず、ファームウェア部402は、うねりが発生しているトラック番号を含むトラックを読込み、読込んだトラック番号に応じて、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定することで、製品として出荷することが可能となる。
【0158】
例えば、ヘッド試験時に、磁気ヘッド407が良品と判定されたが、あるトラック番号Zにおいてうねりが確認された場合、MCU402bは、トラック番号Zを含むトラック番号を読込み、トラックの使用/不使用を決定し、さらに、オフセットの方向とオフセット量とを決定する。
【0159】
そして、MCU402bは、ヘッド試験時に決定したオフセット制御情報を、オフセット制御テーブル412に記憶する。その後、トラック番号Zを有する記録媒体408に対してユーザデータを記録する際、MCU402bは、オフセット制御テーブル412に記憶されているオフセット制御情報に基づき、ユーザデータの書込みを実行する。
【0160】
このように、記録媒体408にうねりが発生した場合でも、MCU402bが磁気ヘッド407をオフセットして記録させることで、製品として成立させることができる。
【0161】
次に、磁気ヘッド407が、ヘッド試験において、良品とみなされた場合における磁気ディスク装置400の処理について説明する。図13は、磁気ヘッドが良品とみなされた場合の磁気ディスク装置の処理を示すフローチャートである。
【0162】
まず、磁気ヘッド407が、磁気ディスク装置400に組込まれる(ステップS500)。そして、磁気ヘッド407が良品と判定された後(ステップS501)、磁気ディスク装置400内でうねりが確認される(ステップS502)。
【0163】
その後、ファームウェア部402が、うねりが発生しているトラック番号を含むトラック番号を読込み、トラックの使用/不使用を決定し、オフセット方向を決定する(ステップS503)。
【0164】
そして、ファームウェア部402は、ステップS503にてオフセットの方向を定めたトラックに対して、オフセット量を決定する(ステップS504)。そして、オフセット制御テーブル412に、使用/不使用、オフセットの方向、オフセット量を記憶する(ステップS505)。
【0165】
そして、オフセット制御情報に基づいて、ボイルコイルモータ404の動作制御が行われ、磁気ヘッド407は、記録媒体408にユーザデータの書込みを行う(ステップS506)。
【0166】
このフローチャートによれば、良品の磁気ヘッド407を有する磁気ディスク装置400で、うねりが発生した場合でも、ファームウェア部402が磁気ヘッド407をオフセットし、ユーザデータを磁気ヘッド407に記録させることで、製品として成立させることができる。
【0167】
以上、本実施例に示した磁気ディスク装置によれば、これまで、不良品とみなされていた磁気ヘッドを救済し、製品として成立させることで、磁気ヘッドの歩留まりの低下を大幅に改善することが可能となる。
【0168】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0169】
(付記1)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0170】
(付記2)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0171】
(付記3)前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする付記2に記載の磁気ディスク装置。
【0172】
(付記4)前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する付記2に記載の磁気ディスク装置。
【0173】
(付記5)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【0174】
(付記6)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【0175】
(付記7)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【0176】
(付記8)前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする付記7に記載の磁気ディスク制御装置。
【0177】
(付記9)前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する付記7に記載の磁気ディスク制御装置。
【0178】
(付記10)複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク制御装置。
【符号の説明】
【0179】
1、1a、50、50a、50b、50c、309、408 記録媒体
10、11、100、101 磁気ヘッド
210、211、212、213、214 トラック
300、400 磁気ディスク装置
301、401 インターフェース
302、402a ROM
302a オフセットテーブル
303、402b MCU
304、403 サーボ制御部
305、404 ボイスコイルモータ
306、405 リード/ライトチャンネル
307、406 磁気ヘッドIC
308、407 磁気ヘッド
310、409 スピンドルモータ
402 ファームウェア部
412 オフセット制御テーブル
A、B オフセット量
a、b、c トラック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【請求項2】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【請求項1】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【請求項2】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも広い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記使用トラックの中心部からのオフセット量をトラックごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記オフセット部は、書き込み対象となるトラックのオフセット量を基に前記磁気ヘッドをオフセットする請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記使用トラックと前記不使用トラックとを識別する使用/不使用情報と、前記使用トラックの中心部からのオフセット量と、前記磁気ヘッドのオフセット方向を示すオフセット方向情報とを含むオフセット制御情報をトラックごとに対応づけて記憶し、前記オフセット制御情報を基に、前記オフセット部に代替して前記磁気ヘッドをオフセットするオフセット制御部をさらに有する請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
複数のトラックを有し、各トラックの幅が固定された記録媒体と、
前記記録媒体のトラックにうねりが存在する場合に、前記記録媒体に含まれるトラックの内、データの記録に用いる使用トラックを判定し、当該使用トラックの隣に位置するトラックのいずれか一方を、データの記録に用いない不使用トラックとして判定する判定処理部と、
磁気ヘッドの幅が前記使用トラックの幅よりも狭い磁気ヘッドを用いて前記使用トラックにデータを書き込む場合に、当該使用トラックの中心部から前記不使用トラック側に前記磁気ヘッドをオフセットさせるオフセット部と
有する磁気ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−192062(P2010−192062A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37462(P2009−37462)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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