磁気媒体処理装置
【課題】 磁気媒体を傷つけることなく、磁気媒体のスキューを防止でき、磁気情報の読み書きを安定して行うことができる磁気媒体処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明による磁気媒体処理装置は、磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構6を具備し、幅寄せ機構6で磁気媒体を基準面に押し付けながら磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きするもので、幅寄せ機構6は、ステッピングモータ27により幅方向に移動するスペーシングプレート22、スペーシングプレート22の移動により移動する幅寄せプレート23、24および幅寄せプレートの移動により幅寄せスプリング51、55に引っ張られて移動し、磁気媒体を押し付ける幅寄せレバー25、26を具備する。そして磁気媒体を基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付けた状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きする。
【解決手段】 本発明による磁気媒体処理装置は、磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構6を具備し、幅寄せ機構6で磁気媒体を基準面に押し付けながら磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きするもので、幅寄せ機構6は、ステッピングモータ27により幅方向に移動するスペーシングプレート22、スペーシングプレート22の移動により移動する幅寄せプレート23、24および幅寄せプレートの移動により幅寄せスプリング51、55に引っ張られて移動し、磁気媒体を押し付ける幅寄せレバー25、26を具備する。そして磁気媒体を基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付けた状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機に搭載される通帳記帳機等の磁気媒体(通帳)に対して磁気情報の読み書き等の処理を行う磁気媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動預払機に搭載される通帳記帳機で記帳処理される通帳にはサイズの異なるものがある。このような通帳に対して磁気ストライプの読み取りや書き込みをするために、通帳を搬送路の側部に設けた基準面に突き当てて通帳を所定の位置に位置決めする必要がある。これを通常、幅寄せと呼んでいるが、幅寄せを行った後に行う磁気ストライプの読み書き処理には次の2通りのやり方がある。
【0003】
ひとつは、ローラで通帳を所定の位置に固定しておき、磁気ヘッドを通帳の磁気ストライプ部に対向させた状態で移動させ、磁気ストライプの読み書きを行うやり方である。もうひとつは、磁気ヘッドを移動させず、通帳を所定の位置に位置決めした後、ローラで搬送させながら磁気ストライプの読み書きをするやり方である。通帳を搬送する際は、通帳を基準面に押し付ける力を除去した状態で搬送している。後者の例として、例えば特開2000−247498号公報に開示されるものがある。
【特許文献1】特開2000−247498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記文献に開示される従来の幅寄せ機構においては、幅寄せを行った後、幅寄せ機構を幅寄せ方向の逆方向に駆動して通帳に対する押付力を除去し、その状態で通帳を搬送させて通帳に対する処理をするようにしているので、通帳搬送時の搬送ローラによる左右の負荷のバランスが均等でない場合、通帳がスキューを起こし、磁気ストライプの磁気データを誤読する惧れがあった。
【0005】
また、通帳によっては開き癖のついているものがあり、開き癖のついている通帳が装置に挿入された場合には、開き癖を押さえながら通帳の幅寄せを行うようにしており、この場合には通帳を傷つける不具合が発生する惧れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、磁気媒体を搬送させながら磁気ヘッドにより該磁気媒体に対して磁気情報を読み書きする磁気媒体処理装置において、前記磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構を具備し、前記幅寄せ機構で磁気媒体を前記基準面に押し付けながら該磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きすることを特徴とするものである。そして幅寄せ機構は、磁気媒体を基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付け、この状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きするようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の本発明によれば、幅寄せ機構が磁気媒体を基準面に対して第1の押し付け力により幅寄せし、この第1の押し付け力とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付けた状態で搬送させながら通帳処理を行うので、磁気媒体を傷つけることなく、磁気媒体のスキューを防止でき、磁気情報の読み書きを安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を図面に従って説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図、図2は第1の実施の形態の通帳記帳機の概略構成を示す構成図である。まず図2により通帳記帳機の構成について説明する。なお以下に説明する各実施の形態では磁気媒体処理装置として通帳記帳機を例にして説明する。
【0009】
図2において、通帳記帳機1には、通帳2が挿入される通帳挿入口3が設けられ、通帳挿入口3に接続して通帳搬送路4が設けられている。通帳搬送路4には上下に対を成す搬送ローラ5が複数設けられている。そして通帳搬送路4に沿って順次、幅寄せ機構6、磁気読み書き部7、オートターンページ部8、頁行検出部9、印字部10、通帳カセット11が設けられている。
【0010】
幅寄せ機構6は本発明に関係する部分で、搬送されてきた通帳2を基準面に幅寄せして次の磁気読み書きを良好に行うようにするものである。具体的な構成については後述する。磁気読み書き部7は磁気ヘッドを有し、通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の書き込みおよび読み出しを行う。オートターンページ部8は、通帳2の見開きのページに印字可能な領域がなくなった場合に自動的に通帳2のページを捲る機構を有する。
【0011】
頁行検出部9は、通帳2に設けられるページマークや印字済み行を光学的に検出する部分である。印字部10は通帳2や帳票に対して印字処理をする部分で、印字ヘッド10a、プラテン10bおよびインクリボン10cを具備する。通帳カセット11は未発行の通帳2を繰り出し可能に収容する収容部11a、11bを有し、通帳の繰越が発生した場合にここから1冊の新通帳2を繰り出し、発行する。通帳カセット11の下部には通帳取込部12が設けられている。通帳取込部12は、顧客に返却すべく通帳挿入口3に排出された通帳2を顧客が取り忘れた際に、その取り忘れた通帳2を保管しておくものである。
【0012】
図3は第1の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図、図4は同実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図で、図3の反対側から見た側面図、図5は同実施の形態の幅寄せ機構を示す平面図、図6は同実施の形態の幅寄せ機構を示す斜視図である。
【0013】
これらの図および図1において、第1の実施の形態の幅寄せ機構6は、幅寄せブラケット21、スペーシングプレート22、幅寄せプレート23、24および幅寄せレバー25、26を具備している。幅寄せブラケット21は通帳記帳機1のフレームに固定され、片面側(図3で示す側)にステッピングモータ27、光学センサ28が設けられ、他面側(図4で示す側)にモータギア29、アイドルギア30およびアイドルギア31が設けられている。アイドルギア30はモータギア29と噛み合い、アイドルギア31はアイドルギア30と同軸の図示しないギアと噛み合っている。またアイドルギア31はスペーシングプレート22下部に形成されたラック部32と噛み合っている。
【0014】
また幅寄せブラケット21の両端部にはスプリングの引っ掛け部33、34が形成されており、引っ掛け部33にはリセットスプリング35の一端が引っ掛けられ、他方の引っ掛け部34にはリセットスプリング36の一端が引っ掛けられている。なお図3および図5ではスプリングは矩形で示している。さらに幅寄せブラケット21にはそれぞれ矩形の切欠き部37、38、39、40、41が形成されている。
【0015】
スペーシングプレート22は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に設けられている。スペーシングプレート22にはそれぞれ矩形の切欠き部42、43、44、45が形成され、また下部には前述のラック部32およびスリットブロック46が形成されている。スリットブロック46はスリット47を有し、幅寄せブラケット21の切欠き部41に入り込み、光学センサ28と対向するようになっている。
【0016】
幅寄せプレート23は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せプレート23には矩形の切欠き部48、49が形成され、さらにスプリング引っ掛け部50が植設されている。スプリング引っ掛け部50はスペーシングプレート22側に突出するように形成され、スペーシングプレート22の切欠き部43を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部38をも通過するように設けられる。スプリング引っ掛け部50の先端部には幅寄せスプリング51の一端が引っ掛けられる。
【0017】
他方の幅寄せプレート24も図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せプレート24には矩形の切欠き部52、53が形成され、さらにスプリング引っ掛け部54が植設されている。スプリング引っ掛け部54はスペーシングプレート22側に突出するように形成され、スペーシングプレート22の切欠き部44を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部39をも通過するように設けられる。スプリング引っ掛け部54の先端部には幅寄せスプリング55の一端が引っ掛けられる。
【0018】
幅寄せレバー25は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せレバー25にはスプリング引っ掛け部56および57が形成されている。スプリング引っ掛け部56は幅寄せプレート23の切欠き部48を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部37に入り込むように設けられる。またスプリング引っ掛け部57は幅寄せプレート23の切欠き部49を通過し、スペーシングプレート22の切欠き部42を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部38を通過するように設けられている。スプリング引っ掛け部57の先端部にはリセットスプリング35の他端および幅寄せスプリング51の他端が引っ掛けられている。
【0019】
幅寄せレバー26は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せレバー26にはスプリング引っ掛け部58および59が形成されている。スプリング引っ掛け部58は幅寄せプレート23の切欠き部52を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部40に入り込むように設けられる。またスプリング引っ掛け部59は幅寄せプレート23の切欠き部53を通過し、スペーシングプレート22の切欠き部45を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部39を通過するように設けられている。スプリング引っ掛け部59の先端部にはリセットスプリング36の他端および幅寄せスプリング55の他端が引っ掛けられている。
【0020】
幅寄せレバー25、26は装置内に挿入され、搬送されてきた通帳2を図示しない基準面に対して直接的に押し付ける部材で、それぞれの水平部25a、26bには図示していないが通帳2に当接する押し付けブロックが取り付けられるものである。
【0021】
次にリセットスプリングおよび幅寄せスプリングについて説明する。リセットスプリング35は引っ張りスプリングで、幅寄せブラケット21の引っ掛け部33と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57に引っ掛けられ、幅寄せレバー25を図6に示す矢印A方向に引っ張っている。幅寄せスプリング51は引っ張りスプリングで、幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57の間に配設されている。幅寄せスプリング51はリセットスプリング35よりテンションが大きく設定されており、そのためリセットスプリング35に打ち勝つ幅寄せスプリング51の引っ張り力により、幅寄せレバー25が幅寄せプレート23に対して相対的に矢印B方向に引っ張られている。しかしながらスプリング引っ掛け部57が幅寄せプレート23の切欠き部49の端部49aに当接した位置で静止している。
【0022】
リセットスプリング36は引っ張りスプリングで、幅寄せブラケット21の引っ掛け部34と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59に引っ掛けられ、幅寄せレバー26を図6に示す矢印B方向に引っ張っている。幅寄せスプリング55は引っ張りスプリングで、幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59の間に配設されている。幅寄せスプリング55はリセットスプリング36よりテンションが大きく設定されており、そのためリセットスプリング36に打ち勝つ幅寄せスプリング55の引っ張り力により、幅寄せレバー26が幅寄せプレート24に対して相対的に矢印A方向に引っ張られている。しかしながらスプリング引っ掛け部59が幅寄せプレート24の切欠き部53の端部53aに当接した位置で静止している。
【0023】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。ここでは通帳2の磁気情報の読み書き時における幅寄せ機構6による通帳の幅寄せ動作について説明する。図2において通帳2が通帳挿入口3から挿入されると、搬送ローラ5により通帳2は幅寄せ機構6に搬送される。幅寄せ機構6において通帳2は図6に示す矢印C方向から搬送され、幅寄せブラケット21の上部を通過するようになっている。ここでは通帳2を幅寄せレバー26側にある図示しない基準面に押し付けて幅寄せを行う場合について図7に示すフローチャートにしたがって説明する。図7は第1の実施の形態の磁気情報の読み書き動作を示すフローチャートである。
【0024】
挿入された通帳2が搬送ローラ5により搬送され(ステップ1)、幅寄せ機構6に搬送されてきたことを図示しないセンサにより検出すると(ステップ2)、通帳2の搬送が停止され(ステップ3)、ステッピングモータ27が駆動される(ステップ4)。ステッピングモータ27の回転方向は通帳2の幅寄せ方向により決定される。通帳2を幅寄せレバー26側に幅寄せする場合はステッピングモータ27を図3に示す矢印D方向に回転させる。
【0025】
ステッピングモータ27の回転によりモータギア29が回転し、アイドルギア30およびスペーシングプレート22のラック部32に噛み合うアイドルギア31を介してスペーシングプレート22を矢印B方向に移動させる。スペーシングプレート22が矢印B方向に移動すると、スペーシングプレート22の切欠き部43に入り込んでいるスプリング引っ掛け部50が切欠き部43の端部43aに押され、幅寄せプレート23がスペーシングプレート22と同方向に移動する。なお移動前のホームポジションにおいて、スプリング引っ掛け部50は切欠き部43の端部43aに近接した位置にある。
【0026】
幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング51の引っ張り力によりスプリング引っ掛け部57が引っ張られ、幅寄せレバー25が同方向に移動する。ここでスプリング引っ掛け部57はリセットスプリング35により矢印A方向に引っ張られているが、幅寄せスプリング51の方がリセットスプリング35よりテンションが大きいので、幅寄せスプリング51は伸びずにリセットスプリング35だけが伸びる。
【0027】
幅寄せレバー25が移動することにより、図示しない押し付けブロックを介して通帳2に当接し、さらに移動して通帳2を図示しない基準面に押し付けると、幅寄せレバー25はそれ以上は移動しない。さらにステッピングモータ27が回転すると、幅寄せレバー25は停止したままでスペーシングプレート22および幅寄せプレート23が移動を続ける。このとき幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が開き、幅寄せスプリング51が伸びる。このとき幅寄せスプリング51の伸びた分の押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に新たに加わる。力が加わることにより通帳2は確実に基準面に押し付けられる。
【0028】
スペーシングプレート22が矢印B方向に移動することにより、スリットブロック46が移動するので、そのスリット47がセンサ28により検出される(ステップ5)。センサ28がスリット47を検出する時点は、幅寄せレバー25が通帳2を基準面に押し付けた後、さらに幅寄せプレート23が移動した後になるように設定されている。したがってセンサ28がスリット47を検出する時点では、幅寄せスプリング51の伸びた分の押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に加えられている。センサ28がスリット47を検出すると、ステッピングモータ27を停止する(ステップ6)。
【0029】
以上の動作で通帳2は基準面に押し付けられている。この後、通帳2の磁気ストライプの読み書き動作に進む。磁気ストライプの読み書きの際は、通帳2に対して幅寄せレバー25を押し付けているが、幅寄せ時よりは押し付け力を小さくする。そのためにステッピングモータ27を幅寄せ時とは逆方向に、すなわち、図3に示す矢印E方向に一定量回転する(ステップ7)。
【0030】
ステッピングモータ27を矢印E方向に一定量回転することにより、スペーシングプレート22が矢印A方向に移動し、幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が狭まり、幅寄せスプリング51のテンションが弱くなる。これにより通帳2に対する押し付け力が弱くなり、通帳2を傷つけることなく搬送することが可能になる。すなわち、ステッピングモータ27の矢印E方向への回転量は、通帳2に対する押し付け力が、通帳2を傷つけることなく搬送することを可能とする大きさになるように設定される。
【0031】
その後搬送ローラ5を回転し(ステップ8)、通帳2を搬送するとともに、磁気読み書き部7により通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の読み書きを行う(ステップ9)。以上により通帳2の幅寄せ動作および磁気情報の読み書き動作を終了する。
【0032】
なお通帳2を上記とは反対側の基準面に幅寄せする場合は、ステッピングモータ27の回転方向を上記とは逆方向にし、スペーシングプレート22を矢印A方向に移動させ、幅寄せプレート24および幅寄せレバー26を同方向に移動させる。幅寄せレバー26により通帳2を基準面に押し付け、さらに幅寄せスプリング55のテンションにより通帳2を十分に押し付けた後、ステッピングモータ27を逆方向に回転させて通帳2に対する押し付け力を弱め、通帳2を傷つけない程度の押し付け力にした後、磁気情報の読み書き動作を行う。このように、本発明の幅寄せ部6は左右どちら側に基準面があっても幅寄せ動作が可能な構成となっている。
【0033】
以上のように第1の実施の形態によれば、通帳2の幅寄せ時には幅寄せスプリング51、55のテンションによる十分な押し付け力で通帳2を押し付けて幅寄せし、幅寄せした後は幅寄せ時よりは押し付け力を弱め、その状態で通帳2を搬送して磁気情報の読み書き動作を行うので、幅寄せを確実に行うことができるとともに、磁気情報の読み書き動作時には通帳2を傷つけることなく、かつスキューすることなく読み書き動作を行うことができる。
【0034】
次に第2の実施の形態を説明する。図8は第2の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図、図9は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図、図10は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図で、図9の反対側から見た側面図、図11は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す平面図、図12は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す斜視図である。第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成に加えて二段プレートを設け、磁気情報の読み書き動作時における通帳に対する適正な押し付け力を容易に設定可能にしたものである。
【0035】
これらの図において、第2の実施の形態の幅寄せ機構60では、二段プレート61、62が幅寄せブラケット21に矢印A、B方向に移動可能に配設されている。二段プレート61、62はスペーシングプレート22の反対側に設けられ、二段プレート61にはスプリング引っ掛け部63および切欠き部64、65が形成されている。
【0036】
幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50は、スペーシングプレート22の切欠き部43、幅寄せブラケット21の切欠き部38および二段プレート61の切欠き部65を通過してステッピングモータ27側に突出している。また幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57は、幅寄せプレート23の切欠き部49、スペーシングプレート22の切欠き部42、幅寄せブラケット21の切欠き部38および二段プレート61の切欠き部64を通過してステッピングモータ27側に突出している。
【0037】
二段プレート61のスプリング引っ掛け部63と幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング66が掛け渡されている。この幅寄せスプリング66のテンションにより、スプリング引っ掛け部50は二段プレート61の切欠き部65の端部65aに当接している。即ち、図13に示すスプリング引っ掛け部50と二段プレート61の切欠き部65の端部65aとの隙間F=0となっている。なお図13は二段プレート61を示す側面図である。
【0038】
幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング弱67が掛け渡されている。幅寄せスプリング弱67は幅寄せスプリング66よりテンションは小さく設定されている。また幅寄せブラケット21の引っ掛け部33と二段プレート61のスプリング引っ掛け部63との間には引っ張りスプリングであるリセットスプリング68が掛け渡されている。リセットスプリング68は幅寄せスプリング66よりテンションは小さく設定されている。
【0039】
他方の二段プレート62にはスプリング引っ掛け部69および切欠き部70、71が形成されている。幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54は、スペーシングプレート22の切欠き部44、幅寄せブラケット21の切欠き部39および二段プレート62の切欠き部71を通過してステッピングモータ27側に突出している。また幅寄せレバー26リング引っ掛け部59は、幅寄せプレート24の切欠き部53、スペーシングプレート22の切欠き部45、幅寄せブラケット21の切欠き部39および二段プレート62の切欠き部70を通過してステッピングモータ27側に突出している。
【0040】
二段プレート62のスプリング引っ掛け部69と幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング72が掛け渡されている。この幅寄せスプリング72のテンションにより、スプリング引っ掛け部54は二段プレート62の切欠き部71の端部71aに当接している。
【0041】
幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング弱73が掛け渡されている。幅寄せスプリング弱73は幅寄せスプリング72よりテンションは小さく設定されている。また幅寄せブラケット21の引っ掛け部34と二段プレート62のスプリング引っ掛け部69との間には引っ張りスプリングであるリセットスプリング74が掛け渡されている。リセットスプリング74は幅寄せスプリング72よりテンションは小さく設定されている。その他の構成は前記第1の実施の形態と同様になっている。
【0042】
次に第2の実施の形態の動作を説明する。ここでも通帳2の磁気情報の読み書き時における幅寄せ部6による通帳の幅寄せ動作について説明する。第1の実施の形態と同様に、図2に示す通帳挿入口3から挿入された通帳2が搬送ローラ5により搬送され、幅寄せ部6に搬送されてきたことを図示しないセンサにより検出すると、通帳2の搬送が停止され、ステッピングモータ27が駆動される。ステッピングモータ27の回転方向は通帳2の幅寄せ方向により決定される。通帳2を幅寄せレバー26側に幅寄せする場合はステッピングモータ27を図9に示す矢印D方向に回転させる。
【0043】
ステッピングモータ27の回転によりモータギア29が回転し、アイドルギア30およびスペーシングプレート22のラック部32に噛み合うアイドルギア31を介してスペーシングプレート22を矢印B方向に移動させる。スペーシングプレート22が矢印B方向に移動すると、スペーシングプレート22の切欠き部43に入り込んでいる幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50が切欠き部43の端部43aに押され、幅寄せプレート23がスペーシングプレート22と同方向に移動する。
【0044】
幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング66の引っ張り力によりスプリング引っ掛け部63が引っ張られ、二段プレート61が矢印B方向に移動する。ここでスプリング引っ掛け部63はリセットスプリング68により矢印A方向に引っ張られているが、幅寄せスプリング66の方がリセットスプリング68よりテンションが大きいので、幅寄せスプリング66は伸びずにリセットスプリング68だけが伸びる。
【0045】
また幅寄せスプリング弱67がスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間に配設されているので、幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング弱67の引っ張り力により幅寄せレバー25が矢印B同方向に移動する。
【0046】
幅寄せレバー25が移動することにより、図示しない押し付けブロックを介して通帳2に当接し、さらに移動して通帳2を図示しない基準面に押し付けると、幅寄せレバー25はそれ以上は移動しない。さらにステッピングモータ27が回転すると、幅寄せレバー25は停止したままでスペーシングプレート22および幅寄せプレート23が移動を続ける。このとき幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が開き、幅寄せスプリング弱67が伸びる。なおこのとき二段プレート61は幅寄せプレート23とともに移動を続ける。幅寄せレバー25が停止して二段プレート61が移動を続けると、図13に示す二段プレート61の切欠き部64の端部64aと幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔Gが0(ゼロ)になり、二段プレート61の移動が停止する。さらに幅寄せプレート23が移動を続けると、幅寄せスプリング66が伸びる。
【0047】
このとき通帳2には、幅寄せスプリング弱67による押し付け力と幅寄せスプリング66により押し付け力の両方が加えられる。この両方の押し付け力で通帳は確実に基準面に押し付けられる。
【0048】
スペーシングプレート22が矢印B方向に移動することにより、スリットブロック46が移動するので、そのスリット47がセンサ28により検出される。センサ28がスリット47を検出する時点は、幅寄せレバー25が通帳2を基準面に突き当たって停止し、さらに二段プレート23が停止した後になるように設定されている。したがってセンサ28がスリット47を検出した時点では、幅寄せスプリング弱67による押し付け力および幅寄せスプリング66による押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に加えられている。センサ28がスリット47を検出すると、ステッピングモータ27を停止する。
【0049】
以上の動作で通帳2は基準面に押し付けられている。この後、通帳2の磁気ストライプの読み書き動作に進む。磁気ストライプの読み書きの際は、通帳2に対して幅寄せレバー25を押し付けているが、幅寄せ時よりは押し付け力を小さくする。即ち、幅寄せスプリング弱67による押し付け力のみで通帳2を押し付ける状態にする。そのためにステッピングモータ27を幅寄せ時とは逆方向に、すなわち、図3に示す矢印E方向に一定量回転する。
【0050】
ステッピングモータ27を矢印E方向に一定量回転することにより、スペーシングプレート22が矢印A方向に移動し、幅寄せプレート23も同方向に移動して幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50が二段プレート61の切欠き部65の端部65aに当接すると、二段プレート61が矢印A方向に移動を開始する。二段プレート61が移動を開始すると、二段プレート61の切欠き部64の端部64aが幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57から離れ、幅寄せスプリング66の引っ張り力が押し付け力として通帳2に加えられなくなる。したがって幅寄せスプリング弱67の押し付け力のみが通帳2に加えられる状態になる。この状態になるまで、ステッピングモータ27が逆回転される。幅寄せスプリング弱67の押し付け力のみが通帳2に加えられる状態では、通帳2を傷つけることなく搬送することが可能である。
【0051】
その後搬送ローラ5を回転し、通帳2を搬送するとともに、磁気読み書き部7により通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の読み書きを行う。以上により通帳2の幅寄せ動作および磁気情報の読み書き動作を終了する。
【0052】
なお通帳2を上記とは反対側の基準面に幅寄せする場合は、ステッピングモータ27の回転方向を上記とは逆方向にし、スペーシングプレート22を矢印A方向に移動させ、幅寄せプレート24、二段プレート62および幅寄せレバー26を同方向に移動させる。幅寄せスプリング弱73の押し付け力により幅寄せレバー26を介して通帳2を基準面に押し付け、さらに幅寄せスプリング72の押し付け力により通帳2を十分に押し付けた後、ステッピングモータ27を一定量逆方向に回転させて通帳2に対する押し付け力を幅寄せスプリング弱73による押し付け力だけにすることにより、通帳2を傷つけない程度の押し付け力にし、その後磁気情報の読み書き動作を行う。
【0053】
以上のように第2の実施の形態によれば、通帳2の幅寄せ時には幅寄せスプリング弱67、73および幅寄せスプリング66、72による十分な押し付け力で通帳2を押し付けて幅寄せし、幅寄せした後は幅寄せスプリング弱67、73による押し付け力のみで押し付け、その状態で通帳2を搬送して磁気情報の読み書き動作を行うので、幅寄せを確実に行うことができるとともに、磁気情報の読み書き動作時における押し付け力を安定的に得ることができ、通帳2を傷つけることなく、かつスキューすることのない読み書き動作を安定して行うことができる。
【0054】
上記各実施の形態では通帳記帳機における通帳の幅寄せを例にして説明したが、本発明による幅寄せ機構は、通帳以外の磁気情報を読み書きする媒体の幅寄せにも適用可能である。例えば、磁気ストライプを有する航空券等の券発行装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の通帳記帳機の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図4】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図5】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す平面図である。
【図6】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態の磁気情報の読み書き動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図である。
【図9】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図10】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図11】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す斜視図である。
【図13】二段プレート61を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 通帳記帳機
2 通帳
6、60 幅寄せ機構
21 幅寄せブラケット
22 スペーシングプレート
23、24 幅寄せプレート
25、26 幅寄せレバー
27 ステッピングモータ
35、36、68、74 リセットスプリング
51、55、66、72 幅寄せスプリング
61、62 二段プレート
67、73 幅寄せスプリング弱
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機に搭載される通帳記帳機等の磁気媒体(通帳)に対して磁気情報の読み書き等の処理を行う磁気媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動預払機に搭載される通帳記帳機で記帳処理される通帳にはサイズの異なるものがある。このような通帳に対して磁気ストライプの読み取りや書き込みをするために、通帳を搬送路の側部に設けた基準面に突き当てて通帳を所定の位置に位置決めする必要がある。これを通常、幅寄せと呼んでいるが、幅寄せを行った後に行う磁気ストライプの読み書き処理には次の2通りのやり方がある。
【0003】
ひとつは、ローラで通帳を所定の位置に固定しておき、磁気ヘッドを通帳の磁気ストライプ部に対向させた状態で移動させ、磁気ストライプの読み書きを行うやり方である。もうひとつは、磁気ヘッドを移動させず、通帳を所定の位置に位置決めした後、ローラで搬送させながら磁気ストライプの読み書きをするやり方である。通帳を搬送する際は、通帳を基準面に押し付ける力を除去した状態で搬送している。後者の例として、例えば特開2000−247498号公報に開示されるものがある。
【特許文献1】特開2000−247498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記文献に開示される従来の幅寄せ機構においては、幅寄せを行った後、幅寄せ機構を幅寄せ方向の逆方向に駆動して通帳に対する押付力を除去し、その状態で通帳を搬送させて通帳に対する処理をするようにしているので、通帳搬送時の搬送ローラによる左右の負荷のバランスが均等でない場合、通帳がスキューを起こし、磁気ストライプの磁気データを誤読する惧れがあった。
【0005】
また、通帳によっては開き癖のついているものがあり、開き癖のついている通帳が装置に挿入された場合には、開き癖を押さえながら通帳の幅寄せを行うようにしており、この場合には通帳を傷つける不具合が発生する惧れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、磁気媒体を搬送させながら磁気ヘッドにより該磁気媒体に対して磁気情報を読み書きする磁気媒体処理装置において、前記磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構を具備し、前記幅寄せ機構で磁気媒体を前記基準面に押し付けながら該磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きすることを特徴とするものである。そして幅寄せ機構は、磁気媒体を基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付け、この状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きするようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の本発明によれば、幅寄せ機構が磁気媒体を基準面に対して第1の押し付け力により幅寄せし、この第1の押し付け力とは大きさの異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付けた状態で搬送させながら通帳処理を行うので、磁気媒体を傷つけることなく、磁気媒体のスキューを防止でき、磁気情報の読み書きを安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を図面に従って説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図、図2は第1の実施の形態の通帳記帳機の概略構成を示す構成図である。まず図2により通帳記帳機の構成について説明する。なお以下に説明する各実施の形態では磁気媒体処理装置として通帳記帳機を例にして説明する。
【0009】
図2において、通帳記帳機1には、通帳2が挿入される通帳挿入口3が設けられ、通帳挿入口3に接続して通帳搬送路4が設けられている。通帳搬送路4には上下に対を成す搬送ローラ5が複数設けられている。そして通帳搬送路4に沿って順次、幅寄せ機構6、磁気読み書き部7、オートターンページ部8、頁行検出部9、印字部10、通帳カセット11が設けられている。
【0010】
幅寄せ機構6は本発明に関係する部分で、搬送されてきた通帳2を基準面に幅寄せして次の磁気読み書きを良好に行うようにするものである。具体的な構成については後述する。磁気読み書き部7は磁気ヘッドを有し、通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の書き込みおよび読み出しを行う。オートターンページ部8は、通帳2の見開きのページに印字可能な領域がなくなった場合に自動的に通帳2のページを捲る機構を有する。
【0011】
頁行検出部9は、通帳2に設けられるページマークや印字済み行を光学的に検出する部分である。印字部10は通帳2や帳票に対して印字処理をする部分で、印字ヘッド10a、プラテン10bおよびインクリボン10cを具備する。通帳カセット11は未発行の通帳2を繰り出し可能に収容する収容部11a、11bを有し、通帳の繰越が発生した場合にここから1冊の新通帳2を繰り出し、発行する。通帳カセット11の下部には通帳取込部12が設けられている。通帳取込部12は、顧客に返却すべく通帳挿入口3に排出された通帳2を顧客が取り忘れた際に、その取り忘れた通帳2を保管しておくものである。
【0012】
図3は第1の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図、図4は同実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図で、図3の反対側から見た側面図、図5は同実施の形態の幅寄せ機構を示す平面図、図6は同実施の形態の幅寄せ機構を示す斜視図である。
【0013】
これらの図および図1において、第1の実施の形態の幅寄せ機構6は、幅寄せブラケット21、スペーシングプレート22、幅寄せプレート23、24および幅寄せレバー25、26を具備している。幅寄せブラケット21は通帳記帳機1のフレームに固定され、片面側(図3で示す側)にステッピングモータ27、光学センサ28が設けられ、他面側(図4で示す側)にモータギア29、アイドルギア30およびアイドルギア31が設けられている。アイドルギア30はモータギア29と噛み合い、アイドルギア31はアイドルギア30と同軸の図示しないギアと噛み合っている。またアイドルギア31はスペーシングプレート22下部に形成されたラック部32と噛み合っている。
【0014】
また幅寄せブラケット21の両端部にはスプリングの引っ掛け部33、34が形成されており、引っ掛け部33にはリセットスプリング35の一端が引っ掛けられ、他方の引っ掛け部34にはリセットスプリング36の一端が引っ掛けられている。なお図3および図5ではスプリングは矩形で示している。さらに幅寄せブラケット21にはそれぞれ矩形の切欠き部37、38、39、40、41が形成されている。
【0015】
スペーシングプレート22は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に設けられている。スペーシングプレート22にはそれぞれ矩形の切欠き部42、43、44、45が形成され、また下部には前述のラック部32およびスリットブロック46が形成されている。スリットブロック46はスリット47を有し、幅寄せブラケット21の切欠き部41に入り込み、光学センサ28と対向するようになっている。
【0016】
幅寄せプレート23は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せプレート23には矩形の切欠き部48、49が形成され、さらにスプリング引っ掛け部50が植設されている。スプリング引っ掛け部50はスペーシングプレート22側に突出するように形成され、スペーシングプレート22の切欠き部43を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部38をも通過するように設けられる。スプリング引っ掛け部50の先端部には幅寄せスプリング51の一端が引っ掛けられる。
【0017】
他方の幅寄せプレート24も図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せプレート24には矩形の切欠き部52、53が形成され、さらにスプリング引っ掛け部54が植設されている。スプリング引っ掛け部54はスペーシングプレート22側に突出するように形成され、スペーシングプレート22の切欠き部44を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部39をも通過するように設けられる。スプリング引っ掛け部54の先端部には幅寄せスプリング55の一端が引っ掛けられる。
【0018】
幅寄せレバー25は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せレバー25にはスプリング引っ掛け部56および57が形成されている。スプリング引っ掛け部56は幅寄せプレート23の切欠き部48を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部37に入り込むように設けられる。またスプリング引っ掛け部57は幅寄せプレート23の切欠き部49を通過し、スペーシングプレート22の切欠き部42を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部38を通過するように設けられている。スプリング引っ掛け部57の先端部にはリセットスプリング35の他端および幅寄せスプリング51の他端が引っ掛けられている。
【0019】
幅寄せレバー26は図6に示す矢印A方向または矢印B方向に移動可能に配設されている。幅寄せレバー26にはスプリング引っ掛け部58および59が形成されている。スプリング引っ掛け部58は幅寄せプレート23の切欠き部52を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部40に入り込むように設けられる。またスプリング引っ掛け部59は幅寄せプレート23の切欠き部53を通過し、スペーシングプレート22の切欠き部45を通過し、さらに幅寄せブラケット21の切欠き部39を通過するように設けられている。スプリング引っ掛け部59の先端部にはリセットスプリング36の他端および幅寄せスプリング55の他端が引っ掛けられている。
【0020】
幅寄せレバー25、26は装置内に挿入され、搬送されてきた通帳2を図示しない基準面に対して直接的に押し付ける部材で、それぞれの水平部25a、26bには図示していないが通帳2に当接する押し付けブロックが取り付けられるものである。
【0021】
次にリセットスプリングおよび幅寄せスプリングについて説明する。リセットスプリング35は引っ張りスプリングで、幅寄せブラケット21の引っ掛け部33と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57に引っ掛けられ、幅寄せレバー25を図6に示す矢印A方向に引っ張っている。幅寄せスプリング51は引っ張りスプリングで、幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57の間に配設されている。幅寄せスプリング51はリセットスプリング35よりテンションが大きく設定されており、そのためリセットスプリング35に打ち勝つ幅寄せスプリング51の引っ張り力により、幅寄せレバー25が幅寄せプレート23に対して相対的に矢印B方向に引っ張られている。しかしながらスプリング引っ掛け部57が幅寄せプレート23の切欠き部49の端部49aに当接した位置で静止している。
【0022】
リセットスプリング36は引っ張りスプリングで、幅寄せブラケット21の引っ掛け部34と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59に引っ掛けられ、幅寄せレバー26を図6に示す矢印B方向に引っ張っている。幅寄せスプリング55は引っ張りスプリングで、幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59の間に配設されている。幅寄せスプリング55はリセットスプリング36よりテンションが大きく設定されており、そのためリセットスプリング36に打ち勝つ幅寄せスプリング55の引っ張り力により、幅寄せレバー26が幅寄せプレート24に対して相対的に矢印A方向に引っ張られている。しかしながらスプリング引っ掛け部59が幅寄せプレート24の切欠き部53の端部53aに当接した位置で静止している。
【0023】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。ここでは通帳2の磁気情報の読み書き時における幅寄せ機構6による通帳の幅寄せ動作について説明する。図2において通帳2が通帳挿入口3から挿入されると、搬送ローラ5により通帳2は幅寄せ機構6に搬送される。幅寄せ機構6において通帳2は図6に示す矢印C方向から搬送され、幅寄せブラケット21の上部を通過するようになっている。ここでは通帳2を幅寄せレバー26側にある図示しない基準面に押し付けて幅寄せを行う場合について図7に示すフローチャートにしたがって説明する。図7は第1の実施の形態の磁気情報の読み書き動作を示すフローチャートである。
【0024】
挿入された通帳2が搬送ローラ5により搬送され(ステップ1)、幅寄せ機構6に搬送されてきたことを図示しないセンサにより検出すると(ステップ2)、通帳2の搬送が停止され(ステップ3)、ステッピングモータ27が駆動される(ステップ4)。ステッピングモータ27の回転方向は通帳2の幅寄せ方向により決定される。通帳2を幅寄せレバー26側に幅寄せする場合はステッピングモータ27を図3に示す矢印D方向に回転させる。
【0025】
ステッピングモータ27の回転によりモータギア29が回転し、アイドルギア30およびスペーシングプレート22のラック部32に噛み合うアイドルギア31を介してスペーシングプレート22を矢印B方向に移動させる。スペーシングプレート22が矢印B方向に移動すると、スペーシングプレート22の切欠き部43に入り込んでいるスプリング引っ掛け部50が切欠き部43の端部43aに押され、幅寄せプレート23がスペーシングプレート22と同方向に移動する。なお移動前のホームポジションにおいて、スプリング引っ掛け部50は切欠き部43の端部43aに近接した位置にある。
【0026】
幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング51の引っ張り力によりスプリング引っ掛け部57が引っ張られ、幅寄せレバー25が同方向に移動する。ここでスプリング引っ掛け部57はリセットスプリング35により矢印A方向に引っ張られているが、幅寄せスプリング51の方がリセットスプリング35よりテンションが大きいので、幅寄せスプリング51は伸びずにリセットスプリング35だけが伸びる。
【0027】
幅寄せレバー25が移動することにより、図示しない押し付けブロックを介して通帳2に当接し、さらに移動して通帳2を図示しない基準面に押し付けると、幅寄せレバー25はそれ以上は移動しない。さらにステッピングモータ27が回転すると、幅寄せレバー25は停止したままでスペーシングプレート22および幅寄せプレート23が移動を続ける。このとき幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が開き、幅寄せスプリング51が伸びる。このとき幅寄せスプリング51の伸びた分の押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に新たに加わる。力が加わることにより通帳2は確実に基準面に押し付けられる。
【0028】
スペーシングプレート22が矢印B方向に移動することにより、スリットブロック46が移動するので、そのスリット47がセンサ28により検出される(ステップ5)。センサ28がスリット47を検出する時点は、幅寄せレバー25が通帳2を基準面に押し付けた後、さらに幅寄せプレート23が移動した後になるように設定されている。したがってセンサ28がスリット47を検出する時点では、幅寄せスプリング51の伸びた分の押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に加えられている。センサ28がスリット47を検出すると、ステッピングモータ27を停止する(ステップ6)。
【0029】
以上の動作で通帳2は基準面に押し付けられている。この後、通帳2の磁気ストライプの読み書き動作に進む。磁気ストライプの読み書きの際は、通帳2に対して幅寄せレバー25を押し付けているが、幅寄せ時よりは押し付け力を小さくする。そのためにステッピングモータ27を幅寄せ時とは逆方向に、すなわち、図3に示す矢印E方向に一定量回転する(ステップ7)。
【0030】
ステッピングモータ27を矢印E方向に一定量回転することにより、スペーシングプレート22が矢印A方向に移動し、幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が狭まり、幅寄せスプリング51のテンションが弱くなる。これにより通帳2に対する押し付け力が弱くなり、通帳2を傷つけることなく搬送することが可能になる。すなわち、ステッピングモータ27の矢印E方向への回転量は、通帳2に対する押し付け力が、通帳2を傷つけることなく搬送することを可能とする大きさになるように設定される。
【0031】
その後搬送ローラ5を回転し(ステップ8)、通帳2を搬送するとともに、磁気読み書き部7により通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の読み書きを行う(ステップ9)。以上により通帳2の幅寄せ動作および磁気情報の読み書き動作を終了する。
【0032】
なお通帳2を上記とは反対側の基準面に幅寄せする場合は、ステッピングモータ27の回転方向を上記とは逆方向にし、スペーシングプレート22を矢印A方向に移動させ、幅寄せプレート24および幅寄せレバー26を同方向に移動させる。幅寄せレバー26により通帳2を基準面に押し付け、さらに幅寄せスプリング55のテンションにより通帳2を十分に押し付けた後、ステッピングモータ27を逆方向に回転させて通帳2に対する押し付け力を弱め、通帳2を傷つけない程度の押し付け力にした後、磁気情報の読み書き動作を行う。このように、本発明の幅寄せ部6は左右どちら側に基準面があっても幅寄せ動作が可能な構成となっている。
【0033】
以上のように第1の実施の形態によれば、通帳2の幅寄せ時には幅寄せスプリング51、55のテンションによる十分な押し付け力で通帳2を押し付けて幅寄せし、幅寄せした後は幅寄せ時よりは押し付け力を弱め、その状態で通帳2を搬送して磁気情報の読み書き動作を行うので、幅寄せを確実に行うことができるとともに、磁気情報の読み書き動作時には通帳2を傷つけることなく、かつスキューすることなく読み書き動作を行うことができる。
【0034】
次に第2の実施の形態を説明する。図8は第2の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図、図9は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図、図10は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す側面図で、図9の反対側から見た側面図、図11は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す平面図、図12は第2の実施の形態の幅寄せ機構を示す斜視図である。第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成に加えて二段プレートを設け、磁気情報の読み書き動作時における通帳に対する適正な押し付け力を容易に設定可能にしたものである。
【0035】
これらの図において、第2の実施の形態の幅寄せ機構60では、二段プレート61、62が幅寄せブラケット21に矢印A、B方向に移動可能に配設されている。二段プレート61、62はスペーシングプレート22の反対側に設けられ、二段プレート61にはスプリング引っ掛け部63および切欠き部64、65が形成されている。
【0036】
幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50は、スペーシングプレート22の切欠き部43、幅寄せブラケット21の切欠き部38および二段プレート61の切欠き部65を通過してステッピングモータ27側に突出している。また幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57は、幅寄せプレート23の切欠き部49、スペーシングプレート22の切欠き部42、幅寄せブラケット21の切欠き部38および二段プレート61の切欠き部64を通過してステッピングモータ27側に突出している。
【0037】
二段プレート61のスプリング引っ掛け部63と幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング66が掛け渡されている。この幅寄せスプリング66のテンションにより、スプリング引っ掛け部50は二段プレート61の切欠き部65の端部65aに当接している。即ち、図13に示すスプリング引っ掛け部50と二段プレート61の切欠き部65の端部65aとの隙間F=0となっている。なお図13は二段プレート61を示す側面図である。
【0038】
幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング弱67が掛け渡されている。幅寄せスプリング弱67は幅寄せスプリング66よりテンションは小さく設定されている。また幅寄せブラケット21の引っ掛け部33と二段プレート61のスプリング引っ掛け部63との間には引っ張りスプリングであるリセットスプリング68が掛け渡されている。リセットスプリング68は幅寄せスプリング66よりテンションは小さく設定されている。
【0039】
他方の二段プレート62にはスプリング引っ掛け部69および切欠き部70、71が形成されている。幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54は、スペーシングプレート22の切欠き部44、幅寄せブラケット21の切欠き部39および二段プレート62の切欠き部71を通過してステッピングモータ27側に突出している。また幅寄せレバー26リング引っ掛け部59は、幅寄せプレート24の切欠き部53、スペーシングプレート22の切欠き部45、幅寄せブラケット21の切欠き部39および二段プレート62の切欠き部70を通過してステッピングモータ27側に突出している。
【0040】
二段プレート62のスプリング引っ掛け部69と幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング72が掛け渡されている。この幅寄せスプリング72のテンションにより、スプリング引っ掛け部54は二段プレート62の切欠き部71の端部71aに当接している。
【0041】
幅寄せプレート24のスプリング引っ掛け部54と幅寄せレバー26のスプリング引っ掛け部59との間には引っ張りスプリングである幅寄せスプリング弱73が掛け渡されている。幅寄せスプリング弱73は幅寄せスプリング72よりテンションは小さく設定されている。また幅寄せブラケット21の引っ掛け部34と二段プレート62のスプリング引っ掛け部69との間には引っ張りスプリングであるリセットスプリング74が掛け渡されている。リセットスプリング74は幅寄せスプリング72よりテンションは小さく設定されている。その他の構成は前記第1の実施の形態と同様になっている。
【0042】
次に第2の実施の形態の動作を説明する。ここでも通帳2の磁気情報の読み書き時における幅寄せ部6による通帳の幅寄せ動作について説明する。第1の実施の形態と同様に、図2に示す通帳挿入口3から挿入された通帳2が搬送ローラ5により搬送され、幅寄せ部6に搬送されてきたことを図示しないセンサにより検出すると、通帳2の搬送が停止され、ステッピングモータ27が駆動される。ステッピングモータ27の回転方向は通帳2の幅寄せ方向により決定される。通帳2を幅寄せレバー26側に幅寄せする場合はステッピングモータ27を図9に示す矢印D方向に回転させる。
【0043】
ステッピングモータ27の回転によりモータギア29が回転し、アイドルギア30およびスペーシングプレート22のラック部32に噛み合うアイドルギア31を介してスペーシングプレート22を矢印B方向に移動させる。スペーシングプレート22が矢印B方向に移動すると、スペーシングプレート22の切欠き部43に入り込んでいる幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50が切欠き部43の端部43aに押され、幅寄せプレート23がスペーシングプレート22と同方向に移動する。
【0044】
幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング66の引っ張り力によりスプリング引っ掛け部63が引っ張られ、二段プレート61が矢印B方向に移動する。ここでスプリング引っ掛け部63はリセットスプリング68により矢印A方向に引っ張られているが、幅寄せスプリング66の方がリセットスプリング68よりテンションが大きいので、幅寄せスプリング66は伸びずにリセットスプリング68だけが伸びる。
【0045】
また幅寄せスプリング弱67がスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間に配設されているので、幅寄せプレート23が移動すると、幅寄せスプリング弱67の引っ張り力により幅寄せレバー25が矢印B同方向に移動する。
【0046】
幅寄せレバー25が移動することにより、図示しない押し付けブロックを介して通帳2に当接し、さらに移動して通帳2を図示しない基準面に押し付けると、幅寄せレバー25はそれ以上は移動しない。さらにステッピングモータ27が回転すると、幅寄せレバー25は停止したままでスペーシングプレート22および幅寄せプレート23が移動を続ける。このとき幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50と幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔が開き、幅寄せスプリング弱67が伸びる。なおこのとき二段プレート61は幅寄せプレート23とともに移動を続ける。幅寄せレバー25が停止して二段プレート61が移動を続けると、図13に示す二段プレート61の切欠き部64の端部64aと幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57との間隔Gが0(ゼロ)になり、二段プレート61の移動が停止する。さらに幅寄せプレート23が移動を続けると、幅寄せスプリング66が伸びる。
【0047】
このとき通帳2には、幅寄せスプリング弱67による押し付け力と幅寄せスプリング66により押し付け力の両方が加えられる。この両方の押し付け力で通帳は確実に基準面に押し付けられる。
【0048】
スペーシングプレート22が矢印B方向に移動することにより、スリットブロック46が移動するので、そのスリット47がセンサ28により検出される。センサ28がスリット47を検出する時点は、幅寄せレバー25が通帳2を基準面に突き当たって停止し、さらに二段プレート23が停止した後になるように設定されている。したがってセンサ28がスリット47を検出した時点では、幅寄せスプリング弱67による押し付け力および幅寄せスプリング66による押し付け力が幅寄せレバー25を介して通帳2に加えられている。センサ28がスリット47を検出すると、ステッピングモータ27を停止する。
【0049】
以上の動作で通帳2は基準面に押し付けられている。この後、通帳2の磁気ストライプの読み書き動作に進む。磁気ストライプの読み書きの際は、通帳2に対して幅寄せレバー25を押し付けているが、幅寄せ時よりは押し付け力を小さくする。即ち、幅寄せスプリング弱67による押し付け力のみで通帳2を押し付ける状態にする。そのためにステッピングモータ27を幅寄せ時とは逆方向に、すなわち、図3に示す矢印E方向に一定量回転する。
【0050】
ステッピングモータ27を矢印E方向に一定量回転することにより、スペーシングプレート22が矢印A方向に移動し、幅寄せプレート23も同方向に移動して幅寄せプレート23のスプリング引っ掛け部50が二段プレート61の切欠き部65の端部65aに当接すると、二段プレート61が矢印A方向に移動を開始する。二段プレート61が移動を開始すると、二段プレート61の切欠き部64の端部64aが幅寄せレバー25のスプリング引っ掛け部57から離れ、幅寄せスプリング66の引っ張り力が押し付け力として通帳2に加えられなくなる。したがって幅寄せスプリング弱67の押し付け力のみが通帳2に加えられる状態になる。この状態になるまで、ステッピングモータ27が逆回転される。幅寄せスプリング弱67の押し付け力のみが通帳2に加えられる状態では、通帳2を傷つけることなく搬送することが可能である。
【0051】
その後搬送ローラ5を回転し、通帳2を搬送するとともに、磁気読み書き部7により通帳2の磁気ストライプに対して磁気情報の読み書きを行う。以上により通帳2の幅寄せ動作および磁気情報の読み書き動作を終了する。
【0052】
なお通帳2を上記とは反対側の基準面に幅寄せする場合は、ステッピングモータ27の回転方向を上記とは逆方向にし、スペーシングプレート22を矢印A方向に移動させ、幅寄せプレート24、二段プレート62および幅寄せレバー26を同方向に移動させる。幅寄せスプリング弱73の押し付け力により幅寄せレバー26を介して通帳2を基準面に押し付け、さらに幅寄せスプリング72の押し付け力により通帳2を十分に押し付けた後、ステッピングモータ27を一定量逆方向に回転させて通帳2に対する押し付け力を幅寄せスプリング弱73による押し付け力だけにすることにより、通帳2を傷つけない程度の押し付け力にし、その後磁気情報の読み書き動作を行う。
【0053】
以上のように第2の実施の形態によれば、通帳2の幅寄せ時には幅寄せスプリング弱67、73および幅寄せスプリング66、72による十分な押し付け力で通帳2を押し付けて幅寄せし、幅寄せした後は幅寄せスプリング弱67、73による押し付け力のみで押し付け、その状態で通帳2を搬送して磁気情報の読み書き動作を行うので、幅寄せを確実に行うことができるとともに、磁気情報の読み書き動作時における押し付け力を安定的に得ることができ、通帳2を傷つけることなく、かつスキューすることのない読み書き動作を安定して行うことができる。
【0054】
上記各実施の形態では通帳記帳機における通帳の幅寄せを例にして説明したが、本発明による幅寄せ機構は、通帳以外の磁気情報を読み書きする媒体の幅寄せにも適用可能である。例えば、磁気ストライプを有する航空券等の券発行装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の通帳記帳機の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図4】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図5】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す平面図である。
【図6】第1の実施の形態の幅寄せ部を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態の磁気情報の読み書き動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態の通帳記帳機の要部を示す分解斜視図である。
【図9】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図10】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す側面図である。
【図11】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態の幅寄せ部を示す斜視図である。
【図13】二段プレート61を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 通帳記帳機
2 通帳
6、60 幅寄せ機構
21 幅寄せブラケット
22 スペーシングプレート
23、24 幅寄せプレート
25、26 幅寄せレバー
27 ステッピングモータ
35、36、68、74 リセットスプリング
51、55、66、72 幅寄せスプリング
61、62 二段プレート
67、73 幅寄せスプリング弱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気媒体を搬送させながら磁気ヘッドにより該磁気媒体に対して磁気情報を読み書きする磁気媒体処理装置において、
前記磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構を具備し、
前記幅寄せ機構で磁気媒体を前記基準面に押し付けながら該磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きすることを特徴とする磁気媒体処理装置。
【請求項2】
前記幅寄せ機構は、磁気媒体を前記基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付け、この状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きする請求項1記載の磁気媒体処理装置。
【請求項3】
前記第2の押し付け力はモータの回転量により制御される請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1の押し付け力と第2の押し付け力は、引っ張り力の異なる2種類のスプリングにより設定される請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項5】
前記幅寄せ機構は、左右両側に磁気媒体を幅寄せ可能である請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項6】
前記幅寄せ機構は、
モータの回転により前記媒体幅方向に移動するスペーシングプレートと、
前記スペーシングプレートの移動に伴って該スペーシングプレートと同方向に移動する幅寄せプレートと、
幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、該幅寄せプレートの移動に伴ってタイミングを遅らせて該幅寄せプレートと同方向に移動して磁気媒体を前記第1の押し付け力により前記基準面に押し付け、磁気媒体を基準面に押し付けた後は前記モータの回転量により設定される前記幅寄せスプリングによる前記第2の押し付け力により磁気媒体を押し付ける幅寄せレバーとを有する請求項3記載の磁気媒体処理装置。
【請求項7】
前記幅寄せ機構は、
モータの回転により前記媒体幅方向に移動するスペーシングプレートと、
前記スペーシングプレートの移動に伴って該スペーシングプレートと同方向に移動する幅寄せプレートと、
第1の幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、該幅寄せプレートの移動に伴って前記第1の幅寄せスプリングの引張力により該幅寄せプレートと同方向に移動する二段プレートと、
第2の幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、前記二段プレートの移動に伴ってタイミングを遅らせて該二段プレートと同方向に移動して磁気媒体を前記基準面に押し付け、さらに磁気媒体を前記基準面に押し付けた後に前記二段プレートが当接して前記第1の幅寄せスプリングにより磁気媒体を押し付け、その後は前記第2の幅寄せスプリングによる前記第2の押し付け力により磁気媒体を押し付ける幅寄せレバーとを有し、
前記第1の幅寄せスプリングによる押し付け力と前記第2の幅寄せスプリングにより押し付け力とで前記第1の押し付け力を構成する請求項4記載の磁気媒体処理装置。
【請求項1】
磁気媒体を搬送させながら磁気ヘッドにより該磁気媒体に対して磁気情報を読み書きする磁気媒体処理装置において、
前記磁気媒体を搬送方向と直交する媒体幅方向に移動させて基準面に押し付ける幅寄せ機構を具備し、
前記幅寄せ機構で磁気媒体を前記基準面に押し付けながら該磁気媒体を搬送させて磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きすることを特徴とする磁気媒体処理装置。
【請求項2】
前記幅寄せ機構は、磁気媒体を前記基準面に第1の押し付け力により押し付けた後、該押し付け時とは異なる第2の押し付け力により磁気媒体を押し付け、この状態で磁気媒体を搬送して磁気ヘッドにより磁気情報を読み書きする請求項1記載の磁気媒体処理装置。
【請求項3】
前記第2の押し付け力はモータの回転量により制御される請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1の押し付け力と第2の押し付け力は、引っ張り力の異なる2種類のスプリングにより設定される請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項5】
前記幅寄せ機構は、左右両側に磁気媒体を幅寄せ可能である請求項2記載の磁気媒体処理装置。
【請求項6】
前記幅寄せ機構は、
モータの回転により前記媒体幅方向に移動するスペーシングプレートと、
前記スペーシングプレートの移動に伴って該スペーシングプレートと同方向に移動する幅寄せプレートと、
幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、該幅寄せプレートの移動に伴ってタイミングを遅らせて該幅寄せプレートと同方向に移動して磁気媒体を前記第1の押し付け力により前記基準面に押し付け、磁気媒体を基準面に押し付けた後は前記モータの回転量により設定される前記幅寄せスプリングによる前記第2の押し付け力により磁気媒体を押し付ける幅寄せレバーとを有する請求項3記載の磁気媒体処理装置。
【請求項7】
前記幅寄せ機構は、
モータの回転により前記媒体幅方向に移動するスペーシングプレートと、
前記スペーシングプレートの移動に伴って該スペーシングプレートと同方向に移動する幅寄せプレートと、
第1の幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、該幅寄せプレートの移動に伴って前記第1の幅寄せスプリングの引張力により該幅寄せプレートと同方向に移動する二段プレートと、
第2の幅寄せスプリングにより前記幅寄せプレートに接続され、前記二段プレートの移動に伴ってタイミングを遅らせて該二段プレートと同方向に移動して磁気媒体を前記基準面に押し付け、さらに磁気媒体を前記基準面に押し付けた後に前記二段プレートが当接して前記第1の幅寄せスプリングにより磁気媒体を押し付け、その後は前記第2の幅寄せスプリングによる前記第2の押し付け力により磁気媒体を押し付ける幅寄せレバーとを有し、
前記第1の幅寄せスプリングによる押し付け力と前記第2の幅寄せスプリングにより押し付け力とで前記第1の押し付け力を構成する請求項4記載の磁気媒体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−25983(P2007−25983A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205891(P2005−205891)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]