説明

磁気刺激のためのコイル最適化

【課題】磁気刺激デバイスの最適コイル形状を決定するのに使用できる最適化技法を提供する。
【解決手段】磁気刺激に使用する最適コイル形状を決定する方法は、刺激部位及び当該刺激部位での制約条件を特定する段階を含む。刺激部位での第1の電磁効果が求められる。第1の電磁効果は、第1の配向を有する第1の電流要素部位での第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量によって誘起される。刺激部位での第2の電磁効果も求められる。第2の電磁効果は、第2の配向を有する第1の電流要素部位での第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量によって誘起される。第1の電磁効果及び第2の電磁効果に基づき、第1の電流要素部位での電流要素の最適配向が決定される。最適配向は、当該制約条件が満足されるようなものである。複数の部位で当該プロセスを反復することにより、最適コイル形状がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に、磁気エネルギーの送出に使用する磁気コイルの最適形状を決定する方法に関する。より具体的には、本開示は、磁気コイルが大域的に最適であり且つ複数の刺激部位を同時に刺激可能であることを保証するため、ラグランジェ乗数を用いることにより磁気コイルの最適形状を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気刺激は、多くの臨床症状の研究及び治療に広く用いられてきた。磁気刺激は、時間的に変化する電流をコイルに通すことによって実施することができる。当業者には周知のように、時間的に変化する電流は、コイルの近傍区域において時間的に変化する磁場を生成する。コイルを患者の近傍又は患者と接触して配置することにより、時間的に変化する磁場が患者の少なくとも一部分を通る。時間的に変化する磁場は電場を誘起し、これにより患者内部に電流(又は渦電流)を生じさせる。渦電流は、患者の神経組織と相互作用し、該神経組織を刺激することができる。例えば、電場が、十分な持続時間の大きな負の勾配を有する場合には、患者の神経線維を脱分極させ、活動電位を引き起こすことができる。電場が大きな正の勾配を有する場合には、神経線維を過分極させ、活動電位の伝播をも遮断することが可能である。
【0003】
磁気刺激は、両方とも電流を使用して患者の神経線維を刺激する点で、電気刺激と類似している。しかしながら、磁気刺激は、電気刺激よりも優れた幾つかの利点を有する。磁気刺激は、比較的痛みを伴わず、頭蓋骨のような患者の電気的に絶縁された部分に容易に印加することができる。更に、磁気刺激は、侵襲的手技を必要とせず、磁気刺激器が十分に強力である場合には、患者との接触をも必要としない場合がある。
【0004】
磁気刺激の主な限界は、患者又は他の個人内の特定の刺激部位において所望の電場又は他の制約条件を効率的に誘起できるコイルを設計する能力である。例えば、刺激は、刺激部位で起こり、患者内部の何れの近傍部位と干渉せず又は該部位を刺激しないように誘起電場を制御することが望ましい。
【0005】
多くの研究者が、中枢及び末梢神経系の両方の磁気刺激の刺激部位を制御する能力を向上させるために、コイル設計を最適化しようとする最適化研究を行ってきた。これらの最適化研究は、コイル形状、寸法、配向、使用されるコイルの数、その他を変更することによって、様々な組織についての電場又は電場勾配を最大にするよう試みてきた。これらの最適化研究に基づいて生成されたコイル設計の主な問題点は、これらが最適コイルの全体(円形又は楕円)形状を仮定し、次いで刺激目標を達成しようとして、その仮定の形状に影響する限定的な数のパラメータを変更することである。全体形状が仮定されたものであり決定されてはいないので、求めたコイル設計が大域的に最適であるという保証はない。加えて、従来の磁気刺激コイルは、周囲組織の導電率の不均一性の影響を考慮せずに設計されている。更に、従来の磁気刺激コイルは、2つ以上の部位での磁気刺激を効果的に制御するこれらの能力が限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、所望の目標が実現できるように、磁気刺激デバイスの最適コイル形状を決定するのに使用できる最適化技法に対する必要性が存在する。更に、全体コイル形状が仮定されない最適コイル解を決定する最適化技法に対する必要性が存在する。更に、所望の組織部位を囲む組織の導電率の不均一性を考慮したコイルを決定する最適化技法に対する必要性が存在する。更に、所望の電場分布が複数の組織部位に同時に提供できるように最適コイルを決定する最適化技法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
磁気刺激で使用する最適コイル形状を決定する例示的な方法が提供される。刺激部位及び該刺激部位での制約条件が特定される。刺激部位での第1の電磁効果が求められる。第1の電磁効果は、第1の配向を有する第1の電流要素部位で第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量によって誘起される。刺激部位での第2の電磁効果も求められる。第2の電磁効果は、第2の配向を有する第1の電流要素部位で第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量によって誘起される。第1の電磁効果及び第2の電磁効果に基づいて、第1の電流要素部位での電流要素の最適配向が決定される。当該配向は、制約条件が満足されるようなものである。
【0008】
例示的なコンピュータ可読媒体も提供される。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたときに磁気刺激のための最適コイル形状をプロセッサに作成させるコンピュータ可読命令を格納させている。命令は、刺激部位を当該刺激部位の電気的特性に基づいてモデル化するように構成される。当該命令はまた、刺激部位での第1の電磁効果及び刺激部位での第2の電磁効果を求めるように構成される。第1の電磁効果は、第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量によって誘起される。第1の電流要素は、第1の配向を有する第1の電流要素部位にある。第2の電磁効果は、第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量によって誘起される。第2の電流要素は、第2の配向を有する第1の電流要素部位にある。当該命令は更に、求められた第1の電磁効果及び求められた第2の電磁効果に基づいて第1の電流要素部位での電流要素の最適配向を決定するように構成される。当該配向は、刺激部位での制約条件が満足されるようなものである。
【0009】
磁気刺激に使用する最適コイル形状を決定する第2の例示的な方法も提供される。身体部分の少なくとも一部分のモデルが、身体部分の電気的特性に基づいて生成される。身体部分の一部分は刺激部位を含む。刺激部位での第1の電磁効果は、当該モデルと、第1の配向を有する第1の電流要素部位での第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量とを用いて求められる。刺激部位での第2の電磁効果もまた、当該モデルと、第2の配向を有する第1の電流要素部位での第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量とを用いて求められる。第1の電磁効果に対応する第1の重み係数及び第2の電磁効果に対応する第2の重み係数が、ラグランジェ乗数法を用いて決定される。第1の重み係数及び第2の重み係数に基づいた全体重みベクトルも決定される。全体重みベクトルの方向成分は、刺激部位での制約条件が満足されるような第1の電流要素部位での電流要素の最適配向を備える。
【0010】
他の基本的な特徴及び利点は、添付図面、発明の実施の形態、並びに添付の請求項を精査すれば当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下では添付図面を参照しながら例示的な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、例示的な実施形態による最適な磁気刺激コイル形状を決定するために行われるオペレーションを示すフロー線図である。別の実施形態では、追加のオペレーション、又はより少ないオペレーション、或いは異なるオペレーションを実施することができる。例示的な実施形態において、図1に関連して説明されるオペレーションの何れもが、コンピュータシミュレーションを通じて、他の何れかのコンピュータソフトウェアを用いて、ハードウェアを用いて、及び/又は手動で実施することができる。決定されると、最適磁気刺激コイル形状は、最適磁気刺激コイルの構造におけるガイドとして使用することができる。最適磁気刺激コイルは、患者に対して磁気刺激を提供する磁気刺激デバイスにおいて使用することができる。本明細書で使用される磁気刺激とは、神経組織又は他の何れかの組織に加えられる脱分極刺激、神経組織又は他の何れかの組織に加えられる過分極刺激、治癒を促進させるため骨折部に加えられる何れかの磁気刺激、又は磁場を介して患者又は他の個人に加えられる他の何れかの磁気エネルギーを意味することができる。1つの実施形態において、磁気刺激を用いて、電気製品、送電線、磁気式物品監視スキャナー、その他に起因して特定の部位に誘起される電流を低減させることによって有害な電磁エネルギーの比吸収速度を低下させることができる。
【0013】
オペレーション100において、刺激部位が特定される。刺激部位は、磁気刺激が所望される何れかの神経(或いは他の)組織の部位とすることができる。神経組織は、中枢又は末梢神経系の何れかの神経の一部とすることができる。例えば、刺激部位は、脳内部の特定の部位、尺骨神経内の特定の部位、脊髄内の特定の部位、胸部神経内の特定の部位、坐骨神経内の特定の部位、大腿神経内の特定の部位、その他とすることができる。或いは、刺激部位は、身体内部の他の何れかの組織又は骨の部位とすることができる。1つの実施形態において、刺激部位は、動物内部の組織又は骨の部位を指すことができる。
【0014】
例示的な実施形態において、幅広い患者に適応できる最適磁気コイルを設計することが望ましい。しかしながら、特定の刺激部位は個人毎に異なる可能性がある。例えば、磁気刺激部位は、磁気刺激を用いて腕の疾患の治療を促進することができる尺骨神経に沿った正確な部位とすることができる。患者Aは、刺激部位が皮膚表面下8ミリメートル(mm)にある小柄な女性とすることができる。患者Bは、刺激部位が皮膚表面下13mmにある大柄な男性とすることができる。従って、患者Aでの磁気刺激に最適な磁気コイルは、患者Bでの磁気刺激に最適な磁気コイルとは少なくとも寸法が異なる可能性がある。例示的な実施形態において、最適な磁気コイルは、平均的な人体内の刺激部位に基づくことができる。或いは、最適な磁気コイルは、小さな人体、大きな人体、非常に大きな人体、その他内の刺激部位に基づくことができる。別の代替の実施形態において、最適な磁気コイルは、特定の患者の身体に基づくことができる。
【0015】
例示的な実施形態において、磁気刺激が複数の部位に同時に与えることができるように、複数の刺激部位を特定することができる。例えば、尺骨神経に沿った第1の刺激部位で脱分極刺激を印加し、同時に尺骨に沿った第2の刺激部位で過分極刺激を印加することが望ましい場合がある。2、3、4,5、その他を含む、何らかの数の刺激部位を同時磁気刺激のために特定することができる。代替の実施形態においては、単一の刺激部位を特定することができる。刺激部位は、当業者には周知の何れかの方法によって特定することができる。
【0016】
刺激部位又はその近傍での神経組織、骨、体液、筋肉、皮膚、及び他の何れかの物質は、磁気刺激に影響を及ぼすことができる電気的特性を示す可能性がある。オペレーション105において、刺激部位での電気的特性が特定される。電気的特性は、刺激部位での抵抗、刺激部位でのリアクタンス、又は刺激部位を通る電流に影響を及ぼすことができる他の何れかの電気的特性を含むことができる。例示的な実施形態においては、刺激部位を囲む領域の電気的特性も特定することができる。例えば、磁気刺激部位が、腕のような身体部分の内部にある場合、腕全体の電気的特性を特定することができる。刺激部位及び刺激部位を囲む区域の電気的特性は、当業者には周知の何れかの方法によって特定することができる。
【0017】
オペレーション107において、特定された電気的特性がモデル化される。電気的特性は、刺激部位及びこれを囲む物質のシミュレーションとしてコンピュータによってモデル化することができる。或いは、電気的特性は、身体部分レプリカ内で物理的にモデル化することができる。例示的な実施形態において、電気的特性は、回路図のような電気的モデルにおける回路要素として表すことができる。或いは、電気的特性は、当業者には周知の他の何れかのタイプのモデル、方程式、データ、その他によって表すことができる。1つの実施形態において、低周波インピーダンス法を用いて、刺激部位及び周囲区域をモデル化することができる。低周波インピーダンス法は、刺激部位及びその周囲でのインピーダンスの無効成分を無視することができるように、刺激部位及び周囲での磁気刺激パルス及び結果として生じる渦電流において低い(ほぼ100キロヘルツ未満)周波数を前提とする。従って、刺激部位でのインピーダンスは、抵抗要素を用いて表すことができる。
【0018】
図2Aは、例示的な実施形態による刺激部位及びその周囲での電気的特性を示す回路図である。本回路図は、第1のループ面200及び第2のループ面205を含む2次元表現である。代替の実施形態では、他の何れかの数のループ面を使用することができる。例えば、1つ又はそれ以上の追加のループ面は、第1のループ面200の左、第1のループ面200の上、第1のループ面200の下、第2のループ面205の上、第2のループ面205の下、第2のループ面205の右、モデルが3次元であるようにする第1のループ面200及び/又は第2のループ面205の前方、モデルが3次元であるようにする第1ループ面200及び/又は第2のループ面205の後方、及び/又は刺激部位及びその周囲の区域が適切にモデル化できるようにする他の何れかの位置に含めることができる。代替の実施形態において、リアクタンス、インダクタンス、キャパシタンス、及び/又は他の何れかの電気的特性も回路図内に表すことができる。別の代替の実施形態において、ループ面は、他の何れかの形状及び/又は寸法としてモデル化することができる。例えば、刺激部位及びその近傍でより高い解像度が得られるように、刺激部位に接近したループ面は、刺激部位から離れたループ面よりも小さくすることができる。
【0019】
第1のループ面200は、その抵抗要素R1、R2、R3、及びR4に流れる渦電流(ループ電流)X1を有する。同様に、第2のループ面205は、その抵抗要素R4、R5、R6、及びR7に流れる渦電流(ループ電流)X2を有する。渦電流X1及びX2は、刺激部位の近傍に置かれた磁気コイル内の時間的に変化する電流によって引き起こされる時間的に変化する磁場から生じることができる。例示的な実施形態において、抵抗要素の値は、刺激部位及びその周りの物質に基づいて変化することができる。例えば、R4は、刺激部位での神経組織の抵抗に対応することができ、R7は、刺激部位の近傍の中実の骨の抵抗に対応することができ、R1は、刺激部位の近傍の血液の抵抗に対応することができる、などである。例示的な実施形態において、第1のループ面200及び第2のループ面205は、刺激部位でのどのような寸法にも対応することができる。例えば、第1のループ面200の各辺は、刺激部位での1マイクロメートル(μm)、刺激部位での1mm、刺激部位での5mm、その他の長さに対応することができる。代替の実施形態では、3次元回路図を使用することができる。図2Bは、例示的な実施形態による刺激部位及びその周囲での電気的特性を表す3次元立方体図である。立方体図内の各ループ面210は、刺激部位の近傍の電流ループを表すことができ、各立方体境界215は、刺激部位又はその近傍での電気的特性を表す抵抗又は他の回路要素を含むことができる。
【0020】
再度図1を参照すると、オペレーション110において、刺激部位についての制約条件が特定される。例示的な実施形態において、制約条件は、刺激部位を通る所望の電流フローとすることができる。例えば、制約条件は、図2Aに関して示された抵抗要素R4を通って流れる電流Xの特定の値とすることができる。或いは、制約条件は、刺激部位での所望の電場強度、刺激部位での所望の電場勾配、刺激部位での所望の電圧、その他とすることができる。例示的な実施形態において、制約条件は、各々特定された刺激部位について特定することができる。例えば、大腿神経に沿った磁気刺激について3つの刺激部位を特定することができる。第1の刺激部位での制約条件は、50ミリアンペア(mA)の電流とすることができ、第2の刺激部位での制約条件は、負の50mAの電流とすることができ、更に、第3の刺激部位での制約条件は、100mAの電流とすることができる。
【0021】
1つの実施形態において、1つ又はそれ以上の制約条件を用いて、他の制約条件が確実に物理的に実現できるようにすることができる。一例として、図2Aに関して示された電流間の関係は、電流Xはループ電流X1からループ電流X2を差し引いたものに等しい。従って、ループ電流X1が50mA、ループ電流X2が20mA、及び電流Xが100mAであることを要求する制約条件を有することは、物理的に実現可能ではない。こうした状況を回避して制約条件を確実に実現するために、上述のような電流間の関係も同様に制約条件とすることができる。加えて、制約条件は、設計上の考慮事項として加えることができる。例えば、制約条件は、単線を用いて最適磁気コイルを構成することができるように、モデル全体にわたり各電流要素でキルヒホッフの電流則を満足するものとすることができる。制約条件は、当業者には周知の何れかの方法によって特定することができる。
【0022】
オペレーション115において、電流要素部位での第1の配向を有する第1の電流要素から生じた第1の電磁効果が求められる。例示的な実施形態において、第1の電流要素は、電流を導通することができる何れかの構造体として物理的又はコンピュータ上でモデル化することができる。別の例示的な実施形態において、第1の電流要素は、最適な磁気刺激コイルの構成に使用される材料の微小部分としてモデル化することができる。例えば、磁気刺激コイルが銅線から構成されることになる場合、第1の電流要素は、銅線の短片としてモデル化することができる。或いは、第1の電流要素は、他の何れかの形状としてモデル化され、及び/又は他の何らかのタイプの導電性材料で作ることができる。
【0023】
例示的な実施形態において、電流要素部位は、刺激部位を囲む皮膚の近傍の何れかの部位とすることができる。例えば、刺激部位は、肘の近傍に位置する尺骨神経の一部分とすることができる。電流要素部位は、腕又は磁気刺激コイルを配置することができる他の何れかの組織の全長に沿った何れかの部位とすることができる。電流要素部位は、皮膚の表面に隣接し、皮膚表面から1mm、皮膚表面から2mm、皮膚表面から3mm、又は皮膚表面から他の何れかの距離とすることができ、その距離にある電流要素が、皮膚に悪影響を与えることなく刺激部位で電磁効果をもたらすことができるようにする。第1の配向は、第1の電流要素を配置することができる電流要素部位での何れかの好都合な配向とすることができる。
【0024】
例示的な実施形態において、第1の電磁効果は、第1の電流要素に帰属又は印加される電気量から生じる何れかの効果とすることができる。別の例示的な実施形態において、電気量は、時間に対する電流の変化(di/dt)の値とすることができる。di/dt値は、1アンペア/秒(A/s)又は実施形態に応じた他の何れかの値とすることができる。1つの実施形態において、同じ電気量は、磁気コイルをモデル化するのに使用される各電流要素に帰属することができる。一例として、第1の電流要素に帰属する電気量は、1A/sのdi/dtとすることができ、第1の電磁効果は、第1の電流要素から生じる刺激部位での渦電流とすることができる。或いは、第1の電磁効果は、刺激部位での電場、刺激部位での磁束、刺激部位での電場勾配、その他とすることができる。例示的な実施形態において、第1の電磁効果はまた、刺激部位を囲む区域内の電磁効果を意味することができる。第1の電磁効果は、当業者には周知の何れかの方法によって求めることができる。
【0025】
オペレーション120において、電流要素部位での第2の配向を有する第2の電流要素から生じた第2の電磁効果が求められる。例示的な実施形態において、第2の電流要素は、オペレーション115に関して記述された第1の電流要素と同じ寸法、形状、材料、その他として物理的又はコンピュータ上でモデル化することができる。別の例示的な実施形態において、第2の配向は、第1の配向に対して直角とすることができる。或いは、第2の配向は、第1の配向に平行ではなく且つ第2の電流要素が皮膚表面によって妨げられない何れかの配向とすることができる。第2の電磁効果は、第2の電流要素に帰属又は印加された電気量から生じる効果とすることができる。電気量は、実施形態に応じて第1の電流要素に帰属又は印加される電気量と同じ又は異なるものとすることができる。
【0026】
オペレーション121において、電流要素部位での第3の配向を有する第3の電流要素から生じる第3の電磁効果を求めることができる。第3の配向は、第1の配向及び第2の配向に対して直角とすることができる。或いは、第3の配向は、第1の配向及び第2の配向によって形成された平面に位置しない他の何れかの配向とすることができる。第3の配向を用いて、電流要素部位での三次元電流要素の最適配向を決定することができる。代替の実施形態において、電流要素部位の何れか又は全てにおいて、2つの電流要素のみを使用することができる。電流要素部位での単一の電流要素の最適配向を決定するために、第1及び第2の配向のみが使用される場合、最適配向は二次元電流要素に対応することができる。或いは、最適配向が物理的障壁に起因して所与の方向に位置することができないと分かった場合、第1及び第2の配向を用いて、第1の配向及び第2の配向によって形成された平面に位置する最適三次元電流要素を決定することができる。
【0027】
オペレーション122において、別の電流要素部位での電流要素を評価するかどうかに関し決定される。これに応じて、複数の電流要素部位の各々について、オペレーション115、120、及び/又は121を反復することができる。例えば、第1の電流要素部位に加え、第1の電流要素部位とは別の第2の電流要素部位でも電磁効果を求めることができる。2つの電流要素が各電流要素部位でモデル化される場合、第3の電磁効果は、第2の電流要素部位での第3の配向を有する第3の電流要素によって生じた効果とすることができ、第4の電磁効果は、第2の電流要素部位での第4の配向を有する第4の電流要素によって生じた効果とすることができる。3つの電流要素が各電流要素部位でモデル化される場合、第4の電磁効果は、第2の電流要素部位での第4の配向を有する第4の電流要素によって生じた効果とすることができ、第5の電磁効果は、第2の電流要素部位での第5の配向を有する第5の電流要素によって生じた効果とすることができ、以下同様である。同様に、別個の第3の電流要素部位、別個の第4の電流要素部位、その他での電流要素から生じる電磁効果も求めることができる。このプロセスは、何れかの数の電流要素部位の評価が終わるまで反復することができる。例示的な実施形態において、複数の電流要素部位から誘起される電磁効果は同時に求めることができる。
【0028】
複数の電流要素部位は、ランダムに、均一に、あるパターンが形成されるように、又は他の何らかの基準に基づいて選択することができる。加えて、複数の電流要素部位のうちの各電流要素部位は、電流要素部位が皮膚の表面によって妨げられない刺激部位を囲む3次元空間内の何れかの部位とすることができる。図3は、例示的な実施形態による、腕内部の刺激部位300に近接した複数の電流要素部位を示す部位図である。例示的な実施形態において、刺激部位300は、腕の肘の近傍に位置する尺骨神経の一部分とすることができる。電流要素部位は、腕を囲む複数の円形状305で配列される。各円形状を構成する電流要素部位は互いに等距離にあることができ、複数の円形状305は腕の長さに沿って均等に間隔を置くことができる。例えば、第1の電流要素部位310は、第2の電流要素部位315から距離wにあることができ、第2の電流要素部位315は第3の電流要素部位320から距離wにあることができ、以下同様である。同様に、第1の円形状325は第2の円形状330から距離yにあることができ、第2の円形状330は第3の円形状335から距離yにあることができ、以下同様である。例示的な実施形態において、距離w及びyは5mmとすることができる。或いは、距離w及びyは他の何れかの値とすることができる。別の実施形態において、複数の電流要素は他の何れかの方式で配列することができる。例えば、電流要素部位は、刺激部位300の周りにランダムに、又は刺激部位300の周りの1つ又はそれ以上の螺旋の形状で、又は刺激部位300の周りの1つ又はそれ以上の楕円の形状などで分布させることができる。
【0029】
再度図1を参照すると、電流要素部位が評価されると、オペレーション125で、各電流要素部位での単一電流要素の最適配向が決定される。1つの例示的な実施形態において、最適配向は、制約条件を満足する配向とすることができ、これはまた、電流要素における時間に対する電流の変化の速度(di/dt)の最小化二乗平均平方根(RMS)をもたらす。例示的な実施形態において、複数の電流要素部位での最適配向は同時に求めることができ、di/dtのRMSが複数の電流要素部位の各々で最小化されるようにする。磁気コイル内の高di/dtは、磁気コイルを通る過度に大きな電流に対応することができる。このような大電流は、磁気コイルを過熱させ、及び/又は磁気コイルの抵抗に悪影響を与える可能性がある。従って、高di/dtは、物理的に実現できないか、又は厚い高耐久性の材料で作る必要がある磁気コイルを生じる可能性がある。di/dtのRMSを最小化することにより、効率的で実現可能な設計の磁気コイルを得ることができる。
【0030】
例示的な実施形態では、求められた電磁効果に適用することができる1つ又はそれ以上の重み係数を計算することにより、各電流要素部位での最適配向を決定することができる。上述のように、第1の電磁効果は、第1の電流要素部位にあり且つ第1の配向を有する第1の電流要素に帰属する電気量の刺激部位及びその周りでの効果を求めることによって得ることができる。同様に、第2の電磁効果は、第1の電流要素部位にあり且つ第2の配向を有する第2の電流要素に帰属する電気量の刺激部位及びその周りでの効果を求めることによって得ることができる。第1の重み係数m1及び第2の重み係数m2は、第1の電流要素部位での第1及び第2の電流要素の全体の電磁効果が制約条件を満足することに対応するように、電気量に乗算できる値とすることができる。第1及び第2の重み係数m1及びm2はまた、第1の電流要素部位での第1及び第2の電流要素の全体の効果が制約条件を満足することに対応するように、第1の電磁効果及び第2の電磁効果にそれぞれ乗算できる値とすることができる。
【0031】
一例として、制約条件は、刺激部位での100mAの電流とすることができる。1A/sのdi/dtが、第1の電流要素部位にあり且つ第1の配向を有する第1の電流要素に任意に帰属し、第1の電流要素部位にあり且つ第2の配向を有する第2の電流要素に任意に帰属することができる。第1の電磁効果は、第1の配向を有する第1の電流要素から生じた刺激部位での渦電流とすることができ、第2の電磁効果は、第2の配向を有する第2の電流要素から生じた刺激部位での渦電流とすることができる。当業者には周知の方法を用いて、第1の電磁効果及び第2の電磁効果を計算することができる。重み係数m1及びm2は、2つの電流要素の全体の効果が、刺激部位での100mAの電流(すなわち制約条件)であるように、第1及び第2の配向を有する電流要素に割り当てられたdi/dt値に乗算すべき値とすることができる。従って、m1及び/又はm2は1よりも小さいか、1よりも大きいか、又は1に等しい可能性がある。重み係数m1及びm2はまた、第1及び第2の電流要素の全体の効果が100mAの電流であるように、第1の電磁効果及び第2の電磁効果にそれぞれ乗算されるべき値とすることができる。
【0032】
1つの実施形態において、di/dtはまた、第1の電流要素部位にあり且つ第3の配向を有する第3の電流要素に割り当ることができる。第3の配向は、第1の配向及び第2の配向に対して直角とすることができる。従って、第3の重み係数m3は、第1の電流要素部位にあり且つ第3の配向を有する第3の電流要素に対応することができる。重み係数m1、m2、及びm3は、3つの電流要素の全体の効果が、制約条件を満足することに対応するように、割り当てられたdi/dtに乗算できる値とすることができる。重み係数m1、m2、及びm3はまた、第1、第2、及び第の電流要素の全体の効果が100mAの電流であるように、第1の電磁効果、第2の電磁効果、及び第3の電磁効果にそれぞれ乗算されるべき値とすることができる。
【0033】
1つの例示的な実施形態において、複数の電流要素部位の各々について重み係数を決定することができる。例えば、2つの電流要素が各電流要素部位で使用される場合、重み係数m1及びm2が第1の電流要素部位に対応することができ、重み係数m3及びm4が第2の電流要素部位に対応することができ、重み係数m5及びm6が第3の電流要素部位に対応することができ、以下同様である。別の例示的な実施形態において、各重み係数の値は、重み係数の組み合わされた効果が1つ又はそれ以上の刺激部位での1つ又はそれ以上の制約条件を生じるように、他の重み係数の各々の値に少なくとも部分的に依存することができる。一例として、3つの電流要素部位のみが使用される場合、重み係数m1〜m6は、第1、第2、及び第3の電流要素部位での全体の効果が刺激部位での制約条件を満足するように、第1の電磁効果、第2の電磁効果、第3の電磁効果、第4の電磁効果、第5の電磁効果、及び第6の電磁効果に乗算されるべき値とすることができる。
【0034】
例示的な実施形態において、重み係数は、全体重みベクトルMを求めることができるように、ベクトル加算を用いて互いに組み合わせることができる。全体重みベクトルMは、電流要素部位での最適に配置された電流要素の大きさ及び配向を表すベクトルとすることができる。例えば、直交する配向を有する2つの電流要素が電流要素部位で使用される場合、全体重みベクトルMは、m12及びm22の和の平方根(

)に等しいとすることができる。直交する配向を有する3つの電流要素が使用される場合、全体重みベクトルMは、m12、m22及びm32の和の平方根(

)に等しいとすることができる。例示的な実施形態において、全体重みベクトルMは、各刺激部位について計算することができ、複数の最適に配置された電流要素の配向及び大きさを求めることができるようになる。
【0035】
例示的な実施形態において、各電流要素部位について、2つ(m1及びm2)又は3つ(m1、m2、及びm3)の個々の重み係数のセットを求めることができる。個々の重み係数の各セットを用いて、各電流要素部位についての全体重みベクトルMを求めることができる。例えば、重み係数m1及びm2は、第1の電流要素部位での直交配向の2つの電流要素に対応することができる。重み係数m1及びm2を組み合わせて、全体重みベクトルM1の形式で第1の電流要素部位での最適な電流要素配向を求めることができる。同様に、重み係数m3及びm4は、第2の電流要素部位での直交配向を有する2つの電流要素に対応することができる。重み係数m3及びm4を組み合わせて、全体重みベクトルM2の形式で第2の電流要素部位での最適な電流要素配向を求めることができる。従って、M1、M2、M3、...MPを求めることができ、ここでMPは、電流要素部位pに配置された単一電流のための最適配向である。例示的な実施形態において、pは、10、100、1000、10000、その他を含む何れかの値とすることができる。Mの値から得られた電流要素配向を組み合わせて、刺激部位での磁気刺激のための磁気コイルの最適な形状を形成することができる。
【0036】
別の例示的な実施形態において、個々の重み係数m1、m2、m3、m4、m5、その他は、当業者には周知のラグランジェ乗数の方法を用いて求めることができる。ラグランジェ乗数法を用いて、個々の重み係数の二乗の和が最小であるように保証することができる。個々の重み係数の二乗の和が最小化された場合、二乗の和の平均の平方根もまた最小化されることになる。従って、di/dtのRMSが最小化される。
【0037】
以下は、単一電流要素部位での最適電流要素を求めるための簡易的な実施例である。刺激部位の電気的特性は、図2Aに関連して示された回路図により表すことができる。電流要素部位は、第1の配向を有する第1の電流要素と第2の配向を有する第2の電流要素とを含むことができる。第1の配向と第2の配向とは互いに直交することができる。第1の電流要素と第2の電流要素の両方には、1A/sのdi/dt値を割り当てることができる。単一の制約条件は、100mAに相当する図2Aにおける電流Xとすることができる。
【0038】
例示的な実施形態において、1A/sのdi/dtでは、第1の電流要素は、回路図の第1のループ面200を通る時間的に変化する磁束B11を引き起こすことができる。第1の電流要素はまた、回路図の第2のループ面205を通る時間的に変化する磁束B21を引き起こすことができる。同様に、第2の電流要素は、第1のループ面200を通る時間的に変化する磁束B12と、第2のループ面205を通る時間的に変化する磁束B22とを引き起こすことができる。例示的な実施形態において、磁束はループ面の面積全体にわたる磁場の強度の尺度とすることができる。時間的に変化する磁束値は、割り当てられたdi/dt値(又は他の何れかの割り当てられた電気量)、ループ面の面積、及び当業者には周知のビオ−サバールの法則を使用することによって計算することができる。或いは、時間的に変化する磁束は、物理的に計測された電磁的性質を用いて又は当業者には周知の他の何れかの方法によって求めることができる。
【0039】
例示的な実施形態において、時間的に変化する磁束値は、抵抗要素と共に使用して、第1の電流要素及び第2の電流要素から生じたループ(又は渦)電流X1及びX2を計算することができる。別の例示的な実施形態において、ループ電流X1及びX2は、インピーダンス・マトリックス方程式を用いて計算することができる。下記の方程式1は、第1の電流要素に対応する例示的なインピーダンス・マトリックス方程式である。方程式1において、R1〜R7は抵抗要素R1〜R7に対応する抵抗値であり、X11は第1の電流要素によって生じる第1のループ面200内のループ電流であり、X21は第1の電流要素によって生じる第2のループ205内のループ電流であり、B11は第1のループ面200内に第1の電流要素によって生じる時間的に変化する磁束であり、B21は第1のループ面205内に第1の電流要素によって生じる時間的に変化する磁束である。ループ電流X11及びX21を求めることができるように、マトリクス反転法、反復法、又は当業者には周知の他の何れかの方法によって方程式1を解くことができる。
方程式1:

【0040】
以下の方程式2は、第2の電流要素に対応する例示的なインピーダンス・マトリクス方程式である。方程式2において、X12は第2の電流要素によって生じる第1のループ面200内のループ電流であり、X22は第2の電流要素によって生じる第2のループ205内のループ電流であり、B12は第1のループ面200内に第2の電流要素によって生じる時間的に変化する磁束であり、B22は第1のループ面205内に第2の電流要素によって生じる時間的に変化する磁束である。
方程式2:

【0041】
例示的な実施形態において、第1の電磁効果は、第1の電流要素によって引き起こされる、組織を通る電流の値とすることができる。同様に、第2の電磁効果は、第2の電流要素によって引き起こされる、組織を通る電流の同じ又は異なる値とすることができる。或いは、第1及び/又は第2の電磁効果は、第1及び第2の電流要素によって引き起こされる時間的に変化する磁束及び/又はループ電流を指すことができる。別の例示的な実施形態において、第1及び第2の電流要素によって引き起こされる、組織を通る電流の値は、ループ電流と組織を通る所望の電流との関係に基づく制約条件方程式を用いて求めることができる。例えば、当業者には周知のように、組織を通る電流は、ループ電流X1からループ電流X2を差し引いたものに等しい。この関係は、下記の方程式3のマトリクス・制約条件方程式として示すことができる。
方程式3:

【0042】
例示的な実施形態において、第1の重み係数m1は、第1の電磁効果に対応することができ、第2の重み係数m2は、第2の電磁効果に対応することができる。重み係数と電磁効果との関係は、下記の方程式4にマトリクス形式で示すことができる。方程式4において、電流Xの値は、100mAの制約条件値に設定される。この関係は、下記の方程式5において展開形で示され、式中のX11〜X21は、第1の電磁効果に対応し、X12〜X22は第2の電磁効果に対応する。
方程式4:

方程式5:

【0043】
方程式5から、第1及び第2の重み係数m1及びm2は、制約条件が満足されるようにそれぞれ第1の電磁効果及び第2の電磁効果に乗算することができる値であることが理解できる。方程式5は、2つの未知数を有する1つの方程式であり、そのためm1及びm2について無限に多くの解が可能である。従って、電流要素部位で最適の電流要素の配向及び大きさを求めることができるように、m1及びm2についての特殊解を特定することが望ましい。上述のように、m1とm2とは、下記の方程式6によって示されるように互いに関連することができ、式中、Mは電流要素部位についての全体重みベクトルである。更に、最小化されたM2をもたらすm1及びm2の解はまた、電流要素部位全てでのdi/dt値の最小化RMSももたらすことを示すことができる。従って、M2が最小化されるm1及びm2の解はまた、電流要素部位での単一電流要素についての最適な配向及び大きさを提供する解とすることができる。
方程式6:

【0044】
例示的な実施形態において、ラグランジェ乗数法を用いて方程式の線形セットを確立し、M2が最小化されるようにしてm1及びm2の値について解くことができる。式中λがラグランジェ乗数である下記の方程式7は、ラグランジェ乗数法をマトリクス形式で示している。方程式7は、マトリクス反転法、反復法、又は当業者には周知の他の何れかの方法によって解くことができ、m1及びm2の値を決定することができる。m1及びm2の計算された値を用いて、全体重みベクトルMを計算することができる。全体重みベクトルMは、電流要素部位に配置された単一電流要素の最適な配向及び大きさを表すベクトルとすることができる。例示的な実施形態において、複数の電流要素部位が使用されるときには、方程式7を用いて、個々の重み係数全てを同時に決定することができる。
方程式7:

【0045】
例示的な実施形態において、方程式7のマトリクスは、複数の電流要素部位に対応する重み係数を同時に決定することができるように、一般形をとることができる。例えば、最も左側のマトリクスは、n+k行とn+k列の正方マトリクスとすることができ、ここでnは使用する電流要素の数であり、kは制約条件の数である。上記の実施例においては、nが2であるように使用される2つの電流要素と、kが1であるように単一制約条件(電流Xが100mAである)とがある。加えて、最初のn行及びn列は、主対角上に2を備えた(且つ他はゼロの)対角マトリクスとすることができる。最後のk行及び最初のn列のマトリクス成分は、方程式4の2つの最も左側のマトリクスのマトリクス乗算を行うことによって得ることができる(これは、各電流要素部位での各電流要素に対応する1つの成分を含むことができる)。最初のn行及び最後のk列のマトリクス成分は、最後のk行及び最初のn行内のマトリクス成分の転置とすることができる。終わりに、最後のk列及びk行に対応するマトリクス成分はゼロを含むことができる。方程式7の中央のマトリクスは、n個の個々の重み係数(m1、m2、m3、...、mn)とこれに続くk個のラグランジェ係数(λ1、λ2、...、λk)とを含むことができる。方程式7の最も右側のマトリクスは、n個のゼロとこれに続くk個の制約条件値とを含むことができる。例示的な実施形態において、マトリクスの個々の行又は列には、マトリクスを容易に解き及び/又はマトリクスの解の正確度を向上させるために何れかのスカラーを乗算することができる。
【0046】
例示的な実施形態において、上述の方程式を用いて、最適な磁気コイル形状を決定することができるように、複数の電流要素部位での最適な電流要素の配向及び大きさを求めることができる。一例として、250箇所の電流要素部位を刺激部位の周りに選定することができる。3つの電流要素を250箇所の電流要素部位の各々でモデル化し(又は物理的に置かれ)、これにより750個の電流要素をモデル化することができるようになる。第1の電流要素部位での第1の電流要素は、第1の配向を有することができ、第1の電流要素部位での第2の電流要素は、第2の配向を有することができ、第1の電流要素部位での第3の電流要素は、第3の配向を有することができる。例示的な実施形態において、第1の配向と、第2の配向と、第3の配向とは全て互いに直交することができる。同様に、第2の電流要素部位での第4の電流要素は、第4の配向を有することができ、第2の電流要素部位での第5の電流要素は第5の配向を有することができ、第2の電流要素部位での第6の電流要素は第6の配向を有することができる。第4、第5、及び第6の配向は互いに直交することができ、第1、第2、及び第3の配向に対応してもよく、又はしなくてもよい。例示的な実施形態において、電流要素は、コンピュータシミレーションでモデル化することができ、これによって刺激部位及びその周りでの各電流要素によって引き起こされる電磁効果を求めることができる。代替の実施形態において、電流要素は身体部分又は身体部分レプリカの周りに物理的に配置され、これにより身体部分又は身体部分レプリカ内部の電磁効果の実測を行うことができるようになる。
【0047】
1つの実施形態において、刺激部位が内部に配置された身体部分は、身体部分の電気的特性に基づいて物理的に又はコンピュータ上でモデル化することができる。例えば、身体部分は、図2Bに関連して示されるような立体面を有する複数の立方体としてモデル化することができる。各立方体の辺は、身体部分の電気的特性を表す抵抗、インダクタ、キャパシタ、その他のような1つ又はそれ以上の回路要素を含むことができる。或いは、身体部分は、方程式又はデータとして、或いは身体部分の電気的特性を伝えることができる他の何れかの方法によってモデル化することができる。別の例示的な実施形態において、di/dt=1A/sの電気量は、750個のモデル化電流要素の各々に帰属し又は印加することができる。代替の実施形態において、di/dtの他の何れかの値を使用することができる。
【0048】
例示的な実施形態において、インピーダンス・マトリクス方程式を用いて、身体部分内部の各電流要素によって引き起こされる電磁効果を同時に求めることができる。或いは、他の何れかのタイプの方程式又は方法を用いて、電磁効果を求めることができる。電磁効果は、刺激部位及びこれを囲む複数の部位において求めることができる。例示的な実施形態において、電磁効果は、身体部分モデル内部の各部位において求めることができる。例えば、身体部分モデルが複数の立方体である場合、各立方体の辺に生じる電流は、複数の立方体内の各キューブ面を通る時間的に変化する磁束を計算することによって求めることができる。
【0049】
別の例示的な実施形態において、刺激部位での40ボルト/平方メートル(V/m2)の電場勾配の単一制約条件が存在することができる。制約条件に関して電磁効果を表すことができるように、1つ又はそれ以上の制約条件方程式を形成することができる。方程式7に関連して示されたラグランジェ乗数法を用いて、各電流要素部位に対応する全体重み係数が最小になるように、750個の個々の重み係数を同時に決定することができる。750個の重み係数は3つのセットにグループ化することができ、各セットが、単一電流要素部位における3つの電流要素に対応する。各セット内の3つの電流要素を用いて、その電流要素部位での最適な配向及び大きさが得られるように各電流要素部位についての全体重みベクトルを求めることができる。電流要素部位の各々における最適配向を組み合わせて、磁気コイルの最適形状が得られるようにすることができる。
【0050】
実験データ
上述の方法を用いて実施された実験では、平均的な成人の右腕のレプリカで使用するために最適化された磁気コイルが設計された。コンピュータによりシミュレートされた腕を用いて最適磁気コイル形状を決定した。この最適磁気コイル形状を用いて最適磁気コイルを構築した。加えて、この最適磁気コイルは、最適磁気コイルを周囲に配置して、シミュレートされた腕の物理的腕レプリカに沿って計測を行うことにより評価した。
【0051】
コンピュータシミュレートされた腕は、先細円筒体であり、その大きな端部で外周が30cm、その小さな端部で外周が20cmであった。シミュレートされた腕の全長は、肩から手首までの平均的な成人の腕に相当する52センチメートル(cm)であった。計算上の目的で、シミュレートされた腕は、10cm×10cm×52cmの容積に包まれた。ゼロの導電率を有する「エア」セルを矩形容積の周りに置き、先細円筒形状を有するモデルが得られた。各立方体の各辺は、長さ5mmの辺を有するループ面としてモデル化された。シミュレートされた腕の外側にある立方体及びその一部を取り除き、残りの立方体が先細円筒の形状に一致するようにした。
【0052】
シミュレートされた腕の内部には、上腕骨、撓骨、及び尺骨に相当する3つの円筒体が存在した。上腕骨に相当する円筒体は、長さ25cm直径3cmであった。撓骨及び尺骨に相当する円筒体は、各々が長さ32cm及び直径1.5cmであった。3つの円筒体は、人の腕に類似した配置で先細円筒体内に置かれ、肘に近い上腕骨及び尺骨の拡大骨区域に相当するよう、約5cmの重なりを許容した。シミュレートされた腕には、円筒体内では骨に類似した導電率値(1300Hzで0.02S/m)、他の場所では筋肉に類似した導電率値(1300Hzで0.32S/m)が与えられた。これらの電導率値を用いて、シミュレートされた腕に相当する複数の立方体内の各ループ面に沿って電気的特性をモデル化した。全ての筋肉線維は、シミュレートされた腕の長軸に沿った向きと仮定した。図4は、例示的な実施形態による、シミュレートされた(及びレプリカの)腕を示している。
【0053】
2つの250個の電流要素部位をシミュレートされた腕の周りに選定した。電流要素部位はシミュレートされた腕を全体的に囲んで選定され、最適磁気コイルの最終的形状に関する前提とならないようにした。電流要素部位は、シミュレートされた腕の周りのリングとして配列され、リング内の電流要素部位の各々は、互いに等距離に離間して配置された。各リングは4cmの距離で離れており、リングはシミュレートされた腕の全長にわたって拡がった。各電流要素部位は、シミュレートされた腕の(皮膚)表面の5mm外側に置かれた。
【0054】
2つの電流要素は、各電流要素部位でモデル化した。第1の電流要素は、シミュレートされた腕の長軸と同じ方向に向けられ、第2の電流要素は、第1の電流要素に直交し且つシミュレートされた腕の表面の接線方向に向けられた。このようにして、合計504個の電流要素がモデル化された。第1の電流要素には1A/sの大きさのdi/dtが割り当てられ、シミュレートされた腕に相当する各立方体の各ループ面を横切る変化する磁束が計算された。前処理付き共役勾配法によりインピーダンス・マトリクス方程式を解くことで、結果として生じる内部渦電流が求められた。インピーダンス・マトリクスの対角が、処理を迅速化させるためのプレコンディショナーとして使用された。前処理付き共役勾配法のアルゴリズムは、解中の相対誤差が1×10-6未満となったときに終了した。結果を保存し、他の503個の電流要素の各々について当該プロセスを反復した。
【0055】
504個の電流要素から生じる内部渦電流全てが求められると、第1の制約条件方程式が展開され、第1の刺激部位での第1の制約条件が指定された。第1の制約条件は、−54V/m2の脱分極刺激であった。第1の刺激部位は、シミュレートされた腕の長さに沿って22.5cm、シミュレートされた腕の側方(外側)縁部から8.5cm、シミュレートされた腕の背側(腕の裏側に相当)縁部から5cmに置かれた。第1の刺激部位は、その近くに実際の腕の尺骨神経が位置するはずの「肘」の内側にあるよう意図された。第2の制約条件方程式も展開され、第2の刺激部位での第2の制約条件が指定された。第2の制約条件は、54V/m2の過分極刺激であった。第2の刺激部位は、シミュレートされた腕の長さに沿って23cm、シミュレートされた腕の側方(外側)縁部から8.5cm、シミュレートされた腕の背側(腕の裏側に相当)縁部から5cmに置かれた。
【0056】
磁気コイルを単一の連続導体から作製し、単一磁気刺激器で使用できることを保証するために、追加の制約条件は、コイルをモデル化するコイル要素全体を通じてキルヒホッフの電流法則を満足することであった。従って、制約条件が確実に満たされるために、追加の制約条件方程式が加えられた。代替の実施形態において、磁気コイルは、複数の不連続の導体で作ることができる。計算された渦電流と制約条件方程式とを用い、ラグランジェ乗数法を利用して各電流要素部位での最適配向を求めた。ラグランジェ乗数法は、di/dtのRMS値の最小化に関して設計が大域的に最適であることを保証する。
【0057】
結果を解析した後、磁気コイルを物理的に構築する前に幾つかの単純化を行った。当該解析は、刺激部位のほぼ12cmの範囲内の電流要素のみが、刺激の制御において何らかの有意な影響があったことを示した。従って、最近位及び最遠位の電流要素は、全体の磁気コイル形状をより小さくする目的で除去された。加えて、プローブを用いた物理的腕レプリカの計測を容易にするために、刺激部位の内側表面近傍の幾つかの電流要素も除去された。更に、キルヒホッフの電流法則があらゆる電流要素部位で満足されても、di/dtの大きさの値は全て一定とは限らなかった。変化するdi/dt値を有する磁気コイルは、磁気コイルを構成する通電している導体を分割し、これを様々なポイントで再度スプライシングして異なるdi/dtを得ることによって実施することができた。しかしながら、こうした分割及びスプライシングは実施が困難な可能性があり、更に、磁気コイルの最終形状を制御不能に変更した可能性もある。従って、単一の連続導体を用いて磁気コイルを構成し、これにより全てのdi/dtを強制的に同じ値にした。磁気コイルの形状は、電流要素部位の各々での電流要素の計算された最適配向に基づいた。
【0058】
磁気コイルは、シミュレートされた腕に関して記述されたのと同じ仕様に構成された物理的腕レプリカの周囲に置かれた。物理的レプリカは、非電導性及び非磁性の材料で作られ、0.9%食塩溶液を満たした。磁気コイルには、特製の磁気刺激器から供給される電流がパルスで加えられた。2つの電極を用いて、レプリカ腕内部の電位差の計測を行った。2つの電極は、長手方向で5mm分離され、腕レプリカの食塩水中約1cmの深さに挿入された。電極は、レプリカの長さに沿って1cmの増分で進められ、各部位で電位差が記録された。計測は、刺激部位に対し10cm近位から10cm遠位まで行われた。同様に、刺激部位に対し0.5cm、1.0cm、及び1.5cmの腹側及び背側の部位で計測が行われた。
【0059】
この計測値を用いて、電位差計測の各々から長手方向の電場成分が計算された。6次の最小二乗多項式を計算された電場データに当てはめ、この多項式を微分して、レプリカの長さに沿った電場の勾配が提供された。比較のため、コンピュータシミュレーションを用いて同様の手順を続いて行い、該コンピュータシミュレーションを用いて最適磁気コイル形状を決定した。インピーダンス法を用いて、コンピュータシミュレーションにおいて渦電流と長手方向電場とを求めた。更に、電場は、計測データで行ったのと同様に、刺激部位に対し10cm近位から10cm遠位の間の部位で、且つ刺激部位に対し腹側及び背側のポイントで調べた。次数6の最小二乗多項式をコンピュータシミュレーションに基づいた値の平均に当てはめた。この多項式の微分により、シミュレーションの長さに沿った電場の勾配が得られる。次いで、シミュレーション結果から求められた勾配と、計測結果から求められた勾配との間の二乗相関係数を計算した。求めた二乗相関係数は0.97であった。図5Aは、例示的な実施形態によるシミュレートされた電場勾配と計測された電場勾配とを最良適合多項式として比較したグラフである。図5Bは、例示的な実施形態によるシミュレートされた電場勾配と計測された電場勾配とを比較したグラフである。図5Bに関して示されるように、刺激部位の0.5から1.0cmの範囲内の勾配は、±54V/m2の制約条件値に極めて近接していた。
【0060】
1つ又はそれ以上のフロー線図を用いて例示的な実施形態を説明してきた。フロー線図の使用は、実施されるオペレーションの順序に関する限定を意味するものではない。更に、本開示の目的において別途指定しない限り、単数形は1つ又はそれ以上のものであることを意味する。
【0061】
例示的な実施形態の上記の記載は、図示及び説明の目的のために提供された。開示された厳密な形態は網羅的又は限定的であることを意図するものではなく、修正形態及び変形形態が上述の教示の観点から可能であり、又は開示された実施形態の実施から得ることができる。本発明の範囲は、本明細書に添付した請求項及びこれらの均等物によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】例示的な実施形態による最適な磁気刺激コイル形状を決定するために行われるオペレーションを示すフロー線図である。
【図2A】例示的な実施形態による刺激部位及びその周囲の電気的特性を示す回路図である。
【図2B】例示的な実施形態による刺激部位及びその周囲の電気的特性を表すための3次元立方体の図である。
【図3】例示的な実施形態による腕内部の刺激部位に近接した複数の電流要素を示す配置図である。
【図4】例示的な実施形態によるシミュレートされた腕を示す図である。
【図5A】例示的な実施形態による磁気コイル実験の間に得られたシミュレートされた長手方向電場と計測された長手方向電場とを比較するグラフである。
【図5B】例示的な実施形態による磁気コイル実験の間に得られたシミュレートされた電場勾配と計測された電場勾配とを比較するグラフである。
【符号の説明】
【0063】
100 刺激部位を特定する
105 刺激部位での電気的特性を特定する
107 特定された電気的特性をモデル化する
110 刺激部位のための制約条件を特定する
115 電流要素部位での第1の配向を有する第1の電流エレメントから生じる第1の電磁効果を求める
120 電流要素部位での第2の配向を有する第2の電流要素から生じる第2の電磁効果を求める
121 電流要素部位での第3の配向を有する第3の電流要素から生じる第3の電磁効果を求める
122 別の電流要素部位を評価するか?
125 :各電流要素部位での単一電流要素についての最適配向を決定する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気刺激で使用する最適磁気コイル形状を決定する方法であって、
(a)刺激部位を特定する段階と、
(b)前記刺激部位での制約条件を特定する段階と、
(c)第1の配向を有する第1の電流要素部位での第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量によって誘起される、前記刺激部位での第1の電磁効果を求める段階と、
(d)第2の配向を有する前記第1の電流要素部位での第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量によって誘起される、前記刺激部位での第2の電磁効果を求める段階と、
(e)前記求められた第1の電磁効果と前記求められた第2の電磁効果とに基づいて、前記制約条件が満足されるような前記第1の電流要素部位での電流要素の配向を決定する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の電磁効果が、前記刺激部位での時間的に変化する磁束に少なくとも部分的に基づいて求められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電磁効果が、インピーダンス方程式を用いて求められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電磁効果が、前記制約条件に基づく制約条件方程式を用いて求められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電磁効果に対応する第1の重み係数と、前記第2の電磁効果に対応する第2の重み係数とを決定する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ベクトル加法を用いて前記第1の重み係数と前記第2の重み係数とを組み合わせて全体重みベクトルを求める段階を更に含み、前記全体重みベクトルの方向成分が、前記第1の電流要素部位での前記電流要素の配向を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の重み係数と前記第2の重み係数とが、ラグランジェ乗数法を用いて前記全体重み係数が最小化されるように決定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電流要素部位の前記電流要素の配向は、前記電流要素内で時間に対する電流の変化の速度が最小になるようなものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電気量及び前記第2の電気量が、時間値に対する電流の変化の速度を含み、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電磁効果が、渦電流、電場強度、及び電場勾配のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の配向と前記第2の配向とが互いに直交する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記刺激部位が組織部位を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組織が神経組織を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記刺激部位が骨部位を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記刺激部位の電気的特性を特定する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記刺激部位の電気的特性が抵抗を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電磁効果が、前記刺激部位の電気的特性に少なくとも部分的に基づいて求められる、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記特定された電気的特性に基づいて前記刺激部位をモデル化する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記電磁効果が、低周波インピーダンス法を用いて求められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記刺激部位のモデルが複数のループ面を含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記制約条件が、前記刺激部位での所望の電流、前記刺激部位での所望の電場、及び前記刺激部位での所望の電場勾配のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
第2の電流要素部位において前記段階(c)及び(d)を反復する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の電流要素部位での前記電流要素の配向を決定する段階が、前記制約条件が満足されるように前記第2の電流要素部位での電流要素の配向を同時に決定する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の電流要素部位での前記電流要素の決定された配向と前記第2の電流部位エレメント部位での電流要素の決定された配向とを組み合わせて、磁気コイル形状の少なくとも一部分を決定する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の電流要素と前記第2の電流要素とが前記第1の電流要素部位でシミュレートされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の電流要素と前記第2の電流要素とが前記第1の電流要素部位に物理的に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記刺激部位での第3の電磁効果を求める段階を更に含み、
前記第3の電磁効果が、第3の配向を有する前記第1の電流部位での第3の電流要素に割り当てられた第3の電気量によって引き起こされ、更に前記第1の電流要素部位での前記電流要素の配向が、前記求められた第1の電磁効果、前記求められた第2の電磁効果、及び前記求められた第3の電磁効果に基づく、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
プロセッサによって実行されたときに、磁気刺激のための最適なコイル形状をプロセッサに生成させるコンピュータ可読命令を格納させたコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、
(a)刺激部位を該刺激部位の電気的特性に基づいてモデル化し、
(b)第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量によって誘起され且つ第1の配向を有する第1の電流要素部位にある、前記刺激部位での第1の電磁効果を求め、
(c)第2の配向を有する前記第1の電流要素部位での第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量によって誘起される、前記刺激部位での第2の電磁効果を求め、
前記求められた第1の電磁効果と前記求められた第2の電磁効果とに基づいて、前記制約条件が満足されるような前記第1の電流要素部位での電流要素の配向を決定する、
ように構成されている、
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
磁気刺激に使用する最適磁気コイル形状を決定する方法であって、
身体部分の電気的特性に基づいて、刺激部位を含む前記身体部分の少なくとも一部分のモデルを生成する段階と、
前記モデルと、第1の配向を有する第1の電流要素部位での第1の電流要素に割り当てられた第1の電気量とを用いて、前記刺激部位での第1の電磁効果を求める段階と、
前記モデルと、第2の配向を有する前記第1の電流要素部位での第2の電流要素に割り当てられた第2の電気量とを用いて、前記刺激部位での第2の電磁効果を求める段階と、
前記第1の電磁効果に対応する第1の重み係数と、前記第2の電磁効果に対応する第2の重み係数とをラグランジェ乗数法を用いて決定する段階と、
前記第1の重み係数と前記第2の重み係数とに基づいて全体重みベクトルを決定する段階と、
を含み、
前記全体重みベクトルの方向成分が、前記刺激部位での制約条件が満足されるような前記第1の電流要素での電流要素の配向を備える、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2008−272497(P2008−272497A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−145102(P2008−145102)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(508087147)ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (6)
【Fターム(参考)】