説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】 一部の処理の変更を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】 受信RFコイルおよび受信部により、被検体から放射された磁気共鳴信号を受信する。再構成部13は、上記の受信された磁気共鳴信号に基づいて、複数のループを含んだ再構成処理により被検体の画像を再構成する。再構成部13は、スケジューラ13cが、複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理し、処理部13dが、スケジューラ13cにより管理されないループを管理するとともに、その管理の下にまたはスケジューラ13cによる管理の下に複数のループ内での本体処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から放射された磁気共鳴信号に基づいて被検体の画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)から被検体の画像を再構成する撮像法である。
【0003】
図10は3次元(3D)画像を再構成するための処理の本体部分の流れの一例を示す図である。
【0004】
図10に示すように、再構成は多数の処理の組み合わせにより実現される。これらの処理は、個別のプログラムモジュールとして用意され、決められた順番で呼び出されて実行される。各プログラムモジュールは、処理に必要なデータを入力してから、処理後のデータを出力するまでの処理手順がそれぞれ記述される。
【0005】
ところで図10は、ループ構造を省いて本体部分の流れを簡略に示している。そして実際の再構成に当たっては、例えば図11に示すようなループ構造が適用される。
【0006】
この様なループ構造は、多数のループを含んでいるが、図11に示すような一連の処理として管理されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように従来は、全てのループが一連の処理として管理されていたため、一部の処理の変更を行いたい場合であっても全体の管理手順を見直さなければならず、容易に対応することが困難であった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、一部の処理の変更を容易に行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、被検体から放射された磁気共鳴信号を受信する手段と、受信された前記磁気共鳴信号に基づいて、複数のループを含んだ再構成処理により前記被検体の画像を再構成する再構成手段とを具備する磁気共鳴イメージング装置であって、前記再構成手段に、前記複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理する管理手段と、前記管理手段により管理されないループを管理するとともに、その管理の下にまたは前記管理手段による管理の下に前記複数のループ内での処理を実行する手段とを備えた。
【0010】
また第2の本発明は、被検体から放射された磁気共鳴信号を受信する手段と、受信された前記磁気共鳴信号に基づいて、複数のループを含むとともに、複数種類のデータ処理を含んだ再構成処理により前記被検体の画像を再構成する再構成手段とを具備する磁気共鳴イメージング装置であって、前記再構成手段は、前記複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理する管理手段と、前記管理手段により管理されないループを管理するとともに、その管理の下にまたは前記管理手段による管理の下に前記複数のループ内での処理を実行する実行手段とを備え、さらに前記実行手段は、前記複数種類のデータ処理のそれぞれを実行するための複数の本体手順と、データの種類やサイズの変更をともなう変換に関するデータ入出力のための第1の入出力手順と、データの種類やサイズの変更をともなわない演算処理に関するデータ入出力のための第2の入出力手順とを持ち、前記本体手順の1つを実行するに当たっては、この実行する本体手順が前記変換処理に関するならば前記第1の入出力手順により、前記実行する本体手順が前記演算処理に関するならば前記第2の入出力手順によりデータ入出力を行うこととした。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成を示す図。
【図2】図1中の再構成部13の内部構造の一例を示す図。
【図3】図2中の処理部13dが各種の本体処理を実行するためのプログラムモジュールの分類を示す図。
【図4】スケジューラ13cの処理手順を示すフローチャート。
【図5】DCを実行する際の図2中の処理部13dの処理手順を示すフローチャート。
【図6】図3に示す入出力モジュールM11に基づく図2中の処理部13dの処理手順を示すフローチャート。
【図7】図3に示す入出力モジュールM21に基づく図2中の処理部13dの処理手順を示すフローチャート。
【図8】図1中の再構成部13の変形構成例を示すブロック図。
【図9】図1中の再構成部13の変形構成例を示すブロック図。
【図10】3次元(3D)画像を再構成するための処理の本体部分の流れの一例を示す図。
【図11】図10に示す本体部分の処理のループ構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成を示す図である。この図1に示すMRI装置は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、ガントリ制御部10、収集制御部11、データ入力部12、再構成部13およびデータベース14を具備する。
【0014】
静磁場磁石1は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0015】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル2は、上記の3つのコイルが傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、磁場強度がX,Y,Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場と同方向とする。X,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相をエンコードするために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数をエンコードするために利用される。
【0016】
被検体Pは、寝台4の天板41に載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮影口)内に挿入される。寝台4の天板41は寝台制御部5により駆動され、その長手方向および上下方向に移動する。通常、この長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように寝台4が設置される。
【0017】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。送信RFコイル6は、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0018】
送信部7は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを内蔵する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばシンク関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。そしてこれらの各部の動作の結果として送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する。
【0019】
受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。受信RFコイル8は、上記の高周波磁場の影響により被検体から放射される磁気共鳴信号を受信する。受信RFコイル8からの出信号は、受信部9に入力される。
【0020】
受信部9は、受信RFコイル8からの出力信号に基づいて磁気共鳴信号データを生成する。
【0021】
これら静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8および受信部9は、ガントリを構成する。
【0022】
ガントリ制御部10は、所要の画像を再構成するために必要な磁気共鳴データを得るために上記の各部の動作を総括制御する。ガントリ制御部10は、受信部9が出力する磁気共鳴データをデータ入力部12に与える。
【0023】
収集制御部11は、再構成部13が必要とする磁気共鳴データの取得をガントリ制御部10に要求する。
【0024】
データ入力部12は、ガントリ制御部10を介して、収集されたままの磁気共鳴データ、いわゆる生データを、再構成部13に入力する処理を行う。
【0025】
再構成部13は、データ入力部12によって入力された磁気共鳴データに基づいて画像の再構成を行う。
【0026】
データベース14は、再構成部13により再構成された画像のデータを保存する。
【0027】
図2は再構成部13の内部構造の一例を示す図である。
【0028】
再構成部13は、データスタッカ13a、イベントジェネレータ13b、スケジューラ13cおよび処理部13dを含む。なお再構成部13は、例えば汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。そしてデータスタッカ13a、イベントジェネレータ13b、スケジューラ13cおよび処理部13dは、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサに再構成プログラムを実行させることにより実現することができる。このときに再構成部13は、上記の再構成プログラムが上記のコンピュータ装置に予めインストールされて実現されても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記の再構成プログラムを配布し、この再構成プログラムをコンピュータ装置に適宜インストールして実現されても良い。なお、上記の各部は、その一部または全てをロジック回路などのハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各部のそれぞれは、ハードウェアとソフトウェア制御とを組み合わせて実現することも可能である。データスタッカ13aは、一部の機能が上記のコンピュータ装置に内蔵されたメモリやハードディスク装置などの記憶デバイス、上記のサーバ装置やコンピュータ装置に外付けされたメモリやハードディスク装置などの記憶デバイス、さらには磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクなどのようなリムーバブルな記録媒体などを適宜利用して実現される。
【0029】
データスタッカ13aは、データ入力部12によって入力された生データをスタックする。データスタッカ13aは、処理部13dによる処理に際して中間的に生成される画像群をスタックする。データスタッカ13aは、スタックしている生データや画像群の並べ替えを行う。
【0030】
イベントジェネレータ13bは、データ入力部12の動作を監視して、処理部13dでの処理に必要な生データが揃うタイミングを検出する。イベントジェネレータ13bは、バッチ再構成時には、データ入力部12の動作状態に拘わらずに必要な生データが揃っているとして検出する。
【0031】
スケジューラ13cは、処理部13dでの処理をスケジューリングする。スケジューラ13cは、再構成処理に含まれる複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理する。スケジューラ13cは、タグ情報を作成する。タグ情報は、処理部13dで処理される演算処理と変換処理との組み合わせ内容やその順番の情報などを含んでいる。
【0032】
処理部13dは、再構成処理に含まれる複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに影響しあうループを管理する。処理部13dは、例えば図10に示されるように再構成を実現するための各種の処理(以下、本体処理と称する)を、上記の自己でのループ管理およびスケジューラ13cによるループ管理の下に実行する。処理部13dは、画像群を後処理するとともに、後処理された画像群をデータベース14に登録する機能も備える。
【0033】
ところでこのMRI装置では、処理部13dが各種の本体処理を実行するためのプログラムモジュールを個別に用意している。このプログラムモジュールは、上記のコンピュータ装置に内蔵または外付けされたメモリやハードディスク装置などの記憶デバイスに記憶されており、適宜に処理部13dにより呼び出されて使用される。これらのプログラムモジュールは、図3に示すように演算処理用のモジュール群M1と変換処理用のモジュール群M2とに分類される。
【0034】
モジュール群M1には、入出力モジュールM11と複数の本体モジュールM12とが属する。入出力モジュールM11は、演算処理に分類される本体処理に関わる情報の入出力処理を記述している。本体モジュールM12は、演算処理に分類される本体処理のうちの情報の入出力以外の処理を記述している。
【0035】
モジュール群M2には、入出力モジュールM21と複数の本体モジュールM22とが属する。入出力モジュールM21は、変換処理に分類される本体処理に関わる情報の入出力処理を記述している。本体モジュールM22は、変換処理に分類される本体処理のうちの情報の入出力以外の処理を記述している。
【0036】
なお演算処理は、データの値が変化するだけで、データの形やサイズは変化しない処理を指す。変換処理は、データの形やサイズの変化を伴う処理を指す。図10に示される本体処理の場合、位相補正(TEMPLATE,NAVI,0次,1次)、信号値補正(TEMPLATE(T2も),NAVI,ノイズパワー,輝度補正)、DC補正(DC値)、ロールオフ補正、フィルタ(T2Decay,レベラ―,Kspace,Refine,GA)、不要信号除去(FID抑制処理,残差補正,ヒゲソリ)、合成(PAC,SPEEDER)、スケーリング(最大,最小,スケールファクタ)、データベースへの情報登録(image,演算値,アイコン)、再構成順の決定(優先度)、生データ読み込み(アドレス,タイミング,ReferenceView,ViewShare)、画像間演算(TOF3D,FISP,Diffusion)などが演算処理に属し、生データの並び替え(ソートテーブル)、FFT(入力の形はいろいろあるが区別なし)、画像シフト、画像変換(縮小,切り出し,回転,アイコン作成)などが変換処理に属する。
【0037】
次に以上のように構成されたMRI装置の動作について説明する。なおここでは、図10に示す3次元画像を再構成処理を図11に示すようなループ構造で実行する場合に着目して具体的に説明する。図10に含まれる本体処理は、いずれも従来より利用されている周知の処理であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0038】
図11に示すループ構造には、stage,dynamic,diffusion,echo,slab,subprotcol,slicegroup,coilNum,psnAck,MS_PS_MAX_FLOW_CMP,numMaxの各ループが含まれる。
【0039】
stageのループは、AMBなどのプロトコルで定められたステージのそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。dynamicのループは、同一位置に関し時相が互いに異なる複数の収集データのそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。diffusionのループは、異なるB値のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。echoのループは、異なるTE(echo time)のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。slabのループは、異なるスライスの塊のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。subprotcolのループは、異なるスキャン回数のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。slicegroupのループは、1スキャン内で異なるスライスの塊のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。coilNumのループは、異なるチャネルのそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。psnAckのループは、異なるPS(phase shift)のTEのそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。MS_PS_MAX_FLOW_CMPのループは、異なるPSの出力画像のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。numMaxのループは、異なるQuadの多重化(出力画像)のそれぞれを処理対象として繰り返し処理を行う。
【0040】
これらのループのうち、stage,dynamic,diffusion,echo,slab,subprotcol,slicegroupの各ループは、そこで繰り返される処理が互いに無影響である。coilNum,psnAck,MS_PS_MAX_FLOW_CMP,numMaxの各ループは、そこで繰り返される処理が互いに影響しあう。
【0041】
そこでスケジューラ13cは図4に示すような処理によって、stage,dynamic,diffusion,echo,slab,subprotcol,slicegroupの各ループを管理する。
【0042】
一部の図示を省略しているがステップSa1乃至ステップSa7においてスケジューラ13cは、処理対象とするステージ、収集データ、B値、TE、スライス塊、スキャン、スライスグループを順次選択する。
【0043】
ステップSa8においてスケジューラ13cは、図10に示されるDCの実行を処理部13dに要求する。その上でステップSa9においてスケジューラ13cは、処理部13dから完了通知がなされるのを待ち受ける。
【0044】
さて、DCの実行が要求されたならば処理部13dは、図5に示すような処理を実行する。
【0045】
ステップSb1およびステップSb2において処理部13dは、処理対象とするコイルおよびPSのTE(PSエコー)をそれぞれ選択する。
【0046】
ステップSb3において処理部13dは、スケジューラ13cにより選択されているステージ、収集データ、B値、TE、スライス塊、スキャン、スライスグループと、上記で選択したコイルおよびPSエコーとを処理対象として、DCに含まれる本体処理をそれぞれ図10に示すような手順で実行する。
【0047】
DCを1度実行し終えたならば、ステップSb4において処理部13dは、処理対象として選択すべき全てのPSエコーを選択し終えたか否かを確認する。そして未選択のTEがあるならば、処理部13dはステップSb4からステップSb2に戻る。そして処理部13dは、処理対象とするTEを変更しながら、DCを繰り返し実行する。
【0048】
処理対象として選択すべき全てのPSエコーを選択し終えたならば、処理部13dはステップSb4からステップSb5へ進む。ステップSb5において処理部13dは、処理対象として選択すべき全てのコイルを選択し終えたか否かを確認する。そして未選択のコイルがあるならば、処理部13dはステップSb5からステップSb1に戻る。そして処理部13dは、処理対象とするコイルを変更しながら、ステップSb2乃至ステップSb5の処理を繰り返し実行する。
【0049】
処理対象として選択すべき全てのコイルを選択し終えたならば、処理部13dはステップSb5からステップSb6へ進む。ステップSb6において処理部13dは、処理完了をスケジューラ13cに通知する。これを持って処理部13dは図5に示す処理を終了する。
【0050】
このように、coilNumのループおよびpsnAckのループについては、処理部13dが管理する。
【0051】
さて、上記のように処理部13dからスケジューラ13cに完了が通知されると、スケジューラ13cはステップSa9からステップSa10へ進む。ステップSa10においてスケジューラ13cは、図10に示されるSEの実行を処理部13dに要求する。その上でステップSa11においてスケジューラ13cは、処理部13dから完了通知がなされるのを待ち受ける。
【0052】
SEの実行が要求されると処理部13dは、DCのときと同様にしてSEを実行する。このときに処理部13dは、PSエコーのループおよびコイルのループの管理もDCのときと同様に行い、コイルのループを終了したならばスケジューラ13cに完了を通知する。
【0053】
このように処理部13dからスケジューラ13cに完了が通知されたのちにスケジューラ13cは、図示は省略しているが、ステップSa12乃至ステップSa19において、ROPEの実行、PSエコーの読み出し、PSの出力画像の書き込み、ならびにQuadの出力画像の書き込みを、各処理の完了の通知を待ち受けながら順次に処理部13dに要求する。ROPEの実行、PSエコーの読み出し、PSの出力画像の書き込み、ならびにQuadの出力画像の書き込みに際しては、coilNumのループ、psnAckのループ、MS_PS_MAX_FLOW_CMPのループ、ならびにnumMaxのループがそれぞれ実行されるが、これらのループは処理部13dによって管理される。
【0054】
Quadの出力画像の書き込みの完了が処理部13dからスケジューラ13cに通知されると、スケジューラ13cはステップSa20に進む。ステップSa20においてスケジューラ13cは、選択すべき全てのスライスグループの選択が終了したか否かを確認する。そして未選択のスライスグループがあるならば、スケジューラ13cはステップSa20からステップSa7に戻る。そしてスケジューラ13cは、処理対象とするスライスグループを変更しながら、ステップSa7乃至ステップSa20の処理を繰り返し実行する。
【0055】
処理対象として選択すべき全てのスライスグループを選択し終えたならば、スケジューラ13cはステップSa20からステップSa21へ進む。こののちに一部の図示を省略しているがステップSa21乃至ステップSa26においてスケジューラ13cは、スキャン、スライスの塊、TE、B値、収集データ、ステージのそれぞれについて、処理対象として選択すべき全てを選択し終えたか否かを確認する。なお、ステップSa22乃至ステップSa26のそれぞれのステップには、1つ前のステップにてYESと判定される場合に進む。ステップSa21乃至ステップSa26のそれぞれでNOと判定された場合には、ステップSa6,Sa5,Sa4,Sa3,Sa2,Sa1にそれぞれ戻り、スキャン、スライスの塊、TE、B値、収集データ、ステージのそれぞれを選択し直してそれ以降の処理を繰り返し実行する。
【0056】
そしてスケジューラ13cは、処理対象として選択すべき全てのステージを選択し終えたとステップSa26にて判定したならば、これをもって図4に示す処理を終了する。
【0057】
ところで、本体処理を実行する際に処理部13dは、演算処理用モジュール群M1および変換処理用モジュール群M2のいずれかから、実行するべき本体処理に対応する本体モジュールM12,M22を呼び出して、それを実行する。ただし、本体モジュールM12,M22には、データの入出力に関わる処理は記述されていない。そこで処理部13dは、ここで実行しようとするのが本体モジュールM12である場合には入出力モジュールM11を、また実行しようとするのが本体モジュールM22である場合には入出力モジュールM21をそれぞれ呼び出して実行する。
【0058】
図6は入出力モジュールM11に基づく処理部13dの処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
ステップSc1において処理部13dは、本体処理に必要なパラメータをデータスタッカ13aから取得する。ステップSc2において処理部13dは、本体処理の対象となるデータをデータスタッカ13aから読み出す。そしてステップSc3において処理部13dは、上記のパラメータおよびデータを本体モジュールM12に基づく処理に渡す。処理部13dは、本体モジュールM12に基づく別途の処理により、本体処理(演算処理)を実行する。
【0060】
ステップSc4において処理部13dは、本体処理が完了するのを待ち受ける。上記の本体処理が完了したならば、処理部13dはステップSc4からステップSc5へ進む。ステップSc5において処理部13dは、ステップSc1にて取得したパラメータと、上記の本体処理がなされた後のデータとをデータスタッカ13aに保存する。ここで、ステップSc1にて取得したパラメータをそのまま保存するのは、演算処理ではデータの形やサイズなどが変化しないためである。
【0061】
図7は入出力モジュールM21に基づく処理部13dの処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
ステップSd1において処理部13dは、本体処理に必要なパラメータをデータスタッカ13aから取得する。ステップSd2において処理部13dは、本体処理の対象となるデータをデータスタッカ13aから読み出す。そしてステップSd3において処理部13dは、上記のパラメータおよびデータを本体モジュールM22に基づく処理に渡す。処理部13dは、本体モジュールM22に基づく別途の処理により、本体処理(変換処理)を実行する。
【0063】
ステップSd4において処理部13dは、本体処理が完了するのを待ち受ける。上記の本体処理が完了したならば、処理部13dはステップSd4からステップSd5へ進む。ステップSd5において処理部13dは、上記の本体処理がなされた後のデータのプロパティ(データの形やサイズなど)を判定する。ステップSd6において処理部13dは、本体処理後のデータの保存先を、上記の判定したプロパティを考慮して判定する。
【0064】
ステップSd7において処理部13dは、ステップSd5にて判定したプロパティを反映したパラメータを作成する。そしてステップSd8において処理部13dは、上記の作成したパラメータと本体処理後のデータとをデータスタッカ13aに保存する。
【0065】
以上のように本実施形態によれば、そこで繰り返される処理が互いに無影響であるループはスケジューラ13cによって管理し、処理部13dはそこで繰り返される処理が互いに影響するループのみを管理している。このため、本体処理の変更などに当たっては、多くの場合は処理部13dでの処理内容のみを変更すれば良く、新しいMRI技術へ容易に対応することが可能である。
【0066】
また本実施形態によれば、本体処理を演算処理と変換処理とに分類した上で、演算処理に属する本体処理に関する入出力処理を共通の入出力モジュールM11により実行するようにし、かつ変換処理に属する本体処理に関する入出力処理を共通の入出力モジュールM21により実行するようにしているので、本体モジュールM12,M22のそれぞれに、入出力処理を含む必要がなく、本体処理に関するプログラムモジュール全体でのデータ量を低減することができる。
【0067】
図8は再構成部13の変形構成例を示すブロック図である。この図8に示す再構成部13では、前記実施形態における処理部13dを、処理部13eおよび後処理部13fに分けている。処理部13eは、後処理を行わず、この後処理を後処理部13fで行うようにしている。
【0068】
図9は再構成部13の別の変形構成例を示すブロック図である。この図9に示す再構成部13ではさらに、前記実施形態におけるデータスタッカ13aを、データスタッカ13gおよびイメージスタッカ13hに分けている。データスタッカ13gは、生データをスタックするとともに、スタックしている生データの並べ替えを行う。イメージスタッカ13hは、画像群をスタックするとともに、スタックしている画像群の並べ替えを行う。
【0069】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
そこで繰り返される処理が互いに無影響であるループの一部の管理を処理部13dで行うようにしても良い。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…静磁場磁石、2…傾斜磁場コイル、3…傾斜磁場電源、4…寝台、5…寝台制御部、6…送信RFコイル、7…送信部、8…受信RFコイル、9…受信部、10…ガントリ制御部、11…収集制御部、12…データ入力部、13…再構成部、13b…イベントジェネレータ、13h…イメージスタッカ、13c…スケジューラ、13a,13g…データスタッカ、13f…後処理部、13d,13e…処理部、14…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から放射された磁気共鳴信号を受信する手段と、
受信された前記磁気共鳴信号に基づいて、複数のループを含んだ再構成処理により前記被検体の画像を再構成する再構成手段とを具備する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記再構成手段は、
前記複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理する管理手段と、
前記管理手段により管理されないループを管理するとともに、その管理の下にまたは前記管理手段による管理の下に前記複数のループ内での処理を実行する手段とを具備することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記管理手段は、前記複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響である全てのループを管理することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
被検体から放射された磁気共鳴信号を受信する手段と、
受信された前記磁気共鳴信号に基づいて、複数のループを含むとともに、複数種類のデータ処理を含んだ再構成処理により前記被検体の画像を再構成する再構成手段とを具備する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記再構成手段は、
前記複数のループのうちでそこで繰り返される処理が互いに無影響であるループを管理する管理手段と、
前記管理手段により管理されないループを管理するとともに、その管理の下にまたは前記管理手段による管理の下に前記複数のループ内での処理を実行する実行手段とを具備し、
さらに前記実行手段は、前記複数種類のデータ処理のそれぞれを実行するための複数の本体手順と、データの種類やサイズの変更をともなう変換に関するデータ入出力のための第1の入出力手順と、データの種類やサイズの変更をともなわない演算処理に関するデータ入出力のための第2の入出力手順とを持ち、前記本体手順の1つを実行するに当たっては、この実行する本体手順が前記変換処理に関するならば前記第1の入出力手順により、前記実行する本体手順が前記演算処理に関するならば前記第2の入出力手順によりデータ入出力を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−156418(P2011−156418A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117098(P2011−117098)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【分割の表示】特願2005−330246(P2005−330246)の分割
【原出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】