説明

磁気ヘッド装置

【課題】 記録媒体の損傷を効果的に抑制することが可能な磁気ヘッド装置を提供する。
【解決手段】 磁気ヘッドスライダ1にはステップ面11と正圧発生面12と負圧発生面13が形成され、ステップ面11および正圧発生面12は負圧発生面13よりも記録媒体D方向に突出し、且つ正圧発生面12はステップ面11よりも記録媒体D方向に突出している。磁気ヘッドスライダ1の隅部には、負圧発生面13よりも記録媒体Dと反対方向に位置する第1の下側ステップ面30aが形成され、第1の下側ステップ面30aから記録媒体D方向へ延びる第1の第1の凸状突起部29aが形成されており、第1の第1の凸状突起部29aの上面29a1は、正圧発生面12よりも記録媒体D方向へ突出して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクなどの記録媒体への記録用及び/または再生用の磁気素子を備えた磁気ヘッドスライダを有する磁気ヘッド装置に関し、特に磁気ヘッドスライダに対して外部から衝撃が与えられた場合でも、磁気ヘッドスライダの角部やエッジ部が記録媒体に衝突することを抑制し、記録媒体の損傷を効果的に抑制することが可能な磁気ヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、磁気ヘッド装置に装着される従来の磁気ヘッドスライダ100を示す斜視図である。図9に示す磁気ヘッドスライダ100の記録媒体対向面には、ステップ面A、正圧発生面B、及び負圧発生面Cが形成される。図9に示す磁気ヘッドスライダ100では、前記ステップ面Aと前記負圧発生面Cとが同じ高さで形成され、正圧発生面Bは前記ステップ面Aおよび前記負圧発生面Cよりも高い高さで形成されており、前記磁気ヘッドスライダ100の最も高い面を構成している。前記ステップ面Aは、磁気ヘッドスライダ100のリーディング側端面Sl側に広く大きな面積で形成され、前記正圧発生面Bが、前記ステップ面Aよりもトレーリング側端面St側に形成される。
【0003】
前記負圧発生面Cは前記正圧発生面B及びステップ面Aよりもトレーリング側端面St側に形成されている。
【0004】
図9に示すように、前記磁気ヘッドスライダ100のトレーリング側端面St側には磁気ディスクに対して磁気記録を行ない、及び/または磁気ディスクに記録された磁気信号を再生するための磁気素子114cが設けられている。この磁気素子114cは記録媒体対向面上に露出するように設けられており、前記正圧発生面Bと同じ高さに形成された磁気素子形成面Eに形成されている。
【0005】
図9に示すように、前記磁気ヘッドスライダ100の前記ステップ面Aには、上方側(図示Z1方向側)に向かって延びる凸状突起部129aが形成されている。また、前記磁気ヘッドスライダ100の前記負圧発生面Cには、上方側に向かって延びる凸状突起部129bが形成されている。図9に示す形態では、前記凸状突起部129aは、前記リーディング側端面Sl側の角部領域に位置するように2個形成されている。また、前記凸状突起部129bは、前記トレーリング側端面St側の各角部領域に位置するように2個形成されている。前記したように、前記ステップ面Aと前記負圧発生面Cとの高さ位置は同じに形成されているため、4つの前記凸状突起部129a、129bは、前記負圧発生面Cから、あるいは前記負圧発生面Cと同じ高さ位置から上方に延びて形成されていることになる。
【0006】
また、前記凸状突起部129a、129bの上面129a1、129b1は、前記磁気ヘッドスライダ100の最も高い位置に形成された前記正圧発生面Bと同じ高さ位置、若しくは前記正圧発生面Bよりも下方側(図示Z2方向側)に形成されている。
【0007】
ここで、前記凸状突起部129aは、図10および図11に基づいて説明するように、前記磁気ヘッドスライダ100が前記記録媒体と衝突した場合に、前記ステップ面Aに形成された前記磁気ヘッドスライダ100の角部100aが、前記記録媒体に衝突し難くするための機能を有するものである。
【0008】
ここで、図10は、前記磁気ヘッドスライダ100が装着された前記磁気ヘッド装置に対して衝撃が与えられて、前記磁気ヘッドスライダ100が前記リーディング側端面Sl側に傾いて、記録媒体である磁気ディスクDに衝突した状態を示した側面図である。
【0009】
図10に示す状態では、前記磁気ヘッドスライダ100の下面100cと前記磁気ディスクDの前記表面D1との間で規定される傾斜角度θ3を有して、前記磁気ヘッドスライダ100が、前記磁気ディスクDの前記表面D1に対して傾斜している。このとき、磁気ディスクDに前記凸状突起部129aが接触しているが、前記ステップ面Aに形成された前記磁気ヘッドスライダ100のリーディング側エッジ部100bは前記磁気ディスクDの表面D1に接触していない。また、前記正圧発生面Bに形成されたリーディング側エッジ部112cも、前記磁気ディスクDの前記表面D1に接触していない。
【0010】
このように、前記磁気ヘッドスライダ100が前記リーディング側端面Sl側に傾いた場合に、前記角部100aや前記リーディング側エッジ部100bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突する前に、前記凸状突起部129aが前記磁気ディスクDの前記表面D1に接触することによって、前記角部100aや前記リーディング側エッジ部100bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを抑制しているのである。
【0011】
図9に示す磁気ヘッドスライダ100のように、前記負圧発生面Cと同じ高さ位置に形成された面から凸状突起部129aが形成されており、この凸状突起部129aの上面129a1が、正圧発生面Bと同じ高さ位置若しくは前記正圧発生面Bよりも下方側に形成された構造の磁気ヘッドスライダ100は、以下に示す特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−167418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記したように、前記凸状突起部129aは、前記磁気ヘッドスライダ100が前記記録媒体と衝突した場合に、前記磁気ヘッドスライダ100の前記角部100aや前記リーディング側エッジ部100bが前記記録媒体に衝突し難くするための機能を有するものである。
【0013】
ここで、前記磁気ヘッドスライダ100が図10に示す状態よりもさらに大きく傾いて前記傾斜角度θ3が図11に示すように傾斜角度θ4となった場合には、図11に示すように、前記角部100aや前記リーディング側エッジ部100bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突してしまう。
【0014】
しかし、図9に示す磁気ヘッドスライダ100では、前記凸状突起部129aが形成された前記ステップ面Aが前記負圧発生面Cと同じ高さ位置に形成されていることから、前記角部100aの高さ位置を、記録媒体側(図示Z1方向側)と反対方向(図示Z2方向側)へ遠ざけることができないため、前記角部100aが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することはできず、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができない。
【0015】
また、前記凸状突起部129aの前記上面129a1が、前記正圧発生面Bの高さ位置と同じ、若しくは下方側に形成されていることから、前記傾斜角度θ4を大きくするのには限界がある。したがって、前記磁気ヘッドスライダ100がわずかに傾斜しただけでも前記リーディング側エッジ部100bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突してしまうこととなるため、前記リーディング側エッジ部100bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することができず、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができない。
【0016】
また、前記凸状突起部129aの前記上面129a1が、前記正圧発生面Bの高さと同じ、若しくは下方側に形成されていることから、前記傾斜角度θ3が小さくなる方向に前記磁気ヘッドスライダ100が傾いた場合には、前記正圧発生面Bに形成されたリーディング側エッジ部112cが、前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突し易くもなる。
【0017】
本発明は前記従来の課題を解決するためのものであり、磁気ヘッドスライダに対して外部から衝撃が与えられた場合でも、磁気ヘッドスライダの角部やエッジ部が記録媒体に衝突することを抑制し、記録媒体の損傷を効果的に抑制することが可能な磁気ヘッド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、トレーリング側端面に記録用および/または再生用の磁気素子が設けられた磁気ヘッドスライダと、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体対向面の逆面側から弾性支持する支持部材とが設けられ、前記磁気ヘッドスライダは前記支持部材に設けられた揺動支点を中心として、ピッチ方向に揺動可能に弾性支持された磁気ヘッド装置において、
前記磁気ヘッドスライダのリーディング側端面から前記トレーリング側端面方向に向けて、ステップ面、正圧発生面、および負圧発生面がこの順番に形成され、前記ステップ面および前記正圧発生面は、前記負圧発生面よりも記録媒体方向に突出し、且つ前記正圧発生面は前記ステップ面よりも記録媒体方向に突出しており、
前記磁気ヘッドスライダのリーディング側端面側の隅部には、前記負圧発生面よりも記録媒体と反対方向に位置する第1の下側ステップ面が形成され、この下側ステップ面から記録媒体方向へ延びる第1の凸状突起部が形成されており、
前記第1の凸状突起部の上面は、前記正圧発生面よりも記録媒体方向へ突出して形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
この場合、前記第1の下側ステップ面の一方の側縁と他方の側縁との交差部には角部が形成され、前記角部が前記負圧形成面よりも記録媒体方向に位置しているものとして構成することができる。
【0020】
また、前記スライダの前記トレーリング側端面側の隅部に、前記負圧発生面よりも記録媒体と反対方向に位置する第2の下側ステップ面が形成され、前記第2の下側ステップ面から記録媒体方向へ延びる第2の凸状突起部が形成されているものとして構成することができる。
【0021】
また、前記第1の凸状突起部は、記録媒体方向に形成された上層部と、前記上層部の記録媒体と反対方向に形成された下層部とを有しているものとして構成することや、前記第2の凸状突起部は、記録媒体方向に形成された上層部と、前記上層部の記録媒体と反対方向に形成された下層部とを有しているものとして構成することができる。
【0022】
この場合、前記上層部がDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)で形成されているものとして構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の磁気ヘッド装置では、磁気ヘッドスライダのリーディング側端面側に第1の凸状突起部が形成され、この第1の凸状突起部が形成された第1の下側ステップ面が、負圧発生面よりも記録媒体と反対方向の位置に形成されていることから、前記第1の下側ステップの高さ位置を、負圧形成面よりも更に記録媒体側と反対方向へ遠ざけることができる。したがって、前記第1の下側ステップ面の一部が記録媒体の表面に衝突することを効果的に抑制することができ、記録媒体の損傷を効果的に抑制することができる。
【0024】
また、凸状突起部の上面が、正圧発生面よりも記録媒体方向に形成されているため、磁気ヘッドスライダが大きく傾斜したとしても、ステップ面に形成された磁気ヘッドスライダのリーディング側エッジ部が記録媒体の表面に衝突し難くできる。
【0025】
また、第1の凸状突起部の上面が正圧発生面よりも記録媒体方向に形成されているため、正圧発生面に形成されたリーディング側エッジ部が、記録媒体の表面に衝突し難くできる。
【0026】
したがって、磁気ヘッドスライダのリーディング側エッジ部および正圧発生面に形成されたリーディング側エッジ部が記録媒体の表面に衝突することを効果的に抑制することができ、記録媒体の損傷を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の形態の磁気ヘッドスライダ1の斜視図である。図1の磁気ヘッドスライダ1は、記録媒体対向面2を上向きにして示した斜視図である。
【0028】
図2は図1に示す磁気ヘッドスライダ1を記録媒体対向面2側から見た平面図である。
図1及び図2に示す磁気ヘッドスライダ1は、図3に示す磁気ヘッド装置Hに搭載されて前記磁気ヘッド装置Hの一部を構成する。前記磁気ヘッドスライダ1は、例えば図3に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1を記録媒体対向面2の逆面側から弾性支持する支持部材3に取り付けられる。前記支持部材3は板ばねのロードビーム4と、その先部に設けられた薄い板ばねのフレキシャ(弾性支持部材)5とを有して構成される。
【0029】
前記磁気ヘッド装置Hは、磁気ディスク装置内に搭載され、前記磁気ディスク装置内に設けられた記録媒体である磁気ディスクDに磁気信号を記録したり、あるいは前記磁気ディスクDに記録された磁気信号を再生する機能を有している。
【0030】
図4は、前記磁気ディスク装置内に設けられた磁気ディスクDの表面D1に前記磁気ヘッド装置Hを構成する磁気ヘッドスライダ1が接触した状態で停止している状態を示した側面図である。後述するように図4に示す停止状態から磁気ディスクDが回転することによって前記磁気ヘッドスライダ1が磁気ディスクD上に浮上し、上記した記録・再生が行われる。
【0031】
したがって、図1および図2に示す磁気ヘッドスライダ1の図示Z1方向側に前記磁気ディスクDが位置することとなる。
【0032】
図4に示すように、前記フレキシャ5の下面には磁気ヘッドスライダ1が記録媒体対向面2の逆面側から接着固定されている。図5に示すように前記フレキシャ5には、例えば図示上方向に突き出した球面状のピボットPが形成されており、このピボットPの先端が支持部材3に当接している。
【0033】
図4の状態では前記磁気ヘッドスライダ1は、支持部材3により磁気ディスクDの記録面に対して弱い弾性力で付勢されている。磁気ディスクDが回転し始めると空気流を受けることで前記ピボットPを揺動支点として、前記磁気ヘッドスライダ1のリーディング側端面Slが上方に持ち上がる。前記磁気ヘッドスライダ1は磁気ディスクD上に浮上すると、磁気ディスク面のうねりに追従するように前記ピボットPを揺動支点としてピッチ方向に揺動する。
【0034】
図1および2に示すように、磁気ヘッドスライダ1の図示左側(図示Y1方向側)の端面は「リーディング側端面Sl」と呼ばれ、図示右側(図示Y2方向側)の端面は「トレーリング側端面St」と呼ばれている。前記リーディング側端面Slの上辺には、幅方向(図示X1−X2方向)に延びるリーディング側エッジ部20aが形成されている。また、前記トレーリング側端面Stの上辺には、幅方向に延びるトレーリング側エッジ部20bが形成されている。
【0035】
前記磁気ヘッドスライダ1は、例えばアルミナチタンカーバイトなどで形成されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1の記録媒体対向面2には、リーディング側端面Slからトレーリング側端面St方向に向けて、ステップ面11、正圧発生面12、及び負圧発生面13がこの順番で形成されている。
【0037】
図1に示すようにリーディング側端面Sl側に形成されているステップ面11は、その高さが正圧発生面12に対し磁気ディスクDと反対方向に位置し、且つ負圧発生面13よりも磁気ディスクD方向に位置して形成される。すなわち、前記ステップ面11および前記正圧発生面12は、前記負圧発生面13よりも記録媒体である磁気ディスクD方向に突出し、且つ前記正圧発生面12は前記ステップ面11よりも磁気ディスク方向に突出している。図1に示すように、前記ステップ面11は、リーディング側端面Slの幅方向(図示X方向)全体に広がるとともに、幅方向(図示X方向)の中央部分での長さ寸法L1(図示Y方向への長さ)が、その両側部分の長さ寸法よりも短くなるようにトレーリング側端面St方向に向けて所定形状に画定されている。前記ステップ面11のリーディング側端面が前記磁気ヘッドスライダ1のリーディング側端面Slとなるため、前記リーディング側エッジ部20aは前記ステップ面11に形成されていることとなる。
【0038】
前記ステップ面11のトレーリング側縁部11aから段差を介して一段高くなり、前記磁気ディスクD方向へ突出した正圧発生面12が形成されている。
【0039】
前記正圧発生面12には幅方向(図示X方向)の両側からトレーリング側端面St方向に延びる2本の腕部12a,12aが形成されている。また前記正圧発生面12の上辺には、幅方向(図示X1−X2方向)に延びるリーディング側エッジ部12cが形成されている。
【0040】
前記正圧発生面12のトレーリング側縁部12bからトレーリング側端面St方向に向けて前記ステップ面11よりも磁気ディスクDと反対方向に位置し、前記ステップ面11の高さよりもさらに低い高さ寸法を有する負圧発生面13が形成されている。
【0041】
例えば前記ステップ面11の高さ寸法は、負圧発生面13上から0.2から2.95μmの高さ寸法、正圧発生面12の高さ寸法は、負圧発生面13上から0.5から3.0μmの高さ寸法で形成される。
【0042】
図1および図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1の後端領域7のトレーリング側端面St寄りには、磁気素子形成面14が前記負圧発生面13上から磁気ディスクD方向へ突出形成されており、前記磁気素子形成面14に磁気素子14cの記録媒体対向面が配置されている。
【0043】
前記磁気素子形成面14は、前記ステップ面11と同じ高さのトレーリング側ステップ面14aと、前記トレーリング側ステップ面14aから、前記正圧発生面12と同じ高さのトレーリング側正圧面14bが磁気ディスクD方向へ突出形成される。図1に示すように、前記磁気素子14cは前記磁気素子形成面14に形成された前記トレーリング側正圧面14bに形成されており、このトレーリング側正圧面14bに前記磁気素子14cの記録媒体対向面が配置するように形成されている。
【0044】
前記磁気素子14cは、例えば磁気抵抗効果を利用したスピンバルブ型薄膜素子に代表される再生用のMR素子と、記録用のインダクティブ素子との複合素子であるか、あるいはMR素子またはインダクティブ素子の一方のみで構成されたものである。
【0045】
図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1の記録媒体対向面2の後端領域7にはその幅方向の両側に前記負圧発生面13上から磁気ディスクD方向へ突出するサイド面15,16が形成される。前記サイド面15,16は、前記ステップ面11と同じ高さのサイドステップ面15a,16aと、前記正圧発生面12と同じ高さのサイド正圧面15b,16bとで構成される。
【0046】
図1及び図2に示すように、前記負圧発生面13からは4つの凸状突起部17が形成されている。これら凸状突起部17の上面17aの高さ位置は、前記正圧発生面12と同じか、あるいは磁気ディスクD方向へ位置する(高くなる)ように形成されている。
【0047】
また、図1及び図2に示すように、前記正圧発生面12上にも凸状突起部18が形成され、また前記ステップ面11上からも2つの凸状突起部19が形成されている。前記凸状突起部18の上面18aと前記凸状突起部19の上面19aも、前記凸状突起部17の前記上面17aと同じ高さ位置に形成されている。
【0048】
これら凸状突起部17,18及び19の各上面17a、18a、19aは同じ高さ位置に形成されている。また既に説明した前記磁気素子形成面14の前記トレーリング側正圧面14b、および前記サイド面15、16に形成された前記サイド正圧面15b、16bは全て同じ高さ位置で形成されている。また、前記凸状突起部17,18及び19の各上面17a、18a、19aと、前記トレーリング側正圧面14b、および前記サイド面15、16に形成された前記サイド正圧面15b、16bとは同じ高さ位置、あるいは前記トレーリング側正圧面14bと前記サイド正圧面15bと16bの方が、磁気ディスクD方向へ位置する(高くなる)ように形成されている。
【0049】
なお、図1および図2に示す実施形態では、前記凸状突起部17は前記負圧発生面13に4個形成されており、また前記凸状突起部18は前記正圧発生面12に1個形成されており、前記凸状突起部19は前記ステップ面11に2つ形成されているが、本発明はこのように限定されるものではなく、前記凸状突起部17、18、19の数量が限定されるものではない。
【0050】
また、前記凸状突起部17と18と19の各上面17a、18a、19aの高さ位置は、それぞれ異なるように形成されていても良い。
【0051】
なお、前記凸状突起部17,18,19は図2のように上方側(図示Z1方向側)から見た平面形状は円形状であるが、図1および図2に示す前記磁気ヘッドスライダ1は、前記凸状突起部17、18,19の前記平面形状は円形状に限定されるものではない。
【0052】
以下に、本願発明の前記磁気ヘッドスライダ1の特徴点について説明する。
図1および図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1には、4箇所の隅部に第1の下側ステップ面30aまたは第2の下側ステップ面30bが形成されている。図1および図2に示すように、前記第1の下側ステップ面30aは前記リーディング側端面Sl側の2箇所の隅部に形成されており、前記第2の下側ステップ面30bは、前記トレーリング側端面St側の2箇所の隅部に形成されている。
【0053】
前記第1の下側ステップ面30a、および前記第2の下側ステップ面30bは、前記ステップ面11の下方側に段差40a、40bを介して形成されており、前記磁気ヘッドスライダ1の4箇所の隅部には、前記第1の下側ステップ面30a、および前記第2の下側ステップ面30bによって凹部50a、50bが形成されている。
【0054】
図1および図2に示すように、前記第1の下側ステップ面30aの一方の側縁30a1と他方の30a2との交差部には角部1aが形成されている。また、前記第2の下側ステップ面30bの一方の側縁30b1と他方の30b2との交差部には角部1bが形成されている。
【0055】
前記第1の下側ステップ面30aからは、上方側(図示Z1方向側)に向かって延びる第1の凸状突起部29aが形成されている。また、前記第2の下側ステップ面30bからは、上方側に向って延びる第2の凸状突起部29bが形成されている。前記第1の凸状突起部29aは、前記凹部50a内に位置するように形成されており、また前記第2の凸状突起部29bは、前記凹部50b内に位置するように形成されている。
【0056】
前記第1の凸状突起部29aの上面29a1は、前記凸状突起部17、18、19の前記各上面17a、18a、19aよりも磁気ディスクD方向に(高い位置に)形成されている。
【0057】
図5は、図2のV−V線で切断した切断断面を、図2に示すX2方向側から見た状態を示す断面図である。図5に示すように、前記第1の下側ステップ面30aは、前記負圧発生面13よりも高さ寸法h4だけ更に磁気ディスクDと反対方向(図示Z2方向)に位置するように形成されている。同様に、前記第2の下側ステップ面30bも、前記負圧発生面13よりも高さ寸法h5だけ更に磁気ディスクDと反対方向に位置するように形成されている。
【0058】
前記第1の凸状突起部29aの上面29a1は、前記磁気素子形成面14に形成された前記トレーリング側正圧面14b、および前記正圧発生面12よりも磁気ディスクD方向に(高い位置に)形成されている。また、前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1は、前記サイド面15、16に形成された前記サイド正圧面15b、16bの高さ位置よりも磁気ディスクD方向に(高い位置に)形成されている。
【0059】
また、前記第2の凸状突起部29bの上面29b1は、前記正圧発生面12、トレーリング側正圧面14b、サイド正圧面15bおよび16bよりも磁気ディスクD方向と反対方向(低い位置)で、且つ前記負圧発生面13よりも高い位置に形成されている。
【0060】
前記第1の凸状突起部29aは磁気ディスクD方向に位置するように形成された上層部29a3と、前記上層部29a3よりも磁気ディスクDと反対方向に位置するように形成された下層部29a2とを有して形成されている。前記下層部29a2は、例えばアルミナチタンカーバイトなどで形成されており、前記上層部29a3は、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)で形成されている。前記上層部29a3はDLCで形成されているため、前記上層部29a3が前記磁気ディスクDの表面D1に接触しても、前記表面D1の損傷を少なくすることができる。
【0061】
また、前記第2の凸状突起部29bも、磁気ディスクD方向に位置するように形成された上層部29b3と、前記上層部29b3よりも磁気ディスクDと反対方向に位置するように形成された下層部29b2とを有して形成されている。前記下層部29b2は、例えばアルミナチタンカーバイトなどで形成されており、前記上層部29b3は、DLCで形成されている。前記上層部29b3はDLCで形成されているため、前記上層部29b3が前記磁気ディスクDの表面D1に接触しても、前記表面D1の損傷を少なくすることができる。
【0062】
図5に示すように、前記第1の下側ステップ面30aから前記ステップ面11までの高さ寸法h1は1.2から7.95μmの範囲内で形成される。なお、図5に示す実施形態では、前記第2の下側ステップ面30bは、前記第1の下側ステップ面30aと同じ高さ位置に形成されているため、前記第2の下側ステップ面30bから前記ステップ面11までの高さ寸法も、前記高さ寸法h1と同じに形成されている。
【0063】
また、前記第1の下側ステップ面30aから前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1までの高さ寸法h2は1.5から8.1μmの範囲内で形成される。
【0064】
また、前記正圧発生面12から前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1までの高さ寸法h3は0nmより大きく100nm以下の範囲内で形成される。ここで前記したように、前記正圧発生面12と、前記磁気素子形成面14の前記トレーリング側正圧面14bと、前記サイド面15および16の前記サイド正圧面15bおよび16bとは、同じ高さ位置に形成されている。
【0065】
したがって、前記磁気素子形成面14の前記トレーリング側正圧面14bから前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1までの高さ寸法も0nmより大きく100nm以下の範囲内で形成されている。また、前記サイド面15および16の前記サイド正圧面15bおよび16bから前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1までの高さ寸法も0nmより大きく100nm以下の範囲内で形成される。
【0066】
また、前記負圧発生面13から前記第1の下側ステップ面30aまでの前記高さ寸法h4は1から5μmの範囲内で形成されている。
【0067】
また、前記第1の凸状突起部29aの前記上層部29a3の厚さ寸法t1は5から50nmの範囲内で形成されている。
【0068】
また図5に示すように、前記第2の下側ステップ面30bから前記負圧発生面13までの高さ寸法h5は1から5μmの範囲内で形成される。なお、図5に示す実施形態では、前記第1の下側ステップ面30aは前記第2の下側ステップ面30bと同じ高さ位置に形成されているため、前記第1の下側ステップ面30aから前記負圧発生面13までの高さ寸法も前記高さ寸法h5と同じに形成されている。
【0069】
また、前記第2の下側ステップ面30bから前記第2の凸状突起部29bの前記上面29b1までの高さ寸法h6は1.0から8.0μmの範囲内で形成される。
【0070】
また、前記正圧発生面12から前記第2の凸状突起部29bの前記上面29b1までの高さ寸法h7は0nmより大きく3μm以下の範囲内で形成される。ここで前記したように、前記正圧発生面12と、前記磁気素子形成面14の前記トレーリング側正圧面14bと、前記サイド面15および16の前記サイド正圧面15bおよび15bとは、同じ高さ位置に形成されている。
【0071】
したがって、前記磁気素子形成面14の前記トレーリング側正圧面14bから前記第2の凸状突起部29bの前記上面29b1までの高さ寸法も0nmより大きく3μm以下の範囲内で形成されている。また、前記サイド面15および16の前記サイド正圧面15bおよび16bから前記第2の凸状突起部29bの前記上面29b1までの高さ寸法も0より大きく3μm以下の範囲内で形成される。
【0072】
また、前記負圧発生面13から前記第2の下側ステップ面30bまでの前記高さ寸法h5は1から5μmの範囲内で形成されている。
【0073】
また、前記第2の凸状突起部29bの前記上層部29b3の厚さ寸法t2は5から50nmの範囲内で形成されている。
【0074】
なお、図1および図2に示した実施形態では、前記第1の下側ステップ面30aおよび前記第2の下側ステップ面30bは、上方側から見た平面形状が扇形に形成されている。ただし、本願発明では、前記第1の下側ステップ面30aおよび前記第2の下側ステップ面30bの前記平面形状が扇型に限定されるものではなく、他の形状で形成されていても良い。
【0075】
図6は、前記磁気ヘッドスライダ1が搭載された前記磁気ヘッド装置Hに対して外力が与えられて、前記磁気ヘッドスライダ1が図4に示す状態から前記リーディング側端面Sl側に傾いた状態を示した側面図である。なお、図6では、支持部材3を省略して示している。
【0076】
図6に示す状態では、前記磁気ディスクDの表面D1に前記第1の凸状突起部29aが接触するとともに、前記リーディング側エッジ部20aが前記磁気ディスクDに接触している。そして、前記磁気ヘッドスライダ1の下面1cと前記磁気ディスクDの前記表面D1との間で規定される傾斜角度θ1を有して、前記磁気ヘッドスライダ1が、前記磁気ディスクDの前記表面D1に対して傾斜している。
【0077】
図5に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1では、前記第1の凸状突起部29aが形成された前記第1の下側ステップ面30aが、前記負圧発生面13よりも磁気ディスクDと反対方向(下方)の位置に形成されていることから、図6に示すように、図9ないし図11に示す従来の前記磁気ヘッドスライダ100に比較して、前記角部1aの高さ位置を、前記負圧発生面13よりも更に記録媒体である前記磁気ディスクD側(図示Z1方向側)と反対方向(図示Z2方向側)へ遠ざけることができるため、角部1aが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することができ、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができる。
【0078】
また図7に示すように、例えば前記磁気ヘッドスライダ1がノートパソコン内のHDDに搭載されているとき、このノートパソコンが落下して前記HDDに衝撃が与えられた場合には、前記磁気ヘッドスライダ1にも衝撃が与えられ、前記支持部材3に支持されている前記磁気ヘッドスライダ1が前記リーディング側を前記磁気ディスク側に向けた状態で斜めに傾斜する場合がある。このように前記磁気ヘッドスライダ1が傾斜した場合に、前記第1の下側ステップ面30aが前記負圧発生面13よりも磁気ディスクDと反対方向に位置しているため、前記角部1aが前記磁気ディスクDの表面D1に衝突することを抑制することができる。
【0079】
また図5に示すように、前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1が、前記正圧発生面13よりも磁気ディスクD方向に(高い位置に)形成されているため、図9ないし図11に示す従来の前記磁気ヘッドスライダ100に比較して、図6に示す前記傾斜角度θ1を大きくすることができる。したがって、前記磁気ヘッドスライダ1が大きく傾斜したとしても、前記リーディング側エッジ部20aが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突し難くできるため、前記リーディング側エッジ部20aが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することができ、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができる。
【0080】
また図1、図2および図5に示すように、前記第1の凸状突起部29aの前記上面29a1が、前記正圧発生面12よりも前記磁気ディスクD方向に形成されているため、前記正圧発生面12に形成されたリーディング側エッジ部12cが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突するのを抑制することができる。
【0081】
図8は、前記磁気ヘッドスライダ1が搭載された前記磁気ヘッド装置Hに対して外力が与えられて、前記磁気ヘッドスライダ1が図4に示す状態から前記トレーリング側端面St側が前記磁気ディスクD方向に斜めに傾いた状態を示した斜視図である。なお、図8では、支持部材3を省略して示している。
【0082】
図5に示すように、前記磁気ヘッドスライダ1では、前記第2の凸状突起部29bが形成された前記下側第2の下側ステップ面30bが、前記負圧発生面13よりも磁気ディスクDと反対方向(下方)の位置に形成されていることから、前記角部1bの高さ位置を、前記負圧発生面13よりも更に記録媒体である前記磁気ディスクD側(図示Z1方向側)と反対方向(図示Z2方向側)へ遠ざけることができるため、図8に示すように、角部1bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することができ、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができる。
【0083】
また図5に示すように、前記第2の凸状突起部29bの前記上面29b1が、前記負圧発生面13よりも磁気ディスク方向に(高い位置に)形成されているため、前記磁気ヘッドスライダ1の前記トレーリング側端面St側が前記磁気ディスクD方向に斜めに大きく傾斜したとしても、前記トレーリング側エッジ部20bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突し難くできるため、前記トレーリング側エッジ部20bが前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することを効果的に抑制することができ、前記磁気ディスクDの損傷を効果的に抑制することができる。
【0084】
前記磁気ヘッドスライダ1では、前記リーディング側端面Sl側の2隅に形成された前記第1の下側ステップ面30aおよび前記第1の凸状突起部29aに加えて、前記トレーリング側端面St側の2隅にも前記第2の下側ステップ面30bが形成されているとともに、前記第2の凸状突起部29bが形成されている。したがって、前記磁気ヘッドスライダ1では、前記したように、前記トレーリング側端面St側に形成された前記角部1bおよび前記トレーリング側エッジ部20bが、前記磁気ディスクDの前記表面D1に衝突することをも効果的に抑制することができる。
【0085】
なお、図1および図2に示した実施形態では、前記リーディング側端面Slと前記トレーリング側端面Stとの両方に、それぞれ前記下側第1の下側ステップ面30aと前記第1の凸状突起部29a、あるいは前記下側第2の下側ステップ面30bと前記第2の凸状突起部29bが設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記トレーリング側端面St側に形成された前記下側第2の下側ステップ面30bおよび前記第2の凸状突起部29bが設けられていなくても良い。あるいは、前記リーディング側端面Sl側に形成された前記下側第1の下側ステップ面30aおよび前記第1の凸状突起部29aが設けられていなくても良い。
【0086】
ただし、前記リーディング側端面Slは前記トレーリング側端面Stに比較すると、記録媒体である前記磁気ディスクDに衝突する頻度が多いため、前記リーディング側端面Sl側に形成された前記下側第1の下側ステップ面30aおよび前記第1の凸状突起部29aは設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の磁気ヘッド装置に搭載される本発明の磁気ヘッドスライダを示す斜視図、
【図2】図1に示す磁気ヘッドスライダを記録媒体対向面側から見た平面図、
【図3】図1に示す磁気ヘッドスライダが搭載された磁気ヘッド装置を示す斜視図、
【図4】図1に示す磁気ヘッドスライダが磁気ディスクの表面に接触した状態で停止している状態を示す側面図、
【図5】図2のV−V線での切断断面図、
【図6】図1に示す磁気ヘッドスライダが図4に示す状態からリーディング側端面側に傾いた状態を示す側面図、
【図7】図1に示す磁気ヘッドスライダが図4に示す状態から、リーディング側を磁気ディスク側に向けた状態で斜めに傾斜した状態を示す斜視図、
【図8】図1に示す磁気ヘッドスライダが図4に示す状態から、トレーリング側を磁気ディスク側に向けた状態で斜めに傾斜した状態を示す斜視図、
【図9】磁気ヘッド装置に搭載される従来の磁気ヘッドスライダを示す斜視図、
【図10】図9に示す磁気ヘッドスライダがリーディング側端面側に傾いた状態を示す側面図、
【図11】図9に示す磁気ヘッドスライダが図10に示す状態から更にリーディング側端面側に傾いた状態を示す側面図、
【符号の説明】
【0088】
1 磁気ヘッドスライダ
1a,1b 角部
2 記録媒体対向面
3 支持部材
11 ステップ面
12 正圧発生面
13 負圧発生面
14 磁気素子形成面
14c 磁気素子
15,16 サイド面
20a リーディング側エッジ部
20b トレーリング側エッジ部
29a 第1の凸状突起部
29b 第2の凸状突起部
29a1,29b1 上面
30a 第1の下側ステップ面
30b 第2の下側ステップ面
30a1,30b1 一方の側縁
30a2,30b2 他方の側縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーリング側端面に記録用および/または再生用の磁気素子が設けられた磁気ヘッドスライダと、前記磁気ヘッドスライダを記録媒体対向面の逆面側から弾性支持する支持部材とが設けられ、前記磁気ヘッドスライダは前記支持部材に設けられた揺動支点を中心として、ピッチ方向に揺動可能に弾性支持された磁気ヘッド装置において、
前記磁気ヘッドスライダのリーディング側端面から前記トレーリング側端面方向に向けて、ステップ面、正圧発生面、および負圧発生面がこの順番に形成され、前記ステップ面および前記正圧発生面は、前記負圧発生面よりも記録媒体方向に突出し、且つ前記正圧発生面は前記ステップ面よりも記録媒体方向に突出しており、
前記磁気ヘッドスライダのリーディング側端面側の隅部には、前記負圧発生面よりも記録媒体と反対方向に位置する第1の下側ステップ面が形成され、この下側ステップ面から記録媒体方向へ延びる第1の凸状突起部が形成されており、
前記第1の凸状突起部の上面は、前記正圧発生面よりも記録媒体方向へ突出して形成されている磁気ヘッド装置。
【請求項2】
前記第1の下側ステップ面の一方の側縁と他方の側縁との交差部には角部が形成され、前記角部が前記負圧形成面よりも記録媒体方向に位置している請求項1記載の磁気ヘッド装置。
【請求項3】
前記スライダの前記トレーリング側端面側の隅部に、前記負圧発生面よりも記録媒体と反対方向に位置する第2の下側ステップ面が形成され、前記第2の下側ステップ面から記録媒体方向へ延びる第2の凸状突起部が形成されている請求項1または2記載の磁気ヘッド装置。
【請求項4】
前記第1の凸状突起部は、記録媒体方向に形成された上層部と、前記上層部の記録媒体と反対方向に形成された下層部とを有している請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気ヘッド装置。
【請求項5】
前記第2の凸状突起部は、記録媒体方向に形成された上層部と、前記上層部の記録媒体と反対方向に形成された下層部とを有している請求項3または4記載の磁気ヘッド装置。
【請求項6】
前記上層部がDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)で形成されている請求項4または5記載の磁気ヘッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−309825(P2006−309825A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128477(P2005−128477)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】