説明

磁気ヘッドの浮上量計測方法及び磁気記憶装置並びに磁気ヘッドの浮上量計測装置

【課題】媒体面上のサーボ領域に書き込まれたデータとサーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータとを再生して得られるデータに基づいて、磁気ヘッドの浮上量を精度良く計測する磁気ヘッドの浮上量計測方法及び磁気記憶装置並びに磁気ヘッドの浮上量計測方法を提供する。
【解決手段】FFT処理部180が、磁気ヘッド160により、一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれたデータ領域とからそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の第2のデータと、置換された一つ以上の第3のデータとを一連のデータとして、該一連のデータに対してフーリエ変換演算を実行し、浮上量算出部120bが、上記フーリエ変換演算結果に基づいて、磁気ヘッド170の浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドの浮上量の計測技術に関し、特に、データを保存するための媒体の媒体面上のサーボ領域に書き込まれたデータとサーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータとを再生して得られるデータに基づいて、磁気ヘッドの浮上量を計測する磁気ヘッドの浮上量計測方法及び磁気記憶装置並びに磁気ヘッドの浮上量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置等の磁気記憶装置では、空気軸受の仕組みを利用して、磁気ヘッド(又はヘッドスライダ)を媒体面上、所定の高さに浮上させる。このときの浮上高さを浮上量と呼ぶが、この浮上量の大きさは、現在工場出荷されている製品で、約10nm内外と、非常に小さい値となっている。記録装置としての記録密度を上げるには、浮上量を小さくしないと成り立たないので、この浮上量は、更に小さくすることが求められている。
磁気ヘッドの浮上量を制御する技術として、ヒータをスライダ内部に埋め込み、該ヒータに通電することにより、磁気ヘッド浮上量を微調制御する技術がある(例えば、下記の特許文献1を参照)。
また、磁気ヘッドの浮上量を算出する技術として、例えば、ある決まったパターンのデータを、磁気ディスク等の媒体面上に書込み、その再生信号に基づいて、磁気ヘッドの浮上量の相対変化(又は浮上量の絶対値)を算出する技術がある(例えば、下記の特許文献2乃至5を参照)。
【0003】
図9は、磁気ディスク上のデータ領域とサーボ領域とを示す図である。
磁気ディスク装置の磁気ヘッドの磁気ディスクに対する位置決めをするために、磁気ディスク上には、図9(A)中に示すように、データ領域と交互にサーボ領域が形成されている。サーボ領域は、媒体の一定回転角に対応して配置されることから、サーボ領域とデータ領域とは一定間隔で互いに入り混じる(一定の周期で出現する)ことになる。典型的な例では、1/128周〜1/256周に1つの割りで、サーボ領域が配置されている。 図9(B)は、図9(A)に示すサーボ領域の構成例を示す図である。磁気ディスク上のサーボ領域では、図9(B)に示すように、上流側から順番にプレアンブル(Preamble)域A、サーボマーク域Bおよびサーボデータ域Cが区画される。プレアンブル域Aでは、周方向に沿って均一な間隔で交互に正負の磁極が形成される。サーボマーク域にはサーボマークが配置される。サーボデータ域Cでは、半径方向に変化する所定のパターンで磁極が形成される。磁気ディスク(HDDという)ではプレアンブル域で読み出される磁気情報から同期信号が得られる。磁気ディスク装置は、磁気ヘッドがサーボマークの位置をよぎったことを契機としてサーボデータ域から磁気情報を読み出して、該読み出された磁気情報に基づき、磁気ヘッドを正確に記録トラック上に位置決めする。
【0004】
上述した特許文献2乃至5に記載された従来技術は、いずれも、上述したサーボ領域の間のデータ領域に書き込まれた、所定のパターンデータを磁気ヘッドにより読み取って再生し、該再生により得られる信号のフーリエ変換演算結果に基づいて、磁気ヘッドの浮上量を算出していた。
【特許文献1】特開平5−20635号公報
【特許文献2】特公平7−1618号公報
【特許文献3】特許第2711207号公報
【特許文献4】特開2004−14092号公報
【特許文献5】特開2005−78795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、磁気ヘッドの浮上量の変動は、空気膜剛性とスライダ質量との兼ね合いによって、75kHz〜300kHz付近の共振周波数にて振動することが多い。磁気ヘッドの浮上量が変動する場合、振動の中心周波数が、ロール方向の振動の中心周波数である70kHz〜90kHz程度であるか、それともピッチ方向の振動の中心周波数である125kHz〜150kHz程度であるかを区別したい場合がある。振動の中心周波数がいずれの方向の振動の中心周波数を示しているかによって、該振動を抑制するための方策が異なってくるからである。
【0006】
図10は、従来技術の動作例を説明する図であり、(A)は磁気ディスク上のデータ領域とサーボ領域を示し、(B)(C)は磁気ヘッドの浮上量の変動を示す。
上記従来技術では、サーボ領域の間のデータ領域に書き込まれたパターンデータの再生信号に基づいて磁気ヘッドの浮上量の変動を算出しており、この場合の一個のパターンデータの最大長は、図10(A)中に示すサーボ領域とサーボ領域との間の間隔(1セクタ長)である。
【0007】
この場合、図10(B)に示すように、磁気ヘッドの浮上量の変動周期が短い場合には、一個のパターンデータの再生信号に基づいて、磁気ヘッドの浮上量の変動を求めることが可能である。すなわち、ヘッド浮上量の変動周期が磁気ヘッドが1セクタ長を通過する時間より短い場合には、磁気ヘッドが1セクタ長を通過する時間内にヘッドの浮上量が最大値から最小値まで変動するので、一個のパターンデータの再生信号に基づいて磁気ヘッドの浮上量の変動量を求めることができる。
しかし、図10(C)に示すように、ヘッド浮上量の変動周期が、磁気ヘッドが1セクタ長を通過する時間より長い場合には、一個のパターンデータの再生信号に基づいて、磁気ヘッドの浮上量の変動量を求めることはできない。
【0008】
従来は、媒体の回転数が比較的低かった(例えば7200rpm程度)ので、一個のパターンデータの再生信号に基づいて、ある程度、周波数(周期)の長いヘッド浮上量の変動を検出することができた。
しかし、近年の磁気ディスク装置のように、媒体の回転数が大きい場合、磁気ヘッドが1セクタ長を通過する時間が短いので、一個のパターンデータの再生信号に基づいて、変動周期が長い(すなわち低い周波数の)ヘッド浮上量の変動を検出することができない。その結果、パターンデータのフーリエ変換演算後の周波数分解能が悪くなる。
例えば、15,000rpm機で、1/256周に1個のサーボマークをサーボ領域に配置した場合、サーボマークが、時間軸上で約15.6マイクロ秒に1回出現することになる。データ領域を最大限に取る設計としても、例えば、データ領域1個の最大長は、時間換算で、約12マイクロ秒程度に限られてしまう。データ領域1個の最大長が、約12マイクロ秒程度であると、フーリエ解析後の周波数分解能は約83kHzとなり、解析結果として、0kHz(=DC)の次は、83kHzの振動成分強度、その次は166kHzの振動成分強度が得られる。これでは、上述した70kHz〜90kHz程度の振動と、125kHz〜150kHz程度の振動とを区別することができない。
【0009】
一方、従来、上述した図10(A)中に示すサーボ領域に書き込まれたデータと、該サーボ領域を跨いで配置されているデータ領域に書き込まれた複数のパターンデータとを連続的に再生し、この信号をフーリエ演算して、磁気ヘッドの浮上量の算出を行うと、サーボ領域に書き込まれたデータが大きなノイズとして作用して、磁気ヘッドの浮上量のセンシング精度が著しく悪化する。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域に書き込まれたデータとサーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータとを再生して得られるデータに基づいて、磁気ヘッドの浮上量を精度良く計測する磁気ヘッドの浮上量計測方法及び磁気記憶装置並びに磁気ヘッドの浮上量計測装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、後述する図6に示すような方法で、浮上量の算出を行う。即ち、例えば図6(A)に示す1個のサーボ領域に書き込まれたデータと、該サーボ領域を挟んで配置されている複数個(図6(A)に示す例では、2個)のデータ領域に書き込まれているパターンデータとを読み取って、読み取られたそれぞれのデータを再生する。そして、サーボ領域から読み取られて再生された信号を所定の値(例えば零)で置換する。そして、該置換された信号と上記データ領域に書き込まれているパターンデータの再生信号とのフーリエ変換演算結果に基づいて、磁気ヘッドの浮上量を算出する。本発明は、上記の手法を採ることによって、サーボ領域に書き込まれたデータ部分がノイズとして悪影響を及ぼすことを防止でき、かつ、周波数分解能を向上させることができる。
【0012】
15,000rpm機で、1/256周に1個のサーボマークを配置した場合について説明すると、図6(A)に示す2個のデータ領域に書き込まれたパターンデータと1個のサーボ領域に書き込まれたデータを読み取る例では、本発明に従って得られる周波数分解能は36kHzとなる。即ち、0kHz(=DC)の次は、順に、36,72,108,144,180kHzの振動成分強度が得られるので、上述した70kHz〜90kHz程度の振動と、125kHz〜150kHz程度の振動とを区別することができる。本発明において、磁気ヘッドの浮上量測定のために読み取り対象とするデータ領域の数は、複数であれば、任意の数(N個)とすることができる。例えば、2個のサーボ領域と3個のデータ領域を読み取り対象としたり、3個のサーボ領域と4個のデータ領域を読み取り対象とすることによって、より低い周波数の振動を検出することができ、周波数分解能を更に改善することができる。その結果、より周波数的に近接した、2つの異なった振動を精度良く区別することが可能となる。
【0013】
また、本発明では、上述したように、サーボ領域から読み取って再生した信号を、例えば零で置換するが、データ領域から読み取って再生した信号と上記零で置換されたデータ(零データ)との境界において、データの不連続が発生する。本発明では、当該データの不連続が、フーリエ変換演算の際にノイズとして作用することを防止するため、データ領域から読み取られて再生されたデータと零データの境界において、遷移領域を設けて、該データ領域から読み取られて再生されたデータと零データとが連続的に遷移するようにする。具体的には、上記データ領域から読み取られて再生されたデータの一部又は全部に対して所定の窓関数を掛ける。
【0014】
すなわち、本発明は、次のようにして前記課題を解決する。
(1)データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置における磁気ヘッドの浮上量の計測方法を用いる。そして、前記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に、所定のパターンデータを書き込み、上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域のデータを読み取って、それぞれ第1及び第2のデータを再生し、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを得て、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
(2)上記一連のデータについてフーリエ変換演算を行って1次又は複数次の周波数成分を得て、該得られた1次又は複数次の周波数成分の振幅に基づいて、上記磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
(3)上記再生された第2のデータの少なくとも一部に対して、該第2のデータと上記得られた第3のデータとを連続的に遷移させるための所定の窓関数を掛けて、該所定の窓関数を掛けた第2のデータと、上記第3のデータとを上記一連のデータとする。
(4)データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置を設ける。上記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に所定のパターンデータが書き込まれている。上記磁気記憶装置は、磁気ヘッド浮上量算出手段を備え、磁気ヘッド浮上量算出手段は、上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域からそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
(5)磁気ヘッドの浮上量を計測する装置を設ける。上記磁気ヘッドの浮上量を計測する装置は、磁気ヘッドにより再生された、データを保存するための媒体の媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域に書き込まれたデータと、サーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータを受信し、上記受信した一つ以上のサーボ領域に書き込まれたデータと、上記二つ以上のパターンデータとからそれぞれ第1及び第2のデータを得て、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つの上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、媒体面上の一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域のデータを読み取って、それぞれ第1及び第2のデータを再生し、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを得て、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。また、本発明は、上記一連のデータについてフーリエ変換演算を行って1次又は複数次の周波数成分を得て、該得られた1次又は複数次の周波数成分の振幅に基づいて、上記磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
従って、本発明によれば、波長が1セクタ(1個のデータ領域)長よりも大きい連続振動(低い周波数の振動)を検出することができるとともに、周波数分解能を大幅に改善することが可能となる。また、本発明によれば、サーボ領域から読み出されたデータが他のデータに置換されるため、フーリエ変換演算処理の際にサーボ領域に書き込まれたデータが大きなノイズとして作用することを防止することができる。その結果、磁気ヘッドの浮上量を精度良く計測することが可能となる。
(2)本発明は、上記再生された第2のデータの少なくとも一部に対して、該第2のデータと上記得られた第3のデータとを連続的に遷移させるための所定の窓関数を掛けて、該所定の窓関数を掛けた第2のデータと、上記第3のデータとを上記一連のデータとする。 従って、本発明によれば、フーリエ変換演算の際における、演算対象となるデータの不連続性に起因するノイズの発生を防止することができる。
(3)本発明によって測定された磁気ヘッドの浮上量に基づいて、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の隙間を所定の値に調節するようにすることによって、精度良く磁気ヘッドの浮上量を制御することができる。例えば、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の共振振動をキャンセルすること等が可能となる。
以上、(1)〜(3)の効果によって。磁気ヘッドの浮上量を更に小さくすることが可能になり、その結果、記憶装置の記録密度を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の磁気記憶装置の構成の一例を示す図である。磁気記憶装置100は、データを保存するための媒体である磁気ディスク170と、磁気ディスク170に上記データを信号として書込むための磁気ヘッド160を有し、上記信号を磁気ディスク170に磁気的手段により記録および再生する処理装置である。磁気記憶装置100は、インターフェース部110と、制御部120と、モータドライバ部130と、スピンドルモータ140と、ボイスコイルモータ150と、磁気ヘッド160と、磁気ディスク170と、FFT(Fast Fourier Transform)処理部180とを有する。
【0017】
インターフェース部110は、ホストコンピュータ(図示を省略)に接続され、このホストコンピュータと所定の通信プロトコルを利用して、データ通信を実行する処理部である。モータドライバ部130は、制御部120から出力される命令に基づいて、スピンドルモータ140およびボイスコイルモータ150を制御する処理部である。スピンドルモータ140は、モータドライバ部130から出力される命令に基づいて、磁気ディスク170を所定の回転速度で回転させるモータである。ボイスコイルモータ150は、モータドライバ部130から出力される命令に基づいて、アームの先に取り付けられた磁気ヘッド160を移動させるモータである。
【0018】
磁気ディスク170は、ガラスまたは金属製の薄い円盤(ディスク)に磁性体を塗った記録媒体である。この磁気ディスク170に情報の記録を行う場合には、磁気ディスク170の情報を記録する記録領域に、磁気ヘッド160からの磁界を照射して、磁気ディスク170の磁性体の磁化状態を変化させることによって、情報を記録する。また、磁気ディスク170から情報を読み出す場合には、読み出し対象となる磁気ディスク170上の記録領域に磁気ヘッド160を移動させ、磁気ディスク170の磁性体の磁化状態を読み取り、情報を再生する。
【0019】
FFT処理部180は、磁気ヘッド160によって磁気ディスク170から読み出された信号を取得して、フーリエ変換演算を実行する。具体的には、FFT処理部180は、磁気ヘッド160により、一つ以上のサーボ領域と所定のパターンデータが書き込まれた二つ以上のデータ領域とからそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに対してフーリエ変換演算を実行し、該フーリエ変換演算結果を制御部120に対して出力する。FFT処理部180は、図5を参照して後述するゲート回路181を備えており、該ゲート回路181を用いて、上記第1のデータを他のデータに変換して第3のデータを得る。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、FFT処理部180が、上記フーリエ変換演算の結果、1次又は複数次の周波数成分を得て、該1次又は複数次の周波数成分の振幅レベル(例えば、一次の周波数成分の振幅レベルと第3次高調波成分の振幅レベル)を出力するようにしてもよい。
また、本発明の一実施形態によれば、FFT処理部180が、上記再生された第2のデータの少なくとも一部に対して、該第2のデータと上記得られた第3のデータとを連続的に遷移させるための所定の窓関数を掛けて、該所定の窓関数を掛けた第2のデータと、上記第3のデータとを上記一連のデータとして、該一連のデータに対してフーリエ変換演算を実行するようにしてもよい。
【0021】
制御部120は、磁気ディスク170に対するデータの書き込み・読み込みを制御すると共に、FFT処理部180によるフーリエ変換演算結果に基づいて、磁気ヘッド160の浮上量を算出する。また、制御部120は、算出された磁気ヘッド160の浮上量に基づいて、磁気ヘッド160と磁気ディスク170との間の隙間を所定の値に調節する。
制御部120は、リードライト処理部120a、浮上量算出部120b、通電制御部120c、ドライバ制御部120eを備える。リードライト処理部120aは、ホストコンピュータからの書き込み要求または読み込み要求に基づいて、磁気ディスク170に対するデータの書き込みまたは読み込みを実行する。また、リードライト処理部120aは、ホストコンピュータからの命令によって所定のパターンデータを磁気ディスク170のデータ領域に予め書き込む。
【0022】
浮上量算出部120bは、FFT処理部180が出力したフーリエ変換演算結果に基づいて、磁気ヘッド170の浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。すなわち、FFT処理部180及び浮上量算出部120bは、磁気ヘッド160により、上記一つ以上のサーボ領域と所定のパターンデータが書き込まれた二つ以上のデータ領域からそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッド160の浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する磁気ヘッド浮上量算出手段である。
本発明の一実施形態によれば、浮上量算出部120bが、FFT処理部180によって出力された1次又は複数次の周波数成分の振幅レベルに基づいて、上記磁気ヘッド170の浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
【0023】
ドライバ制御部120eは、モータドライバ部130に命令を出力し、スピンドルモータ140を駆動させることによって、磁気ディスク170の回転数を制御する。また、ドライバ制御部120eは、モータドライバ部130に命令を出力し、ボイスコイルモータ150を駆動させて、磁気ヘッド160を移動させる。通電制御部120cは、浮上量算出部120bにより算出された磁気ヘッド160の浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値に基づいて、磁気ヘッド160と磁気ディスク170との間の隙間を所定の値に調節するために必要な大きさの電流を磁気ヘッド160に通電する。すなわち、通電制御部120cは、磁気ヘッド160の磁極先端部を通電して発熱させることにより、この磁極先端部を膨張させ、磁気ヘッド160と磁気ディスク170との隙間を所定の値に調節する。
【0024】
図1中のリードライト処理部120aとFFT処理部180と浮上量算出部120bとが、磁気ヘッドの浮上量計測装置200を構成する。磁気ヘッドの浮上量計測装置200は、磁気ヘッド160により再生された、磁気ディスク170のサーボ領域に書き込まれたデータと、サーボ領域を除く所定のデータ領域に書き込まれた所定のパターンデータを受信し、上記受信した一つ以上のサーボ領域に書き込まれたデータと、上記二つ以上のパターンデータとからそれぞれ第1及び第2のデータを得る。また、磁気ヘッドの浮上量計測装置200は、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
【0025】
図2は、図1を参照して前述した磁気ヘッドの一例を示す図である。図2に示すように、この磁気ヘッド160は、基板1上に、下部磁極2と、絶縁体層3を介して形成された薄膜コイル4と、上部磁極5と、保護層6とが順次形成され、特に絶縁体層3の内部に薄膜抵抗体10が形成されているので、この薄膜抵抗体10に通電して発熱させると、両磁極2、5および絶縁体層3と、基板1および保護層6との間の熱膨張率の差異により磁極先端部7が図2の点線で示すように突出する。すなわち、通電制御部120cが、薄膜抵抗体10に流れる電流を制御することによって、磁極先端部7の突出量を制御することができる。
【0026】
次に、浮上量算出部120bによる磁気ヘッド160の浮上量の算出処理の例について説明する。磁気ヘッド160の浮上量は、以下に示すWallace の関係式によって算出することができる。
【0027】
【数1】

【0028】
ここで、式(1)に示す各符号(a、d)について説明する。図3および図4は、Wallace の関係式を説明するための説明図である。
【0029】
図3に示すように、式(1)に示す符号dは、H.O.C.(Head Over Coat)と、PTR (Pole Tip Recession)と、FH(Flying Height )と、D.O.C (Disk Over Coat)と、M.L.(Magnetic Layer)を半分にした値とを加算した値となる。また、図4に示すように、式(1)に示す符号aは、磁気ディスク170上の信号強度が変化する遷移領域幅、すなわち、transition parameterである。添え字ref(reference )にかかる各符号には、参照となる値(例えば、磁気ヘッド160と磁気ディスク170との間の隙間が所定の大きさとなった時点での値)が代入される。浮上量算出部120bは、この参照となるデータを予め取得しておき、浮上量を算出する場合に利用する。また、式(1)に示す符号Vref は、参照となる振幅レベルの値が代入され、VX には、FFT処理部180によって出力された、一次の周波数成分の振幅レベルの値が代入される。
本発明の一実施形態によれば、浮上量算出部120bが、FFT処理部180から例えば1次の周波数成分の振幅レベル情報と3次高調波成分との振幅レベル情報とを取得し、該取得した振幅レベル情報に基づいて、以下に示す式(2)を用いて、磁気ヘッド160の浮上量を算出する。
【0030】
【数2】

【0031】
上記式(2)において、符号dおよびaは、前述した式(1)において示した符号dおよびaと同様であるため説明を省略する。式(2)に示すV1 は、1次成分の振幅レベルであり、V3 は、3次高調波成分の振幅レベルである。
【0032】
次に、本発明の実施例について説明する。図5及び図6は、本発明の実施例1に係る磁気記憶装置の動作例を説明する図である。図5中に示すように、磁気記憶装置100は、磁気ヘッド160を用いて、所定のパターンデータ(例えば、111111または111100など)を、所定の周波数によって磁気ディスク170のデータ領域に書き込む。例えば、データ領域に書き込む1次の周波数成分f1 の周波数を100MHz程度とする。この場合、その第3次高調波成分f3 の周波数は300MHz程度となる。なお、161はヘッドスライダ、162はサスペンションである。
【0033】
磁気記憶装置100は、図6(A)中に示すサーボ領域と上記所定のパターンデータの書き込まれたデータ領域(図6(A)中では1個のサーボ領域と2個のデータセクタ)とからデータを読み出して再生する。図5中の300は、当該再生されたデータ(再生データ)を示す。そして、FFT処理部180が備えるゲート回路181が、所定の時間帯(図5中ではx)における再生データ300を他のデータに置き換えて、新たな再生データ301とする。上記所定の時間帯における再生データ300は、サーボ領域から読み出されたデータである。すなわち、磁気記憶装置100は、例えば図6(B)中に示すように、サーボ領域から読み出されたデータを、時間的に正確に「零詰め」することで、再生データ300を図5中に示す新たな再生データ301に変換する。そして、FFT処理部180は、上記新たな再生データ301について高速フーリエ変換演算を行って、図5中に示すような、一次の周波数成分f1 の振幅レベルと第3次高調波成分f3 の振幅レベルを出力する。
磁気記憶装置100は、例えば、出力された一次の周波数成分f1 の振幅レベルと第3次高調波成分f3 の振幅レベルとに基づいて、前述した式(2)を用いて、磁気ヘッド160の浮上量を算出する。
【0034】
磁気記憶装置100がデータを読み出すセクタの数は、任意の数(例えば、N個)とするようにしてもよい。すなわち、本発明の磁気記憶装置100は、N個のセクタを跨いで磁気ディスク170からデータ(データ領域に書き込まれたN個のパターンデータとN−1個のサーボ領域に書き込まれたデータ)を読み取って再生し、サーボ領域から読み出されたデータを他のデータに置換した上で、N個のパターンデータと上記N−1個のサーボ領域から読み出されたデータの置換後のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッド160の浮上量を算出する。従って、本発明の磁気記憶装置100によれば、前述した図10(C)に示すような、変動周期が、磁気ヘッドが1セクタ長を通過する時間より長い磁気ヘッドの変動であっても、該磁気ヘッドの変動量を求めることができる。また、本発明の磁気記憶装置100によれば、周波数分解能が大幅に改善する(周波数分解能が約1/Nとなる)。例えば、2個のデータ領域に書き込まれたパターンデータと1個のサーボ領域に書き込まれたデータとを読み取る例では、本発明に従って得られる周波数分解能は36kHzとなり、0kHz(=DC)の次は、順に、36,72,108,144,180kHzの振動成分強度が得られるので、上述した70kHz〜90kHz程度の振動と125kHz〜150kHz程度の振動とを精度良く区別することができる。
【0035】
また、本発明の磁気記憶装置100は、サーボ領域から読み出されたデータを他のデータに置換するため、従来のように、フーリエ変換演算処理の際にサーボ領域に書き込まれたデータが大きなノイズとして作用することを防止することができる。従って、本発明の磁気記憶装置100によれば、磁気ヘッド160の浮上量を精度良く算出することができる。
【0036】
図7は、本発明の実施例2に係る磁気記憶装置の動作例を説明する図である。本発明の実施例2では、磁気記憶装置100が、データ領域から読み取られて再生されたデータの一部(例えば、両端又は全部)に対して所定の窓関数を掛けて、該データ領域から読み取られて再生されたデータと、サーボ領域から読み取られて再生されたデータが置換されたデータ(例えば、零データ)とが連続的に遷移するようにする。すなわち、データ領域から読み取られて再生されたデータとサーボ領域から読み取られて再生されたデータが置換されたデータとの境界において、図7中に示すような遷移領域400を設ける。磁気記憶装置100は、上記所定の窓関数を掛けたデータとサーボ領域から読み取られて再生されたデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づいて、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する。
図7中の斜線部分は、データ領域から読み取られて再生されたデータに、窓関数として後述するガウス窓関数を、当該データの両端に掛けた結果を示している。
上記所定の窓関数h(n)は、例えば、0以上1以下の範囲内に値域を持つ連続関数である。
また、窓関数h(n)は、例えば以下の式(3)に示す三角窓関数であってもよい。
【0037】
【数3】

【0038】
また、窓関数h(n)は、例えば以下の式(4)に示すハニング窓関数であってもよい。
【0039】
【数4】

【0040】
また、窓関数h(n)は、例えば以下の式(5)に示すハミング窓関数であってもよい。
【0041】
【数5】

【0042】
また、窓関数h(n)は、例えば以下の式(6)に示すウェルチ窓関数であってもよい。
【0043】
【数6】

【0044】
また、窓関数h(n)は、例えば以下の式(7)に示すガウス窓関数であってもよい。
【0045】
【数7】

【0046】
本発明の磁気記憶装置100によれば、データ領域から読み取られて再生されたデータと、サーボ領域から読み取られて再生されたデータが置換されたデータとが連続的に遷移するため、磁気記憶装置100のFFT処理部180によるフーリエ変換演算の際における、演算対象となるデータの不連続性に起因するノイズの発生を防止することができる。
【0047】
図8は、データ領域から読み取られて再生されたデータの両端又は全部に対して各々の窓関数を掛けた結果を示す図である。図8中に列挙した窓関数の選び方と窓関数を掛ける方式(データの両端に掛ける方式又は全部に対して掛ける方式)によって、全部で10個の遷移領域の設け方の組合せがあるが、どの組合せを用いても、データ領域から読み取られて再生されたデータと、サーボ領域から読み取られて再生されたデータが置換されたデータとを連続的に遷移させることができる。
【0048】
以上から把握できるように、本発明の実施形態の特徴を述べると以下の通りである。
(付記1)データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置における磁気ヘッドの浮上量の計測方法であって、
前記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に、所定のパターンデータを書き込み、
上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域のデータを読み取って、それぞれ第1及び第2のデータを再生し、
上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを得て、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0049】
(付記2)上記一連のデータについてフーリエ変換演算を行って1次又は複数次の周波数成分を得て、該得られた1次又は複数次の周波数成分の振幅に基づいて、上記磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0050】
(付記3)上記再生された第2のデータの少なくとも一部に対して、該第2のデータと上記得られた第3のデータとを連続的に遷移させるための所定の窓関数を掛けて、該所定の窓関数を掛けた第2のデータと、上記第3のデータとを上記一連のデータとする
ことを特徴とする付記1又は付記2に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0051】
(付記4)上記所定の窓関数が、0以上1以下の範囲内に値域を持つ連続関数である
ことを特徴とする付記3に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0052】
(付記5)上記所定の窓関数が、以下の式(3)に示す三角窓関数h(n)である
【数8】

ことを特徴とする付記4に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0053】
(付記6)上記所定の窓関数が、以下の式(4)に示すハニング窓関数h(n)である
【数9】

ことを特徴とする付記4に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0054】
(付記7)上記所定の窓関数が、以下の式(5)に示すハミング窓関数h(n)である
【数10】

ことを特徴とする付記4に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0055】
(付記8)上記所定の窓関数が、以下の式(6)に示すウェルチ窓関数h(n)である
【数11】

ことを特徴とする付記4に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0056】
(付記9)上記所定の窓関数が、以下の式(7)に示すガウス窓関数h(n)である
【数12】

ことを特徴とする付記4に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【0057】
(付記10)データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置であって、
上記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に所定のパターンデータが書き込まれており、
上記磁気記憶装置は、磁気ヘッド浮上量算出手段を備え、
磁気ヘッド浮上量算出手段は、上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域からそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、
上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【0058】
(付記11)磁気ヘッドの浮上量を計測する装置であって、
磁気ヘッドにより再生された、データを保存するための媒体の媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域に書き込まれたデータと、サーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータを受信し、上記受信した一つ以上のサーボ領域に書き込まれたデータと、上記二つ以上のパターンデータとからそれぞれ第1及び第2のデータを得て、
上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気ヘッドの浮上量計測装置。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上、説明したように、本発明によれば、波長が1セクタ(1つのデータ領域)長よりも大きい連続振動(低い周波数の振動)を検出することができるとともに、周波数分解能を大幅に改善することが可能となる。また、本発明によれば、サーボ領域から読み出されたデータが他のデータに置換されるため、フーリエ変換演算処理の際にサーボ領域に書き込まれたデータが大きなノイズとして作用することを防止することができる。その結果、磁気ヘッドの浮上量を精度良く計測することが可能となる。
また、本発明によれば、フーリエ変換演算の際における、演算対象となるデータの不連続性に起因するノイズの発生を防止することができる。
これらの効果によって、磁気ヘッドの浮上量を更に小さくすることが可能になり、その結果、磁気記録装置の記録密度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の磁気記憶装置の構成の一例を示す図である。
【図2】磁気ヘッドの一例を示す図である。
【図3】Wallace の関係式を説明するための説明図(1)である。
【図4】Wallace の関係式を説明するための説明図(2)である。
【図5】本発明の実施例1に係る磁気記憶装置の動作例を説明する図(1)である。
【図6】本発明の実施例1に係る磁気記憶装置の動作例を説明する図(2)である。
【図7】本発明の実施例2に係る磁気記憶装置の動作例を説明する図である。
【図8】データ領域から読み取られて再生されたデータの両端又は全部に対して各々の窓関数を掛けた結果を示す図である。
【図9】磁気ディスク上のデータ領域とサーボ領域とを示す図である。
【図10】従来技術の動作例を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
1 基板
2 下部磁極
3 絶縁体層
4 薄膜コイル
5 上部磁極
6 保護層
7 磁極先端部
10 薄膜抵抗体
100 磁気記憶装置
110 インターフェース部
120 制御部
120a リードライト処理部
120b 浮上量算出部
120c 通電制御部
120e ドライバ制御部
130 モータドライバ部
140 スピンドルモータ
150 ボイスコイルモータ
160 磁気ヘッド
161 ヘッドスライダ
162 サスペンション
170 磁気ディスク
180 FFT処理部
181 ゲート回路
200 磁気ヘッドの浮上量計測装置
300、301 再生データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置における磁気ヘッドの浮上量の計測方法であって、
前記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に、所定のパターンデータを書き込み、
上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域のデータを読み取って、それぞれ第1及び第2のデータを再生し、
上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを得て、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【請求項2】
上記一連のデータについてフーリエ変換演算を行って1次又は複数次の周波数成分を得て、該得られた1次又は複数次の周波数成分の振幅に基づいて、上記磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【請求項3】
上記再生された第2のデータの少なくとも一部に対して、該第2のデータと上記得られた第3のデータとを連続的に遷移させるための所定の窓関数を掛けて、該所定の窓関数を掛けた第2のデータと、上記第3のデータとを上記一連のデータとする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気ヘッドの浮上量計測方法。
【請求項4】
データを保存するための媒体と、前記媒体に前記データを信号として書込むためのヘッドを有し、前記信号を前記媒体に磁気的手段により記録および再生する磁気記憶装置であって、
上記媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域を除く所定の領域に所定のパターンデータが書き込まれており、
上記磁気記憶装置は、磁気ヘッド浮上量算出手段を備え、
磁気ヘッド浮上量算出手段は、上記磁気ヘッドにより、上記一つ以上のサーボ領域と二つ以上のパターンデータの書き込まれた領域からそれぞれ再生された第1及び第2のデータを得て、上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項5】
磁気ヘッドの浮上量を計測する装置であって、
磁気ヘッドにより再生された、データを保存するための媒体の媒体面上にサーボ領域とデータ領域が交互に繰り返し配置され、サーボ領域に書き込まれたデータと、サーボ領域を除く所定の領域に書き込まれた所定のパターンデータを受信し、上記受信した一つ以上のサーボ領域に書き込まれたデータと、上記二つ以上のパターンデータとからそれぞれ第1及び第2のデータを得て、
上記第1のデータを他のデータに置換して第3のデータを求め、
少なくとも、二つ以上の上記第2のデータと、上記置換された一つ以上の上記第3のデータとを一連のデータとして、この一連のデータに基づき、磁気ヘッドの浮上量の相対変化、または浮上量の絶対値を算出する
ことを特徴とする磁気ヘッドの浮上量計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate