説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】ルーチン検査の操作を簡便化することができる磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】撮像条件を構成する複数の撮像パラメータのうち一部の撮像パラメータに設定される値を準備撮像により最適化したうえで本撮像を行う磁気共鳴イメージング装置であって、目的部位ごとに撮像の操作手順を記憶する操作手順記憶手段と、所定の目的部位の撮像を行う際に、記憶されている操作手順に基づいて準備撮像を実行して、準備撮像に基づいて撮像パラメータを最適化する最適化手段と、最適化された撮像パラメータに基づいて、本撮像を実行する本撮像実行手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置のルーチン検査において、操作手順を記録・再生利用することで、多様化する機能を効率的に最小限の操作手数で行えるようにした磁気共鳴イメージング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置の高機能化に伴って、操作メニューが複雑化しており、ルーチン検査においても操作手順の複雑化と操作手順のステップ数の増加に鑑み、操作に習熟していない臨床担当者でも一定の臨床検査ができるように、磁気共鳴イメージング装置の操作性の改善が求められていた。
【0003】
そこで、イメージスキャンで用いるパルスシーケンスの所望のパラメータの値を、そのスキャンに先立って最適化させることができる磁気共鳴イメージング装置が提案されている(特許文献1参照)。この磁気共鳴イメージング装置は、被検体のMR画像を得るためにイメージングスキャンを実行するものであり、被検体の同一部位に対して複数回のデータ収集が与えられる準備スキャンを、イメージングスキャンで用いるパルスシーケンスの所望パラメータの量を収集毎に変えながら実行し、この収集した複数の画像のうち、所望の画像を指定することで、所望パラメータの最適な量が求められるものである。
【特許文献1】特開2003−70766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、磁気共鳴イメージング装置の高機能化に伴い、操作メニューが複雑化しており、ルーチン検査においても操作手順の複雑化と操作手順のステップ数の増加を招いている。操作に習熟した担当者が必要な状況であるが、病院からは多モダリティ間での担当者のローテーションや未習熟者による緊急の操作を容易にすることが求められている。
【0005】
従来の磁気共鳴イメージング装置は、収集条件、撮影位置の設定を含めた操作手順を記憶し再生する機能を備えていなかった。さらに、患者の個体差により各所で設定値を変更する必要がある場合があるが、編集ポイントを含め記録、再生できる機能は、一般の技術として考えられていなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みなされたもので、操作手順(プロシージャ)の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録し、対応するルーチン検査で再生使用することで、ルーチン検査の操作を簡便化することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る保険指導支援装置は、撮像条件を構成する複数の撮像パラメータのうち一部の撮像パラメータに設定される値を準備撮像により最適化したうえで本撮像を行う磁気共鳴イメージング装置であって、目的部位ごとに撮像の操作手順を記憶する操作手順記憶手段と所定の目的部位の撮像を行う際に、前記操作手順記憶手段により記憶されている操作手順に基づいて準備撮像を実行する準備撮像実行手段と、前記準備撮像実行手段による準備撮像に基づいて撮像パラメータを最適化する最適化手段と、前記最適化手段により最適化された撮像パラメータに基づいて、本撮像を実行する本撮像実行手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置によると、操作手順(プロシージャ)の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の撮像条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録し、対応するルーチン検査で再生使用することで、ルーチン検査の操作を簡便化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置100の構成を示す図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、計算機システム10を備えている。
【0010】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0011】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応している。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0012】
傾斜磁場電源3は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル2に電流を供給する装置である。
【0013】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備えた装置であり、寝台制御部5による制御のもと、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0014】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0015】
送信部7は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する装置であり、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。これらの各部の動作の結果として、送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する。
【0016】
受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、上記の高周波磁場の影響によって被検体から放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
【0017】
受信部9は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴信号データを生成する装置である。この受信部9は、磁気共鳴信号データを生成すると、その磁気共鳴信号データを計算機システム10に送信する。
【0018】
計算機システム10は、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う装置であり、インタフェース部11、データ収集部12、データ処理部13、記憶部14、表示部15、入力部16、及び制御部17を有している。
【0019】
インタフェース部11は、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7および受信部9に接続されており、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を制御する。
【0020】
データ収集部12は、インタフェース部11を介して、受信部9から送信される磁気共鳴信号データを収集する。データ収集部12は、磁気共鳴信号データを収集すると、収集した磁気共鳴信号データを記憶部14に記憶させる。
【0021】
データ処理部13は、記憶部14に記憶されている磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。
【0022】
記憶部14は、データ収集部12によって収集された磁気共鳴信号データ、データ処理部13によって生成された画像データなどを、被検体Pごとに記憶する。この記憶部14としては、ROM(Read Only Memory)やハードディスクなどの記憶装置を利用可能である。記憶部14は、本撮像用として設定された撮像条件から準備撮像用の撮像条件を生成する方法を定義した条件生成定義情報を撮像の種類ごとに記憶している。
【0023】
表示部15は、制御部17による制御に基づいて、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する装置である。この表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0024】
入力部16は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける装置である。この入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切り替えスイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0025】
制御部17は、図示していないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などを有し、磁気共鳴イメージング装置100を総括的に制御する。
【0026】
このような磁気共鳴イメージング装置100において、操作メニューが複雑化していて、ルーチン検査においても操作手順の複雑化と操作手順のステップ数の増加を招いている。操作に習熟した担当者が必要な状況であるが、病院からは多モダリティ間での担当者のローテーションや未習熟者による緊急の操作を容易にすることが求められている。
【0027】
そこで磁気共鳴イメージング装置100は、操作手順の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の撮像条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録し、対応するルーチン検査で再生使用することでルーチン検査の操作を簡便化する。さらに編集ポイントを記録できる機能を設けることにより患者毎に設定を変える必要があるパラメータに関しては、インタラクティブに変更できる設定も含め記録することで、ルーチン検査の操作手数を最小にする。
【0028】
図2は、磁気共鳴イメージング装置100において上述した操作手順の記憶・再生機能を実現するためのブロック図である。磁気共鳴イメージング装置100は、図2に示すように、操作手順記憶・再生部20、操作手順記録開始部21、設定変更操作部22、操作手順記録終了部23、登録操作手順選択部24、選択登録操作手順再生続行部25を備えている。
【0029】
図3は、磁気共鳴イメージング装置100が操作手順の記憶・再生機能を実現するために表示部15に表示される記録・再生画面29を示す画面図である。記録・再生画面29は、例えば図3に示すように、記録開始ボタン29a、編集設定ボタン29b、記録終了&登録ボタン29c、選択ボタン29d、再生実行ボタン29e、登録手順名称入力欄29f、登録手順リスト欄20gを備えている。
【0030】
操作手順記憶・再生部20は、ルーチン検査を行う際に、このときの操作手順を使用された撮像パラメータと併せて記憶するとともに、次回に同様のルーチン検査を行う際に、この記憶された操作手順を再生することで、このルーチン検査を簡便化している。
【0031】
操作手順記録開始部21は、操作を開始する際に、患者が選択された後、例えば記録・再生画面29の記録開始ボタン29aが選択されたことに基づいて、操作手順の記録を開始する。このとき、撮像に用いられたパラメータも操作手順と併せて記憶される。
【0032】
設定変更操作記憶部22は、撮像条件(シーケンス)が選択された後、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作を実施する。また設定変更操作記憶部22は、患者毎に設定を変える必要がある項目があった場合に、記録・再生画面29の編集設定ボタン29bでインタラクティブな編集を設定する。
【0033】
操作手順記録終了部23は、記録対象となる操作手順が終了した後、登録手順名称入力欄29fに登録名称が入力されて記録終了&登録ボタン29cが選択されることに基づいて、記録された操作手順に登録名称を付して操作手順記憶・再生部20に記憶させる。
【0034】
登録操作手順選択部24は、操作を開始する際に、患者が選択された後、操作手順記憶・再生部20に記憶されている操作手順を取得して、記録・再生画面29の登録手順リスト欄20gに登録手順リストとして各々の操作手順が選択可能なように表示し、この登録手順リストから操作手順が選択されて選択ボタン29dが選択されたことに基づいて、この操作手順を取得する。
【0035】
選択登録操作手順再生続行部25は、記録・再生画面29の再生実行ボタン29eが選択されたことに基づいて、登録操作手順選択部24により選択された操作手順を再生する。また選択登録操作手順再生続行部25は、操作手順を再生している間、インタラクティブな編集項目に関して再生する際、再生を一旦停止してユーザに対して編集を促す。そして選択登録操作手順再生続行部25は、編集が終了され再生続行ボタン29eが再び選択されることに基づいて、再生を続行継続する。
【0036】
このように、磁気共鳴イメージング装置100は、操作手順の記録・再生機能を実現するための構成により、複雑な操作手順を複数記憶し、前記手順を選択的に実行することが可能となっているとともに、実行に際しては所望の操作で編集作業が可能になっている。
【0037】
磁気共鳴イメージング装置100は、操作を行う際に、操作手順を記録する操作手順記録処理を行う。磁気共鳴イメージング装置100がこの操作手順記録処理を行う際の手順を、図4に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」を省略して説明する。
【0038】
始めに、操作手順記録開始部21は、表示部15に患者登録画面を表示する。図5は、患者登録画面30を示す画面図である。患者登録画面30は、図5に示すように、患者情報入力欄30a、新患者登録ボタン30b、登録&選択ボタン30cを備えている。ユーザは入力部16を用いて、新患者登録ボタン30aを選択し、患者情報入力欄30bに患者情報を入力する。そしてユーザは、入力を終えると、登録&選択ボタン30cを選択する。そこで操作手順記録開始部21は、この登録&選択ボタン30cが選択されたか否かを判断する(S101)。登録&選択ボタン30cが選択されていない場合(S101のNo)は、操作手順記録開始部21はそのまま待機する。
【0039】
登録&選択ボタン30cが選択された場合(S101のYes)は、操作手順記録開始部21は、入力された患者情報を登録して、設定変更操作部22に操作手順の記録を開始させる(S103)。まず、設定変更操作部22は、表示部15にPAS選択画面31を表示する。PAS機能とは、スキャン前にあらかじめ目的部位毎の撮影条件などをプリセットする機能である。そして目的部位によって、必要な準備撮像の種類が決定される。図6は、PAS選択画面31を示す画面図である。PAS選択画面31は、図6に示すように、PAS選択欄31a、選択&終了ボタン31bを備えている。
【0040】
ユーザは入力部16を用いて、PAS選択欄31aにてPASを選択する。そしてユーザは、選択を終えると、登録&終了ボタン31bを選択する。よって設定変更操作部22は、この登録&終了ボタン31bが選択されたか否かを判断する(S105)。登録&終了ボタン31bが選択されていない場合(S105のNo)は、設定変更操作部22はそのまま待機する。
【0041】
登録&終了ボタン31bが選択された場合(S105のYes)は、設定変更操作部22は、ステップS105にて選択されたPASに基づいて、撮像条件を設定する(S107)。この撮像条件を設定する処理について、図7に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0042】
まず設定変更操作部22は、表示部15に撮像条件設定画面32を表示する(S201)。図8は、撮像条件設定画面32を示す画面図である。撮像条件設定画面32は、図8に示すように、複数のシーケンスが選択可能に提示されるシーケンス選択欄32a、撮像条件設定ボタン32bを備えている。ユーザは入力部16を用いて、シーケンス選択欄32aにて位置決め画像撮像のシーケンスを選択する。そしてユーザは、位置決め画像撮像のシーケンスの選択を終えると、撮像条件設定ボタン32bを選択する。設定変更操作部22は、この撮像条件設定ボタン32bの選択に基づいて、選択された撮像条件を設定する。
【0043】
準備撮像には、TIを決定するためのTI Prep、遅延時間を決定するためのECG Prep、傾斜磁場強度をFlow Spoil Prep、脂肪抑制パルスの周波数を決定するための中心周波数Prep、中心周波数を決定するための脂肪抑制Prep、及びFlow EncodeパルスPrep、BBTI Prep等の種類がある。
【0044】
また、準備撮像において決定される可変パラメータ41において、各々の可変パラメータ41は、この可変パラメータに影響を与える複製パラメータ42、準備撮像用に予め固定された変更パラメータ43により決定される。なお、複製パラメータ42は、本撮像から複製されたパラメータである。図9は、各々の可変パラメータ41を決定するための複製パラメータ42、変更パラメータ43のパラメータ表40の一例を示す図である。
【0045】
例えば図9に示すように、TI Prepの準備撮像において決定される可変パラメータ41(TI)は、撮像断面(中心)、TR、TE、FA、セグメント数、セグメント方式、収集時相、SEEDER factor、脂肪抑制、プリサチュレーション等の複製パラメータ42と、FOV、マトリクス数、NAQ、スライス厚、スライス枚数、空間次元(2D)等の変更パラメータ43により決定される。
【0046】
同様に、ECG−Prepの準備撮像において決定される可変パラメータ41(遅延時間)は、撮像断面(中心)、TR、PE方向、TE、TI、ETS、FA、脂肪抑制、プリサチュレーション等の複製パラメータ42と、FOV、マトリクス数、NAQ、ショット数、スライス厚、SEEDER factor、スライス枚数、空間次元(2D)等の変更パラメータ43により決定される。
【0047】
図10は、遅延造影撮像のインバージョン時間(TI)を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータのパラメータ表を示す図である。図11は、FBI(flesh blood imaging)撮像のR波からの遅延時間(TR)を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータのパラメータ表を示す図である。図12は、FBI撮像のディフェイズの傾斜磁場強度を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータのパラメータ表を示す図である。
【0048】
図13は、MRCA(コロナリーMRA)撮像の脂肪抑制パルスの周波数を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示すパラメータ図である。図14は、MRCA撮像の中心周波数を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータのパラメータ表を示す図である。
【0049】
記憶部14は、準備撮像の種類ごとに、図10乃至図14に示すようなパラメータ表を記憶している。設定変更操作部22は、準備撮像を行う際に、記憶部14に記憶されたこれらのパラメータ表に基づいて、準備撮像の種類に応じて、複製パラメータ42、変更パラメータ43を取得して、可変パラメータ41を決定する。
【0050】
まず設定変更操作部22は、準備撮像の種類に基づいて、準備撮像用固定パラメータ(変更パラメータ)を記憶部14から取得し、このパラメータに基づいて準備撮像条件を生成する(S203)。また設定変更操作部22は、準備撮像の種類に基づいて、複製パラメータを記憶部14から抽出する(S205)。そして設定変更操作部22は、ステップS203、S205にて取得されたパラメータに基づいて準備撮像を行う(S207)。
【0051】
設定変更操作部22は、準備撮像を終えると、操作手順の記録を一旦停止させて、撮像条件編集画面33、34を表示部15に表示する(S209)。図15及び図16は、撮像条件編集画面33、34を示す画面図である。撮像条件編集画面33、34は、図15及び図16に示すように、ステップS207の準備撮像により得られた撮像条件を編集可能に提示した撮像条件編集欄33a、34a、ページ切り替えボタン33b、34b、終了ボタン33c、34cを備えている。
【0052】
ユーザは入力部16を用いて、撮像条件編集欄33a、34aにて撮像条件を編集する。この際、ユーザは入力部16を用いてページ切り替えボタン33b、34bを選択することにより、撮像条件を編集するためのページ(撮像条件編集画面33や撮像条件編集画面34)を切り替えることができる。そしてユーザは、編集を終えると、終了ボタン33c、34cを選択する。よって設定変更操作部22は、この終了ボタン33c、34cが選択されて可変パラメータが設定されたか否かを判断する(S211)。終了ボタン33c、34cが選択されていない場合(S211のNo)は、設定変更操作部22はそのまま待機する。
【0053】
終了ボタン33c、34cが選択された場合(S211のYes)は、設定変更操作部22は、編集された撮像条件を設定する(S213)。設定変更操作部22は、表示部15に位置決め撮像開始画面35を表示する。図17は、位置決め撮像開始画面35を示す画面図である。位置決め撮像開始画面35は、図17に示すように、シーケンス選択欄35a、撮像開始ボタン35bを備えている。ユーザは入力部16を用いて、シーケンス選択欄35aにて位置決め画像撮像のシーケンスを選択する。そしてユーザは、位置決め画像シーケンスの選択を終えると、撮像開始ボタン35bを選択する。よって設定変更操作部22は、この撮像開始ボタン35bが選択されたか否かを判断する(S109)。撮像開始ボタン35bが選択されていない場合(S109のNo)は、設定変更操作部22はそのまま待機する。
【0054】
撮像開始ボタン35bが選択された場合(S109のYes)は、設定変更操作部22は、表示部15に撮像プラン起動画面36を表示する(S111)。図18は、撮像プラン起動画面36を示す画面図である。撮像プラン起動画面36は、図18に示すように、シーケンス選択欄36a、スキャンプランボタン36bを備えている。ユーザは入力部16を用いて、シーケンス選択欄36aにて位置決めプランを行うシーケンスを選択する。そしてユーザは、選択を終えると、スキャンプランボタン36bを選択する。よって設定変更操作部22は、このスキャンプランボタン36bが選択されたか否かを判断する(S113)。スキャンプランボタン36bが選択されていない場合(S113のNo)は、設定変更操作部22はそのまま待機する。
【0055】
スキャンプランボタン36bが選択された場合(S113のYes)は、設定変更操作部22は、選択されたシーケンスに基づいて撮像プランを起動する(S115)。そして設定変更操作部22は、位置決め用の撮像が終了すると、操作手順の記録を一旦停止して、表示部15に位置決め画面37を表示する。図19は、位置決め画面37を示す画面図である。位置決め画面37は、図19に示すように、画像表示欄37a、終了ボタン37bを備えている。
【0056】
ユーザは入力部16を用いて、画像表示欄37aにて撮像スライスの位置決めを行う。そしてユーザは、位置決めを終えると、終了ボタン37bを選択する。よって設定変更操作部22は、この終了ボタン37bが選択されたか否かを判断する(S117)。終了ボタン37bが選択されていない(位置決めがされていない)場合(S117のNo)は、設定変更操作部22はそのまま待機する。
【0057】
終了ボタン37bが選択された(位置決めがされた)場合(S117のYes)は、設定変更操作部22は、操作手順を操作手順記憶・再生部20に記録するのを終了する(S119)。
【0058】
また操作手順記憶・再生部20は、本撮像を開始する(S121)。このとき操作手順記憶・再生部20は、表示部15に本撮像開始画面38を表示する。図20は、本撮像開始画面38を示す画面図である。本撮像開始画面38は、図20に示すように、撮像開始ボタン39aを備えている。ユーザは磁気共鳴イメージング装置100に対して本撮像の開始を指示する際、入力部16を用いて撮像開始ボタン38aを選択する。操作手順記憶・再生部20は、この撮像開始ボタン38aの選択に基づいて、ステップS107にて設定された撮像条件、ステップS117にて設定された位置決め情報を用いて本撮像を開始する。この本撮像に使用された撮像条件が、操作手順記憶・再生部20に記憶されて、次回のルーチン検査の際に再生使用される。
【0059】
このようにして磁気共鳴イメージング装置100において、操作手順(プロシージャ)の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の撮像条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録する。これにより、次回にルーチン検査を行う際に、この記録された一連の操作を再利用することができる。
【0060】
また、磁気共鳴イメージング装置100において、編集ポイントを記録できる機能を設けることにより、患者毎に設定を変えるパラメータに関してはインタラクティブに変更できる設定も含め記録しておくことで、患者ごとに設定される必要のある項目のみが設定されれば良く、ルーチン検査の操作手数を効率的に最小にすることができる。
【0061】
ここで、磁気共鳴イメージング装置100は、ステップS101乃至S119にて記録された操作手順を再生する操作手順再生処理を行う。磁気共鳴イメージング装置100がこの操作手順再生処理を行う際の手順を、図21に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。なお、当該患者に対して、ステップS101乃至S121の処理が既に行われており、操作手順記憶・再生部20に撮像の目的部位の操作手順が既に記憶されているものとする。
【0062】
まず登録操作手順選択部24は、患者が選択されたか否かを判断する(S301)。この際、登録操作手順選択部35は、表示部15に例えば図5に示すような患者登録画面30を表示し、ユーザにより入力部16を用いて患者リストを各々の患者が選択可能なように表示し、患者が選択されて登録&選択ボタン30cが選択されたことに基づいて、患者が選択されたものと判断する。この患者に対して複数のPASが記憶されている場合には、PASも併せて選択される。患者が選択されていない場合(S301のNo)は、登録操作手順選択部24はそのまま待機する。
【0063】
患者が選択された場合(S301のYes)は、選択登録操作手順再生続行部25は、ステップS101乃至S119に記憶された撮像条件を設定する(S303)。撮像条件が設定された後、操作手順の再生を一旦停止して、撮像条件を編集できるようにしても良い。そして選択登録操作手順再生続行部25は、位置決め撮像の開始が指示されたか否かを判断する(S305)。この際、選択登録操作手順再生続行部25は、表示部15に例えば図17に示すような位置決め撮像開始画面35を表示し、撮像開始ボタン35bが選択されたことに基づいて、位置決め撮像の開始が指示されたものと判断する。位置決め撮像の開始が指示されていない場合(S305のNo)は、選択登録操作手順再生続行部25はそのまま待機する。
【0064】
位置決め撮像の開始が指示された場合(S305のYes)は、選択登録操作手順再生続行部25は、位置決め用の撮像を開始する(S307)。選択登録操作手順再生続行部25は、位置決め用の撮像が終了した際、操作手順の再生を一旦停止して、ユーザにより位置決めがされた否かを判断する(S309)。この際、選択登録操作手順再生続行部25は、表示部15に例えば図19に示すような位置決め画面37を表示して、ユーザに対して位置決めを促す。
【0065】
ユーザは位置決め画面37に基づいて位置決めを行い、終了ボタン37bを選択する。よって選択登録操作手順再生続行部25は、終了ボタン37bが選択された場合に、位置決めがされたものと判断する。位置決めがされていない場合(S309のNo)は、選択登録操作手順再生続行部25はそのまま待機する。位置決めがされた場合(S309のYes)は、選択登録操作手順再生続行部25は、ステップS303にて設定された撮像条件、ステップS309によって設定された位置決め情報に基づいて本撮像を開始する。なお、この本撮像に使用された撮像条件が、操作手順記憶・再生部20に記憶されて、次回のルーチン検査の際に再生使用されるようにしても良い。
【0066】
このようにして磁気共鳴イメージング装置100は、操作手順(プロシージャ)の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の撮像条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録しておき、次回にルーチン検査を行う際に、この記録された一連の操作に基づいて操作を行う。これにより、磁気共鳴イメージング装置100におけるルーチン検査の操作を簡便化することが可能となる。
【0067】
また、磁気共鳴イメージング装置100において、編集ポイントを記録できる機能を設けることにより、患者毎に設定を変えるパラメータに関してはインタラクティブに変更できる設定も含め記録しておくことで、ルーチン検査を行う際に、患者ごとに設定される必要がある項目のみが設定されればよく、ルーチン検査の操作手数を効率的に最小にすることができる。
【0068】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置によると、操作手順(プロシージャ)の記録・再生機能を装備することにより、患者選択後の条件(シーケンス)選択、収集条件編集、収集位置設定、収集、後処理などの一連の操作をルーチン検査毎に記録し、対応するルーチン検査で再生使用することで、ルーチン検査の操作を簡便化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置を示すシステム構成図。
【図2】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の操作手順を記憶しこれに基づいて再生する機能を示す機能ブロック図。
【図3】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の操作手順を記憶しこれに基づいて再生する際の画面図。
【図4】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置による操作手順記録処理の手順を示すフローチャート。
【図5】患者登録画面を示す画面図。
【図6】PAS選択画面を示す画面図。
【図7】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置による撮像条件設定処理の手順を示すフローチャート。
【図8】撮像条件設定画面を示す画面図。
【図9】準備撮像を行う際に可変パラメータを決定するための複製パラメータ及び変更パラメータの一例を示す図。
【図10】遅延造影撮像のインバージョン時間(TI)を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示す図。
【図11】FBI撮像の遅延時間(TD)を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示す図。
【図12】FBI撮像のディフェイズの傾斜磁場強度を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示す図。
【図13】MRCA撮像の脂肪抑制パルスの周波数を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示す図。
【図14】MRCA撮像の中心周波数を決定するための準備撮像の際の可変パラメータ、複製パラメータ、変更パラメータの表を示す図。
【図15】撮像条件編集画面を示す画面図。
【図16】撮像条件編集画面を示す画面図。
【図17】位置決め撮像開始画面を示す画面図。
【図18】撮像プラン起動画面を示す画面図。
【図19】位置決め画面を示す画面図。
【図20】本撮像開始画面を示す画面図。
【図21】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置による操作手順再生処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
100…磁気共鳴イメージング装置,1…静磁場磁石,2…傾斜磁場コイル,3…傾斜磁場電源,4…寝台,4a…天板,5…寝台制御部,6…送信RFコイル,7…送信部,8…受信RFコイル,9…受信部,10…計算機システム,11…インタフェース部,12…データ収集部,13…データ処理部,14…記憶部,15…表示部,16…入力部,17…制御部,20…操作手順記憶・再生部,21…層手順記録開始部,22…設定変更操作部,23…操作手順記録終了部,24…登録操作手順選択部,25…選択登録操作手順再生続行部,30…患者登録画面,31…PAS選択画面,32…撮像条件設定画面,33、34…撮像条件編集画面,35…位置決め撮像開始画面,36…撮像プラン起動画面,37…位置決め画面,38…本撮像開始画面,40…パラメータ表,41…可変パラメータ,42…複製パラメータ,43…変更パラメータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像条件を構成する複数の撮像パラメータのうち一部の撮像パラメータに設定される値を準備撮像により最適化したうえで本撮像を行う磁気共鳴イメージング装置であって、
目的部位ごとに撮像の操作手順を記憶する操作手順記憶手段と
所定の目的部位の撮像を行う際に、前記操作手順記憶手段により記憶されている操作手順に基づいて準備撮像を実行する準備撮像実行手段と、
前記準備撮像実行手段による準備撮像に基づいて撮像パラメータを最適化する最適化手段と、
前記最適化手段により最適化された撮像パラメータに基づいて、本撮像を実行する本撮像実行手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記操作手順記憶手段は、前記本撮像実行手段が本撮像を実行した際、本撮像に使用された撮像パラメータを含む操作手順を記憶することを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記最適化手段により最適化された撮像パラメータを提示するとともに、これらの撮像パラメータを編集する操作を受け付ける操作受付手段を備え、
前記本撮像実行手段は、前記操作受付手段により編集が受け付けられた場合、この編集されたパラメータに基づいて、本撮像を実行することを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記最適化手段により最適化された撮像パラメータが患者ごとに設定される必要があるパラメータを含んでいた場合、これらのパラメータを提示するとともに、これらの撮像パラメータを編集する操作を受け付ける操作受付手段を備え、
前記本撮像実行手段は、前記操作受付手段により編集が受け付けられた場合、この編集されたパラメータに基づいて、本撮像を実行することを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
本撮像用として設定された撮像条件から準備撮像用の撮像条件を生成する方法を定義した条件生成定義情報を準備撮像の種類ごとに記憶する定義情報記憶手段と、
前記準備撮像実行手段による実行対象となる準備撮像の種類に対応する条件生成定義情報を、前記定義情報記憶手段により記憶されている条件生成定義情報から取得し、取得した条件生成定義情報に基づいて、準備撮像用の撮像条件を生成する撮像条件生成手段と、を備え、
前記準備撮像実行手段は、前記操作手順記憶手段により撮像対象となる目的部位の操作手順が記憶されていなかった場合、前記撮像条件生成手段によって生成された撮像条件に基づいて前記準備撮像を実行することを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−136828(P2010−136828A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314871(P2008−314871)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】