説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】より簡易かつ短時間で心臓における各基準断面の位置決めを実用的な精度で行うことによって、心臓をイメージングすることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、収集手段、基準断面情報計算手段、位置決め手段及びイメージング手段を備える。収集手段は、被検体から心臓を含む複数の断面画像データを収集する。基準断面情報計算手段は、前記複数の断面画像データに基づいて前記心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算する。位置決め手段は、前記基準断面の位置情報に基づいて前記複数の断面画像データから計算された前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う。イメージング手段は、前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴(MR: magnetic resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
MRIによる心臓検査法には、心臓の形態イメージングによる形態観察、シネ撮像による心筋の動態観察、造影剤を用いた心筋血流パーフュージョンのイメージングによる血流の還流状態の観察、造影剤を投与して所定の時間経過後にイメージングを行う遅延造影イメージングによる心筋のバイアビリティ観察、非造影で血流及び心筋のコントラストを強調する冠動脈イメージングによる3次元的な冠動脈全体の観察等がある。
【0004】
心臓検査のためのイメージングには、心臓の解剖学的な特徴に基づく基準断面が用いられる。基準断面像には、関心領域(ROI: region of interest)等の位置決め用のアキシャル断面像、コロナル断面像及びサジタル断面像に加え、垂直長軸像、水平長軸像、二腔長軸(2 chamber)像、三腔長軸(3 chamber)像、四腔長軸(4 chamber)像、左室短軸像等の断面像がある。
【0005】
MRIによる心臓イメージングにおいては、まず、これらの複数の基準断面像を収集することが必要である。しかしながら、心臓が複雑な構造を有することから、基準断面像の収集のための位置決めには時間と労力を要する。具体的には、最初にアキシャル断面像を基準断面像として、基準断面像を参照した別の基準断面像の位置決め及び位置決めされた断面のイメージングが繰り返される。そして、心臓イメージングの標準化のために更に詳細な手順が標準化プロトコルとして規定されている。
【0006】
一方、心臓イメージングのための基準断面像の位置決めを支援する技術が提案されている。例えば、3次元(3D: three dimensional)のWhole Heart MR Coronary Angiography (WH MRCA)データを収集し、3D WH MRCAデータに対するMPR (multi planar reconstructions)処理によって生成したMPR画像データを利用して基準断面像の位置決めを行う技術が提案されている。この方法では、基準断面像の位置決めごとにイメージングを行う必要がないため、スキャン時間の短縮化が期待される。
【0007】
別の例としては、マルチスライスイメージングによって心臓全体をカバーする多数のアキシャル画像を収集し、ユーザがアキシャル画像を観察しながらいくつかのアキシャル画像にランドマークをマニュアル設定する方法が提案されている。例えば、アキシャル画像上における大動脈の中心、心先部、僧帽弁等の位置にユーザによりランドマークが設定される。そして、設定されたランドマークを基準として心臓イメージングに必要な複数の基準断面が自動計算される
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−55641公報
【特許文献2】特表2007−534411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
心臓イメージングのための基準断面の位置決めには、基準断面像の数に応じてイメージングスキャンを繰り返すことが必要である。このため、基準断面の位置決め作業は、時間を要し、心臓検査におけるスループット向上の障害となっている。また、位置決めの精度は、ユーザの熟練度に依存する。すなわち、基準断面の位置決めを良好な精度で行うためには、心臓の解剖学的な位置に関する十分な知識と経験が必要である。
【0010】
本発明は、より簡易かつ短時間で心臓における各基準断面の位置決めを実用的な精度で行うことによって、心臓をイメージングすることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、収集手段、基準断面情報計算手段、位置決め手段及びイメージング手段を備える。収集手段は、磁気共鳴を利用して被検体から心臓を含む複数の断面画像データを収集する。基準断面情報計算手段は、前記複数の断面画像データに基づいて前記心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算する。位置決め手段は、前記基準断面の位置情報に基づいて前記複数の断面画像データから計算された前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う。イメージング手段は、前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングする。
また、本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、収集手段、基準断面情報計算手段、位置決め手段及びイメージング手段を備える。収集手段は、磁気共鳴を利用して被検体から心臓を含む複数の断面画像データを収集する。基準断面情報計算手段は、前記複数の断面画像データに基づいて前記心臓の複数の特徴部の位置情報を計算する。位置決め手段は、前記複数の特徴部の位置情報に基づいて前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う。イメージング手段は、前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングする。
また、本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、基準断面情報計算手段、位置決め手段及びイメージング手段を備える。基準断面情報計算手段は、磁気共鳴を利用した被検体の心臓を含むボリュームデータに基づいて前記心臓の複数の特徴部の位置情報を計算する。位置決め手段は、前記複数の特徴部の位置情報に基づいて前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う。イメージング手段は、前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図。
【図2】図1に示すコンピュータの機能ブロック図。
【図3】図1に示す磁気共鳴イメージング装置により被検体における心臓の基準断面画像の自動計算を伴って心臓をイメージングする際の流れを示すフローチャート。
【図4】図2に示す基準断面計算部における心臓の基準断面画像データの生成手順を示す図。
【図5】図4(B)に示すような複数のアキシャル断面画像データの生成用のMR信号の収集タイミングを示す図。
【図6】図2に示す基準断面計算部において、心臓の長軸に基づいて基準断面画像を生成する際の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図である。
【0015】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23及びRFコイル24を備えている。
【0016】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31及びコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35及び記憶装置36が備えられる。
【0017】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0018】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0019】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC: whole body coil)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0020】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0021】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0022】
RFコイル24は、送信器29及び受信器30の少なくとも一方と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0023】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRF信号を発生させる機能を有する。
【0024】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるMR信号の検波及びA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0025】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0026】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体PのECG (electro cardiogram)信号を取得するECGユニット38が備えられる。ECGユニット38により取得されたECG信号はシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力されるように構成される。
【0027】
尚、拍動を心拍情報として表すECG信号の代わりに拍動を脈波情報として表す脈波同期(PPG: peripheral pulse gating)信号を取得することもできる。PPG信号は、例えば指先の脈波を光信号として検出した信号である。PPG信号を取得する場合には、PPG信号検出ユニットが設けられる。
【0028】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムの少なくとも一部に代えて、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
【0029】
図2は、図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0030】
コンピュータ32の演算装置35は、記憶装置36に保存されたプログラムを実行することにより撮像条件設定部40及びデータ処理部41として機能し、記憶装置36はk空間データ記憶部42、画像データ記憶部43、辞書ファイル記憶部44及び基準断面情報記憶部45として機能する。撮像条件設定部40は、基準断面計算部40A及び撮像断面設定部40Bを有する。また、データ処理部41は、画像生成部41A及びインデックス情報作成部41Bを有する。
【0031】
撮像条件設定部40は、パルスシーケンスを含む撮像条件を設定し、設定した撮像条件をシーケンスコントローラ31に出力して制御する機能を有する。特に、撮像条件設定部40は、心臓のイメージングを行うための撮像条件を設定する機能を備えている。
【0032】
基準断面計算部40Aは、心臓の基準断面画像データ又は心臓の基準断面画像データを生成するための基準断面情報を、被検体Pから収集された心臓を含む複数のアキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ又はサジタル断面画像データ等の単純な直交3断面画像データのいずれかに基づく計算によって自動的に生成する機能を有する。すなわち、基準断面計算部40Aは、アキシャル断面画像データ等の単純な複数の断面画像データに基づいて心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算する機能を備えている。心臓の基準断面の空間的な位置情報は、心臓の基準断面画像データ自体に限らず、ベクトル情報としても良い。
【0033】
尚、基準断面計算部40Aがアキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ及びサジタル断面画像データのうちの全て又は2つを用いて心臓の基準断面画像データ又は心臓の基準断面画像データを生成するための基準断面情報を自動生成するようにしてもよい。換言すれば、心臓を含む複数のアキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ又はサジタル断面画像データの少なくともいずれかの複数の断面画像データに基づいて心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算することができる。
【0034】
或いは、被検体の心臓を含む3D WH MRCAデータ等の3D撮像データに基づいて心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算することもできる。つまり、基準断面計算部40Aは、被検体の心臓を含む複数の断面画像データや3D撮像データ等から得られるボリュームデータに基づいて心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算する機能を備えている。
【0035】
心臓の基準断面画像には、主として垂直長軸像、水平長軸像、二腔長軸(2 chamber)像、三腔長軸(3 chamber)像、四腔長軸(4 chamber)像及び左室短軸像の6つの画像がある。これらの画像は左室の機能の評価に用いられる。但し、本実施形態は右室の機能の評価を行う場合及び僧帽弁や三尖弁等の弁の機能の評価を行う場合にも適用できる。右室の機能評価を行う場合には、基準断面は左室を含む断面となる。例えば上記の2 chamber像や3 chamber像において右室を横切る断面となる。また弁の機能の評価を行う場合には、基準断面は僧帽弁等の弁を通る断面となる。例えば上記の3 chamber像の僧帽弁を通る直交面となる。
【0036】
これらの基準断面画像は、主として心臓イメージングにおける撮像部位の位置決め用画像及び心臓における画像の分類のためのインデックス用の画像として用いられる。従って、診断目的及び撮像部位に応じてユーザにより選択された所望の基準断面画像データが基準断面計算部40Aにより自動計算される。特に、撮像部位の位置決めを行うためには、上述した心臓の基準断面のうち少なくとも3つ以上の異なる基準断面の空間的な位置情報を計算することが重要である。
【0037】
心臓の基準断面画像は、従来、複数のアキシャル断面像に基づく位置決めとイメージングを含む6〜8手順を繰り返すチェーンオブリーク撮像によって取得される。従って、ユーザの利便性を考慮すると、複数のアキシャル断面画像データに基づいて心臓の基準断面画像データを生成することが好適である。そこで、以降では、単純な複数の断面画像データの例として複数のアキシャル断面画像データに基づいて心臓の基準断面画像データを生成する場合を例に説明する。
【0038】
辞書ファイル記憶部44には、画像データから心臓の心尖部や僧帽弁等の基準となる部位の位置を特定するための判断基準をパラメータの組み合わせとして表した複数の辞書ファイルデータが記憶される。このため辞書ファイル記憶部44に保存された辞書ファイルを基準断面計算部40Aが参照することによって、基準断面計算部40Aは画像データから心臓の心尖部等の基準部位を判別するための判別器として機能する。
【0039】
辞書ファイルは、心臓の解剖学的な形態を複数のパラメータの組み合わせとして表現したものであり、解剖学的知見及び多数の被検体の心臓の形態画像データに基づいて作成することができる。例えば、疾患別の多数の心臓の形態情報に基づいて、いわゆる学習理論によって辞書ファイルを構成するパラメータの組み合わせを算出することができる。
【0040】
具体的には、特定したい特徴部位を含む周辺領域(例えば、特定したい部位が僧帽弁であれば、僧帽弁と僧帽弁を囲む血液領域)並びに心筋等からなる領域に関して、各点の信号値、各信号値間の勾配、信号値及び勾配に関するヒストグラム情報等からなる多次元のベクトル情報を辞書ファイルとする。
【0041】
そして、多数の辞書ファイルデータを作成して、辞書ファイル記憶部44に保存することによって、基準断面計算部40Aを心臓の心尖部等の基準部位を判別するための判別器(識別器)として利用することができる。換言すれば、辞書ファイル記憶部44に保存される各辞書ファイルは、基準断面計算部40Aにおける基準断面画像データの計算のための参照データとして利用することができる。
【0042】
すなわち、基準断面計算部40Aは、アキシャル断面画像データ等の単純な複数の断面画像データ又は複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに基づいて、解剖学的知見及び他の複数の被検体の心臓の形態画像データの少なくとも一方から生成される参照データを参照して心臓の基準断面の位置情報の検出処理を行うことができる。但し、基準断面計算部40Aには、辞書ファイルデータとして作成される参照データを参照せずに心臓の基準断面の位置情報の検出処理を行う機能を備えることができる。例えば、アキシャル断面画像データ等の単純な複数の断面画像データ又は複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに対する解剖学知見に基づく信号処理によっても心臓の基準断面の位置情報の検出処理を行うことができる。
【0043】
そこで、参照データを参照した心臓の基準断面の位置情報の検出処理と、信号処理による心臓の基準断面の位置情報の検出処理とを、所望の条件に応じて切換えるようにしても良い。具体例として、解剖学知見に基づく信号処理を含む第1のアルゴリズムにより心臓の基準断面の位置情報の検出処理を行い、第1のアルゴリズムによる基準断面の位置情報の検出精度に応じて、解剖学的知見及び他の複数の被検体の心臓の形態画像データの少なくとも一方から生成される参照データを参照した第2のアルゴリズムによる基準断面の位置情報の検出処理を行う方法が挙げられる。
【0044】
また、別の例として、参照データを参照して基準断面の位置の候補を絞った後、解剖学的知見に基づく信号処理により基準断面の位置を特定する方法も挙げられる。このように、第1又は第2のアルゴリズムによって複数の断面画像データ又は複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに基づいて、基準断面の位置情報の検出処理を行うことができる。
【0045】
尚、辞書ファイル記憶部44には、新たな被検体の心臓形態データや解剖学的知識に基づく辞書ファイルを追加することができる。従って、辞書ファイル記憶部44に辞書ファイルを蓄積することによって参照データとしての精度を向上させることができる。辞書ファイル記憶部44には、他の磁気共鳴イメージング装置又はX線CT (computed tomography)装置等の他の画像診断装置において収集された心臓形態画像データに基づく辞書ファイルを追加してもよい。逆に、辞書ファイル記憶部44に保存された辞書ファイルをネットワーク又は記録メディアを介して外部に出力して利用することもできる。
【0046】
基準断面情報記憶部45は、基準断面計算部40Aにより計算された心臓の基準断面画像データ又は心臓の基準断面画像データを3次元(3D: three dimensional)画像データから生成するための基準断面の空間的な位置情報を保存する機能を有する。
【0047】
撮像断面設定部40Bは、イメージングの対象となる撮像断面を設定する機能を有する。撮像断面の設定は、基準断面情報記憶部45に保存された心臓の基準断面画像データ又は基準断面の空間的な位置情報に基づいて生成可能な基準断面画像データを通じて行うことができる。すなわち、撮像断面設定部40Bは、撮像断面の設定画面とともに心臓の基準断面画像を表示装置34に表示させ、入力装置33からの情報に従って撮像断面の設定画面に表示させた心臓の基準断面画像を介して撮像領域を設定する機能を備えている。
【0048】
例えば、撮像断面設定部40Bが計算によって生成された複数の異なる基準断面画像を複数のサムネイル画像として表示装置34に表示させ、入力装置33から取得したサムネイル画像の選択情報に従ってイメージング用のMRデータの収集に用いられるパルスシーケンスのデータ収集断面を設定するようにしてもよい。
【0049】
また、撮像断面設定部40Bは、複数のアキシャル断面画像データの位置決めに必要なスカウト画像データを画像データ記憶部43から検索して取得できるように構成される。尚、画面を通じた撮像部位の設定には、GUI (Graphical User Interface)技術を用いることができる。
【0050】
データ処理部41は、シーケンスコントローラ31からMRデータを取得してk空間データ記憶部42に形成されたk空間にk空間データとして配置する機能、k空間データ記憶部42からk空間データを取得して画像データを生成する機能、画像データに必要な画像処理及びデータ処理を施して画像データ記憶部43に書き込む機能、画像データ記憶部43から取得した画像データに必要な画像処理及びデータ処理を施して表示装置34に表示させる機能を有する。
【0051】
画像生成部41Aは、k空間データ記憶部42から取得したk空間データにフーリエ変換(FT: Fourier transform)を含む画像再構成処理及び必要な画像処理を施して画像データ記憶部43に書き込む機能を有する。
【0052】
k空間データ記憶部42は、シーケンスコントローラ31から出力されたk空間データを、画像データ記憶部43は、画像生成部41Aにおいて生成された画像データを、それぞれ保存する機能を有する。
【0053】
インデックス情報作成部41Bは、イメージングスキャンによって収集された心臓の画像データの位置決めに用いられた心臓の基準断面画像の識別情報を、画像データの分類情報として画像データに付加する機能を有する。すなわち、インデックス情報作成部41Bは、画像データの付帯情報として基準断面計算部40Aにおいて生成された心臓の基準断面画像の1つを特定する情報を画像データに付加する機能を備えている。画像データに対応する心臓の基準断面画像の識別情報は、撮像断面設定部40Bから取得することができる。尚、識別情報として、基準断面の位置及び方向を表すベクトル情報を用いてもよい。
【0054】
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作及び作用について説明する。
【0055】
図3は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により被検体Pにおける心臓の基準断面画像の自動計算を伴って心臓をイメージングする際の流れを示すフローチャートであり、図4は、図2に示す基準断面計算部40Aにおける心臓の基準断面画像データの生成手順を示す図である。
【0056】
まず予め寝台37に被検体Pがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21(超伝導磁石)の撮像領域に静磁場が形成される。また、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
【0057】
そして、ステップS1において、被検体の心臓を含むスカウト画像データが収集される。すなわち、撮像断面設定部40Bは、少なくとも被検体Pの心臓を含むアキシャル断面、コロナル断面及びサジタル断面を撮像断面として設定する。そして、撮像条件設定部40は、アキシャル断面、コロナル断面及びサジタル断面からMRデータの収集を行うためのパルスシーケンスを含む撮像条件を設定し、設定した撮像条件をシーケンスコントローラ31に出力して制御する。
【0058】
そうすると、シーケンスコントローラ31は、撮像条件に従って傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させることにより被検体Pがセットされた撮像領域に傾斜磁場を形成させるとともに、RFコイル24からRF信号を発生させる。このため、被検体Pの内部における核磁気共鳴により生じたMR信号が、RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24から磁気共鳴を利用して収集されたMR信号を受けて、シーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、MR信号をデータ処理部41に出力する。
【0059】
そして、データ処理部41は、MRデータをk空間データ記憶部42に形成されたk空間にk空間データとして配置する。更に、画像生成部41Aは、k空間データ記憶部42からk空間データを取得して画像再構成処理を施す。これにより、被検体Pのアキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ及びサジタル断面画像データが生成される。生成されたアキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ及びサジタル断面画像データは画像データ記憶部43に書き込まれる。
【0060】
そして、撮像断面設定部40Bは、アキシャル断面画像データ、コロナル断面画像データ及びサジタル断面画像データを画像データ記憶部43から取得してスカウト画像として表示装置34に表示させる。これにより、図4(A)に示すような被検体Pの心臓を含むアキシャル断面像、コロナル断面像及びサジタル断面像が表示装置34に表示される。図4(A)は、アキシャル断面に垂直な体軸方向がz軸方向に、コロナル断面に垂直な方向がy軸方向に、サジタル断面に垂直な方向がx軸方向に、それぞれ設定された例を示している。
【0061】
次に、ステップS2において、図4(B)に示すような心臓全体をカバーするマルチスライスアキシャル断面画像データが収集される。すなわち、撮像断面設定部40Bは、図4(A)に示すスカウト画像を介して、心臓をカバーする範囲を複数のアキシャル断面画像データの収集領域として設定する。そして、スカウト画像データの収集と同様な流れで複数のアキシャル断面画像データが収集され、画像データ記憶部43に書き込まれる。
【0062】
但し、各アキシャル断面画像間において心臓の形状がなるべく一致するように、ECGユニット38から取得されるECG信号に同期してアキシャル断面画像データの生成用のMRデータを収集することが望ましい。
【0063】
図5は、図4(B)に示すような複数のアキシャル断面画像データの生成用のMR信号の収集タイミングを示す図である。
【0064】
図5において横軸は時間を、ECGはECG信号の波形を、DAQはMR信号のデータ収集期間を、それぞれ示す図である。図5に示すようにECG信号には、R波、S波及びT波等の基準波が現れる。R波の後には心臓の収縮期が現れ、収縮期の後には拡張期が現れる。収縮期及び拡張期にはそれぞれ心筋の動きが概ね静止してECG信号の変化が安定する静止期間ΔT1, ΔT2が存在する。
【0065】
そこで、図5に示すように、ECG同期撮像によってECG信号のR波をトリガとする遅延時間DTd又はDTsを一定にして、心臓の拡張期の静止期間又は収縮期の静止期間において同一とみなせる心時相で複数のアキシャル断面画像データ用のMRデータを繰返し収集することが重要である。この場合、隣合うR波間をRRとして1RR又は2RR、つまりECG信号の連続する2つ又は3つの基準波の間において1フレーム分のアキシャル断面画像データが収集されることになる。
【0066】
これらのデータ収集条件により、アキシャル断面画像データ間における心時相のずれの発生を抑制するとともに1回の息止め中に必要な複数のアキシャル断面画像データを収集することが可能となる。また、安定的な心臓の拡張期の静止期間又は収縮期の静止期間において複数のアキシャル断面画像データを収集することにより、アキシャル断面画像データ間において心臓の形状を安定させることができる。
【0067】
加えて、1回の励起パルスの印加後に1フレーム分のMR信号を収集するシングルショットシーケンスによって各アキシャル断面画像データ用のMR信号を収集することが呼吸性の動きの影響を回避する観点から重要である。
【0068】
次に、ステップS3において、基準断面計算部40Aは、画像データ記憶部43からアキシャル断面画像データを読み込んで、アキシャル断面画像データの等方化処理を行う。アキシャル断面画像データのスライス間隔がスライス内における解像度よりも粗い場合にはアキシャル断面画像データは図4(C)の左側に示すように異方性を有する画像データとなる。そこで、異方性画像データの各点における値に基づいて等方性を有する格子点上におけるデータで構成される等方性画像データが生成される。等方性画像データの生成は、補間処理及び不要な点を除去する処理によって行うことができる。
【0069】
そして、等方化処理により、マルチスライスアキシャル断面画像データから心臓を含む3Dボリューム画像データが生成される。
【0070】
次に、ステップS4において、基準断面計算部40Aは、等方化処理後の画像データの各画素値に基づいて、心尖部、僧帽弁、長軸及び左室中心の位置を検出する。図4(D)に示すように心臓は、右室(RV: right ventricle)、右房(RA: right atrium)、左房(LA: left atrium)及び左室(LV: left ventricle)の4つのchamberを有する。LAとLVとの間は、僧帽弁で区切られる。そして、長軸は、僧帽弁の尖端と心尖部を結ぶ直線として求めることができる。また、左室中心は、僧帽弁の尖端と心尖部の中点として求めることができる。従って、まず心尖部及び僧帽弁の尖端位置が初期基準点として等方性画像データから自動検出される。
【0071】
初期基準点の自動検出は、(1)解剖学的知識に基づく最大画素値の検出及び画素値の勾配計算等の信号値計算処理、(2)心臓の各部位に関する解剖学的な形態情報及び他の被検体から収集した多数の心臓の幾何学的データ等の既知情報から辞書ファイルとして作成された参照データを参照した計算、(3)パターンマッチング或いはこれらの併用などの方法によって行うことができる。尚、辞書ファイルは、上述したように、特定したい部位を含む周辺領域のデータに関する、信号値、信号値間の勾配及びそれらに関するストグラム情報等の多次元のベクトル情報からなる。
【0072】
例えば、血流からの信号が強調される条件でアキシャル断面画像データが収集された場合には、大動脈から左室及び心尖部までの血流からの信号値が連続性を有するという解剖学的知識に基づいて、ボリューム画像データから画素値の大きい部分を検出することによって心臓の初期基準点を解析的に自動検出することができる。
【0073】
具体例としては、まずボリューム画像データから得られるあるアキシャル断面画像データにおいて、大動脈に関する空間的位置の既知情報に基づいて大動脈の探索範囲が決定される。次に、探索範囲において画素値が最大となる位置が検出される。更に、アキシャル方向に最大画素値となる点を追跡し、検出された点群を結ぶと大動脈の中心線を求めることができる。このように求めた大動脈の中心線の端部を検出することによって、心尖部を自動検出することができる。また、血管の中心線周囲における画素値の勾配を計算し、僧帽弁の形状に対応する画素値の勾配を検出することによって、僧帽弁の尖端位置を自動検出することができる。つまり、血液からの信号の連続性を利用して血管の位置とともに心臓の初期基準点を自動検出することができる。
【0074】
別の具体例として、参照データとしての辞書ファイルを参照することによってボリューム画像データから心臓の初期基準点を自動判定するためのアルゴリズム又は関数等で表される判別器を予め作成しておき、判別器に従って初期基準点を特定する方法がある。例えば、入力をボリューム画像データの各位置における画素値を表す行列とし、辞書ファイルを参照することによって、心尖部及び僧帽弁の尖端位置等の初期基準点の位置ベクトルを出力として返す非線形の行列式を作成することができる。或いは、入力をボリューム画像データの各位置における画素値を表す行列とし、辞書ファイルを参照してそれらに関する統計量や確率分布等の情報に基づいて、特定部位に対応する位置ベクトルを返す関数を作成することができる。
【0075】
参照データとしては、上述のように心臓の各部位の形態に関する解剖学的知識及び他の被検体から収集した多数の心臓の形態情報に基づく辞書ファイルデータを用いることができる。すなわち、基準断面計算部40Aは、辞書ファイル記憶部44に保存された辞書ファイルを参照データとして用いたアルゴリズムによって初期基準点を特定することができる。辞書ファイルを初期基準点の自動特定に用いれば、その後の処理は比較的簡易な解析的処理に基づく手順で、例えば学会等によって標準化された基準断面設定の手順に従って、残りの基準断面を設定することができる。
【0076】
また、心臓の形態的な特徴は、被検体の体型や疾患の種類等の特徴に依存する。従って、被検体の体型や疾患の種類等の特徴ごとに統計的に処理及び作成された辞書ファイルを初期基準点の自動判定に用いれば、詳細な被検体の特徴に応じてより正確に心臓の初期基準点を計算することができる。
【0077】
更に、辞書ファイル記憶部44に保存された辞書ファイルを参照して初期基準点を計算する方法と、解剖学的知識に基づく信号処理によって解析的に初期基準点を計算する方法のいずれを初期基準点の計算に用いるかについての優先順位を予め決定し、条件に応じて計算方法を使い分けることもできる。
【0078】
例えば、最初に解剖学知見に基づく解析的な信号処理を含む第1のアルゴリズムにより心臓の初期基準点の検出処理を実行し、初期基準点が十分な精度で検出できなかった場合に多数の被検体の検査画像データに基づく辞書ファイルを参照した第2のアルゴリズムにより詳細な初期基準点の検出処理を実行するようにしてもよい。或いは、その逆であってもよい。すなわち、初期基準点の検出精度に応じてアルゴリズムを変更することができる。
【0079】
また、2次元パターンマッチングを行う自動計算アルゴリズムにより暫定的に計算された心臓の初期基準点をパターンマッチング又は特徴点検出により補正することによって、正確な初期基準点を計算する方法もある。
【0080】
この場合、まず、ボリューム画像データと参照データとの初期断面上における2次元パターンマッチングを行う自動計算アルゴリズムによってボリューム画像データから初期断面上における心尖部及び僧帽弁の尖端位置が計算される。
【0081】
次に、初期断面上における心尖部及び僧帽弁の尖端位置を結ぶ第1の長軸の位置を表す式が計算される。但し、初期断面は、自動計算アルゴリズムにおける2次元パターンマッチングのために暫定的に設定される断面であるため、心尖部、僧帽弁の尖端及び第1の長軸の位置の計算精度は粗くなる。そこで、精度が粗い第1の長軸を中心として初期断面が回転される。
【0082】
次に、等方化処理前における複数のアキシャル断面画像データの解像度が最も高くなるような初期断面の回転角度が検出される。すなわち、アキシャル断面画像データは異方性を有するため、アキシャル断面画像データと交差する断面の法線方向によって解像度が異なる。そこで、心尖部及び僧帽弁の尖端位置を高精度に検出するための高解像度の断面が検出される。
【0083】
次に、検出された高解像度断面上でのアキシャル断面画像データと参照データとの2次元パターンマッチング又はアキシャル断面画像データの画素値の特徴点検出により心尖部及び僧帽弁の位置が検出される。そして、高解像度断面上の心尖部及び僧帽弁の尖端位置を結ぶ精密な第2の長軸の位置を表す式が計算される。
【0084】
このように、高解像度となる断面の検出を行うことによって2次元パターンマッチングであっても正確な長軸の位置を計算することができる。
【0085】
上述の例の他、2次元又は3次元のパターンマッチングを、相互相関係数を用いた処理や誤差を最小化するフィッティング等の公知の手法で行うことによって初期基準点を計算するようにしてもよい。この場合、パターンマッチングを行うための点や輪郭の位置を表したテンプレートデータを予め準備しておくことができる。テンプレートデータを疾患別及び被検体の特徴別に多数準備しておけば、より精度良く初期基準点を計算することができる。テンプレートデータも辞書ファイルのように解剖学知識や過去の被検体の画像データに基づいて作成することができる。
【0086】
次に、図3のステップS5において、基準断面計算部40Aは、心臓の長軸又は初期基準点を基準として生成される各種断面におけるパターンマッチングや特徴点検出処理により基準断面画像データの計算を行う。この基準断面画像データのパターンマッチングも、入力を長軸の位置情報及びボリューム画像データとし、出力を基準断面画像データの画素値とするアルゴリズムとして予め準備しておくことができる。また、特徴点検出処理を行う場合には、参照データとして、辞書ファイル記憶部44に保存された辞書ファイルを用いることができる。
【0087】
図6は、図2に示す基準断面計算部40Aにおいて、心臓の長軸に基づいて基準断面画像を生成する際の流れを示す図である。
【0088】
図6(A)に示すように心臓の長軸が検出されたボリューム画像データから6つの基準断面画像データを計算によって自動生成することができる。
【0089】
具体的には、長軸に直交する断面の画像データとして左室短軸像データを生成することができる。左室短軸像は、図6(B)に示すように、LVの中心を通る断面画像とされる場合が多い。
【0090】
また、長軸を含みz軸(体軸)に平行な断面の画像データとして図6(C)に示すような垂直長軸像データを生成することができる。さらに、垂直長軸像に直交し、長軸を含む断面の画像データとして図6(E)に示すような水平長軸像データを生成することができる。
【0091】
また、図6(D)に示す短軸像データのパターンマッチングや画素値判定等の公知の特徴点検出処理によってRVの端部の位置を基準点として検出することができる。これにより、図6(F)に示すような長軸を含み、RVの端部にマークされた基準点を通る断面の画像データとして4 chamber像データを生成することができる。4 chamber像は、LV, LA, RV及びRAの4つのchamberが描出される基準断面画像である。
【0092】
4 chamber像データが生成されると、4 chamber像に直交し、長軸を含む断面の画像データとして図6(H)に示すような2 chamber像データを生成することができる。2 chamber像は、LV及びLAの2つのchamberが描出される基準断面画像である。
【0093】
また、心基部付近における左室短軸像を生成すると、図6(G)に示すようにRVが描出されずに左室流出路が描出される。図6(G)に示す短軸像データのパターンマッチングや画素値判定等の公知の特徴点検出処理によって左室流出路の端部の位置を基準点として検出することができる。これにより、長軸を含み、左室流出路の端部にマークされた基準点を通る断面の画像データとして図6(I)に示すような3 chamber像データを生成することができる。3 chamber像は、LV, LA, 左室流出路の3つのchamberが描出される基準断面画像である。
【0094】
このように、所定の位置における短軸像データにおいて特徴点を検出し、基準点としてマークすることにより、2 chamber像データ、3 chamber像データ及び4 chamber像データを自動的に順次生成することができる。
【0095】
尚、6つの基準断面画像データを生成せずに、ユーザによって選択された必要な基準断面画像データのみを生成してもよい。図6に示す例を参照すれば、僧帽弁の尖端と心尖部とを結ぶ長軸に基づいて、左室短軸像の断面の空間的な位置情報を計算した後に、4 chamber像、3 chamber及び2 chamber像の少なくともいずれかの断面の空間的な位置情報を計算することができる。全て計算する場合には、4 chamber像、2 chamber像及び3 chamber像の断面の空間的な位置情報を順番に計算することができる。
【0096】
また、ステップS4において、心尖部及び僧帽弁の尖端位置とともにRVの端部や左室流出路の端部等の特徴点の位置を予め準備したアルゴリズムに従って自動検出するようにしてもよい。更に、RVの端部の代わりに三尖弁の位置を認識して検出するようにしても良い。この場合、ステップS5において特徴点検出処理を行わなくても対応する基準断面画像データを生成することができる。
【0097】
そして、基準断面計算部40Aにおいて基準断面画像データが生成されると、基準断面画像データ又はボリューム画像データ内における基準断面の位置及び方向を表すベクトル情報が心臓の基準断面の空間的な位置情報として基準断面情報記憶部45に書き込まれる。
【0098】
次に、ステップS6において、撮像断面設定部40Bにより、心臓のイメージングにおける撮像部位の位置決めが行われる。そのために、撮像断面設定部40Bは、撮像部位の位置決めのために参照すべき単一又は複数の基準断面画像を撮像断面の設定画面とともに表示装置34に一覧表示させる。すなわち、撮像断面設定部40Bは、心臓の基準断面の位置情報に基づいて複数のアキシャル断面画像データから計算された心臓の基準断面画像を表示装置34に表示させ、表示された心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う。表示装置34に表示させるべき基準断面画像の種類、方向、サイズ、解像度等の表示条件は、ユーザの使用頻度等に応じて予め撮像断面設定部40Bにおいてプリセットしておくことができる。
【0099】
具体的には、撮像断面設定部40Bが基準断面情報記憶部45から基準断面画像データ自体を取得した場合には、撮像断面設定部40Bが基準断面画像データを表示装置34に出力させる。一方、撮像断面設定部40Bが基準断面情報記憶部45から基準断面の位置及び方向を表すベクトル情報を取得した場合には、撮像断面設定部40Bが画像データ記憶部43からボリューム画像データを読み込む。そして、撮像断面設定部40Bは、ベクトル情報に対応する基準断面画像データをボリューム画像データに対するMPR (multi planar reconstruction)処理によって生成する。
【0100】
例えば、イメージングによってコロナリ静止期間を観察するための画像を描出する場合には、コロナリ静止期間の観察に適したROIの設定用に心臓の基準断面画像が表示装置34に表示される。
【0101】
また、基準断面画像データ自体ではなく、基準断面を基準とする他の断面画像データをボリューム画像データに対するMPR処理によって生成し、生成した所望の断面画像データを位置決め用の参照画像として表示装置34に表示させることができる。すなわち、ユーザが入力装置33の操作によってROI設定用の断面画像の位置ベクトル情報を撮像断面設定部40Bに入力すると、撮像断面設定部40Bはボリューム画像データに対するMPR処理によってリアルタイムにROI設定用の画像データを自動計算し、計算によって生成された画像データを表示装置34に表示させる。また、撮像断面自体における画像データもイメージングに先だってMPR処理によって生成及び表示させることができる。
【0102】
更に、基準断面画像データ以外のMPR処理によって生成された所望の断面画像データを新たな基準断面画像データとして利用することもできる。例えば、入力装置33から所望の断面画像データを基準断面画像データに設定するという指示情報を撮像断面設定部40Bに入力することができる。このため、自動計算された基準断面画像データを入力装置33の操作によって補正することもできる。
【0103】
すなわち、撮像断面設定部40Bは、表示装置34に表示された心臓の基準断面画像を任意方向に調整する指示情報が入力装置33から入力された場合に、指示情報に基づいて、表示装置34に表示された基準断面画像を更新させるようにすることができる。例えば、心尖部、僧帽弁、長軸及び左室中心の少なくとも1つを心臓の解剖学的な特徴部として心臓の複数の基準断面画像とともに表示装置34に表示させることができる。そして、特徴部を移動させる指示情報が入力装置33から撮像断面設定部40Bに入力された場合に、撮像断面設定部40Bは特徴部の移動と連動して複数の基準断面画像を更新させることができる。
【0104】
つまり複数の特徴部の位置情報に基づいて心臓の基準断面画像を自動計算して表示装置34に表示させることができる。この場合、複数のアキシャル断面画像データ等の複数の断面画像データに基づいて基準断面計算部40Aにより自動計算されるのは、心臓の基準断面の空間的な位置情報というよりはむしろ移動可能に表示装置34に表示される心臓の複数の特徴部の位置情報であると言うこともできる。また、複数の断面画像データに限らず、3D撮像データ等のボリュームデータに基づいて心臓の複数の特徴部の位置情報を計算することももちろん可能である。
【0105】
基準断面画像を含むMPR画像は、サムネイル(thumbnail)画像として選択可能に表示させることもできる。更に、サムネイル画像データの付帯情報としてベクトル情報を付加させることができる。この場合、例えば、マウス等の入力装置33の操作によって表示装置34に表示されたサムネイル画像をドラッグし、イメージング用に選択可能に表示されている複数のパルスシーケンスのうちの1つの上にサムネイル画像をドロップすると、サムネイル画像に付帯するベクトル情報で特定される断面がパルスシーケンスのデータ収集断面に設定されるようにすることができる。
【0106】
すなわち、撮像断面設定部40Bが入力装置33からサムネイル画像及びイメージングシーケンスの選択情報を取得すると、撮像断面設定部40Bは、選択されたサムネイル画像データに付帯するベクトルで定まる断面をMRデータの収集断面とし、かつ選択されたパルスシーケンスと同種のパルスシーケンスをイメージングシーケンスに設定する。
【0107】
或いは、計算やMPR処理によって生成された複数の異なる基準断面画像自体又はそのサムネイル画像を表示装置34に表示させることができる。そして、シネ撮像、遅延造影イメージング、心筋パーフュージョン(perfusion)のイメージング、Black Bloodイメージング、横緩和(T2)強調画像の撮像、心臓全体の形態イメージング、拡散強調イメージング(DWI: Diffusion weighted imaging)等の様々な目的を有する撮像に対応する撮像プロトコルと、複数の基準断面画像の1つとを関連付ける情報が入力装置33から撮像断面設定部40Bに入力された場合に、他の少なくとも1つの基準断面画像に、イメージング対象となるスライスの適切な条件を表示させることができる。尚、撮像スライスの条件としては、スライス厚、スライス間隔、スライス間のギャップ、スライスカバレージ(スライスの範囲)等が挙げられる。
【0108】
例えば、心臓全体の形態イメージング用の撮像プロトコルの撮像対象として1つの基準断面画像が選択された場合に、選択された基準断面画像と交差する他の基準断面画像上に、心臓全体をカバーするスライスカバレージを含むスライス条件が自動的に設定されて表示されるようにすることができる。また、シネ撮像のプロトコルの撮像対象として1つの基準断面画像が選択された場合には、選択された基準断面又は選択された基準断面を中心とする平行な数枚の断面を撮像スライスとして他の基準断面画像上に表示させることができる。
【0109】
イメージングシーケンスにおけるデータ収集断面は、入力装置33の操作によるマニュアル設定の他、予め撮像目的に従ってプリセットすることもできる。例えば、複数のデータ収集断面が複数のイメージングシーケンスに自動的に順次割り当てられるようにプリセットできる。
【0110】
尚、基準断面の位置及び方向を表すベクトル情報は、ネットワークや記録メディアを介して他の医用機器に出力することができる。このため、他の医用機器において、基準断面情報を利用することができる。
【0111】
データ収集断面の他、撮像条件設定部40では種々の撮像条件を自動設定することができる。例えば、次のような撮像条件が自動設定される。すなわち、撮像条件設定部40は、撮像部位の長手方向を画像処理によって自動判定し、短い方向をエンコード方向に設定する。また、撮像条件設定部40は、矩形状の撮影視野(FOV field of view)を同一平面内で回転させ、心臓の長軸方向がFOVの長手方向となるようにFOVを自動補正する。更に、撮像条件設定部40は、心臓の中心位置を画像処理によって自動検出し、FOVの中心位置が概ね撮像対象となる心臓の中心位置となるようにFOVを自動調整する。また、撮像条件設定部40は、撮像部位となる心臓のサイズを自動測定し、撮像部位がFOV内に入っていない場合には、撮像部位がFOV内となるようにFOVを拡大する。
【0112】
次に、ステップS7において、イメージングスキャンの実行によって、位置決めにより設定された撮像部位がイメージングされる。すなわち、撮像条件設定部40は、撮像断面設定部40Bにより設定されたデータ収集部位を含む撮像条件をシーケンスコントローラ31に出力する。このため、スカウト画像データやマルチスライスアキシャル断面画像データの収集と同様な流れで心臓の診断画像データの生成用のMRデータが被検体Pから収集される。そして、画像生成部41Aは、MRデータから被検体Pの診断画像データを生成する。
【0113】
次に、ステップS8において、インデックス情報作成部41Bは、診断画像データの位置決めに用いられた心臓の基準断面を特定する情報を、診断画像データの分類情報として診断画像データに付加する。すなわち、インデックス情報作成部41Bは、診断画像データに対応する心臓の基準断面画像の識別情報を撮像断面設定部40Bから取得し、取得した基準断面画像の識別情報を診断画像データに付帯情報として付加する。
【0114】
そして、同様な流れで順次所望の基準断面を介して位置決めされた診断画像データが収集され、収集された診断画像データは画像データ記憶部43に書き込まれる。画像データ記憶部43に保存された診断画像データには、対応する心臓の基準断面画像の識別情報が付加されている。このため、基準断面画像の識別情報をインデックスとして診断画像データを整理又は検索し、所望の診断画像データを表示させることができる。
【0115】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、アキシャル断面画像データ等の単純な直交3断面の画像データに基づいて心臓における基準断面の空間位置を計算によって自動的に求め、計算によって生成された基準断面画像を心臓イメージングの位置決め用に表示できるようにしたものである。更に、磁気共鳴イメージング装置20は、イメージングによって収集された診断画像データのインデックス情報として、診断画像データに対応する基準断面の計算結果を利用するようにしたものである。
【0116】
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、従来、心臓のイメージングスキャンに先って行われていた位置決め及び基準断面画像データの収集の繰り返しを不要にすることができる。このため、ユーザの煩雑なマニュアル操作を回避して、より短時間で心臓の基準断面画像データを取得することができる。
【0117】
また、磁気共鳴イメージング装置20によれば、所定のアルゴリズムに従って心臓の特徴点を自動検出し、検出した特徴点を用いて均一な精度で心臓の基準断面の空間位置を計算することができる。このため、ユーザの心臓に対する解剖学的な知識や熟練度並びに被検体ごとの特徴に依存することなく、位置決めの精度を維持することができる。
【0118】
更に、磁気共鳴イメージング装置20によれば、実際に画像データを収集することなく、計算によって生成した任意の断面における計算画像データを用いて診断画像データを分類することができる。このため、診断画像データの分類方法に制約がなく、ユーザの好みに応じた診断画像の分類が可能となる。
【0119】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0120】
例えば、図5に示す心臓の収縮期の静止期間ΔT1及び拡張期の静止期間ΔT2の双方においてそれぞれ複数のアキシャル断面画像データを収集することもできる。この場合、心臓の拡張期の静止期間に対応する複数のアキシャル断面画像データに基づく心臓の第1の基準断面の空間的な位置情報と、心臓の収縮期の静止期間に対応する複数のアキシャル断面画像データに基づく心臓の第2の基準断面の空間的な位置情報とをそれぞれ計算することができる。従って、第1及び第2の基準断面の位置情報から、より高精度かつ良好に計算された基準断面の位置情報を選択することができる。換言すれば、アキシャル断面画像データ用のMR信号の収集タイミングが万一適切に設定されなかった場合であっても、アキシャル断面画像データの再収集を回避することができる。しかも、そのためのMR信号の収集期間を殆ど増加させる必要がない。
【0121】
また、上述した実施形態では、心臓のイメージングを主として説明したが、大動脈のイメージングにおいても同様な方法で基準位置の自動検出及び基準断面画像の計算を行うことができる。
【0122】
また、装置の操作や位置決め作業に習熟していないユーザを想定し、磁気共鳴イメージング装置20にユーザへのチュートリアル機能やユーザの熟練度を評価する機能を設けてもよい。例えば、マルチスライス画像データ及び基準断面画像のマニュアル収集をユーザが行った場合に、作業に要した時間や基準断面の精度を基準値と照らし合わせてユーザの熟練度についての評価情報を作成することができる。基準断面の精度は、例えば、マニュアル収集された基準断面と計算によって得られた基準断面との間における乖離量を指標として定義することができる。これらの機能は、コンピュータ32の機能として磁気共鳴イメージング装置20に具備することができる。
【符号の説明】
【0123】
20 磁気共鳴イメージング装置
21 静磁場用磁石
22 シムコイル
23 傾斜磁場コイル
24 RFコイル
26 静磁場電源
27 傾斜磁場電源
28 シムコイル電源
32 コンピュータ
33 入力装置
34 表示装置
35 演算装置
36 記憶装置
38 ECGユニット
40 撮像条件設定部
40A 基準断面計算部
40B 撮像断面設定部
41 データ処理部
41A 画像生成部
41B インデックス情報作成部
42 k空間データ記憶部
43 画像データ記憶部
44 辞書ファイル記憶部
45 基準断面情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴を利用して被検体から心臓を含む複数の断面画像データを収集する収集手段と、
前記複数の断面画像データに基づいて前記心臓の基準断面の空間的な位置情報を計算する基準断面情報計算手段と、
前記基準断面の位置情報に基づいて前記複数の断面画像データから計算された前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う位置決め手段と、
前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングするイメージング手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記基準断面情報計算手段は、前記複数の断面画像データ又は前記複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに基づいて、解剖学的知見に基づく信号処理を含む第1のアルゴリズムにより前記基準断面の位置情報の検出処理を行い、前記第1のアルゴリズムによる前記基準断面の位置情報の検出精度に応じて、解剖学的知見及び他の複数の被検体の心臓の形態画像データの少なくとも一方から生成される参照データを参照した第2のアルゴリズムによる前記基準断面の位置情報の検出処理を行うように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記基準断面情報計算手段は、前記複数の断面画像データ又は前記複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに基づいて、解剖学的知見及び他の複数の被検体の心臓の形態画像データの少なくとも一方から生成される参照データを参照して前記基準断面の位置の候補を絞った後、解剖学的知見に基づく信号処理により前記基準断面の位置を特定するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記基準断面情報計算手段は、解剖学的知見に基づく信号処理を含む第1のアルゴリズム又は解剖学的知見及び他の複数の被検体の心臓の形態画像データの少なくとも一方から生成される参照データを参照した第2のアルゴリズムにより、前記複数の断面画像データ又は前記複数の断面画像データから生成されるボリューム画像データに基づいて、前記基準断面の位置情報の検出処理を行うように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記基準断面情報計算手段は、前記基準断面の位置情報をベクトル情報として計算するように構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記位置決め手段は、計算によって生成された複数の異なる基準断面画像を複数のサムネイル画像として表示させ、入力装置から取得したサムネイル画像の選択情報に従って前記イメージング用の磁気共鳴データの収集に用いられるパルスシーケンスのデータ収集断面を設定するように構成される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記位置決め手段は、計算によって生成された複数の異なる基準断面画像を表示させ、前記複数の基準断面画像の1つと前記イメージング用の撮像プロトコルとを関連付ける情報が入力装置から入力された場合に、他の少なくとも1の基準断面画像に前記イメージング対象となるスライスの条件を表示させるように構成される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記イメージングによって収集された画像データの位置決めに用いられた基準断面画像の識別情報を前記画像データの分類情報として前記画像データに付加する分類情報付加手段を更に備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記位置決め手段は、前記表示装置に表示された前記心臓の基準断面画像を任意方向に調整する指示情報が入力装置から入力された場合に、前記指示情報に基づいて、前記表示装置に表示された前記基準断面画像を更新させるように構成される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記収集手段は、心電信号の基準波からの遅延時間を一定にして前記心臓の拡張期の静止期間又は収縮期の静止期間において前記複数の断面画像データを収集するように構成される請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記収集手段は、前記心臓の拡張期の静止期間及び収縮期の静止期間においてそれぞれ前記複数の断面画像データを収集するように構成され、
前記基準断面情報計算手段は、前記心臓の拡張期の静止期間に対応する複数の断面画像データに基づく前記心臓の第1の基準断面の空間的な位置情報と、前記心臓の収縮期の静止期間に対応する複数の断面画像データに基づく前記心臓の第2の基準断面の空間的な位置情報とを計算するように構成される請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記基準断面情報計算手段は、僧帽弁の尖端と心尖部とを結ぶ長軸に基づいて、左室短軸像の断面の空間的な位置情報を計算した後に、四腔長軸像、三腔長軸像及び二腔長軸像の少なくともいずれかの断面の空間的な位置情報を計算するように構成される請求項1乃至11のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記基準断面情報計算手段は、僧帽弁の尖端と心尖部とを結ぶ長軸に基づいて、左室短軸像の断面の空間的な位置情報を計算した後に、四腔長軸像、二腔長軸像及び三腔長軸像の断面の空間的な位置情報を順番に計算するように構成される請求項1乃至12のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記基準断面情報計算手段は、右室の機能の評価を行う場合には右室を横切る断面を前記基準断面とし、弁の機能の評価を行う場合には前記弁を通る断面を前記基準断面とするように構成される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
磁気共鳴を利用して被検体から心臓を含む複数の断面画像データを収集する収集手段と、
前記複数の断面画像データに基づいて前記心臓の複数の特徴部の位置情報を計算する基準断面情報計算手段と、
前記複数の特徴部の位置情報に基づいて前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う位置決め手段と、
前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングするイメージング手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
磁気共鳴を利用した被検体の心臓を含むボリュームデータに基づいて前記心臓の複数の特徴部の位置情報を計算する基準断面情報計算手段と、
前記複数の特徴部の位置情報に基づいて前記心臓の基準断面画像を表示装置に表示させ、表示された前記心臓の基準断面画像を介してイメージング用の撮像部位の位置決めを行う位置決め手段と、
前記位置決めにより設定された前記撮像部位をイメージングするイメージング手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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